JPH0824546A - フィルタ及び流体濾過器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】安価に製造可能であって，同一材料で構成さ
れ，構造簡単なフィルタ及び流体濾過器を提供するこ
と。 【構成】 複数の波状袋部１００よりなる濾過部１０
と，該濾過部１００の外周縁１０１に配設したツバ部１
３とを有してなり，上記波状袋部１００及びツバ部１３
の基材は同一材料により構成されている。上記フィルタ
１を収納するケースと，該ケースに被冠するキャップと
を有する流体濾過器であって，上記フィルタは複数の波
状袋部１００よりなる濾過部１０と，該濾過部１０の外
周縁１０１に配設したツバ部１３とを有し，また，上記
ケース及びキャップはそれぞれフィルタのツバ部１３を
挟持する挟持部を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，各種流体よりゴミを取
り除くために使用するフィルタ及び流体濾過器に関す
る。

【０００２】

【従来技術】自動車用エンジン等の内燃機関の吸気系に
は，吸気した空気に含まれるゴミ，埃等を取り除くため
のエアフィルタが設けてある。上記エアフィルタは，ケ
ースとキャップとよりなりなるハウジングと，該ハウジ
ング内に装着したフィルタとよりなる。

【０００３】そして，上記フィルタは，不織布よりなる
濾材をひだ折りし，波状に構成した濾過エレメントと，
該濾過エレメントの外周を保持し，ハウジングへの装着
を補助するための樹脂枠とよりなる。また，上記樹脂枠
の更に外周には，樹脂枠とハウジングとの間のシール性
を確保するために，ゴムよりなるシール部材が設けられ
ている。即ち，上記樹脂枠とシール部材とによって，上
記フィルタはハウジングに対して装着可能になる。

【０００４】なお，上記フィルタの製造に当たっては，
濾過エレメント，樹脂枠，シール部材をそれぞれ別工程
によって成形し，その後これらを組み立てて，フィルタ
とする。

【０００５】

【解決しようとする課題】しかしながら，上記フィルタ
においては，濾過エレメントと樹脂枠とシール部材と
を，異なる材料からなる別部品として製造しなくてはな
らない。このため，製造コストが高くなる。

【０００６】本発明は，かかる問題点に鑑み，安価に製
造可能であって，同一材料で構成され，構造簡単なフィ
ルタ及び流体濾過器を提供しようとするものである。

【０００７】

【課題の解決手段】本発明は，複数の波状袋部よりなる
濾過部と，該濾過部の外周縁に配設したツバ部とを有す
るフィルタにおいて，上記波状袋部及びツバ部の基材は
同一材料により構成されていることを特徴とするフィル
タにある。

【０００８】上記波状袋部は波状板と側面板とより構成
されており，隣接する各波状袋部における波状板及び側
面板は，それぞれ一体となっている場合と，各波状袋部
ごとに分離している場合とがある。なお，上記波状袋部
が波状板のみより構成されている場合もある。この場合
には，波状板の両端部が接合され，全体として袋形状を
保持している。

【０００９】上記基材は，例えば，繊維より製造された
不織布よりなる。かかる繊維としては，ポリエステル，
ポリプロピレン，ナイロン，レーヨン，ガラス，アセテ
ート，アクリル等の化学繊維，もしくはパルプ等の天然
繊維が使用されている。なお，上記不織布以外には，織
布，寒冷紗又はナイロンメッシュを基材として使用でき
る。

【００１０】次に，上記フィルタの成形にあたっては，
後述するごとく，例えば予めシート状に成形した基材を
所望の形状に型抜きし，折り曲げ，接合等によりフィル
タとする方法と，例えば，成形型を使用して直接，所望
形状のフィルタを成形する方法とがある。前者の場合に
は，複雑な形状のフィルタを容易に成形することができ
る。後者の場合には，より少ない工程数で製造できるた
め，製造コストが安価となる。

