JPH0823054B2 - Ti/Ti5 Si3 系傾斜機能材料とその製造方法 - Google Patents

Ti/Ti5 Si3 系傾斜機能材料とその製造方法

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JPH0823054B2
JPH0823054B2 JP4272549A JP27254992A JPH0823054B2 JP H0823054 B2 JPH0823054 B2 JP H0823054B2 JP 4272549 A JP4272549 A JP 4272549A JP 27254992 A JP27254992 A JP 27254992A JP H0823054 B2 JPH0823054 B2 JP H0823054B2
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得蔵 辻本
厚正 岡田
亨 梅木
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科学技術庁金属材料技術研究所長
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Ti/Ti5 Si3
系傾斜機能材料とその製造方法に関するものである。さ
らに詳しくは、この発明は、航空・宇宙用構造材、エン
ジン、タービン、化学装置等に有用な、軽量で、苛酷環
境下においても使用することができ、複雑形状の成形も
可能な、新しいTi/Ti5 Si3 系傾斜機能材料とそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】金属、合金等として均質な組
成構成からなる材料については、これまでの研究開発に
よって大きな進歩を遂げており、各種の分野において広
く用いられている。しかしながら、このような均質材料
によっては実現しえない優れた諸機能を有する材料への
関心も高まっており、これからは非均質で、しかも高度
な機能を付与された材料の研究開発が進められると予想
される。そして、このような高性能な非均質材料の開拓
は先端技術の進歩の鍵でもある。たとえば高速飛翔体で
は外壁は高温にさらされるが、内壁は人間が生活できる
温度でなければならない。このような用途に適用するも
のとして、耐熱性、高強度の特性を有するためのセラミ
ックスと金属との積層複合材が考えられる。しかしなが
ら実際には、このような複合材を用いることはできな
い。それと言うのも、金属とセラミックスでは熱膨脹係
数が1桁異なり、熱膨脹によって当接面が剥離し、ま
た、セラミックスは脆く、信頼性のある大型部材を作製
することが困難だからである。そこでこの隘路の打開を
目指して、セラミックスと金属の混合割合を連続的に変
化させた傾斜組成材料または傾斜機能材料が提案される
に至っている。
【0003】この傾斜機能材料を製造する手法として
は、金属とセラミックスの混合割合を変化させた原素材
を気相成長法、溶射法、粉末冶金法などにより次々積み
重ねていく手法がこれまでに知られており、また、実際
的にも採用されている。しかしながら、この方法は、材
料の堆積速度が遅く、工程が繁雑で製造性が悪いという
欠点がある。このため、大型や複雑形状の部材の製造を
困難にするとともに、製品を異常に高価なものとしてし
まう。このため、その特性や、応用への期待が大きいも
のの、傾斜機能材料については、その組成、組織の構造
と製造方法とが実用化に有意なものとして確立されてい
ないため、いまだに産業的な展望が切拓かれないでい
る。
【0004】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来の傾斜機能材料に関する技術的
限界を克服し、新しい材料構成と、そのための製造方法
を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、Tiもしくはその合金領域、T
5 Si3 系化合物領域、及びTiもしくはその合金と
Ti5 Si3 系化合物の混合領域を有し、この混合領域
においてはTiもしくはその合金相とTi5 Si3 相の
比率はほぼ連続的に変化し、混合領域のTiが濃化した
部分はTi領域に接し、Ti5 Si3 が濃化した部分は
Ti5 Si3 領域に接することを特徴とする傾斜組成を
有するTi/Ti5 Si3 系傾斜機能材料を提供する。
【0006】また、この発明は、Tiもしくはその合金
にTi5 Si3 系化合物を積層するか、またはTi5
3 系化合物を被覆した後、1600K以上の温度に加
熱することを特徴とする傾斜組成を有するTi/Ti5
