JPH08221758A - 記録再生方法 - Google Patents

記録再生方法

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JPH08221758A
JPH08221758A JP2373995A JP2373995A JPH08221758A JP H08221758 A JPH08221758 A JP H08221758A JP 2373995 A JP2373995 A JP 2373995A JP 2373995 A JP2373995 A JP 2373995A JP H08221758 A JPH08221758 A JP H08221758A
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JP2373995A
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Hiroyuki Minemura
浩行 峯邑
Hisataka Sugiyama
久貴 杉山
Tetsuya Fushimi
哲也 伏見
Jiichi Miyamoto
治一 宮本
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光ディスクの再生信号のS/N比を増加し、
記録密度を高める光ディスク装置を提供する。 【構成】 光ディスク媒体のデータの検出点に合わせて
パルス状の再生光102,103,104を照射して、
データの再生をする。これにより、記録膜の温度を上げ
ずに、強い光強度で信号再生が可能になる。また、サー
ボ領域では直流光を照射してPLLからチャネルクロッ
クを生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】光学的に情報を記録し、再生する
装置に係り、特に円板上の媒体に情報を記録再生する光
デイスク装置の高密度化方法、及び媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、製品になっている記録可能な光デ
イスク装置の面密度は約880メガビット/平方インチ
程度であり、使用波長は780nmで対物レンズのNA
は0.55、記録方式はマ−ク長記録であり、サ−ボ方
式は連続サ−ボである。このような方式の詳細はECM
A(ユ−ロピアン・コンピュ−タ・マニファクチャラ・
アソシエ−ション)の規格文書等に記載されている。
【0003】こうした光ディスクの高密度化を実現する
には情報トラックの間隔(トラックピッチ)を狭くし、
かつ光スポット走査方向の情報マークの配列間隔(マ−
クピッチ)を狭くすることが考えられる。光ディスクの
高密度化技術として従来提案されているものとして以下
の3つのものがある。
【0004】(1)2次元等化処理による方法 こうした光ディスクの高密度化を実現するには情報トラ
ックの間隔(トラックピッチ)を狭くし、かつ光スポッ
ト走査方向の情報マークの配列間隔(マ−クピッチ)を
狭くすることが考えられる。このとき、再生すべき情報
マークの信号に周囲の情報マ−クの信号が二次元的に漏
れ込むという問題が解決する手段として、情報の漏れ込
み成分をキャンセルするための二次元等化処理方式(特
開平02−257474号公報)がある。この方法で
は、目的のトラックiに対して、トラックiー1及びト
ラックi+1から再生信号に基づき、クロストークと符
号間干渉を低減することにより、高密度に情報を記録す
る。
【0005】(2)多値記録による方法 また、光情報記録媒体の記録密度を向上する別の方法と
して、多値のデータに対応させて記録マークの大きさを
変化させ記録再生する多値記録再生方式(特開昭63−
302426号公報)がある。この従来方式では、記録
マークの面積を変化させて情報を記録するので、一定寸
法の記録要素に多ビットの記録が可能となる。これによ
り、再生時のスポット径を小さくしたり、マークピッチ
やトラックピッチを小さくしなくても高密度記録再生が
可能となる。
【0006】(3)非線形光学材料層を付加することに