【００１１】次に，上記波状袋部及びツバ部は一体成形
されていることが好ましい。上記一体成形に当たって
は，例えば成形型の上に繊維を積層し，該繊維間を結合
し，一体とする方法がある。上記結合方法としては，不
織布の製造に利用される各種繊維結合方法を利用する。
即ち，積層した繊維に接着剤を添加し，接着結合させる
ケミカルボンド法，或いは高圧水流を積層した繊維に噴
射し，該水流によって繊維を絡み合わせ，機械的に結合
させるスパンレース法等を利用する。これらの場合に
は，一つの工程でフィルタを容易に製造することが可能
になり，より製造コストが安価になる。

【００１２】次に，上記ツバ部を熱プレスすると，ツバ
部表面の凹凸をならし，平面度を高めることができる。
また，ツバ部の強度も向上する。よって，後述する流体
濾過器のケース及びキャップの挟持部におけるシール性
が向上する。

【００１３】次に，上記ツバ部はフェルト層又は溶融繊
維層の少なくとも一種を有していることが好ましい。こ
の場合には，例えば上記ツバ部にシート状のフェルト層
を貼着する（図９参照）。もしくは，ツバ部の成形時
に，上記基材中に基材に対して融点の低い溶融繊維を混
入し，その後熱プレスにより処理し，溶融繊維層とする
（図７）。上記溶融繊維としては，例えば，ポリエチレ
ン，ポリアミド，ポリプロピレンとポリエチレンの融合
繊維を使用する。

【００１４】これらにより，単に熱プレスした場合に比
べて更にツバ部表面の凹凸をならし，平面度を高めるこ
とができる。また，ツバ部の強度も向上する。よって，
後述する流体濾過器のケース及びキャップの挟持部にお
けるシール性が向上する。なお，上記溶融繊維を濾過部
に混入することもできる。また，上記ツバ部は，その外
周にシール材を有していることが好ましい。上記シール
材としては，例えば，ゴム，ウレタンフォーム，発泡ホ
ットメルトを使用する。この場合にも，上記同様に流体
濾過器の挟持部におけるシール性が向上する。

【００１５】次に，上記フィルタの成形は，波状袋部，
ツバ部等を同一材料の別部材として成形し，これらを互
いに接合することにより，一体のフィルタとすることが
好ましい。一例としては，上記波状袋部が波状板と該波
状板の側面を閉塞する側面板とよりなり，上記側面板と
ツバ部とは一体的に成形されており，これらと波状板と
は互いに接合されている場合がある（図１０，図１１参
照）。

【００１６】他の例としては，上記波状袋部が波状板と
該波状板の側面を閉塞する側面板とよりなり，上記波状
板と側面板とは一体的に成形されており，これらとツバ
部とは互いに接合されている場合がある（図１２，図１
３参照）。他の例としては，上記波状袋部が波状板と該
波状板の側面を閉塞する側面板とよりなり，上記波状袋
部と側面板とツバ部との三者は互いに接合されている場
合がある（図１４参照）。

【００１７】この場合には，複雑な形状のフィルタを容
易に成形することができるという点で好ましい。なお，
各部の接合方法としては，接着剤，ホットメルト或いは
繊維を熱溶着させる結合方法を利用することができる。

【００１８】次に，上記フィルタを用いた流体濾過器に
ついて説明する。即ち，この流体濾過器は，フィルタを
収納するケースと，該ケースに被冠するキャップとを有
する流体濾過器において，上記フィルタは複数の波状袋
部よりなる濾過部と，該濾過部の外周縁に配設したツバ
部とを有し，また，上記ケース及びキャップはそれぞれ
フィルタのツバ部を挟持する挟持部を有することを特徴
とする。

【００１９】上記フィルタの構造は前記と同様である。
上記流体濾過器の挟持部は，フィルタのツバ部をそのま
まの状態で挟持固定することが可能な構造である。この
ような構造としては，例えば，上記キャップ側の挟持部
において，その先端が下方のケース側に向かって曲折さ
れており，ケースにキャップを重ねることによって，ケ
ースに対してキャップを固定することができるものがあ
る。よって，上記キャップをケースに被冠することによ
り，フィルタのツバ部を挟持固定し，かつ上記挟持部よ
り流体が漏れないシール性を確保することができる（図
４）。

