JPH08219156A - 超電導磁気軸受装置 - Google Patents

超電導磁気軸受装置

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JPH08219156A
JPH08219156A JP7022703A JP2270395A JPH08219156A JP H08219156 A JPH08219156 A JP H08219156A JP 7022703 A JP7022703 A JP 7022703A JP 2270395 A JP2270395 A JP 2270395A JP H08219156 A JPH08219156 A JP H08219156A
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permanent magnet
magnet unit
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bearing
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寛正 福山
Takeshi Takizawa
岳史 滝澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸受隙間の変化に伴う負荷容量の変化を少な
くし、安定した性能を発揮できる構造を得る。 【構成】 それぞれが円環状で同心円上に配置された複
数の永久磁石17a〜17dにより永久磁石ユニット1
6aを構成する。そして、この永久磁石ユニット16a
と超電導体13とを対向させる。一部の永久磁石17
b、17cにより磁束の密度を、これら永久磁石17
b、17cの近傍で高くする。残りの永久磁石17a、
17dから出た磁束は、これら永久磁石17a、17d
から離れた部分にまで達する様にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る超電導磁気軸受装
置は、例えば夜間の余剰電力を運動エネルギに変換して
貯蔵し、昼間にこの運動エネルギを電気エネルギに変換
して取り出す電力貯蔵装置を構成する超電導フライホイ
ール装置等、各種超高速回転機械装置に組み込んだ状態
で使用する。
【0002】
【従来の技術】小規模事業所や一般家庭に設置して夜間
の余剰電力を貯蔵できる装置として、回転軸にモーメン
トの大きなフライホイールを固定すると共に、この回転
軸に発電機兼用モータを組み付けた電力貯蔵装置が研究
されている。この電力貯蔵装置の場合、夜間には上記発
電機兼用モータに余剰電力を供給する事により、上記回
転軸及びフライホイールを回転させ、上記余剰電力を運
動エネルギに変換して、フライホイールの回転運動エネ
ルギとして貯蔵する。そして昼間には、この回転運動エ
ネルギに基づいて、上記発電機兼用モータにより発電
し、電力を取り出して使用する。
【0003】この様なフライホイールを使用した電力貯
蔵装置の効率を高める為には、上記フライホイールを回
転支持する為の軸受装置として、回転抵抗が少なく、し
かも運転に要するエネルギが少ないものを使用する必要
がある。この為従来から、特開平5−248437号公
報に記載されている様に、軸受装置として超電導磁気軸
受装置を使用した電力貯蔵装置が提案されている。図6
は、この公報に記載された、超電導磁気軸受装置を組み
込んだ電力貯蔵装置を示している。
【0004】密閉された真空ハウジング1の中心部に回
転軸2を、鉛直方向に配設している。上記真空ハウジン
グ1の内側には、この回転軸2の周囲を囲む様にして保
持筒3を固定している。そして、この保持筒3の下半部
内周面と上記回転軸2の中間部外周面との間に、それぞ
れが磁性リング4、4と電磁石5、5とから成る能動型
磁気軸受6、6を設けて、上記回転軸2のラジアル方向
に亙る位置決めを図っている。又、上記保持筒3の上半
部内周面と上記回転軸2の上端部との間には、ロータ7
とステータ8とから成る発電機兼用モータ9を設けてい
る。
【0005】又、上記回転軸2の下端部には、回転部材