よる方法 また、光情報記録媒体に微少なマークを記録する技術と
して、フォトクロミック材料等の過飽和吸収層を利用し
て、光スポットの中で光強度の強い領域だけ記録層にマ
ークを形成する技術(特開平6−111330号公報)
がある。この従来方式では、再生光のピーク強度が記録
光のピーク強度と略同一に設定する。再生光をパルス化
してそのデューティ比を変えることにより、再生光の平
均強度を記録光の平均強度より小さくする。フォトクロ
ミック材料層の非線形光学効果により、記録層上の光ス
ポットを小さくできる。光のピーク強度が同じなので、
記録時と再生時との光スポット径を同一にすることこと
ができる。そこで、光スポットよりも小さな記録マーク
での情報の記録と再生が可能になる。非線形光学材料と
しては、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等の有
機化合物が開示されている。
【0007】(4)超解像による方法 光ディスクの円周方向の分解能を向上させる技術の1つ
として相変化超解像技術("A High Density Read-only
Optical Disk System using Super Resolutionwith an
SHG Green Laser", Ono, K. Yasuda, A. Fukumoto, and
M. Kaneko: Proc. Symposium on Optical Memory (SO
M) 1994, pp. 25.)がある。これは相変化記録膜が溶融
状態で光学定数が変化することを利用して、光スポット
のうち溶融状態の領域をアパーチャにして、その部分の
信号を再生する技術である。光ディスク媒体上に一定パ
ワーの光スポットを走査すると、媒体上の温度分布はス
ポット後方に温度が高いひずんだ広がりの分布となる。
従って、溶融状態のアパーチャも光スポット後方にひず
んだ形状になり、対象形状の記録マークを再生しても、
その信号は時間軸方向に非対称なものになってしまう。
また、相変化膜では溶融と冷却を繰り返すと、相変化膜
に働く応力のアンバランス等により材料の流動が発生
し、膜厚変化が起こるということがよく知られている。
これは相変化超解像技術を応用した光ディスクの場合に
は再生可能回数が1万回程度に制限されることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の記録再生方
式のうち(1)、(2)に関してはでは基本的に信号処
理によって記録密度の向上を実現しており、信号処理す
る前の再生信号自体の品質が向上しているわけではな
い。そのため、高密度化の限界は再生信号に含まれる信
号成分とノイズ成分の比(S/N比)によって決定され
る。逆に言えば、従来の方式を用いても再生信号のS/
N比を向上すればマークピッチとトラックピッチを小さ
くして記録密度を高めることができる。信号成分は光デ
ィスク媒体の信号変調度および再生に用いる光スポット
の大きさとパワーから主に定まる。ノイズ成分としては
光ディスク媒体のリターデーションや案内溝等の基板構
造、もしくは記録膜の不均一性等から生じるディスクノ
イズ、光学系と再生回路系としては光検出器のショット
ノイズ、回路系の電気的なノイズ、及び半導体レーザの
発振状態の変動から生じるレーザノイズによって主に定
まる。光ディスク媒体のノイズを小さくし、変調度を大
きくするには自ずと限界があるため、上記従来の技術を
用いても高密度化に限界があった。
【0009】また、上記従来技術のうち(3)に関して
は、従来の光ディスク媒体に対して非線形光学材料層を
新たに付加する必要があるため、光ディスク媒体の構造
が複雑になるという問題がある。この技術で用いられる
非線形光学材料層としては、フタロシアニン系、ナフタ
ロシアニン系等の有機化合物である。現在知られている
光磁気ディスクや相変化光ディスク等が、全て無機材料
層から構成され、インラインスパッタリングによって同
一プロセスで生産できるのに対して、こうした有機化合
物の非線形光学材料層を新たに付加するためには、スパ
ッタリングプロセスを中断してスピンコーティング等の
