JPH08239760A - スパッタリング装置およびスパッタリング方法 - Google Patents

スパッタリング装置およびスパッタリング方法

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JPH08239760A
JPH08239760A JP4184495A JP4184495A JPH08239760A JP H08239760 A JPH08239760 A JP H08239760A JP 4184495 A JP4184495 A JP 4184495A JP 4184495 A JP4184495 A JP 4184495A JP H08239760 A JPH08239760 A JP H08239760A
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勝太郎 市原
Futoshi Nakamura
太 中村
Akihiko Ito
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜特性、特に膜の等方性が良好な薄膜を生産
性良く形成することができるスパッタリング装置および
スパッタリング方法を提供する。 【構成】 スパッタリング室1内にスパッタリング源10
が設置され、このスパッタリング源10にターゲット11が
設けられ、スパッタリング源10に給電してターゲット11
近傍にプラズマを生成させる。自転公転可能な基板ホル
ダ4に基板を装着し、ターゲット11から放出されたスパ
ッタリング粒子を基板5に被着させる。このとき、基板
ホルダの公転軸と自転軸との距離をDs、基板ホルダの
公転中心と前記ターゲットの中心とのターゲット面と平
行な方向の距離をDt、ターゲット面と基板ホルダに保
持された基板表面とのターゲット面と垂直な方向の距離
をH、ターゲット中心とターゲットのエロージョン部最
外側位置との距離をEとした場合に、Ds+Dt≧E+
0.1H、|Ds−Dt|≦E+0.1Hの関係を満た
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜素子の製造に使用さ
れるスパッタリング装置およびそれを用いたスパッタリ
ング方法に関し、特に高透磁率膜の量産に適したスパッ
タリング装置およびスパッタリング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スパッタリング法は、薄膜源としてのタ
ーゲット付近にスパッタリングガスの放電プラズマを生
成し、このプラズマ中のイオンをターゲット付近に形成
される陰極降下部で加速してターゲットに入射せしめ、
このイオン衝撃によってターゲット物質を気相中にスパ
ッタリング粒子として放出し、このスパッタリング粒子
を適当な位置に配置された基板上に被着させて所定の薄
膜の形成を行う技術であり、比較的安価かつ簡便な装置
によって各種薄膜の形成が可能である。従って、半導体
集積回路、薄膜表示素子、薄膜磁気記録素子、光記録素
子、プリンターヘッド、電界放出素子等の薄膜機能素子
の製造に幅広く利用されている。
【0003】スパッタリングには、基板をターゲットに
対して静止させて膜形成を行う静止スパッタリングと、
基板を移動させながら膜形成を行う移動スパッタリング
があるが、静止スパッタリングでは基板の設置位置は膜
厚・膜特性が一様な場所に限定されるのに対し、移動ス
パッタリングではその限定が著しく緩和され広い面積に
一度に基板を設置することが可能なため生産上有利であ
る。
【0004】移動スパッタリングにおいて、基板のター
ゲットに対する移動の方式としては、例えば大型の薄膜
表示素子の製造に供されているような、矩形ターゲット
を用いてその短軸方向に基板を平行移動させる方式と、
例えば磁気ヘッド、磁気ディスク、光ディスクの製造に
供されているような、円形ターゲットを用いて基板をタ
ーゲットとは偏心した位置を中心として公転もしくは自
公転させる方式がある。
【0005】これらのうち、公転もしくは自公転方式は
ターゲットサイズ、スパッタリング装置サイズが比較的
小さく選べるので製造コスト上有利であり、特に小型な
いしは中形の素子を一度に数多く製造する上で優れてい
る。また、多元同時スパッタの適用が容易なので多元素
子系の薄膜の製造にも好適である。特に自公転方式は公
転方式に比べて基板ホルダーの構造が若干複雑化するも
