JP2000353836A - 超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法 - Google Patents

超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000353836A
JP2000353836A JP11164112A JP16411299A JP2000353836A JP 2000353836 A JP2000353836 A JP 2000353836A JP 11164112 A JP11164112 A JP 11164112A JP 16411299 A JP16411299 A JP 16411299A JP 2000353836 A JP2000353836 A JP 2000353836A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
single crystal
coherent electromagnetic
superconducting
superconductor single
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11164112A
Other languages
English (en)
Inventor
Ienari Iguchi
家成 井口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP11164112A priority Critical patent/JP2000353836A/ja
Priority to PCT/JP2000/003694 priority patent/WO2000077892A1/ja
Priority to TW89111304A priority patent/TW492203B/zh
Publication of JP2000353836A publication Critical patent/JP2000353836A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01SDEVICES USING THE PROCESS OF LIGHT AMPLIFICATION BY STIMULATED EMISSION OF RADIATION [LASER] TO AMPLIFY OR GENERATE LIGHT; DEVICES USING STIMULATED EMISSION OF ELECTROMAGNETIC RADIATION IN WAVE RANGES OTHER THAN OPTICAL
    • H01S1/00Masers, i.e. devices using stimulated emission of electromagnetic radiation in the microwave range

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の原理から脱却した磁場の印加の必要の
ない増幅作用のある、しかも直流電流を流すだけの簡易
な方法でコヒーレントな電磁波発振ができる超伝導コヒ
ーレント電磁波発振装置及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 層状結晶構造を有する超伝導体単結晶1
1にトンネル障壁層13を介して電流を注入し、生じた
電磁波を空洞共振器5内で増幅することにより、コヒー
レントな強い電磁波発振を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はコヒーレントな電
磁波の発振に利用し、特に酸化物高温超伝導体へ電流を
注入し非平衡状態の実現に伴う電磁波を放射してコヒー
レント電磁波発振するための超伝導コヒーレント電磁波
発振装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超伝導電磁波発振装置として、ジ
ョセフソン交流効果発振装置、超伝導磁束フロー発振装
置及びレーザー照射型電磁波発振装置等がある。これら
超伝導電磁波発振装置に関して、例えばB.D.Jos
ephsonによる提案がある。この提案(Physi
cs Letters, Vol. 1,251−253,
1962)では、超伝導接合を有限電圧にバイアスする
と、超伝導接合に超高周波の交流電流が流れ、その周波
数に対応した電磁波が放射されるとしている。この方法
では、電磁波の発振はできるが、増幅作用のある電磁波
発振ができない。
【0003】またD. N. Langenbergらは
(Physical ReviewLetters V
ol. 15, 294−297,1965)、B.D.J
osephsonの提案の検証実験を行い、9GHzの
マイクロ波電力の検出に成功しているが、増幅作用のあ
る発振ができない。
【0004】さらに T.Nagatsumaらの提案
(Journal of Applied Physi
cs Vol.54,3302−3311,1983)
では、長いジョセフソン接合に磁場を印加した状態で、
この接合に電流を流し、接合内に存在する量子磁束をロ
ーレンツ力によって駆動することにより、500GHz
程度のマイクロ波を発振できるが、その原理から増幅作
用のある電磁波発振を行うことはできない。
