JPH08231290A - エアバッグ用ガス発生剤及びこれを用いたエアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生剤及びこれを用いたエアバッグ用ガス発生器

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JPH08231290A
JPH08231290A JP7038103A JP3810395A JPH08231290A JP H08231290 A JPH08231290 A JP H08231290A JP 7038103 A JP7038103 A JP 7038103A JP 3810395 A JP3810395 A JP 3810395A JP H08231290 A JPH08231290 A JP H08231290A
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hydrogen peroxide
weight
air bag
gas
decomposition
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Akira Iwama
彬 岩間
Masataka Shimoda
正隆 霜田
Nobuo Tsujikado
信男 辻角
Takashi Shikasumi
孝 鹿住
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Nippon Koki Co Ltd
Original Assignee
Nippon Koki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 エアバッグのガス発生剤として用いられてい
るアジ化ナトリウム配合物の難点を一挙に改善すること
ができるエアバッグ用ガス発生剤及びこれを用いたガス
発生器を提供する。 【構成】 過酸化水素の含有率が64.5重量%以下の
水溶液であって、融点が127℃以下である主剤と、過
酸化水素の分解触媒とから成ることを特徴とする。過酸
化水素の分解触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金
属の過マンガン酸塩、アルカリ金属又は金,白金,銀,
銅から成るクロム酸塩、ランタノイド系の酸化物、金,
白金,銀,銅の粉末である過酸化水素の含有率が64.
5重量%以下の水溶液であって、融点が127℃以下で
ある主剤を収容する主剤用容器と、過酸化水素の分解触
媒を収容する分解触媒用容器と、この分解触媒用容器内
に取り付けられる点火具とから成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用車,トラック,二
輪車,その他の乗物の搭乗者が不幸にして衝突事故や自
損事故に遭遇したとき、人体を危害から守るエアバッグ
に用いられるガス発生剤及びガス発生器に係り、詳しく
は、過酸化水素を利用したガス発生剤及びこれを用いた
エアバッグ用のガス発生器である。
【0002】
【従来の技術】近年、道路を走行する乗物の数量は世界
的な規模でみると増加の一途を辿っていて、関係各方面
の努力にも拘わらず交通事故の発生はなかなか減少しな
いのが実状である。
【0003】そこで、不幸にして衝突,自損によって強
い衝撃が人体に加わったとき、搭乗者が致命的な傷害を
受けないで済むようエアバッグの取付が普及しつつあ
る。このガス発生源は、アジ化ナトリウム粉に同じく粉
状の過塩素酸塩,金属酸化物,金属硫化物などを配合,
加圧成型し、モジュールに収納した固体ガス発生器で加
速度センサーが強い衝撃を検出すれば直ちに発火しエア
バッグを急速に展開させる役割を担っている。
【0004】現在、この系統の配合物がガス発生剤の主
流になっていて、これから生成する窒素ガスはエアバッ
グ用ガスとして適した物性を持つといわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然し、アジ化ナトリウ
ム配合物には幾つかの欠点もある。先ず、取扱者の血圧
を降下させる作用があり、大量製産工場における職場の
環境保全に強い規制が敷かれ、廃車時の処理に多額の経
費が必要になる。
【0006】燃焼時に少量ながら酸化ナトリウム,過酸
化トリウムが副生飛散し、眼や呼吸器を害することがあ
る。それらの化合物は、水と反応して発火する。更に、
深刻な問題はアジ化ナトリウムの発火,燃焼性について