のの、公転のみの場合よりもさらに広い領域を基板設置
位置として利用することができるので、生産性上極めて
好ましい方式である。
【0006】基板ホルダをターゲットに対して公転もし
くは自公転させた場合の問題点は、スパッタリング粒子
の基板への入射方向が回転に伴って変化することに起因
して、膜の微視的な構造が膜成長方向に揺らぎ、膜特性
に影響を与える点である。膜特性への影響とは、例えば
微視的な膜構造の揺らぎに起因して発生する膜内部の異
方性であり、磁性体膜においては磁化容易軸の異方性、
強誘電体膜においては分極容易方向の異方性等を挙げる
ことができ、また異なる観点から言えば、結晶性膜の場
合の結晶異方性、非晶質膜の場合の最近接原子配列の異
方性等を挙げることができる。
【0007】特に高透磁率膜の磁気的な異方性はスパッ
タ粒子の入射方向に敏感で、斜め入射するとその方向に
異方性を持ちやすいことから、従来においては磁気ヘッ
ド、特に積層形ヘッドの磁性体膜形成時に基板ホルダを
公転もしくは自公転させることが困難であり、基板設置
位置がターゲットのエロージョン部直上に限定される
等、著しく生産性を損なう結果となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、基板ホルダをターゲット
に対して公転もしくは自公転させながら、基板上に所定
の薄膜を被着させるスパッタリング装置およびスパッタ
リング方法において、スパッタ粒子の基板面への入射角
度の時間的変化に起因する膜の微視的構造の揺らぎ、ひ
いては膜厚方向の膜特性の揺らぎを補償することがで
き、もって膜特性、特に等方性と生産性とを両立するこ
とができるスパッタリング装置およびスパッタリング方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、第1に、ガス供給系と排気系とが設けられ
たスパッタリング室と、このスパッタリング室内に設置
されたスパッタリング源と、このスパッタリング源に設
置されたターゲットと、前記スパッタリング源に給電し
て前記ターゲット近傍にプラズマを生成させるための電
源と、前記ターゲットから放出されたスパッタリング粒
子を被着させるための基板を支持すると共に自転公転可
能な基板ホルダとを具備するスパッタリング装置であっ
て、前記基板ホルダの公転軸と自転軸との距離をDs、
前記基板ホルダの公転中心と前記ターゲットの中心との
ターゲット面と平行な方向の距離をDt、ターゲット面
と基板ホルダに保持された状態の基板の表面とのターゲ
ット面と垂直な方向の距離をH、ターゲットの中心とタ
ーゲットのエロージョン部最外側位置との距離をEとし
た場合に、 Ds+Dt≧E+0.1H |Ds−Dt|≦E+0.1H の関係を満たすことを特徴とするスパッタリング装置を
提供する。
【0010】第2に、上記スパッタリング装置におい
て、前記基板ホルダの自転中心からの基板の成膜半径を
Rとした場合に、 R≦0.6(Ds+Dt) の関係を満たすことを特徴とするスパッタリング装置を
提供する。
【0011】第3に、上記いずれかのスパッタリング装
置において、基板ホルダの公転周期をTh、自転周期を
Tsとした場合に、Th/TsおよびTs/Thが非整
数であることを特徴とするスパッタリング装置を提供す
る。
【0012】第4に、スパッタリング室内に設置された
スパッタリング源にターゲットを設置し、ターゲット近
傍にプラズマを生成させると共に、プラズマ中のイオン
をターゲットに入射させてターゲットからスパッタリン
グ粒子を放出させ、基板を自転公転させながら、該基板
にスパッタリング粒子を被着させて膜を形成するスパッ
タリング方法であって、前記基板の公転軸と自転軸との
距離をDs、前記基板の公転中心と前記ターゲットの中
心とのターゲット面と平行な方向の距離をDt、ターゲ
ット面と基板ホルダに保持された状態の基板面とのター
ゲット面と垂直な方向の距離をH、ターゲットの中心と
ターゲットのエロージョン部最外側位置との距離をE、
前記基板の自転中心からの基板の成膜半径をRとした場
合に、 Ds+Dt≧E+0.1H |Ds−Dt|≦E+0.1H R≦0.6(Ds+Dt) の関係を満たすことを特徴とするスパッタリング方法を
提供する。
【0013】第5に、上記スパッタリング方法におい
て、スパッタリング粒子が被着されることにより形成さ
れる膜の膜厚をT、単位時間に形成される膜の膜厚を