【００２０】また，例えば，上記ケースにはインレット
が，キャップにはアウトレットが設けられている。そし
て，上記インレットより流体が送入され，アウトレット
より濾過の終了した流体が送出される。なお，上記流体
濾過器は，例えば自動車用エンジン等の内燃機関の吸気
系等に設置されるエアフィルタ，化学装置等における各
種ガス濾過用のガスフィルタ，更には水，各種液体等の
液体濾過用のフィルタとして使用される。

【００２１】次に，上記ケース及びキャップの少なくと
も一方には，フィルタのツバ部を挟持するための滑り止
め部又は滑り止め部材を有することが好ましい。そし
て，上記滑り止め部又は滑り止め部材を介して，挟持部
はフィルタのツバ部を挟持する。これにより，ケース及
びキャップの挟持部がフィルタをより強固に挟持するこ
とができ，また，上記挟持部のシール性も一層向上す
る。なお，上記滑り止め部としては突起を設けたり（図
１６，図１７），上記滑り止め部材としては，例えば，
ゴム，ウレタンフォーム，発泡ホットメルト等を使用す
る。

【００２２】次に，流体濾過器は，濾過流体の下流側に
おいて，上記波状袋部を支持する突出支持部材を有する
ことが好ましい。即ち，上述のごとく，インレットがケ
ース側に，アウトレットがキャップ側に設けられている
場合には，上記突出支持部材は，例えば上記キャップの
内壁面に設けらる。また，上記突出支持部材はすべての
波状袋部を支えることが好ましい。この場合には突出支
持部材は，全体として櫛状の形状をとる（図２０）。

【００２３】上記突出支持部材は，ケース及びキャップ
がフィルタを挟持することにより，波状袋部の山部又は
谷部の内部に挿入され，流体の圧力による波状袋部の変
形を防止することができる。よって，フィルタが変形し
て隙間を生じ，流体濾過器のシール性が低下するという
ことを防止できる。

【００２４】

【作用及び効果】本発明のフィルタにおいては，複数の
波状袋部とよりなる濾過部とツバ部とよりなり，両者の
基材は同一材料である。即ち，本発明のフィルタは，従
来例のごとく，異なる基材からなる濾過部とツバ部とを
別部品として作製し，その後組み立てたものではない。
よって，フィルタの製造工程が従来よりも極めて簡素と
なる。このため，製造コストが安価となる。また，構造
簡単である。

【００２５】また，本発明の流体濾過器においては，ケ
ースとキャップとが上記フィルタのツバ部を挟持する挟
持部を有している。このため，フィルタをケース及びキ
ャップの中へ装着するに当たって，別部品が必要でな
く，構造簡単，装着容易である。また挟持部のシール性
も向上する。

【００２６】上記のごとく本発明によれば，安価に製造
可能であって，同一材料で構成され，構造簡単なフィル
タ及び流体濾過器を提供することができる。

【００２７】

【実施例】

実施例１ 本発明の実施例にかかるフィルタ及び流体濾過器につ
き，図１〜図５を用いて説明する。図１，図２に示すご
とく，本例のフィルタ１は，複数の波状袋部１００より
なる濾過部１０と，該濾過部１０の外周縁１０１に配設
したツバ部１３とを有してなる。上記波状袋部１００及
び四方のツバ部１３の基材は，ポリエステル繊維よりな
る不織布により構成されている。

【００２８】また，上記濾過部１０における波状袋部１
００は，波状板１１と側面板１２とよりなり，かつ該波
状袋部１００及びツバ部１３は一体成形されている。即
ち，三者は一体成形されている。そして，各々波状袋部
１００はツバ部１３が位置する平面から内側断面くさび
形で溝状に延在する袋として形成されている。そして，
各波状袋部１００は平行に隣接して並んでいる。なお，
図２はフィルタ１の，長手方向の断面図である。

【００２９】次に，上記フィルタ１の一体成形について
説明する。まず，本例のフィルタ１と同形状の成形型を
準備し，該成形型の上にポリエステル繊維を積層する。
その後，高圧水流を吹き付けることによって繊維を絡み
合わせ，繊維間を機械的に結合する。これにより，波状
袋部１００とツバ部１３とが一体となったフィルタ１を
得る。

