JPH08231418A - 腸疾患治療剤 - Google Patents

腸疾患治療剤

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JPH08231418A
JPH08231418A JP7037366A JP3736695A JPH08231418A JP H08231418 A JPH08231418 A JP H08231418A JP 7037366 A JP7037366 A JP 7037366A JP 3736695 A JP3736695 A JP 3736695A JP H08231418 A JPH08231418 A JP H08231418A
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JP
Japan
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cells
hgf
activity
intestine
intestinal
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JP7037366A
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Takehisa Ishii
健久 石井
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 肝実質細胞増殖因子(例えば 1)SDS-PAGE に
よる推定分子量が約76〜92K であり;2)肝実質細胞を増
殖させる活性を有し;3)80℃、10分間の加熱処理により
上記活性が失活し;4)トリプシンによる消化処理及びキ
モトリプシンによる消化処理により上記活性が失活し;
5)ヘパリンに対して強い親和性を有するもの)を有効成
分として含む腸疾患の予防・治療薬。 【効果】 有効成分であるHGF は腸由来細胞に対して細
胞増殖作用や器官形成作用を有しており、炎症性大腸炎
等の腸疾患の予防・治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は腸疾患の予防・治療剤に
関し、より詳しくは、肝実質細胞増殖因子を有効成分と
して含み、炎症性腸疾患等の腸疾患の予防及び/又は治
療に有用な医薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】腸疾患では、腸組織上皮に潰瘍や炎症等
の組織異常を生じる場合がある。主として腸粘膜又は粘
膜下層に障害が起こる炎症性腸疾患はその代表的な疾患
として知られているが、この疾患名は包括的に用いられ
ており、潰瘍性大腸炎やクローン病の他、細菌、寄生
虫、又はウイルスの感染によるもの、放射線、薬剤、又
は化学物質によるもの、虚血性大腸炎、ベーチェット
病、孤立性直腸潰瘍など多くの疾患を包含している(病
理と臨床,10,pp.142-151, 1992) 。これら疾患のう
ち、潰瘍性大腸炎やクローン病は、平成2年の患者数が
約30,000人程度であるものの、比較的難治例が多いこと
と患者数が急増していることから、臨床上の大きな問題
となっている。潰瘍性大腸炎やクローン病の治療には、
炎症部位の切除などの外科手術の他、サラゾピリン、メ
トロニダゾール、ステロイド、又は免疫抑制剤投与など
の試験的投与が行われている。しかしながら、これらの
疾患の原因は未だ解明されておらず、有効な薬物療法が
行われているとはいえない(医学のあゆみ,160, pp.89
5-898, 1992)。
【0003】一方、ヒト肝実質細胞増殖因子(以下、本
明細書において「hHGF」と略記する場合があり、単に肝
実質細胞増殖因子を表す場合は「HGF 」と略記する場合
がある)は、初代培養肝細胞の増殖を促進させうるヒト
由来蛋白性因子として、劇症肝炎患者血漿から初めて分
離された(特開昭63-22526号公報)。その後、hHGF蛋白
質をコードする遺伝子(cDNA)及びアミノ酸配列(特開平
3-72883 号公報)、組換えhHGFの生産方法(特開平3-28
5693号公報)が報告されている。このような組換えヒト
HGF(以下、本明細書において「rhHGF 」と略記する場合
がある)は、生体外(J. Clin. Lnvest., 87, pp.1853-1
857, 1991)、及び生体内(Jpn. J. Pharmacol., 59, sup
pl. 1, 137, 1992) において肝実質細胞の増殖及び機能
を促進する作用を有している。
【0004】さらに、HGF の標的細胞や標的組織が広く
検索されており、HGF が肝細胞以外の種々の上皮細胞
(尿細管上皮、肺上皮、胆管上皮、又は胃上皮等)や線