であるフライホイール10を固定し、このフライホイー
ル10の下面に円環状の永久磁石11を固定している。
この永久磁石11は、軸方向(図6の上下方向)に亙っ
て着磁されており、上記フライホイール10の回転中心
である、上記回転軸2と同心に固定されている。更に、
上記真空ハウジング1の底面には、固定部材を兼ねる冷
却ジャケット12を固定し、この冷却ジャケット12の
上面に設けた超電導体13の上面を、上記永久磁石11
の下面に対向させている。この超電導体13は、上記永
久磁石11と同様に円環状とし、この永久磁石11と同
心に配置する事が望ましい。但し、円環状に造る事が難
しい場合には、それぞれが円板状、円弧状等に造られた
複数の超電導体を、上記永久磁石11と同心の円弧上に
等間隔に配置する。又、上記冷却ジャケット12内に
は、液体窒素等の冷却剤を流通自在とし、上記超電導体
13を超電導状態にできる様にしている。超電導体13
が超電導状態にある場合には、ピン止め効果により、こ
の超電導体13と上記永久磁石11との距離が変化する
事が阻止される。従って、これら超電導体13と永久磁
石11とが、非接触型の超電導スラスト磁気軸受14を
構成する。
【0006】上述の様に構成される従来の電力貯蔵装置
の作用は、次の通りである。夜間等に余剰電力を貯蔵す
る際には、発電機兼用モータ9のステータ8に余剰電力
を供給する事で、前記回転軸2及びフライホイール10
を回転させる。この際、前記能動型磁気軸受6により、
回転軸2のラジアル方向に亙る位置決めを図ると共に、
冷却ジャケット12内に冷却剤を送り込んで、超電導体
13を冷却しておく。超電導体13が冷却され、超電導
状態になると、永久磁石11から出た磁束が超電導体1
3内に拘束される、所謂ピン止め効果により、永久磁石
11が超電導体13に対して軸方向及び半径方向に移動
するのを阻止する力が作用する。この力によって、上記
回転軸2とフライホイール10とに作用する、スラスト
方向の力及びラジアル方向の力が支承される。この様
に、能動型磁気軸受6と超電導スラスト磁気軸受14と
を機能させた状態で、上記回転軸2とフライホイール1
0とは浮上状態で支持される。従って、これら両部材
2、10が回転する事に対する抵抗は極く小さくなる。
【0007】回転軸2とフライホイール10との回転速
度は、上記ステータ8への通電に伴って徐々に上昇する
為、電力を機械的運動エネルギに変換した状態で貯蔵で
きる。回転軸2及びフライホイール10は、真空ハウジ
ング1内に設けられている為、回転する部材の表面と空
気とが摩擦し合う事はなく、一度上昇したフライホイー
ル10の回転速度は、上記発電機兼用モータ9による電
力取り出しを行なわない限り、殆ど低下する事がなくな
る。昼間等、貯蔵したエネルギを取り出して使用する場
合には、上記ステータ8を負荷(電気設備)に接続す
る。この結果、上記フライホイール10の回転運動に基
づいて上記ステータ8に電力が惹起される。
【0008】尚、図示は省略したが、回転軸2のラジア
ル方向の変位を防止する為の、非接触型のラジアル軸受
を、超電導磁気軸受とする事もできる。この場合には、
上記回転軸2の中間部外周面に、前記磁性リング4、4
に代えて直径方向若しくは軸方向に着磁された円環状の
永久磁石を固定すると共に、前記保持筒3の下半部内周
面に、前記電磁石5、5に代えて超電導体を固定する。
又、保持筒3の内部にこの超電導体を冷却する為の冷却
ジャケットを設ける。
【0009】ところで、例えば上述の様に構成され作用
する電力貯蔵装置の電力貯蔵能力を向上させるべく、フ
ライホイール10の重量を大きく(重く)した場合に
は、前記超電導スラスト磁気軸受14の負荷容量を大き
くする必要がある。超電導スラスト磁気軸受14を大型
化せずに負荷容量を大きくする為には、永久磁石11と
超電導体13との間の磁束密度を高くする事が効果があ
る。又、一般的な回転軸に付設する超電導スラスト磁気
軸受の負荷容量を大きくするにも、同様の考慮が必要で
ある。この為従来から、図7に示す様な構造により、超
電導スラスト磁気軸受14の負荷容量を大きくする事が
考えられている。
【0010】この図7に示した従来構造の場合、回転軸