【００３０】次に，上記フィルタ１を用いた流体濾過器
について説明する。図３に示すごとく，流体濾過器２
は，フィルタ１を収納するケース２１と，該ケース２１
に被冠するキャップ２２とよりなる。そして，上記ケー
ス２１及びキャップ２２は，それぞれフィルタ１のツバ
部１３を挟持する挟持部２１２，２２２を有する。

【００３１】また，上記ケース２１は空気８を送入する
インレット２１０を有し，上記キャップ２２はフィルタ
１において濾過された濾過空気８０を送出するアウトレ
ット２２０を有する。また，ケース２１及びキャップ２
２の側面には，それぞれ挟持部２１２，２２２との間
に，複数の補強リブ２１１，２２１が設けてある。

【００３２】また，図４に示すごとく，キャップ２２側
の挟持部２２２の先端は，下方のケース２１に向かって
Ｌ字状に曲折されている。そのため，ケース２１にキャ
ップ２２を重ねることによって，ケース２１に対してキ
ャップ２２を固定することができる。また，これらの挟
持部２２２と２１２との間にフィルタ１のツバ部１３を
挟持し，フィルタ１を固定することができる。

【００３３】また，図５に示すごとく，本例の流体濾過
器２は，自動車用エンジン９における吸気系に配設する
エアフィルタとして使用する。同図において，符号９１
及び９２は吸気パイプである。そして，上記流体濾過器
２において，吸気パイプ９１から吸気された空気８は，
インレット２１０よりケース２１に送入される。上記空
気８は，流体濾過器２内において，フィルタ１を通過す
る際にゴミ等が濾過され，濾過空気８０となる。濾過空
気８０はキャップ２２に送出され，更に，アウトレット
２２０から，吸気パイプ９２を経てエンジン９に送出さ
れる。

【００３４】次に，本例における作用効果につき説明す
る。本例のフィルタ１は同一の基材により，一体成形さ
れている。このため，従来のフィルタのごとく，異なる
基材からなる濾過部１０とツバ部１３とを別部品として
作製し，その後組み立てたものではない。よって，フィ
ルタの製造工程が従来よりも極めて簡素となる。このた
め，本例のフィルタ１は製造コストが安価である。ま
た，構造が簡単である。

【００３５】また，本例のフィルタは特に一体成形され
ているため，一つの工程での製造が可能であり，よって
製造コストをより安価にすることができる。また，本例
の流体濾過器２においては，ケース２１とキャップ２２
とが上記フィルタ１のツバ部１３を挟持する挟持部２１
２，２２２を有している。このため，フィルタ１をケー
ス２１及びキャップ２２の中へ装着するに当たって，別
部品が必要でなく，構造簡単，装着容易である。また挟
持部２１２，２２２のシール性も向上する。

【００３６】また，本例の流体濾過器２は，キャップ２
２側の挟持部２２２の先端が下方のケース２１側に向か
って曲折している。このため，ケース２１にキャップ２
２を被冠することによって，フィルタ１のツバ部１３を
挟持固定し，かつ上記挟持部２１２，２２２におけるシ
ール性を確保することができる。これにより，フィルタ
１の挟持するにあたって，フィルタ１に他の部材等を必
要としない。上述のごとく本発明によれば，安価に製造
可能であって，同一材料で構成され，構造簡単なフィル
タ及び流体濾過器を提供することができる。

【００３７】実施例２ 本例は，図６（Ａ）及び（Ｂ）に示すごとく，フィルタ
１５のツバ部１３に対して，熱プレス処理を施したもの
である。即ち，上記フィルタ１５は，実施例１と同様
に，複数の波状袋部１００よりなる濾過部１０と，該濾
過部１０の外周縁１０１に配設したツバ部１３とを有し
てなり，上記波状袋部１００及びツバ部１３の基材はポ
リエステル繊維よりなる不織布により構成されている。
そして，図６（Ｂ）に示すごとく，上記ツバ部１３の先
端部１３１は熱プレス処理が施され，上記先端部１３１
はツバ部１３の他の部分よりも厚みが薄くなっている。
その他は，実施例１と同様である。

