JPH1059115A - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生器

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JPH1059115A
JPH1059115A JP9135287A JP13528797A JPH1059115A JP H1059115 A JPH1059115 A JP H1059115A JP 9135287 A JP9135287 A JP 9135287A JP 13528797 A JP13528797 A JP 13528797A JP H1059115 A JPH1059115 A JP H1059115A
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JP
Japan
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gas generator
air bag
gas
space
reaction chamber
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Application number
JP9135287A
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English (en)
Inventor
Akira Iwama
彬 岩間
Junichi Kishimoto
淳一 岸本
Toshiharu Kobayashi
俊晴 小林
Minoru Hayashi
實 林
Toshihiko Tamura
敏彦 田村
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Nippon Koki Co Ltd
Original Assignee
Nippon Koki Co Ltd
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  • Air Bags (AREA)
  • Feeding, Discharge, Calcimining, Fusing, And Gas-Generation Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーンで低コストの液体の分解を利用する
こと、長期間に亘って安定性を保つことが可能な液体の
分解を利用すること。 【解決手段】 液体の分解を利用するエアバッグ用ガス
発生器において、壁面にエアバッグへのガス排出口を有
する高圧容器と、第一反応室と、第二反応室と、スター
タとを備え、第一反応室は、分解性液体を封入した密封
容器と、この密封容器に隣接する第一の空間とで構成さ
れ、第二反応室は、第一の空間に隣接すると共にガス排
出口に隣接する第二の空間で構成され、第一反応室、第
二反応室及びスタータは高圧容器内に配されると共に、
第一の空間と第二の空間との間にはノズルが介装されて
いる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車,トラッ
ク,二輪車,その他の乗物の搭乗者が不幸にして衝突事
故や自損事故に遭遇したとき、人体を危害から守るエア
バッグに用いられるガス発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車部品市場におけるエアバッグシス
テムの普及は、全乗用車に標準装備される方向に加速さ
れている。21世紀初めには車輌乗員の安全のためにエ
アバッグは、衝突事故における乗員の保護に対応して強
制的に装着されるようになると予想されている。
【0003】既に、エアバッグは、車輌乗員保護に有効
であるとの評価を得ている。エアバッグは、車輌衝突時
にガス発生器から発生するガスによって展開されるもの
で、今日までに3種類のガス発生器が出現している。第
一世代のガス発生器は、現在の殆どのエアバッグに用い
られているアジ化ナトリウムと酸化剤の混合物から成る
固結ペレット或いは薄板のガス発生剤の燃焼によって発
生する窒素ガスを用いている。
【0004】このようなガス発生器としては、米国特許
第3,985,076号明細書及び同第4,158,6
96号明細書に開示されている。然し、このガス発生剤
は、好ましくない燃焼生成物、特に空気と反応する酸化
ナトリウムや水酸化ナトリウムを放出する。一方、生産
工場の各種工程で色々な出来事や事故を起こしており、
危険な特性は完全に克服できていない。
【0005】アジ化ナトリウムと置換できる他の化学物
質を見出すことが緊急に解決すべき課題である。この課
題に対して、分子構造中に窒素を含むテトラゾール系、
或いは、ある種の有機化合物から成るガス発生剤を使用
した第二世代のガス発生器が脚光を浴びている。
【0006】これらのガス発生剤は、ガス発生器の小型
化及び高性能化には寄与するが、燃焼生成物中にシアン
化合物、窒素酸化物及び一酸化炭素を含有すること、及
び、余りにも高い燃焼温度といったいくつかの欠点が存
在する。特に、150リットル以上のエアバッグでは、
このような毒性ガスが許容限界を超す虞がある。
【0007】第三世代のガス発生器は、高圧ガスボンベ
から窒素或いは不活性ガスを放出するタイプである。高
圧不活性ガス貯蔵タイプが米国特許第3,980,61
5号明細書に、又、高圧不活性ガスを火薬の燃焼によっ
て加熱する、所謂ハイブリッドタイプのガス発生器が米
国特許第5,131,680号明細書に開示されてい
る。
【0008】断熱膨張によって低下する温度を補うた
め、ボンベには、衝突発生時に燃焼が始まる13〜15
g以内の固体プロペラント片が附加的に充填されてい
る。ガス出口が急速に開口するよう、ボンベには、電気
回路や機械仕掛けの機器が取り付けてある。現在、多く
の自動車メーカは、この種のモジュールの導入を行って
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】然し、このシステムに
対しては、ボンベ重量の著しい減少や小型化は余りにも
障壁が高すぎて、乗り超えることは困難である。最初、
Brede, Uは、ブタン、一酸化窒素、及び炭酸ガスから構
成される液体三成分系プロペラントを用いたガス発生器
を発表した("Liquid Propellant Inflators"1994, Pre
sented at the 2nd International Conference on Car
Airbag Systems", Paper No. 13, Karlsruhe, German
y)。
【0010】残念ながら、この組合せは、100MPa
を超える極めて高圧で作動させねばならず、質量排気速
度を制御することが困難であった。コスト低減及びクリ
ーンなガス排出といった自動車メーカの要望を満足する
ガス発生剤とは思えない。又、高圧不活性ガス貯蔵タイ
プのガス発生器は、製造後、車両が廃車されるまで約3
000psiのような高圧に維持しなければならない問
題がある。
【0011】ガス発生器の取扱安全性、放出ガスのクリ
ーン化及び高圧不要の見地から、特開昭56−8880
4号公報に開示の瞬間ガス発生装置は有望であるが、低
温で5〜30重量%の過酸化水素水溶液が凍る欠点を有
し、車両衝突時の乗員保護用エアバッグに利用すること
は不可能である。
【0012】以上述べた課題を解決するために、出願人
は、過酸化水素の含有率が64.5重量%以下の水溶液
であって沸点が127℃以下である主剤と、過酸化水素
の分解促進物質(触媒)とから成るエアバッグ用ガス発
生器を出願した(特開平8−231290号公報)。
又、出願人は、過酸化水素の含有率64.5重量%以下
の水溶液であって沸点が127℃以下である主剤を収容
した主剤容器と、過酸化水素の分解促進物質(触媒)を
収容した分解促進物質(触媒)と、この分解促進物質
(触媒)容器内に取り付けられた点火器と、この点火
器、分解促進物質(触媒)容器、主剤容器の順に収容す
ると共に主剤容器の上方にガス噴出部を備えたガス発生
器本体とで構成されているエアバッグ用ガス発生器を出
願した(特開平8−301683号公報)。
【0013】又、出願人は、液体の分解を利用するエア
バッグ用液体ガス発生器において、壁面にエアバッグの
排出口を有する高圧容器と、分解性液体を封入した密封
容器と、分解促進物質放出手段と点火器を備え、密封容
器、分解放出手段及び点火器は高圧容器内に配され、密
封容器とガス排出口との間には分解反応室が形成されて
ることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器を出願した
(特願平8−13173号)。
【0014】車両衝突時の乗員安全保護に使用されるエ
アバッグ用ガス発生器は、製造上及び廃棄処理上の潜在
的危険性がなく、放出されるガスが無毒でクリーンであ
り、且つ、極限の小型、軽量及び低コストが求められて
いる。然し、これら液体の分解を利用するエアバッグ用
ガス発生器において、分解性液体の分解速度の初期温度
依存性が大きいために、実用使用温度範囲である−35
℃と+85℃におけるエアバッグの展開状態に大きな差
違が生じる虞がある。
【0015】即ち、低温では液体の分解速度が遅く、従
ってエアバッグの展開速度が遅くなり、逆に、高温では
液体の分解速度が速くてエアバッグの展開速度が速くな
りすぎる虞がある。
【0016】本発明は、斯かる実状に基づいてなされた
もので、その目的は、クリーンで低コストの液体の分解
