JPH08239668A - 高炉用コークスの製造方法 - Google Patents

高炉用コークスの製造方法

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JPH08239668A
JPH08239668A JP6858695A JP6858695A JPH08239668A JP H08239668 A JPH08239668 A JP H08239668A JP 6858695 A JP6858695 A JP 6858695A JP 6858695 A JP6858695 A JP 6858695A JP H08239668 A JPH08239668 A JP H08239668A
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coal
pressure
carbonization
coke
furnace
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JP6858695A
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Kiyoshi Miura
潔 三浦
Takafumi Sachi
孝文 佐地
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾留効率化とコークス品質の安定向上を図
る。 【構成】 室炉式コークス炉で高炉用コークスを製造す
る方法において、装入炭の全水分を5重量%以下に調整
したのち炭化室に装入し、装炭中から炭化室上部の石炭
層上面がコークス化するまでの乾留初期の間、炭化室上
部空間圧力を−10mm〜−60mmH2Oの負圧に保
持して乾留する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、室炉式コークス炉で
の乾留時における伝熱効率を大幅に改善した高炉用コー
クスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の室炉式コークス炉では、炭化室に
装入された装入炭の乾留に必要な熱量は、燃焼室から炉
壁煉瓦を通して石炭層の両側から供給される。このた
め、炉壁面に近い部分の石炭は、急速に乾留されてコー
クスとなり、その中心寄りには、半溶融状態の軟化溶融
層が存在し、その内部には、粉炭のままの石炭があると
いう状態がかなりの時間継続する。
【0003】近年、コークス業界においては、コークス
炉の乾留効率化と炉体延命化とを図りながら、コークス
品質の安定向上を達成することが要求されており、その
ための技術開発が進められている。しかし、コークス炉
の乾留効率化と炉体延命化とは、相反する要求であり、
これらを両立させることは容易なことではない。乾留効
率化の方法としては、例えば、通常8〜10%含有され
ている装入炭の全水分を、5〜6%に低減して装入する
調湿炭装入法、装入炭を170〜250℃まで乾燥予熱
して全水分を2%以下に低減して装入する予熱炭装入法
が知られている。
【0004】上記調湿炭装入法や予熱炭装入法は、乾留
所要時間短縮によるコークス炉生産性の向上、装入嵩密
度の増大と乾留中の石炭の軟化溶融層幅の拡大によるコ
ークス化性の改善向上、乾留所要熱量の低減を図ること
ができるという利点を有している。一方、調湿炭装入法
や予熱炭装入法は、装入炭の乾燥あるいは予熱のために
莫大な設備投資を必要とするばかりでなく、炉内での装
入嵩密度の増大により乾留に際し炉壁へ大きな石炭膨張
圧が作用し、炉壁を損傷する虞があるという問題点を有
している。このため、調湿炭装入法や予熱炭装入法は、
一般に普及するに至らず、一部のコークス工場で採用さ
れているに過ぎない。
【0005】また、乾留効率化を図る他の方法として
は、炉幅あるいは炉高を拡大する検討がなされている
が、これらは新規にコークス炉を設置する場合にのみ有
効で、既設のコークス炉に適用できないため、既設炉の
乾留効率化にはつながらない。さらに、炭化室と燃焼室
間の炉壁煉瓦を薄くして伝熱性を改善する方法は、一部
実用化されてはいるが、煉瓦の薄肉化は炉体の堅牢性を
損なうおそれがあり、必ずしも採用できるとは限らな
い。
【0006】一方、炉体の延命化を実現する最も簡便な