はまだ研究と情報が十分にはなく、アジ化ナトリウムの
製造とその配合物の混合,成型過程における発火危険性
に対する完壁な対策が立ち後れていることである。
【0007】アジ化ナトリウムは、水や酸に接触すると
猛毒で爆発感度が高いアジ化水素(HN3)が発生する
と云われている。アジ化ナトリウムに代わるガス発生剤
としてテトラゾール化合物が期待されているが、これも
製造上の危険が完全に払拭されたわけではなく、燃焼ガ
スには極く微量とはいえシアン系ガスが含まれる。その
他の代替物質も一酸化炭素を多量に発生するなどの欠点
がある。
【0008】一方、特開昭56ー88804号公報に
は、過酸化水素水溶液を用いたガス発生器が開示されて
いる。これは、上述したエアバッグのガス発生剤として
用いられているアジ化ナトリウム配合物の難点を解決す
るものである。処で、エアバッグは車に搭載されている
ため、車の置かれている厳しい環境下でも同じ性能を有
することが必要不可欠である。即ち、低温側でー30
℃、高温側で80℃の範囲で性能を保証する必要があ
る。
【0009】これに対してガス発生剤として使用される
過酸化水素は、その濃度によって物性が変化し沸点、疑
固点に変化を受ける。このため、特開昭56‐8880
4号公報に開示されている過酸化水素水溶液の含有率5
重量%〜30重量%のものでは、低温環境下で凍るとい
うトラブルが発生し、低温でのガス発生能力はなくなっ
てしまう。
【0010】又、エアバッグ用ガス発生器はバッグを膨
らませるという目的を持っている。このエアバッグは衝
突から約30〜40msecで完全展開する必要があ
る。このためには、過酸化水素水溶液を用いたガス発生
剤は、30〜40msecで分解反応を終了する必要が
ある。これに対し、過酸化水素はその濃度によって分解
速度が変化する性質を持っている。過酸化水素の濃度は
分解反応のパラメータであり、濃度が高くなると共に分
解速度も速くなる。このことからも特開昭56‐888
04号公報に開示された過酸化水素の含有率5重量%〜
30重量%のものでは、30〜40msecでの分解反
応終了は不可能である。
【0011】そのため、この特開昭56ー88804号
公報に開示されてある発明では、30秒以内に80%の
膨張率を得ると記載するに止まっており、これでは、自
動車用のエアバッグのガス発生器としては全く使用でき
ないものとなる。即ち、自動車用のエアバッグを展開し
て乗員を保護するためには、少なくとも50msec以
内に分解反応を終了しガスを発生させ、エアバッグを1
00%展開させていなければならないからである。
【0012】本発明は斯かる従来の問題点を解決するた
めになされたもので、エアバッグのガス発生剤として用
いられているアジ化ナトリウム配合物の難点を一挙に改
善することができるエアバッグ用ガス発生剤及びこれを
用いたガス発生器を提供することを目的とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、過酸
化水素の含有率が64.5重量%以下の水溶液であっ
て、融点が127℃以下である主剤と、過酸化水素の分
解触媒とから成ることを特徴とするものである。
【0014】請求項2の発明は、過酸化水素の含有率が
35重量%〜64.5重量%の水溶液であることを特徴
とするものである。請求項3の発明は、過酸化水素の含
有率が40重量%〜60重量%の水溶液であることを特
徴とするものである。請求項4の発明は、過酸化水素の
分解触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過マ
ンガン酸塩、アルカリ金属又は金,白金,銀,銅から成
るクロム酸塩、ランタノイド系の酸化物、金,白金,
銀,銅の粉末であることを特徴とするものである。
【0015】請求項5の発明は、過酸化水素の含有率が
64.5重量%以下の水溶液であって、融点が127℃
以下である主剤を収容する主剤用容器と、過酸化水素の
分解触媒を収容する分解触媒用容器と、この分解触媒用
容器内に取り付けられる点火具とから成ることを特徴と
するものである。
【0016】
【作用】過酸化水素の分解熱は、次式に示すとおり非常
に高いが、含有率が64.5重量%以下の水溶液では液
全体を蒸発させるには至らないので、暴走反応が起こる
ことはない。
【0017】 H22 → H20+0.502+98.2kJ 図1は過酸化水素水溶液の濃度に対する生成ガスの組成
と温度の変化を示している。図中、実線で示されたX
(H20),X(02)は各濃度における分解ガスのモル