2の中間部外周面に固設したフランジ15の下面に、円
環状の永久磁石ユニット16を固定している。この永久
磁石ユニット16は、それぞれが円環状に形成されて軸
方向(図7の上下方向)に亙り着磁され、且つ同心円上
に配置された4個の永久磁石17a〜17dを備える。
これら4個の永久磁石17a〜17dのうち、直径方向
外半部で隣り合う2個の永久磁石17a、17bの着磁
方向は互いに逆方向とし、直径方向内半部で隣り合う2
個の永久磁石17c、17dの着磁方向は互いに逆方向
としている。又、中間部2個の永久磁石17b、17c
同士の着磁方向は互いに同じとしている。そして、上記
外半部2個の永久磁石17a、17bの上端面同士、並
びに上記内半部2個の永久磁石17c、17dの上端面
同士を、それぞれ透磁リング18a、18bにより互い
に磁気的に連結している。
【0011】これら各透磁リング18a、18bは、鋼
板等、透磁率の大きな材料により円輪状に形成されてい
る。従って上記外半部2個の永久磁石17a、17bの
上端面同士、並びに上記内半部2個の永久磁石17c、
17dの上端面同士の間で磁束が効率良く流れる。これ
に伴って、上記外半部2個の永久磁石17a、17bの
下端面同士の間、並びに内半部2個の永久磁石17c、
17dの下端面同士の間にも、十分に高密度の磁束が流
れる。この為、上記永久磁石ユニット16の下面と超電
導体13の上面との間に存在する磁束の密度を十分に高
くして、これら両部材16、13により構成される超電
導スラスト磁気軸受14の負荷容量を大きくできる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】図7に示す様な永久磁
石ユニット16を含んで構成される超電導スラスト磁気
軸受14の場合には、この永久磁石ユニット16の下面
と超電導体13の上面との距離を十分に小さくすれば、
十分に大きな負荷容量を得られる。これに対して、上記
永久磁石ユニット16の下面と超電導体13の上面との
距離が大きくなると、超電導スラスト磁気軸受14の負
荷容量及び軸受剛性が極端に小さくなる。この理由に就
いて、図8〜9により説明する。
【0013】外半部2個の永久磁石17a、17bの上
端面同士、並びに上記内半部2個の永久磁石17c、1
7dの上端面同士の間に透磁リング18a、18bを掛
け渡す事で、これら各永久磁石17a〜17dの下面側
に存在する磁束の密度は高くなる。ところが、これらの
磁束は上記各永久磁石17a〜17dの下面直下に多く
存在し、下面から離れた部分に存在する磁束の密度は極
端に低下する。従って、図8(A)に示す様に、この永
久磁石ユニット16の下面と超電導体13の上面との距
離を十分に小さくすれば、この超電導体13内に入り込
む磁束の量を多くして、上記超電導スラスト磁気軸受1
4の負荷容量を十分に大きくできる。即ち、超電導体1
3が内部に入り込んだ磁束を捕捉したままとする、所謂
ピン止め効果に基づいて上記永久磁石ユニット16を浮
上させたまま支持する力の大きさは、上記超電導体13
の内部に入り込んだ磁束の量に凡そ比例する。従って、
図8(A)の状態では、上記超電導スラスト磁気軸受1
4の負荷容量及び軸受剛性が十分に大きくなる。
【0014】これに対して、同図(B)に示す様に、上
記永久磁石ユニット16の下面と超電導体13の上面と
の距離が大きくなると、超電導スラスト磁気軸受14の
負荷容量及び軸受剛性が極端に小さくなる。即ち、この
状態では、上記各永久磁石17a〜17dの下面直下に
多く存在する磁束が上記超電導体13内にあまり入り込
まず、上記超電導スラスト磁気軸受14の負荷容量及び
軸受剛性が小さくなる。
【0015】図9は、図7に示す様な構造に於いて、永
久磁石ユニット16の下面からの距離が磁束密度分布に
及ぼす影響を示している。この図9の実線aは、上記永
久磁石ユニット16の下面からの距離(軸受隙間)が5
mmの場合の磁束密度分布を、破線bは同じく20mmの場
合の磁束密度分布を、それぞれ示している。尚、永久磁
石ユニット16の下面と超電導体13の上面とが対向す
る軸受部は、図9の直線イ、ロの間に存在する。この図
