JPH08244605A - 電気車両用駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】台車の軸間距離を短縮して台車の軽量化を図
り、曲線通過性能を高め、遊星歯車装置を使用して歯車
箱を筒状として該剛性を高め、騒音の周波数を高めて車
内への透過も低減させ、台車への駆動装置関連部品の取
付・取外しを車体搭載時にも可能とし、更に比較的大容
量の主電動機を台車装架とし、歯車装置も台車装架とし
てばね下荷重を低減することにある。 【構成】インサイドフレーム式台車に組込んだ輪軸の軸
端に、遊星歯車装置と一体化されて、それによって減速
された出力軸を有する主電動機を略軸中心を一致させて
台車枠に取付け、輪軸の車軸を中空とし、その中に片端
を輪軸の反主電動機側の端面で可撓継手を介して支持さ
れたねじり軸を通し、該ねじり軸の他端を該遊星歯車装
置の出力軸に可撓継手で連結する等を行ったもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電気車両用駆動装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の電気車両用駆動装置について、図
２〜５を参照して説明する。図２は我国の各私鉄・ＪＲ
の車両に一般的に採用されている。平行カルダン駆動装
置を構成した２軸ボギー台車を示す図である。本図にお
いて、台車枠 101に装架された主電動機 102の動力は可
撓継手 103を介して歯車装置 104により減速され、車軸
105に伝えられ、車輪 106を回転させる。軸箱 107は車
軸 105の両端に組立てられ、軸ばね 108を介して台車枠
101に負荷される車体の荷重を支える。歯車装置 104は
吊り装置 109により一端を台車枠101に取付られる。歯
車装置 104は一般的に大・小はすば歯車による一段減速
である。

【０００３】次に遊星歯車装置による駆動装置につい
て、従来の電気車両用駆動装置の図３〜５に従って説明
する。

【０００４】図３は基本的な遊星歯車の配置を示す図
で、図４の具体的な構成例の中では太陽歯車 201を入力
軸とし、３つの遊星歯車 202を連結するキャリア 204の
回転を出力軸として構成される。遊星歯車 202は太陽歯
車 201により動力を伝えられ自転するが、同時に内歯車
203との噛合により公転を伴なう。

【０００５】図４の遊星歯車装置において、内歯車 203
は、ほぼ同寸法の円筒状のフレーム205の一端側に構成
され、該フレーム 205の他端は丸手鏡形ハリ 206ａに支
えられる。キャリア 204は車輪取付用金具 207と一体に
構成され、外周部に車輪 208を嵌合し、内周部は軸受け
209を介してフレーム 205に回転接続される。

【０００６】フレーム 205の内側には、その回転軸が太
陽歯車 201に連結された小型主電動機 220が構成され
る。丸手鏡形ハリ 206ａは台車枠 206にピン 210により
回転自在に支えられ、他端は軸ばね 211を介して台車枠
206に取付られる。この駆動装置は市電クラスの電気車
両で特に低床車両に用いられ、左右両車輪間のスペース
を有効に利用されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の平行カルダン駆動装置により構成した動力台車にお
いては、前後の輪軸の間に各々の輪軸を駆動する主電動
機をほぼ車軸中心の高さに両輪軸の間で車軸に平行に配
置するので、軸間距離を短縮するには主電動機を取除く
必要があった。軸間距離の短縮は台車の軽量化および曲
線の多い線路を高速で走行するのに効果がある。また、
歯車装置の歯車箱は比較的剛性が小さいため、運転中の
騒音は比較的低周波で大きく、車内にも透過しやすかっ
た。そして、台車が車体に取付いた状態では主電動機の
取外し作業ができなかった。また、車輪内に遊星歯車装
置を構成した駆動方式は、主電動機のスペースに限度が
あり、比較的大容量のものは構成不可能であり、ばね下
に構成されていてレールとの間で衝撃荷重を発生してい
た。