Si3 系傾斜機能材料の製造方法をも提供する。
【0007】
【作用】すなわち、この発明では、高性能でかつ製造容
易な傾斜機能材料を作製するための材料の組み合わせと
傾斜機能材料化するための技術を提案する。ここでの傾
斜機能材料は、高融点と優れた軽量性・耐酸化性をもつ
Ti5 Si3 系金属間化合物領域とTiもしくはその合
金領域及びその間に存在する両者の混合領域から成り立
ち、混合領域においては両物質の分布密度は連続的に変
化する。そして、この発明では、Tiもしくはその合金
成形材とTi5 Si3 系化合物とから、相関係と組織制
御技術を利用した熱処理のみで上記傾斜機能材料を製造
する。
【0008】Ti5 Si3 系金属間化合物の熱膨脹係数
はセラミックスに較べ遥かに金属に近いため、熱膨脹係
数の差から生じる熱歪みは従来の傾斜機能材料よりも格
段に小さい。このため急峻な温度勾配や熱疲労により発
生する割れは従来の傾斜機能材料に較べて著しく減少す
る。金属間化合物Ti5 Si3 は比重が4.3と軽量で
ある上に、2400Kという高融点と優れた耐酸化性を
もっており、過酷環境に直面する材料としては金属間化
合物の中では最も適している。また、傾斜機能材料作製
のために利用する反応温度は1600Kというように他
の材料系では例を見ないほど高い。これは作製した傾斜
機能材料が充分に高温で使用できることを意味してい
る。
【0009】これまでに提案されている傾斜機能材料は
製造性が悪いが、この発明は、この問題を一挙に解決し
ている。このことは、この発明では、共晶接合を利用し
てTi/Ti5 Si3 系傾斜機能材料を実現しているか
らである。なお、この発明では、Tiは純チタン及びT
i−Al,Ti−Al−V系等の各種チタン合金を意味
し、Ti5 Si3 系化合物は、金属間化合物Ti5 Si
3をベースとして、Ti 5 Si 3 相の固溶限度内で他元
添加して組成制御したものや、固溶限度を超えた組
成の調整により他の結晶構造や金属を少量含むTi 5
3 基合金、さらには不可避的不純物成分を含有する
のを意味している。
【0010】1600K以上の温度への加熱処理として
この共晶接合を実施するが、そのためには、まず、Ti
もしくはその合金とTi5 Si3 系化合物を密着させる
ことが必要である。Ti5 Si3 系化合物をTi合金に
密着させる方法としてはTiもしくはその合金部材の形
状により様々な形態が考えられる。たとえば単なる重ね
合せによる積層はもとより、溶射による被覆、物理的・
化学的方法による蒸着、粉末の散布などである。この発
明では、共晶接合の目的をもってTiもしくはその合金
とTi5 Si3 系化合物を密着させるこれらの全ての操
作が許容される。
【0011】共晶接合についてさらに説明すると、ま
ず、図1は、Ti−Siの2元系平衡状態図を示したも
のであるが、この図からTiとTi5 Si3 は平衡状態
で共存することができ、両者の間には約1600Kに共
晶反応が存在することがわかる。これは1600K以上
に温度を上げるとTiとTi5 Si3 の界面が融解を始
め、共晶組成(図1のE)の融液が形成される。この融
液量の増加は固相Tiから融液へTiが溶ける速度と固
相Ti5 Si3 が融液へ溶ける速度によって定まる。
【0012】TiとSi5 Si3 接合対の温度を170
0Kに上げると図1の1a〜bの間の組成では融液にな
る。融液の量は融液にTiやTi5 Si3 が溶け込むこ
とによって増加するが、この溶け込みによってTi側の
固相界面に近い位置の融液は組成aに、Ti5 Si3
の固相界面に近い位置の融液は組成bに保たれる。そし
て両端の間の融液の組成は連続的に変化する。すなわ
ち、融液における傾斜組成の形成である。一方、融液の
一部は粒界などを通じてTi側及びTi5 Si3側固相
内に浸透する。
【0013】形成された傾斜組成物融液の冷却時の挙動
については、組成がEよりTi側の融液ではTiが、ま
たEよりTi5 Si3 側の融液ではTi5 Si3 が核生
成−成長する。残った融液は冷却とともに量を減じなが
らEの組成に近ずく。Eの組成の融液では1600Kで
TiとTi5 Si3 が同時に晶出し、いわゆる共晶組織
となる。つまり、冷却後形成される組織は傾斜組成に対
応して、Ti初晶、共晶、Ti5 Si3 初晶となる。こ
の組織分布は1600K以上の温度に加熱することによ
り傾斜組成が実現していることを示している。
【0014】このような共晶反応の結果、Ti/Ti5
Si3 系の共晶凝固組織は、TiとTi5 Si3 が交互
に積み重なった層状組織となる。ただ、一般に延性や靱
性は層状組織よりも粒状組織の方が優れているので、熱
