JPH0824315A - プラスチック製医療用バッグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱融着性を有する一対のシートよりなり、該
シートの所定の周縁部において融着によりシールされ、
該シール部に連通用プラスチックチューブを有するバッ
グにおいて、該チューブの断面の外周形状１が異形であ
るプラスチック製医療用バッグ。 【効果】 バッグの製造工程が簡略化され、本発明のバ
ッグを用いればポート部分における漏れがなくなり、バ
ッグ中の内容物に接着剤に起因する有害物質が溶出する
心配もなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は血液バツグや輸液バッグ
などプラスチック製医療用バッグに関する。更に詳しく
は、プラスチック製医療用バッグの注出入口（以下、ポ
ートと言う。）に関する。

【０００２】

【従来の技術】プラスチック製医療用バッグのポートの
多くは、袋などの容器のフィルム融着面にチューブを接
続してある。

【０００３】これには、実公昭５３−１５６５９号公報
に開示されているように、ポートに横断面が略舟形の取
付け部を一体に形成し、該取付け部の左右先端縁は、薄
肉の鰭片状としたポートがある。

【０００４】また、実公平１−２２６６４号公報に開示
されているように、接続部材と容器のフィルムとの溶着
部分が偏平菱形になったポートがある。

【０００５】更にまた、実開平５−２９５３７号公報に
開示されているように、接続部材を用いてポリオレフィ
ンシートに溶着させ、その部材にチューブを連結させた
ポートがある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】これらはフィルムと接
続部材を溶融接着した後、更にその接続部材にチューブ
を溶融接着とか何らかの方法で接着しなければならず、
製造工程が複雑になる。

【０００７】また、接着する場合、接着剤を使用する方
法によれば、有害物質の溶出が問題となり、医療用バッ
グとして不適当となる。

【０００８】更にポートにおけるチューブの接続の接着
力が弱いと、例えば血液バッグ中に採血された血液を遠
心分離するときのように、袋に強い力が加わると接続部
分が折れてしまう危険性もあり、ポートの接続部で血液
が漏れるという問題がしばしば発生する。

【０００９】本発明は、バッグの製造に際し接続部品を
使わないで作業の工数を減らし、バッグの性能としては
ポート部分からの漏れの心配をなくし、バッグ中の液体
などの内容物に有害物質をしばしば溶出する原因となる
接着剤を用いなくてもよいバッグを提供するのが目的で
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は，熱融着性を有
する一対のシートよりなり、該シートの所定の周縁部に
おいて融着によりシールされ、該シール部に連通用プラ
スチックチューブを有するバッグにおいて、該チューブ
の断面の外周形状が異形であることを特徴とするプラス
チック製医療用バッグを要旨とする。

【００１１】本発明は、一対のシートの材質をポリオレ
フィンとし、連通用プラスチックチューブの材質を熱融
着性とすれば、特に好ましい効果が得られる。

【００１２】本発明において異形とは円形やほぼ円形で
なければよく、例えば偏平菱形・楕円形・ひれ状翼など
を挙げることができる。

【００１３】

【作用】本発明は上述の構成によるので以下の作用・効
果を示す。 （１）バッグの製造に際し接続部品を使わないので製造
工程が簡略化される。

【００１４】（２）チューブをポートに接続するに際
し、接着剤を用いないのでバッグ中の液体などの内容物
に接着剤に起因する有害物質を溶出しないバッグを提供
することができる。

【００１５】（３）従来の円形チューブと本発明のチュ
ーブが内径において同じとした場合、本発明のチューブ
の断面の外周形状が異形であるためシートと接着する面
積が、従来の円形チューブよりも大となり、接着機構に
おいて有利となる。

【００１６】（４）従来の円形チューブに比して、本発
明のような異形チューブはフィルムとの溶着面が扁平菱
形に形成されるので、シートと密着しやすく、溶着面に
おける熱溶着時の圧力を均一に受けることができる。こ
れは強固な接着力を示す結果となる。また、ポート部分
における漏れ防止にもなる。