を利用するエアバッグ用ガス発生器を提供することにあ
る。本発明の別の目的は、長期間に亘って安定性を保つ
ことが可能な液体の分解を利用するエアバッグ用ガス発
生器を提供することにある。本発明の更に別の目的は、
より信頼性が高く、経済的なエアバッグ用液体ガス発生
器を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、液体
の分解を利用するエアバッグ用ガス発生器において、壁
面にエアバッグへのガス排出口を有する高圧容器と、第
一反応室と、第二反応室と、スタータとを備え、第一反
応室は、分解性液体を封入した密封容器と、この密封容
器に隣接する第一の空間とで構成され、第二反応室は、
第一の空間に隣接すると共にガス排出口に隣接する第二
の空間で構成され、第一反応室、第二反応室及びスター
タは高圧容器内に配されると共に、第一の空間と第二の
空間との間にはノズルが介装されていることを特徴とす
るものである。
【0018】請求項2の発明は、請求項1記載のエアバ
ッグ用ガス発生器において、第一の空間には、ガスが充
填されていることを特徴とするものである。請求項3の
発明は、請求項2記載のエアバッグ用ガス発生器におい
て、第一の空間に充填されたガスは、空気、窒素、酸
素、アルゴンであることを特徴とするものである。
【0019】請求項4の発明は、請求項2又は請求項3
記載のエアバッグ用ガス発生器において、第一の空間に
充填されたガスは、常圧又は0.1〜20MPaで加圧
されていることを特徴とするものである。請求項5の発
明は、請求項1乃至請求項4の何れか記載のエアバッグ
用ガス発生器において、第一の空間の容積は、第一反応
室の30〜50%であることを特徴とするものである。
【0020】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5
の何れか記載のエアバッグ用ガス発生器において、スタ
ータは、分解促進物質放出手段と、点火器とを備えてい
ることを特徴とするものである。請求項7の発明は、請
求項1乃至請求項6の何れか記載のエアバッグ用ガス発
生器において、スタータと密封容器との間に、ノズルを
備えていることを特徴とするものである。
【0021】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7
の何れか記載のエアバッグ用ガス発生器において、高圧
容器は、アルミニウム、ステンレス・スチール、ガラス
繊維強化プラスチックスであることを特徴とするもので
ある。請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8の何れ
か記載のエアバッグ用ガス発生器において、分解性液体
は、過酸化水素水溶液又は水酸基硝酸アンモニウム水溶
液であることを特徴とするものである。
【0022】請求項10の発明は、請求項9記載のエア
バッグ用ガス発生器において、過酸化水素水溶液は、3
5重量%〜64.5重量%の水溶液であることを特徴と
するものである。請求項11の発明は、請求項7記載の
エアバッグ用ガス発生器において、分解促進物質は、ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属の過金属酸塩、アルカ
リ金属又は金、白金、銀、銅から成る金属酸塩、ランタ
ノイド系の酸化物、金、白金、銀、銅の粉末であること
を特徴とするものである。
【0023】請求項12の発明は、請求項11記載のエ
アバッグ用ガス発生器において、アルカリ金属の過金属
酸塩は、過マンガン酸カリウムであることを特徴とする
ものである。請求項13の発明は、請求項1乃至請求項
12の何れか記載のエアバッグ用ガス発生器において、
第二反応室には、分解性液体を分解させる線材から構成
される網状構造物が内蔵されていることを特徴とするも
のである。
【0024】請求項14の発明は、請求項13記載のエ
アバッグ用ガス発生器において、線材は、パラジウム、
金、白金、銀、銅、鉄、ステンレススチールであること
を特徴とするものである。請求項15の発明は、請求項
13又は請求項14記載のエアバッグ用ガス発生器にお
いて、線材は、請求項11記載の分解促進物質で被覆さ
れていることを特徴とするものである。
【0025】請求項16の発明は、請求項1乃至請求項
15の何れか記載のエアバッグ用ガス発生器において、
密封容器は、アルミニウム、チタニウム、ステンレスス
チール、フッ素樹脂を含む合成樹脂であることを特徴と
するものである。請求項17の発明は、請求項1又は請
求項16の何れか記載のエアバッグ用ガス発生器におい
て、密封容器の内面は、フッ素樹脂で被覆されているこ
とを特徴とするものである。
【0026】請求項18の発明は、請求項1乃至請求項
17の何れか記載のエアバッグ用ガス発生器において、
第一の空間と第二の空間との間には、触媒ネットが配さ
れていることを特徴とするものである。請求項19の発
明は、請求項1乃至請求項18の何れか記載のエアバッ
グ用ガス発生器において、スタータには、密封容器の中
央部に突出するノズルが設けてあることを特徴とするも
のである。
【0027】請求項20の発明は、請求項1乃至請求項
19の何れかに記載のエアバッグ用ガス発生器におい
て、スタータに、液体の分解生成物の温度が少なくとも
2000°K以上を与える燃焼によって高エネルギーを
発生する物質を内蔵することを特徴とするものである。
請求項21の発明は、請求項20記載のエアバッグ用ガ
ス発生器において、高エネルギーを発生する物質は、顆
粒及びペレット状のボロンと硝酸カリウムの組成物であ
ることを特徴とするものである。
【0028】請求項22の発明は、請求項20記載のエ
アバッグ用ガス発生器において、高エネルギーを発生す
る物質は、顆粒及びペレット状のボロンと硝酸カリウム
の組成物と、顆粒及びディスク状の末端水酸基ポリブタ
ジエン、過塩素酸アンモニウムとアルミニウム粉から成
る組成物であることを特徴とするものである。請求項2
3の発明は、請求項18に記載のエアバッグ用ガス発生
器において、触媒ネットは、#10〜#50メリヤス織
ステンレススチール金網に過マンガン酸カリウムを末端
水酸基ポリブタジエンをバインダーとして被覆しディス
ク状に圧縮成形されていることを特徴とするものであ
る。
【0029】(作用)本発明者は、エアバッグモジュー
ルに組み込まれるガス発生器に安定化された55〜60
重量%の濃度を持つ過酸化水素水溶液を用いる研究を行
った。このような低濃度の過酸化水素水溶液は、233
゜K以下の凍結点を示すアゼオトロピックな性質があ
り、密閉容器中に長期貯蔵の間、自己加速分解による自
然爆発事故による危険性が無く、低い生産コスト、及び
モジュールの小型化に寄与する好ましい特性を持ってい
る。
【0030】先ず、第一にエアバッグから環境へ放出さ
れる過酸化水素の分解生成物はクリーンな酸素、水靄及
び乾いた水蒸気のみであることを強調したい。乗用車に
実際搭載されるエアバッグに過酸化水素水溶液のみ、或
いは加圧酸素下の過酸化水素水溶液を充填すると、好適
なガス発生器を得ることを確認した。ここでは、過酸化
水素水溶液に自然燃焼生成物を投入し、指定された時間
に過酸化水素の分解が起こるスタータの開発及び2段階
射出法の開発をするため肉厚のガス発生器を用いて実施
した。
【0031】車が衝突した時イニシエータが発火し、続
いてメインブースタが発火する。イニシエータにはB/
KNO3火工物質粒子とペレットを使用し、触媒粉末及
びブースタには火工物質粉末と高エネルギー物質を用い
た。総量は約3〜7gであった。
【0032】ガス発生器は、ガス発生剤カートリッジを
収納する第一反応室と、過酸化水素の分解を完壁にする
触媒ネットが置かれる第二反応室に分かれている。試験
用ガス発生器システムは、厳格な安全と環境基準に適合
できるよう、且つ性能に合致するよう試験を実施した。
日本においては、243.16〜358.16゜Kの温
度範囲で60リットルと150リットルのエアバッグの
展開が求められている。
【0033】55〜60重量%濃度の過酸化水素水溶液
の凍結点及び沸点は、図1に示してある如く、自動車メ
ーカーが要求する作動温度範囲233〜363゜Kの外
側にある。図1は過酸化水素水溶液の基本物性を示して
いる。図中、(A)は各濃度における沸点と比重を示
し、(B)は過酸化水素水溶液濃度と凝固点の変化を示
している。
【0034】(B)からは過酸化水素の含有率が60重
量%のところで凝固点の極小値を示すことがわかる。イ
ンフレータは、車が置かれる厳しい低温環境であっても
一定性能を保つ必要がある。このため低温環境下におい
ても過酸化水素水溶液が凍るトラブルを避けることが必
要である。
【0035】然しながら、図1の(B)は低温環境要件
値243.16゜Kでも凍ることのないことを示してい
る。図1の(B)は横軸に過酸化水素の濃度、縦軸に温
度が示され曲線は各々の含有率での凝固点を示しポイン
トを結んだものである。又、図中に示されている数値は
代表的な含有率での凝固点である。
【0036】この図から過酸化水素の含有率60重量%
のもので凝固点が極小値の217.76゜Kを示してい
ることがわかる。これは過酸化水素の含有率60重量%
のものは217.76゜K以上の環境下であれば凍らな
いことを示している。又、過酸化水素の凝固点は、過酸
化水素の含有率60重量%を最小値として高濃度側及び
低濃度側の何れに進んでも、それよりも高くなる。例え
ば、過酸化水素の含有率50重量%では223.16゜
K、過酸化水素の含有率70重量%では232.96゜
Kとなり、過酸化水素の含有率35重量%では240.
