JPH0823257A - 磁歪振動子 - Google Patents

磁歪振動子

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JPH0823257A
JPH0823257A JP29740293A JP29740293A JPH0823257A JP H0823257 A JPH0823257 A JP H0823257A JP 29740293 A JP29740293 A JP 29740293A JP 29740293 A JP29740293 A JP 29740293A JP H0823257 A JPH0823257 A JP H0823257A
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JP
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magnetostrictive
oscillator
heat treatment
vacuum
waves
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JP29740293A
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Inventor
Isoo Sasahara
五十男 笹原
Noriyuki Yoshida
範行 吉田
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】個々の磁歪振動子素子の固有振動周波数の高い
ものから低いものまでの周波数の差を大きくした多数波
共振複合発振による可聴音波又は/及び超音波の発振可
能な超音波振動子を実現する。 【構成】本発明の磁歪振動子は、前記のように特許第5
90528号を改良して、真空電気炉での熱処理温度及
び熱処理時間等の熱処理条件を積極的に差を設けること
によって、同一形状・同一寸法・同一材料であっても異
なった固有振動周波数を持った磁歪振動子を複数枚数重
積成層することで、基本波の基本振動周波数の整数倍の
2次(基本振動周波数の2倍)、3次(基本振動周波数
の3倍)、4次(基本振動周波数の4倍)以上n次(基
本振動周波数のn倍)の高調波の何れかで基本波よりも
高いピークを有する可聴音波又は/及び超音波を得られ
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁歪振動子に関する。
【0002】
【従来の技術】特許第590528号の特許公報の請求
範囲に、「異なる条件で磁気的熱処理して固有振動周波
数を異ならしめたニッケル又は鉄、ニッケル合金等の鋼
板から成る数多の磁歪振動子素子を所要枚数重積成層
し、これに励振コイルを捲回して異なる数多の共振周波
数の発振を同時に得るようにし、その生理学的生物学的
作用による医療的機能特性を一層有効ならしめることを
特徴とする超音波治療器用の磁歪振動子。」という記述
があった。またこの本請求範囲の実施例において、「ニ
ッケル又は鉄、ニッケル合金の複数枚の角形磁歪振動子
用の素子に磁気的熱処理を加えるにあたり、ほぼ600
℃に加熱のうえ空気又はアルゴン、窒素等のガス中にお
いてそれぞれ所要設定の異なった時間放冷し、その後油
等に浸漬して急冷することによって、それぞれの角形磁
歪振動子用の素子が異なった固有振動数を持たせる。」
という意味の記載があった。
【0003】特許第590528号は、昭和40年に中
山忠男と笹原五十男が共同出願したものであるが、本特
許出願は吉田範行と特許第590528号の特許出願人
である笹原五十男とが特許第590528号の問題点を
検討して改良出願したものである。
【0004】特許第590528号の記述内容及び記載
内容に従って製作した磁歪振動子を有する超音波治療器
から発する可聴音波又は/及び超音波について、本発明
人らが再現性試験を実施して周波数分析を実施したとこ
ろ、即ち、前記特許第590528号の目的とする異な
った固有振動数を持たせた鉄、ニッケル合金の複数枚の
角形磁歪振動子用の素子を所要枚数重積成層し、これに
励振コイルを捲回した得られた可聴音波又は/及び超音
波の発生装置による再現性試験を実施した結果、その基
本振動周波数が低くなるという問題点が見られた。特許
第590528号を利用した超音波治療器は、大日技研
株式会社がダイソニックという製品を過去に製造販売し
ていたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明人らは、前記の
