JPH08246109A - 耐久性に優れた燃料噴射弁装置及びその製造方法 - Google Patents
耐久性に優れた燃料噴射弁装置及びその製造方法Info
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- JPH08246109A JPH08246109A JP7816995A JP7816995A JPH08246109A JP H08246109 A JPH08246109 A JP H08246109A JP 7816995 A JP7816995 A JP 7816995A JP 7816995 A JP7816995 A JP 7816995A JP H08246109 A JPH08246109 A JP H08246109A
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Abstract
耐摩耗性を向上させ、耐久性を高める。 【構成】 バルブシート2及びバルブ3の材料として重
量%でC;1.0〜3.0%、Si;1.0%以下、M
n;1.0%以下、Cr;9.0〜20.0%、Moと
Wの一種又は二種をMo+1/2W;1.0〜10.0
%、VとNbの一種又は二種をV+1/2Nb;1.0
〜6.5%、Co;1.0〜5.0%、を含有し実質残
部Feからなる成分を有し、熱処理後の硬さHRC63
以上で且つ素地中の平均炭化物粒径が10μm以下の鋼
材を使用する。また、ストッパ部材5として、ビッカー
ス硬さ1000以上の炭化物等の硬質微細粒子を含ま
ず、且つ母材の硬さがビッカース硬さ170以上のオー
ステナイト系ステンレス鋼を使用する。
Description
びストッパ部の耐久性を向上させるようにした燃料噴射
弁装置及びその製造方法に関する。
装置のバルブ及びバルブシートの材料として、JIS−
SUS440Cを焼入れ、焼戻し処理したものが、また
バルブの作動を規制するストッパ部材の材料としてJI
S−SUS440Cを焼なまし処理したものが知られて
いる。また、ディーゼルエンジン用の燃料噴射弁装置の
バルブとしてJIS−SKH2を焼入れ、焼戻し処理し
たものが、またバルブシートとしてJIS−SCM42
0Hに浸炭焼入れしたものが知られている。
処するため、ガソリン、軽油等の石油系燃料に代えてア
ルコール系燃料の使用が検討され、アルコール系燃料は
石油系燃料に較べて潤滑性に劣り、材料の摩擦が生じや
すく、含有水分とかアセトアルデヒド、ホルムアルデヒ
ド等のアルコールの酸化物とか、酢酸、蟻酸等の不純物
によって腐食性が生じやすいため、アルコール系燃料に
適合する燃料噴射装置のバルブ及びバルブシートとし
て、特開平4−141560号公報に示されるようなも
のが知られている。
室等に燃料を直接噴射する筒内噴射エンジンも検討され
ており、このような形式のエンジンでは、燃料噴射弁の
一部が燃焼室内に臨み、その周囲の雰囲気温度は摂氏3
00℃以上にも及ぶことから、高温化での耐久性と耐摩
耗性を一層高めるため例えば特願平5−163980号
公報に示されるようなものも知られている。
な燃料噴射弁装置の各種材料でも、使用環境が厳しい場
合、特に燃料噴射弁に激しい振動が加わるような状況下
では、耐摩耗性が不足し、この摩耗に起因して作動特性
にバラツキが生じるという問題があった。
本発明は、燃料噴射弁のバルブ又はバルブシートとし
て、重量%でC;1.0〜3.0%、Si;1.0%以
下、Mn;1.0%以下、Cr;9.0〜20.0%、
MoとWの一種又は二種をMo+1/2W;1.0〜1
0.0%、VとNbの一種又は二種をV+1/2Nb;
1.0〜6.5%、Co;1.0〜5.0%、を含有し
実質残部Feからなる成分を有し、熱処理後の硬さHR
C63以上で且つ素地中の炭化物粒径が10μm以下の
鋼材を使用するようにした。そしてこの鋼材は、例えば
上記成分の合金微粉末を熱間等方圧縮(HIP)して得
たビレットを更に熱間鍛造して形成した圧密体である。
