JPH08244228A - インクジェット記録ヘッドの発熱体基板及びその発熱体基板の形成方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの発熱体基板及びその発熱体基板の形成方法

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JPH08244228A
JPH08244228A JP7080685A JP8068595A JPH08244228A JP H08244228 A JPH08244228 A JP H08244228A JP 7080685 A JP7080685 A JP 7080685A JP 8068595 A JP8068595 A JP 8068595A JP H08244228 A JPH08244228 A JP H08244228A
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forming
electrode
heating element
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JP7080685A
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Kenji Hasegawa
研二 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】電力ロスが少なく、入力信号に対する応答性に
優れ、信頼性が高く、かつ、低価格で形成工程の簡単な
インクジェット記録ヘッドの発熱体基板及びその発熱体
基板の形成方法。 【構成】発熱体基板を構成する電極6の少なくとも一部
をAlまたはAl合金で形成し、電極6の表層の少なく
とも一部に酸化被膜7を設けると共に、発熱抵抗体4と
電極6との間にTi、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta
等のバルブメタル又はそれらの窒化物、硼化物、あるい
はそれらの混合物からなる中間層5を設けた。発熱体基
板の形成方法は、基板1上に発熱抵抗体層4を形成し発
熱抵抗体層4上にTi、V、Y、Zr、Nb、Hf、T
a等のバルブメタル又はそれらの窒化物、硼化物、ある
いはそれらの混合物からなる中間層5を形成し、中間層
5上にAlあるいはAl合金からなる電極層6を形成
し、電極層6に酸化被膜層7を形成しこれら各層のパタ
ーニング工程とで構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発熱抵抗体とこの発熱
抵抗体に通電する電極を基板上に形成してなるインクジ
ェット記録ヘッドの発熱体基板と、その発熱体基板の形
成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バブルジェット方式は、高速高密度印字
が可能で、かつカラー化、コンパクト化に適しており、
近年とみに注目を集めている。この方式においては、記
録用液体(インクなど)を熱エネルギーの利用で吐出さ
せるため、熱を液体に作用させる熱作用部が存在する。
この熱作用部は、従来のいわゆるサーマルヘッドの構成
と類似している。しかしながら、液体に直接接する点
や、インクの発泡、消泡の繰り返しによる機械的衝撃
(キャビテーションエロージョン)に曝される点や、
0.数マイクロ秒〜数マイクロ秒という短い時間に10
00℃近い温度の上昇、下降に曝される点で、サーマル
ヘッドとは大きく異なる。そのため、従来のバブルジェ
ットヘッドにおいては、発熱抵抗体上に、例えばSiO
2、SiC、Si34等による酸化防止兼電気絶縁層
と、その上にTa等の耐キャビテーション層とを設ける
構造とし、使用環境から熱作用部を保護しているのが一
般的である。サーマルヘッドの耐摩耗層として一般的な
Ta25等は、必ずしも耐キャビテーション性に優れて
おらず、特公昭59−43315号公報等に記載されて
いるようなキャビテーションエロージョンに対して強い
材料が使用されている。一方、上記のような保護膜を設
けるタイプとは別に、保護膜を設けず発熱抵抗体部が直
にインクに接している形態も、特開昭55−12646
2号公報に提案されている。この形態は、熱効率の面か
ら保護膜を設ける形態に優れているものの、発熱抵抗体
部が、キャビテーションエロージョンや温度の上昇、下
降に曝されるだけでなく、接するインクの導電性のた
め、電流がインク中を流れ、その結果生じる電気化学反
応にも曝されることになる。したがって、従来、発熱抵
抗体としては、Ta2NやRuO2等のほか、さまざまな
金属、合金、金属化合物、サーメットが知られている
が、保護膜を設けないタイプのバブルジェットヘッドの
発熱抵抗体として用いた場合には、耐久性、安定性が十
分でなく、このタイプのバプルジェットヘッド用の発熱
抵抗体として特開昭59−96971号公報に記載のあ
るTa基合金等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような保護膜を
設けるタイプのバブルジェットヘッドでは、耐久性や抵
抗変化の点で実用上満足のいくものが得られているが、
保護膜形成時に生ずる欠陥の発生を完全に防止すること