濃度を示し、Y(H20),Y(02)は体積百分率の濃
度を示している。
【0018】又、図中に示された過酸化水素水溶液の濃
度から分解時におけるガスの状態を知ることができる。
即ち、過酸化水素の含有率が11.5重量%以下では熱
を与えられても気化せず液体の状態を保つ。又、過酸化
水素の含有率が64.5重量%以上では水は加熱蒸気と
成り、分解ガス温度は急上昇することがわかる。例え
ば、過酸化水素の含有率が100重量%では分解ガス温
度が1000℃近くを示す。
【0019】然し、過酸化水素の含有率が11.5重量
%〜64.5重量%の範囲内では飽和水蒸気の状態で存
在し、常圧の場合を例にとれば水の高い蒸発潜熱によっ
て温度が抑制され、過酸化水素水溶液の分解ガス温度は
100℃(飽和水蒸気温度)で頭打ちとなる。又、この
図1から圧力10atmの状態であっても分解ガス温度
は200℃程度に抑えられることが読み取れる。
【0020】ここで使用している過酸化水素の含有率を
60重量%とすれば、その分解ガス組成は18重量%の
酸素を含む水蒸気と僅かな量の液体の水に限られるの
で、空気とほぼ同様な組成のクリーンなガスが発生する
ことがわかる。又、エアバッグの展開時の圧力は、大気
圧+1atm程度であるので、ガス温度も110℃以下
に抑えられる。このため、他ガス発生剤のように分解生
成物によりバッグ材を焼損する虞は全くなく、更に火炎
も発生しないことが特徴としてあげられる。
【0021】図2は過酸化水素水溶液の基本物性を示し
ている。図中、(A)は各濃度における沸点と比重を示
し、(B)は過酸化水素水溶液濃度と凝固点の変化を示
している。(B)からは過酸化水素の含有率が60重量
%のところで凝固点の極小値を示すことがわかる。
【0022】インフレータは、車が置かれる厳しい低温
環境であっても一定性能を保つ必要がある。このため低
温環境下においても過酸化水素水溶液が凍るトラブルを
避けることが必要である。然しながら、図2の(B)は
低温環境要件値ー30℃でも凍ることのないことを示し
ている。
【0023】図2の(B)は横軸に過酸化水素の濃度、
縦軸に温度が示され曲線は各々の含有率での凝固点を示
しポイントを結んだものである。又、図中に示されてい
る数値は代表的な含有率での凝固点である。この図から
過酸化水素の含有率60重量%のもので凝固点が極小値
のー55.4℃を示していることがわかる。これは過酸
化水素の含有率60重量%のものはー55.4℃以上の
環境下であれば凍らないことを示している。
【0024】又、過酸化水素の凝固点は過酸化水素の含
有率60重量%を最小値として高濃度側及び低濃度側の
何れに進んでも凝固点はそれよりも高くなる。例えば、
過酸化水素の含有率50重量%ではー50.0℃、過酸
化水素の含有率70重量%ではー40.2℃となり、過
酸化水素の含有率35重量%ではー32.6℃となる。
従って、低温環境要件値ー30℃を満足するために
は、過酸化水素の含有率が35重量%以上でなければ凍
るトラブルを回避することができない。以上のことか
ら、過酸化水素の含有率は、35重量%〜64.5重量
%、好ましくは40重量%〜60重量%である。
【0025】更に言うならば、過酸化水素の含有率が1
1.5重量%〜30重量%の範囲では、過酸化水素は低
温環境下で、ガスを発生するという本来の目的を達成す
ることができないということがわかる。又、図2の
(A)は沸点についても高温環境要件値+80℃に対し
過酸化水素の含有率が60重量%では、沸点120℃と
問題のない値を示している。
【0026】このことは過酸化水素水溶液がインフレー
タの環境温度に対して充分な許容範囲を持っていること
を示している。このように本発明に用いられる中濃度の
過酸化水素はエアバッグへの応用に際し密閉状態で貯
蔵、保存して濃度上昇が避けられる環境に置けば高い安
全性と安全を保証できる。
【0027】前述したように、自動車用エアバッグを展
開して乗員を保護するためには、少なくとも50mse
c以内に分解反応を終了しガスを発生させ、エアバッグ
を100%展開させていなければならない。本発明はこ
の分解速度を持たせた点に特徴がある。即ち、過酸化水
素の分解触媒として記述した請求項4の物質に点火薬、
伝火薬と呼ばれる火薬類を混合し、火薬の亜音速に近い
分解反応を用いて数msec以内に請求項4に示される
物質を過酸化水素内に拡散させる。火薬の燃焼熱と分解
触媒の拡散速度によって50msec以内に分解を終了
させることができる。
【0028】これは特開昭56ー88804号公報で開