プロセスを導入する必要があり、光ディスク媒体の構造
の複雑化とあいまって、コストの増加を防ぐことができ
ない。
【0010】さらに、上記技術のうち(4)に関して
は、相変化超解像で用いるアパーチャが光スポットに対
して対象な形状とならないため、再生信号に時間軸方向
に非対称性が現われ、線形な信号処理が困難になるとい
う課題がある。さらに、相変化膜の流動によって、再生
可能回数が制限されるという課題があった。
【0011】本発明の目的は上記従来技術の課題に鑑
み、以下の3点を解決した光ディスク記録再生方式及び
媒体を提供することにある。
【0012】(1)光ディスクから再生する信号のS/
N比を向上する記録再生方式を提供する。
【0013】(2)従来広く知られていく光ディスク媒
体の膜構成及び製作プロセスを複雑化することなく高密
度化を図る。
【0014】(3)相変化超解像技術に関しては再生信
号の対象性を改善すると共に、再生可能回数の向上を図
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明では再生クロックに同期して再生光をパル
ス状に変調する。これにより、再生信号のS/N比を向
上することができる。再生信号の信号成分は再生光のパ
ワーに比例して増加するが、ノイズ成分のうち光検出器
のショットノイズ及び回路系の電気的なノイズは再生パ
ワーに依存せず一定のため、再生光のパワーを増加すれ
ばS/N比を向上することができる。ところが、再生パ
ワーを大きくすると光ディスク媒体の情報記録膜の温度
が上昇し、光磁気型の記録膜ではカー回転角の減少が生
じ、さらに再生パワーが大きくなると記録膜の温度がキ
ュリー点に達し情報が消去されてしまう。また、相変化
型の記録膜の場合には再生パワーが大きいと記録膜の温
度が結晶化温度以上となり、記録されたアモルファスの
マークが結晶化して情報が失われてしまう。そこで、本
発明では記録膜の温度を一定温度以上に上昇させずに再
生光出力を増加させるため再生光をデータ点に合わせて
パルス状に照射することで、S/N比を向上させた。
【0016】また、本発明では従来の光ディスク媒体に
新たに層を追加する必要はなく、特に有機非線形光学材
料のようなプロセスの異なる層を導入することはない。
【0017】さらに、本発明を相変化超解像技術に組み
合わせた場合には、直流再生光に比較して温度分布が対
象な形状になるため、再生信号の非対称性を改善するこ
とができた。同時にパルス光によって溶融する領域を小
さくできるため、隣接する検出点間で溶融領域がつなが
らないようにすることによって、相変化膜の流動を防止
することが可能となった。
【0018】
【作用】本発明の記録再生方法に従い、再生光をパルス
状にして検出点に同期して照射することによって、記録
膜の温度上昇を抑制し、大きな光出力での信号再生が可
能になるため、再生信号のS/N比の向上して記録密度
を高めることができる。また、本発明では光ディスク媒
体の構成を複雑化する必要がない。さらに、超解像を利
用した再生では、温度分布を対象な形状に改善すること
ができ、再生可能回数も向上することができる。
【0019】この際、光ディスク媒体に形成されたクロ
ック信号を再生する場合には直流光を照射することで、
チャネルクロックの変動を防止した。さらに、光ディス
ク媒体に付加する金属膜の熱容量を最適化することで、
パルス光による再生時には記録膜の温度上昇を抑制し、
データを記録時には素早く温度上昇するようにして記録
感度の低下を防ぐことを実現した。
【0020】また、本発明ではパルス再生のタイミング
に同期して信号を再生することができる。そこで、記録
信号の変調方式を適切に設定すれば再生系の電気回路の
信号帯域が、直流再生の場合に比較して狭くてすむ。従
って、低周波数量域のディスクノイズをカットすること
ができるので雑音量を低減することが可能である。
【0021】これらの技術の組み合わせによって、直径
130mmの光ディスクの容量を10ギガバイト以上に
することができた。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0023】図1は、孤立した記録マーク101にスポッ