56゜Kとなる。
【0037】従って、低温環境要件値243.16゜K
を満足するためには、過酸化水素の含有率が35重量%
以上でなければ、凍るトラブルを回避することができな
い。以上のことから、過酸化水素の含有率は、35重量
%〜64.5重量%、好ましくは50重量%〜60重量
%である。更に言うならば、過酸化水素の含有率が1
1.5重量%〜30重量%の範囲では、過酸化水素は低
温環境下で、ガスを発生するという本来の目的を達成す
ることができないということがわかる。
【0038】又、図1の(A)は沸点についても高温環
境要件値358.16゜Kに対し過酸化水素の含有率が
60重量%では、沸点393.16゜Kと問題のない値
を示している。このことは、過酸化水素水溶液がインフ
レータの環境温度に対して充分な許容範囲を持っている
ことを示している。
【0039】然し、過酸化水素の最も不安な問題は高温
における安定性と老化特性である。ガス発生器の動作特
性で許容できる低下率は5重量%である。この許容限界
は、若し加熱されたガスがエアバッグ展開の役割を果た
すハイブリッドシステムと結び付けば、50重量%まで
減ずることができる。図2は、低濃度過酸化水素のその
他の有利な点を示している。
【0040】貯蔵中の自己加熱分解によって爆発が起こ
る危倹性のないことを示している。ガス発生剤は密閉容
器に充填されているので、自己加熱が自然分解を加速す
る境界線の64.5重量%を超えて濃度は増加しない。
図2は、過酸化水素水溶液の濃度に対する生成ガスの組
成と温度の変化を示している。
【0041】図中、実線で示されたX(H20),X
(02)は各濃度における分解ガスのモル濃度を示し、
Y(H20),Y(02)は体積百分率の濃度を示してい
る。又、図中に示された過酸化水素水溶液の濃度から、
分解時におけるガスの状態を知ることができる。即ち、
過酸化水素の含有率が11.5重量%以下では、熱を与
えられても気化せず液体の状態を保つ。又、過酸化水素
の含有率が64.5重量%以上では水は加熱蒸気と成
り、分解ガス温度は急上昇することがわかる。例えば、
過酸化水素の含有率が100重量%では分解ガス温度が
1200゜K近くを示す。
【0042】然し、過酸化水素の含有率が11.5重量
%〜64.5重量%の範囲内では飽和水蒸気の状態で存
在し、常圧の場合を例にとれば水の高い蒸発潜熱によっ
て温度が抑制され、過酸化水素水溶液の分解ガス温度は
373.16゜K(飽和水蒸気温度)で頭打ちとなる。
又、この図2から、圧力1MPaの状態であっても分解
ガス温度は473.16゜K程度に抑えられることが読
み取れる。
【0043】ここで使用している過酸化水素の含有率を
60重量%とすれば、その分解ガス組成は18重量%の
酸素を含む水蒸気と僅かな量の液体の水に限られるの
で、空気とほぼ同様な組成のクリーンなガスが発生する
ことがわかる。又、エアバッグの展開時の圧力は、大気
圧+0.1MPa程度であるので、ガス温度も383.
16゜K以下に抑えられる。このため、他ガス発生剤の
ように分解生成物によりバッグ材を焼損する虞は全くな
く、更に火炎も発生しないことが特徴としてあげられ
る。
【0044】このように、本発明に用いられる中濃度の
過酸化水素は、エアバッグへの応用に際し、密閉状態で
貯蔵し、保存して濃度上昇が避けられる環境に置けば高
い安全性を保証できる。処で、自動車用エアバッグを展
開して乗員を保護するためには、少なくとも50ms以
内に分解反応を終了しガスを発生させ、エアバッグを1
00%展開させていなければならない。
【0045】そこで、本発明では、過酸化水素の分解触
媒としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過金属酸
塩、アルカリ金属又は金,白金,銀,銅から成る金属酸
塩、ランタノイド系の酸化物、金,白金,銀,銅の粉末
の何れかに選択し、これに点火薬、伝火薬と呼ばれる火
薬類を混合し、火薬の亜音速に近い分解反応を用いて数
ms以内にこの分解触媒を過酸化水素内に拡散させる。
火薬の燃焼熱と分解触媒の拡散速度によって50ms以
内に分解を終了させることができる。
【0046】過酸化水素ガス発生器を自動車用エアバッ
クに使用する場合は、必ずカートリッジ内に空間を設け
なければならない。助手席用ガス発生器では、ディフュ
ーザ・ノズルで排出ガスを閉塞しなければならないの
で、充填されたガス発生剤液体のほぼ二倍の容積が必要
である。一方、高い環境温度で作動中の最高圧力は我々
が上限として設定した50Mpaを超える可能性があ
る。
【0047】図11は、空間に2Mpaの酸素を導入す
ると最高圧力が増加するけれども、増加率は2%以下で
あることを示している。然し、たとえ過酸化水素の分解
が長期貯蔵の間数%進行したとしても、空間の加圧はカ
ートリッジの内外間の圧力平衡を作ることによってカー
トリッジが破壊することを防ぐ役目を果たしている。
【0048】運転手席用ガス発生器に必要な空間容積
は、第二反応室のディフューザに閉塞が不要な場合、カ
ートリッジの30〜50%である。請求項1乃至請求項
17においては、車輛衝突時、車輛に取り付けられた衝
突感知サンサーからの信号により点火器に電流が流れ、
点火器が作動すると、点火器に含まれる点火薬の燃焼に
よって点火器から高温のガスが発生する。
【0049】この高温ガスによって分解触媒用容器に配
置された放出薬が点火する。放出薬の燃焼によって発生
する高温ガスの圧力は、密封容器の一部を破壊し、分解
性液体の中に分解促進物質(触媒)を高速で放出する。
放出された分解促進物質(触媒)は放出薬の燃焼で発生
したガスの圧力で急激に撹拌され、分解性液体は分解促
進物質(触媒)と接触して分解する。
【0050】分解性液体が分解促進物質(触媒)と放出
薬から出る熱によって分解し、密封容器内の圧力が予定
された値に達すると、密封容器と破裂板が破壊して分解
生成ガスが第二反応室に流入する。未反応の生成ガスは
第二反応室を通過する時間内で完全に分解し、高圧容器
の側面に設けられたガス排出口よりエアバッグへガスが
供給される。
【0051】第二反応室内では、分解促進物質(触媒)
で作られた、或いは分解促進物質(触媒)で被覆された
網状構造物により、分解を完全にし、且つ、ガス発生器
内で発生する破裂板の破片や固形生成物の濾過をするこ
とができる。請求項18乃至請求項23においては、車
両衝突時、車両に取り付けられた衝突感知センサーから
の信号により点火器に電流が流れ点火器が作動する。
【0052】点火器に含まれる点火薬の燃焼によって点
火器から高温のガスと固体微粒子が発生する。点火器か
ら放出された高温のガスと固体微粒子は、スタータに含
まれる高エネルギー物質を発火し燃焼させる。高エネル
ギー物質は、表面積対質量の比が大きい顆粒と、表面積
対質量の比が小さいペレット或いはディスク状の加圧成
形物から構成される。
【0053】高エネルギー物質の燃焼によって発生する
高温ガスの圧力は、第1反応室に配置された分解性液体
を封入した密封容器の中央部に突出したスタータノズル
を通して密封容器を貫通し、分解性液体内に開放され
る。高エネルギー物質の燃焼によって発生する高温のガ
スと固体微粒子がスタータノズルから高速度で分解性液
体内に放出され急速混合が行われて、分解性液体は高温
度によって急激に熱分解する。
【0054】スタータから分解性液体に与えられる熱
と、分解性液体の分解による発熱によって、分解性液体
の分解生成ガスの温度は、第1反応室の第一の空間に流
入する。第一の空間に流入した高温の分解生成ガスは、
第一の空間と第二の空間の間に配置された触媒ネットに
よって初期流動は閉塞される。分解性液体分解で生成し
た高温と、分解生成物に含まれる酸素によって、触媒ネ
ットを被覆しているバインダーが燃焼し、触媒ネットに
通気孔を形成した後、分解生成ガスは触媒を通過して第
二の空間に流入する。
【0055】第二の空間内で、触媒ネットを通過する分
解生成物と、触媒ネットに被覆しているバインダーと共
に用いられている分解性液体の分解触媒との反応を終焉
させ、且つバインダーの燃焼によって生成するガスの無
毒化を行うことができる。第二の空間内で完全に反応し
無毒化されたガスは、高圧容器のエアバッグへのガス排
出口の内壁に配置されたフイルターネットで、反応で生