は非常に困難であり、それが量産時に歩留を下げる大き
な要因になる。記録の高速化、高密度化が一層求めら
れ、一つのヘッド当たりのノズル数が増加する傾向の
中、このことはますます大きな問題となってきている。
また、発熱抵抗体からインクへの熱伝達効率が悪いと、
必要となる全体の消費電力が増し、駆動時におけるヘッ
ド全体の温度変化が大きくなる。ヘッドの温度変化は吐
出液滴の体積変化につながり、画像での濃度ムラの原因
となる。さらに、記録の高速化に対応するため、時間当
たりの吐出回数を増やせば、ヘッドでの消費電力が上昇
し、温度変化による画像の濃度ムラが一層顕著となり、
記録画像の高画質化の要求にそぐわないという点で問題
がある。このような間題を解決するため、保護膜欠陥に
左右されず熱効率の良い、保護膜を設けないタイプのバ
ブルジェットヘッドの実用化が望まれている。ところ
が、既述のようにTa2N、RuO2、HfB2等従来公
知の発熱抵抗体は、キャビテーションエロージョンや電
気化学的な耐久性が不十分であって、このタイプのバブ
ルジェットヘッドの発熱抵抗体としては不適である。上
記した特開昭59−43315号公報等に記載されてい
るようなキャビテーションエロージョンに対して強い材
料も、前述のような保護膜として用いられた場合にその
効果を発揮するものであり、保護膜を設けないタイプの
バブルジェットの発熱抵抗体として用いられた場合に
は、電気化学反応などによって容易に溶解或は腐食され
てしまい十分な耐久性を得ることは出来ない。また、高
精細、高画質の記録にとって、吐出の安定性は不可欠で
あるが、そのためには、発熱抵抗体の抵抗変化が小さい
ことが必要であり、実用的には5%以下であることが望
ましい。特開昭59−96971号公報等に記載のある
Ta基合金は、保護膜を設けないタイプの発熱抵抗体と
して用いた場合に、抵抗体が破断しないという点での耐
久性において比較的優れている。しかしながら、発泡を
繰り返す間の抵抗変化という点においては、例えばTa
やTa−Al合金で7〜10%程度というようにいまだ
不十分なものであった。さらに、抵抗体が破断する印加
パルス電圧(Vbreak)と発泡閾値電圧(Vth)
との比Mが、1.3〜1.4と耐熱性が低く、駆動電圧
(Vop)の僅かな増加で抵抗体の寿命が大きく低下し
てしまうという問題もあった。
【0004】このように従来既知の材料で保護膜を設け
ないタイプの発熱抵抗体を形成した場合には、耐キャビ
テーション性などの機械的耐久性、電気化学的安定性、
抵抗安定性、耐熱酸化性、耐熱溶解性さらに耐熱衝撃性
の全てを満足するものはなかった。そこで、発明者ら
は、先にTaやIr、或はAl、Ta、およびIrを主
要成分とする合金材料が保護膜を設けないタイプのバブ
ルジェット用発熱体として優れたものであることを見い
だし、更にその後の研究によってRu、Ir、Ptのう
ちの少なくとも1種類と、Al、Ti、V、Cr、Y、
Ga、Zr、Nb、Hf、Taのうち少なくとも1種類
を組み合わせることによって、高い耐久性を持った保護
膜を設けないタイプのバブルジェットヘッドが得られる
ことを見いだした。しかしながら、単に発熱抵抗体とし
てこれらの材料を用いても、電極が電気化学的に損傷を
受けないようにするためには、依然として電極が直接イ
ンクと接しないようにするための絶縁性保護膜等が必要
である。しかも熱作用部近傍においては500℃以上の
高温になるため、熱作用部近傍の電極にたいしては無機
材料からなる保護膜が必要となり、成膜やパターニング
等余分な工程が加わる上、先に述べた保護膜欠陥などの
点からも望ましくない。電極材料としてAu、Pt等の
貴金属を用いた場合には、電極保護膜がない場合にも電
気化学的な損傷はかなり低減される。しかしながら、駆
動電圧が高い場合や、パルス幅が長い場合には、Auで
あっても電気化学的な耐性が十分でない。またPtはA
u等に比べて比抵抗が高く電極材料として不利である上
に、Au、Ptとも価格が高いということが大きな欠点
である。また、電極端部での発熱抵抗体の幅を熱作用部
でのそれに比べて広くしたり、厚みを厚くすることによ
って電極近傍では温度があまり高くならないようにすれ
ば、電極保護膜として工程の簡単な有機膜を用いること
が考えられる。しかしこの場合においても、有機膜のイ
オン透過性が比較的高いため、電極の材料によってはヘ
ッドの駆動時や保存時に電気化学的な損傷が生じてしま
う。例えば、比抵抗や価格が低く、パターニングも容易
という電極として優れた特性を持つAlやAl合金は、
単に有機保護膜と組み合わせただけでは使用することは
できない。以上のように、従来のものにおいては、いず
れにしても満足のいくものはなかった。
【0005】そこで、本発明は電極を含む発熱抵抗体部
に従来のような電気絶縁体層及びTa等の耐キャビテー
ション層等からなる保護膜を設けないタイプのインクジ
ェット記録ヘッドの発熱体基板において、従来のものに
おける諸問題を解決し、全体の消費電力や配線での電力
ロスが少なく、入力信号に対する応答性に優れると共
に、信頼性が高く、かつ、低価格で形成工程の簡単なイ
ンクジェット記録ヘッドの発熱体基板及びその発熱体基
板の形成方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のインクジェット記録ヘッドの発熱体基板に