【0005】またHechtfischerらの提案
(Physical ReviewLetters V
ol.79, 1365−1368,1997)では、高
温超伝導体単結晶のc軸方向に垂直に磁場を印加し、生
じる10GHz程度の電磁波を検出できているが、この
提案においても、その原理から増幅作用のある電磁波発
振を行うことができないだけでなく、強い磁場を印加す
る必要がある。
【0006】また、Tonouchiらの提案(Jap
an Journal of Applied Phy
sics, Vol.35,2624−2632,199
6)では、高温超伝導薄膜にフェムト秒パルスレーザー
を照射すると、テラヘルツ波帯の電磁波発振が行える
が、その原理からコヒーレントな電磁波発振を実現する
ことは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の方
法では、その原理上、超伝導体から増幅作用のある電磁
波発振をコヒーレントに行うことが困難である。そこ
で、この発明は従来の原理から脱却した磁場の印加の必
要のない増幅作用のある、しかも直流電流を流すだけの
簡易な方法でコヒーレントな電磁波発振ができる超伝導
コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明の超伝導コヒーレント電磁波発
振装置は、層状結晶構造を有する超伝導体単結晶と注入
電極とをトンネル接合したトンネル障壁層を有する電磁
波発振源を備え、超伝導状態にあって注入電極に電流注
入して位相の揃ったコヒーレントな電磁波を放射する構
成とした。また請求項2記載の発明は、超伝導体単結晶
の転移温度以下に冷却可能な冷却手段と、冷却手段に熱
接触して設けた電磁波発振源と、電磁波発振源の放射電
磁波を増幅する共振器とを備え、電磁波発振源が層状結
晶構造を有する超伝導体単結晶と注入電極とをトンネル
接合したトンネル障壁層を有し、注入電極に電流注入し
て位相の揃ったコヒーレントな電磁波を放射する構成で
ある。さらに請求項3記載の発明は上記構成に加え、ト
ンネル接合した面を超伝導体単結晶のc軸と垂直に形成
していることを特徴とする。また請求項4記載の発明は
超伝導体単結晶のギャップ電圧領域で電流注入すること
を特徴とする。
【0009】さらに請求項5記載の発明は超伝導体単結
晶を電流注入により非平衡状態に駆動することを特徴と
する。また請求項6記載の発明は電流注入が直流であ
る。さらに請求項7記載の発明は超伝導体単結晶が増幅
作用を有していることを特徴とする。また請求項8記載
の発明はコヒーレントな電磁波の発振周波数を注入電力
で制御したことを特徴とする。さらに請求項9記載の発
明はコヒーレントな電磁波がマイクロ波放射であること
を特徴とする。
【0010】また請求項10記載の発明はコヒーレント
な電磁波の発振周波数がマイクロ波帯からテラヘルツ帯
であることを特徴とする。さらに請求項11記載の発明
は超伝導体単結晶が酸化物高温超伝導体であることを特
徴とする。また請求項12記載の発明は超伝導体単結晶
自体を共振器にしたことを特徴とする。
【0011】さらに請求項13記載の発明は超伝導体単
結晶に設けたメサ構造部に前記トンネル障壁層を設けた
ことを特徴とする。また請求項14記載の発明は注入電
極の面積により電流の注入面積を制限したことを特徴と
する。さらに請求項15記載の発明はトンネル障壁層の
材料が前記超伝導体単結晶の自然酸化膜であることを特
徴とする。
【0012】このような構成でなる本発明の超伝導コヒ
ーレント電磁波発振装置は、高温超伝導単結晶と金属電
極との間にトンネル接合を形成し、外部よりトンネル障
壁層を通して電流を注入することにより、超伝導体単結
晶を非平衡状態に駆動し、生じる電荷の振動を超伝導体
表面で電磁波に変換し共振器内で増幅させるか、或いは
単結晶自体を共振器として増幅し、コヒーレントな電磁
波発振を可能にする。
【0013】電流を注入することにより、過剰の準粒子
が超伝導体単結晶の中に励起し、超伝導体が熱平衡状態
から非平衡状態になり、そのエネルギーの高い状態で電
荷の振動状態を励起できる。
【0014】超伝導体単結晶内部の電荷の振動により結
晶から電磁波が自由空間に放射されるが、これを共振器
内で増幅するか、結晶自体を共振器としてこれを増幅さ
せることができる。超伝導体単結晶の電流−電圧特性の
負性抵抗をもつギャップ電圧領域において、ジョセフソ
ン交流効果と電荷の振動効果を結合させて鋭いコヒーレ
ントな発振を得るものである。
【0015】電流注入は、超伝導体単結晶の超伝導性を
破壊しない大きさまでの範囲で行われる。発振周波数は
超伝導体材料により異なるが、マイクロ波帯からテラヘ
ルツ波帯まで及ぶ。このように超伝導体電磁波発振源と
共振器を組み合わせた超伝導コヒーレント電磁波発振装
置を構成することは、現在までにない超伝導体のレーザ
発振装置が実現できる。
【0016】また請求項16記載の発明の超伝導コヒー
レント電磁波発振装置の製造方法は層状結晶構造を有す
る超伝導体単結晶の表面に金属電極を蒸着するとともに
トンネル障壁層を形成する第1の工程と、アニールする
第2の工程と、フォトレジストを塗布、露光及び現像す
る第3の工程と、イオンミリングする第4の工程と、電
極を形成する第5の工程とを備える構成とした。さらに
請求項17記載の発明は上記構成に加え、トンネル障壁
層の材料が超伝導体単結晶表面の自然酸化膜であること