9からも明らかな通り、図7に示した従来構造の場合に
は、軸受隙間が大きくなると、軸受容量及び軸受剛性が
極端に低下する。電力貯蔵装置等、超電導スラスト磁気
軸受を組み込んだ機械装置を運転する際には、上記軸受
隙間がばらつく事も考えられる為、軸受隙間の大きさに
よって負荷容量及び軸受剛性が極端に変化する事は好ま
しくない。
【0016】永久磁石ユニット16を構成する総ての永
久磁石17a〜17dの着磁方向を同じにし、且つ透磁
リング18a、18bを省略すれば、磁束の到達距離が
大きくなって、軸受隙間の変化に基づく負荷容量及び軸
受剛性の変化を小さくできる。但し、この様にすると、
磁束の到達距離が長くなり過ぎて、永久磁石ユニット1
6近傍の磁束密度が低くなり、負荷容量及び軸受剛性の
絶対値が低くなる為、やはり好ましくない。本発明の超
電導磁気軸受装置は、この様な事情に鑑みて発明したも
のである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の超電導磁気軸受
装置は何れも、回転部材と、この回転部材の一部に、こ
の回転部材の回転中心と同心に固定された円環状の永久
磁石ユニットと、上記回転部材と軸方向に対向して設け
られた固定部材と、この固定部材の一部に、上記永久磁
石ユニットと対向した状態で支持された超電導体とを備
える。
【0018】特に、請求項1に記載した超電導磁気軸受
装置は、次の(1) 〜(3) の要件を満たす。 (1) 上記永久磁石ユニットは、それぞれが円環状に形成
されて軸方向に亙り着磁され、且つ同心円上に配置され
た4個以上の永久磁石を備える。 (2) 直径方向中間部で隣り合う2個の永久磁石の着磁方
向は互いに逆方向であり、これら中間部2個の永久磁石
の軸方向両端面のうち、上記超電導体と反対側端面同士
は第一の透磁リングにより互いに磁気的に連結されてい
る。 (3) 直径方向両端部に配置された永久磁石の着磁方向
は、上記直径方向中間部で隣り合う2個の永久磁石のう
ちで隣接する永久磁石の着磁方向と同じとし、これら両
端部2個の永久磁石の軸方向両端面のうち、上記超電導
体と反対側端面同士は第二の透磁リングにより互いに磁
気的に連結されている。
【0019】又、請求項2に記載した超電導磁気軸受装
置は、次の(4) 〜(6) の要件を満たす。 (4) 上記永久磁石ユニットは、それぞれが円環状に形成
されて軸方向に亙り着磁され、且つ同心円上に配置され
た3個以上の永久磁石を備える。 (5) 上記3個以上の永久磁石のうちで隣り合う2個が1
組となる少なくとも1組の永久磁石の着磁方向は互いに
逆方向であり、これら少なくとも1組の永久磁石の軸方
向両端面のうち、上記超電導体と反対側端面同士は透磁
リングにより互いに磁気的に連結されている。 (6) 上記3個以上の永久磁石のうちで上記少なくとも1
組の永久磁石以外の永久磁石の着磁方向は、上記少なく
とも1組の永久磁石を構成する永久磁石のうちで隣接す
る永久磁石の着磁方向と同じとし、上記少なくとも1組
の永久磁石以外の永久磁石には透磁リングを設けない。
【0020】
【作用】上述の様に構成される本発明の超電導磁気軸受
装置が、回転部材を浮上状態に支持し、この回転部材の
回転抵抗を極く小さく抑える際の作用自体は、前述の従
来から知られた電力貯蔵装置等に組み込まれた超電導磁
気軸受装置と同様である。特に、本発明の超電導磁気軸
受装置の場合には、超電導体と対向する側では、永久磁
石ユニットの軸方向端面近傍に十分に高密度の磁束が存
在するだけでなく、この軸方向端面から離れた部分にも
或る程度の磁束が存在する。この為、負荷容量及び軸受
剛性の絶対値を確保しつつ、永久磁石ユニットと超電導
体との距離が離れた場合にも、軸受の負荷容量及び軸受
剛性が極端に低下する事がない。
【0021】
【実施例】図1は、請求項1に対応する、本発明の第一
実施例を示している。回転軸2の中間部外周面に固定さ
れてこの回転軸2と共に回転部材を構成するフランジ1
5の下面には、円環状の永久磁石ユニット16aを、上
記回転軸2の回転中心と同心に固定している。上記回転
軸2は、固定部材である軸受ハウジング19の中心孔2