問題点に鑑み、電気回路又は電子回路の発振周波数が同
一であっても、可聴音波又は/及び超音波の基本振動周
波数のより高い多数波共振複合発振による可聴音波又は
/及び超音波の発生を可能とする磁歪振動子を実現する
ことを目的とする。と同時に電気回路又は電子回路の発
振周波数の可変によって、磁歪振動子の共振周波数を制
御可能とする多数波共振複合発振による可聴音波又は/
及び超音波発振機を実現する。更に、電気回路又は電子
回路の磁歪振動子に捲回されている励振コイルへの電力
量の可変によって発生する可聴音波又は/及び超音波の
音響出力を可変化することを可能とする多数波共振複合
発振による可聴音波又は/及び超音波発振機を実現す
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明に係る
磁歪振動子は、異なった温度で磁気的熱処理することに
よって、異なった固有振動周波数を持たせた複数枚数の
磁性材料の金属板を所要枚数重積成層し、これに励振コ
イルを捲回して得られた多数波共振複合発振による可聴
音波又は/及び超音波、即ち異なる数多の共振周波数の
可聴音波又は/及び超音波を同時に得られるようにした
ことを特徴とする。
【0007】請求項2の本発明に係る磁歪振動子は、同
一形状・同一寸法・同一材料の磁歪振動子であっても異
なった固有振動周波数を持たせるために、請求項1記載
の磁性材料の金属板をあらかじめ適当な形状に加工し
て、空気、アルゴン、窒素等のガス中又は真空中の雰囲
気にある電気炉等の炉内で300℃以上融点以下の適当
な温度、及び0.5時間〜48時間の適当な保持時間を
設定して熱処理して、空気、アルゴン、窒素等のガス中
又は真空中の雰囲気又は適当な冷却剤中において急冷
(焼入れ)して得られるようにしたことを特徴とする。
【0008】請求項3の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項2記載の磁歪振動子は同一形状・同一寸法・同一材
料であっても、請求項2記載の電気炉等の炉内における
熱処理温度を高くすること、又は/及び熱処理時間を長
くすること、かつ空気、アルゴン、窒素等のガス中又は
真空中の雰囲気又は適当な冷却剤中において急冷(焼入
れ)することによって、より高い固有振動周波数が得ら
れるようにしたことを特徴とする。請求項1、2及び3
では、同一形状・同一寸法・同一材料である磁歪振動子
について、熱処理時間を長くするよりも熱処理温度を高
くする方が、より高い固有振動周波数が得られやすい。
【0009】請求項4の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項1、2及び3記載の磁性材料の金属板が珪素鋼、珪
素鉄又は珪素合金、若しくはアモルファス合金であるこ
とを特徴とする。珪素鋼又は珪素鉄は、ニッケル又はニ
ッケル合金に比べて比抵抗が大きいため、磁気コイルの
鉄心に用いた場合、渦電流損失による発熱量が少ない点
で有利である。
【0010】請求項5の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項4記載の磁性材料の金属板表面に電気的絶縁性皮膜
又はテフロン・エポキシ等の合成樹脂製絶縁性フィルム
を設けたことを特徴とする。
【0011】請求項6の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項4記載の電気的絶縁性皮膜がセラミックコーティン
グ等の無機質、又はポリウレタン・アクリル・エピキシ
等の合成樹脂、テフロン等のフッ素樹脂、サイトップ等
の透明フッ素樹脂の有機質からなることを特徴とする。
請求項5及び6では、重積成層した上下の磁歪振動子間
で渦電流損失が発生しないようにするため、電気的な絶
縁層を設けたものである。尚、サイトップは旭硝子株式
会社の透明フッ素樹脂の登録商標である。
【0012】
【作用】従来より、珪素鋼板等は広く変圧器の鉄心等に
多く使われている。しかし、珪素鋼板が超音波発振機の
磁歪振動子に使用された例はない。その理由としては、
磁界の強さに対する飽和磁歪量が小さかったためであっ
た。本発明の磁歪振動子に珪素鋼板等を用いた理由は、
加工性が極めて優れていること、渦電流損失がニッケル
に比べて小さいことからである。珪素鋼板等の珪素含有
量は0.25〜5.5%の範囲にあり、これ以上珪素量
が増加すると、圧延が困難になる上、製品ももろく、せ
ん断、打抜き等の加工が困難になると言われているた
め、経済性を優先して、JIS規格の珪素鋼板を採用し
ている。