t、前記基板の公転周期をThとした場合に、 T/t≧10Th の関係を満たすことを特徴とするスパッタリング方法を
提供する。
【0014】第6に、上記いずれかのスパッタリング方
法において、基板の公転周期をTh、自転周期をTsと
した場合に、Th/TsまたはTs/Thが非整数であ
ることを特徴とするスパッタリング方法を提供する。
【0015】
【作用】従来の自公転方式の移動スパッタリングでは、
基板ホルダ(または基板)の公転軸と自転軸との距離を
Ds、基板ホルダ(または基板)の公転中心とターゲッ
トの中心とのターゲット面と平行な方向の距離Dt、タ
ーゲットの中心とターゲットのエロージョン部最外側位
置との距離E、ターゲット面と基板ホルダに保持された
状態の基板の表面とのターゲット面と垂直な方向の距離
H、基板ホルダ(または基板)の自転中心からの基板の
成膜半径R、基板上に形成される膜の膜厚Tと単位時間
に形成される膜の膜厚tとの比T/t,基板ホルダ(ま
たは基板)の公転周期Th、自転周期Tsといった自公
転パラメータ間の関係に対する配慮がなされていなかっ
たために、形成された薄膜に異方性を発生し、良好な素
子特性を損なう場合が発生していた。ここで異方性と
は、例えば磁性体薄膜の場合には磁気異方性であり、誘
電体薄膜の場合には分極異方性であり、異なる観点から
は例えば結晶性薄膜の場合の結晶異方性であり、非晶質
薄膜の場合の近接原子配列の異方性である。異方性が薄
膜素子機能に与える影響は、素子の種類、用いる薄膜の
種類あるいは素子を応用するシステムの種類に依存する
が、例えば積層形磁気ヘッドに使用される磁性体薄膜
や、半導体集積回路のゲート絶縁膜に用いられる強誘電
体薄膜の場合、できるだけ異方性の小さい膜が素子機能
上望ましく、そのような膜は従来の自公転スパッタリン
グ方式によって得ることは困難であった。
【0016】これに対し、本発明に従って自公転パラメ
ータ間の関係を規定すれば、形成される膜の異方性は著
しく低減されるので、従来困難であった低異方性磁性体
膜や低異方性誘電体膜の製造を、生産性の良好な自公転
スパッタリング方式によって実現することが可能とな
る。
【0017】すなわち、 Ds+Dt≧E+0.1H |Ds−Dt|≦E+0.1H なる条件で成膜すれば、 R≦0.6(Ds+Dt) なる領域で等方膜の形成が可能となる。
【0018】また、T/tで表わされる成膜時間が、 T/t≧10Th を満足するように十分長ければ等方的な膜となる。
【0019】この場合に、Th/TsまたはTs/Th
が整数の場合には一公転後に基板の同じ位置がターゲッ
トに対して同一の位置に戻るために膜厚方向に異方性が
生じやすいが、Th/TsまたはTs/Thが非整数で
あればこのような異方性が緩和される。
【0020】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて具体的に説明する。図1は本発明の一実施例に係
るスパッタリング装置を示す断面図、図2は図1の装置
に用いられる基板支持部を示す底面図である。
【0021】このスパッタリング装置は、スパッタリン
グ室1を備えており、スパッタリング室1内の上部に基
板支持部2が設けられている。図2にも示すように、基
板支持部2は、水平に配置された円盤状の支持板3を有
しており、この支持板3に、基板5を保持する8個の基
板ホルダー4がその面を水平にして回転可能に支持され
ている。支持板3は回転モーター6により回転可能とな
っており、その回転軸7には支持板3とともに回転する
主ギア8が設けられている。また、基板ホルダー4の回
転軸4aには基板ホルダー4とともに回転する副ギア9
が設けられており、この副ギア9は主ギア8に噛合して
いる。そして、モーター6により支持板3が回転される
ことにより、基板ホルダ4および基板5が自転および公
転するようになっている。
【0022】スパッタリング室1内の底部近傍には基板
5に対向する位置にスパッタリング源10が設けられて
いる。スパッタリング源10にはスパッタリング電源1
3が接続されており、またその上にはスパッタリングタ
ーゲット11が設けられている。さらに、スパッタリン
グ源10内にはマグネット12が設けられている。そし
て、ターゲット11の上方には開閉可能なシャッター1
4が設けられており、さらに遮蔽板15が設けられてい
る。なお、マグネット12は必須なものではない。
【0023】また、スパッタリング室1の側壁には、ス