を特徴とする。また請求項18記載の発明はイオンミリ
ングする第4の工程にあって超伝導体単結晶にメサ構造
部を形成することを特徴とする。
【0017】このような構成により、準粒子注入により
マイクロ放射する超伝導コヒーレント電磁波発振装置を
製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図12に基づき、こ
の発明による超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びそ
の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。な
お、実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用い
た。図1は寒剤として液体ヘリウムを用いた場合の本発
明に係る超伝導コヒーレント電磁波発振装置の装置構成
概略図であり、図2は冷凍機を用いた場合の本発明に係
る超伝導コヒーレント電磁波発振装置の装置構成概略図
である。
【0019】図1を参照すると、この発明に係る超伝導
コヒーレント電磁波発振装置は、超伝導体を転移温度T
c 以下に冷却するための冷却手段である液体ヘリウム1
を満たした冷却装置3と、この冷却装置3中に置かれた
空洞共振器5と、この空洞共振器から電磁波を取り出す
導波管7と、空洞共振器内の保持板8に固定された電磁
波発振源10とを備え、この電磁波発振源10に定電流
バイアス源(図示せず)から電流を供給するようになっ
ている。
【0020】電磁波発振源10は、結晶軸のc軸方向に
超伝導層が積層された層状結晶構造を有する超伝導体単
結晶11と、この超伝導体単結晶11上に形成されたト
ンネル障壁層13とを有し、電極15,17によりトン
ネル障壁層13を介して超伝導体単結晶11に電子を多
量に注入するようになっている。なお、図1中、J1
びJ2 は電流の供給を示し、電流を注入する側の電極を
特に注入電極と呼ぶ。
【0021】この超伝導体単結晶11は層状結晶構造の
ため、これらがジョセフソン接合している構造を有して
いる。さらにこの超伝導体単結晶11はc軸方向にトン
ネル障壁層13を介して直流電流を注入するとプラズマ
波の発生に基づき、マイクロ波放射が生じ、しかも増幅
作用を有しているものである。
【0022】超伝導材料としてはLa2-x Srx CuO
4 ,転移温度Tc が80KのBi2Sr2 CaCu2
y (以下、「BSCCO」と記す),転移温度Tc が1
10KのBi2 Sr2 Ca2 Cu3 y 又は転移温度T
c が80〜90KのYBa2Cu3 7-y (以下、「Y
BCO」と記す)等の酸化物高温超伝導体を用いるのが
好ましいが、これらに限らず結晶性のよい超伝導体であ
れば本発明に利用可能である。YBCOはYを他の遷移
元素で置き換えたものもあり、例えば、ErBa2 Cu
3 7-y 、NdBa2 Cu3 7-y などである。高温超
伝導体の場合は転移温度が液体窒素温度より高いため寒
剤として液体ヘリウムに代えて液体窒素を用いることが
可能である。なお、添え字のx及びyは0を含む。
【0023】電極材料としては、金、銀、銅等の金属を
用い、蒸着などにより形成されている。電子を注入する
側の電極15は電流の注入面積を制限するように形成さ
れており、電流注入による電磁波発振の強度は接合の電
流密度が102 〜103 A/cm2 程度のとき効果的に
大きくなるため、超伝導体単結晶の大きさが1cm角程
度の場合、電極の面積は1mm2 程度以下である。
【0024】トンネル障壁層は超伝導体単結晶と金属電
極とをトンネル接合するためのものであり、トンネル効
果により電子を注入する。このトンネル障壁層は超伝導
体単結晶自体の自然酸化膜で足り、厚さは1nm〜3n
m程度である。このトンネル障壁層は高温超伝導体が酸
化物であるため金属電極を蒸着しただけで表面に形成で
きる。またトンネル障壁層として、例えばMgO、Y2
3 などの酸化物薄膜を蒸着等の成長方法で1nm〜3
nm程度の極薄に形成するようにしてもよい。
【0025】空洞共振器5としては電磁波発振源の共振
条件がなるべく変わらないようなものを取り付け、その
大きさは共振周波数により異なり、またこの共振周波数
は使用する超伝導材料により大きく異なる。共振周波数
は例えばBSCCOでは100GHz、YBCOでは1
〜2THz程度であるため、空洞共振器の大きさは10
0GHz程度の場合では数cm以下でよいが、テラヘル
ツオーダーの超高周波ではこれより小さくする必要があ
る。
【0026】次に、冷却手段に冷凍機を用いた超伝導コ
ヒーレント電磁波発振装置について説明する。図2に示
すように、冷凍機を用いた超伝導コヒーレント電磁波発
振装置は、真空排気可能なチャンバー21と、このチャ
ンバー内に配設された冷凍機のコールドヘッド23と、
このコールドヘッドに熱接触良好に設けられた保持板2
5と、この保持板に固定された電磁波発振源10と、こ
の電磁波発振源の空洞共振器27とを備え、この空洞共
振器27から電磁波を取り出す穴28に対向した位置に
てチャンバー21に光学窓29が設けられている。電磁
波発振源10は図1に示した構成と同様である。
【0027】次に、電磁波発振源自体を共振器とした実
施形態を説明する。図3は本発明に係る電磁波発振源の
断面図である。図3に示すように、電磁波発振源30は
メサ構造部31を有する超伝導体単結晶33と、この超