0を、鉛直方向に挿通している。そして、この軸受ハウ
ジング19の上面に円環状の超電導体13を、その上面
を上記永久磁石ユニット16aの下面と対向させた状態
で支持している。図示は省略したが、上記軸受ハウジン
グ19内には冷却ジャケットを設けて、上記超電導体1
3を超電導状態となる温度にまで冷却自在としている。
【0022】上記永久磁石ユニット16は、それぞれが
円環状に形成されて軸方向(図1〜2の上下方向)に亙
り着磁され、且つ同心円上に配置された4個の永久磁石
17a〜17dを備える。これら4個の永久磁石17a
〜17dのうち、直径方向中間部で隣り合う2個の永久
磁石17b、17cの着磁方向は互いに逆方向としてい
る。そして、これら中間部2個の永久磁石17b、17
cの上端面同士を、鋼板等の透磁性材料により円輪状に
造られた第一の透磁リング21により、互いに磁気的に
連結している。
【0023】一方、上記4個の永久磁石17a〜17d
のうち、直径方向両端部に配置された2個の永久磁石1
7a、17dの着磁方向は、上記直径方向中間部で隣り
合う2個の永久磁石17b、17cのうちで隣接する永
久磁石の着磁方向と同じとしている。即ち、直径方向外
端部の永久磁石17aの着磁方向は、外側から2番目の
永久磁石17bの着磁方向と同じとし、直径方向内端部
の永久磁石17dの着磁方向は、内側から2番目の永久
磁石17cの着磁方向と同じとしている。そして、これ
ら両端部2個の永久磁石17a、17dの上端面同士
を、やはり鋼板等の透磁性材料により円輪状に造られ
た、第二の透磁リング22により互いに磁気的に連結し
ている。尚、この第二の透磁リング22と上記第一の透
磁リング21とは、互いに接触しない様に隙間を持たせ
て配置している。
【0024】上述の様に構成される本発明の超電導磁気
軸受装置が、回転軸2を浮上状態に支持し、この回転軸
2の回転抵抗を極く小さく抑える際の作用自体は、前述
の従来から知られた電力貯蔵装置等に組み込まれた超電
導磁気軸受装置と同様である。超電導スラスト磁気軸受
14を作動させる際には、例えば、超電導体13を冷却
せずにこの超電導体13を常電導状態のまま、上記回転
軸2に上昇方向の力を付与し、この超電導体13の上面
と上記永久磁石ユニット16aの下面とを離隔させる。
次いで上記超電導体13を冷却して、この超電導体13
を超電導状態とした後、上記回転軸2に加えていた浮上
方向の力を解除する。この結果この回転軸2は、超電導
体13のピン止め力に基づいて超電導体13と永久磁石
ユニット16aとの間に働く力により、浮上状態に支持
される。
【0025】特に、本発明の超電導磁気軸受装置の場合
には、超電導体13の上面と対向する永久磁石ユニット
16aの下面側では、この永久磁石ユニット16aを構
成する4個の永久磁石17a〜17dのうちで直径方向
中間部の永久磁石17b、17cの下端面近傍に十分に
高密度の磁束が存在するだけでなく、直径方向両端部の
永久磁石17a、17dの下端面から離れた部分にも或
る程度の磁束が存在する。この為、上記永久磁石ユニッ
ト16aと超電導体13との距離が離れた場合にも、軸
受の負荷容量及び軸受剛性が極端に低下する事がない。
又、永久磁石ユニット16aの下面近傍に十分に高密度
の磁束が存在する為、超電導スラスト磁気軸受14の負
荷容量及び軸受剛性も十分に大きくできる。
【0026】即ち、図2(A)に示す様に、この永久磁
石ユニット16aの下面と超電導体13の上面との距離
を十分に小さくすれば、この超電導体13内に入り込む
磁束の量を多くして、上記超電導スラスト磁気軸受14
の負荷容量及び軸受剛性を十分に大きくできる。又、同
図(B)に示す様に、上記永久磁石ユニット16aの下
面と超電導体13の上面との距離が大きくなっても、超
電導スラスト磁気軸受14の負荷容量及び軸受剛性が極
端に小さくはならない。即ち、この状態では、上記直径
方向両端部に存在する永久磁石17a、17dの下方に
存在する磁束が上記超電導体13内に入り込み、上記超
電導スラスト磁気軸受14の負荷容量及び軸受剛性を確
保する。
【0027】図3は、図1に示す様な構造に於いて、永