【００３８】本例のフィルタ１５においては，熱プレス
加工により，先端部１３１の表面の凹凸が減少し，平面
度が向上する。また，上記先端部分１３１は，流体濾過
器の挟持部に直接接触し，挟持固定される部分である。
従って，フィルタ１５は流体濾過器への挟持の際に，挟
持部に隙間等が生じることがない。このため，フィルタ
１５は挟持部において優れたシール性を発揮する。その
他は，実施例１と同様の作用効果を有する。

【００３９】実施例３ 本例は，図７に示すごとく，溶融繊維層を有するツバ部
１４を有するフィルタ１６である。即ち，上記フィルタ
１６は，実施例１と同様に，複数の波状袋部１００より
なる濾過部１０と，該濾過部１０の外周縁１０１に配設
したツバ部１４とを有してなり，上記波状袋部１００及
びツバ部１４の基材はポリエステル繊維よりなる不織布
により構成されている。

【００４０】そして，上記ツバ部１４には，上記一体成
形に先立って，上記ポリエステル繊維と共に溶融繊維層
形成用のポリエチレン樹脂繊維を含浸させてなる。成形
後には，実施例２と同様に，ツバ部１４に対して熱プレ
ス処理を施す。これにより，ポリエチレン樹脂繊維が溶
融して，溶融繊維層を形成する。

【００４１】このため，ツバ部１４は，溶融繊維層によ
って強度が向上し，かつ実施例２と同様に平面度に優れ
ている。よって，フィルタ１６は，流体濾過器の挟持部
において優れたシール性を発揮する。その他は，実施例
１及び実施例２と同様である。

【００４２】実施例４ 本例は，図８（Ａ）及び（Ｂ）に示すごとく，フィルタ
１７のツバ部１３に，ゴムよりなるシール材１３２を設
けてある。即ち，上記フィルタ１７は，実施例１と同様
に，複数の波状袋部１００よりなる濾過部１０と，該濾
過部１０の外周縁１０１に配設したツバ部１３とを有し
てなり，上記波状袋部１００及びツバ部１３の基材はポ
リエステル繊維よりなる不織布により構成されている。

【００４３】そして，図８（Ｂ）に示すごとく，上記ツ
バ部１３の先端部１３１を，ゴムよりなるシール材１３
２によって被覆する。これにより，本例のフィルタ１７
は，流体濾過器の挟持部をシール部材１３２により弾性
的に封止することができる。よって本例のフィルタ１７
は，流体濾過器の挟持部において優れたシール性を発揮
する。その他は，実施例１と同様である。

【００４４】実施例５ 本例は，図９に示すごとく，ツバ部１３にフェルト繊維
層１３３を有しているフィルタ１８である。即ち，上記
フィルタ１は，実施例１と同様に，複数の波状袋部１０
０よりなる濾過部１０と，該濾過部１０の外周縁１０１
に配設したツバ部１３とを有してなり，上記波状袋部１
００及びツバ部１３の基材はポリエステル繊維よりなる
不織布により構成されている。

【００４５】そして，上記ツバ部１３には，シート状の
フェルト繊維層１３３を貼着してある。これにより，本
例のフィルタ１８は，実施例４と同様に，流体濾過器の
挟持部において優れたシール性を発揮する。その他は実
施例１と同様である。

【００４６】実施例６ 本例のフィルタを図１０及び図１１を用いて説明する。
即ち，本例のフィルタ３は，一体成形ではなく，フィル
タ３の各部分を別々に成形，ついでこれらを接合し，一
体のフィルタ３としたものである。

【００４７】即ち，図１０に示すごとく，本例のフィル
タ３も実施例１と同様に，複数の波状袋部３００よりな
る濾過部３０と，該濾過部３０の外周縁に配設したツバ
部３３とを有してなり，上記波状袋部３００及びツバ部
３３の基材はポリエステル繊維よりなる不織布により構
成されている。上記濾過部３０は，波状板３１と該波状
板３１の側面３１０を閉塞する側面板３２とよりなる。
図１１に示すごとく，上記側面板３２とツバ部３３とは
一体的に成形された外周部材３０２を構成している。そ
して，上記外周部３０２と，波状板３１とを接合するこ
とにより，図１０に示したフィルタ３を構成する。