パッタリングガスをスパッタリング室1内に供給するた
めのガス供給系16およびスパッタリング室1内を排気
するためのガス排気系17が接続されている。
【0024】このように構成されるスパッタリング装置
においては、排気系17によりスパッタリング室1内を
所定の真空雰囲気にしつつ、ガス供給系16からスパッ
タリング室内にスパッタリングガスを供給する。そし
て、基板ホルダー4に保持された基板5を自転および公
転させつつ、電源13からスパッタリング源10に給電
してプラズマを生成し、ターゲット11にスパッタリン
グガスのイオンを衝突させて、スパッタ粒子を叩きだ
し、それを基板5に堆積させる。
【0025】本発明は、このような基板を自転および公
転させる自公転スパッタリングにおいて、自公転パラメ
ータ間の関係を規定したものであるため、以下に各パラ
メータについて説明する。
【0026】図3に模式的に示すように、ターゲット1
1の中心位置(矩形ターゲットの場合には短軸中心位
置)をOt、基板ホルダー4の公転中心をOh、自転中
心をOs、Oh−Os間距離をDs、Oh−Ot間のタ
ーゲット面と平行な方向の距離をDt、基板面とターゲ
ット面間のターゲット面と垂直な方向の距離をH、ター
ゲットのエロージョン外周半径、つまりターゲットの中
心位置からエロージョンが生じている部分の最外周まで
の距離をE(矩形ターゲットの場合は短軸方向のターゲ
ット中心位置とエロージョン最外部位置間の距離、また
マグネットを用いない場合にはターゲットの半径)、基
板の中心からの成膜半径をRとする。また、基板の単位
時間当たりの公転数をωh、単位時間当たりの自転周波
数をωsとすると、公転周期Th、自転周期Tsは各々
ωh,ωsの逆数である。
【0027】本発明を適用するにあたり、ターゲット1
1の材料は特に限定されるものではないが、本発明の効
果が顕著に表れることから磁性体が好ましい。本発明の
ターゲットとして用いられる磁性体としては、磁気記録
媒体原料であるCoCrTa,CoPt,CoNi等、
磁気記録ヘッド原料であるNiFe,FeAlSi,C
oAZrNb,FeTa、FeZr等、光磁気記録媒体
原料であるTbFeCo,MnBi等、種々のものが使
用可能であるが、磁気記録ヘッド用の高透磁率原料をタ
ーゲットに用いた場合に本発明の効果が最も顕著に表れ
る。なお、磁性体ターゲット以外にも強誘電体ターゲッ
ト等を使用することもできる。
【0028】以下に、特に本発明の効果が顕著に表れる
高透磁率磁性体ターゲットを使用して実験を行った結果
について説明する。図1の構成のスパッタリング装置を
用い、スパッタリングターゲットとしてFeAlSiを
用いて、先ず基板ホルダを静止させた状態でスパッタリ
ングを行い、基板上に形成された膜の厚さと特性の分布
を調査した。なお、ここでは、H=80mm、E=42
mmとした。
【0029】その結果を図4に示す。図4において、横
軸は基板面上のOt直上の位置を原点とした基板位置を
示し、縦軸は左側が成膜速度、右側が膜面内の内部応力
差を示す。
【0030】成膜速度分布は一般的にターゲット面から
スパッタリング粒子が略余弦則に従って放出するとした
分布に一致する。内部応力差Δσは膜面内において、タ
ーゲットに対して半径方向(矩形ターゲットでは短軸方
向)とそれとは垂直な方向の基板のそり量との差から導
出したものであり、膜面内の磁気的異方性の評価基準で
ある。Δσが0であれば等方膜であり、正であればター
ゲット半径方向に垂直な方向に磁気的異方性を有してお
り負であればターゲット半径方向に磁気的異方性を有し
ている。
【0031】図4に示すように、Δσはターゲットエロ
ージョンの内側では0、エロージョン直上付近(エロー
ジョン領域よりも広い;広がりはHに依存する)では
正、エロージョン外側では負となっており、スパッタリ
ング粒子の基板面への平均的な入射角度に従って磁気的
異方性が生成されることが確認される。
【0032】ここで、E、HによってΔσが符号を反転
する位置や反転する位置付近での傾斜は異なるが、Δσ
の分布自体は一般的なものであり、本発明は実験とシミ
ュレーションによってこのようなΔσの分布のE,H依
存性を一般的なものとして考慮している。
【0033】また、上記FeAlSi以外の他の磁性体
膜や誘電体膜、結晶性膜や非晶質膜等を形成する場合に
おいても、基板面へのスパッタリング粒子の入射角度
が、膜の磁気的、誘電的もしくは結晶的あるいは近接原