おいては、その発熱体基板を構成する電極の少なくとも
一部をAlまたはAl合金で形成し、電極の表層の少な
くとも一部に酸化被膜を設けると共に、前記発熱抵抗体
と電極との間にTi、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta
等のバルブメタル又はそれらの窒化物、硼化物、あるい
はそれらの混合物からなる中間層を設けたことを特徴と
している。本発明において、前記発熱抵抗体の好ましい
材料としては、主要構成元素の一つとして白金族元素を
含む合金であり、さらに好ましくは、Ru、Ir、Pt
のうち少なくとも一つと、Al、Ti、V、Cr、G
a、Zr、Nb、Hf、Taのうち少なくとも一つを共
に含む合金が挙げられる。
【0007】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
における発熱体基板の形成方法においては、その形成工
程が基板上に発熱抵抗体層を形成する工程と、前記発熱
抵抗体層上にTi、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等
のバルブメタル又はそれらの窒化物、硼化物、あるいは
それらの混合物からなる中間層を形成する工程と、前記
中間層上にAlあるいはAl合金からなる電極層を形成
する工程と、前記電極層に酸化被膜層を形成する工程
と、これら各層のパターニング工程とで構成されている
ことを特徴としている。前記発熱体基板の形成方法にお
ける各工程の具体的な組み合わせ順序は複数あって、こ
れについては、後に図を用いて詳細に説明する。
【0008】本発明において、発熱抵抗体を構成する上
記の合金材料は、スパッタ法や真空蒸着法など公知の方
法を用いて作成できる。また、その電極を構成する材料
としてのAlやAl合金及び中間層であるバルブメタ
ル、それらの窒化物、硼化物は、やはりスパッタ法や蒸
着法等従来公知の方法を用いて作製できる。さらに、電
極の表層に酸化被膜を設ける好ましい方法としては、陽
極酸化による酸化被膜の形成を挙げることができる。
【0009】
【作用】本発明は、上記したように、発熱抵抗体に保護
膜を設けないタイプ、すなわち、電極を含む発熱抵抗体
部に従来のような電気絶縁体層及びTa等の耐キャビテ
ーション層等からなる保護膜を設けないインクジェット
記録ヘッドの発熱体基板において、その電極がインク等
との直接接触により電気化学的に損傷されること等を防
止するため、その電極の表層に酸化被膜層が設けられて
なるものである。
【0010】バブルジェットヘッドの電極に、陽極酸化
によって無機保護膜を形成することについては、特開昭
59−143650号公報、同59−146861号公
報、同60−109850号公報等に既に記載がある。
しかしながら、これらの記載においては発熱抵抗体の材
料がHfB2、TaあるいはTaN等それ自体陽極酸化
可能な材料であり、一般的にそれ自体は陽極酸化されな
い材料で形成された導電体上を陽極酸化するためには、
その導体上に陽極酸化可能な材料を設け、陽極酸化の際
に電流の洩れだしが生じないよう、陽極酸化されない導
電体を陽極酸化可能な材料、あるいはレジスト等の絶縁
物で完全に覆う必要がある。ところが、本発明のように
発熱抵抗体が白金族を含む合金等で形成されている場合
には、このそれ自体は陽極酸化されない材料の全面が陽
極酸化可能なAlやAl合金及びレジスト等で覆われて
いても、それだけでは不十分であり、この場合に、前述
したAlやAl合金と、陽極酸化されない導電体との間
に、Ti、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等のより高
融点のバルブメタル、それらの窒化物や硼化物、あるい
はそれらの混合物からなる中間層を設ける必要があるこ
とが、本発明者らにより見いだされたのである。
【0011】本発明は、上記した中間層を設けることに
よってはじめて、AlやAl合金の表層を十分に陽極酸
化することを可能にしたものであり、このように構成さ
れたインクジェット記録ヘッドは、発熱体からインクへ
の熱伝達効率が高く、応答性に優れ、さらには電極層を
厚くしても保護膜欠陥などの発生が少ないので配線での
ロスを小さくできるため、低消費電力であって、信頼性
も高く、電極として、安いAlを用いることができ、し
かも工程も簡単なため全体のコストも低く抑えることで
きる。
【0012】以下に、本発明の内容を図面に基づいて更
に詳しく説明する。図1に本発明におけるインクジェッ
ト記録ヘッドの1例を示す。図1において、1はバブル
ジェットヘッドの基板部分に関するものである。本発明
におけるバブルジェットヘッドの発熱体基板の好ましい
形成方法の一つとしては、以下のような手順をあげるこ
とができる。 1−a 発熱抵抗体層の形成およびそのパターニン
グ。 1−b Ti、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等の
バブルメタルやそれらの窒化物、硼化物、或はそれらの
混合物からなる中間層の形成。 1−c AlあるいはAl合金からなる電極層の形成
及びパターニング。 1−d 陽極酸化。 1−e 1−b.dにおいて形成した中間層及びその
酸化皮膜のパターニング。
【0013】それぞれの工程におけるバブルジェット基