示されたガス発生器のガス発生速度より1000倍の速
さでガスを発生することを可能にしたものであり、速度
の観点から根本的な違いがある。尚、過酸化水素は特殊
な分解防止剤を添加しない限り指定された適正材料(高
純度アルミニウム,SUS304,304L,316,
316L等のステンレススチール)で作った容器に保存
しても室温で一年当たり0.5重量%程度の分解が起こ
る。これによる容器内の圧力上昇を避けるためにミニチ
ュアサイズの酸素吸収ベッド槽を取り付けることが不可
欠である。然し、このことはモジュールの複雑化、大型
化を意味するものではない。何故ならば、衝突事故や自
損事故を関知する加速度センサーからの信号を受けてか
ら30〜200msec以内と極めて短時間に60リッ
トルのエアバックを膨張させるのに必要な60重量%の
過酸化水素水溶液55ml、そして150リットルのエ
アバックに対しても140mlに過ぎず、200〜50
0mlの酸素吸収ベッド槽が占める容積を含めてもが実
現できるからである。
【0029】ここで、ベッドに対する要求酸素吸収能は
55mlモジュールについては、常温で13.5リット
ル、そして140mlモジュールについては31リット
ルである。この程度の酸素量は中濃度過酸化水素水溶液
は分解速度が既に述べたように年単位で0.5重量%と
極めて低いだけに、市販の酸素吸収剤70〜200gを
ベッドに装填すれば十分処理可能な量である。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明する。 実施例1 図3は、請求項5に係るエアバッグ用ガス発生器の一実
施例を示すものである。図において、10は外筒を表
す。外筒10は、例えば、JIS A2017のアルミ
ニウム材から成り、底付の筒部11とフランジ部12と
を有する。
【0031】外筒10の底付の筒部11には、その底部
13に外方に突出する筒状の突起部14が形成されてい
る。突起部14の外周には雄ネジ15が設けられてい
る。この雄ネジ15には、キャップ18が螺着されてい
る。外筒10の筒部11内には、容量調整用の筒状のス
ペーサ20が装着されている。このスペーサ20の内側
が主剤用容器21を形成する。スペーサ20は、例え
ば、JIS A2017のアルミニウム材からなる。
【0032】外筒10の筒部11内のスペーサ20の中
心側には、筒状の突起部14を挿通する分解触媒用容器
30が装着されている。分解触媒用容器30は、内筒3
1と、インサート筒33と、栓34とで構成されてい
る。
【0033】内筒31は、例えば、SUS304から成
り、多数の小孔32が設けられている。インサート筒3
3は、例えば、ポリメチルメタアクリレートからなる。
栓34は、例えば、シリコンゴムからなる。栓34に
は、点火具40が取り付けられている。
【0034】点火具40は、通電により発熱する発熱体
に火薬類を接触させたものを用いる。この発熱体は、ニ
クロム線及び薄膜抵抗体などが用いられる。又、火薬類
は、黒色火薬、ロダン鉛、トリシネート等がある。点火
具40には、導線41が連絡しており、この導線41を
介して衝突事故や自損事故を関知する加速度センサーか
らの信号に基づく作動指令により、点火するようになっ
ている。
【0035】分解触媒用容器30内には、過酸化水素の
分解触媒35が充填されている。この過酸化水素の分解
触媒35としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
の過マンガン酸塩、アルカリ金属又は金,白金,銀,銅
から成るクロム酸塩、ランタノイド系の酸化物、金,白
金,銀,銅の粉末がある。分解触媒用容器30の上部
は、隔板50の筒状部52内にOーリング54を介して
固定されている。
【0036】隔板50は、JIS A2017から成
り、円盤状の本体51と、その中心部に設けた筒状部5
2と、多数の小孔53とを有する。隔板50は、外筒1
0の開口部16の周囲に形成された環状凹部17上に載
置されている。隔板50上には、薄板60を介して環状
の押さえ板70が載置されている。
【0037】薄板60は、例えば、ナイロンなどの樹脂
やアルミニウムからなる。又、押さえ板70は、例え
ば、JIS A2017からなる。又、フランジ部12
と押さえ板70とにはそれぞれガス漏れ防止用のOーリ
ング19、71が取り付けられている。更に、押さえ板
70上には、エアバッグ80がボルトナット90を介し
て取り付けられている。
【0038】次に、本実施例に係るエアバッグ用ガス発