【０００８】本発明の目的は、 ａ、台車の軸間距離を短縮して台車の軽量化を図り、曲
線通過性能を高める駆動方式を提供する。 ｂ、遊星歯車装置を使用して歯車箱を筒状として該剛性
を高め、騒音の周波数を高めて車内への透過も低減させ
る。 ｃ、台車への駆動装置関連部品の取付・取外しを車体搭
載時にも可能とする。 ｄ、比較的大容量の主電動機を台車装架とし、歯車装置
も台車装架としてばね下荷重を低減する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】その手段は、インサイド
フレーム式台車に組込んだ輪軸の軸端に、遊星歯車装置
と一体化されて、それによって減速された出力軸を有す
る主電動機を略軸中心を一致させて台車枠に取付ける。
また、該輪軸の車軸を中空とし、その中に片端を輪軸の
反主電動機側の端面で可撓継手を介して支持されたねじ
り軸を通し、該ねじり軸の他端を該遊星歯車装置の出力
軸に可撓継手で連結する。更に、台車枠をインサイドフ
レーム式とする事で、従来軸箱を構成していたスペース
が輪軸の軸端に生まれ、ここに主電動機は径方向に大き
く薄肉とし、かつ遊星歯車装置と直結する事により駆動
装置が構成される。挟軌用台車においてはこれがより有
効となる。

【００１０】

【作用】その作用は、台車枠に取付られた主電動機の回
転は遊星歯車装置により減速され、可撓継手およびねじ
り軸を介して輪軸に伝えられる。ねじり軸は中空車軸と
の間で径方向にすきまを有し、台車の軸ばねの変位を可
撓継手と共に吸収する。台車枠と輪軸との間にある軸ば
ねは従来と同様の作用をする。

【００１１】

【実施例】実施例について図１を参照して説明する。図
１は本発明に係る電気車両用駆動装置を２軸ボギー台車
の一部で示すものである。図１において２枚の車輪１は
中空軸２に嵌着されて輪軸３をなし、該輪軸３はインサ
イドフレーム式台車の台車枠４にジャーナル軸受５を組
んだ軸箱６および軸ばね７を介して取付られる。主電動
機８は輪軸３の軸端に台車枠４から支えられ、輪軸３と
の間に遊星歯車装置９を取付け、該出力軸は内歯車の連
結軸 203ａまたはキャリアの連結軸204ａとして減速さ
れる。遊星歯車装置９の出力軸に可撓継手10を介して支
えられたねじり軸11は、他端を同様に可撓継手12を介し
て輪軸３に支えられる。

【００１２】

【発明の効果】本発明は以上説明したように構成される
ので、以下に記載されるような効果がある。 ａ、台車の軸間距離を短縮することが可能となり、台車
の軽量化と曲線通過性能の向上が図られる。 ｂ、歯車箱は円筒形となって剛性が向上し、該騒音の周
波数は高くなり車内への透過は減少する。 ｃ、主電動機は台車が車体に取付いた状態でもとり外す
事が可能であり、歯車装置や継手も同時に外れるので、
これらの部品の保守点検の為に車体を取外す必要がなく
なる。 ｄ、大容量の主電動機と共に歯車装置も台車に装架する
ことが可能であり、レールとの間に衝撃力を緩和し、軽
量設計が可能となる。レールの保守も軽減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る駆動装置の一実施例の断面図であ
る。

【図２】従来のカルダン駆動装置を有する台車であり、
図（ａ）は該台車の上視図、図（ｂ）は図（ａ）におけ
るＡ−Ａ断面図である。

【図３】遊星歯車装置の略図である。

【図４】車輪内に主電動機を配置した遊星歯車装置によ
る駆動装置を示す断面図である。

【図５】図４による駆動装置を組み込んだ台車の一部側
面図である。

【符号の説明】

１ 車輪 ２ 中空軸 ３ 輪軸 ４ 台車枠 ５ 軸受 ６ 軸箱 ７ 軸ばね ８ 主電動機 ９ 遊星歯車装置 10 可撓継手 11 ねじり軸 12 可撓継手 101 台車枠 102 主電動機 103 可撓継手 104 歯車装置 105 車軸 106 車輪 107 軸箱 108 軸ばね 109 吊り装置 201 太陽歯車 202 遊星歯車 203 内歯車 203ａ 内歯車の連結軸 204 キャリヤ 204ａ キャリヤの連結軸 205 フレーム 206 台車枠 206ａ 丸手鏡形ハリ 207 車輪取付用金具 208 車輪 209 軸受 210 ピン 211 軸ばね 220 小型主電動機

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車軸を中空軸とした輪軸を有する電気車
   両用インサイドフレーム式動力台車において、輪軸の片
   端に遊星歯車装置と一体化され、それにより減速された
   出力軸を有する台車装架された主電動機を略軸中心を一
   致させて配置し、該輪軸の反主電動機側の軸端から可撓
   継手を介してねじり軸を該中空軸の内部に構成し、該中
   空軸の主電動機側から突出した該ねじり軸の軸端と該遊
   星歯車装置の出力軸との間を可撓継手により連結してな
   る電気車両用駆動装置。