成した微量の固体残渣及び密封容器の破裂で発生した微
小破片を濾過してエアバッグ内へ排出される。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態に基づいて説明する。図3は、請求項1乃至請求項1
6の発明に係るエアバッグ用ガス発生器の一実施形態を
示す。尚、本実施形態に係るエアバッグ用ガス発生器は
助手席用のエアバッグ(150リットル)モジュールに
使用されるものである。
【0057】図において、1は壁面にエアバッグ(図示
せず)へのガス排出口2を有する円筒状の高圧容器を表
す。この高圧容器1は、例えば、JIS A2017の
アルミニウム材から成り、底部4に貫通孔5を有する第
一筒部3と、天板9側にガス排出口2を有する第二筒部
7とで構成されている。
【0058】第一筒部3には、底部4側から開口部に向
かってスタータ20、ノズル30を設けた仕切板29、
分解性液体11を封入した密閉容器10、この密閉容器
10と同容積の第一の空間12、ノズル15を備えた仕
切板14が取り付けられている。第一筒部3及び第二筒
部7には、夫々の開口端部の内側に雌螺子部6、8が形
成されている。
【0059】第一筒部3と第二筒部7は、中央に貫通孔
17を有する連結金具16の雄螺子部18を雌螺子部
6、8と螺合させることによって結合される。スタータ
20は、点火器21と、分解触媒用容器23と、取付金
具24とで構成されている。スタータ20の中に、火工
物質組成物以外にKMnO4粉が混入されている。
【0060】点火器21は、通電により発熱する発熱体
に火薬類を接触させたものを用いる。この発熱体は、ニ
クロム線及び薄膜抵抗体等が用いられる。又、火薬類
は、黒色火薬、ロダン鉛、トリシネート等がある。点火
器21には、導線22が連絡しており、この導線22を
介して衝突事故や自損事故を関知する加速度センサー
(図示せず)からの信号に基づく作動指令により、点火
するようになっている。
【0061】分解触媒用容器23内には、過酸化水素の
分解触媒が充填されている。この過酸化水素の分解触媒
としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過マン
ガン酸塩、アルカリ金属又は金,白金,銀,銅から成る
クロム酸塩、ランタノイド系の酸化物、金,白金,銀,
銅の粉末がある。
【0062】分解触媒用容器23の上部は、ノズル30
を設けた仕切板29が取り付けてある。取付金具24
は、点火器21を収納する凹部25と、分解触媒用容器
23を収納する凹部26とを有する断面T字状の金具で
あり、導線22を取り付ける底部側の外周に雄螺子部2
7が形成されている。雄螺子部27には、螺子28が螺
合される。
【0063】分解性液体11が80〜100ミリリット
ル充填されている110ミリリットルの容積を持つ密閉
容器10は、アルミニウム、チタニウム、ステンレスス
チール、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化
エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル共重合体
(PFA)、4フッ化エチレン 6フッ化プロピレン共
重合体(FEP)、3フッ化1塩化エチレン樹脂(PC
TFE)等のフッ素樹脂又はポリエチレン等の合成樹脂
で作られている。
【0064】密封容器10は、分解性液体11の経時変
化を抑制するため重金属を含まない純アルミニウム材で
作られることが望ましい。内蔵された分解性液体11が
インフレータの使用中、洩出することを防止するため、
二重カシメ等完全な密封が必要である。又、フッ素樹脂
(例えば、登録商標テフロン等)は経時変化抑制に有効
であるので、密封容器10が金属製の場合にはその内面
に被覆する。勿論、密封容器10をフッ素樹脂で作るこ
とは有効である。
【0065】分解性液体11は、過酸化水素水溶液、水
酸基硝酸アンモニウム水溶液、又は分解してガスを発生
する液体を使用することができるが、特に過酸化水素水
溶液が好適である。例えば、過酸化水素の60重量%水
溶液100ミリリットルは潜在的に1.06モルの酸素
と4.78モルの乾いた水蒸気を発生する。
【0066】図1に示したように、濃度は自己加熱の虞
のない安全な組成で64.5重量%以下である。従っ
て、爆発の危険性も容器中の急激な圧力上昇も絶対に起
こらない。第一の空間12は、円筒状のスペーサ13に
よって密封容器10と連結金具16との間に形成されて
いる。第一の空間12の容積は、約180ミリリットル
である。
【0067】第一の空間12の上部には、ノズル15を
設けた仕切板14が配設されている。この仕切板14
は、破裂板19を介して連結金具16に取り付けられて
いる。ここで、仕切板14のノズル15は、図4に示す
ように、中央に1個の6.0mmφの孔を設けると共
に、その周囲に90゜間隔で同心円状に4個の4.5m
mφの孔を設けることによって構成されている。
【0068】分解性液体11を封入した密閉容器10と
第一の空間12によって、第一反応室31が形成され
る。第二筒部7は、天板9側に設けたガス排出口2の内
側には、網状構造物33が配置されている。網状構造物
33は、分解性液体11の分解促進物質(触媒)として
使用される金属から作られる金網又はフェルト、或いは
多孔体である。分解性液体11が過酸化水素水溶液であ
るときは銅製の金網が望ましい。
【0069】網状構造物33を構成する線材が分解性液
体11の微粒分解促進物質(触媒)で被覆したものは、
より効果的である。第二筒部7は、第二の空間34を形
成する。そして、第二の空間34と網状構造物33によ
って第二反応室32を構成する。次に、本実施形態の作
用を説明する。
【0070】車輛衝突時、車輛に取り付けられた衝突感
知サンサー(図示せず)からの信号により点火器21に
電流が流れ、点火器21が作動すると、点火器21に含
まれる点火薬の燃焼によって点火器21から高温のガス
が発生する。
【0071】この高温ガスによって分解触媒用容器23
に配置された放出薬が点火する。放出薬の燃焼によって
発生する高温ガスの圧力は、密封容器10の一部を破壊
し、分解性液体11の中に分解促進物質(触媒)を高速
で放出する。放出された分解促進物質(触媒)は放出薬
の燃焼で発生したガスの圧力で急激に撹拌され、分解性
液体11は分解促進物質(触媒)と接触して分解する。
【0072】分解性液体11が分解促進物質(触媒)と
放出薬から出る熱によって分解し、密封容器10内の圧
力が予定された値に達すると、密封容器10と破裂板1
9が破壊して分解生成ガスが第二反応室32に流入す
る。未反応の生成ガスは第二反応室32を通過する時間
内で完全に分解し、高圧容器1の側面に設けられたガス
排出口2よりエアバッグへガスが供給される。
【0073】第二反応室32内では、分解促進物質(触
媒)で作られた、或いは分解促進物質(触媒)で被覆さ
れた網状構造物33により、分解を完全にし、且つ、ガ
ス発生器内で発生する破裂板19の破片や固形生成物の
濾過をすることができる。次に、本実施形態に係るエア
バッグ用ガス発生器によって環境試験を行ったが、特
に、環境温度は第一反応室31及び第二反応室32の容
積、60重量%の過酸化水素水溶液の充填量、第一反応
室31の空間容積、及びスタータ配合物の組成決定に殆
ど影響しないという挙動特性の保存性を強調したい。
【0074】よく知られている如く、過酸化水素の分解
熱は次の通りである。 H22 → H20+1/202+98.16KJ (1) 第一反応室31内は液相で、ここから放出された水は、
第一反応室31内で初期温度(Ti)から上昇する最高
温度(Tf)500〜650゜Kを設定することにより
乾いた水蒸気が得られる。
【0075】スタータ21の組成と量を数式1に基づい
て計算した。
【数1】 ここに、Cpg、Cp1及びCpsは仮定最高圧力の元
で、第一反応室31における反応生成物中の酸素ガス、
液体の水、及び固体の水の比熟、△Hr、△Hs、及
び、△Hmは過酸化水素、スタータ20から生ずる単位
重量当たりの反応熱及び水の融解熱、mr及びmsはそ
れぞれ過酸化水素及びスタータの質量である。Tmは水
の融点である。
【0076】過加熱された水は、常に第一反応室31内
で液体状態にあると仮定している。従って、数式(2.