【0013】請求項1、2、3及び4の本発明では、飽
和磁歪量がニッケル等に比べて小さくてもニッケル等の
磁歪振動子の音響出力に比べて遜色なく、同一形状・同
一寸法・同一材料であっても異なった固有振動周波数を
持った磁歪振動子を複数枚数重積成層することで、基本
波の基本振動周波数の整数倍の2次(基本振動周波数の
2倍)、3次(基本振動周波数の3倍)、4次(基本振
動周波数の4倍)以上n次(基本振動周波数のn倍)の
高調波の何れかで基本波よりも高いピークを有する可聴
音波又は/及び超音波を得られるようにすることができ
る。即ち、ほぼ同一位相で異なった固有振動周波数を持
った複数の可聴音波又は/及び超音波の高調波成分を含
めた合成振幅によりピークの音響出力を得られるためで
ある。
【0014】請求項5及び6では、重積成層した上下の
磁歪振動子間での表面絶縁によって、層間渦電流損失を
小さくすることができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照すること等により、本発明
の実施例について説明する。図1及び2は、本発明の磁
歪振動子の形状を例示したものである。重積成層する角
形磁歪振動子は図1の(A)と(B)とを上下に重ねて
使用しなければならない。その理由は、上下の磁歪振動
子の層間での空隙によって漏れ磁束が生じないようにす
るためである。もし上下の磁歪振動子の接合部に空隙が
残ると磁束密度の高い部分ができて鉄損が著しく増加す
ることになる。図1中の1は珪素鋼板をあらかじめ加工
した磁歪振動子の素子である。図2中の5及び8は図1
の磁歪振動子を真空電気炉に入れて、例えば600℃、
800℃、1000℃の熱処理温度で、3時間程度保持
した後、電気炉から取り出して、空気中にて急冷(真空
焼入れ)した磁歪振動子の素子を組み上げて励振コイル
を捲回して得られた磁歪振動子である。
【0016】図3は本発明の磁歪振動子を駆動するハー
トレーの電気回路を例示したものである。図3中の11
は励振コイルを捲回して得られた磁歪振動子、同様に1
2はトランジスタ、13は電解コンデンサ、及び14は
抵抗を示したものである。
【0017】本発明の磁歪振動子は上記の図1、図2及
び図3が示すとおり、あらかじめ加工してある珪素鋼板
の磁歪振動子素子を上記のように異なった温度で磁気的
熱処理することによって、即ち、例えば600℃×3時
間、800℃×3時間、1000℃×3時間の各24枚
ずつを1組として真空電気炉での熱処理後空気中にて急
冷した磁歪振動子の素子を組み上げて励振コイルを捲回
して得られた磁歪振動子を各3組作って、これをそれぞ
れハートレーの電気回路により4kHzの交流で駆動し
た場合、前記600℃で熱処理した磁歪振動子の基本振
動周波数は約3.1kHz、前記800℃で熱処理した
磁歪振動子の基本振動周波数は約4.3kHz、並びに
前記1000℃で熱処理した磁歪振動子の基本振動周波
数は約4.9kHzになったことが実験によって確かめ
られた。また、以上の異なった熱処理温度により作られ
た3種類の磁歪振動子素子を各8枚ずつ計24枚を組み
上げて1組の磁歪振動子として、ハートレーの電気回路
により4kHzの交流で駆動した場合、約4.6kHz
を基本振動周波数とする基本波、約9.2kHzの2次
高調波及び約14kHzの3次高調波の可聴音波が同時
に得られた。
【0018】
【発明の効果】特許第590528号を利用した超音波
振動子を除いて、従来の超音波振動子において、多数波
共振複合発振による可聴音波又は/及び超音波が得られ
るものはほとんど例がない。本発明の磁歪振動子は、前
記のように特許第590528号を改良して、真空電気
炉での熱処理温度及び熱処理時間等の熱処理条件を積極
的に差を設けることによって、個々の磁歪振動子素子の
固有振動周波数の高いものから低いものまでの周波数の
差を大きくした所に特徴がある。また、本発明の磁歪振
動子は、加工性及び経済性に最も優れている超音波振動
子の一つである。これらの特徴と同時に多数波共振複合
発振による可聴音波又は/及び超音波の発振可能な超音
波振動子の特徴を生かせば、超音波治療器に限らず、超
音波洗浄機等の一般産業向けにも効率の良い設備を作る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)及び(B)は本発明の磁歪振動子の素子
の平面図である。
【図2】(A)は本発明の半田ごてのこて先部分の内、
そのこて先尖端部及びこて先先端部に関する斜視図、
(B)は(A)におけるAA断面図、及び(C)は
(A)におけるBB断面図である。
【図3】本発明の磁歪振動子を駆動するハートレーの電
