JPH0822564A - 硬貨判別装置 - Google Patents

硬貨判別装置

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JPH0822564A
JPH0822564A JP15627394A JP15627394A JPH0822564A JP H0822564 A JPH0822564 A JP H0822564A JP 15627394 A JP15627394 A JP 15627394A JP 15627394 A JP15627394 A JP 15627394A JP H0822564 A JPH0822564 A JP H0822564A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬貨判別装置に係り、簡易な装置構成によっ
て硬貨の外周面形状の相違を顕在化させ、硬貨判別を確
実なものとする。 【構成】 硬貨搬送路2を移動してくる硬貨Cの外周面
に向けて移動方向に交差する半径方向から光を入射する
発光手段3と、硬貨Cの外周面からの反射光を硬貨Cの
移動方向に隣接する2箇所の受光部4a・4bにおいて
受光する受光手段4と、その受光部4a・4bによる検
出信号の信号レベルを異ならせるレベル設定手段6と、
信号レベルを異ならされた2種の検出信号の差から硬貨
Cの種別を判断する判別手段7とを具備しており、信号
レベルの低い領域における検出信号に内在している信号
波形の規則性を顕在化させ、ギザを判定するための情報
を最大限に抽出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬貨判別装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の判別装置として、実開平
3−44770号公報に示されるものが知られている。
この装置は、半径方向一方向に搬送されてくる硬貨の外
周面に硬貨の厚み方向に長いスリット光を照射して、そ
の反射光を得ることにより、硬貨の側面に形成された凹
凸の種類、例えば、500円硬貨の刻印であるか、50
0ウォン硬貨の厚み方向に沿う縞状の凹凸(以下、「ギ
ザ」という。)であるかを判別するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この判
別装置においては、硬貨の外周面の形状が刻印であるか
ギザであるかを判別するために、硬貨の厚み方向に長い
スリット光を照射して検出する必要があり、このための
構成が複雑になり易いという欠点がある。すなわち、ス
リット光を形成するための構成として、レーザ発振器、
ビームエキスパンダ、スリット等が必要であり、構成部
品が増加するとともに、高価なものとなってしまう。
【0004】また、スリット光による場合には、その光
量が少なくなるために、検出手段によって検出される検
出信号も比較的小さくなり易い。さらに、硬貨自体は単
一色であるために、硬貨の外周面の凹凸形状によって検
出信号に現われる振幅に明確な差異が現われにくいとい
う不都合がある。その結果、例えば、500円硬貨は、
図7に示すような検出信号を生じ、500ウォン硬貨
は、図8に示す検出信号を生じる。これによれば、両検
出信号は極めて近似しており、これを判別することが困
難である。
【0005】例えば、両検出信号を区別するために、所
定の基準レベルを設定し、検出信号が該基準レベルを超
える回数により硬貨の種別を判断する方法が考えられる
が、前記図7および図8に示す信号出力波形において
は、これらを明確に判別し得る基準レベルの設定自体が
困難である。また、SN比が高く、所定以上の振幅を有
する検出信号を得るために、光学系の精度を高める方法
も考えられるが、コストが高くなるという不都合があ
る。
【0006】上記不都合を解決するための一つの手段と
して、本願発明の出願人は、特願平5−278645号
に示される硬貨判別装置を提案している。この硬貨判別
装置は、硬貨Cを半径方向に移動させる硬貨搬送路に、
搬送されてくる硬貨Cの外周面に向けて移動方向に交差
