JPH08231415A - 血小板の機能異常に起因する疾患の治療薬 - Google Patents

血小板の機能異常に起因する疾患の治療薬

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JPH08231415A
JPH08231415A JP7037365A JP3736595A JPH08231415A JP H08231415 A JPH08231415 A JP H08231415A JP 7037365 A JP7037365 A JP 7037365A JP 3736595 A JP3736595 A JP 3736595A JP H08231415 A JPH08231415 A JP H08231415A
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platelet
hgf
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Takehisa Ishii
健久 石井
Hiroshi Baba
博 馬場
Akira Yamazaki
晶 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 肝実質細胞増殖因子(例えば 1)SDS-PAGE に
よる推定分子量が約76〜92K であり;2)肝実質細胞を増
殖させる活性を有し;3)80℃、10分間の加熱処理により
上記活性が失活し;4)トリプシンによる消化処理及びキ
モトリプシンによる消化処理により上記活性が失活し;
5)ヘパリンに対して強い親和性を有するもの)を有効成
分として含む血小板の機能異常に起因する疾患の予防・
治療薬。 【効果】 有効成分であるHGF は、血小板数を増加させ
血小板の機能異常を改善する作用を有しているので、本
発明の医薬は血小板減少を伴う各種疾患の治療及び/又
は予防に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血小板数の減少や増加、
あるいは血小板機能異常に起因する疾患に対する予防や
治療に有用な医薬に関する。より具体的には、本発明
は、肝実質細胞増殖因子を有効成分として含み、血小板
減少症、あるいは急性心筋梗塞等の血小板の機能異常に
起因する疾患に対する予防及び/又は治療に有用な医薬
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血小板は骨髄に存在する巨核球が断片化
して生成される直径 2〜3 mmの無核細胞であり、ヒト血
液中には通常約15万〜40万個/mm3の割合で存在してい
る。この血小板が血液凝固系において極めて重要な働き
をしていることが知られている。すなわち、流血中の血
小板は、傷害された血管内皮細胞部位に粘着・凝集し
て、止血機構の第一段階である血小板血栓を形成してそ
の後の凝固因子を介した二次止血機構の足場を提供する
(Annual Review, 血液, 1994, p193, 中外医学社)。ま
た、血小板血栓部位で血小板から放出された種々の血小
板由来因子が血液凝固を促進させ血栓の形成を誘導す
る。さらに、血小板は血小板由来増殖因子(PDGF)を分泌
して、各種細胞の増殖治癒過程に寄与していると考えら
れている。このように血小板は止血機構における最重要
因子の1つである。
【0003】血小板数が正常範囲以下に減少する疾患が
多数知られている。これらの疾患の原因は、遺伝的又は
二次的な要因によって、血小板の産生能低下、過剰崩
壊、又は分布異常などが生じることによるものと考えら
れている。例えば、薬物中毒、アレルギー、白血病、再
生不良性貧血、リンパ腫、全身性紅斑性狼そう、全身性
エリマトーデス (SLE)、血小板減少性紫斑病、播種血管
内凝固症候群 (DIC)などの疾患でしばしば重篤な血小板
減少が認められる。また、外科手術や癌化学療法などの
薬物療法によって血小板が減少する場合がある。一方、
凝集及び粘着などの血小板機能の異常(機能低下)に起
因する血液凝固異常も知られており、不安定狭心症、急
性心筋梗塞、又はその他動脈硬化性血管病変の発症に
は、血小板の活性化(機能亢進)が関与していると考え
られている。
【0004】血小板数の増加作用や血小板機能の亢進作
用を有する蛋白性因子として、インターロイキン6(IL-
6: Blood, 74, pp.1241-1244, 1989)、インターロイキ
ン11(IL-11: 臨床血液, 33, pp.613-618, 1992) 、白血
病抑制因子(LIF: Blood, 76, pp.50-56, 1990)、又はト