衝撃や熱勾配などによる割れ発生に対しては粒状組織の
方が抵抗力がある。そこで、接合によって生じるTi/
Ti5 Si3 系共晶組織を改質することも有効である。
【0015】接合物を1600K以下の温度で均質化再
加熱すると共晶反応で生じる層状組織は粒状化し、材料
の延性・靱性は改善される。以下、実施例を示し、さら
に詳しくこの発明について説明する。
【0016】
【実施例】非消耗電極式アルゴンアーク溶解炉によって
溶製したTi5 Si3 ボタンインゴットより10×10
×5mmの試験片を採取し、これに同一サイズのTi板
を重ね合せ、アルゴンガス雰囲気中にてTi−Ti5
3 共晶温度より高い1633Kに3.6ks加熱して
TiとTi5 Si3 を溶融拡散接合させた後、炉冷し
た。この時母材と接合層との界面には剥離・亀裂の発生
は認められなかった。
【0017】生成した接合層の組織は、Ti母材側では
まずαTi中に粒状Ti5 Si3 があらわれ、続いてα
Ti中にTiとTi5 Si3 の層状組織、次に全面的層
状組織へと変化した。Ti5 Si3 母材側へ近ずくとT
5 Si3 中に層状組織、続いてTi5 Si3 中に粒状
αTi、最後はTi5 Si3 母材となっていた。次い
で、このようにして形成したTi/Ti5 Si3 系接合
材料に1573Kで86.4ks焼鈍を施すと接合層内
の層状組織は消失し、Ti母材側では粒状のTi5 Si
3 を含む組織に、またTi5 Si3 母材側では粒状αT
iを含む組織に変化した。この状態の断面SEM像を示
したものが図2である。
【0018】
【発明の効果】以上の通りのこの発明によって、以下の
通りの優れた効果が得られる。1)複雑形状の傾斜機能
材料が容易に製造できる。すなわち、これまでも傾斜機
能材料という概念は存在したが、製造工程の複雑さのた
めに実用の対象からは遥かにかけ離れた存在であった。
それがこの発明により、容易に製造でき、実用化し得る
ことになる。
【0019】2)Ti/Ti5 Si3 系傾斜機能材料は
軽量で苛酷環境下で使用できる。このため、宇宙往換機
やSSTの機体材料として使用できる。航空機や自動車
用エンジン、及び発電用タービンなどに適用して高性能
化が可能になる。3)Ti/Ti5 Si3 系傾斜機能材
料は、苛酷環境下で使用できる修復容易な材料である。
【0020】このため、たとえば石炭液化などエネルギ
ー関係の装置は苛酷環境下で稼働し、これに耐え得る材
料がないことが隘路になり機器開発は阻害されてきた
が、この発明の材料を適用することにより今後大きく進
展することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti−Siの2元系平衡状態図である。
【図2】実施例としてのTi/Ti5 Si3 傾斜機能材
料の図面に代わる断面顕微鏡(SEM)写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Tiもしくはその合金領域、Ti5 Si
    3 系化合物領域、及びTiもしくはその合金とTi5
    3 系化合物の混合領域を有し、この混合領域において
    はTiもしくはその合金相とTi5 Si3 相の比率はほ
    ぼ連続的に変化し、混合領域のTiが濃化した部分はT
    i領域に接し、Ti5 Si3 が濃化した部分はTi5
    3 領域に接することを特徴とする傾斜組成を有するT
    i/Ti5 Si3 系傾斜機能材料。
  2. 【請求項2】 Tiもしくはその合金にTi5 Si3
    化合物を積層するか、またはTi5 Si3 系化合物を被
    覆した後、1600K以上の温度に加熱することを特徴
    とする請求項1の傾斜組成を有するTi/Ti5 Si3
    系傾斜機能材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 真空また不活性ガス中において加熱する
    請求項2の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3により得られた材料を
    1600K以下において再加熱するTi/Ti5 Si3
    系傾斜機能材料の製造方法。
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CN112176214B (zh) * 2020-09-14 2021-07-20 哈尔滨工业大学 一种Ti5Si3颗粒增强网状孔壁的TiAl基多孔材料及其制备方法

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