JPH08231980A - 香料組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、香りを楽しむフレグランス商品に関
し、香りの持続性に優れ、スキントリートメント効果を
併せ持つ香料組成物を提供することを目的とする。 【構成】香料成分 0.5〜30重量％と乳化剤 0.1〜20重量
％と水50〜99重量％を含有し、かつアルコールを実質的
に含有しないことを特徴とする、香料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、香りを楽しむフレグラ
ンス商品に関し、香りの持続性に優れ、スキントリート
メント効果を併せ持つ香料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】香料素材には、一般に、動物または植物
より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造
される合成香料とがある。優れた香りを創作するため
に、パヒューマーは長年の経験と、センス、インスピレ
ーションを駆使して、これらの香料素材を組み合わせ、
例えば、種々の花の香りの場合には、天然の花の香りそ
の物を再現したり、オリエント調の香りの場合には、東
洋のイメージを香りに表現したりする。これらの香料素
材は、いずれもエチルアルコールに溶解して、香りを楽
しむフレグランス商品になる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようなアルコール
ベースからなる香料組成物の使用感は、べたつかず、ア
ルコールによる清涼感およびさっぱりした使用感に特徴
がある。しかし、まれに、アルコールを含有するフレグ
ランスを使用すると肌あれ等を生ずる人もおり、アルコ
ール高配合の製品は使えない、使いたくないという層が
存在する。そのため、アルコールの含有量を極力少量に
抑えるか、または全く含まないフレグランス製品が期待
される。ところが、天然香料や調合香料には一般に、極
性の高いものから非極性のものまで、広範かつ多種の物
質が混在しており、水ベースでは、たとえ界面活性剤を
使用しても、 0.5％以上の香料を溶解することは勿論、
乳化系であっても経時で分離しない安定な製品を得るこ
とは極めて困難であった。更に、優れたフレグランス製
品の条件として、香りが長時間持続することがあげられ
るが、現実にはエタノールの揮発にともない、揮発性の
強い成分は早く逃げ去り、香調がはなはだしく変化して
しまうことが多い。

【０００４】従って、パヒューマーは、調香の基礎とし
て、各々の香料素材そのものの香りや他の香料と組み合
わせたときの香り等のほか、ムスク、シベットなどの動
物性香料、ムスクケトン、ムスクアンブレット、ムスク
キシロールなどの合成じゃ香、及び大環状化合物、トル
ーバルサム、ベルーバルサム、ベンゾインなどの樹脂、
サンダルウッド、ベチバー、オークモスなどの天然精油
を組み合わせて、香りの持続性を向上させる試みがとら
れているが、これらはいずれもそのもの特有の香りを有
するため、これらを加えると目的の香調を 100％演出す
る事が極めて困難になる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、フレグラ
ンス商品の香りの持続性を高める方法について、鋭意検
討を重ねた結果、今までの常識では考えられなかった、
エチルアルコールを全く含有しない水ベースに乳化剤を
配合した香料組成物であって、香りの持続性が高く、ス
キントリートメント効果に優れ、安定性も良好な香料組
成物が得られることを見出し本発明を完成するに至っ
た。

【０００６】すなわち、本発明は、香料成分 0.5〜30重
量％と乳化剤 0.1〜20重量％と水50〜99重量％を含有
し、かつアルコールを実質的に含有しないことを特徴と
する、香料組成物である。また、請求項２記載の香料組
成物は、保湿成分を 0.1〜30重量％含有することを特徴
とする。さらに請求項３記載の香料組成物は、油性成分
を 0.1〜30重量％含有することを特徴とする。

【０００７】以下、本発明について詳述する。本発明に
用いられる香料は、動物系、植物系、鉱物系の天然香料
及び合成香料のいずれも使用可能である。香料の配合量
はフレグランス製品として十分な香りが得られる配合量
であるが、一般的には 0.5〜30重量％であり、好ましく
は１〜10重量％である。

【０００８】本発明に用いられる乳化剤は、アニオン性
界面活性剤および／または非イオン性界面活性剤であ
り、これらは、単独でも、混合して用いても良い。アニ
オン性界面活性剤としては、例えば各種の脂肪酸石鹸が
挙げられ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、および
ベヘニン酸、等の脂肪酸の、ナトリウム塩、カリウム
塩、トリエタノールアミン塩、アミノ酸系の塩などが用
いられる。親水性非イオン性界面活性剤としては、ＰＯ
Ｅグリセリンモノステアレート、ＰＯＥグリセリンモノ
イソステアレート、ＰＯＥグリセリントリイソステアレ
ート等のＰＯＥグリセリン脂肪酸エステル類、ＰＯＥモ
ノオレート、ＰＯＥジステアレート、ＰＯＥモノジオレ
エート、ＰＯＥジステアリン酸エチレングリコール等の
ＰＯＥ脂肪酸エステル類、ＰＯＥラウリルエーテル、Ｐ
ＯＥオレイルエーテル、ＰＯＥステアリルエーテル、Ｐ
ＯＥベヘニルエーテル、ＰＯＥ２−オクチルドデシルエ
ーテル、ＰＯＥコレスタノールエーテル等のＰＯＥアル
キルエーテル類、ＰＯＥオクチルフェニルエーテル、Ｐ
ＯＥノニルフェニルエーテル、ＰＯＥジノニルフェニル
エーテル等のＰＯＥアルキルフェニルエーテル類、ＰＯ
Ｅ硬化ヒマシ油誘導体、ＰＯＥショ糖脂肪酸エステル、
ＰＯＥステロール誘導体等が挙げられる。また、親油性
非イオン活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステルに
代表される多価アルコール脂肪酸エステル、グリセリン
高級アルコールエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。これらの乳化
剤の配合量は 0.1〜20重量％であり、安全性の観点から
は 0.1〜10重量％が好ましい。 0.1重量％未満では安定
な組成物が得られず、20重量％までの配合で十分な効果
が得られる。