する半径方向から光を照射する発光手段と、照射された
光のうち硬貨Cの外周面からの反射光を硬貨Cの移動方
向に隣接する2箇所の受光部において受光する受光部
と、各受光部による検出信号の差に基づいて硬貨Cの種
別を判断する判別手段とを具備している。
【0007】この硬貨判別装置によって500ウォン硬
貨のような外周面にギザを有する硬貨を判別することと
すれば、隣接する2箇所の受光部がギザの隣接する凹部
と凸部とをそれぞれ検知する位置に配置しておくことに
より、受光部には、図9に示すように、受光部の間隔だ
けずれた同等の波形の検出信号X・Yが検出される。両
受光部による検出信号X・Yは、ギザの規則性に基づい
て規則的に並んだ極大値と極小値とを有しているので、
両受光部の検出信号X・Yを重ね合わせると、一の受光
部の検出信号X波形の極大値の位置には、他の受光部の
検出信号Y波形の極小値がちょうど配されるようにな
る。
【0008】したがって、両検出信号X・Yの差値を求
めると、図10に示すように、検出信号X・Y波形の規
則性が強調されることになる。そして、この検出信号X
・Yの差値に増幅、整流等の加工を施せば、所定の信号
レベルを超える複数のパルス列を得ることができ、その
パルス数によって、ギザを有する硬貨Cであることを容
易に認識することができる。
【0009】一方、この硬貨判別装置によって、500
円硬貨のような外周面に刻印を有する硬貨Cを判別する
こととすれば、2箇所の受光部によって検出される検出
信号は、刻印の不規則性に基づいて極大値と極小値とが
不規則に並んだ波形となる。したがって、これらの検出
信号の差を求めることとしても、検出信号波形の規則性
は強調されず、逆に、検出信号どうしで相殺し合う部分
も生じる。このため、ギザを有する硬貨Cと比較して、
検出信号の差から得られるパルス数が小さくなり、これ
によって、ギザを有しない硬貨Cであると認識すること
ができる。
【0010】このように、この硬貨判別装置は、ギザを
有する硬貨Cからの反射光が規則的な波形を有している
ことに着目し、特に、反射光量が高く信号レベルの高い
領域Qにおける検出信号の規則性を顕在化させることに
より、500円硬貨を500ウォン硬貨から判別するも
のであった。したがって、この硬貨判別装置は、2箇所
の受光部による検出信号の差を求め、その差に基づいて
判別を行うという簡易な方法によって、500ウォン硬
貨のようなギザを有する硬貨Cと500円硬貨のような
ギザを有しない硬貨Cとを確実に判別することができる
という優れた効果を有している。
【0011】ところが、500円硬貨と径寸法および材
質において類似する硬貨Cであって、外周面にギザを有
する硬貨Cには、500ウォン硬貨の他に、ミャンマー
の1チャット硬貨、イランの50リアル硬貨等がある。
そして、これらの硬貨Cの外周面に設けられたギザは、
全てが同じものではなく、図11に示すように、その間
隔寸法および幅寸法において相違している。したがっ
て、同一の検出手段によって検出される信号レベルが、
各硬貨Cごとに相違してしまうという新たな問題が生ず
る。
【0012】すなわち、500ウォン硬貨のギザを検出
するように設定された検出器によって、幅の狭い1チャ
ット硬貨等のギザを検出する場合には、図11に示すよ
うに、照射される光の領域A・Bのうちの一部がギザの
凹部C1から外れて反射光の光量が小さくなる。したが
って、検出手段による検出信号の信号レベルが全体的に
低下してしまい、上記硬貨判別装置によって検出信号の
差から得られるパルス数も低下することになる。
【0013】この場合には、上記硬貨判別装置により判
別された各硬貨のパルス数の分布は図12に示すように
なる。これによれば、上記硬貨判別装置によって、50
0円硬貨と500ウォン硬貨のパルス分布は完全に分離
されているために、確実な判別を行うことができるが、
500円硬貨と1チャット硬貨のパルス分布は部分的に
重複しているため、確実に判別することが困難である。
【0014】また、検出信号のうち信号レベルの低い領
域Pに着目して、この部分における信号の規則性を抽出
することも考えられる。しかし、ギザの幅が狭い硬貨C