ロンボポエチン(TPOまたは c-Mplリガンド: Nature, 36
9, pp.533-538, 1994; 同, pp.565-571, 1994) などが
知られており、これらの生理活性蛋白因子を臨床に適用
する試みがなされている。しかしながら、これらの蛋白
因子が単独で十分な薬効を有するのか、あるいはこれら
が種々の原因により惹起される血小板減少症の全てに対
して有効かという点については十分な解明がなされてい
るとはいえない。従って、種々の血小板減少/増加症、
血小板機能異常症に対して有効な薬剤は未だ見出されて
いないのが現状である。
【0005】一方、ヒト肝実質細胞増殖因子(以下、本
明細書において「hHGF」と略記する場合があり、単に肝
実質細胞増殖因子を表す場合は「HGF 」と略記する場合
がある)は、初代培養肝細胞の増殖を促進させうるヒト
由来蛋白性因子として、劇症肝炎患者血漿から初めて分
離された(特開昭63-22526号公報)。その後、hHGF蛋白
質をコードする遺伝子(cDNA)及びアミノ酸配列(特開平
3-72883 号公報)、組換えhHGFの生産方法(特開平3-28
5693号公報)が報告されている。このような組換えヒト
HGF(以下、本明細書において「rhHGF 」と略記する場合
がある)は、生体外(J. Clin. Lnvest., 87, pp.1853-1
857, 1991)、及び生体内(Jpn. J. Pharmacol., 59, sup
pl. 1, 137, 1992) において肝実質細胞の増殖及び機能
を促進する作用を有している。
【0006】また、イン・ビボでのHGF 肝機能促進作用
として、肝が特異的に産生する血中蛋白質の亢進、血液
凝固能の指標となるプロトロンビン時間の短縮などが明
らかとなっており、肝実質細胞以外の種々の上皮細胞、
線維芽細胞、リンパ球系細胞などがHGF に反応すること
も明らかにされている(Mitsubishi Kasei R&D Review,
7, pp.16-24, 1993)。しかしながら、HGF のイン・ビボ
での血小板数に対する作用はこれまで知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するため
の手段】本発明は血小板の機能異常に起因する疾患、例
えば、血小板減少症や血小板機能異常症に対する予防及
び/又は治療に有用な医薬を提供することを目的として
いる。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意努力し
た結果、HGF を哺乳類動物に投与すると血液中の血小板
数が著しく増加することを見い出した。また、本発明者
は、HGF が血小板機能に対して強力な生理作用を有する
ことを見い出した。本発明は上記の知見を基にして完成
されたものである。
【0008】すなわち本発明は、肝実質細胞増殖因子を
有効成分として含む血小板の機能異常に起因する疾患に
対する予防・治療薬を提供するものである。上記発明の
好ましい態様によれば、肝実質細胞増殖因子が下記の理
化学的性質:1) SDS-PAGE(非還元条件下)による推定
分子量が約76,000〜92,000であり;2) 肝実質細胞を増
殖させる活性を有し;3) 80℃、10分間の加熱処理によ
り上記活性が失活し;4) トリプシンによる消化処理及
びキモトリプシンによる消化処理により上記活性が失活
し;5) ヘパリンに対して強い親和性を有する;を示す
上記予防・治療薬;血小板減少に起因する疾患の予防・
治療剤である上記予防・治療剤が提供される。
【0009】本発明の医薬は、肝実質細胞増殖因子(HG
F) を有効成分とすることを特徴としている。肝実質細
胞増殖因子としては、HGF を含有することの知られてい
るヒトやラット等の哺乳類動物由来の体液や組織、また
は自発的にHGF を産生する細胞から単離・精製されたも
のを用いることができるが、遺伝子組換え法によりHGF
のcDNAを細胞に導入して得られる組換えHGF を用いるこ
ともできる。本発明の医薬の有効成分として、ヒト由来
のHGF(hHGF) を用いることが好ましい。
【0010】組換えHGF を産生させる宿主は特に限定さ
れないが、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌、植
物細胞、昆虫細胞、動物細胞などを用いればよい。より
具体的には、HGF 生産能を有する形質転換体を製造する
には、上記哺乳類由来の胎盤、肝障害患者肝組織及び血
液、MRC-5 細胞、IMR-9 細胞などの線維芽細胞株、好ま