また、燃料噴射弁のストッパ部材に、ビッカース硬さ1
000以上の炭化物等の硬質微細粒子を含まず、且つ母
材の硬さがビッカース硬さ170以上のオーステナイト
系ステンレス鋼を使用するようにした。
方法は、重量%でC;1.0〜3.0%、Si;1.0
%以下、Mn;1.0%以下、Cr;9.0〜20.0
%、MoとWの一種又は二種をMo+1/2W;1.0
〜10.0%、VとNbの一種又は二種をV+1/2N
b;1.0〜6.5%、Co;1.0〜5.0%、を含
有し実質残部Feからなる成分割合の合金粉末を熱間等
方圧縮(HIP)してビレットとし、このビレットを熱
間鍛造・圧延により素地中の平均炭化物粒径が10μm
以下の圧密鋼材とし、この鋼材を燃料噴射弁のバルブ又
はバルブシートに加工後、熱処理によりHRC63以上
の硬さとなるようにした。
成分の鋼材(圧密体)を焼入れ、焼戻し処理すると、マ
ルテンサイト素地中に炭化物が微細に析出して、耐摩耗
性に優れた特性が得られる。従って激しい振動下でアル
コール系燃料を使用した場合とか、燃焼室内に燃料を直
接噴射するような場合でも、摺動部の耐久性を向上させ
ることが出来る。
63以上とした。また耐摩耗性を良好とするためには素
地中の炭化物を微細に分散させて偏摩耗を防止して摩耗
の均一性を維持することが重要で、上記効果を得るため
に素地中の平均炭化物粒径を10μm以下とした。
ない材料を使用することで、ストッパー部にバルブとの
衝撃によるストッパー摩耗が生じても摩耗粉が摺動部に
悪影響(摩耗粉が摺動部に入り込むことによる摺動部の
摩耗、いわゆるアブレッシブ摩耗)を与えず、耐久性が
向上する。
る。Cは、Fe素地中に固溶し、焼入れした際に素地を
マルテンサイト化するとともにCr、Mo、W、V、N
bとの炭化物を形成するため、硬さ及び耐摩耗性の向上
のためには必須の元素である。本案の噴射弁に必要な硬
さを得るためには、最低1.0%の添加が必要であり、
更に耐摩耗性向上のための炭化物を形成するためには多
い方が望ましいが、過剰に添加すると熱間加工性が低下
するので、1.0〜3.0%の範囲とした。
一部は鋼中に入り込んで素地を強化し耐摩耗性を向上さ
せる効果がある。しかし、過剰に添加すると熱間加工性
が低下するので1.0%以下とした。
り、また、焼入れ性を向上させる効果がある。しかしな
がら、これはオーステナイト生成元素であるため、過剰
に添加すると焼入れ時の残留オーステナイトが過多にな
って必要な硬さが得られなくなり、経時変化による寸法
変化が懸念されるため1.0%以下とする。
を形成して耐摩耗性を向上させる作用がある。また、焼
入れ性、焼戻し軟化抵抗を向上させるとともに鋼を不働
態化して耐食性を向上させる効果がある。更に耐摩耗性
を高め、特に燃料噴射弁のバルブ、バルブシートのよう
に微小空壁間の摺動部分には良好な表面状態を維持する
効果を有する。上記の効果を得るためCrは9.0%以
上の添加が必要であるが、過剰に添加すると素地の硬さ
が低下し且つ熱間加工性が低下するので、9.0〜2
0.0%の範囲とした。
炭化物及び炭化物を析出し、耐摩耗性を向上させる作用
がある。また、素地を強化し、耐食性及び焼戻し軟化抵
抗を向上させる効果がある。しかし、共に高価な元素で
もあるので、性能/コストのバランスからMo+1/2
Wで1.0〜10.0%の範囲とした。
耗性を向上させるとともに、結晶を微細化させる作用が
ある。また、Cr、Moよりも炭化物生成傾向が高いた
め、結果として素地中のCr、Mo量を高くして耐食性
を向上させる。V、Nb共に同様な効果をもたらすが、
NbがVに対して2倍の原子量であることから、V+1
/2Nbにて規定すると良い。また、両元素共に高価で
ある上、過剰に添加すると研削性が悪くなるので、性能
/コスト/研削性のバランスから、V+1/2Nbを
1.0〜6.5%の範囲とした。
性を向上させる効果がある。また、素地を強化するとと
もに、靭性を向上させ、耐食性にも効果がある。これも
高価な元素であるため性能/コストのバランスから1.
