JPH08231601A - 可溶性セルロースの製造法 - Google Patents

可溶性セルロースの製造法

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JPH08231601A
JPH08231601A JP3711395A JP3711395A JPH08231601A JP H08231601 A JPH08231601 A JP H08231601A JP 3711395 A JP3711395 A JP 3711395A JP 3711395 A JP3711395 A JP 3711395A JP H08231601 A JPH08231601 A JP H08231601A
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JP
Japan
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cellulose
solubility
carbon dioxide
mixture
natural
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Withdrawn
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JP3711395A
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English (en)
Inventor
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
Kazunari Nishiyama
和成 西山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】天然セルロースを30〜220℃の温度で二酸
化炭素と水の混合物中に分散させることを特徴とする可
溶性セルロースの製造法。 【効果】本発明の製造法によれば、操作性、安全性、経
済性に優れ、高い物性を有するセルロース成形品を与え
る天然セルロースの溶解性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用技術分野】本発明は、セルロースの改質
方法に関する。更に詳しくは、セルロースの重合度を過
度に低下させることなく、公知のセルロース溶剤への溶
解性が飛躍的に向上したセルロースを製造する方法に関
する。
【0002】
【従来技術】パルプ、綿などの天然セルロースを原料と
するセルロース繊維、フィルム等の成形品は、溶融成形
ができないために通常湿式で製造する。ところが、天然
セルロースは、一般に高重合度かつ分子内、分子間水素
結合が充分発達したI型の結晶構造を有するので、溶剤
への溶解性が充分でない場合がある。比較的溶解能力の
低い溶剤を用いる場合、天然セルロースをそのまま溶解
させようとすると溶け残りが生じ、成形品の物性低下、
フィルターの詰まりなどの工程上のトラブルが起こる。
従って、このような場合には、原料セルロースの溶解性
を高めるための前処理工程が必要となる。
【0003】例えば、ビスコースレーヨンの製造では、
原料セルロースであるパルプを水酸化ナトリウムに浸漬
してアルカリセルロースとし、これを老成して重合度を
落とす前処理工程を経て、二硫化炭素/水酸化ナトリウ
ム溶液に完溶しうるセルロースを得ている。仮に、この
ような前処理をせずに二硫化炭素/水酸化ナトリウム溶
液に溶解させようとしても、完溶させることはできな
い。
【0004】また、ボールミル、振動ミルによる乾式で
の機械的衝撃による構造破壊、湿式による摩擦・粉砕、
強酸による加水分解によるセルロースの溶解性向上技術
も知られている。また、近年盛んに用いられている方法
として爆砕処理がある。これらの方法はいずれも微細フ
ィブリル化、あるいは微粒化したセルロースを得ること
を狙いとしたもので、その大きな比表面積、表面活性、
コロイド分散性を利用してその溶解性を向上させようと
したものである。
【0005】また、放射線照射による共有結合や水素結
合切断による溶解性向上の検討もなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でに知られている溶解性向上を目的とした前処理方法に
はいずれも問題点がある。例えば、ビスコースレーヨン
の製造で用いられるアルカリセルロースの老成は、1〜
2日という長時間を要し、必ずしも生産性の高い工程で
はない。また、強アルカリを使用しなければいけないこ
とも、操作性、安全性上、問題である。
【0007】機械的衝撃による構造破壊、湿式による摩
擦・粉砕、強酸による加水分解などは、セルロースの溶
解性を高めるにはよい方法である。しかしながら、これ
らの方法では重合度が大きく低下するために、得られた
成形品の力学物性、特に、強度が大きく低下する等の問
題がある。爆砕による方法としては、例えば、特開昭6