維芽細胞、リンパ球系細胞等に反応して、その増殖や運
動性を変化させることが報告されている(Mitsubishi Ka
sei R&D Review, 7, pp.16-24, 1993)。また、これらHG
F 標的細胞上のレセプター分子として、癌原遺伝子c-me
t 産物が機能していることも明らかにされている(Scien
ce, 251, pp.802-804, 1991)。
【0005】HGF の多様な生物活性のうち、シャーレで
の上皮系細胞の細胞分散を高める活性は従来 scatter f
actor(SF: 運動性促進活性) と呼ばれていた (Nature,
327,pp.239-242, 1987)。その後、HGF に反応して運動
性促進活性を示す腎由来細胞株が、コラーゲンゲル内の
培養ではHGF 依存的に管腔形成を起こすことから、HGF
に誘導される運動性の変化が単なる細胞運動性の亢進に
とどまらず、器官形成(再生)の一過程と解釈されるよ
うになっている(Cell, 67, pp.901-908, 1991)。しかし
ながら、HGF の腸組織及び腸由来細胞に対する生物活
性、特にその増殖及び運動性に対する作用はいまだ報告
されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するため
の手段】本発明の目的は腸疾患の予防・治療剤を提供す
ることにある。より詳しくは、潰瘍性大腸炎やクローン
病等の炎症性腸疾患を含む種々の腸疾患の予防・治療に
有用な医薬を提供することが本発明の目的である。本発
明者は上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、HGF
が腸由来細胞の増殖や器官形成(再生)を促進し、従来
有効な薬物療法が確立されていない炎症性腸疾患等の腸
疾患の予防及び/又は治療に有用であることを見い出し
た。本発明は上記の知見を基にして完成されたものであ
る。
【0007】すなわち本発明によれば、肝実質細胞増殖
因子を有効成分として含む腸疾患の予防・治療剤が提供
される。本発明の好ましい態様によれば、肝実質細胞増
殖因子が下記の理化学的性質:1) SDS-PAGE(非還元条
件下)による推定分子量が約76,000〜92,000であり;2)
肝実質細胞を増殖させる活性を有し;3) 80℃、10分
間の加熱処理により上記活性が失活し;4) トリプシン
による消化処理及びキモトリプシンによる消化処理によ
り上記活性が失活し;5) ヘパリンに対して強い親和性
を有する;を示す上記予防・治療剤;並びに、腸疾患が
下部消化管の炎症性疾患である上記予防・治療剤が提供
される。また、本発明の別の態様によれば、肝実質細胞
増殖因子あるいは上記の好ましい肝実質細胞増殖因子を
有効成分として含む腸由来細胞の増殖促進剤及び/又は
器官形成促進剤が提供される。
【0008】本発明の医薬は、肝実質細胞増殖因子(HG
F) を有効成分とすることを特徴としている。肝実質細
胞増殖因子としては、HGF を含有することの知られてい
るヒトやラット等の哺乳類動物由来の体液や組織、また
は自発的にHGF を産生する細胞から単離・精製されたも
のを用いることができるが、遺伝子組換え法によりHGF
のcDNAを細胞に導入して得られる組換えHGF を用いるこ
ともできる。本発明の医薬の有効成分として、ヒト由来
のHGF(hHGF) を用いることが好ましい。
【0009】組換えHGF を産生させる宿主は特に限定さ
れないが、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌、植
物細胞、昆虫細胞、動物細胞などを用いればよい。より
具体的には、HGF 生産能を有する形質転換体を製造する
には、上記哺乳類由来の胎盤、肝障害患者肝組織及び血
液、MRC-5 細胞、IMR-9 細胞などの線維芽細胞株、好ま
しくは CHO細胞等の宿主細胞に対して、例えば、特開平
3-285693号公報に記載された方法に従ってHGF 、好まし
くはhHGFをコードするcDNAを含む発現ベクターを導入す
ればよい。このような形質転換体を培養することにより
分離・採取されるHGF を用いることは本発明の好ましい
態様である。
【0010】また、本発明の医薬の有効成分として、上
記の天然又は組換えHGF 自体の他、その前駆体蛋白質や
肝実質細胞を増殖させる活性を損なわない範囲で天然HG
F の一部のアミノ酸を置換、欠失、挿入、修飾等により
改変した非天然型HGF を用いてもよい。このような非天
然型HGF としては、特開平2-288899号公報、PCT 国際公
開WO90/10651号、特開平3-130091号公報、同3-255096号
公報、同4-30000 号公報、Nature, 342, pp.440-443, 1