気回路を示したものである。
【符号の説明】
1 磁歪振動子の素子 5 磁歪振動子 8 励振コイル 11 磁歪振動子及び励振コイル 12 トランジスタ 13 電解コンデンサ 14 抵抗
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】磁歪振動子
【特許請求の範囲】
請求項3】請求項1及び2記載の磁性材料の金属板が
珪素鋼、珪素鉄又は珪素合金、若しくはアモルファス合
金であることを特徴とする磁歪振動子。
請求項4】請求項3記載の磁性材料の金属板表面に電
気的絶縁性皮膜又はテフロン・エポキシ等の合成樹脂製
絶縁性フィルムを設けたことを特徴とする磁歪振動子。
請求項5】請求項4記載の電気的絶縁性皮膜がセラミ
ックコーティング等の無機質、又はポリウレタン・アク
リル・エポキシ等の合成樹脂、テフロン等のフッ素樹
脂、サイトップ等の透明フッ素樹脂の有機質からなるこ
とを特徴とする磁歪振動子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁歪振動子に関する。
【0002】
【従来の技術】特許第590528号の特許公報の請求
範囲に、「異なる条件で磁気的熱処理して固有振動周波
数を異ならしめたニッケル又は鉄、ニッケル合金等の鋼
板から成る数多の磁歪振動子素子を所要枚数重積成層
し、これに励振コイルを捲回して異なる数多の共振周波
数の発振を同時に得るようにし、その生理学的生物学的
作用による医療的機能特性を一層有効ならしめることを
特徴とする超音波治療器用の磁歪振動子。」という記述
があった。またこの本請求範囲の実施例において、「ニ
ッケル又は鉄、ニッケル合金の複数枚の角形磁歪振動子
用の素子に磁気的熱処理を加えるにあたり、ほぼ600
℃に加熱のうえ空気又はアルゴン、窒素等のガス中にお
いてそれぞれ所要設定の異なった時間放冷し、その後油
等に浸漬して急冷することによって、それぞれの角形磁
歪振動子用の素子が異なった固有振動数を持たせる。」
という意味の記載があった。
【0003】特許第590528号は、昭和40年に中
山忠男と笹原五十男が共同出願したものであるが、本特
許出願は吉田範行と特許第590528号の特許出願人
である笹原五十男とが特許第590528号の問題点を
検討して改良出願したものである。
【0004】特許第590528号の記述内容及び記載
内容に従って製作した磁歪振動子は、前記のとおり油に
浸漬して急冷することによって得られたものであるが、
製品として超音波治療器に組み立てる際に、油を完全に
除去しなければならないという問題点があった。特許第
590528号を利用した超音波治療器は、大日技研株
式会社がダイソニックという製品を過去に製造販売して
いたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明人らは、前記の
問題点に鑑み、電気回路又は電子回路の発振周波数が同
一であっても、可聴音波又は/及び超音波の基本振動周
波数のより高い多数波共振複合発振による可聴音波又は
/及び超音波の発生を可能とする磁歪振動子を実現する
ことを目的とする。と同時に電気回路又は電子回路の発
振周波数の可変によって、磁歪振動子の共振周波数を制
御可能とする多数波共振複合発振による可聴音波又は/
及び超音波発振機を実現する。更に、電気回路又は電子
回路の磁歪振動子に捲回されている励振コイルへの電力
量の可変によって発生する可聴音波又は/及び超音波の
音響出力を可変化することを可能とする多数波共振複合
発振による可聴音波又は/及び超音波発振機を実現す
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明に係る
磁歪振動子は、異なった温度で磁気的熱処理することに
よって、異なった固有振動周波数を持たせた複数枚数の
磁性材料の金属板を所要枚数重積成層し、これに励振コ
イルを捲回して得られた多数波共振複合発振による可聴
音波又は/及び超音波、即ち異なる数多の共振周波数の
可聴音波又は/及び超音波を同時に得られるようにした
ことを特徴とする。
【0007】請求項2の本発明に係る磁歪振動子は、同
一形状・同一寸法・同一材料の磁歪振動子であっても異
なった固有振動周波数を持たせるために、請求項1記載
の磁性材料の金属板をあらかじめ適当な形状に加工し
て、空気、アルゴン、窒素等のガス中又は真空中の雰囲
気にある電気炉等の炉内で300℃以上融点以下の適当
な温度、及び0.5時間〜48時間の適当な保持時間を
設定して熱処理して、空気、アルゴン、窒素等のガス中
又は真空中の雰囲気又は適当な冷却剤中において急冷