子配列的性質と関連するので、図4の分布はFeAlS
i特有のものではなく一般的なものである。つまり、ス
パッタリング粒子の平均入射角度が基板面にほぼ垂直な
エロージョン内部では等方的性質の膜となり、スパッタ
リング粒子の平均入射角度が膜面内でターゲットの半径
方向に対して垂直の方向に強く局在するエロージョン直
上付近と、スパッタリング粒子の平均入射角度が膜面内
でターゲット半径方向に局在するエロージョン外部と
で、各々逆符号の膜面内異方性を呈することが一般的で
あるので、図4の関係から一般的な議論を展開すること
は何等差支えない。
【0034】次に、本発明におけるDs,Dt,E,H
の関係を明確にする目的で、図4の分布を用いて、基板
ホルダを自転および公転させた場合のΔσの分布を周回
積分計算と実験(計算、実験共にThの10倍以上の成
膜時間とした)によって調べた。
【0035】図5、図6はその計算結果の一例であり、
E=42mm、H=80mmの場合に、図5はDs=0
(自転・公転軸が一致)としてDtを変えた場合のΔσ
分布を示し、図6はDt=0(ターゲット中心軸と公転
軸が一致)としてDsを変えた場合のΔσ分布である。
【0036】これら図5、図6は本発明の条件範囲の臨
界値を与えるものであり、これらの図から周回積分した
Δσが0の等方的成膜が実質的に可能な基板領域Rを有
するためには、図5においてはDt=50mm、すなわ
ちDs+Dt=E+0.1H、|Ds−Dt|=E+
0.1Hであり、図6においてはDs=50mm、すな
わちDs+Dt=E+0.1H、|Ds−Dt|=E+
0.1Hである必要がある。そして、このとき、図5、
図6のいずれもRが30mmであるから、R=0.6
(Ds+Dt)が成り立つ。つまりDs=0もしくはD
t=0の臨界条件では各々1点ずつが等方膜を得るため
の条件となる。
【0037】実験的な検証を行うためにDt=0の条件
でDsを40,50,60mmの三通りに変えて実験し
た結果、ほぼ図6の計算結果と同一の結果となり計算の
妥当性が実証された。
【0038】そして、種々のDs,Dt,E,Hの組合
わせで同様に計算を行い、周回積分したΔσが0の実質
成膜可能な基板領域Rを有する条件を調べた結果、 Ds+Dt≧E+0.1H (1) |Ds−Dt|≦E+0.1H (2) なる条件で成膜すれば、 R≦0.6(Ds+Dt) (3) なる領域で等方膜の形成が可能なことを見出した。
【0039】計算したポイントと本発明の範囲を図示し
たものが図7である。図7において丸印および星印が等
方膜であり、×印は非等方膜であって、上記(1)式、
(2)式の範囲において等方膜が得られることを示して
いる。なお、従来の製膜条件は一般的にDs+Dt<E
+0.1H、すなわち図7のAで示された本発明の範囲
からは外れる領域であり、等方膜が得られないことがわ
かる。
【0040】また、図8は典型例として図7の星印で示
した条件で形成した膜のΔσの分布を示したものであ
り、Rが40mm程度まで等方膜が得られていることが
確認される。
【0041】なお、図7はEとHに関して一般的に表記
したが、計算ではEを30〜100mm、Hを50〜2
00mmの実用的と考えられる範囲で変化させた。図8
はEが42mm、Hが80mmの場合である。
【0042】以上の計算結果および一部の実験結果は成
膜時間(T/t;Tは膜厚、tは成膜速度)がThの1
0倍以上とした例であるが、成膜時間が短すぎる場合に
は周回積分による等方効果が不十分であると考えられる
ため、次に図8の条件でΔσの時間変化をシミュレート
した。その結果を図9に示す。
【0043】予想したように図9ではT/tが短いと膜
厚方向のΔσ変調が緩和されてなく時間に対して広い振
幅で振動することが示されている。そして、図9から明
らかなように、 T/t≧10Th (4) とすれば膜厚方向のΔσ変調は充分に緩和されΔσの時
間変動が実質的に問題とならない振幅内に抑えられるこ
とがわかる。
【0044】以上は公転周期と自転周期との比が整数で
なくかつ整数分の一でもない自公転方式を採用した場合
の結果だが、自転周期と公転周期との比が整数の場合に
は一公転後に基板の同じ位置がターゲットに対して同一
の位置に戻るために膜厚方向にΔσが緩和されにくくな
り、T/t≧10Thの後もΔσの振幅が図9に示した
本発明の場合に比べて3倍程度大きかった。Δσの振幅
をどの程度に抑制するかは形成する膜とその膜を応用す