伝導体単結晶33の両端面に設けられた反射膜32,3
2と、この反射膜の一方に電磁波を取り出すために設け
られた孔34と、メサ構造部31上に形成されたトンネ
ル障壁層35と、電極37,38とを備え、メサ構造部
31上に形成された電極37からトンネル障壁層35を
介して超伝導体単結晶33に電流を注入するようになっ
ている。電極37,38は超伝導体単結晶33に対して
同じ側に設けられているが、電極38は超伝導単結晶の
裏面側に設けてもよい。なお、図3で示した電極38は
対称の位置に形成するのが望ましい。
【0028】超伝導体単結晶33は図1で示したものと
同様であるが、メサ構造部が形成されている点と共振器
になるように所定の大きさにしている点が異なる。また
トンネル障壁層35及び電極37,38の材料も図1で
示したものと同様である。
【0029】超伝導体単結晶33は図3で示すように層
状結晶構造を有し、多数のジョセフソン接合が結晶のc
軸方向に直列につながった構造であり、電流の注入によ
り放射される電磁波は接合面に平行方向である。
【0030】反射膜32,32は電磁波を反射するもの
であればよく、例えばAg、Au、Cu等の金属膜を蒸
着することにより形成されている。
【0031】超伝導体単結晶35のメサ構造部31は電
流の注入面積を制限し、電極形成を容易にするために設
けられている。電流注入による電磁波発振の強度を考慮
して注入面積を決定し、適当な大きさのメサ構造にして
いる。また超伝導体単結晶35の大きさLは超伝導材料
で決まる共振周波数に基づき設計されている。例えば発
振周波数がテラヘルツオーダーで超伝導体単結晶の大き
さLが1cm程度の場合、注入面積は1mm2 程度以下
である。
【0032】図4は冷凍機を用いた場合であって、超伝
導体単結晶自体を共振器にした本発明に係る超伝導コヒ
ーレント電磁波発振装置の装置構成概略図である。な
お、図2及び図3で示した部材と同一のものは同一符号
を付した。またJ1 及びJ2 は電流の供給を示す。超伝
導体単結晶自体を共振器にした電磁波発振源30は保持
板25に固定されているが、この固定は例えば接着剤や
グリース等でとめてもよく、また板状のバネなどで挟み
込んで固定する機械的な方法でもよい。
【0033】次に、本発明に係る超伝導コヒーレント電
磁波発振装置の作用を説明する。電磁波発振源の超伝導
体単結晶は転移温度Tc 以下に冷却されており、超伝導
状態を維持している。図4を参照すると、先ず、図示し
ない外部回路の定電流バイアス源で所定の直流電流を電
極37に流し、この電極37からトンネル障壁層35を
介してメサ構造部31から超伝導体単結晶33に電流を
注入する。
【0034】トンネル障壁層35のトンネルバリアを通
して注入した電子により超伝導体単結晶の中に過剰の準
粒子が励起する。超伝導体が熱平衡状態から非平衡状態
になり、そのエネルギーの高い状態で電荷の振動状態を
励起し、レーザ発振する。この発振はジョセフソン交流
効果と電荷の振動効果との結合に基づき、鋭いコヒーレ
ントな発振になる。
【0035】この超伝導体内部の電荷の振動により超伝
導体単結晶33から電磁波が放射する。図1及び図2で
示した超伝導コヒーレント電磁波発振装置では放射した
電磁波を空洞共振器で増幅するが、図4に示した超伝導
コヒーレント電磁波発振装置では超伝導体単結晶自体を
共振器として増幅する。増幅した電磁波は光学窓29か
ら取り出す。図1に示した超伝導コヒーレント電磁波発
振装置では導波管で取り出す。
【0036】ここで、電流注入は超伝導体単結晶の超伝
導性を破壊しない大きさまでの範囲で行う。発振周波数
は超伝導材料により異なるが、マイクロ波帯からテラヘ
ルツ帯まで可能である。
【0037】図5はこの発明に係る超伝導体単結晶がB
SCCOの場合の電流−電圧特性図である。これはBS
CCOのc軸方向に電流を流したときの電流−電圧特性
例であるが、結晶の厚さに対応して多数のジョセフソン
接合が結晶のc軸方向に直列につながった多分岐型の電
流−電圧特性となる。
【0038】図6は電流を流したとき、電流−電圧特性
の負性抵抗領域で11.6GHzの受信周波数において
検出されたマイクロ波発振出力の測定例である。注入電
流は負性抵抗領域で流す必要があり、この負性抵抗領域
で鋭い発振が可能である。この負性抵抗領域で出現して
いる電圧がギャップ電圧であり、本発明ではこのギャッ
プ電圧領域で電流注入をする。なお、超伝導体は常伝導
体よりエネルギー的に低い状態が実現しているが、超伝
導体の電子レベルでのエネルギー差であるギャップが超
伝導接合の電流−電圧特性に直接出現し、この出現電圧
をギャップ電圧という。
【0039】図7はこの発明の超伝導コヒーレント電磁
波発振装置におけるジョセフソンプラズマ発振の周波数
が注入電力の大きさによって制御できることを示したも
のである。BSCCOの場合、注入の影響を受けない1
00GHz程度の周波数から電流制御により0Hz近く
まで変えることができる。なお、受信周波数は、その電
力での発振周波数に等しい。このように本発明の超伝導
コヒーレント電磁波発振装置では、注入電力で発振周波
数を制御できる。
【0040】次に、この発明に係る超伝導コヒーレント
電磁波発振装置の製造方法について製造工程順に(a)
〜(o)で示す図8〜図12を参照しつつ説明する。先
ず図8を参照して、(a)超伝導体単結晶50を劈開し
清浄な表面を露出し、(b)真空蒸着法により電極とな