板の状態例を図2(a)〜(e)に示す。1−aの工程
は、例えばSi、ガラス、セラミック、各種金属などか
らなる支持体2上に、必要に応じて、例えばSiO2
SiN等からなる下部層3を設け、次に前述の白金族元
素を含む発熱抵抗体4を形成し、更にそれを所望の形状
にパターニングする工程である。この発熱抵抗体は、ス
パッタリングや真空蒸着法など公知の方法で形成するこ
とができる。発熱抵抗体の厚さは、望ましい電流或は電
圧において適切な熱エネルギーが効果的に発生されるよ
う適宜決められるが、通常好ましくは10〜2000n
m、より好ましくは20〜500nm程度である。ま
た、発熱抵抗体は、フォトリソグラフィ、スパッタエッ
チング、或はリアクティブスパッタエッチングなどを利
用した公知の方法を用いてパターニングが可能である。
図2(a)は、発熱抵抗体を形成し、パターニングを終
えた段階でのバブルジェットヘッド基板の一例である。
【0014】1−bの工程は、1−aで形成されたパタ
ーニング済みの発熱抵抗体上に、上記各種バルブメタル
や、それらの窒化物、硼化物或はそれらの混合物からな
る中間層5を形成する工程である。陽極酸化の必要な個
所においては、中間層は発熱抵抗体を完全に覆っている
必要がある。陽極酸化の際、発熱抵抗体が化成液に直接
触れていると、上記の発熱抵抗体は、それ自身陽極酸化
されないため、そこから電流の洩れだしが生じ、陽極酸
化が必要な個所の酸化被膜が十分に成長しなくなる。発
明者らはまた、中間層がなくAlやAl合金が直に発熱
抵抗体と接している場合には、それらが発熱抵抗体を覆
って発熱抵抗体が直接に化成液に触れていないにも関わ
らず、陽極酸化の際に電流の洩れ出しが生じてしまい、
AlやAl合金上に十分な酸化被膜を形成することが出
来ないことを見いだした。さらに、AlやAl合金と発
熱抵抗体との間に上記のような中間層を設けることによ
ってはじめて、AlやAl合金上に十分な酸化被膜を形
成出来ることを見いだし、本発明に至ったものである。
上記のような中間層は、やはりスパッタリングや真空蒸
着などの公知の方法を用いて形成することが可能であ
る。この中間層の厚みは、陽極酸化に際して電流の洩れ
出しを防げれば十分であるが、そのためには、発熱抵抗
層を十分に覆っている必要があり、スパッタリングや真
空蒸着法などによって形成する場合には、発熱抵抗体の
厚さに、陽極酸化の際に用いられる電圧において中間層
の物質が酸化される厚さを加えた程度以上の厚さにする
ことが望ましい。例えば、発熱抵抗体の厚さが100n
m、陽極酸化時に100V迄の電圧が加えられ、中間層
Taを用いるとすると、100Vでは60nm程度のT
aが酸化されるから、中間層としては、100+60=
160nm以上の厚みであることが望ましい。中間層を
形成した段階での基板を図2(b)に示す。
【0015】1−cの工程は、1−bで形成された中間
層上に、AlやAl−Si、Al−Cu、Al−Pd等
のAl合金による電極本体6を形成する工程である。ス
パッタリングや蒸着による成膜、フォトリソグラフィを
利用したパターニング等、通常の半導体素子などに用い
られるAlを主とした合金による電極の形成方法が使用
できる。本発明においては、陽極酸化などによってAl
やAl合金電極そのものの表層を酸化して電極保護膜と
するために、電極を十分に厚くしても保護膜の欠陥が生
じ易くなることはない。そのため配線の抵抗を小さくす
ることができ、配線での電力ロス、ひいては全体の消費
電力をいっそう小さくできる。電極を形成し終えた段階
の基板を図2(c)に示す。
【0016】1−dの工程は、電極の表層を陽極酸化す
る工程である。陽極酸化の方法として好ましい方法は、
例えば特開昭60−109850号公報や、特開平2−
85826号公報等に記載のあるように、化成液として
酒石酸、クエン酸、ほう酸等の弱酸系水溶性多塩基酸を
グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコー
ル等)水溶液に溶解したものや、それをアンモニア等で
中和したものを用い、始めは定電流モードで、所望の電
圧に達してからは定電圧モードで陽極酸化する方法を挙
げることが出来る。このとき、後にバブルジェットとし
て駆動する際のボンディング端子などは、レジスト等の
絶縁物によってマスクをしておくことが望ましい。この
ときに印加する電圧は、後にバブルジェットヘッドを駆
動する際の電圧より高いことが望ましく、実用上はバブ
ルジェットヘッド駆動電圧の1.2倍以上、より好まし
くは1.5倍以上である。ただし、あまり高すぎると陽
極酸化被膜の破壊や、端子をマスクするレジストの剥離
が生じるため、最大でも300V程度に抑える必要があ
る。このように陽極酸化することによって、図2(d)
に示されるように電極や電極間の中間層上には酸化膜
7、8が形成される。
【0017】1−e工程は、電極間などの不要な部分の
中間層を除去する工程である。この工程においても、従
来公知の薄膜のパターニング方法を用いることが可能で
ある。もし、AlやAl合金及びその酸化物と十分選択
性があるエッチング方法を用いることが出来るならば、
フォトレジスト等を用いること無く、電極そのものをエ
ッチングマスクとして工程を簡略化できる。このために
は特に、ドライエッチングが好適である。不要な部分の