ト100があるデータ検出点を走査したときに得られる、D
C再生102、パルス再生(duty50%,25%)130に対する記録膜
の温度分布とそれぞれの対応する孤立再生信号、すなわ
ち、インパルスレスポンスを示すものである。光磁気デ
ィスクの場合では記録膜の温度と信号成分であるカー回
転角θKは、記録膜の温度の増加とともに低下する。す
なわち、信号振幅が低下することになる。よって、記録
膜の温度が十分低いときに得られる理想信号波形107はD
C再生波形時108のように振幅低下113が生じる。再生光
をパルス状にして、検出点に同期して照射し、信号を再
生することにより、記録膜の温度上昇を防止して理想信
号波形に近い再生を実現することができる。
【0024】図2は本発明のパルス再生方法と、光学系
及び波形等化処理の周波数特性との関係を示している。
以下、NRZ(Non-Return-to -Zero)系の2値記録方式の場
合と、多値記録方式の場合に分けて説明する。実験条件
は波長680nm、開口数0.55、ビットピッチ0.45μmであ
り、記録媒体として光磁気ディスクを用いた。
【0025】(1)NRZ系の場合 図2(a)に示すように、光学系のインパルスレスポンス
特性114をナイキスト特性115に近づけるように等化処理
を施す。パルス再生時には、図2に示すような再生パル
ス周波数fRはビット周波数fcと一致する。ここで、検出
系の信号帯域をカットオフ周波数fo付近で最適化するこ
とで、S/N比を最大にする。この場合、信号帯域をビ
ット周波数よりも高く設定するとノイズの帯域積算値が
増加し、一方、信号帯域を低く設定させるとパルス照射
に対するパルス波高値の低下、すなわち、信号成分の低
下が生じる。これを考慮して、信号帯域を高次のローパ
スフィルタでの設定する。例えば、図1に示すように、
再生パルスのデューティを50%とすると、DC再生時の膜
面温度分布125に対し、低い膜面温度分布126が得られ
る。その結果、得られた再生信号109は、パルス周波数f
Rの基本波成分の正弦波波形が得られ、マーク位置でのD
C再生時の再生信号108に対し、振幅増加111が得られ
た。この結果、S/N比1.5dBの向上が得られた。
【0026】(2)多値記録の場合 例えば、NRZ系の2値符号に対し4値符号を適用する
と、同一密度を達成するためのデータ検出点間隔の周波
数を1/2にすることができるすなわち、図2(b)に示
すように、再生パルス周波数fR’119はNRZ符号を適用し
た場合の再生パルス周波数fR117の1/2に設定でき
る。一方、4値符号のレスポンスは曲線118に示すよう
になる。この場合も、信号帯域としては最大、カットオ
フ周波数fo付近に設定する。このように、再生パルス周
波数fR’119がカットオフ周波数foよりも十分小さいた
め、多少ローパスフィルタの特性がばらついても検出さ
れる再生パルスの再生信号の基本波成分は、完全に劣化
なしに通過する。このため、高域での形状多値レスポン
ス特性118にマッチしたフィルタの最適設計が可能とな
る。また、さらにパルス再生の効果を大きくするため
に、図2に示すようにパルスデューティを小さくするこ
とで記録膜の温度の上昇を抑さえることができる。たと
えば、図1に示すように、デューティ比を25%にすると
膜面温度分布107が得られ、カー回転角の低下をほとん
どなくすことができ、その結果、再生信号波形110が得
られ理想再生波形と同じ振幅増加112が得られる。ただ
し、デューティを50%から変えると基本波周波数だけで
なく高域信号成分を通す必要がある。例えば、デューテ
ィ25%では倍周波数2fR’まで通過させる必要がある。
多値再生の場合、図2(b)に示すように倍周波数2fR’は
カットオフ周波数foよりも低くなるので、デューティを
50%から小さくすることが可能である。この結果、DC再
生に比べて、S/N比を2.5dB向上させることができ
た。
【0027】具体的な4値記録の方式については後述す
る。
【0028】図3は本発明の再生方法を示す1実施例で