る金属膜、例えばAuを蒸着する。このとき超伝導体が
酸化物のため金属電極を蒸着しただけで1〜3nmのト
ンネル障壁層53が形成できる。これは金属が超伝導体
から酸素を奪い、薄い金属酸化膜を形成することに基づ
く。なお、超伝導体単結晶自体の自然酸化膜を利用しな
い場合は、蒸着等の成長方法により酸化物薄膜を形成
後、金属電極を形成する。
【0041】次に、(c)金属膜を蒸着した超伝導体単
結晶を大気中で1時間、600℃でアニール後、(d)
保持板54に接着剤などで固定する。そして図9を参照
して、(e)フォトレジスト56を金属膜蒸着側に塗布
し、接合部を規定するようなフォトマスクにより露光、
パターニングする。このとき接合面積は0.01mm2
〜1mm2 程度である。
【0042】続いて、(f)現像によりフォトレジスト
を取り除き、(g)イオンミリング技術により例えば2
50Vの加速電圧でエッチング加工し、(h)メサ構造
部58を形成する。このメサ構造部58はエッチング条
件により決まる。次いで図10を参照して、(i)Ca
2 膜62を室温で100nm程度の厚さまで真空蒸着
し、(j)超音波アセトン中でリフトオフしてレジスト
56を除去する。
【0043】最後に、(k)電極リードを取るため、金
属膜64、例えばAgを全面に真空蒸着し、電極形状形
成用のフォトマスクを用いて露光、パターニング、現像
をして、図11に示すように超伝導体単結晶50の四隅
とメサ構造部58に電極リードを形成する。超伝導体単
結晶自体を共振器にする場合は、この単結晶の両側面に
厚さ100μm程度に金属膜を真空蒸着するプロセスを
追加する。
【0044】上記(i)〜(k)のプロセスではCaF
2 を蒸着したが、これに代えてフォトレジストを用いて
もよい。図12を参照して、(l)接合部のフォトレジ
スト56を現像して除去し、(m)再びフォトレジスト
72を全面に塗布し露光する。次いで、(n)接合部の
フォトレジストを取り除くためフォトマスクを用い露
光、現像する。最後に(o)電極リードをとるため、金
属膜74を全面に真空蒸着する。再びフォトレジストを
全面に塗布し、電極形状形成用のフォトマスクを用いて
露光、パターニング、現像を行う。
【0045】このようにして製造した電磁波発振源を図
1、図2又は図4に示したように取り付けて超伝導コヒ
ーレント電磁波発振装置が完成する。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明の超伝導
コヒーレント電磁波発振装置では、電流注入をした超伝
導体単結晶から位相の揃ったコヒーレントな電磁波発振
させることができ、また共振器の効果により、その振幅
を増大させることができる優れた装置が実現できる。ま
たこの発明の超伝導コヒーレント電磁波発振装置の製造
方法では、準粒子注入によりマイクロ放射する超伝導コ
ヒーレント電磁波発振装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】寒剤として液体ヘリウムを用いた場合の、この
発明に係る超伝導コヒーレント電磁波発振装置の装置構
成概略図である。
【図2】冷凍機を用いた場合の、この発明に係る超伝導
コヒーレント電磁波発振装置の装置構成概略図である。
【図3】この発明に係る電磁波発振源の断面図である。
【図4】超伝導体単結晶自体を共振器にした、この発明
に係る超伝導コヒーレント電磁波発振装置の装置構成概
略図である。
【図5】本発明に係る超伝導体単結晶がBSCCOの場
合の電流−電圧特性図である。
【図6】本発明に係る電流注入により負性抵抗領域で発
振した電磁波の出力の測定例を示す図である。
【図7】本発明に係る電流−電圧特性図及び受信周波数
と注入電力との関係を示す図である。
【図8】本発明の超伝導コヒーレント電磁波発振装置の
製造方法を示す工程図(a)〜(c)である。
【図9】本発明の超伝導コヒーレント電磁波発振装置の
製造方法を示す工程図(e)〜(h)である。
【図10】本発明の超伝導コヒーレント電磁波発振装置
の製造方法を示す工程図(i)〜(k)である。
【図11】本発明に係る電磁波発振源の上面図である。
【図12】本発明の超伝導コヒーレント電磁波発振装置
の製造方法を示す工程図(l)〜(o)である。
【符号の説明】
1 液体ヘリウム 3 冷却装置 5,27 空洞共振器 7 導波管 10,30 電磁波発振源 11,33 超伝導体単結晶 13,35 トンネル障壁層 15,17,37,38 電極 21 チャンバー 23 コールドヘッド 25 保持板 28 穴 29 光学窓 32 反射膜 34 孔

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層状結晶構造を有する超伝導体単結晶と
    注入電極とをトンネル接合したトンネル障壁層を有する
    電磁波発振源を備え、超伝導状態にあって上記注入電極
    に電流注入して位相の揃ったコヒーレントな電磁波を放
    射する超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  2. 【請求項2】 超伝導体単結晶の転移温度以下に冷却可
    能な冷却手段と、この冷却手段に熱接触して設けた電磁
    波発振源と、この電磁波発振源の放射電磁波を増幅する
    共振器とを備え、 上記電磁波発振源が層状結晶構造を有する超伝導体単結
    晶と注入電極とをトンネル接合したトンネル障壁層を有