989 等の刊行物に記載のものを用いることができる。
【0011】本発明の医薬の有効成分として特に好まし
いHGF は以下の理化学的性質: 1) SDS-PAGE(非還元条件下)による推定分子量が約7
6,000〜92,000であり; 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有し; 3) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活し; 4) トリプシンによる消化処理及びキモトリプシンによ
る消化処理により上記活性が失活し; 5) ヘパリンに対して強い親和性を有する を有するものである。このようなHGF としてはヒト由来
のものがより好ましく、特開平3-72883 号公報又は特開
平4-89499 号公報に記載のアミノ酸配列により特定され
るhHGFが特に好ましい。
【0012】本発明の医薬は、前記HGF の1種または2
種以上を単独で、あるいは適当な製剤用添加物と共に製
剤形態の医薬組成物として調製し、非経口的に投与する
ことが好ましい。このような医薬組成物の投与形態とし
ては、一般的に非経口的投与に使用されるものであれば
特に限定されないが、例えば、注射用アンプル剤や注射
用凍結乾燥粉末剤(バイアル充填のもの)などを用いる
ことが可能である。各種製剤形態への調製は、当業界で
利用可能な周知の製剤添加物、例えば希釈剤や添加剤な
どを用い、当業界の慣用の手法に従って行えばよい。
【0013】例えば、注射用凍結乾燥粉末剤は、精製さ
れた前記HGF の有効量を注射用蒸留水、生理食塩水、ブ
ドウ糖水溶液などの希釈剤に溶解し、必要に応じてカル
ボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの
賦形剤、ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナ
トリウム、アミノ酸、ヒト血清アルブミンなどの安定化
剤、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェ
ノールなどの保存剤、ブドウ糖、グルコン酸カルシウ
ム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、塩酸、酢酸、クエ
ン酸、水酸化ナトリウムなどのpH調節剤等を加え、常法
に従って凍結乾燥することにより製造することができ
る。
【0014】また、注射用アンプル剤は、前記HGF の有
効量を注射用蒸留水、生理食塩水、リンゲル液などの希
釈剤に溶解し、必要に応じてサリチル酸ナトリウム、マ
ンニトールなどの溶解補助剤、クエン酸ナトリウム、グ
リセリンなどの緩衝剤、ブドウ糖、添加糖などの等張化
剤、上記安定化剤、上記保存剤、上記無痛化剤、上記pH
調節剤などの添加剤を加えた後、通常の加熱滅菌、無菌
濾過などにより無菌化して調製することができる。な
お、有効成分の種類によっては加熱滅菌工程で失活する
場合があるので、滅菌方法は適宜選択すべきである。
【0015】いかなる特定の理論に拘泥するわけではな
いが、本発明の医薬の有効成分であるHGF は、腸由来細
胞の増殖や器官形成(再生)を促進する作用を有してい
る。より具体的に説明すると、HGF は腸由来細胞のDNA
合成を促進することにより腸細胞の増殖を促進する。ま
た、腸細胞に対して運動性促進(SF)作用を示し、腸細胞
の管腔形成を促進して器官の再生を誘導する。HGF の細
胞増殖作用については肝細胞についての報告があり、HG
F の運動性促進活性や管腔形成促進作用については腎由
来細胞株についての報告があるが、腸由来の細胞につい
ての上記作用は従来全く知られていない。肝細胞や腎由
来細胞と腸由来の細胞とは発生学的あるいは細胞学的な
見地から直接的な関係がないので、腸細胞に対するHGF
の上記作用は驚くべきことである。
【0016】本発明の医薬は腸疾患の予防及び/又は治
療に有用である。本発明の医薬は種々の腸疾患に適用可
能であるが、好ましくは腸粘膜又は粘膜下層に障害を惹
起する炎症性腸疾患の治療及び/又は予防に用いること
ができる。このような炎症性腸疾患としては、潰瘍性大
腸炎やクローン病の他、細菌、寄生虫、ウイルスの感染
によるもの、放射線、薬剤、化学物質によるもの、虚血
性大腸炎、ベーチェット病、孤立性直腸潰瘍などを例示
することができる。本発明の医薬の適用対象ととして
は、好ましくは小腸及び大腸を含む下部消化器の炎症性
疾患、より好ましくは十二指腸を除く小腸及び大腸を含
む下部消化器の炎症性疾患、特に好ましくは大腸の炎症
性疾患である。もっとも、本発明の医薬の適用対象は上
記のものに限定されることはなく、腸細胞の増殖を促進