ある。本発明では図のように、データの検出点に合わせ
てパルス状の再生光を照射して、データの再生をする。
これにより、記録膜の温度を上げずに、強い光強度で信
号再生が可能になる。サーボ領域のプリピットからデー
タの検出点に対応するチャネルクロックを生成するに
は、よく知られたPLL(フェーズ・ロックト・ルー
プ)を用いる。従って、プリピットの再生信号とチャネ
ルクロックとの間の位相差を検出しやすいように、プリ
ピットの再生は直流光によって行なっている。また、デ
ータ領域に先行してパルス状の再生光を照射しているの
は、余熱のためでありデータ領域始端において、記録膜
の温度条件が他の領域と同一になるように配慮したため
である。余熱に必要なパルスの数は、光ディスクの構成
と線速度によって異なるが、一般的な光磁気ディスクや
相変化光ディスクの場合、線速10m/sで5個程度で十
分であることが分かっている。
【0029】本実施例ではサンプルサーボ方式につい
て、クロックを再生するためにサーボ領域に直流再生光
を照射したが、連続サーボ方式の媒体でも、VFO、Syn
c、及びResync領域を直流再生光で再生すれば同様にし
て本発明を適応することができる。
【0030】以下に、本発明によりS/N比が向上する
理由を説明する。
【0031】光ディスクの信号成分は、記録マークを光
スポットで走査したときに光検出器で検出することがで
きる。光磁気ディスクならば記録膜の磁化の向きをカー
回転角の向きとして再生する。相変化光ディスクならば
記録膜の結晶構造の変化を反射光量の変化として検出す
る。再生専用光ディスクならば基板に形成された凹凸を
回折を利用して反射光量の変化として検出する。どの場
合にも再生される信号成分の大きさは、記録膜の温度変
化が無視できれば再生光の強度に比例する。
【0032】光ディスクのノイズ成分としては、記録マ
ークの大きさの変動やディスク基板の微少凹凸などに起
因するディスクノイズ、光検出器で生じるショットノイ
ズ、アンプノイズを含む回路系ノイズ、及び光源である
半導体レーザの出力変動から生じるレーザノイズにから
なる。一般に低周波数域ではディスクノイズが支配的で
あり、高周波数域ではショットノイズが支配的になる。
S/N比を算出するときのノイズレベルは上記各ノイズ
成分を加えあわせたものである。これらノイズ成分のう
ち再生光の強度に比例して増加するものはディスクノイ
ズだけであり、ショットノイズは再生光強度の平方根に
比例し、回路系ノイズ及びレーザノイズは再生光強度に
依らずほぼ一定と考えることができる。
【0033】以上によって、S/N比は再生光強度が大
きいほど向上することが分かる。ところが、再生光強度
を大きくするとそのエネルギーによって記録膜の温度が
上昇する。図4は光磁気ディスクの記録膜として代表的
なTbFeCo系材料のカー回転角の温度依存性を示すもので
ある。記録膜のカー回転角が温度と共に減少する性質を
有するため、再生光の強度を大きくし過ぎると、信号成
分が減少して逆にS/N比の低下を招いてしまう。同時
に、温度が上昇すると記録膜の磁化が不安定になりディ
スクノイズが増加する。従って、再生時の記録膜の温度
は室温から上昇しないことが望ましい。相変化光ディス
クでも、記録膜が結晶化温度に達すると、データが消去
されてしまうので、再生光強度をある程度以上に大きく
できない。
【0034】従って、S/N比を向上するには記録膜の
温度を上げずに光強度を大きくする必要があることがわ
かる。これは、上に示したようにデータ検出点に合わせ
て再生光をパルス状に照射することによって解決するこ
とができる。
【0035】再生光のパルスのデューティに関しては、
一般的な光磁気ディスクの場合について線速10m/s、
再生光ピークパワー2mW、検出点間隔0.4μmの条件
において、熱計算をした結果を図5に示す。図の結果か
らデューティ50%以下にすれば、直流再生光(デュー
ティ100%)に比較して温度上昇が2/3程度とな
り、3/2倍のピークパワーでパルス再生光を照射でき
るるため、本発明の効果が顕著に現われる。実用上はチ
ャネルクロックを2から4分集したクロックを用いるこ