【０００９】本発明に用いられる保湿成分は、グリセリ
ン、１，３−ブチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール３００、ポリエチレングリ
コール４００、ポリエチレン１５００、ポリエチレング
リコール４０００、ポリエチレングリコール６０００、
ポリエチレングリコール１５０００、ジプロピレングリ
コール、ソルビトール等が挙げられ、配合量は0.1 〜30
重量％であり、好ましくは、使用中、使用後の肌感触か
ら１〜15重量％が適当である。

【００１０】本発明に用いられる油性成分は、例えば、
アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ
油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ
油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザ
ンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、
エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ
油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリ
グリセリン油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパ
ルミチン酸グリセリン等の液体油脂、流動パラフィン、
スクワレン、プリスタン、スクワラン等の炭化水素、オ
レイン酸、トール油、イソステアリン酸等の高級脂肪
酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソス
テアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級ア
ルコール、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリ
シロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、デ
カメチルポリシロキサン等のシリコン、ミリスチン酸イ
ソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘ
キシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオク
タン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
ブチル、セバチン酸イソプロピル、セバチン酸ジイソプ
ロピル、セバチン酸ジ−２−エチルヘキシル、トリイソ
ステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメ
チロールプロパン、トリ−２−エチルヘキサン酸グリセ
リン、トリ−２−エチルヘキサン酸トリメチロールプロ
パン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−２−
ヘプチルウンデカン酸グリセリン、２−エチルヘキサン
酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイ
ン、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸デシル等のエステ
ル類が挙げられる。配合量は 0.1〜30重量％であり、好
ましくは、使用中、使用後の肌感触から 0.1〜10重量％
がよい。

【００１１】本発明の香料組成物は通常のホモミキサー
でも調製できるが、高圧ホモジナイザーやナノマイザー
等により強い剪断力をかけて微細エマルジョンとするこ
とで、より安定で透明性の高い香料組成物が得られる。

【００１２】本発明の香料組成物においては、品質を損
なわない範囲で化粧品に一般に用いられるビタミン類、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物の抽出物、薬剤、安定
化剤、高分子化合物、着色剤等を配合することが出来
る。

【００１３】

【実施例】次に、実施例および比較例によって本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定さ
れるものではない。以下、配合量は重量％である。実施例１ (1) イオン交換水 96.9 ％ (2) １，３ＢＧ 1.0 (3) グリセリン 1.0 (4) スクワラン 0.1 (5) ＰＯＥ（40）オレイルエーテル 0.5 (6) 香 料 0.5 （製法）(1) の一部と(2) の一部を混合して（Ａ）液と
する。(4)(5)および(6)の一部を混合して（Ｂ）液とす
る。（Ａ）液に（Ｂ）液を混合し、高圧ホモミキサーに
てエマルションを得、これに残りの原料を添加して十分
攪拌し、透明液状のコロンを得た。

【００１４】実施例２ (1) イオン交換水 85.0％ (2) １，３ＢＧ 10.0 (3) ＤＰＧ 1.0 (4) 流動パラフィン 1.0 (5) ＰＯＥ（60）グリセリルモノイソステアレート 1.0 (6) 香料 2.0 （製法）(1) の一部と(2) の一部を混合して（Ａ）液と
する。(4)(5)および(6)を混合して（Ｂ）液とする。
（Ａ）液に（Ｂ）液を混合し、高圧ホモジナイザーにて
微細エマルションを得、これに残りの原料を添加して十
分攪拌し、透明液状のコロンを得た。

【００１５】実施例３ (1) イオン交換水 82.0％ (2) １，３ＢＧ 5.0 (3) ＤＰＧ 5.0 (4) 流動パラフィン 1.0 (5) 石鹸末 2.0 (6) ＰＯＥ（60）グリセリルモノイソステアレート 1.0 (7) 香料 4.0 （製法）(1) の一部と(2) の一部を混合して（Ａ）液と
する。(4)(5)(6) および(7) を混合して（Ｂ）液とす
る。（Ａ）液に（Ｂ）液を混合し、高圧ホモミキサーに
てエマルションを得、これに残りの原料を添加して十分
攪拌し、透明液状のコロンを得た。