中間層を除去した段階の状態を図2(e)に示す。図2
においては、電極層と中間層が同じ平面形にパターニン
グされる場合が示されているが、中間層の平面形が同じ
である必要はない。図示はしていないが、熱発生部やそ
の近傍を除いた部分にポリイミド等の有機保護膜や、塗
布型の無機保護膜を設けることは、ヘッドの信頼性を高
める上でより好適である。以上のようにして得られた基
板上に、ノズルや液室を設けることによりバブルジェッ
トヘッドを得ることができる。このバブルジェットヘッ
ドは、インクが発熱体に直に接するため熱効率や応答性
が高く、消費電力が小さく、電極にAlやAl合金を用
いるためコストも低く、かつ保護膜の欠陥などの発生が
少なく高い信頼性を有する。図2(e)の段階では、パ
ターニングされた中間層の断面は、何の保護層もなく生
のままの物質がインクと接することになるが、我々の実
験においては、保存やインクの吐出試験において特に問
題はみられなかった。これは、おそらく、中間層として
用いた物質がもともと耐食性の高い物質であることや、
陽極側に酸化被膜が形成されること、断面の面積が電極
全体の面積に比べて十分小さく、その部分からの浸食は
全体に比べて小さな割合におさまることがその理由とし
て考えられる。
【0018】次に本発明のバブルジェット発熱体基板の
他の好ましい形成方法として、以下の手順を挙げること
ができる。 2−a 発熱抵抗体層の形成及びそのパターニング。 2−b Ti、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等の
バルブメタルやそれらの窒化物、硼化物、或はそれらの
混合物からなる中間層の形成。 2−c AlあるいはAl合金からなる電極層の形
成。 2−d 陽極酸化。 2−e 2−c.dにおいて形成した電極層およびそ
の酸化被膜、さらに、2−bにおいて形成した中間層の
パターニング。
【0019】それぞれの工程における基板の状態例を図
3(a)〜(e)に示す。2−a.bの工程は、上記1
の手順の場合と同様である。上記1の手順の場合では、
電極のAlやAl合金をパターニング後に陽極酸化を行
うのであるが、この2の手順の場合においては、陽極酸
化後にAlやAl合金をその酸化被膜と共にパターニン
グするものである。この場合には、中間層だけでなく、
AlやAl合金のパターン断面も生のままに露出する。
そのため、熱発生部やその近傍を除いた部分は有機保護
膜や、塗布型の無機保護膜などを設けることが望まし
い。この場合には主に断面のみの被覆が必要なのであっ
て、塗布型の保護膜の場合それが薄くても十分効果を発
揮する。図3においても電極層と中間層の平面形が一致
しているが、上記1の手順の場合と同様この2の手順の
場合においても中間層と電極層の平面形が一致する必要
はない。
【0020】さらに、本発明のバブルジェット発熱体基
板の別の好ましい形成方法として、以下の手順を挙げる
ことができる。 3−a 発熱抵抗体層の形成。 3−b Ti、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等の
バルブメタルやそれらの窒化物、硼化物、或はそれらの
混合物からなる中間層の形成。 3−c AlあるいはAl合金からなる電極層の形
成。 3−d 陽極酸化。 3−e 3−dにおいて形成された酸化層、3−cに
おいて形成した電極層、3−bにおいて形成した中間層
の第1のパターニング、および、3−aにおいて形成し
た発熱抵抗体層のパターニング。 3−f 3−dにおいて形成された酸化層、3−cに
おいて形成した電極層、3−bにおいて形成した中間層
の第2のパターニング。
【0021】それぞれの工程における基板の状態例を図
4(a)〜(f)に示す。3−aの工程では、上記1お
よび2の手順の場合と異なり発熱抵抗体層の形成のみで
あってこの段階ではパターニングを行わない。3−b〜
3−dの工程は、2−b〜2−dの工程と同様である。
3−e工程においては上記2の手順の場合と異なり、中
間層、電極層とその酸化層に加えて発熱抵抗体層もこの
段階でパターニングする。このとき、それぞれの層のパ
ターンを同一にすることは、パターニングマスクの形成
が一度で済み、工程を簡略化するために好適である。さ
らに、図4(e)に示すようにそれぞれの層のパターン
のズレも防止できる。3−fにおいて、図4(f)に示
すように熱発生部に相当する部分の電極層とその酸化
層、中間層を除去する。
【0022】さらにまた、本発明のバブルジェット発熱
体基板のもう一つの好ましい形成方法として、以下の手
順を挙げることができる。 4−a 発熱抵抗体層の形成。 4−b Ti、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等の
バルブメタルやそれらの窒化物、硼化物、或はそれらの
混合物からなる中間層の形成。 4−c AlあるいはAl合金からなる電極層の形
成。 4−d 陽極酸化。 4−e 4−dにおいて形成された酸化層、4−cに
おいて形成した電極層、4−bにおいて形成した中間層
のパターニング。 4−f 4−aにおいて形成した発熱抵抗体層のパタ
ーニング。
【0023】4−a〜4−dの工程は、上記3の手順の
場合と同様である。4−eにおいては、図4(e´)に
示すごとく、電極層とその酸化層、及び中間層のみのパ