とが、回路の周波数をあまり高くしないという観点で望
ましく、パルスのデューティーは25〜50%が好まし
いと言える。また、チャネルクロックは光学系のカット
オフ周波数以下に設定する。従って、チャネルクロック
の間隔をT、パルス再生光の照射時間をt、光源の波長
λ、対物レンズの開口数NA、ディスクの回転の線速度
V、としたとき、 (1)t<T/2、好ましくは T/4<t<T/2 (2)λ/(4×NA×V)<T を満たすことが本発明を効果的にする上で必要な条件で
ある。
【0036】実際にサンプルサーボフォーマットの光磁
気ディスクで再生光をパルス化したところS/N比を約
3dB向上することができた。
【0037】本発明は他の高密度化技術と組み合わせる
ことによって、さらに効果が顕著になる。
【0038】光ディスク媒体の構成により再生分解能を
向上させる方法として、上に述べた相変化超解像方式が
ある。図6はこれを模式的に説明したものである。相変
化超解像方式は、相変化膜が固相と溶融相とで光学定数
が変化することを利用して、ディスクの反射率が固相で
はほぼゼロになり、溶融相ではある一定の値となるよう
に光学的な設計をした光ディスク媒体を用いる。この光
ディスク媒体に収束レーザ光を照射すると、光スポット
中で相変化膜が溶融した領域のみからのデータを再生す
ることができ、記録密度を向上することができる。
【0039】ところが、相変化膜は溶融状態おいて固相
と液相の間の体積変化、熱伝導率、比熱の変化、及び温
度分布の非対称性などの原因により、記録膜材料が流
動、もしくは偏析し、特性が変化してしまう。これが、
相変化超解像方式において再生可能回数を制限する要因
となっている。
【0040】図7は本発明によって相変化超解像方式の
再生可能回数の向上を示す結果である。従来の直流光再
生では記録膜の流動等により1000回程度でS/N比
が低下して、再生不能となる。一方、本発明のパルス再
生方式では10万回以上の繰り返しでもS/N比の顕著
な劣化が見られない。この理由を以下に説明する。
【0041】図8はパルス再生時の相変化膜の最高到達
温度の分布を計算した結果である。図に見られるよう
に、パルスのピーク値を適切に選ぶことによって隣接す
る検出点の間で溶融領域がつながることを防ぐことがで
きる。このような条件パルス光を照射した場合、検出点
の間にまたがるような記録膜の流動は発生しない。従っ
て、再生可能回数を飛躍的に向上することができた。
【0042】図9は相変化超解像方式に直流再生光とパ
ルス再生光を適応した場合の信号再生特性の違いを表す
図である。従来の直流再生光の場合には熱のこもりによ
り記録膜の温度分布が走査方向後方に片寄った分布とな
るため、アパーチャが非対称な形状になる。これから得
られる再生信号波形も非対称な形状になり信号処理が困
難になる。一方、パルス光による再生の場合には、熱の
こもりの影響が少ないため、温度分布とアパーチャが対
象な形状に改善することができ、再生信号も線形な信号
処理に適した対象なものにすることができる。
【0043】従来の相変化超解像は再生専用型光ディス
クの分解能を向上する技術として開示されている。ここ
では、記録可能な相変化光ディスクにこの技術を適応す
ることができたので、以下にその内容を述べる。
【0044】図10は記録可能な相変化光ディスクに超
解像膜を付加したものの膜構成を示す図である。ここで
は、記録膜の材料としてGeTe-Sb2Te3を超解像膜の材料
としてGe2Sb2Te5を用い、干渉膜材料としてZnS-SiO2
を、反射膜の材料としてAl-Ti合金を用いた。図に示し
た各層の膜厚は超解像再生を可能にするものの一例であ
る。こうした膜構成は例えばスパッタリングプロセスだ
けで実現できるものである。
【0045】図11は上の光ディスク媒体の記録膜の膜
厚を変化させたときの反射率の変化を計算した結果であ
る。図に見られるように、本膜構成では超解像膜が固相
状態では反射率を1%以下にすることができ、超解像膜
が溶融状態では反射率を30%以上にすることができ、
記録層の状態がアモルファスか結晶かに応じて反射率が
変化する。例えば、記録膜の膜厚を20nmにすることに