0〜5.0%の範囲とした。
%、Si;0.5%以下、Mn;0.5%以下、Cr;
15.0〜19.0%、Mo+1/2W;1.5〜3.
0%、V+1/2Nb;2.0〜5.5%、Co;1.
0〜3.0%、残部は実質的にFeの組成、また、C;
1.5〜3.0%、Si;0.5%以下、Mn;0.5
%以下、Cr;8.0〜12.0%、Mo+1/2W;
5.0〜9.0%、V+1/2Nb;4.0〜6.5
%、Co;1.5〜3.5%、残部は実質的にFeの組
成が望ましい。
明する。図1に示すように、燃料噴射弁1はバルブシー
ト2の中でコイル4の電磁力にて作動するバルブ3と、
このバルブ3の作動を規制するストッパ部材5を備え、
本発明はバルブ3及びバルブシート2並びにストッパ部
材5の耐久性を向上させることを目的とし、まずバルブ
3及びバルブシート2の材料として表1に示すような成
分を有する材料を用いて試験を行った。そして、No.
1〜No.8はバルブ3及びバルブシート2材料として
有効性が確認された本発明に係る材料である。そして、
No.9は特開平4−141560号公報に示された材
料であり、No.10は特願平5−163980号公報
に示された材料である。また、No.11は従来一般の
ガソリン燃料用噴射弁の材料であり、No.12はディ
ーゼルエンジン用燃料噴射弁の材料であり、いずれもJ
ISに規格された材料である。
は、それぞれの成分の合金微粉末をアトマイズ法により
製造し、熱間等方圧縮(HIP)によって得られたビレ
ットを熱間鍛造した圧密体であり、これを表2の温度条
件下で熱処理を行った。また、No.9及びNo.10
は、夫々の成分組成の鋼を溶解し、次いでこの溶鋼から
インゴットを鋳造し高温で拡散焼なましを行った後、熱
間加工、焼なましを行った材料に表2の温度条件下で熱
処理を行った。また、従来材のNo.11及びNo.1
2は、市販の材料に表2の温度条件下で熱処理を行っ
た。
ような材質の〜の5種類を組合わせて試験した。
o.12の各種合金鋼について、アルコール作動試験、
高温作動試験及び耐食性試験を行った。ここで、アルコ
ール作動試験は、実際に組立た燃料噴射弁にアルコール
燃料を使用して加振状態で作動状況を試験したものであ
り、高温作動試験については高温条件下(約250℃程
度)アルコールで作動状況を確認したものである。そし
てこれら作動試験においては、3億回作動させて流量変
動幅を確認し、流量変動幅が±3%以内なら◎、±3〜
±4.5%なら○、±4.5〜±6%なら△、±6%以
上なら×とした。また、耐食性試験については、メタノ
ール+1%NaCl水の1%溶液浸漬テストを行って、表
1の材料No.11のSUS440Cを基準にして、錆
発生時間が4倍以上であれば○、2〜4倍であれば△、
2倍以下であれば×にした。そして、この評価試験結果
は表4の通りとなった。
グラフ化すると図2乃至図4の通りとなる。そしてこの
グラフは、図2がNo.1〜No.12のバルブ3等に
SUS304−CSP3/4Hのストッパ部材5を組合
わせてアルコール作動試験を行った時の流量変動幅(絶
対値%)を示すものであり、図3がNo.1とNo.9
のバルブ3等に〜のストッパ部材5を組合わせてア
ルコール作動試験を行った時の流量変動幅(絶対値%)
を示すものである。また、図4は高温作動試験の流量変
動幅を示している。
来の噴射弁に較べて優れた耐久性を発揮することが確認
された。
を示す400倍の顕微鏡写真、図6はNo.9材の金属
組織を示す400倍の顕微鏡写真、図7はNo.11材
の金属組織を示す400倍の顕微鏡写真であり、これら
の顕微鏡写真からも明らかなように、本発明材は従来材
に比較して、その金属組織が緻密であることが分る。
は、バルブ及びバルブシートの摺動部の耐摩耗性を向上
させることが出来るので、例えばアルコール系燃料を使
用する場合や、燃焼室内に燃料を直接噴射する場合のよ
うに特に厳しい環境下で使用される燃料噴射弁におい
て、摩耗に起因する耐久性の問題を解決することが出来
る。また、ストッパ部材に硬質微細粒子を含まない材料
を使用することで、ストッパ部材にバルブとの衝撃によ
り摩耗が発生しても、摩耗粉が摺動部に入り込んでアブ
レッシブ摩耗を促進するような事態が抑制される。
4−CSP3/4Hのストッパ部材を組合わせてアルコ
ール作動試験を行った時の流量変動幅を示し、横軸が各
材料、縦軸が流量変動幅(絶対値%)
ッパ部材を組合わせてアルコール作動試験を行った時の
流量変動幅を示し横軸が材料の組合わせ、縦軸が流量変
動幅(絶対値%)
材料、縦軸が特性ばらつき(絶対値%)
顕微鏡写真
顕微鏡写真
の顕微鏡写真
ストッパ部材。
Claims (3)
- 【請求項1】 燃料噴射弁のバルブ又はバルブシートと
して、重量%でC;1.0〜3.0%、Si;1.0%
以下、Mn;1.0%以下、Cr;9.0〜20.0
%、MoとWの一種又は二種をMo+1/2W;1.0
〜10.0%、VとNbの一種又は二種をV+1/2N