して腸細胞による器官の形成を促進することにより治療
効果及び/又は予防効果が期待できる腸疾患は、いずれ
も本発明の医薬の適用対象である。
【0017】本発明の医薬には、本発明の医薬と同様な
薬理作用あるいは他の薬理作用を有する他の医薬の有効
成分を配合してもよい。また、本発明の医薬の有効成分
の肝実質細胞増殖作用を増強することが知られているヘ
パリン、デキストラン硫酸等の硫酸化多糖類もしくはそ
の誘導体(特開平5-301824号公報)などの有効成分を配
合してもよい。これらの硫酸化多糖類もしくはその誘導
体は本発明の医薬の安定性を高める作用を有しているの
で、これらを配合した医薬は本発明の好ましい態様であ
る。
【0018】本発明の医薬は、ヒトを含む哺乳類の上記
の疾患の予防及び/又は治療を目的として、一般的には
非経口的に、より具体的には皮下、筋肉または静脈内注
射により投与することができる。一般的には、所定量を
単回もしくは複数回に分けて注射により投与するか、ま
たは点滴などにより連続的に投与することができる。投
与量は、患者の年齢、性別、症状、体重、投与形態等に
応じて適宜増減すべきであるが、一般的には、成人1日
当たり1μg/kg〜10 mg/kg、より好ましくは10〜1000μ
g/kgの範囲で投与すればよい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。以下の実施例において、HGF として特開
平3-285693号公報に記載された方法に従って製造された
組換えhHGF(rhHGF) を使用した。また、使用した細胞株
は、ウシ胎児血清(FBS) を 5-10%程度含む通常の培養条
件ではFBS に依存した増殖が強く認められることから、
FBS 濃度を0 または1%程度に落としてHGF 反応性を検索
する系を用いた。腸由来細胞株として、(1)Intestine 4
07 :ヒト胚小腸由来;(2)IEC-6:ラット小腸由来上皮系
細胞;及びIEC-18:ラット回腸由来上皮系細胞の3種を
大日本製薬株式会社より購入して以下の実験に用いた。
【0020】実施例1:腸由来細胞のDNA 合成に対する
HGF の作用。 セミコンフレントに増殖した上記細胞をトリプシン液
(シグマ社)で剥離し、0.25%ウシ血清アルブミン含有
イ−グルMEM 培地に再懸濁した。細胞数を計測しウェル
当り104 個となるよう96ウェルプレートに100 μl ずつ
播種した。無血清下で増殖の起こりにくい細胞について
は、最終濃度 1% になるようウシ血清を添加した。次に
0.25% ウシ血清アルブミン(BSA) に懸濁したhHGF溶液を
細胞を播種した96ウェルプレ−トに100 μl ずつ添加し
た。HGF 最終濃度を 0-1,000 ng/mlとし、プレ−トを C
O2インキュベ−タ−(5% CO2-95% 空気)中で24時間イン
キュベ−トした。培養の最終4時間に細胞を 1μCi/ウ
ェルの 3H-チミジンで標識し、セルハ−ベスタ−(ファ
ルマシア社)で細胞をガラスフィルタ−上に集め、よく
洗浄、乾燥してシンチレ−タ−を添加後、細胞内に取り
込まれた放射活性を液体シンチレ−ションカウンタ−
(ヒュ−レットパッカ−ド社)で測定した。
【0021】図1及び2は、腸由来細胞に対するhHGFの
用量依存的なDNA 合成促進作用を示す図である。横軸は
HGF 濃度(ng/ml)を対数で示してあり、縦軸は細胞増殖
の指標として細胞DNA への 3H-チミジンの取り込み(cp
m) を示す。図1中、○は無血清条件でのIntestine 407
のチミジン取り込みを示し、●は1 % 血清条件でのIEC
-6 のチミジン取り込みを示す。図2中、○は無血清条
件でのIEC-18のチミジン取り込みを示し、●は無血清条
件でのIEC-6 のチミジン取り込みを示す。
【0022】いずれの例においても、HGF 濃度依存的に
腸由来細胞の増殖が促進されていることが明らかであ
る。なお、HGF 高濃度域 (>20 ng/ml)においては増殖
が抑制傾向となっているが、同様の結果が肝細胞を用い
た試験例で報告されている。この詳しいメカニズムは不
明であり、いかなる理論に拘泥するわけではないが、高
濃度HGF の存在下では、誘導されるDNA 合成のピ−クが
48時間以降にずれるためであると思われる(Exp. Cell
Res.,209 ,pp.317-314, 1993) 。
【0023】実施例2:腸由来細胞に対するhHGFの
運動性促進作用または器官形成促進作用 以上の結果から、腸由来細胞株3株中全例において、HG
F が腸由来細胞に対して増殖促進活性を有することが明
らかである。そこで、腸由来細胞の運動性及び器官形成
に対するhHGFの作用を明らかにするため、10% または0.