0−173001号公報にその代表的な技術が示されて
いる。この例ではセルロースを5〜30kg/cm2
水蒸気を用いて蒸煮・爆砕処理してセルロース微粒子体
を得ている。しかしながら、爆砕処理だけでは充分な溶
解性の向上は認められない。これは蒸煮中に非晶部の結
晶化が促進されて、高次構造が緻密化するからである。
【0008】また、放射線による方法は装置が極めて高
価であり、汎用性がない。操作性、安全性、経済性に優
れ、高い物性を有するセルロース成形品を与える天然セ
ルロースの溶解性の向上技術は強く求められているもの
の、公知の技術は上記のとおりいくつかの問題を抱えて
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、天然セル
ロースの溶解性の向上技術を様々な角度から検討し、そ
の過程で、天然セルロースを二酸化炭素と水の混合溶剤
中で分散することでその溶解性が大幅に増大する可能性
を見いだした。そして、その溶解性向上条件を詳細に検
討した結果、本発明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、天然セルロースを30
〜220℃の温度で二酸化炭素と水の混合物中に分散さ
せることを特徴とする可溶性セルロースの製造法、であ
る。この方法によって、セルロース繊維などの成形品を
製造する際の溶解工程、熟成工程等の後の工程を大幅に
簡単なものとすることができる。本発明で用いる天然セ
ルロースは、木材から機械的または化学的処理によって
取りだした木材繊維の集合体であるパルプ、栽培綿の種
子毛であるリンターやリントなどを指し、用途に応じて
適当に選択してよい。天然セルロースの形態としては、
粉状、シート状、粒状、棒状、ブロック状、網状など任
意の形態を選択できる。
【0011】天然セルロースは30〜220℃の温度で
二酸化炭素と水の混合物中に分散させることにより溶解
性が向上する。ここで、分散させるということは、天然
セルロースを二酸化炭素と水の混合物中に溶解はしてい
ないが、浮遊したままで混ざっている状態を指す。本発
明において、天然セルロースを二酸化炭素と水の混合物
中に分散させるときの温度範囲は30〜220℃であ
る。30℃以下の温度では充分な溶解性の向上は達成さ
れない。また、220℃以上の温度では短時間でも分解
または著しい分子量の低下が起こる。分子量低下を起こ
さずに、溶解性が最もよくなる温度範囲としては50〜
200℃であり、特に好ましくは、70〜180℃であ
る。
【0012】天然セルロースを加熱処理する液媒体とし
ては、二酸化炭素と水の混合物を用いる。二酸化炭素単
独、水単独では溶解性の向上は認められず、これらの混
合物を用いることが重要である。溶解性を高めるために
は二酸化炭素の該混合物中の割合が、5〜90重量%が
好ましく、特に、20〜60重量%が好ましい。二酸化
炭素と水の混合物中での分散によってセルロースの溶解
性が向上する理由については明確ではないが、系中で発
生した炭酸イオン、水素イオンが分子内あるいは分子間
や分子内水素結合を切断すること、あるいは、結晶構造
を破壊することによるものと推定できる。
【0013】天然セルロースを該混合物に分散させる方
法としては、オートクレーブ中での撹拌、押出機の中で
の混錬など既存の方法を用いることができる。この場
合、溶解性の向上効果を均一にするためには、充分な撹
拌を行うことが好ましいが、撹拌操作は必ずしも必要で
はない。また、二酸化炭素を用いるために、用いる容器
は適切な耐圧が要求される。本発明の温度範囲では、
1.5〜500kg/cm2程度、一般的には、1.5
〜200kg/cm2程度の圧力が発生する。圧力は温
度、容器の容量、該混合物量、セルロース量に依存する
が、充分な耐圧を有する容器を用いることが大切であ
る。
【0014】天然セルロースの量は特に制限はないが、
通常、該混合物に対して、10〜200重量%である。
処理時間も特に制限はないが、30秒〜1時間程度であ
る。1時間を超えて処理することは分子量の大幅な低下
につながるので、好ましくはない。また、30秒以下の
時間では処理効果が充分でない。好ましくは、5〜30
分の処理時間である。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではな
い。実施例で示す各種物性の測定方法を以下に示す。結
晶化度はX線回折図の回折強度値からセガール法により
算出したもので次式によって定義される。
【0016】 結晶化度=(I002−Iam)/I002×100(%) ここで、 I002:回折角2θ=22.6°での回折強度 Iam:回折角2θ=19°付近のベースライン強度 本発明の方法によるセルロースの溶解性向上の評価は、
比較的溶解性の低い溶剤である10重量%の水酸化ナト
リウム水溶液を用いて行った。これは、溶解性の低い溶
剤を用いて溶解性を評価する方が、処理効果の程度をよ
り正確に評価できるからである。溶解性の評価は、溶解