方法は、炉温を下げて低負荷操業を実施することである
が、これは生産性を下げてしまうため、乾留効率化とは
相矛盾した方法である。また、近年の炉体補修技術の進
歩は、炉体寿命の増大に大きな効果を上げているが、こ
れは損傷した炉体の補修であって、事後処理の技術であ
る。上記従来技術では、乾留効率化と炉体延命とを両立
させながら、コークス品質の安定向上を図ることは、極
めて困難な問題であった。
【0007】また、他の観点からの乾留効率化と炉体延
命とを両立させながらコークス品質の安定向上を図る方
法としては、炭化室に装入された装入炭の上面をレベリ
ングしたのち、コークス炉に設けられた開口部から炭化
室内の装入炭内に向けて金棒を差し込み、その後にこの
金棒を引き抜いて装入炭に炭化室の上部空間と通じる抽
気孔を設け、乾留初期に発生する水蒸気流れを炉壁側か
ら炭化室上部空間方向に変換し、伝熱効率を改善する方
法(特開平2−145687号公報)、装入炭に炭化室
の上部空間と通じる抽気孔を設け、乾留初期に発生する
水蒸気流れを炉壁側から炭化室上部空間方向に変換する
方法において、加熱の開始から1時間経過時点を起点と
する1〜5時間に亘り、炭化室の上部空間における内圧
を+5mmH2O以下に維持し、抽気効率を向上する方
法(特開平3−177493号公報)、炭化室内の装入
炭内にガイドパイプを介して炉外に通じる抽気孔を設
け、前記ガイドパイプ出口を導管を介して集気本管に接
続し、集気本管に設置した抽気用高圧流体噴射ノズルに
より前記抽気孔内を−60mmH2O以内の負圧に保持
する方法(特開平4−270788号公報)等が提案さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平2−145
687号公報、特開平3−177493号公報および特
開平4−270788号公報に開示の方法は、理論的に
は優れた方法であるが、現実の装炭車あるいは押出機搭
載のレベラーを改造して抽気孔を形成する装置の実用化
と、コークスの排出から装炭完了までの操業上のサイク
ルタイムの時間的制約があり、乾留初期に発生する水蒸
気および熱分解ガスの抽気に十分な数の抽気孔を形成す
ることができず、工業的規模での実用化はなされていな
い。また、これらの方法は、装入炭水分が5%以下で
は、抽気孔を安定して形成することができず、調湿炭装
入法や予熱炭装入法に適用することは不可能である。
【0009】この発明の目的は、上記従来技術の欠点を
解消し、装入炭に炭化室の上部空間と通じる抽気孔を設
けることなく、乾留初期に発生する水蒸気等のガス流れ
を炉壁側から炭化室中心部ついで上部空間方向に変換で
き、乾留効率化とコークス品質の安定向上を図ることが
できる高炉用コークスの製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく装入炭中に0〜5%含有される水分と、石
炭の熱分解によって発生するガスの乾留過程における流
れ挙動に着目して試験検討を行った。その結果、前記し
たとおり乾留初期においては、炉壁面に近い部分および
上面の石炭は、急速に乾留されてコークスとなり、その
中心寄りには、半溶融状態の軟化溶融層が存在し、その
内部には、粉炭のままの石炭があるという状態がかなり
の時間継続する。乾留中に石炭層内で発生する水蒸気と
石炭の熱分解によって発生する熱分解ガスは、炉高方向
の石炭層の通気抵抗が大きいため、軟化溶融層を突き破
って炉壁側に向けて流れ、高温のコークス層および炉壁
と熱交換しながら炉壁に沿って上昇し、上部空間に流れ
出す。このため、燃焼室から炉壁を介して供給される熱
量は、水蒸気、熱分解ガスとの熱交換によって奪われて
石炭層への熱伝達が阻害され、乾留効率が低下するので
ある。
【0011】本発明者らは、水蒸気と熱分解ガスの流れ
を炉幅方向では炉壁から炭中側へと流し、その後炉高方
向の炭化室上部空間に変えてやれば、水蒸気と熱分解ガ
スの流れに乗って熱も移動することになり、より効率的
に炉壁から石炭層への伝熱を促進できることを確認し
た。本発明者らは、さらに試験検討を重ねた結果、水蒸
気と熱分解ガスの流れを炉壁から炭中側そして炉高方向
へと変える手段として、炭化室上部空間の圧力を所定の
負圧に保持することが有効であることを見い出した。ま
た、炭化室上部石炭層は、水蒸気と熱分解ガスの流れを