(焼入れ)して得られるようにしたことを特徴とする。
0008】請求項3の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項1及び2記載の磁性材料の金属板が珪素鋼、珪素鉄
又は珪素合金、若しくはアモルファス合金であることを
特徴とする。珪素鋼又は珪素鉄は、ニッケル又はニッケ
ル合金に比べて比抵抗が大きいため、磁気コイルの鉄心
に用いた場合、渦電流損失による発熱量が少ない点で有
利である。
0009】請求項4の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項3記載の磁性材料の金属板表面に電気的絶縁性皮膜
又はテフロン・エポキシ等の合成樹脂製絶縁性フィルム
を設けたことを特徴とする。
0010】請求項5の本発明に係る磁歪振動子は、請
求項4記載の電気的絶縁性皮膜がセラミックコーティン
グ等の無機質、又はポリウレタン・アクリル・エピキシ
等の合成樹脂、テフロン等のフッ素樹脂、サイトップ等
の透明フッ素樹脂の有機質からなることを特徴とする。
請求項4及び5では、重積成層した上下の磁歪振動子間
で渦電流損失が発生しないようにするため、電気的な絶
縁層を設けたものである。尚、サイトップは旭硝子株式
会社の透明フッ素樹脂の登録商標である。
0011】
【作用】従来より、珪素鋼板等は広く変圧器の鉄心等に
多く使われている。しかし、珪素鋼板が超音波発振機の
磁歪振動子に使用された例は少ない。その理由として
は、磁界の強さに対する飽和磁歪量が小さかったためで
あった。本発明の磁歪振動子に珪素鋼板等を用いた理由
は、加工性が極めて優れていること、渦電流損失がニッ
ケルに比べて小さいことからである。珪素鋼板等の珪素
含有量は0.25〜5.5%の範囲にあり、これ以上珪
素量が増加すると、圧延が困難になる上、製品ももろ
く、せん断、打抜き等の加工が困難になると言われてい
るため、本発明の磁歪振動子は経済性を優先して、JI
S規格の珪素鋼板を採用している。
0012】請求項1、2及び3の本発明では、飽和磁
歪量がニッケル等に比べて小さくても、低音響出力の範
囲内において用いる場合においてはニッケル等の磁歪振
動子に比べて効率的に遜色なく、同一形状・同一寸法・
同一材料であっても異なった固有振動周波数を持った磁
歪振動子を複数枚数重積成層することで、基本波の基本
振動周波数の整数倍の2次(基本振動周波数の2倍)、
3次(基本振動周波数の3倍)、4次(基本振動周波数
の4倍)以上n次(基本振動周波数のn倍)の高調波の
何れかで基本波よりも高いピークを有する可聴音波又は
/及び超音波を得られるようにすることができる。即
ち、ほぼ同一位相で異なった固有振動周波数を持った複
数の可聴音波又は/及び超音波の高調波成分を含めた合
成振幅によりピークの音響出力を得られるためである。
0013】請求項4及び5では、重積成層した上下の
磁歪振動子間での表面絶縁によって、層間渦電流損失を
小さくすることができる。
0014】
【実施例】以下、図面を参照すること等により、本発明
の実施例について説明する。図1及び2は、本発明の磁
歪振動子の形状を例示したものである。重積成層する角
形磁歪振動子は図1の(A)と(B)とを上下に重ねて
使用しなければならない。その理由は、上下の磁歪振動
子の層間での空隙によって漏れ磁束が生じないようにす
るためである。もし上下の磁歪振動子の接合部に空隙が
残ると磁束密度の高い部分ができて鉄損が著しく増加す
ることになる。図1中の1は珪素鋼板をあらかじめ加工
した磁歪振動子の素子である。図2中の5及び8は図1
の磁歪振動子を真空電気炉に入れて、例えば600℃、
800℃、1000℃の熱処理温度で、3時間程度保持
した後、電気炉から取り出して、空気中にて急冷(真空
焼入れ)した磁歪振動子の素子を組み上げて励振コイル
を捲回して得られた磁歪振動子である。
0015】図3は本発明の磁歪振動子を駆動するハー
トレーの電気回路を例示したものである。図3中の11
は励振コイルを捲回して得られた磁歪振動子、同様に1
2はトランジスタ、13は電解コンデンサ、及び14は
抵抗を示したものである。
0016】本発明の磁歪振動子は上記の図1、図2及
び図3が示すとおり、あらかじめ加工してある珪素鋼板
の磁歪振動子素子を上記のように異なった温度で磁気的
熱処理することによって、即ち、例えば600℃×3時
間、800℃×3時間、1000℃×3時間の各24枚
ずつを1組として真空電気炉での熱処理後空気中にて急
冷した磁歪振動子の素子を組み上げて励振コイルを捲回
して得られた磁歪振動子を各3組作られた3種類の磁歪