度Saによって数値化され、以下の数式で定義できる。
セルロース10gを0℃の10重量%の水酸化ナトリウ
ム水溶液190gに撹拌溶解させ、0℃で15〜20時
間静置した後、0℃の10重量%の水酸化ナトリウム水
溶液で5倍に希釈した後不溶分を遠心分離機で分離回収
し、その乾燥重量wgを計量した。
【0017】 Sa=(w0−w)/w0×100(%) ここで、 w0:遠心分離機にかけた5倍希釈溶液中に含まれるセ
ルロースの全量(g)重合度は、カドキセン溶液で極限
粘度[η]の測定値からブラウンの式より計算した粘度
平均重合度で示す。
【0018】[η]=3.85×10-20.76
【0019】
【実施例1】針葉樹アラスカパルプ(主原木はとうひ、
結晶化度63%、重合度1050)20gを撹拌機を備
えた溶剤導入のためのバルブ、撹拌装置、圧力計を備え
た、100mlの容量のオートクレーブに入れ密閉した
後、真空ポンプでオートクレーブ内を真空にした。その
後、水を30g導入し、更に加圧ポンプを用いて、二酸
化炭素を30g導入した。仕込みが終了した後、オート
クレーブを加熱し、100℃で20分間熱処理した。熱
処理中は、撹拌機でパルプを撹拌した。圧力は100k
g/cm2に設定した。昇温過程で圧力が100kg/
cm2を越す場合にはバルブから二酸化炭素を逃がし、
設定圧力を維持した。この場合、逃がす二酸化炭素量は
ごく少量のため、仕込み比は初期の仕込み比と実質変わ
らない。処理後、バルブをあけて二酸化炭素を排出し、
パルプを回収した。回収されたパルプは、濾紙上で乾燥
させた。
【0020】このパルプの溶解度を測定したところ、1
0重量%の水酸化ナトリウム水溶液への溶解度Saは9
9.8%以上で、すばらしい溶解性を示した。また、重
合度は800であり、過度の分子量低下は認められなか
った。また、結晶化度Xcは22%であった。尚、振動
ボールミルで10時間処理したパルプのSaは80%程
度であり、重合度は500程度であった。また、未処理
のパルプのSaは27%であった。
【0021】
【実施例2】条件を種々変化させて、実施例1を繰り返
した。その結果を表1に示す。いずれも高いSaを示し
た。また、重合度はいずれも400以上であった。
【0022】
【比較例1】実施例1の条件で、二酸化炭素を入れずに
処理をした。この場合、Saは58%であった。また、
水を入れずに二酸化炭素のみを導入して処理をした。こ
の場合、Saは22%であった。
【0023】また、230℃で処理を行ったところ、パ
ルプの部分的な分解が認められた。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、操作性、安全
性、経済性に優れ、高性能セルロース成形品を与える天
然セルロースの溶解性を格段に向上させる。本発明の前
記技術は、強アルカリ性物質等の物質を使用する必要が
なくほぼ中性で処理ができ、しかもこれまでのセルロー
ス溶解性向上技術に比べて短時間で処理できる利点を有
する、極めて有効な方法である。
【0026】従って、本発明は、ビスコースレーヨン、
銅アンモニアレーヨン、ポリノジックなどの公知の繊維
製造の前処理として利用できる。また、N−メチルモル
ホリンオキシド、リチウムクロリド/N,N−ジメチル
アセトアミド、銅アンモニア溶液、ロダン塩水溶液、液
体アンモニア/無機塩溶液、ヒドラジン、水酸化ナトリ
ウム水溶液、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸などの公知
のセルロース溶剤に溶解させる場合の前処理として極め
て有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然セルロースを30〜220℃の温度で
    二酸化炭素と水の混合物中に分散させることを特徴とす
    る可溶性セルロースの製造法。
JP3711395A 1995-02-24 1995-02-24 可溶性セルロースの製造法 Withdrawn JPH08231601A (ja)

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JP (1) JPH08231601A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010070686A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Fine Clay Co Ltd 酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法
JP2023066666A (ja) * 2021-10-29 2023-05-16 横河電機株式会社 微細セルロース繊維固形物、及び微細セルロース繊維固形物の製造方法

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Effective date: 20020507