しくは CHO細胞等の宿主細胞に対して、例えば、特開平
3-285693号公報に記載された方法に従ってHGF 、好まし
くはhHGFをコードするcDNAを含む発現ベクターを導入す
ればよい。このような形質転換体を培養することにより
分離・採取されるHGF を用いることは本発明の好ましい
態様である。
【0011】また、本発明の医薬の有効成分として、上
記の天然又は組換えHGF 自体の他、その前駆体蛋白質や
肝実質細胞を増殖させる活性を損なわない範囲で天然HG
F の一部のアミノ酸を置換、欠失、挿入、修飾等により
改変した非天然型HGF を用いてもよい。このような非天
然型HGF としては、特開平2-288899号公報、特開平3-13
0091号公報、同3-255096号公報、同4-30000 号公報、Na
ture, 342, pp.440-443, 1989 等の刊行物に記載のもの
を用いることができる。
【0012】本発明の医薬の有効成分として特に好まし
いHGF は以下の理化学的性質: 1) SDS-PAGE(非還元条件下)による推定分子量が約7
6,000〜92,000であり; 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有し; 3) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活し; 4) トリプシンによる消化処理及びキモトリプシンによ
る消化処理により上記活性が失活し; 5) ヘパリンに対して強い親和性を有する を有するものであり、ヒト由来のものがより好ましく、
特開平3-72883 号公報又は特開平4-89499 号公報に記載
のアミノ酸配列により特定されるhHGFが特に好ましい。
【0013】本発明の医薬は、前記HGF の1種または2
種以上を単独で、あるいは適当な製剤用添加物と共に製
剤形態の医薬組成物として調製し、非経口的に投与する
ことが好ましい。このような医薬組成物の投与形態とし
ては、一般的に非経口的投与に使用されるものであれば
特に限定されないが、例えば、注射用アンプル剤や注射
用凍結乾燥粉末剤(バイアル充填のもの)などを用いる
ことが可能である。各種製剤形態への調製は、当業界で
利用可能な周知の製剤添加物、例えば希釈剤や添加剤な
どを用い、当業界の慣用の手法に従って行えばよい。
【0014】例えば、注射用凍結乾燥粉末剤は、精製さ
れた前記HGF の有効量を注射用蒸留水、生理食塩水、ブ
ドウ糖水溶液などの希釈剤に溶解し、必要に応じてカル
ボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの
賦形剤、ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナ
トリウム、アミノ酸、ヒト血清アルブミンなどの安定化
剤、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェ
ノールなどの保存剤、ブドウ糖、グルコン酸カルシウ
ム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、塩酸、酢酸、クエ
ン酸、水酸化ナトリウムなどのpH調節剤等を加え、常法
に従って凍結乾燥することにより製造することができ
る。
【0015】また、注射用アンプル剤は、前記HGF の有
効量を注射用蒸留水、生理食塩水、リンゲル液などの希
釈剤に溶解し、必要に応じてサリチル酸ナトリウム、マ
ンニトールなどの溶解補助剤、クエン酸ナトリウム、グ
リセリンなどの緩衝剤、ブドウ糖、添加糖などの等張化
剤、上記安定化剤、上記保存剤、上記無痛化剤、上記pH
調節剤などの添加剤を加えた後、通常の加熱滅菌、無菌
濾過などにより無菌化して調製することができる。な
お、有効成分の種類によっては加熱滅菌工程で失活する
場合があるので、滅菌方法は適宜選択すべきである。
【0016】いかなる特定の理論に拘泥するわけではな
いが、本発明の医薬の有効成分であるHGF は、哺乳類動
物の体内で血小板数を増加させる作用を有しているの
で、血小板減少に起因する各種の疾患の予防及び/又は
治療に特に有用である。さらに、本発明の医薬の有効成
分は血小板機能に対して強力な生理作用を有しており、
血小板の機能異常を改善することができるので、血小板
の機能異常に起因する疾患の予防及び/又は治療に有用
である。従って、本発明の医薬は、血小板の減少や機能
異常の兆候が認められる下記の各種の疾患の予防及び/
又は治療に用いることができる。もっとも、本発明の医
薬の適用対象は下記の特定の疾患名の疾患に限定される