る素子に依存して一義的には決められないが、本発明の
図9程度の振幅であればどのような素子仕様にも対応可
能である。従って、 Th/TsおよびTs/Th:非整数 (5) とするのがよい。
【0045】以上の条件に従って磁性体膜または誘電体
膜を形成すれば磁気的、誘電的な等方性が得られ、また
以上の条件に従って結晶膜または非晶質膜を形成すれば
結晶的、近接原子配列的な等方性が得られるが、軟磁性
体膜について検討した結果、以上のような等方性の条件
を満たしているのみならず、望ましくは軟磁性発現のた
めのさらなる付加条件が必要であることが明らかとなっ
た。
【0046】以下に、その付加条件について説明する。
FeAlSi膜、FeZrN膜、NiFe膜といった代
表的な軟磁性膜について上述の(1)〜(5)の条件を
満たす条件で成膜を試みた結果、磁気的に等方性を有す
る膜は得られたものの、基板面におけるターゲット中心
の点からE+31/2 ×Hを越えて離れた位置(ターゲッ
トエロージョン外周からターゲット面に対して30°の
ラインと基板面の交点より外側)を長い時間帯に亘って
基板が通過する場合には膜の保磁力が充分に低下せずに
軟磁性上問題があることが判明した。
【0047】これは経験的に知られている、基板上に入
射するスパッタリング粒子の角度が過度に斜めになる
か、あるいは過度に低い成膜速度で膜形成が行われる
と、軟磁性の発現が困難であるという事実から導かれる
ものである。
【0048】そこで、スパッタリング粒子が過度に斜め
入射する部分もしくは過度に成膜速度の遅い部分では膜
が形成されないように、ターゲットと基板との間にター
ゲット中心上を中心とする半径rの略円形開口部を有す
る図1に示されるような遮蔽板を、ターゲット面に平行
に設置して実験した結果、遮蔽板とターゲット間の距離
をhとおく時、開口部の半径rが r≦E+31/2 ×h (6) の条件を満足(すなわちターゲットエロージョン外周か
らターゲット面に対して30°のライン内に遮蔽板の開
口部が有る条件を満足)していれば、等方性と軟磁性を
両立することが明らかとなった。
【0049】この(6)の条件を満足するスパッタリン
グ方法を採用した場合には遮蔽板の無い場合に比較する
と生産性は若干低下するが、低下の度合いは僅かであっ
て、例えば現行の軟磁性等方膜の形成に使用されている
基板をターゲット直上に静止させて形成する方法に比べ
れば、(6)の等号の条件では約3倍の成膜能力を実現
することができる。
【0050】上記(6)の条件については経験的なもの
であり、軟磁性膜の形成に有用であるが、ハード磁性体
膜、誘電体膜等ではこれを満足する必要はない。なお、
以上の説明では本発明を磁性体膜形成に適用した場合
に、膜の等方性が確保され、製造性が向上することを示
したが、膜の異方性の主要な原因の一つが基板面上への
スパッタ粒子の入射角度であることから、上述したよう
に、本発明は磁性体膜を形成する場合のみならず誘電体
膜等を形成する場合にも同様の効果が得られ、また膜が
結晶質、非晶質にかかわらず同様な効果が得られること
は自明である。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、膜特性、特に膜の等方
性が良好な薄膜を生産性良く形成することができるスパ
ッタリング装置およびスパッタリング方法が提供され
る。従って、薄膜素子の製造性が向上し、薄膜素子を低
価格で提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るスパッタリング装置を
示す断面図。
【図2】図1の装置に用いられる基板支持部を示す底面
図。
【図3】本発明のパラメータを説明するために、本発明
のスパッタリング装置を模式的に示した図。
【図4】基板ホルダを静止させた状態でスパッタリング
を行った場合の基板位置と成膜速度および膜面内の内部
応力差との関係を示す図。
【図5】図4の分布を用いて、Ds=0としてDtを変
化させて基板ホルダを自転および公転させた場合のΔσ
の分布を周回積分計算した結果を示す図。
【図6】図4の分布を用いて、Dt=0としてDsを変
化させて基板ホルダを自転および公転させた場合のΔσ
の分布を周回積分計算した結果を示す図。
【図7】Dtを横軸にとりDsを縦軸にとった座標にお
いて、等方膜が得られる範囲を示す図。
【図8】図7の等方膜が得られる範囲内の条件で実際に
成膜を行った場合における膜の等方性を示す図。