【００４８】本例のフィルタ３の成形に当たっては，図
１１に示すごとく，まず，シート状に成形した基材をひ
だ折りし，波状板３１を得る。また，同様にシート状の
基材を型抜きして，ツバ部３３と側面板３２とが一体と
なった外周部材３０２を得る。なお，各側面板３２は，
上記外周板３０２と波状板３１の接合に先立って，予
め，図１１に点線で示すごとく折り立てておく。

【００４９】しかる後，上記波状板３０１の側面３１０
に対して，外周部材３０２の側面板３２を挿入し，接着
剤により接合する。これによりフィルタ３を得る。その
他は，実施例１と同様である。また，本例によれば複雑
な形状のフィルタを容易に製造できる。

【００５０】実施例７ 本例は，図１２及び図１３に示すごとく，実施例６と同
様にフィルタ４の各部分を別々に成形，ついでこれらを
接合し，一体のフィルタ４としたものである。即ち，図
１２に示すごとく，本例のフィルタ４も実施例１と同様
に，複数の波状袋部４００よりなる濾過部４０と，該濾
過部４０の外周縁に配設したツバ部４３とを有してな
り，上記波状袋部４００及びツバ部４３の基材はポリエ
ステル繊維よりなる不織布により構成されている。

【００５１】上記濾過部４０は波状板４１と該波状板４
１の側面を閉塞する側面板４２とよりなる。図１２，図
１３に示すごとく，上記波状板４１と側面板４２とは一
体的に成形された濾過部材４０１であり，上記濾過部材
４０１とツバ部４３とは，接着剤により互いに接合され
ている。

【００５２】次に，本例のフィルタ４の成形に当たって
は，まず，シート状に成形した基材を，図１３に示すご
とく，型抜きし濾過部材４０１を得る。上記濾過部材４
０１は，波状板４１と，互いに接合することによって側
面板４２となる側面片４２１，４２２からなる。そし
て，上記濾過部材４０１を折線に沿って，図の矢線方向
に曲折する。その後濾過部材４０１をツバ部４３に接合
し，フィルタ４とする。

【００５３】その他は，実施例１と同様である。また，
本例によれば複雑な形状のフィルタを容易に製造でき
る。

【００５４】実施例８ 本例は，図１４に示すごとく，実施例６と同様にフィル
タ５の各部分を別々に成形，ついでこれらを接合し，一
体のフィルタとしたものである。即ち，図１４に示すご
とく，本例のフィルタ５も実施例１と同様に，複数の波
状袋部５００よりなる濾過部５０と，該濾過部５０の外
周縁に配設したツバ部５３とを有してなり，上記波状袋
部５００及びツバ部５３の基材はポリエステル繊維より
なる不織布により構成されている。

【００５５】上記濾過部５０は波状板５１と該波状板５
１の側面５１０を閉塞する側面板５２とよりなる。上記
波状板５１と側面板５２とツバ部５３とは互いに接合さ
れている。そして，本例のフィルタの成形に当たって
は，まず，シート状に成形した基材を型抜きし，必要に
応じて曲折し，波状板５１，側面板５２，ツバ部５３を
それぞれ独立に成形する。その後，これらをそれぞれ接
合し，フィルタ５とする。

【００５６】その他は，実施例１と同様である。また，
本例によれば複雑な形状のフィルタを容易に製造でき
る。

【００５７】実施例９ 本例は，図１５に示すごとく，実施例６と同様にフィル
タ６の各部分を別々に成形，ついでこれらを接合し，一
体のフィルタ６としたものである。即ち，図１５に示す
ごとく，本例のフィルタ６も実施例１と同様に，複数の
波状袋部６００よりなる濾過部６０と，該濾過部６０の
外周縁に配設したツバ部６３とを有してなり，上記波状
袋部６００及びツバ部６３の基材はポリエステル繊維よ
りなる不織布により構成されている。

【００５８】本例のフィルタ６の成形に当たっては，予
め基材を加工し，それぞれの上記波状袋部６００を別個
に作製する。その後，上記波状袋部６００をツバ部６３
に対し，順次接合し，フィルタ６とする。