よって、相変化超解像再生が可能になる。
【0046】図12は本膜構成において、各層の光吸収
量を超解像膜と記録膜の状態ごとにもとめた結果であ
る。本膜構成では記録膜の光吸収量に比較して常に超解
像層の光吸収量が大きいため、再生時に超解像膜のみを
溶融する超解像再生ができる。同時に超解像膜が固相状
態の場合に比較して溶融状態の方が、記録膜の吸収量が
増加する。従って、光スポットの中心付近で超解像膜が
溶融した領域が情報記録の際にもアパーチャとして作用
し、光スポットに比較して小さな記録マークを安定に形
成することが可能になり、記録密度の向上が実現でき
る。
【0047】図13は本発明を適応するのに好適な多値
記録方式の1実施例である。本実施例では、光ディスク
媒体の予め定められた格子点上にレーザ光照射により記
録マークの大きさを多値のデータに対応させて2種類上
に変化させて記録する。再生は格子点に合わせてパルス
再生光を照射しおこなうことで、再生信号のS/N比を
向上することができる。図13(a)は、2ビット分の
データ”00”、”01”、”10”、”11”をマー
クの大きさを4種類に変化させることで記録する例を示
す。格子点にマークを記録しないことで”00”を記録
し、格子点に径がW1のマークを記録することで”0
1”を記録し、格子点に径がW2のマークを記録するこ
とで”10”を記録し、格子点に径がW3のマークを記
録することで”11”を記録する。情報再生時には、格
子点に記録されたマーク径0〜W3に応じて格子点上で
の信号振幅が変調される。各マーク径0〜W3は、例え
ば、格子点にマークが記録されていない場合には、格子
点上での再生信号振幅は0となり、格子点に径がW1の
マークが記録されている場合には、格子点上での再生信
号振幅は1となり、格子点に径がW2のマークが記録さ
れている場合には、格子点上での再生信号振幅は2とな
り、格子点に径がW3のマークが記録されている場合に
は、格子点上での再生信号振幅は3となるように定めれ
ばよい。このようにすれば、格子点上の再生信号振幅が
0の場合には”00”とし、格子点上の再生信号振幅が
1の場合には”01”とし、格子点上の再生信号振幅が
2の場合には”10”とし、格子点上の再生信号振幅が
3の場合には”11”とすることでもとのデータを再生
できる。但し、本発明による情報記録方式では、光スポ
ット走査方向への格子点間隔(マークピッチ)と隣接ト
ラック方向への格子点間隔(トラックピッチ)は光スポ
ット径よりも小さいので、光スポットが一つのマークを
照射したときに周囲の他のマークの一部も同時に照射す
る。このため、再生すべき情報マークの信号に周囲の情
報マ−クの信号が二次元的に漏れ込み再生の精度を低下
させる。そこで、再生時に信号処理を施し、二次元的な
情報の漏れ込みである隣接トラックからのクロストーク
とスポット走査方向からの符号間干渉を低減する。実際
の光ディスク装置では記録時のスポット形状、記録パワ
ー、記録クロックタイミング、フォーカス、トラッキン
グの変動により記録マーク形状及び位置が変動したり、
再生時の光スポット形状、トラッキング、フォーカス、
サンプリングクロックタイミングの変動によりクロスト
ーク量や符号間干渉量が変動する。本発明における情報
記録再生方式では、これら変動要因が生じた場合でも効
果的にクロストークや符号間干渉を低減するために、光
ディスク装置に光ディスク媒体を装着した状態で最適な
等化係数を学習し、この学習の結果得られた等化係数に
基づき二次元的な等化処理を行なう。具体的な信号処理
の方法、及び学習のアルゴリズムについては、上に述べ
た2次元等化処理方式(特開平02−257474号公
報)をそのまま用いることができる。
【0048】
【発明の効果】本発明では、従来に対して再生信号のS
/N比を効果的に向上するパルス再生方式を考案した。
再生光をパルス化して検出点に合わせて照射することに
よって、記録膜の温度上昇を抑制しつつ大きな光強度で
信号の再生を可能にした。本発明を相変化超解像技術や
多値記録技術に適応することによって、再生可能回数の
増大、アパーチャ形状の対象化、記録時の超解像効果、