久磁石ユニット16aの下面からの距離が磁束密度分布
に及ぼす影響を示している。この図1の実線aは、上記
永久磁石ユニット16aの下面からの距離(軸受隙間)
が5mmの場合の磁束密度分布を、破線bは同じく20mm
の場合の磁束密度分布を、それぞれ示している。尚、永
久磁石ユニット16aの下面と超電導体13の上面とが
対向する軸受部は、図3の直線イ、ロの間に存在する。
この様な図3の記載を前記図9の記載と参照しつつ見れ
ば明らかな通り、図1に示した本発明の構造の場合に
は、軸受隙間が大きくなっても、軸受容量及び軸受剛性
が極端に低下しない。尚、図3と図9とは、横軸のスケ
ールは同じであるが、縦軸のスケールは異なる(図3の
方が大きな磁束密度を表している)。
【0028】次に、図4は、請求項2に対応する、本発
明の第二実施例を示している。本実施例の場合、フラン
ジ15の下面に固定する永久磁石ユニット16bは、そ
れぞれが円環状に形成されて軸方向に亙り着磁され、且
つ同心円上に配置された5個の永久磁石17a〜17e
を備える。上記5個の永久磁石17a〜17eのうち、
直径方向外側に位置して互いに隣り合う2個の永久磁石
17a、17bが1組となり、直径方向内側に位置して
互いに隣り合う2個の永久磁石17d、17eが1組と
なっている。これら各組の永久磁石17a、17b同
士、永久磁石17d、17e同士の着磁方向は互いに逆
方向としている。又、これら各組を構成する永久磁石1
7b、17dを含め、直径方向中間部に位置する3個の
永久磁石17b、17c、17dの着磁方向は互いに同
じとしている。そして、上記各組の永久磁石17a、1
7b及び17d、17eの上端面同士を、それぞれ透磁
リング18a、18bにより互いに磁気的に連結してい
る。直径方向中央部に位置して組を構成しない永久磁石
17cには透磁リングを設けない。
【0029】本実施例の場合には、組を構成する永久磁
石17a、17b、17d、17eの下面近傍に高密度
の磁束が存在する他、直径方向中央部に位置して組を構
成しない永久磁石17cの磁束が、この永久磁石17c
の下端面から離れた部分にまで存在する。従って、本実
施例の場合も、軸受隙間が大きくなっても、軸受容量及
び軸受剛性が極端に低下しない。
【0030】次に、図5は、やはり請求項2に対応す
る、本発明の第三実施例を示している。本実施例は、永
久磁石ユニット16cを構成する、直径方向両端部に位
置する永久磁石17a、17dの軸方向寸法を中間部に
位置する永久磁石17b、17cの軸方向寸法よりも大
きくしている。又、この直径方向両端部に位置する永久
磁石17a、17d同士の間には透磁リングを設けず、
中間部に位置する永久磁石17b、17c同士の間にの
み、透磁リング18cを設けている。各永久磁石17a
〜17dの着磁方向は、前述した第一実施例と同じであ
る。
【0031】本実施例の場合には、組を構成する永久磁
石17b、17cの下面近傍に高密度の磁束が存在する
他、直径方向両端部に位置して組を構成しない永久磁石
17a、17dの磁束が、これら両永久磁石17a、1
7dの下端面から離れた部分にまで存在する。従って、
本実施例の場合も、軸受隙間が大きくなっても、軸受容
量及び軸受剛性が極端に低下しない。
【0032】尚、本発明の様に永久磁石ユニットを構成
する複数の永久磁石のうちの一部の永久磁石による磁束
密度を着磁方向端面近傍で特に強くし、残りの永久磁石
の磁束を着磁方向端面から離れた部分にまで達する様に
する技術思想は、図示の様な超電導スラスト磁気軸受に
限らず、超電導ラジアル磁気軸受にも適用可能である。
但し、超電導ラジアル磁気軸受の場合には超電導スラス
ト磁気軸受の場合と異なり、運転状況により軸受隙間が
変化する事はない。従って、本発明の技術思想を超電導
ラジアル磁気軸受に適用するメリットは少ない。
【0033】
【発明の効果】本発明の超電導磁気軸受装置は、以上に
述べた通り構成され作用するので、軸受隙間の変化に伴
う負荷容量及び軸受剛性の変化が小さく、安定した性能
を得る事ができる。より具体的には、大きな負荷容量と