5% FBS存在下の腸由来細胞培養系に一定量のhHGFを添加
し、HGF 添加及び未添加培養系について24時間後の細胞
の状態を比較した。
【0024】実施例1で使用した腸由来細胞株3種をト
リプシン液にて剥離後、 0.625〜5×104 個/mlになる
ように10または0.5% FBS含有イーグルMEM 培地に再懸濁
し、細胞懸濁液を1 mlずつ24ウェルプレート(コスター
社)に播種した。直ちに終濃度40 ng/mlのhHGFまたはhH
GF懸濁バッファー(0.25% BSA 含有イーグルMEM 培地)
を加えて混合し、プレ−トをCO2 インキュベ−タ−(5%
CO2−95% 空気)中で24時間インキュベ−トした後、細
胞を倒立顕微鏡(ニコン社製: 100-200 倍)で観察して
ポラロイドカメラ(ポラロイド社)で撮影した。
【0025】図3の結果は、腸由来細胞株IEC-6(a, b)
及びIEC-18(c, d)に対して生理的濃度(40 ng/ml)の hHG
F が運動促進作用を有することを示している(b, d はhH
GF存在下)。また、腸由来細胞株IEC-18に対して 0.5%
FBS 存在下でhHGF(40 ng/ml)を作用させると、腸由来細
胞に管腔状の立体構造が認められるようになり、器官形
成が促進された(図4、a はhHGF添加前、b はhHGF添加
後)。
【発明の効果】本発明の医薬の有効成分であるHGF は腸
由来細胞に対して細胞増殖作用、運動促進作用、及び器
官形成作用を有しており、本発明の医薬は、潰瘍性大腸
炎、炎症性大腸炎等の腸疾患の予防及び/又は治療に有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 腸由来細胞に対してhHGFの用量依存的なDNA
合成促進作用を示す図である。図中、横軸はHGF 濃度(n
g/ml) の対数値、縦軸は細胞増殖の指標として細胞DNA
への3H- チミジンの取り込み量(cpm) を示し、○はInte
stine 407 、●はIEC-6 についての結果を示す。
【図2】 腸由来細胞に対してhHGFの用量依存的なDNA
合成促進活性を示す図である。図中、横軸はHGF 濃度(n
g/ml) の対数値、縦軸は細胞増殖の指標として細胞DNA
への3H- チミジンの取り込み量(cpm) を示し、○はIEC-
18、●はIEC-6 についての結果を示す。
【図3】 腸由来細胞に対するhHGFの運動性促進作用を
細胞(生物)の形態として示した図面に代わる写真であ
る。a 及びb はIEC-6 、c 及びd はIEC-18であり、a 及
びc はhHGF無添加、b 及びd はhHGF添加後の結果を示
す。
【図4】 腸由来細胞に対するhHGFの器官形成促進作用
を細胞(生物)の形態として示した図面に代わる写真で
ある。a はhHGF添加前、b はhHGF添加後の結果を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肝実質細胞増殖因子を有効成分として含
    む腸疾患の予防・治療剤。
  2. 【請求項2】 肝実質細胞増殖因子が下記の理化学的性
    質: 1) SDS-PAGE(非還元条件下)による推定分子量が約7
    6,000〜92,000であり; 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有し; 3) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活し; 4) トリプシンによる消化処理及びキモトリプシンによ
    る消化処理により上記活性が失活し; 5) ヘパリンに対して強い親和性を有する を示す請求項1に記載の予防・治療剤。
  3. 【請求項3】 腸疾患が下部消化管の炎症性疾患である
    請求項1又は2に記載の予防・治療剤。
JP7037366A 1995-02-24 1995-02-24 腸疾患治療剤 Pending JPH08231418A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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