    し、上記注入電極に電流注入して位相の揃ったコヒーレ
    ントな電磁波を放射する超伝導コヒーレント電磁波発振
    装置。
  3. 【請求項3】 前記トンネル接合した面を前記超伝導体
    単結晶のc軸と垂直に形成していることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の超伝導コヒーレント電磁波発振
    装置。
  4. 【請求項4】 前記超伝導体単結晶のギャップ電圧領域
    で前記電流注入することを特徴とする、請求項1〜3の
    いずれかに記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  5. 【請求項5】 前記超伝導体単結晶を前記電流注入によ
    り非平衡状態に駆動することを特徴とする、請求項1〜
    4のいずれかに記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装
    置。
  6. 【請求項6】 前記電流注入が直流であることを特徴と
    する、請求項1〜5のいずれかに記載の超伝導コヒーレ
    ント電磁波発振装置。
  7. 【請求項7】 前記超伝導体単結晶が増幅作用を有して
    いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載
    の超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  8. 【請求項8】 前記コヒーレントな電磁波の発振周波数
    を注入電力で制御したことを特徴とする、請求項1〜7
    のいずれかに記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装
    置。
  9. 【請求項9】 前記コヒーレントな電磁波がマイクロ波
    放射であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに
    記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  10. 【請求項10】 前記コヒーレントな電磁波の発振周波
    数がマイクロ波帯からテラヘルツ帯であることを特徴と
    する、請求項1〜9のいずれかに記載の超伝導コヒーレ
    ント電磁波発振装置。
  11. 【請求項11】 前記超伝導体単結晶が酸化物高温超伝
    導体であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれ
    かに記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  12. 【請求項12】 前記超伝導体単結晶自体を共振器にし
    たことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の
    超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  13. 【請求項13】 前記超伝導体単結晶に設けたメサ構造
    部に前記トンネル障壁層を設けたことを特徴とする、請
    求項1〜12のいずれかに記載の超伝導コヒーレント電
    磁波発振装置。
  14. 【請求項14】 前記注入電極の面積により電流の注入
    面積を制限したことを特徴とする、請求項1〜13のい
    ずれかに記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装置。
  15. 【請求項15】 前記トンネル障壁層の材料が前記超伝
    導体単結晶の自然酸化膜であることを特徴とする、請求
    項1〜14のいずれかに記載の超伝導コヒーレント電磁
    波発振装置。
  16. 【請求項16】 層状結晶構造を有する超伝導体単結晶
    の表面に金属電極を蒸着するとともにトンネル障壁層を
    形成する第1の工程と、アニールする第2の工程と、フ
    ォトレジストを塗布、露光及び現像する第3の工程と、
    イオンミリングする第4の工程と、電極を形成する第5
    の工程と、を備える超伝導コヒーレント電磁波発振装置
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記トンネル障壁層の材料が前記超伝
    導体単結晶表面の自然酸化膜であることを特徴とする、
    請求項16に記載の超伝導コヒーレント電磁波発振装置
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記イオンミリングする第4の工程に
    あって前記超伝導体単結晶にメサ構造部を形成すること
    を特徴とする、請求項16又は17に記載の超伝導コヒ
    ーレント電磁波発振装置の製造方法。
JP11164112A 1999-06-10 1999-06-10 超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法 Pending JP2000353836A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11164112A JP2000353836A (ja) 1999-06-10 1999-06-10 超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法