ターニングを行い、発熱抵抗体層のパターニングは次の
段階4−fで行う。4−eの段階で熱発生部の電極層や
中間層は除去されている。4−fの段階で例えば図4
(f)の様なバブルジェット基板が得られるが、熱発生
部以外の中間層や電極のパターンと発熱抵抗体層のパタ
ーンが同じである必要はない。本発明による基板を用い
たバブルジェットヘッドは、図1の形態に限られること
はなく、例えば図5のように液滴が基板と平行でない方
向に飛翔する形態であっても構わない。
【0024】
【実施例】
[実施例1]バブルジェット基板及びヘッドの作製をそ
の各工程でつぎのようにおこなった。 a)発熱抵抗体層の形成及びパターニング工程 支持体のSi単結晶ウェハー2に熱酸化処理を行い、厚
さ2.5μmのSiO2を下部層3として設けたもの
(WACKER−CHEMITRONIC GMBH
製)を高周波スパッタリング装置(日電アネルバ(株)
製 SPF−730H)にセットし、純度が99.9%
以上のTaターゲット上に、同程度の純度のIrシート
をおいてスパッタリングを行い、約100nmの厚さの
発熱抵抗体層を前記下部層3上に形成した。次にフォト
リソグラフィ技術によってフォトレジストを所定のパタ
ーンに形成し、やはりSPF−730Hにセットして逆
スパッタによるスパッタエッチを行い、その後レジスト
をプラズマアッシャー(アペックス(株)製 MAS−
800)によって除去して、図2(a)に示された形状
の発熱抵抗体層4を形成した。 b)中間層の形成工程 上記a)で発熱抵抗体層を形成したウェハー上に、やは
りSPF−730Hを用いて、今後はIrシートを置か
ないTaのターゲットのみを使用してスパッタリングを
行い、Ta約300nmからなる中間層5を形成した。
この中間層はウェハーのほぼ全面を覆っている。 c)Al電極の形成工程 やはりSPF−730Hを用い、今度はターゲットとし
て純度が99.9%以上のAlを使用してスパッタリン
グを行い、b)で形成したTa中間層5上に約1μmの
Al電極層6を形成した。次にフォトリソグラフィ技術
によってフォトレジストによる所定のパターンのエッチ
ングマスクを形成し、Alエッチャント(東京応化
(株)製 C−6液)によるエッチングを行ってAl電
極層をパターニングし、図2(c)に示す共通電極6、
個別電極6´を形成した。 d)陽極酸化工程 化成液として、水とエチレングリコールを重量比で3:
7の割合に混合した溶媒に、酒石酸が1重量%となるよ
うに溶解し、さらに10%アンモニア水溶液を加えてp
Hが±0.5となるように調節したものを作製した。次
にc)の状態のウェハーに、フォトレジストによってボ
ンディング端子のマスクを形成した後に、電圧印加部を
除いて上記化成液に浸せきし、Ptを陰極対向電極とし
て、最初は定電流電源を用いて100mA一定の定電流
モードで、電圧が100Vに達した時点で定電圧モード
に切り替えて陽極酸化を行った。100mAの定電流モ
ードでは、陽極酸化開始後約3分で電圧が100Vに達
し、定電圧モードに切り替え後約10分間放置し、電流
が5mA以下になった時点で陽極酸化をストップした。
このようにして図2(d)の7、8で示す酸化被膜が形
成された。 e)余分な中間層の除去工程 上記d)の状態のウェハーを洗浄、乾燥した後に、ケミ
カルドライエッチング装置((株)徳田製作所製 CD
E−VII)にセットし、CF4とO2をエッチングガスと
してAlが存 在しない電極間など不要な部分のTa酸
化物層8、およびTa5を除去した。このとき、Taや
その酸化物と、Al及びその酸化物とのエッチングの選
択比が大きいため、特にレジストなどのマスクを必要と
せず、工程を簡略化することができる。このようにして
図2(e)で示されるようなバブルジェット基板を得
た。この基板で熱発生部の大きさは30μm〜150μ
m、熱発生部のピッチは125μm、24個の熱発生部
を一列に並べて形成した。 f)液路、吐出口の形成工程 上記e)の状態の基板に、更に信頼性を高めるため、熱
発生部や近傍、或はボンディング端子を除いた液室部分
などにポリイミド(東レ(株)製 フォトニースUR−
3100)の保護膜を設けた後、図1に示す吐出口10
及び液路11を形成するため、ガラス製溝付き板12を
接合し、更に切断を行ってバブルジェットヘッドを得
た。このようなヘッドを多数作製し評価試験を行った。
【0025】つぎに、バブルジェットヘッドの評価を次
のように行った。 a)吐出試験 実施例1で作製したヘッドの液路に、下記組成のインク
が供給されるようにし、外部電源から電極6、6´に、
幅3μsecの矩形パルス電圧を徐々に電圧を高くしな
がら印加し、吐出口10からインクが吐出を開始する時
の電圧(吐出閾値電圧 Vth)を求めた。次に1.2
Vthの電圧パルス2KHzの周波数で印加して108
回迄の吐出を行い、更にその間の抵抗変化を調べた。 [インク組成] 水 77部 ジエチレングリコール 20部 黒色染料(CI Food Black2) 3部 pH調整剤(CH3COONa) 0.1部以下 b)印字試験 実施例1で作製したヘッドを公知の構成の記録装置に装
着し、上記インクを用いてキャラクターなどの印字を行
い、得られた印字物に対して目視での評価を行った。こ
の印字試験は、上記a)の吐出試験とあわせて行い、初
期、107パルス吐出後、108パルス吐出後について行