b;1.0〜6.5%、Co;1.0〜5.0%、を含
有し実質残部Feからなる成分を有し、熱処理後の硬さ
HRC63以上で且つ素地中の平均炭化物粒径が10μ
m以下の鋼材を使用したことを特徴とする耐久性に優れ
た燃料噴射弁装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の燃料噴射弁装置におい
て、前記燃料噴射弁のストッパ部材に、ビッカース硬さ
1000以上の炭化物等の硬質微細粒子を含まず、且つ
母材の硬さがビッカース硬さ170以上のオーステナイ
ト系ステンレス鋼を使用することを特徴とする耐久性に
優れた燃料噴射弁装置。 - 【請求項3】 重量%でC;1.0〜3.0%、Si;
1.0%以下、Mn;1.0%以下、Cr;9.0〜2
0.0%、MoとWの一種又は二種をMo+1/2W;
1.0〜10.0%、VとNbの一種又は二種をV+1
/2Nb;1.0〜6.5%、Co;1.0〜5.0
%、を含有し実質残部Feからなる成分割合の合金粉末
を熱間等方圧縮(HIP)してビレットとし、このビレ
ットを熱間鍛造・圧延により素地中の平均炭化物粒径が
10μm以下の圧密鋼材とし、この鋼材を燃料噴射弁の
バルブ又はバルブシートに加工後、熱処理によりHRC
63以上の硬さとすることを特徴とする耐久性に優れた
燃料噴射弁装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07816995A JP3748586B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 耐久性に優れた燃料噴射弁装置及びその製造方法 |
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JPH08246109A true JPH08246109A (ja) | 1996-09-24 |
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---|---|---|---|
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Country | Link |
---|---|
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1405930A1 (de) * | 2002-10-02 | 2004-04-07 | Benteler Automobiltechnik GmbH | Verwendung einer Stahllegierung für Kraftstoffverteiler |
GB2442385A (en) * | 2003-07-31 | 2008-04-02 | Komatsu Mfg Co Ltd | Sintered sliding member and connecting device |
US8029627B2 (en) * | 2006-01-31 | 2011-10-04 | Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg | Corrosion resistant magnetic component for a fuel injection valve |
US8887376B2 (en) | 2005-07-20 | 2014-11-18 | Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg | Method for production of a soft-magnetic core having CoFe or CoFeV laminations and generator or motor comprising such a core |
US9057115B2 (en) | 2007-07-27 | 2015-06-16 | Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg | Soft magnetic iron-cobalt-based alloy and process for manufacturing it |
-
1995
- 1995-03-08 JP JP07816995A patent/JP3748586B2/ja not_active Expired - Fee Related
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GB2442385B (en) * | 2003-07-31 | 2008-09-03 | Komatsu Mfg Co Ltd | Sintered sliding member and connecting device |
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