【００１６】実施例４ (1) イオン交換水 78.0 ％ (2) グリセリン 5.0 (3) １，３ＢＧ 5.0 (4) 流動パラフィン 2.0 (5) ＰＯＥ（60）グリセリルモモノイソステアレート 2.0 (6) ＰＯＥ（40）オレイルエーテル 2.0 (7) 香料 6.0 （製法）(1) の一部と(3) の一部を混合して（Ａ）液と
する。(4)(5)(6) および(7) を混合して（Ｂ）液とす
る。（Ａ）液に（Ｂ）液を混合し、高圧ホモミキサーに
て微細エマルションを得、これに残りの原料を添加して
十分攪拌し、透明液状のコロンを得た。

【００１７】実施例５ (1) イオン交換水 79.0％ (2) グリセリン 5.0 (3) １，３ＢＧ 5.0 (4) 流動パラフィン 2.0 (5) ショ糖脂肪酸エステル 3.0 (6) 香料 6.0 （製法）(1) の一部と(3) の一部を混合して（Ａ）液と
する。(4)(5)および(6)を混合して（Ｂ）液とする。
（Ａ）液に（Ｂ）液を混合し、ナノマイザーにて微細エ
マルションを得、これに残りの原料を添加して十分攪拌
し、透明液状のコロンを得た。

【００１８】実施例６ オードパルファム (1) イオン交換水 76.0 ％ (2) グリセリン 5.0 (3) １，３ＢＧ 5.0 (4) 流動パラフィン 2.0 (5) ＰＯＥ（40）硬化ヒマシ油 4.0 (6) 香料 8.0 （製法）(1) の一部と(3) の一部を混合して（Ａ）液と
する。(4)(5)および(6)を混合して（Ｂ）液とする。
（Ａ）液に（Ｂ）液を混合し、ホモミキサーにてエマル
ションを得、これに残りの原料を添加して十分攪拌し、
コロンを得た。

【００１９】〔比較例〕表１の処方により、(1) に(2)
を添加して十分攪拌し、比較例を得た。

【００２０】

【表１】 ────────────────────────── (1) エタノール (2) 香 料 ────────────────────────── 比較例１ 99.0％ 1.0％ 比較例２ 98.0 2.0 比較例３ 96.0 4.0 比較例４ 94.0 6.0 比較例５ 92.0 8.0 ──────────────────────────

【００２１】〔効果試験〕実施例１〜６及び比較例１〜
５を用い、塗布３時間後の香りの持続性、肌のしっとり
さやなめらかさに代表される肌のトリートメント効果に
ついて専門パネル10名により、比較評価を行った。結果
を表２、表３に示す。なお、匂いの持続性、肌のトリー
トメント効果の評価基準は以下の通りである。

【００２２】

【００２３】

【表２】 香りの持続性 ────────────────────────── 評 点 ４ ３ ２ １ ────────────────────────── 実施例１ ０名 ３ ６ １ 実施例２ ４ ２ ４ ０ 実施例３ ８ ２ ０ ０ 実施例４ １０ ０ ０ ０ 実施例５ １０ ０ ０ ０ 実施例６ １０ ０ ０ ０ ────────────────────────── 比較例１ ０ ０ １ ９ 比較例２ ０ ０ ２ ８ 比較例３ ０ １ ３ ６ 比較例４ ０ １ ４ ５ 比較例５ ０ ２ ４ ４ ──────────────────────────

【００２４】

【表３】 肌のトリートメント効果 ────────────────────────────────── 評 点 ４ ３ ２ １ ────────────────────────────────── 実施例１ ０名 ３ ６ １ 実施例２ ７ ３ ０ ０ 実施例３ １０ ０ ０ ０ 実施例４ ８ ２ ０ ０ 実施例５ １０ ０ ０ ０ 実施例６ １０ ０ ０ ０ ────────────────────────────────── 比較例１ ０ ０ １ ９ 比較例２ ０ ０ ０ １０ 比較例３ ０ ０ ２ ８ 比較例４ ０ ０ １ ９ 比較例５ ０ ０ １ ９ ──────────────────────────────────

【００２５】

【発明の効果】本発明の香料組成物は、香りの持続性が
高く、使用感触、肌改善効果に優れたものである。ま
た、本発明によれば、エチルアルコールが全く配合され
ていないので、アルコールに敏感な人でも安心して使え
るフレグランス製品が得られる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 香料成分 0.5〜30重量％と乳化剤 0.1〜
   20重量％と水50〜99重量％を含有し、かつアルコールを
   実質的に含有しないことを特徴とする、香料組成物。
2. 【請求項２】 保湿成分を 0.1〜30重量％含有する、請
   求項１記載の香料組成物。
3. 【請求項３】 油性成分を 0.1〜30重量％含有する、請
   求項１または請求項２に記載の香料組成物。