【図9】成膜時間と膜の等方性との関係を示す図。
【符号の説明】
1……スパッタリング室、2……基板支持部、3……支
持板、4……基板ホルダー、5……基板、6……回転モ
ーター、7……回転軸、8……主ギア、9……副ギア、
10……スパッタリング源、11……スパッタリングタ
ーゲット、12……マグネット、13……スパッタリン
グ電源、14……シャッター、15……遮蔽板、16…
…ガス供給系、17……ガス排気系。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 昭彦 神奈川県座間市相模が丘6丁目25番22号 株式会社芝浦製作所相模工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス供給系と排気系とが設けられたスパ
    ッタリング室と、このスパッタリング室内に設置された
    スパッタリング源と、このスパッタリング源に設置され
    たターゲットと、前記スパッタリング源に給電して前記
    ターゲット近傍にプラズマを生成させるための電源と、
    前記ターゲットから放出されたスパッタリング粒子を被
    着させるための基板を支持すると共に自転公転可能な基
    板ホルダとを具備するスパッタリング装置であって、前
    記基板ホルダの公転軸と自転軸との距離をDs、前記基
    板ホルダの公転中心と前記ターゲットの中心とのターゲ
    ット面と平行な方向の距離をDt、ターゲット面と基板
    ホルダに保持された状態の基板の表面とのターゲット面
    と垂直な方向の距離をH、ターゲットの中心とターゲッ
    トのエロージョン部最外側位置との距離をEとした場合
    に、 Ds+Dt≧E+0.1H |Ds−Dt|≦E+0.1H の関係を満たすことを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記基板ホルダの自転中心からの基板の
    成膜半径をRとした場合に、 R≦0.6(Ds+Dt) の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスパ
    ッタリング装置。
  3. 【請求項3】 前記基板ホルダの公転周期をTh、自転
    周期をTsとした場合に、Th/TsおよびTs/Th
    が非整数であることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載のスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 スパッタリング室内に設置されたスパッ
    タリング源にターゲットを設置し、ターゲット近傍にプ
    ラズマを生成させると共に、プラズマ中のイオンをター
    ゲットに入射させてターゲットからスパッタリング粒子
    を放出させ、基板を自転公転させながら、該基板にスパ
    ッタリング粒子を被着させて膜を形成するスパッタリン
    グ方法であって、前記基板の公転軸と自転軸との距離を
    Ds、前記基板の公転中心と前記ターゲットの中心との
    ターゲット面と平行な方向の距離をDt、ターゲット面
    と基板ホルダに保持された状態の基板面とのターゲット
    面と垂直な方向の距離をH、ターゲットの中心とターゲ
    ットのエロージョン部最外側位置との距離をE、前記基
    板の自転中心からの基板の成膜半径をRとした場合に、 Ds+Dt≧E+0.1H |Ds−Dt|≦E+0.1H R≦0.6(Ds+Dt) の関係を満たすことを特徴とするスパッタリング方法。
  5. 【請求項5】 スパッタリング粒子が基板に被着される
    ことにより基板上に形成される膜の膜厚をT、単位時間
    に形成される膜の膜厚をt、前記基板の公転周期をTh
    とした場合に、 T/t≧10Th の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載のスパ
    ッタリング方法。
  6. 【請求項6】 前記基板の公転周期をTh、自転周期を
    Tsとした場合に、Th/TsまたはTs/Thが非整
    数であることを特徴とする請求項4または請求項5に記
    載のスパッタリング方法。
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