軸受剛性とを、広い軸受隙間範囲に亙って維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す断面図。
【図2】本発明の場合の永久磁石ユニットから出る磁束
と超電導体との関係を、軸受隙間が小さい状態と大きい
状態とで示す断面図。
【図3】本発明の構造で軸受隙間が磁束密度分布に及ぼ
す影響を示す線図。
【図4】本発明の第二実施例を示す断面図。
【図5】同第三実施例を示す断面図。
【図6】従来から知られた超電導磁気軸受装置を組み込
んだ電力貯蔵装置を示す縦断面図。
【図7】軸受容量を大きくすべく考えられた従来構造を
示す断面図。
【図8】従来構造の場合の永久磁石ユニットから出る磁
束と超電導体との関係を、軸受隙間が小さい状態と大き
い状態とで示す断面図。
【図9】従来構造で軸受隙間が磁束密度分布に及ぼす影
響を示す線図。
【符号の説明】
1 真空ハウジング 2 回転軸 3 保持筒 4 磁性リング 5 電磁石 6 能動型磁気軸受 7 ロータ 8 ステータ 9 発電機兼用モータ 10 フライホイール 11 永久磁石 12 冷却ジャケット 13 超電導体 14 超電導スラスト磁気軸受 15 フランジ 16、16a、16b、16c 永久磁石ユニット 17a、17b、17c、17d、17e 永久磁石 18a、18b、18c 透磁リング 19 軸受ハウジング 20 中心孔 21 第一の透磁リング 22 第二の透磁リング

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部材と、この回転部材の一部に、こ
    の回転部材の回転中心と同心に固定された円環状の永久
    磁石ユニットと、上記回転部材と軸方向に対向して設け
    られた固定部材と、この固定部材の一部に、上記永久磁
    石ユニットと対向した状態で支持された超電導体とを備
    え、次の(1) 〜(3) の要件を満たす超電導磁気軸受装
    置。 (1) 上記永久磁石ユニットは、それぞれが円環状に形成
    されて軸方向に亙り着磁され、且つ同心円上に配置され
    た4個以上の永久磁石を備える。 (2) 直径方向中間部で隣り合う2個の永久磁石の着磁方
    向は互いに逆方向であり、これら中間部2個の永久磁石
    の軸方向両端面のうち、上記超電導体と反対側端面同士
    は第一の透磁リングにより互いに磁気的に連結されてい
    る。 (3) 直径方向両端部に配置された永久磁石の着磁方向
    は、上記直径方向中間部で隣り合う2個の永久磁石のう
    ちで隣接する永久磁石の着磁方向と同じとし、これら両
    端部2個の永久磁石の軸方向両端面のうち、上記超電導
    体と反対側端面同士は第二の透磁リングにより互いに磁
    気的に連結されている。
  2. 【請求項2】 回転部材と、この回転部材の一部に、こ
    の回転部材の回転中心と同心に固定された円環状の永久
    磁石ユニットと、上記回転部材と軸方向に対向して設け
    られた固定部材と、この固定部材の一部に、上記永久磁
    石ユニットと対向した状態で支持された超電導体とを備
    え、次の(4) 〜(6) の要件を満たす超電導磁気軸受装
    置。 (4) 上記永久磁石ユニットは、それぞれが円環状に形成
    されて軸方向に亙り着磁され、且つ同心円上に配置され
    た3個以上の永久磁石を備える。 (5) 上記3個以上の永久磁石のうちで隣り合う2個が1
    組となる少なくとも1組の永久磁石の着磁方向は互いに
    逆方向であり、これら少なくとも1組の永久磁石の軸方
    向両端面のうち、上記超電導体と反対側端面同士は透磁
    リングにより互いに磁気的に連結されている。 (6) 上記3個以上の永久磁石のうちで上記少なくとも1
    組の永久磁石以外の永久磁石の着磁方向は、上記少なく
    とも1組の永久磁石を構成する永久磁石のうちで隣接す
    る永久磁石の着磁方向と同じとし、上記少なくとも1組
    の永久磁石以外の永久磁石には透磁リングを設けない。
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