炉壁から炭中側そして炉高方向へと変えることによっ
て、石炭層内を上昇する水蒸気と熱分解ガスによって熱
を奪われるため、コークス化が遅れて強固な軟化溶融層
とコークス層の形成も遅れ、炉高方向の通気抵抗を低く
維持することができ、長時間安定して水蒸気と熱分解ガ
スの流れを炭中部から炭化室上部空間方向にコントロー
ルすることができることを究明した。
【0012】コークス炉炭化室内を負圧で操業する方法
としては、装入から押出までの全乾留期間に、コークス
炉内圧を大気圧以下に設定し、測定圧力を同設定圧力と
比較し、同差圧によって発せられる制御信号によって、
上昇管に設けた制御ダンパーの開閉もしくは同上昇管内
に圧力流体を吹き込み、もしくは2方法の組合せによっ
て上昇管内の吸引圧を調整する方法(特開平6−415
37号公報)が提案されている。この特開平6−415
37号公報に開示の発明の目的は、空気吸引に伴うコー
クス炉体の損傷を回避しつつ、乾留副産物の大気への放
出を防止して環境を改善することにある。また、特開平
6−41537号公報の実施例で示されて負圧は、炉蓋
下部の炉端で最大−10mmH2Oであるが、炉蓋下部
の炉端で−10mmH2Oの負圧を付与するためには、
炭化室の上部空間圧力を−60mmH2Oに保持して
も、3時間以上経過しなければ−10mmH2Oに低下
できないことを確認している。
【0013】炉蓋下部の炉端で0mm〜−10mmH2
Oの負圧に短時間でするには、炭化室の上部空間圧力を
−60mmH2O以下に保持しなければならず、実操業
の装入炭では軟化溶融層が破壊されては軟化溶融層の通
気抵抗が低下し、石炭層内で発生する水蒸気および軟化
溶融層で発生する熱分解ガスが炉壁側に流れるため、炉
壁に沿って高温のコークス層および炉壁と熱交換しなが
ら上昇し、炉壁を介して供給される熱を奪うこととな
り、コークス層への供給熱が減少し乾留が遅れ、伝熱効
率の向上には顕著な効果がない。一方、炭化室上部空間
の圧力を−10mm〜−60mmH2Oの負圧に保持す
ることによって、炭化室上部の装入炭上面は、炉壁と接
触する装入炭側面部分の陽圧に比較してかなりの負圧と
なり、石炭層内で発生した水蒸気と熱分解ガスは、炉壁
側の軟化溶融層やコークス層側に流出することなく、炭
中側の石炭層内を上昇して上部空間に流出することとな
る。このため、炭化室上部の石炭層上面は、石炭層内を
上昇して上部空間に流出する水蒸気と熱分解ガスによっ
て熱を奪われ、コークス化が遅れ、強固な軟化溶融層と
コークス層の形成も遅れるので、炉高方向の通気抵抗を
低く維持でき、長期間安定して水蒸気と熱分解ガスを石
炭層内で上昇させることができ、燃焼室から炉壁を介し
て供給される熱を石炭層に効率的に伝達でき、乾留効率
を大幅に向上させることができることを究明し、この発
明に到達した。
【0014】すなわちこの発明は、室炉式コークス炉で
高炉用コークスを製造する方法において、装入炭の全水
分を5重量%以下に調整したのち炭化室に装入し、装炭
中から炭化室上部の石炭層上面がコークス化するまでの
乾留初期の間、炭化室上部空間圧力を−10mm〜−6
0mmH2Oの負圧に保持して乾留することを特徴とす
る高炉用コークスの製造方法である。
【0015】
【作用】この発明においては、装入炭の全水分を5重量
%以下に調整したのち炭化室に装入し、装炭中から炭化
室上部の石炭層上面がコークス化するまでの乾留初期の
間、炭化室上部空間圧力を−10mm〜−60mmH2
Oの負圧に保持して乾留することによって、炭化室上部
の装入炭上面は、炉壁と接触する装入炭側面部分に比較
してかなりの負圧となり、石炭層内で発生した水蒸気と
熱分解ガスは、炉壁側の軟化溶融層やコークス層側に流
出することなく、炭中側の石炭層内を上昇して上部空間
に流出する。このため、炭化室上部の石炭層上面は、石
炭層内を上昇して上部空間に流出する水蒸気と熱分解ガ
スによって熱を奪われ、コークス化が遅れ、強固な軟化
溶融層とコークス層の形成も遅れるので、炉高方向の通
気抵抗を低く維持でき、長期間安定して水蒸気と熱分解
ガスを石炭層内で上昇させることができ、燃焼室から炉
壁を介して供給される熱を石炭層に効率的に伝達でき、
乾留効率を大幅に向上させることができる。
【0016】この発明において、装入炭の全水分を5重
量%以下に限定したのは、装入炭の全水分が5重量%以