振動子素子を各8枚ずつ計24枚を組み上げて1組の磁
歪振動子として、ハートレーの電気回路により4kHz
の交流で駆動した場合、約4.6kHzを基本振動周波
数とする基本波、約9.2kHzの2次高調波及び約1
4kHzの3次高調波の可聴音波が同時に得られた。
0017】
【発明の効果】特許第590528号を利用した超音波
振動子を除いて、従来の超音波振動子において、多数波
共振複合発振による可聴音波又は/及び超音波が得られ
るものはほとんど例がない。本発明の磁歪振動子は、前
記のように特許第590528号を改良して、真空電気
炉での熱処理温度及び熱処理時間等の熱処理条件に積極
的に差を設け、その冷却方法を空気、アルゴン、窒素等
のガス中又は真空中の雰囲気において急冷することによ
て、個々の磁歪振動子素子の固有振動周波数に差を設
け、かつ磁歪振動子の施工方法を容易にした所に特徴が
ある。また、本発明の磁歪振動子は、加工性及び経済性
に最も優れている超音波振動子の一つである。これらの
特徴と同時に多数波共振複合発振による可聴音波又は/
及び超音波の発振可能な超音波振動子の特徴を生かせ
ば、超音波治療器に限らず、超音波洗浄機等の一般産業
向けにも効率の良い設備を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)及び(B)は本発明の磁歪振動子の素子
の平面図である。
【図2】本発明の磁歪振動子の斜視図である。
【図3】本発明の磁歪振動子を駆動するハートレーの電
気回路を示したものである。
【符号の説明】 1 磁歪振動子の素子 5 磁歪振動子 8 励振コイル 11 磁歪振動子及び励振コイル 12 トランジスタ 13 電解コンデンサ 14 抵抗

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なった温度で磁気的熱処理することによ
    って、異なった固有振動周波数を持たせた複数枚数の磁
    性材料の金属板を所要枚数重積成層し、これに励振コイ
    ルを捲回して得られた多数波共振複合発振による可聴音
    波又は/及び超音波、即ち異なる数多の共振周波数の可
    聴音波又は/及び超音波を同時に得られるようにしたこ
    とを特徴とする磁歪振動子。
  2. 【請求項2】同一形状・同一寸法・同一材料の磁歪振動
    子であっても異なった固有振動周波数を持たせるため
    に、請求項1記載の磁性材料の金属板をあらかじめ適当
    な形状に加工して、空気、アルゴン、窒素等のガス中又
    は真空中の雰囲気にある電気炉等の炉内で300℃以上
    融点以下の適当な温度、及び0.5時間〜48時間の適
    当な保持時間を設定して熱処理して、空気、アルゴン、
    窒素等のガス中又は真空中の雰囲気又は適当な冷却剤中
    において急冷(焼入れ)して得られるようにしたことを
    特徴とする磁歪振動子。
  3. 【請求項3】請求項2記載の磁歪振動子は同一形状・同
    一寸法・同一材料であっても、請求項2記載の電気炉等
    の炉内における熱処理温度を高くすること、又は/及び
    熱処理時間を長くすること、かつ空気、アルゴン、窒素
    等のガス中又は真空中の雰囲気又は適当な冷却剤中にお
    いて急冷(焼入れ)することによって、より高い固有振
    動周波数が得られるようにしたことを特徴とする磁歪振
    動子。
  4. 【請求項4】請求項1、2及び3記載の磁性材料の金属
    板が珪素鋼、珪素鉄又は珪素合金、若しくはアモルファ
    ス合金であることを特徴とする磁歪振動子。
  5. 【請求項5】請求項4記載の磁性材料の金属板表面に電
    気的絶縁性皮膜又はテフロン・エポキシ等の合成樹脂製
    絶縁性フィルムを設けたことを特徴とする磁歪振動子。
  6. 【請求項6】請求項4記載の電気的絶縁性皮膜がセラミ
    ックコーティング等の無機質、又はポリウレタン・アク
    リル・エポキシ等の合成樹脂、テフロン等のフッ素樹
    脂、サイトップ等の透明フッ素樹脂の有機質からなるこ
    とを特徴とする磁歪振動子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007054085A (ja) * 2005-08-22 2007-03-08 Chikyujin Club:Kk 超音波振動子駆動回路及び該回路を用いた眼精疲労回復用超音波治療器

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