S/N比の改善による記録密度の増大が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルス再生方法の原理を示す。
【図2】本発明のパルス再生方法と、光学系及び波形等
化処理の周波数特性との関係を示す。
【図3】本発明の再生方法を示す1実施例である。
【図4】光磁気ディスクの記録膜として代表的なTbFeCo
系材料のカー回転角の温度依存性を示す。
【図5】再生光のパルスのデューティと記録膜の温度分
布の関係を表す。
【図6】相変化超解像方式を模式的な説明図。
【図7】本発明によって相変化超解像方式の再生可能回
数の向上を示す結果。
【図8】パルス再生時の相変化膜の最高到達温度の分布
を計算した結果。
【図9】相変化超解像方式に直流再生光とパルス再生光
を適応した場合の信号再生特性の違いを表す図。
【図10】記録可能な相変化光ディスクに超解像膜を付
加した膜構成を示す。
【図11】本発明の光ディスク媒体の記録膜の膜厚を変
化させたときの反射率の変化を示す。
【図12】本発明の光ディスク媒体の各層の光吸収量を
超解像膜と記録膜の状態ごとにもとめた結果。
【図13】本発明を適応するのに好適な多値記録方式の
1実施例を示す。
【符号の説明】
100 光スポット、101 記録マーク、102〜1
04 再生パルス波形、107〜110 孤立再生信号
波形、111〜113 レスポンスの低下量、125〜
127 記録膜の温度分布。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 治一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ディスク媒体に形成されたクロック信号
    からチャネルクロックを生成し、情報の再生時に該チャ
    ネルクロックに同期して再生光をパルス状に照射する記
    録再生方式において、前記クロック信号を直流再生光で
    再生する記録再生方法。
  2. 【請求項2】光ディスク媒体に形成されたクロック信号
    からチャネルクロックを生成し、情報の再生時に該チャ
    ネルクロックに同期して再生光をパルス状に照射する記
    録再生方式において、再生信号の判別しきい値を2値以
    上にすることを特徴とする記録再生方法。
  3. 【請求項3】光ディスク媒体に形成されたクロック信号
    からチャネルクロックを生成し、情報の再生時に該チャ
    ネルクロックに同期して再生光をパルス状に照射する記
    録再生方式において、前記チャネルクロックの間隔を
    T、前記パルス状に照射する再生光の照射時間をt、光
    源の波長λ、対物レンズの開口数NA、ディスクの回転の
    線速度V、としたとき、 λ/(4×NA×V)<T、かつ t<T/2 を満たすことを特徴とする記録再生方法。
  4. 【請求項4】光ディスク媒体に形成されたクロック信号
    からチャネルクロックを生成し、情報の再生時に該チャ
    ネルクロックに同期して再生光をパルス状に照射する記
    録再生方式において、情報記録時には前記光ディスク媒
    体に形成する情報マークの大きさを2種類以上に変化さ
    せて記録し、再生時には少なくとも2つ以上の光スポッ
    トを用いて前記情報マークを検出した後、信号処理によ
    ってクロストーク及び符号間干渉を低減し、多値データ
    を検出することを特徴とする記録再生方法。
  5. 【請求項5】請求項第1から4項のいずれかに記載の記
    録再生方法であって、10ギガビット/平方インチ以上
    の面密度を実現することを特徴とする記録再生方法。
JP2373995A 1994-03-25 1995-02-13 記録再生方法 Pending JPH08221758A (ja)

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Cited By (5)

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