った。 c)保存試験 実施例1で作製したヘッドの液路および該液路に連結す
る液室部分に、上記インクを充填した後に密封し、60
℃720時間の保存を行った。保存の前後で印字試験
や、抵抗の測定を行った。
【0026】[実施例2]バブルジェットヘッドの作製
をその各工程でつぎのようにおこなった。 a)発熱抵抗体の形成工程 IrをPtに変更した以外は、実施例1と同様にして、
TaとPtからなる発熱抵抗体を形成した。 b)中間層の形成工程 Taに替えて同程度の純度のTiをターゲットとして用
い、上記a)の発熱抵抗層上に、約350nmの厚さの
Ti中間層を形成した。 c)Al−Si層の形成工程 Al−1%Siを蒸着材とし、真空蒸着装置(日電アネ
ルバ(株)製 EVD−1501)を用いて、b)の状
態のウェハーにAl−Siの層を厚さが約1μmになる
ように形成した。 d)陽極酸化工程 上記c)のAl−Si層が全面に付着した状態のウェハ
ーに、ボンディング端子のマスクを形成した後、実施例
1と同様に陽極酸化を行い、Al−Si上に酸化被膜を
形成した。 e)電極層及び中間層のパターニング工程 上記d)のウェハーに電極パターンのマスクを形成した
後、リアクティブイオンエッチング(RIE)装置(ア
ペックス(株)製 GIR−261)を用いて、最初は
CCl2F2 をエッチングガスとしてAl−Siおよび
その酸化物をパターニングし、つづいてCF4とO2をエ
ッチングガスとして中間層のTiをパターニングした。 f)液路、吐出口の形成工程 実施例1と同様にしてポリイミド保護膜を設けた後に、
ガラス溝つき板を接合、更に切断を行ってバブルジェッ
トヘッドを得た。 次に、バブルジェットヘッドの評価を実施例2で得たヘ
ッドについても実施例1と同様の各種評価を行った。
【0027】さらに、上記各実施例と次のような比較を
行い、表1に示されるような結果を得た。 (比較例1)実施例1において、中間層を設けず、陽極
酸化も行わずにバブルジェットヘッドを形成し、実施例
1と同様の評価を行った。 (比較例2)実施例1において、中間層を設けずに陽極
酸化を行ったところ、発熱抵抗層の部分から気泡が大量
に発生し、陽極酸化電圧が上昇しなかった。そのまま1
0分間放置した後、実施例1と同様にヘッドを形成し、
同様の評価を行った。 (比較例3)実施例1において、中間層は設けるが陽極
酸化を行わずにヘッドを形成し、実施例1と同様の評価
を行った。 (比較例4)陽極酸化を行わない以外には実施例2と同
様にしてヘッドを形成し、実施例1と同様の評価を行っ
た。 (比較例5)実施例2において、中間層を設けずに陽極
酸化を行ったところ、発熱抵抗体のパターンエッジから
気泡が生じ、陽極酸化電圧が十数V迄しか上がらなかっ
た。その状態に10分間放置した後に実施例2と同様に
ヘッドを形成し、実施例1と同様な評価を行った。 (比較例6)発熱抵抗体の形成を実施例1と同様に行
い、次に真空蒸着装置(日電アネルバ(株)製 EVD
−1501)によって、下引き層として約5nmのTi
とAu約1μmを蒸着した。さらにフォトレジストのマ
スクを用いて、最初は王水によってAuを続いて希釈フ
ッ硝酸によりTiをパターニングして電極を形成した。
次にポリイミドの保護膜や、液路、吐出口等の形成を実
施例1と同様に行いバブルジェットヘッドを得た。この
ヘッドに対してもまた実施例1と同様の評価を行った。
【0028】
【発明の効果】本発明は、以上のように発熱抵抗体と電
極との間にTi、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等の
バルブメタル又はそれらの窒化物、硼化物、あるいはそ
れらの混合物からなる中間層を設けたことにより、Al
やAl合金からなる電極の表層を十分に酸化することが
可能となり、これによって、耐久性が良く、発熱体から
インクへの熱伝達効率が高く、応答性に優れ、さらには
電極層を厚くしても保護膜欠陥などの発生が少なく、消
費電力の低い、信頼性の高いインクジェット記録ヘッド
を得ることができる。また、電極として、安いAlを用
いることができ、しかもその基板の形成工程も簡単であ
るため、低コストでンクジェット記録ヘッドを形成する
ことできる。
【0029】
【表1】 評価基準 吐出試験 ○ 108パルスまで問題なく吐出し、抵
抗変化も3%未満 △ 108パルスまで吐出するが、抵抗変化3%以上 × 不吐出になってしまうもの 印字試験 ○ 良好な印字が得られる場合 △ 印字は得られるがかすれなどがみられる場合 × 印字不能 保存試験 ○ 電極や発熱抵抗体の外見に異常がみら
れず、抵抗値の変化も1%未満 △ 電極や発熱抵抗体に変色等何らかの変化が見られ
るが、抵抗値変化は1%未満 × 電極や発熱抵抗体に腐食などの変化が観察され、
抵抗値が1%以上変化しているもの
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、バブルジェットヘッドの1例の
吐出口側からみた部分的な正面図、図1(b)は、図1
(a)のX−Y線での断面図である。
【図2】図2は、図1において1で示される基板部分の
作製方法の一例の各工程における部分的な平面図およ
び、A−B線での断面図である。(a)は支持体と下部
層上に発熱抵抗体が形成された段階、(b)は全面に中
間層が形成された段階、(c)はAlやAl合金からな