下では、石炭層に抽気用の開孔部を形成できず、前記特
開平3−177493号公報および特開平4−2707
88号公報に開示の方法を実施できないためである。ま
た、この発明における炭化室上部空間圧力とは、炭化室
上部空間で雰囲気圧力の最も低い上昇管基部の炭化室上
部空間の雰囲気圧力を意味する。また、この発明におい
て、炭化室上部空間圧力を−10mm〜−60mmH2
Oの負圧に限定したのは、−10mmH2O未満の負圧
では、図3(a)に示すとおり、石炭層31内で発生す
る水蒸気および軟化溶融層32で発生する熱分解ガスの
ガス流れ33は、炉高方向の圧力差が小さいため、炉高
方向の通気抵抗が大きく、石炭層31内を上昇する割合
が非常に少なく、軟化溶融層32を突き破って炉壁34
側に流れ、炉壁34とコークス層35に沿って熱交換し
ながら上昇し、炉壁34からコークス層35への供給熱
36を奪うからである。また、−10mm〜−60mm
2Oの負圧では、図3(b)に示すとおり、実操業の
装入炭で軟化溶融層32が破壊されずに乾留が進行し、
石炭層31内で発生する水蒸気および軟化溶融層32で
発生する熱分解ガスは、矢印で示すとおり石炭層31内
を上昇し、燃焼室から炉壁34を介して供給される熱を
コークス層35に効率的に伝達できることを確認してい
る。さらに、−60mmH2Oを超える負圧では、図3
(c)に示すとおり、実操業の装入炭では軟化溶融層3
2が破壊され、軟化溶融層32の通気抵抗が低下するこ
とから、炭中側にある水蒸気・熱分解ガスは、炉壁34
側に流出し始め、図3(a)に示す従来の乾留法と同等
のガス流れとなり、伝熱効率が低下するからである。
【0017】この発明において、乾留初期の間炭化室上
部空間圧力を−10mm〜−60mmH2Oの負圧に保
持する方法としては、集気本管の圧力を−10mm〜−
60mmH2O以下の負圧となし、上昇管ベンド下部の
皿弁の開度を調整する方法、上昇管ベンド部に高圧安水
あるいは高圧蒸気を噴射し、そのエゼクタ効果によって
負圧にする方法、あるいはこれらの方法を組合せた方法
を用いることができる。炭化室上部空間圧力を−10m
m〜−60mmH2Oの負圧に制御するには、炭化室上
部空間の測定圧力を予め設定した設定圧力と比較し、同
差圧により発せられる制御信号によって、皿弁の開度調
整、高圧安水または高圧蒸気の噴射量調整、あるいはこ
れらの両方を組合せて行うことができる。
【0018】
【実施例】 実施例1 以下にこの発明方法の詳細を実施の一例を示す図1に基
づいて説明する。図1はこの発明方法を実施するための
制御システムの説明図である。図1において、1はコー
クス炉の炭化室、2は炭化室の押出機側天井部に立設さ
れた上昇管、3は上昇管2と集気本管4とを連結するベ
ンド管、5、6は炭化室1の窯口に装着された炉蓋、7
は炭化室1の天井部に4ケ設けられた装炭口、8は炉上
を炉列方向に移動自在の装炭車、9は装炭車8に設けら
れた集塵用の吸引ダクトで、炉端に炉列方向に配設した
固定ダクト10と接続自在に構成され、装炭時に各装炭
口7から噴出するガスを吸引する。11はベンド管3に
設けられた高圧安水の噴射ノズルで、高圧安水配管12
からの高圧安水を噴射ノズル11から噴射すれば、その
エゼクタ効果によって上昇管2から集気本管4にガスが
吸引され、炭化室1の上部空間を所定の負圧に保持でき
るよう構成されている。
【0019】13、14は炉蓋5、6の下部に設けた炉
端面の炉内圧力を検出する圧力検出センサ、15は上昇
管2の基部炭化室1の天井部に設けた圧力検出センサ、
16は炭化室1の天井中央部に設けた上部空間の圧力を
検出する圧力検出センサ、17は炭化室1の上昇管2と
は反対側の端部天井部に設けた上部空間の圧力を検出す
る圧力検出センサである。18はプロセスコントローラ
で、予め炭化室1の上部空間の設定圧力ならびに上部空
間の圧力制御時間、すなわち、装炭中から炭化室1上部
の石炭層19の上面がコークス化するまでの時間が設定
入力されていると共に、圧力検出センサ15によって検
知された炭化室1の上部空間の圧力情報が入力される。
プロセスコントローラ18は、圧力検出センサ15から
入力される炭化室1の上部空間の圧力と、予め入力され
ている設定圧力とを比較し、その差圧によって制御信号
を発し、噴射ノズル11への高圧安水流量を調整する流