ことはなく、血小板の減少や機能異常の兆候が認められ
る疾患にはすべて適用可能である。
【0017】(1) 血小板産生能低下による血小板減少を
伴う各種疾患:白血病、再生不良性貧血、リンパ腫、骨
髄線維症、癌の骨転移などや、外科手術、癌化学療法そ
の他の薬剤投与、放射線障害、エイズや感染による敗血
症などに起因する血小板減少症; (2) 血小板過剰崩壊による血小板減少を伴う各種疾患:
薬物中毒、アレルギー、全身性紅斑性狼そう、全身性エ
リテマトーデス(SLE )、血小板減少性紫斑病、播種血管
内凝固症候群(DIC )など; (3) 血小板分布異常による血小板減少を伴う各種疾患:
脾腫による血小板の貯留など;及び (4) 血小板機能異常を伴う各種疾患:血小板粘着異常、
凝集異常、放出異常などを伴う血小板無力症や無フィブ
リン血症などの各種先天性疾患など。
【0018】本発明の医薬には、本発明の医薬と同様な
薬理作用あるいは他の薬理作用を有する他の医薬の有効
成分を配合してもよい。また、本発明の医薬の有効成分
の肝実質細胞増殖作用を増強することが知られているヘ
パリン、デキストラン硫酸等の硫酸化多糖類もしくはそ
の誘導体(特開平5-301824号公報)などの有効成分を配
合してもよい。これらの硫酸化多糖類もしくはその誘導
体は本発明の医薬の安定性を高める作用を有しているの
で、これらを配合した医薬は本発明の好ましい態様であ
る。
【0019】本発明の医薬は、ヒトを含む哺乳類の上記
の疾患の予防及び/又は治療を目的として、一般的には
非経口的に、より具体的には皮下、筋肉または静脈内注
射により投与することができる。一般的には、所定量を
単回もしくは複数回に分けて注射により投与するか、ま
たは点滴などにより連続的に投与することができる。投
与量は、患者の年齢、性別、症状、体重、投与形態等に
応じて適宜増減すべきであるが、一般的には、成人1日
当たり1μg/kg〜10 mg/kg、より好ましくは10〜1000μ
g/kgの範囲で投与すればよい。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるこ
とはない。なお、以下の実施例においては、HGF として
特開平3-285693号公報に記載された方法に従って製造し
た組換えhHGF(rhHGF) を使用した。
【0021】実施例1:正常ラット血小板数に及ぼすrh
HGF の作用 7週齢のWistar系雄性ラット40匹(180〜200g) を5群に
分け、各々 sham-operation(シャム) 群、HGF 投与群
(0, 20, 200, 2000μg/kg/day)とした。HGF 投与群
は、各群200 μl のHGF 溶液 [0, 0.167, 1.67, 16.7 m
g/ml HGFを含む10 mM リン酸緩衝液(pH7.4) 、0.14M 塩
化ナトリウム、0.005% Tween 80 、41.7 mg/mlデキスト
ラン硫酸ナトリウム] を注入した浸透圧ポンプ(アルザ
社、モデル alzet 2001 )を腋下に埋め込み、ポンプに
接続したチューブを頸静脈にカニュレーションして1μ
l/hrになるよう持続注入した。シャム群には皮膚切開、
縫合のみの手術を施した。
【0022】手術後7日目にエーテル麻酔下で5 mlシリ
ンジにて腹腔静脈より採血し、一部は常法に従い EDTA
を添加して抗凝固処理を行った後、血小板数、赤血球
数、白血球数、ヘマトクリット値を自動血球計算装置
(オルソ・ダイアグノスティック・シィステム社、ELT-
800)を用いて測定した。残りは血清分離を行った後、血
中HGF レベル、及び各種マーカー(GOT, GPT, ALP, グル
コース, 総コレステロール, トリグリセリド, 総蛋白、
アルブミン)の測定を行なった。採血後肝臓を摘出し、
肝重量を測定した。HGF 投与後7日目の肝重量はHGF 用
量依存的に増加しており、種々の肝機能も亢進してい
た。一方、血小板数は、HGF 投与により用量依存的に増
加傾向を示した。血小板増加に必要なrhHGF 用量は、肝
増殖/機能促進に必要な用量にほぼ一致していた。以上
の結果より、rhHGF がin vivo において肝増殖や機能に
働くばかりでなく、実際にラットの血小板数を増加させ
る作用を有することが確認された。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例2:カニクイザル血小板数に及ぼす
rhHGF の効果 健康状態に異常の認められないカニクイザル(体重 2.5
〜5 kg、推定年齢3〜8歳)雌雄各4匹を、雌雄各1匹
ずつ4群に分けた。各群に対しrhHGF を0(対照)、0.