であると、検出される信号レベルは全体的に低くなる。
特に、検出器は、通常、半径方向に搬送されてくる硬貨
Cの外面が最も近接する位置に焦点を配置するように設
定されるため、このような硬貨Cにおける焦点がずれた
位置での検出信号は、著しく低い信号レベルとなって、
多くのノイズを含むようになる。このため、ギザの情報
を確実に含んでいるにも関わらず、この情報を抽出する
ことができず、ギザを有する硬貨Cであるとの判定を行
うことが困難であった。
【0015】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであって、簡易な装置構成によって、外周面にギザ
を有する種々の硬貨Cをギザを有しない硬貨Cから明確
に峻別し得る硬貨判別装置を提供することを目的として
いる。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、硬貨を半径方向に移動させる硬貨搬送路
に設けられ、該硬貨搬送路を搬送されてくる硬貨の外周
面に向けて移動方向に交差する半径方向から光を照射す
る発光手段と、該発光手段により照射された光のうち硬
貨の外周面によって反射させられる反射光を、硬貨の移
動方向に隣接する2箇所の受光部において受光する受光
手段と、各受光部による検出信号の信号レベルを異なら
せるレベル設定手段と、信号レベルを異ならされた2種
の検出信号の差に基づいて硬貨の種別を判断する判別手
段とを具備している硬貨判別装置を提案している。
【0017】上記硬貨判別装置において、レベル設定手
段が、2箇所の受光部により検出された2種の検出信号
をそれぞれ異なる増幅率で増幅する増幅手段を具備する
構成とすれば効果的であり、また、レベル設定手段が、
2箇所の受光部により検出された2種の検出信号のうち
の一の検出信号に、他の検出信号に対してバイアスをか
けるバイアス設定手段を具備する構成としてもよい。ま
た、2箇所の受光部により検出された2種の検出信号の
うちの一の信号の極大値が他の信号の極小値近傍に配さ
れるように信号レベルを設定することとすればさらに効
果的である。
【0018】
【作用】本発明の硬貨判別装置によれば、発光手段が作
動されることによって、光が硬貨の外周面に向けて移動
方向に交差する半径方向から入射される。入射された光
は、硬貨の外周面によって反射され、反射光が受光手段
によって受光される。受光手段には、硬貨の移動方向に
隣接する2箇所の受光部が設けられているので、硬貨の
外周面において移動方向に隣接する部分からの反射光
が、各々別々の受光部によって検出される。
【0019】その結果、各受光部における検出信号とし
ては、受光部の距離だけずれた同等の波形を有するもの
が検出される。すなわち、硬貨判別装置にギザを有する
硬貨が投入された場合には、極大値と極小値とを規則的
に配列した波形の検出信号が検出されることになるが、
一の検出信号の信号波形の極大値となる部分に、他の検
出信号の極小値となる部分が概ね配置されることにな
る。
【0020】そして、これらの検出信号は、レベル設定
手段によってその信号レベルを異ならされる。この場
合、例えば、一の検出信号を他の検出信号よりも高い信
号レベルに設定することにより、一の検出信号の極大値
と他の検出信号の極小値との差が拡大される。したがっ
て、規則的な検出信号は、その規則性を際立たせられ
る。特に、信号レベルの低い領域においても、2つの検
出信号間の差値を拡大して規則性を顕在化させることが
可能となり、この部分から抽出した規則性をも加味する
ことによって、判別手段により硬貨の種別が容易に判別
されることになる。
【0021】また、2箇所の受光部により検出された2
種の検出信号をそれぞれ異なる増幅率で増幅する増幅手
段によりレベル設定手段を構成すれば、2種の検出信号
の信号レベルを異ならせて、上記のように作用する硬貨
判別装置を最も簡易かつ効果的に構成することが可能と
なる。また、バイアス設定手段によってレベル設定手段
を構成することとしても同様である。さらに、このバイ
アス設定手段と増幅手段とを組み合わせることとしても