量調整弁20を開いて開度を調整し、噴射ノズル11へ
の高圧安水流量を調整して炭化室1の上部空間圧力を設
定圧力に調整し、予め設定されている圧力制御時間が経
過すれば、流量調整弁20を閉止するよう構成されてい
る。
【0020】上記のとおり構成したことによって、炭化
室1に装炭車8から各装炭口7を介して装入炭が装入さ
れ、炭化室1上部の石炭層19の上面が図示しない押出
機に搭載したレベラーでレベリングされたのち、各装炭
口7の装入蓋が装着されると、プロセスコントローラ1
8は、圧力検出センサ15から入力される炭化室1の上
部空間の圧力と、予め入力されている設定圧力とを比較
し、その差圧によって制御信号を発し、噴射ノズル11
への高圧安水流量を調整する流量調整弁20を開いて開
度を調整し、噴射ノズル11への高圧安水流量によりエ
ゼクタを調整して炭化室1の上部空間圧力を設定圧力に
調整し、予め設定されている圧力制御時間が経過すれ
ば、流量調整弁20を閉止し、上部空間圧力を陽圧に制
御する。
【0021】したがって、炭化室1上部の装入炭上面
は、炉壁と接触する装入炭側面部分に比較してかなりの
負圧となり、石炭層19内で発生した水蒸気と熱分解ガ
スは、炉壁側の軟化溶融層やコークス層側に流出するこ
となく、炭中側の石炭層内を上昇して上部空間に流出す
る。このため、炭化室1上部の石炭層19上面は、石炭
層内を上昇して上部空間に流出する水蒸気と熱分解ガス
によって熱を奪われ、コークス化が遅れ、強固な軟化溶
融層とコークス層の形成も遅れるので、炉高方向の通気
抵抗を低く維持でき、長期間安定して水蒸気と熱分解ガ
スを石炭層内で上昇させることができ、燃焼室から炉壁
を介して供給される熱を石炭層に効率的に伝達でき、乾
留効率を大幅に向上させることができる。
【0022】実施例2 前記実施例1の制御システムを用い、全水分3%の装入
炭を炭化室に装入したのち、上昇管基部の炭化室上部空
間圧力を乾留初期の3時間のみ、高圧安水流量を調整し
て−60mmH2Oの負圧に保持し、その後高圧安水を
停止して上昇管基部の炭化室上部空間圧力を0mmH2
Oに保持して乾留した。この場合における炉蓋下部に設
けた圧力検出センサによる炉内圧力の変化を図2に示
す。また、発生ガスの組成を従来法の場合と比較して表
1に示す。図2に示すとおり、炉蓋下部の炉内圧力は、
上昇管基部の炭化室上部空間圧力を−60mmH2Oの
負圧に3時間保持しても、大気圧以上に保持されてお
り、炉蓋のこの位置からの空気の侵入はない。また、炉
蓋の上部位置では、負圧になる部位も存在するが、例え
ば、空冷炉蓋等を採用して炉蓋のシールを強化すること
によって、炭化室内への空気の侵入を防止できる。
【0023】
【表1】
【0024】表1に示すとおり、発生ガスは、従来法に
比較してN2濃度にも変化が認められず、上昇管基部の
炭化室上部空間圧力を−60mmH2O以内の負圧にし
ても、炭化室内への空気の吸入を回避できている。さら
に、コークス炉の排ガス煙道の煤煙濃度の測定結果から
も、炭化室と燃焼室間のガスリークが認められなかっ
た。さらにまた、装炭車から炭化室に装入炭を装炭時
も、炭化室の上部空間は負圧であるため、装炭口と炉蓋
まわりからの発塵・ガス漏れは認められなかった。
【0025】実施例3 炉高7125mm、炉幅460mm、炉長16500m
mのコークス炉を用い、炭化室上部の装入炭表面がコー
クス化する前までの3時間を、上昇管ベンド部の高圧安
水の噴射量を制御して上昇管基部の炭化室上部空間圧力
を+10mmH2O、−5mmH2O、−15mmH
2O、−30mmH2O、−60mmH2O、−80mm
2Oに保持したのち、以降は乾留終了まで炭化室上部
空間圧力を大気圧に保持し、平均フリュー温度1210
℃、乾留時間22時間で、表2に示す性状の全水分3
%、温度70℃の装入炭を装入して乾留するに際し、炭
化室に装入された装入炭中に上昇管から1番遠い装炭
口、上昇管に1番近い装炭口および炭化室中央の集塵孔
に、それぞれ炉底から1m、3m、5mの位置に熱電対
を設置し、炭中温度を測定して9点平均の炭中温度90
0℃到達時間を求めた。その結果を表3に示す。また、
乾留終了して排出したコークスは、湿式消火したのちコ
ークワーフ上で9点サンプリングし、コークス強度の平
均値と窯内バラツキを求めた。その結果を表3に示す。
なお、この条件下では、装炭後3時間までは炭化室上部