【００５９】その他は，実施例１と同様である。また，
本例によれば複雑な形状のフィルタを容易に製造でき
る。

【００６０】実施例１０ 本例は，図１６及び図１７に示すごとく，ケース２１の
挟持部２１２に突起部２８を有する流体濾過器２５であ
る。図１６に示すごとく，本例の流体濾過器２５も，実
施例１と同様に，フィルタ１を収納するケース２１と，
該ケース２１に被冠するキャップ２２とよりなる。そし
て，上記ケース２１及びキャップ２２はそれぞれフィル
タ１のツバ部１３を挟持する挟持部２１２，２２２を有
する。

【００６１】図１７に示すごとく，ケース２１側の挟持
部２１２には突起部２８を，上記挟持部２８と対向する
キャップ２２側の挟持部２２２には，上記突起部２８と
嵌合可能な凹部２８０が設けてあり，上記フィルタ１の
ツバ部１３は，突起部２８と凹部２８０との間に挟持さ
れている。

【００６２】なお，上記挟持部２１２，２２２におけ
る，ツバ部１３の状態は，図１７の点線に示されてい
る。即ち，上記突起部２８と凹部２８０はツバ部１３の
一部を変形させ，その挟持位置を固定することができ
る。その他は，実施例１と同様である。

【００６３】これにより，本例の流体濾過器２５におけ
る挟持部２１２，２２２は，フィルタ１のツバ部１３を
強固に挟持することができる。

【００６４】実施例１１ 本例は，図１８及び図１９に示すごとく，ケース２１の
挟持部２１２に滑り止め部材２８５を有する流体濾過器
２６である。即ち，図１８に示すごとく，本例の流体濾
過器２６も，実施例１と同様に，フィルタ１を収納する
ケース２１と，該ケース２１に被冠するキャップ２２と
よりなる。そして，上記ケース２１及びキャップ２２は
それぞれフィルタ１のツバ部１３を挟持する挟持部２１
２，２２２を有する。

【００６５】図１９に示すごとく，挟持部２１２，２２
２には共に，ゴムよりなる滑り止め部材２８５がそれぞ
れ設けてある。そして，上記フィルタ１のツバ部１３
は，上記滑り止め部材２８５を介して，挟持部２１２，
２２２に挟持されている。そのたは，実施例１と同様で
ある。

【００６６】これにより，本例の流体濾過器２６の挟持
部２１２，２２２はシール性に優れ，また，実施例１０
と同様に，上記ツバ部１３を強固に挟持することができ
る。

【００６７】実施例１２ 本例は，図２０に示すごとく，キャップ２２の内壁面２
２０にフィルタ１支持用の突出支持部材２８９を有する
流体濾過器２７である。即ち，図２０に示すごとく，本
例の流体濾過器２７も，実施例１と同様に，フィルタ１
を収納するケース２１と，該ケース２１に被冠するキャ
ップ２２とよりなる。

【００６８】そして，上記ケース２１及びキャップ２２
はそれぞれフィルタ１のツバ部１３を挟持する挟持部２
１２，２２２を有する。そして，上記キャップ２２の内
壁面２２０には,フィルタ１の各波状袋部１００をそれ
ぞれ支持する櫛形の突出支持部材２８９が設けてある。
その他は，実施例１と同様である。

【００６９】本例の流体濾過器２７においては，ケース
２１側よりキャップ２２側へと空気８が流れている。こ
のため，波状袋部１００には常時図面の下方から，空気
の圧力が加えられている。よって，上記突出支持部材２
８９が波状袋部１００の先端を支えることによって，空
気の圧力による波状袋部１００の変形を防止することが
できる。

【００７０】また，フィルタ１の変形に伴って，フィル
タ１とケース２１及びキャップ２２の間がシール不十分
となるおそれがある。よって，上記波状袋部１００の変
形を防止することによって，フィルタ１の大きな変形も
防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１におけるフィルタの斜視図。