よい。
【0022】さらに、2種の検出信号のうちの一の信号
の極大値が他の信号の極小値近傍に配されるように信号
レベルを設定することとすれば、両検出信号の差値を最
も大きくすることが可能となる。この場合、比較的信号
レベルの低い領域において、上記設定を行うこととすれ
ば、この領域における信号の規則性をも効果的に抽出す
ることが可能となり効果的である。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る硬貨判別装置の一実施例
について、図1ないし図4を参照して説明する。本実施
例の硬貨判別装置1は、図1に示すように、硬貨搬送路
2の外方に配置され、硬貨Cの搬送方向に対して、例え
ば、35゜の角度をなす光軸Lに沿って光を照射する光
源3と、同じく硬貨搬送路2の外方に硬貨Cの搬送方向
に対して直交する方向に配される受光センサ4と、該受
光センサ4と硬貨搬送路2との間に配されるレンズ5
と、受光センサ4に接続されるレベル設定手段6と、該
レベル設定手段に接続され該レベル設定手段6を挿通さ
せられた検出信号X・Yに基づいて硬貨Cの種別を判別
する判別手段7とを具備している。
【0024】前記硬貨搬送路2は、硬貨Cをベルト(図
示略)等によって厚さ方向に挟み込み、その自転を防止
しつつ搬送する硬貨搬送手段(図示略)を具備し、硬貨
Cを半径方向一方向に沿って移動させることができるよ
うになっている。
【0025】前記光源3は、例えば、LEDである。ま
た、前記受光センサ4は、例えば、フォトダイオードで
あって、受光する反射光の光量に応じた信号レベルの受
光信号を出力する。この受光センサ4は、硬貨搬送手段
による硬貨Cの移動方向に沿って隣接する2箇所の受光
部4a・4bを有し、各受光部4a・4bがそれぞれ独
立して検出信号X・Yを出力することができるようにな
っている。このようにして各受光部4a・4bから出力
される検出信号X・Yの信号レベルは、例えば、同等と
なるように設定されている。
【0026】また、これらの受光部4a・4bは、図1
1に示すように、硬貨Cの外周面の隣接する領域A・B
からの反射光を検知することができるようになってい
る。ここで、本実施例では、判別すべき硬貨Cとして、
特に、500円硬貨、500ウォン硬貨に加えて1チャ
ット硬貨を想定している。50リアル硬貨については、
1チャット硬貨と略同等であり、1チャット硬貨が判別
できれば同様に判別できるものと推定できる。
【0027】そして、上記領域A・Bのうち、少なくと
も一方は、500ウォン硬貨の外周面に形成されている
ギザの凹部C1内に完全に収容される程度の面積に形成
されている。したがって、1チャット硬貨においては、
上記領域A・Bが凹部C1からはみ出して、500ウォ
ン硬貨よりも低い信号レベルの検出信号X・Yが出力さ
れるようになっている。また、前記レンズ5は、前記光
源3から出射され硬貨Cの外周面において反射された光
を集光して、前記受光センサ4において結焦させるよう
に位置調整されている。
【0028】前記レベル設定手段6は、前記各受光部4
a・4bから概略同等な信号レベルで出力される2種の
検出信号X・Yの信号レベルを異ならせるものである。
具体的には、例えば、後述する差動増幅部の入力側の抵
抗値を各検出信号X・Yに対して異なる値に調整するこ
とにより実現している。
【0029】前記判別手段7は、図1に示すように、前
記受光センサ4の各受光部4a・4bから出力された各
検出信号X・Yが、レベル設定手段6によって信号レベ
ルを異ならされた後に入力される差動増幅部7aと、該
差動増幅部7aの出力信号を増幅する交流増幅部7b
と、増幅された出力信号を整流する全波整流部7cと、
整流結果を基準信号に対して比較する比較部7dと、比
較結果により硬貨Cの種別を判定する判定部7eとを具
備している。符号7fは、比較部7dに基準信号を送与
する基準信号源である。
【0030】前記差動増幅部7aは、入力された検出信
号X・Yの差値を算出する。2箇所の受光部4a・4b
によって受光される検出信号X・Yは、上述したよう
に、硬貨Cの外周面の隣接する2つの領域A・Bからの