る電極が形成された段階、(d)は表層全面が陽極酸化
された段階、(e)は不要な部分の中間層及びその酸化
被膜を除去した段階である。
【図3】図3は、基板の作製方法の別の一例の各工程に
おける部分的な平面図および、A−B線での断面図であ
る。(a)は支持体と下部層上に発熱抵抗体が形成され
た段階、(b)は全面に中間層が形成された段階、
(c)はAlやAl合金からなる電極層が全面に形成さ
れた段階、(d)はAlやAl合金からなる層の表層全
面が陽極酸化された段階、(e)は不要な部分の電極層
及びその酸化被膜更に中間層を除去した段階である。
【図4】図4はバブルジェットヘッドの他の例を示す部
分図である。
【図5】図5は液滴が基板と平行でない方向に飛翔する
形態のバブルジェットヘッドを示す図である。
【符号の説明】
1 バブルジェット基板 2 支持体 3 下部層 4 発熱抵抗層 5 中間層 6 電極層 7 電極層酸化被膜 8 中間層酸化被膜 9 熱発生部 10 吐出口 11 液路 12 溝付きガラス板 13 オリフィスプレート 14 支持壁 (なお、符号に´を付けたものは個別電極側であること
を示す。)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱抵抗体とこの発熱抵抗体に通電する電
    極を基板上に備えたインクジェット記録ヘッドの発熱体
    基板において、前記電極の少なくとも一部をAlまたは
    Al合金で形成し、その表層の少なくとも一部に酸化被
    膜を設けると共に、前記発熱抵抗体と電極との間にT
    i、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等のバルブメタル
    又はそれらの窒化物、硼化物、あるいはそれらの混合物
    からなる中間層を設けたことを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッドの発熱体基板。
  2. 【請求項2】前記発熱抵抗体が、Ru、Ir、Ptのう
    ちの少なくとも一つの元素を含み、かつ、Al、Ti、
    V、Cr、Ga、Zr、Nb、Hf、Taのうち少なく
    とも一つの元素を含む材料により構成されいることを特
    徴とするインクジェット記録ヘッドの発熱体基板。
  3. 【請求項3】インクジェット記録ヘッドにおける発熱体
    基板の形成方法において、その形成工程が基板上に発熱
    抵抗体層を形成する工程と、前記発熱抵抗体層上にT
    i、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等のバルブメタル
    又はそれらの窒化物、硼化物、あるいはそれらの混合物
    からなる中間層を形成する工程と、前記中間層上にAl
    あるいはAl合金からなる電極層を形成する工程と、前
    記電極層に酸化被膜層を形成する工程と、これら各層の
    パターニング工程とで構成されていることを特徴とする
    発熱体基板の形成方法。
  4. 【請求項4】前記電極層への酸化被膜層の形成が、陽極
    酸化により行われるようにしたことを特徴とする請求項
    3に記載の発熱体基板の形成方法。
  5. 【請求項5】発熱体基板の形成方法が、前記各工程を以
    下の順序で行うものである請求項3に記載の発熱体基板
    の作成方法。 1.基板上に発熱抵抗体層を形成する工程 2.発熱抵抗体層をパターニングする工程 3.中間層を形成する工程 4.電極層を形成する工程 5.電極層をパターニングする工程 6.電極層と中間層の露出した表面に酸化被膜層を形成
    する工程 7.中間層および中間層上に形成された酸化被膜層をパ
    ターニングする工程
  6. 【請求項6】発熱体基板の形成方法が、前記各工程を以
    下の順序で行うものである請求項3に記載の発熱体基板
    の作成方法。 1.基板上に発熱抵抗体層を形成する工程 2.発熱抵抗体層をパターニングする工程 3.中間層を形成する工程 4.電極層を形成する工程 5.電極層の表面に酸化被膜層を形成する工程 6.酸化被膜層、電極層、中間層を順次パターニングす
    る工程
  7. 【請求項7】発熱体基板の形成方法が、前記各工程を以
    下の順序で行うものである請求項3に記載の発熱体基板
    の作成方法。 1.基板上に発熱抵抗体層を形成する工程 2.中間層を形成する工程 3.電極層を形成する工程 4.電極層の表面に酸化被膜層を形成する工程 5.酸化被膜層、電極層、中間層の熱発生部以外の部分
    と、発熱抵抗体層を順次 パターニングする工程 6.熱発生部の酸化被膜層、電極層、中間層を順次パタ
    ーニングする工程
  8. 【請求項8】発熱体基板の形成方法が、前記各工程を以
    下の順序で行うものである請求項3に記載の発熱体基板
    の作成方法。 1.基板上に発熱抵抗体層を形成する工程 2.中間層を形成する工程 3.電極層を形成する工程 4.電極層の表面に酸化被膜層を形成する工程 5.酸化被膜層、電極層、中間層を順次パターニングす
    る工程 6.発熱抵抗層をパターニングする工程
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