生器の組立について説明する。先ず、インサート筒33
を挿入した内筒31を、外筒10の筒部11の筒状の突
起部14に挿通する。次に、点火具40を取り付けた栓
4をインサート筒33に装着する。その後、突起部14
にキャップ18を螺合する。これによって、分解触媒用
容器30を外筒10に取り付けることができる。ここ
で、点火具40の点火剤は黒色火薬を0.1g用いた。
黒色火薬には分解触媒を過酸化水素水溶液中に急速分散
させる役割も担わせている。
【0039】次に、分解触媒用容器30内に過マンガン
酸カリウム系の分解触媒35を約0.8gを入れる。次
に、外筒10の筒部11内に容量調整用の筒状のスペー
サ20を装着して素材用容器21を形成した後、ここに
過酸化水素60重量%の水溶液55mlを入れる。
【0040】次に、隔板50の分解触媒用容器30の上
部を、隔板50の筒状部52内にOーリング54を介し
て固定すると共に、主剤用容器21の上部を覆う。更
に、隔板50上に薄板60を介して押さえ板70を載置
し、エアバッグ80と共にボルトナット90によって一
体的に固定される。以上によって、図3に示すエアバッ
グ用ガス発生器の組立が完了する。
【0041】次に、このエアバッグ用ガス発生器の作用
を説明する。通常は、主剤用容器21は、薄板60によ
って隔板60の小孔53が塞がれているので、外部へ漏
れることがない。一方、分解触媒用容器30も、隔板5
0の筒状部52にOーリング54を介して閉鎖されてい
るので、主剤用容器21内へ漏れ出ることがない。
【0042】従って、通常においては、主剤と分解触媒
とが接触することが無い。而も、分解触媒用容器30
は、下端部が外筒10の筒状の突起部14内に貫入され
ると共にキャップ18によって栓34を介して支持固定
され、且つ上端部が隔板50の筒状部52内にOーリン
グ54を介して支持固定されているので、安定して外筒
10内に保持されている。
【0043】そこで、衝突事故や自損事故により、これ
を関知する加速度センサーからの信号に基づく作動指令
にて導線41を介して点火具40が点火されると、この
衝撃で分解触媒用容器30のインサート筒33が破られ
ると共に、分解触媒用容器30内の分解触媒35が筒体
31に設けた多数の小孔32から主剤用容器21内の過
酸化水素水溶液内に拡散される。
【0044】拡散された分解触媒35により過酸化水素
が分解を開始し、水と酸素ガスを発生する。発生した酸
素ガスは、隔板50の多数の小孔53を覆う薄板60を
破り、エアバッグ80へと侵入する。かくして、エアバ
ッグ80は膨張される。尚、過酸化水素の分解速度は、
点火薬の種類と量、分解触媒の種類、粒度、溶液中への
分散効率で制御される。
【0045】図4は、本実施例における生成ガスの圧
力,温度曲線を示すものである。図において、は圧
力、は温度を示している。の圧力曲線から明らかな
ように、点火信号を送ってから約50msec後に圧力
が最大となり、最高圧力は2.5MPaに達するという
データが得られた。一方、の温度曲線から明らかなよ
うに、点火信号を送ってから約150msec後に、最
高温度は約200℃に達するというデータが得られた。
【0046】以上から、過酸化水素60重量%の水溶液
55mlは60リットルのエアバッグを急速膨張させる
のに充分な量であることが確認できた。尚、上記実施例
では、過酸化水素の含有率60重量%の水溶液を55m
l用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定
するものではないことは、上述した作用の説明から明ら
かである。
【0047】又、外筒10内にスペーサ20を装着した
場合について説明したが、目的に応じた容量の外筒であ
ればスペーサを用いなくとも可能である。 実施例2 図3に示された請求項5に係るエアバッグ用ガス発生器
を用い、温度環境下における圧力の出力特性を確認し
た。ガス発生器及びその組み立て方法は実施例1に示さ
れたものと全く同様である。
【0048】本実施例は、過酸化水素含有率30重量%
品と60重量%品を使用し行った。実施例1に示された
組立て方法によって組み立てたガス発生器をー30℃の
低温槽に放置した。4時間以上放置の後、取り出し5分
以内に圧力上昇試験に供した。図5は各濃度における圧
力上昇試験の結果を示している。この結果から明らかな
ようにー30℃の低温環境下においても含有率60重量
%の過酸化水素水溶液は常温と同等のタンク圧力を出力
できることがわかる。