反射光を各々検出するので、差動増幅部7aからの出力
信号は、これらの領域A・Bからの反射光についてレベ
ル設定手段6により信号レベルが調整されたものの差分
の光量レベルを有するものとなる。
【0031】前記比較部7dは、前記全波整流部7cに
よって整流された出力信号と、基準信号源7f内に予め
設定されている基準信号とを比較して、基準信号を超え
る出力信号の数を計数するようになっている。また、前
記判定部7eは、比較部7dから出力される基準信号の
レベルよりも大きい出力信号数によって、当該硬貨Cが
500円硬貨であるか、それ以外の500ウォン硬貨、
1チャット硬貨等であるかを判断するようになってい
る。
【0032】このように構成された硬貨判別装置1の作
用について、以下に説明する。まず、硬貨搬送路2を搬
送されてくる硬貨Cが、500ウォン硬貨、1チャット
硬貨、50リアル硬貨のような外周面にギザを有する硬
貨Cである場合について説明する。硬貨搬送路2内を搬
送されてくる硬貨Cの外周面に、光源3からの入射光が
照射されると、図11に示すように、領域A・Bからの
反射光が各受光部4a・4bによってそれぞれ検出され
る。この受光部4a・4bから出力される検出信号X・
Yは、図9に示す波形を有している。
【0033】次いで、上記各受光部4a・4bによる検
出信号は、レベル設定手段6によって、異なる信号レベ
ルに設定される。例えば、受光部4bによる検出信号Y
のみに倍率k(k<1)をかけて、検出信号Xよりも小
さい信号レベルに設定する。これにより、差動増幅部7
aに入力される検出信号X・Yは、図2に示すような波
形となる。
【0034】この場合において、倍率kは、任意でよい
が、検出信号Yの極大値が検出信号Xの極小値と概略同
程度となるように設定すると効果的である。すなわち、
図2に示すように、検出信号Xの極小値と検出信号Yの
極大値とが同等となるように倍率kを設定すると、その
部分における検出信号X・Yの差値を概略ゼロとするこ
とができる。したがって、検出信号Xの極小値と検出信
号Yの極大値との差値を、検出信号Xの極大値と検出信
号Yの極小値との差値に加えた形で表現することができ
るので、検出信号X・Yの規則性を最大限に顕在化させ
ることができる。
【0035】ここで、上記のように倍率kを設定する場
合に、採用すべき検出信号Xの極小値と検出信号Yの極
大値としては、信号レベルの低い領域Pにおけるもので
あることが好ましい。すなわち、信号レベルの高い領域
Qにおいては、2種の検出信号X・Yの差値を取ること
のみによって、すでに検出信号X・Yの規則性が顕在化
されているので、この部分の規則性を若干犠牲にして
も、信号レベルの低い領域Pにおける検出信号X・Yの
規則性の抽出するためである。
【0036】このようにして信号レベルの異ならされた
2種の検出信号X・Yは、差動増幅部7aに入力される
ことによって、その差値を算出される。図3に、この差
値を単に算出した場合(すなわち、差動増幅部7aの増
幅率を1とした場合)の差動増幅部7aの出力信号を示
す。実際には、差値を算出すると同時に一定の増幅率を
かけるため、差動増幅部6bからの出力信号は、図3よ
りも大きな値の波形となるが、ここでは、簡略のため図
3の波形に基づいて説明する。
【0037】これによれば、2つの受光部4a・4bか
らの検出信号X・Yの差値を算出しただけの図10の波
形と比較して、周波数が半分になっているが、信号レベ
ルの低い領域Pにおける振幅が増大されており、検出信
号X・Yの規則性が広い範囲に亙って顕在化されている
ことがわかる。したがって、この図3の波形を所定の増
幅率によって増幅すれば、信号レベルの低い領域Pにお
ける検出信号X・Yをも、ギザを有する硬貨Cを判別す
るための有力な情報として利用することができることに
なる。
【0038】このようにして差動増幅部7aから出力さ
れる検出信号X・Yの差値を示す交流波形状の出力信号
は、交流増幅部7bを経て一律に増幅された後に、全波
整流部7cを通過させられることによって、正符号を有
するパルス列に変換される。そして、比較部7dによっ