PCT/JP2000/003694 WO2000077892A1 (fr) 1999-06-10 2000-06-07 Oscillateur supraconducteur permettant de generer un rayonnement electromagnetique coherent et procede de fabrication correspondant
TW89111304A TW492203B (en) 1999-06-10 2000-06-09 Superconducting coherent electromagnetic wave oscillation device and its manufacturing method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11164112A JP2000353836A (ja) 1999-06-10 1999-06-10 超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000353836A true JP2000353836A (ja) 2000-12-19

Family

ID=15786990

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11164112A Pending JP2000353836A (ja) 1999-06-10 1999-06-10 超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2000353836A (ja)
TW (1) TW492203B (ja)
WO (1) WO2000077892A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008270486A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 Institute Of Physical & Chemical Research 単一人工原子メーザ
JP2009043787A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Univ Of Tsukuba テラヘルツ帯電磁波発振装置及びその製造方法
JP2009224481A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Univ Of Tsukuba 指向性を有するテラヘルツ帯域電磁波発振装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2564545B2 (ja) * 1987-05-06 1996-12-18 株式会社 半導体エネルギ−研究所 超電導装置の動作方法
JPS63302581A (ja) * 1987-06-03 1988-12-09 Hitachi Ltd 発光素子
JPH02203575A (ja) * 1989-02-01 1990-08-13 Japan Aviation Electron Ind Ltd 波長可変型コヒーレント光発生装置
EP0413333A3 (en) * 1989-08-18 1991-07-24 Hitachi, Ltd. A superconductized semiconductor device
DE4301439C2 (de) * 1993-01-20 1995-03-09 Mueller Paul Quasiteilchen-Injektionstransistor, Verfahren zu seiner Herstellung sowie Verwendung desselben
DE19629583C2 (de) * 1996-07-23 2001-04-19 Oxxel Oxide Electronics Techno Emitter- und/oder Detektorbauelement für Submillimeterwellen-Strahlung mit einer Vielzahl von Josephson-Kontakten, Verfahren zu seiner Herstellung und Verwendungen des Bauelements

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008270486A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 Institute Of Physical & Chemical Research 単一人工原子メーザ
JP2009043787A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Univ Of Tsukuba テラヘルツ帯電磁波発振装置及びその製造方法
JP2009224481A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Univ Of Tsukuba 指向性を有するテラヘルツ帯域電磁波発振装置