【0049】これに対して含有率30重量%品は300
msec程度で圧力が立ち上がりはじめ、低温でのエア
バッグ用ガス発生器としての性能は有さないことがわか
った。この結果は先に記述した作用でも明らかなよう
に、使用可能な範囲が過酸化水素含有率35重量%以上
のものに限定されることを示している。
【0050】
【発明の効果】以上のように、請求項1乃至5に記載さ
れた発明によれば、含有率が64.5重量%を越えない
過酸化水素水溶液を主剤として採用し、適切な点火剤と
触媒の選定、その急速分解を可能にするモジュールの設
計による長期に亘る使用寿命を保証したエアバッグ・シ
ステムを構築することができる。
【0051】即ち、本発明における特筆すべき長所は、
燃焼(分解)生成物が酸素と水蒸気のみと人体に全く無
害な過酸化水素の特性を活用し実用上の難点を克服した
ところにある。従って、含有率が64.5重量%を越え
ない過酸化水素水溶液を用いたガス発生器から流れ出す
ガス温度は圧力上昇のために相当上がるにしても251
℃以下となるので、他のガス発生剤のように、分解生成
物によリ布製のエアバッグ材を焼損する虞は全くない。
【0052】又、火炎が発生ぜず、エアバッグ表面の温
度も167℃程度と低いので、分解ガスの水蒸気と酸素
によリ火傷を被ることも起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】過酸化水素水溶液の濃度に対する生成ガスの組
成と温度の変化を示す図である。
【図2】過酸化水素水溶液の基本特性を示す図である。
【図3】請求項5に係るエアバッグ用ガス発生器の第一
実施例を示す断面図である。
【図4】図4のエアバッグ用ガス発生器の生成ガスの圧
力、温度曲線を示す図である。
【図5】請求項5に係るエアバッグ用ガス発生器の第二
実施例の各濃度における圧力上昇試験(ー30℃)の結
果を示す図である。
【符号の説明】 10 外筒 11 底付の筒部 12 フランジ部 20 スペーサ 21 主剤用容器 30 分解触媒用容器 31 内筒 32 小孔 33 インサート筒 34 栓 35 過酸化水素の分解触媒 40 点火具 50 隔板 60 薄板 70 押さえ板 80 エアバッグ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化水素の含有率が64.5重量%以
    下の水溶液であって、融点が127℃以下である主剤
    と、過酸化水素の分解触媒とから成ることを特徴とする
    エアバッグ用ガス発生剤。
  2. 【請求項2】 主剤は、過酸化水素の含有率が35重量
    %〜64.5重量%の水溶液であることを特徴とする請
    求項1記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  3. 【請求項3】 主剤は、過酸化水素の含有率が40重量
    %〜60重量%の水溶液であることを特徴とする請求項
    1記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  4. 【請求項4】 過酸化水素の分解触媒は、アルカリ金属
    又はアルカリ土類金属の過マンガン酸塩、アルカリ金属
    又は金,白金,銀,銅から成るクロム酸塩、ランタノイ
    ド系の酸化物、金,白金,銀,銅の粉末であることを特
    徴とする請求項1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 【請求項5】 過酸化水素の含有率が64.5重量%以
    下の水溶液であって、融点が127℃以下である主剤を
    収容した主剤用容器と、過酸化水素の分解触媒を収容し
    た分解触媒用容器と、この分解触媒用容器内に取り付け
    られた点火具とから成ることを特徴とするエアバッグ用
    ガス発生器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6562161B1 (en) 1997-03-24 2003-05-13 Daicel Chemical Industries, Ltd. Gas generating compositions for air bag
CN108069396A (zh) * 2016-11-18 2018-05-25 古德里奇照明系统有限责任公司 包含用于分解过氧化物的离子液体的组合物

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