て、基準信号Dを超えるパルス数が計数され、該パルス
数が所定数を超えた場合に、判定部7eによって、その
硬貨Cがギザを有する硬貨であると判定される。
【0039】ここで、硬貨Cの外周面に設けられたギザ
の幅の異なる500ウォン硬貨および1チャット硬貨
を、ギザを有しない500円硬貨から判別する場合につ
いて説明する。1チャット硬貨は、500ウォン硬貨と
比較してギザの幅が小さく、受光部4a・4bによって
検出される検出信号X・Yの信号レベルが低いことは前
述した。
【0040】したがって、信号レベルの高い部分におけ
る検出信号X・Yのみによる判別方法によっては、1チ
ャット硬貨を500円硬貨から判別することが困難であ
った。しかし、本実施例の硬貨判別装置1によれば、信
号レベルの高い領域Qにおける検出信号X・Yのみなら
ず、信号レベルの低い領域Pにおける検出信号X・Yを
も判別のための情報として利用するので、検出信号X・
Yの規則性を顕在化し得て、ギザを有する全ての硬貨C
をギザを有しない硬貨Cから峻別することができる。
【0041】一方、500円硬貨においては、硬貨Cの
外周面が比較的平坦であって、刻印が施されているのみ
であるため、隣接する2つの領域A・Bからの反射光
は、低い光量の不規則な波形の検出信号X・Yとして受
光部4a・4bから出力される。このため、レベル設定
手段6によって信号レベルを調整された後に差動増幅部
7aから出力される信号は、上記検出信号X・Yの不規
則性によって、わずかに、刻印による不規則な交流波形
となり、信号レベルの低い領域においても、パルスを生
じ得るような波形にはならないことになる。
【0042】したがって、差動増幅部7aからの出力信
号がギザを有する硬貨Cの場合と同様にして、交流増幅
部7bにおいて増幅され全波整流部7cにおいてパルス
列に整流される。そして、この後に比較部7dにおい
て、基準信号Dを超えるパルス数が計数されることにな
る。
【0043】この場合に、500円硬貨は、ギザを有す
る硬貨Cに比べて全体的にパルスの大きさが小さくな
り、しかも、散発的であるので、基準信号Dを超えるパ
ルス数はギザを有する硬貨と比べると圧倒的に少なくな
る。このことは、図4に示す各硬貨Cごとのパルス数の
分布をみると顕著に現われている。すなわち、ギザを有
する硬貨Cの生じるパルス数はギザを有しない500円
硬貨のパルス数よりも多くなっている。また、本実施例
では、信号レベルの小さい領域Pにおける検出信号X・
Yの規則性を顕在化させ、その情報をも判別に利用する
こととした結果、ギザの間隔が狭い1チャット硬貨の方
が500ウォン硬貨よりも多くのパルスを生じるように
なっている。
【0044】これにより、ギザを有しない硬貨Cとギザ
を有する硬貨Cの分布域が明確に分離され、その間に基
準信号Dを配することとすれば、確実に両硬貨Cを峻別
することができる。しかも、その基準信号Dの選定も容
易に行うことができる。
【0045】したがって、本実施例の硬貨判別装置1に
よれば、光学系の高精度化や、レーザによるスリット光
の使用等のコストの高い手段によることなく、簡易な装
置によって確実な硬貨Cの判別を実施することができ
る。また、硬貨Cの外周面における隣接する領域A・B
についての反射光を検出し、それらの差に基づいて硬貨
Cの種別を判定することとしたので、硬貨Cが円形であ
ることによる検出信号X・Yの変化を消滅させて、硬貨
Cの外周面の周方向に沿う形状変化のみを抽出すること
ができる。その結果、外周面の形状の異なる硬貨C、例
えば、500円硬貨および500ウォン硬貨を明確に判
別することができる。
【0046】さらに、本実施例の硬貨判別装置1は、隣
接配置される受光部4a・4bからの検出信号X・Yの
信号レベルをレベル設定手段6によって異ならせた状態
で差動増幅することとしているので、受光部4a・4b
による検出信号X・Yの信号レベルの高い領域Qから低
い領域Pまでの広い範囲に亙って硬貨Cの外周面の形状
を顕在化させることができる。その結果、ギザを有する
硬貨Cを、ギザの幅の大小に関わらず、ギザを有しない
500円硬貨から確実に峻別することができる。