Also Published As

Publication number Publication date
TW492203B (en) 2002-06-21
WO2000077892A1 (fr) 2000-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Langenberg et al. Josephson-type superconducting tunnel junctions as generators of microwave and submillimeter wave radiation
Barner et al. All a‐axis oriented YBa2Cu3O7− y‐PrBa2Cu3O7− z‐YBa2Cu3O7− y Josephson devices operating at 80 K
Kashiwagi et al. Efficient fabrication of intrinsic-Josephson-junction terahertz oscillators with greatly reduced self-heating effects
Gray et al. Emission of terahertz waves from stacks of intrinsic Josephson junctions
JP3864391B2 (ja) 光超伝導回路素子を用いた情報の送受方法
JP2000353836A (ja) 超伝導コヒーレント電磁波発振装置及びその製造方法
JPH08246134A (ja) レーザー蒸着法による薄膜製造方法及び薄膜製造装置
WO2016204273A1 (ja) テラヘルツ帯域電磁波発振素子およびテラヘルツ帯域電磁波発振装置
US7471169B2 (en) Generation of electric oscillations by continuous, supercooled superconductors under a voltage
JP2829378B2 (ja) 超伝導体電磁波発生方法及び装置
Divin et al. Terahertz spectroscopy based on high-T c Josephson junctions
Kadin et al. Dynamic Stimulation of Superconductivity With Resonant Terahertz Ultrasonic Waves
Yanson The ac Josephson effect: observation of electromagnetic radiation
HANGYO et al. Ultrafast optical response and terahertz radiation from high-T c superconductor
RU2275714C1 (ru) Способ формирования периодических микроструктур на втсп пленках с джозефсоновскими свойствами
Song et al. Detected power and linewidth of Josephson self-radiation from frequency-locked and microwave-coupled arrays in a waveguide detection system
Belenov et al. Superconducting Nb3Sn point contact in the submillimeter range of electromagnetic radiation
JPS63302581A (ja) 発光素子
Benseman et al. Stacked Intrinsic Josephson Junction Bi 2 Sr 2 CaCu 2 O 8 Terahertz Sources: Design Issues for Achieving High Power Output Close to T c
Sung et al. Flux motion in YBCO biepitaxial Josephson junctions
Cunningham et al. Low noise switching of a superconducting circuit by a laser induced weak link
JPH0354881A (ja) 超伝導発光素子
Smets Microwave and noise properties of YBCO films and Josephson junctions for quantum circuit applications
Arbel-Segev et al. Prospects of employing superconducting stripline resonators for studying the dynamical Casimir effect experimentally
JP3570418B2 (ja) 超伝導デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031031

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040129