1)(2.2)には蒸発熱は考慮されていない。実質的
に、スタータ20の発熱は237゜Kの状態から決定し
た。ノズル15を通って第二反応室32へ放出される流
れは、過加熱された液体の水とガス状の酸素の二相から
成り立っている。
【0077】この中の未反応過酸化水素は、網状構造物
33に付着するKMnO4を通って水と酸素に変換され
る。第一反応室31内にある反応生成物中の過加熱状態
にある水は臨界圧力(22.12MPa)を超えている
が、最高温度は臨界温度(647.3゜K)の近くにあ
る。それは、初期温度、スタータの強さ、分解性液体の
充填量に関係している。
【0078】数式(2.1)(2.2)の水のエンタル
ピーは、水の初期温度と(tb)の間のエンタルピー
差、沸点から最終温度(tf)まで乾いた水蒸気の加熱
に要するエンタルピー、水の蒸発熱、溶融熱、及びtb
と最終温度(tf)の間の酸素のエンタルピー差の統計
である。最終温度(tf)を水の沸点以上であると仮定
すると、広範囲の環境温度のもとでエアバッグに必要な
乾いた水蒸気と酸素から、分解性液体とスタータ配合物
の量が決定できる。
【0079】自動車産業は、エアバッグが243.16
〜358.16゜Kの温度で完全に展開していなければ
ならない酷しい要求を課している。このことから、運転
手席用及び助手席用共にガス発生器は、初期温度24
3.16゜Kからスタータして0.15MPaで乾いた
水蒸気に成る最終温度423゜Kが実現できるよう設計
した。
【0080】一般的に、ガス発生器の性能やエアバッグ
・モジュールに対する適用性は60リットルの定容積タ
ンクテストによって評価されている。図5及び図6に車
輌衝突事故時の、搭乗者の動きに合致する運転手席用及
び助手席用エアバッグモジュールの調整範囲が示されて
いる。然し、今日各自動車メーカーは、異なる車輌毎の
カテゴリー、寸法、車輌構造固有の破壊衝撃の伝播の見
地から、それぞれ異なる受入可能な調整範囲を設定して
いる。
【0081】従って、商業的に流通しているエアバッグ
システムの受入可能な調整範囲は、図5及び図6に示さ
れているよりはもっと狭められている。このシステムが
持っているエアバッグが展開しつつある間の主要時間配
分は衝突を検知し、スクイブが点火しカートリッジの蓋
が開通するまで0〜15msになっている。
【0082】運転手席用エアバッグ(60リットル)及
び助手席用エアバッグ(150リットル)は、それぞれ
45〜60ms及び70〜100msで完全に展開しな
ければならない。搭乗者が跳ね返される60〜130m
sの間、エアバッグは完全に展開し続けなければならな
い。
【0083】その後、急速にしぼむようになっている。
第一反応室31の反応生成物の過加熱水は、液体状態に
あり、臨界圧力(22.1Mpa)以上で、図7に示す
如く臨界温度(647゜K)以下である。この事実は、
適切な設計特にガス発生器の各反応室寸法の決定には、
過圧力(0ver Pressure)は実際上重要な論点ではない
ことを示唆している。
【0084】図8、図9及び図10に示した如く、60
リットルタンクテストで助手席用ガス発生器から放散さ
れるガス状生成物が、低温及び高温で描く圧力−時間履
歴は図5の調整範囲内に入っている。60重量%の過酸
化水素の分解速度は、火工物質粉と触媒の混合物で図6
に示された調整範囲内に入るよう調整できるので、運転
席用エアバッグ・システムで要求される性能に調整する
ことは、容易である。
【0085】従って、ガス発生器の特別な変更を伴う設
計においても、スタータ組生物の研究においても分解速
度のコントロールが求められる。図8、図9及び図10
からPc1は20〜30MPaになっている。この圧力
は、第一反応室31と第二反応室32との間のノズル1
5でコントロールされる。図2から分解ガスの温度は約
600゜Kである。ここで、図12に示す水(H 2O)
の状態線図によれば、600゜K、20〜30MPaは
液体の水である。これがエアバッグ内の低圧(10-1
Paのオーダー)で完全に気体の水に成る。従って、エ
アバッグ内で液体の水にならないように、ノズル15に
よって第一反応室31の圧力と温度をコントロールしな
ければならない。
【0086】処で、過酸化水素ガス発生器を自動車用エ
アバックに使用する場合は、第一反応室31のように、
密封容器10の上部に第一の空間12を設けなければな
らない。助手席用ガス発生器では、ディフューザ・ノズ
ルで排出ガスを閉塞しなければならないので、充填され
た分解性液体液体のほぼ二倍の容積が必要である。
【0087】一方、高い環境温度で作動中の最高圧力は
我々が上限として設定した50Mpaを超える可能性が
ある。図11は、空間に2MPaの酸素を導入すると最
高圧力が増加するけれども、増加率は2%以下であるこ
とを示している。然し、たとえ過酸化水素の分解が長期
貯蔵の間数%進行したとしても、空間の加圧は密封容器
10の内外間の圧力平衡を作ることによって密封容器1
0が破壊することを防ぐ役目を果たしている。
【0088】運転手席用ガス発生器に必要な空間容積
は、第二反応室32のディフューザに閉塞が不要な場
合、密封容器10の30〜50%である。自動車産業
は、エアバッグ用分解性液体の老化特性に関して、10
〜15年にわたる長期安定性を課している。今まで、過
酸化水素をエアバッグの展開用分解性液体として使うこ
とは、固有の大きい自然分解速度のため実行上希望のな
い冒険と一般的に信じられていた。
【0089】然し、過酸化水素水溶液に安定剤を添加す
ることによって、容器の内面にフッ素樹脂をコーティン
グすることによって10年以上の高い安定度を保証する
ことができた。過酸化水素エアバッグシステムは、主た
る反応生成物が乾いた水蒸気と酸素であるクリーンなガ
スを放出するところに価値がある。
【0090】乾いた水蒸気は、部分的に工アバッグ内で
凝縮し、ポリアミド繊維製のエアバッグが引火しない役
目を果している。運転手席用及び助手席用エアバックモ
ジュールに、それぞれ60重量%過酸化水素水溶液が4
5〜60ミリリットル及び80〜100ミリリットル使
用される。運転手席用ガス発生器の寸法は、小型化とコ
スト低減の必要性に対応している。
【0091】然し、助手席用ガス発生器は、コスト低減
を可能としても、寸法においてはアジ化ナトリウム或い
はテトラゾール系の分解性液体を充填した現行のガス発
生器の寸法に近い。図13は、請求項1、請求項18乃
至請求項23に係るエアバッグ用ガス発生器の一実施形
態を示すものである。
【0092】図において、41はガス発生器40の円筒
状外殻構造物である有底の高圧容器を示す。高圧容器4
1は、底部51に貫通孔52を有する第一筒部50と、
底部61に貫通孔62を有し第一筒部50の開口端部5
3の内壁面に設けた雌ねじ部54に底部61側の外壁面
に設けた雄ねじ部63を介して螺着される第二筒部60
と、天井71側にガス排出口72を有し第二筒部60の
開口端部64の外壁面に設けた雄ねじ部65に底部73
側の内壁面に設けた雌ねじ部74を介して螺着される第
三筒部70とで構成されている。
【0093】高圧容器41は、例えば、JIS A20
17等のアルミニウム材から成るが、ステンレス・スチ
ール或いは繊維強化プラスチックを使用することができ
る。第一筒部50は、有底の筒状容器で構成され、底部
51側から開口端部53に向かってスタータ80、分解
性液体111を封入した密閉容器110が取り付けられ
ている。
【0094】スタータ80は、図13及び図14に示す
ように、外壁面に第一筒部50の内壁面に設けた雌ねじ
部55を介して螺着される雄ねじ部82を有すると共
に、底部83に点火器100を装着する貫通孔84を有
する有底の筒状容器81と、この筒状容器81の開口端
部86の外壁面に設けた雄ねじ部87に底部89側の内
壁面に設けた雌ねじ部90を介して螺着されると共に天
井部91に突起管94を装着する貫通孔92を設けた設
けた蓋部材88と、天井95側の側壁部96に複数のノ
ズル98を有すると共に蓋部材88の貫通孔92の内壁