【0047】なお、本実施例の硬貨判別装置1は、硬貨
Cの外周面が平滑であるか否かによって硬貨Cの種別を
判別するものであるので、外周面の凹凸が同等の異種硬
貨については適用することができない。この場合には、
硬貨Cの外形寸法を判別する等の他の判別装置と併用す
ることにより、このような硬貨Cをも含む種別の判別を
確実に実施することが可能となる。
【0048】次に、本発明に係る硬貨判別装置の他の実
施例について図5および図6を参照して説明する。本実
施例の硬貨判別装置10は、レベル設定手段11におい
て、上記第1実施例と相違している。
【0049】本実施例のレベル設定手段11は、一の検
出信号Yに一定のバイアスをかけることにより、その信
号レベルを他の検出信号Xの信号レベルに対して全体的
に高くするものである。これによれば、図5に示すよう
に、検出信号Yは、検出信号Xよりもバイアス値bだけ
バイアスをかけられることにより、信号レベルの低い領
域において、その極小値が検出信号Xの極大値と同等の
値になるように設定される。
【0050】そして、このように信号レベルの異ならさ
れた2つの検出信号X・Yの差値は、図6に示すように
なり、上記第1実施例と同様に、信号レベルの低い領域
Pにおける検出信号X・Yの規則性が顕在化させられる
ことになる。したがって、本実施例に係る硬貨判別装置
10によっても、受光部4a・4bによる検出信号X・
Yの信号レベルが比較的低くなる狭い幅のギザを有する
1チャット硬貨等によって発生されるパルス数を増大さ
せることが可能となり、ギザを有しない500円硬貨か
ら確実に峻別することができる。
【0051】なお、上記実施例において、2つの受光部
4a・4bによって検出された2種の検出信号X・Yの
うち一の検出信号X(またはY)について信号レベルを
変えることとしたが、両方とも変えることとしてもよ
い。また、一の検出信号X(またはY)の極小値と他の
検出信号Y(またはX)の極大値とが概略一致するよう
に信号レベルを変化させることとしたが、判別されるべ
き硬貨のギザの幅が不確実である点に鑑みれば、これに
限定されるものではないことは言うまでもない。しか
し、予想される信号レベルの平均的な状態として、上記
のように設定することとすれば、所期の効果を得ること
ができる。
【0052】また、検出信号X・Yの増幅率を異ならせ
る第1の方法と、バイアスをかける第2の方法とを併用
することとしてもよい。さらに、2箇所の受光部4a・
4bによって2種の検出信号X・Yを出力する方法に代
えて、1つの受光部4aによって検出した1種の検出信
号Xから適当な位相だけ遅らせた他の信号X’を発生さ
せ、これらによって上記判別を行うこととしてもよい。
但し、上記実施例における硬貨判別装置1・10によれ
ば、より簡易な構成によって確実にギザを有する全ての
硬貨Cを500円硬貨から峻別することができるので望
ましい。
【0053】また、レベル設定手段6として、差動増幅
部6aの入力側の抵抗値を変化させ、一の検出信号Xの
信号レベルに倍率k(k<1)をかけて小さくすること
としたが、これに代えて、オペアンプ等によって構成し
た他の増幅器を採用することとしてもよい。この場合に
は、倍率k(k>1)をかけて一の検出信号Xを大きく
設定することとしてもよい。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る硬貨
判別装置は、硬貨搬送路を搬送されてくる硬貨の外周面
に向けて移動方向に交差する半径方向から光を照射する
発光手段と、硬貨の外周面からの反射光を硬貨の移動方
向に隣接する2箇所の受光部において受光する受光手段
と、各受光部による検出信号の信号レベルを異ならせる
レベル設定手段と、信号レベルを異ならされた2種の検
出信号の差に基づいて硬貨の種別を判断する判別手段と
を具備しているので、信号レベルの低い検出信号を生ず
るようなギザの幅の狭い硬貨についても、その検出信号
に内在する信号は形の規則性を顕在化させて、ギザのな
い硬貨から確実に峻別することができるという効果を奏
する。
【0055】また、上記硬貨判別装置において、レベル