【００１７】（５）従来はバッグの製造に際し接続部品
を使うため、シートと接続部品間・接続部品とチューブ
間の２個所の接着性を問題にしてきたが、本発明のよう
に接続部品を用いない場合、シートとチューブ間だけの
接着性を留意するだけとなり、ポート部分における漏れ
防止対策として有利となる。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、プラスチック製医療用
バッグの製造工程が簡略化され、本発明のプラスチック
製医療用バッグを用いればポート部分における漏れがな
くなり、バッグ中の液体などの内容物に接着剤に起因す
る有害物質を溶出する心配がなくなる。

【００１９】

【実施例】本発明のバッグにおいてシール部に連通用プ
ラスチックチューブを有するとは、連通ということから
理解されるように、シート間にチューブが挟まれている
ことである。

【００２０】本発明においてシートやチューブの素材
は、熱融着性を有するだけでなく、可撓性で透明で滅菌
し得る、また、液体に溶出する可塑剤を含まない種々の
プラスチツク組成物である。その場合ある種のポリ塩化
ビニルのように液体に溶出しない可塑剤であれば可塑剤
を含有していても差し支えない。チューブのキンクの問
題も考慮して柔軟性に優れたポリエチレン・ポリオレフ
ィン等のポリオレフインやポリオレフィン系エラストマ
ーが好ましい。

【００２１】本発明においてシートやチューブの素材
は、熱融着性を有せねばならないとはシートの所定の周
縁部において融着によりシールされねばならないことと
ポート部においてシートとチューブが強固に接着するた
めに必要なことである。

【００２２】シートやチューブとも強固な接着力を得る
には好ましい素材を選択せねばならない。基本的には同
一素材で作るのが接着性に関し有利である。例えば一対
のシートはいずれもポリオレフィンとし、チューブまで
ポリオレフィンにすれば好ましい。同一素材でつくらな
いときは、熱溶着性の良い材料を選び、素材間の相溶性
の似通ったものを選択する必要がある。

【００２３】本発明においてシートの厚さは特定しない
が、最も常用されるのは厚さ２５０μｍ程度である。

【００２４】プラスチック製医療用バッグに採用される
従来のチューブの寸法は、一例を挙げると内径が２．９
ｍｍ程度、外径が４．４ｍｍ程度である。本発明におけ
るチューブは内径は従来のものと変わりないがチューブ
の断面の外周形状が異形（プロフィル）である。図１は
本発明で採用される、断面の外周形状が異形であるチュ
ーブの実施例の断面図である。中空部２は円形である
が、外周１は両端が尖ったほぼ長円形をなしている。

【００２５】このような異形の断面形状を得るには周知
の異形押出成形装置を用いる。これはパイプ押出成形装
置と同じであるが、特にダイとサイジングに難しさがあ
る。ダイリップの形状は押出された押出物の断面が希望
する形状になるようにダイリップを数回修正しなければ
ならない。

【００２６】このようにして得られた異形チューブをシ
ート間で熱溶着するには、異形チューブの断面形状に合
わせた金型を用い、熱溶着し、冷却し、２次加工を行う
こととなる。

【００２７】内径が２．９ｍｍで図１に示すような異形
のポリプロピレン製チューブをポリプロピレン製シート
間で熱溶着し、ポート部におけるチューブの接合力を株
式会社島津製作所製のオートグラフで測定した。その結
果、従来のポリプロピレン製円形チューブで内径が２．
９ｍｍ、外径が４．４ｍｍの場合よりも２５％以上接着
力が向上した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明で採用される、断面の外周形状が異形で
あるチューブの実施例の断面図である。

【符号の説明】

１ 外周 ２ 中空部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱融着性を有する一対のシートよりな
   り、該シートの所定の周縁部において融着によりシール
   され、該シール部に連通用プラスチックチューブを有す
   るバッグにおいて、該チューブの断面の外周形状が異形
   であることを特徴とするプラスチック製医療用バッグ。
2. 【請求項２】 一対のポリオレフィンシートよりなり、
   該シートの所定の周縁部において融着によりシールさ
   れ、該シール部に連通用プラスチックチューブを有する
   バッグにおいて、該チューブの材質が熱融着性であり、
   かつ、該チューブの断面の外周形状が異形であることを
   特徴とするプラスチック製医療用バッグ。