【図２】実施例１におけるフィルタの断面図。

【図３】実施例１における流体濾過器の展開図。

【図４】実施例１における流体濾過器の挟持部の断面
図。

【図５】実施例１における流体濾過器の使用説明図。

【図６】実施例２における，（Ａ）フィルタの斜視図，
（Ｂ）ツバ部の断面図。

【図７】実施例３におけるフィルタの斜視図。

【図８】実施例４における，（Ａ）フィルタの斜視図，
（Ｂ）ツバ部の断面図。

【図９】実施例５におけるフィルタの部分断面図。

【図１０】実施例６におけるフィルタの斜視図。

【図１１】実施例６におけるフィルタの展開斜視図。

【図１２】実施例７におけるフィルタの展開斜視図。

【図１３】実施例７におけるフィルタの濾過部材の平面
展開図。

【図１４】実施例８におけるフィルタの展開斜視図。

【図１５】実施例９におけるフィルタの展開斜視図。

【図１６】実施例１０における流体濾過器の展開図。

【図１７】実施例１０における流体濾過器の挟持部の断
面図。

【図１８】実施例１１における流体濾過器の展開図。

【図１９】実施例１１における流体濾過器の挟持部の断
面図。

【図２０】実施例１２における流体濾過器の断面図。

【符号の説明】

１．．．フィルタ， １０．．．濾過部， １００．．．波状袋部， １０１．．．外周縁 １１．．．波状板 １２．．．側面板， １３，１４．．．ツバ部， １３２．．．シール部材 １３３．．．フェルト層 ２．．．流体濾過器， ２１．．．ケース， ２１２，２２２．．．挟持部， ２２．．．キャップ， ２８５．．．滑り止め部材， ２８９．．．突出支持部材，

フロントページの続き (72)発明者 岡薗 哲郎 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の波状袋部よりなる濾過部と，該濾
   過部の外周縁に配設したツバ部とを有するフィルタにお
   いて，上記波状袋部及びツバ部の基材は同一材料により
   構成されていることを特徴とするフィルタ。
2. 【請求項２】 請求項１において，上記波状袋部及びツ
   バ部は一体成形されていることを特徴とするフィルタ。
3. 【請求項３】 請求項１，２のいずれか一項において，
   上記ツバ部は熱プレスしてあることを特徴とするフィル
   タ。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれか一項において，
   上記ツバ部はフェルト層又は溶融繊維層の少なくとも一
   種を有していることを特徴とするフィルタ。
5. 【請求項５】 請求項１〜４のいずれか一項において，
   上記ツバ部はその外周にシール材を有することを特徴と
   するフィルタ。
6. 【請求項６】 請求項１，３〜５のいずれか一項におい
   て，上記波状袋部が波状板と該波状板の側面を閉塞する
   側面板とよりなり，上記側面板とツバ部とは一体的に成
   形されており，これらと波状板とは互いに接合されてい
   ることを特徴とするフィルタ。
7. 【請求項７】 請求項１，３〜５のいずれか一項におい
   て，上記波状袋部が波状板と該波状板の側面を閉塞する
   側面板とよりなり，上記波状板と側面板とは一体的に成
   形されており，これらとツバ部とは互いに接合されてい
   ることを特徴とするフィルタ。
8. 【請求項８】 請求項１，３〜５のいずれか一項におい
   て，上記波状袋部が波状板と該波状板の側面を閉塞する
   側面板とよりなり，上記波状袋部と側面板とツバ部とは
   互いに接合されていることを特徴とするフィルタ。
9. 【請求項９】 フィルタを収納するケースと，該ケース
   に被冠するキャップとを有する流体濾過器において，上
   記フィルタは複数の波状袋部よりなる濾過部と，該濾過
   部の外周縁に配設したツバ部とを有し，また，上記ケー
   ス及びキャップはそれぞれフィルタのツバ部を挟持する
   挟持部を有することを特徴とする流体濾過器。
10. 【請求項１０】 請求項９において，上記ケース及びキ
    ャップの少なくとも一方にフィルタのツバ部を挟持する
    ための滑り止め部材を有することを特徴とする流体濾過
    器。
11. 【請求項１１】 請求項９において，濾過流体の下流側
    に上記波状袋部を支持する突出支持部材を有することを
    特徴とする流体濾過器。