設定手段が2種の検出信号をそれぞれ異なる増幅率で増
幅する増幅手段を具備する構成とすれば、上記効果を簡
易な構成によって達成することができ、製品コストを低
減することができるという効果を奏する。また、レベル
設定手段が2箇所の受光部により検出された2種の検出
信号のうちの一の検出信号に、他の検出信号に対してバ
イアスをかけるバイアス設定手段を具備する構成として
も、上記効果を達成することができる。
【0056】さらに、2箇所の受光部により検出された
2種の検出信号のうちの一の信号の極大値が他の信号の
極小値近傍に配されるように信号レベルを設定すること
とすれば、規則的に変化する検出信号の規則性を顕在化
させて、信号レベルの低い広範な領域から判別に利用し
得る情報を最大限に抽出することができ、判別の確実性
をさらに向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬貨判別装置の一実施例を示す概
略図である。
【図2】図1の硬貨判別装置のレベル設定手段から出力
される検出信号を示す図である。
【図3】図2の検出信号の差値を示す図である。
【図4】図1の硬貨判別装置によって発生される各硬貨
のパルス数の分布を示す図である。
【図5】本発明に係る硬貨判別装置の他の実施例におけ
るレベル設定手段からの検出信号を示す図である。
【図6】図5の検出信号の差値を示す図である。
【図7】従来の硬貨判別装置による500円硬貨の検出
信号を示す図である。
【図8】従来の硬貨判別装置による500ウォン硬貨の
検出信号を示す図である。
【図9】硬貨の移動方向に隣接する2箇所の受光部を有
する硬貨判別装置による検出信号を示す図である。
【図10】図9の検出信号の差値を示す図である。
【図11】外周面にギザを有する各硬貨のギザの形状を
示す側面図である。
【図12】図9の硬貨判別装置によって発生される各硬
貨のパルス数の分布を示す図である。
【符号の説明】
C 硬貨 1 硬貨判別装置 2 硬貨搬送路 3 光源(発光手段) 4 受光センサ(受光手段) 4a・4b 受光部 6 レベル設定手段 7 判別手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬貨を半径方向に移動させる硬貨搬送路
    に設けられ、 該硬貨搬送路を搬送されてくる硬貨の外周面に向けて移
    動方向に交差する半径方向から光を照射する発光手段
    と、 該発光手段により照射された光のうち硬貨の外周面によ
    って反射させられる反射光を、硬貨の移動方向に隣接す
    る2箇所の受光部において受光する受光手段と、 各受光部による検出信号の信号レベルを異ならせるレベ
    ル設定手段と、 信号レベルを異ならされた2種の検出信号の差に基づい
    て硬貨の種別を判断する判別手段とを具備していること
    を特徴とする硬貨判別装置。
  2. 【請求項2】 レベル設定手段が、2箇所の受光部によ
    り検出された2種の検出信号をそれぞれ異なる増幅率で
    増幅する増幅手段を具備することを特徴とする請求項1
    記載の硬貨判別装置。
  3. 【請求項3】 レベル設定手段が、2箇所の受光部によ
    り検出された2種の検出信号のうちの一の検出信号に、
    他の検出信号に対してバイアスをかけるバイアス設定手
    段を具備することを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の硬貨判別装置。
  4. 【請求項4】 2箇所の受光部により検出された2種の
    検出信号のうちの一の信号の極大値が他の信号の極小値
    近傍に配されるように信号レベルを設定することを特徴
    とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の硬貨判
    別装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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