面に設けた雌ねじ部93に側壁部96の底部側の外壁面
に設けた雄ねじ部97を介して螺着される筒状の突起管
94とで構成されている。
【0095】スタータ80の上部には、分解性液体11
1を充填した密封容器110が載置されている。密封容
器110の底部側には、突出管94を嵌入するための凹
部112が形成されている。点火器100の脚線101
は、第一筒部50の底部51側の貫通孔52から外部に
導き出されている。
【0096】又、本実施形態では、突起管94は、内径
4mmφ、外径8mmφとした。又、突起管94に設けたノ
ズル98は、突起管94に中心軸と直角方向にガスが噴
出するように穿孔されており、その孔径は、エアバッグ
の要求展開性能に合致するように設定されるが、通常
1.5mmφで4箇所穿孔することが望ましい。更に、筒
状容器81の内側空間85には、高エネルギー物質10
5が充填されている。
【0097】高エネルギー物質105は、ガス発生器4
0から排出されるガスがエアバッグ(図示せず)の展開
中に凝縮しないよう分解性ガスの分解生成物の温度が、
第二筒部60で形成される第一の空間66と密封容器1
10から成る第一反応室で約2000°K〜2500°
Kに達するのに必要なエネルギーを放出する必要があ
る。
【0098】高エネルギー物質105として公知の火薬
組成物を使用することができるが、望ましいのは、化学
等量比にあるB/KNO3組成物である。この場合、次
の燃焼反応式に示される如く大きな発熱量を得ることが
できる。 10B+6KNO3→2B23+6KBO2+3N2+1
069Kcal 更に望ましいのは、過塩素酸アンモニウムを酸化剤とす
る推進薬をB/KNO 3組成物に付加して使用すると、
推進薬の燃焼によって発生するK2O蒸気が次式の如く
反応して、発生するガスを無毒化し、発生する固体粒子
を除去し易くなる利点がある。
【0099】2KBO2+2HCl→2KCl+B23
+H20+147Kcal スタータ80に使用される高エネルギー物質105の質
量と、スタータ80の筒状容器81と蓋部材88とで形
成する内部空間85の内容積の比、即ち装填比重、及び
高エネルギー物質105の質量、並びに高エネルギー物
質105の表面積と質量の比は、ノズル98から分解性
液体111へのジェット気流の初速度と、起動時の分解
性液体111の分解効率に大きい影響を与える。
【0100】エアバッグの要求展開性能を満足するため
には、スタータ80の高エネルギー物質105の装填比
重は約0.3〜約0.90g/mlにすることが必要で
あるが、0.45〜0.55g/mlとすることが望ま
しい。高エネルギー物質105としては、B/KNO3
組成物2.0〜3.0gと推進薬2.0〜3.0gの混
合物が望ましく、特にB/KNO3の組成物約2.8g
と推進薬約2.4gが最も望ましい。
【0101】この組合せにおいて、B/KNO3組成物
は、6mmφ×3.5mmのペレットと20メッシュ不通過
の顆粒の組合せが望ましい。推進薬は、内径約5mmφ、
外径約25mmφで、厚さ約2〜3mmのディスクと3mm3
の細粒の組合せが望ましい。分解性液体111は、過酸
化水素水溶液、水酸基硝酸アンモニウム水溶液又は分解
してガスを発生する液体を使用することができるが、特
に過酸化水素水溶液が好適である。
【0102】分解性液体111を封入する密封容器11
0は、高圧容器41の内壁、スタータ80の蓋部材91
及び第二筒部60の底部61に接している。密封容器1
10は、アルミニウム或いは四弗化エチレン樹脂で作ら
れており、特に、分解性液体111の経時変化を抑制す
るため重金属を含ませない純アルミ材で作られることが
望ましい。
【0103】第二筒部60は、貫通孔62を設けた底部
61が、密封容器110を安定的に保持する隔壁として
機能すると共に、内部空間が第一の空間66を構成す
る。第二筒部60と第三筒部70との結合は、上述した
ように、第二筒部60の開口端部64の外壁面に設けた
雄ねじ部65に、第三筒部70の底部73側の内壁面に
設けた雌ねじ部74を介して螺着することによって行わ
れる。
【0104】本実施形態では、第二筒部60は、有底の
筒状容器で構成され、第三筒部70は、第二筒部60の
開口端部64を外嵌する大径の底部73を有するキャッ
プで構成されている。そのため、第三筒部70には、底
部73側が開口しており、その内側は、天井71に向か
って段階的に小さくなる階段状の段部75,76が形成
されている。又、段部76と天井71との間には、第二
反応室を形成するためのに第二の空間77が形成されて
いる。この第二の空間77は、段部76と天井71との
間において、側壁方向に拡径されている。
【0105】そして、第二筒部60の第一の空間66と
第三筒部70の第二の空間77との間には、破裂板12
0、触媒ネット122が配設されている。即ち、下流側
に触媒ネット122が位置するように配置されている。
破裂板120は、2枚の円盤状の支持環121により挟
まれた状態で、段部75に配され、段部75と第二の筒
部60の開口端部64の先端とで挟持された状態で固定
されている。
【0106】破裂板120が、分解性液体が封入されて
いる密封容器110が万一破れたとき、分解性液体11
1が触媒ネット122に接触してガス発生器40の異常
作動を防ぐと共に、正常作動時の第一反応室の初期圧力
を維持する。又、触媒ネット122は、段部76に設け
た雌ねじ部78に外周に設けた雄ねじ部を螺合すること
により螺着された金属製の支持格子123の凹部125
内に装着されており、破裂板120の支持環121と支
持格子123とで挟持された状態で固定されている。支
持格子123には、第二の空間77に開口するノズル1
24が穿設されている。
【0107】触媒ネット122は、#10〜#50のメ
リヤス織ステンレス・スチールの網に末端水酸基ポリブ
タジエンをバインダーとして分解触媒を粘着させディス
ク状に圧縮成形したものである。ステンレス・スチール
の網は、#30が望ましく、分解性液体111の分解触
媒は、過マンガン酸カリウムが望ましい。
【0108】更に、第二の空間77とガス排出口72と
の間には、フィルターネット126が装着されている。
フイルターネット126は、ステンレス・スチール網、
セラミックスフェルト、或いは耐熱ガラス・クロスを用
いることができる。第一反応室に、支持格子123で支
持さる触媒ネット122を介して隣接する第二反応室内
にエアバッグへの排出口の内面に沿って円環状のフイル
ターネット126が配置されてる。
【0109】次に、本実施形態の作用を説明する。車両
衝突時、車両に取り付けられた衝突感知センサーからの
信号により点火器100に電流が流れ点火器100が作
動する。点火器100に含まれる点火薬の燃焼によって
点火器100から高温のガスと固体微粒子が発生する。
【0110】点火器100から放出された高温のガスと
固体微粒子は、スタータ80に含まれる高エネルギー物
質105を発火し燃焼させる。高エネルギー物質105
は、表面積対質量の比が大きい顆粒と、表面積対質量の
比が小さいペレット或いはディスク状の加圧成形物から
構成される。高エネルギー物質105の燃焼によって発
生する高温ガスの圧力は、第1反応室に配置された分解
性液体111を封入した密封容器110の中央部に突出
したスタータ80から突出する突出管94のノズル98
を通して密封容器110を貫通し、分解性液体111内
に開放される。
【0111】高エネルギー物質105の燃焼によって発
生する高温のガスと固体微粒子が、ノズル98から高速
度で分解性液体内に放出され急速混合が行われて、分解
性液体111は高温度によって急激に熱分解する。スタ
ータ80から分解性液体111に与えられる熱と、分解
性液体111の分解による発熱によって、分解性液体1
11の分解生成ガスの温度は、第1反応室の第一の空間
66に流入する。
【0112】第一の空間66に流入した高温の分解生成
ガスは、第一の空間66と第二の空間77の間に配置さ
れた触媒ネット122によって初期流動は閉塞される。