1, 1.0, 10 mg/kgで1日1回、前腕皮静脈より2週間連
日投与した。投与容量は5 ml/kg、投与速度は5ml/min
とした。rhHGF 注射剤(または対照液)は、rhHGF 濃度
が各々0, 0.02, 0.2, 2mg/mlとなるように0.14M NaCl、
0.005% Tween80、デキストラン硫酸ナトリウム0.2mg/ml
を含む10mMリン酸緩衝液(pH 7.4)に溶解し、濾過滅菌を
施して使用まで暗所に冷蔵保存した。
【0025】rhHGF 投与開始前1回、及び終了後に1
回、外剄静脈または大腿静脈から注射器にて採血し、3.
8%クエン酸ナトリウム溶液で抗凝固処理後遠心分離(30
00rpm、15分間)して血漿を得た。これら血漿サンプル
を常法に従って各種血液学的検査に供した(東亜医用電
子株式会社、E-4000型)。また、最終投与終了の翌日に
ペントバルビタールナトリウム水溶液(64.8 mg/ml)を
0.4 ml/kgとなるように尾静脈内に投与し、麻酔下で体
重を測定後、諸器官及び組織を常法の病理組織学的検査
により観察した。
【0026】結果を表2に示す。相対肝重量(g/kg体
重)はHGF 最低用量(0.1mg/kg)から認められ、10 mg/kg
で投与前の 1.3〜1.6 倍に達した。一方、血小板数はHG
F 用量1 mg/kg から顕著に上昇し、10 mg/kgで 2.2〜3.
4 倍に達した。これは、従来のIL-6、IL-11 の作用より
も強く、未だイン・ビボでの作用が明確でないTPO の作
用に匹敵する。本発明の医薬は、ラットに比べてよりヒ
トに近いカニクイザルにおいても血小板増強作用を示す
ので、本発明の医薬がヒトにおいても有効であることは
明らかである。
【0027】
【表2】 上段/下段:雄/雌、 (内):対照(HGF0)に対する割合(%)
【発明の効果】本発明の医薬の有効成分であるHGF は、
哺乳類動物の体内で血小板数を増加させる作用及び血小
板の機能異常を改善する作用を有しているので、本発明
の医薬は血小板減少を伴う各種疾患の治療及び/又は予
防に有効である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肝実質細胞増殖因子を有効成分として含
    む血小板の機能異常に起因する疾患の予防・治療薬。
  2. 【請求項2】 肝実質細胞増殖因子が下記の理化学的性
    質: 1) SDS-PAGE(非還元条件下)による推定分子量が約7
    6,000〜92,000であり; 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有し; 3) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活し; 4) トリプシンによる消化処理及びキモトリプシンによ
    る消化処理により上記活性が失活し; 5) ヘパリンに対して強い親和性を有する を示す請求項1に記載の予防・治療薬。
  3. 【請求項3】 血小板減少に起因する疾患の予防・治療
    剤である請求項1又は2に記載の予防・治療剤。
JP7037365A 1995-02-24 1995-02-24 血小板の機能異常に起因する疾患の治療薬 Pending JPH08231415A (ja)

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