の装入炭表面はコークス化していないことを確認した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】−10mmH2O、−30mmH2Oおよび
−60mmH2Oの本発明法は、+10mmH2Oの従来
法および−5mmH2Oの比較例1に比べ、900℃到
達時間が2.5〜3時間短縮され、乾留促進効果の大き
いことが認められる。また、−5mmH2Oの比較例1
では、乾留促進効果は殆ど認められなかった。さらに、
−80mmH2Oの比較例2の場合においては、−60
mmH2Oの本発明法の場合に比較して乾留促進効果が
低下しており、窯口コークスの焼失が認められると共
に、窯内のコークス強度バラツキが増大しており、窯口
からの空気の侵入と窯内乾留の均一な進行が阻害された
ものと考えられる。−10mmH2O、−30mmH2
および−60mmH2Oの本発明法では、乾留速度の向
上と共に最終コークス温度が上昇するので、コークス強
度が向上し、さらに窯内コークス強度バラツキが低減し
てコークス品質の向上安定に有効である。しかも、本発
明法では、コークスの焼けが十分に進行してコークスケ
ーキの炉壁からの肌離れも十分であり、コークス排出時
の押出力が低下している。このことは、炉壁の保全にも
有効であると考えられる。上記の本発明法は、水分を殆
ど含有していない200℃に予熱した予熱炭を装入炭と
して用いた場合にも、表4に示すとおり、効果のあるこ
とが確認している。
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、乾留初期に多量発生する水蒸気と熱分解ガスの流れ
を、炉幅方向石炭層の炭中部を経由して炭化室の上部空
間に抽気することができ、燃焼室から炉壁を介してコー
クス層に供給熱が有効に伝達され、乾留時間の短縮、乾
留速度の向上に有効であるばかりでなく、コークス品質
の安定向上とコークス排出時の押出力の低位安定化を図
ることができる。また、コークス炉からの粉塵、ガス漏
れが抑制され、作業環境の改善をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法を実施するための制御システムの
説明図である。
【図2】実施例2における乾留時間と炭化室上部空間圧
力と窯口部の炉内圧力との関係を示すグラフである。
【図3】炭化室内の水蒸気と熱分解ガスの流れの説明図
で、(a)図は炭化室の上部空間圧力が−10mmH2
O以上の場合、(b)図は炭化室の上部空間圧力が−1
0mm〜−60mmH2Oの場合、(c)図は−60m
mH2O以下の場合である。
【符号の説明】
1 炭化室 2 上昇管 3 ベンド管 4 集気本管 5、6 炉蓋 7 装炭口 8 装炭車 9 吸引ダクト 10 固定ダクト10 11 噴射ノズル 12 高圧安水配管 13、14、15、16、17 圧力検出センサ 18 プロセスコントローラ 19、31 石炭層 20 流量調整弁 32 軟化溶融層 33 ガス流れ 34 炉壁 35 コークス層 36 供給熱

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室炉式コークス炉で高炉用コークスを製
    造する方法において、装入炭の全水分を5重量%以下に
    調整したのち炭化室に装入し、装炭中から炭化室上部の
    石炭層上面がコークス化するまでの乾留初期の間、炭化
    室上部空間圧力を−10mm〜−60mmH2Oの負圧
    に保持して乾留することを特徴とする高炉用コークスの
    製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100530044B1 (ko) * 2000-12-14 2005-11-22 주식회사 포스코 코크스 오븐의 탄화실 압력 제어장치
CN112538361A (zh) * 2020-12-21 2021-03-23 中冶焦耐(大连)工程技术有限公司 一种错差凹槽式焦炉炭化室炉头结构
CN113956890A (zh) * 2021-09-29 2022-01-21 中冶焦耐(大连)工程技术有限公司 一种减少烟尘排放的焦炉炭化室结构

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