分解性液体分解で生成した高温と、分解生成物に含まれ
る酸素によって、触媒ネット122を被覆しているバイ
ンダーが燃焼し、触媒ネット122に通気孔を形成した
後、分解生成ガスは触媒を通過して第二の空間77に流
入する。
【0113】第二の空間77内で、触媒ネット122を
通過する分解生成物と、触媒ネット122に被覆してい
るバインダーと共に用いられている分解性液体の分解触
媒との反応を終焉させ、且つバインダーの燃焼によって
生成するガスの無毒化を行うことができる。第二の空間
77内で完全に反応し無毒化されたガスは、高圧容器4
1のエアバッグへのガス排出口72の内壁に配置された
フイルターネット126で、反応で生成した微量の固体
残渣及び密封容器110の破裂で発生した微小破片を濾
過してエアバッグ内へ排出される。
【0114】図15は、請求項1、請求項18乃至請求
項23に係るエアバッグ用ガス発生器の一実施形態を示
すものである。図において、141はガス発生器140
の円筒状外殻構造物である有底の高圧容器を示す。高圧
容器141は、底部151に貫通孔152を有すると共
に底部151側側壁にガス排出口153を有し、内部に
複数の貫通孔155を有する段部154を有する第一筒
部150と、底部161に貫通孔162と第一筒部15
0の複数の貫通孔155と連通する複数の連通孔163
を有し第一筒部150の段部154と開口端部156と
の間の空間158内に収容される第二筒部160と、第
一筒部150の開口端部156の外壁面に設けた雄ねじ
部157に底部171側の内壁面に設けた雌ねじ部17
2を介して螺着されるキャップ170とで構成されてい
る。
【0115】高圧容器141は、例えば、JIS A2
017等のアルミニウム材から成るが、ステンレス・ス
チール或いは繊維強化プラスチックを使用することがで
きる。第一筒部150は、有底の筒状容器で構成され、
底部151側から開口端部156に向かってスタータ1
80、第二筒部160、分解性液体111を封入した密
閉容器110が取り付けられている。
【0116】スタータ180は、底部182に点火器2
00を装着する貫通孔183を有すると共に高エネルギ
ー物質205を充填する収納空間184を有する有底の
筒状容器181と、この筒状容器181の底部182側
に形成され、第一筒部150の中心部に形成した貫通孔
152に連接する凹部159に嵌入される突起185
と、第二筒部160の複数の貫通孔163と連通する複
数の貫通孔187を有すると共に底部161上に載置さ
れるフランジ部186と、筒状容器181の頂部190
側に形成され、複数の貫通孔189を有するフランジ部
188と、天井195側の側壁部196に複数のノズル
198を有すると共に筒状容器181の頂部190の中
央に形成された貫通孔191の内壁面に設けた雌ねじ部
192に雄ねじ部194を介して螺着される筒状の突起
管194とで構成されている。
【0117】突起管194の天井195は、キャップ1
70の中央に設けた凹部173内に嵌入している。スタ
ータ180の上部の突出管194を囲むように分解性液
体211を充填した円環状の密封容器210が配され、
密封容器210の底部はスタータ180の頂部190と
フランジ部188上に載置されている。
【0118】点火器200の脚線201は、第一筒部1
50の底部151側の貫通孔152から外部に導き出さ
れている。又、本実施形態では、突起管194は、内径
4mmφ、外径8mmφとした。又、突起管194に設けた
ノズル198は、突起管194に中心軸と直角方向にガ
スが噴出するように窄孔されており、その孔径は、エア
バッグの要求展開性能に合致するように設定されるが、
通常1.5mmφで4箇所窄孔することが望ましい。
【0119】更に、筒状容器181の内側空間184に
は、高エネルギー物質205が充填されている。又、第
二筒部160の底部161と筒状容器181のフランジ
部186との間に破裂板221が挟持されている。第一
筒部150の段部154と第二筒状160の底部161
の下面側に設けた凹部164との間には、触媒ネット2
22が装着されている。
【0120】第一筒部150のガス排出口153の内側
には、フィルターネット226が装着されている。フイ
ルターネット226は、ステンレス・スチール網、セラ
ミックスフェルト、或いは耐熱ガラス・クロスを用いる
ことができる。尚、本実施形態において、フランジ部1
86,188に設けた複数の貫通孔187,189はノ
ズルを構成する。従って、孔径や個数は目的に応じて任
意に調整することが望ましい。
【0121】本実施形態では、第一筒部150のガス排
出口153の内側にフィルターネット226を装着した
後、破裂板221と触媒ネット222を取り付けた第二
筒部160を第一筒部150内に配置する。次に、スタ
ータ180を第一筒部150の中央部に取り付け、スタ
ータ180の上部の突出管194を囲むように分解性液
体211を充填した密封容器210を配する。
【0122】その後、キャップ170を取り付けること
によって、組立が完了する。本実施形態においては、筒
状容器181の2つのフランジ部188と186との間
に第一の空間266が形成され、第一筒部150の段部
154と底部151との間に第二の空間277が形成さ
れる。本実施形態においても、図13に示す実施形態と
同様に、作動することができる。
【0123】尚、図3に示す実施形態においては、仕切
板29の上に密封容器10を載置した場合について説明
したが、本発明はこれに限らず、例えば、図13、14
に示すように、密閉容器10に凹部を設け、この凹部に
スタータのノズルを突出するようにしても良い。又、図
3に示す実施形態においては、触媒ネットを使用してい
ないが、例えば、図13乃至図15のように破裂板の下
流側に設けても良い。
【0124】更に、図3に示す実施形態においては、高
エネルギー物質を使用していないが、例えば、図13乃
至図15のようにスタータ中に混入しても良い。
【0125】
【発明の効果】以上説明した如く、請求項1乃至請求項
23の発明によれば、クリーンで低コストの液体の分解
を利用するエアバッグ用ガス発生器を提供することがで
きる。又、長期間に亘って安定性を保つことが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】過酸化水素水溶液の基本特性を示す図である。
【図2】過酸化水素水溶液の濃度に対する生成ガスの組
成と温度の変化を示す図である。
【図3】請求項1乃至請求項16に係るエアバッグ用ガ
ス発生器を示す断面図である。
【図4】図3におけるノズルを示す図である。
【図5】運転席用エアバッグの受け入れ可能な範囲を示
す図である。
【図6】助手席用エアバッグの受け入れ可能な範囲を示
す図である。
【図7】ガス発生器の圧力と時間との関係を示す図であ
る。
【図8】タンク圧力とガス発生器の圧力との関係を示す
図である。
【図9】タンク圧力とガス発生器の圧力との関係を示す
図である。
【図10】タンク圧力とガス発生器の圧力との関係を示
す図である。
【図11】タンク圧力とガス発生器の圧力との関係を示
す図である。
【図12】水の状態線図である。
【図13】請求項1、請求項18乃至請求項23に係る
エアバッグ用ガス発生器の一実施形態を示す断面図であ
る。
【図14】図13のエアバッグ用ガス発生器のスタータ
組立品を示す断面図である。
【図15】請求項1、請求項18乃至請求項23に係る
エアバッグ用ガス発生器の別の実施形態を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 高圧容器 2 ガス排出口 10 密封容器 11 分解性液体 12 第一の空間 15 ノズル 20 スタータ 21 点火器 23 分解触媒用容器 33 網状 31 第一反応室 32 第二反応室 33 網状構造物 34 第二の室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 實 福島県西白河郡西郷村大字長坂字土生2の 1 日本工機株式会社内 (72)発明者 田村 敏彦 福島県西白河郡西郷村大字長坂字土生2の 1 日本工機株式会社内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体の分解を利用するエアバッグ用ガス
    発生器において、 壁面にエアバッグへのガス排出口を有する高圧容器と、 第一反応室と、 第二反応室と、 スタータとを備え、 第一反応室は、分解性液体を封入した密封容器と、この
    密封容器に隣接する第一の空間とで構成され、 第二反応室は、第一の空間に隣接すると共にガス排出口
    に隣接する第二の空間で構成され、 第一反応室、第二反応室及びスタータは高圧容器内に配
    されると共に、第一の空間と第二の空間との間にはノズ
    ルが介装されていることを特徴とするエアバッグ用ガス
    発生器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエアバッグ用ガス発生器
    において、 第一の空間には、ガスが充填されていることを特徴とす
    るエアバッグ用ガス発生器。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のエアバッグ用ガス発生器
    において、 第一の空間に充填されたガスは、空気、窒素、酸素、ア
    ルゴンであることを特徴とするエアバッグ用ガス発生
    器。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3記載のエアバッグ
    用ガス発生器において、 第一の空間に充填されたガスは、常圧又は0.1〜20
    MPaで加圧されていることを特徴とするエアバッグ用
    ガス発生器。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れか記載のエ
    アバッグ用ガス発生器において、 第一の空間の容積は、第一反応室の30〜50%である
    ことを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5の何れか記載のエ
    アバッグ用ガス発生器において、 スタータは、分解促進物質放出手段と、点火器とを備え
    ていることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6の何れか記載のエ
    アバッグ用ガス発生器において、 スタータと密封容器との間に、ノズルを備えていること
    を特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7の何れか記載のエ
    アバッグ用ガス発生器において、 高圧容器は、アルミニウム、ステンレス・スチール、ガ
    ラス繊維強化プラスチックスであることを特徴とするエ
    アバッグ用ガス発生器。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項8の何れか記載のエ
    アバッグ用ガス発生器において、 分解性液体は、過酸化水素水溶液又は水酸基硝酸アンモ
    ニウム水溶液であることを特徴とするエアバッグ用ガス
    発生器。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のエアバッグ用ガス発生
    器において、 過酸化水素水溶液は、35重量%〜64.5重量%の水
    溶液であることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  11. 【請求項11】 請求項7記載のエアバッグ用ガス発生
    器において、 分解促進物質は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の
    過金属酸塩、アルカリ金属又は金、白金、銀、銅から成
    る金属酸塩、ランタノイド系の酸化物、金、白金、銀、
    銅の粉末であることを特徴とするエアバッグ用ガス発生
    器。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のエアバッグ用ガス発
    生器において、 アルカリ金属の過金属酸塩は、過マンガン酸カリウムで
    あることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項12の何れか記載
    のエアバッグ用ガス発生器において、 第二反応室には、分解性液体を分解させる線材から構成
    される網状構造物が内蔵されていることを特徴とするエ
    アバッグ用ガス発生器。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のエアバッグ用ガス発
    生器において、 線材は、パラジウム、金、白金、銀、銅、鉄、ステンレ
    ススチールであることを特徴とするエアバッグ用ガス発
    生器。
  15. 【請求項15】 請求項13又は請求項14記載のエア
    バッグ用ガス発生器において、 線材は、請求項11記載の分解促進物質で被覆されてい
    ることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至請求項15の何れか記載
    のエアバッグ用ガス発生器において、 密封容器は、アルミニウム、チタニウム、ステンレスス
    チール、フッ素樹脂を含む合成樹脂であることを特徴と
    するエアバッグ用ガス発生器。
  17. 【請求項17】 請求項1又は請求項16の何れか記載
    のエアバッグ用ガス発生器において、 密封容器の内面は、フッ素樹脂で被覆されていることを
    特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  18. 【請求項18】 請求項1乃至請求項17の何れか記載
    のエアバッグ用ガス発生器において、 第一の空間と第二の空間との間には、触媒ネットが配さ
    れていることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至請求項18の何れか記載
    のエアバッグ用ガス発生器において、 スタータには、密封容器の中央部に突出するノズルが設
    けてあることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  20. 【請求項20】 請求項1乃至請求項19の何れかに記
    載のエアバッグ用ガス発生器において、 スタータに、液体の分解生成物の温度が少なくとも20
    00°K以上を与える燃焼によって高エネルギーを発生
    する物質を内蔵することを特徴とするエアバッグ用ガス
    発生器。
  21. 【請求項21】 請求項20記載のエアバッグ用ガス発
    生器において、 高エネルギーを発生する物質は、顆粒及びペレット状の
    ボロンと硝酸カリウムの組成物であることを特徴とする
    エアバッグ用ガス発生器。
  22. 【請求項22】 請求項20記載のエアバッグ用ガス発
    生器において、 高エネルギーを発生する物質は、顆粒及びペレット状の
    ボロンと硝酸カリウムの組成物と、顆粒及びディスク状
    の末端水酸基ポリブタジエン、過塩素酸アンモニウムと
    アルミニウム粉から成る組成物であることを特徴とする
    エアバッグ用ガス発生器。
  23. 【請求項23】 請求項18に記載のエアバッグ用ガス
    発生器において、 触媒ネットは、#10〜#50メリヤス織ステンレスス
    チール金網に過マンガン酸カリウムを末端水酸基ポリブ
    タジエンをバインダーとして被覆しディスク状に圧縮成
    形されていることを特徴とするエアバッグ用ガス発生
    器。
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