JPH08219087A - 電動送風機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速回転化に伴う問題点が確実に抑えられ、
容易に小型軽量化が可能な電動送風機を提供すること。 【構成】 ほぼ円筒状のケーシング６の中心軸位置にス
パイダ７、８により固定軸９を設け、この固定軸９に電
機子１０と軸受１４、１５を設け、これら軸受１４、１
５により、回転子１１を固定軸９に対して回転可能に軸
支させることにより、電機子１０と回転子１１により外
回転子形電動機を形成させ、回転子１１の外側に遠心羽
根ブレード１６と軸流羽根ブレード１７を取付けて送風
機としたもの。 【効果】 回転軸の危険速度を考慮する必要が無くな
り、回転子の遠心力強度を容易に高めることができる
上、構造的に回転部分のバランスが良好に保たれるの
で、定格回転速度の増加による小型化、軽量化を確実に
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軸流形の電動送風機に
係り、特に、冷却用空気の供給に好適な比較的小容量の
電動送風機に関する。

【０００２】

【従来の技術】半導体装置などの発熱部を有する各種の
機器では、冷却用の送風機が用いられているが、このよ
うな比較的小容量の送風機の一種に、図３、図４に示す
ような電動遠心送風機がある。

【０００３】これら図３、図４に示した電動送風機は、
送風機ケーシング１内に２枚の遠心羽根車２ｄ、２ｅを
備えた２段式の送風機で、誘導電動機３により、回転軸
４が回転駆動されることにより、空気吸込口１ａから空
気を吸い込み、矢印〜で示すように、昇圧された空
気を空気排出口１ｂから送り出すようになっている。な
お、３ａは電動機３の電機子(固定子)、３ｂは回転子で
ある。

【０００４】そして、電動機３の回転軸４の他方の端部
には、電動機冷却用の羽根車５が設けてあり、これによ
り、矢印Ａで示すように、冷却風を電動機３の外面に流
し、これにより電動機３の放熱が促進されるようになっ
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、電動
送風機の小型軽量化についての配慮が充分にされている
とは言えず、以下の問題があった。すなわち、このよう
な機器では、その小型軽量化は、常に絶えざる要求であ
るが、このための一方途としては、羽根車の高速回転化
がある。

【０００６】しかるに、従来技術では、図３、図４に示
したように、羽根車２ａ、２ｂが電動機３の回転軸４の
一方の端部に取付けられている、いわゆるオーバーハン
グ形式になっており、このため、回転軸の曲げ危険速度
を高くするのが困難なため、そのままで高速回転速度に
すると、振動が多くなって不安定になり、小型化に限界
があった。

【０００７】一方、従来技術でも、その回転速度を上げ
ても安定に使用できるようにするためには、回転軸の曲
げ危険速度を高くする必要があるが、このためには、例
えば回転軸の径を増加させ、太くする必要があり、小型
軽量化に反する結果となってしまう。

【０００８】従って、従来技術では、市場の要求に充分
に応えることができないという問題があったのである。
本発明の目的は、高速回転化に伴う問題点が確実に抑え
られ、容易に小型軽量化が可能な電動送風機を提供する
ことにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的は、空気吸込口
と空気排出口とを有するほぼ円筒状のケーシング内に遠
心羽根ブレードと軸流羽根ブレードとを備えた電動送風
機において、上記ほぼ円筒状のケーシングの中心軸位置
に配置した固定軸と、上記固定軸に固定された円柱形の
電機子と、上記電機子を取り囲んだ円筒形に作られ、上
記固定軸により回転可能に軸支された回転子とを設け、
上記電機子と回転子により外回転子形電動機を形成さ
せ、上記回転子に上記遠心羽根ブレードと軸流羽根ブレ
ードを取付けることにより、達成される。

【００１０】

【作用】外回転子形電動機では、固定子の外側にある円
筒形の回転子が、固定軸に軸支されて回転する。そし
て、この回転子の外側に遠心羽根ブレードと軸流羽根ブ
レードが取付けられ、回転子と一体になって回転し、空
気を吸い込み、昇圧して排出するように働く。従って、
回転軸の危険回転速度は、構造上、問題にならないか
ら、回転速度をかなり上げることができ、高速回転速度
による小型軽量化が充分に得られることになる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明による電動送風機について、図
示した実施例により詳細に説明する。図１は、本発明の
一実施例で、図において、６は送風機ケーシング、７、
８はスパイダ、９は固定軸、１０は電機子(固定子)、１
１は回転子、１２、１３は回転子ブラケット、１４、１
５は軸受、１６は遠心羽根ブレード、１７は軸流羽根ブ
レード、そして１８は電源接続端子部である。

【００１２】ケーシング６は、軸方向の両端部で径が絞
られているほぼ円筒状に作られ、その一方の円筒形の端
部が空気吸込口６ａ、他方の円筒形の端部が空気排出口
６ｂを夫々形成するように作られている。スパイダ７、
８は、それぞれケーシング６の空気吸込口６ａと空気排
出口６ｂの内側に、ケーシング６の中心軸から放射状に
延びた形で、空気吸込口６ａと空気排出口６ｂの内側に
そって複数枚、スポーク状に設けられた板状部材で、固
定軸９をケーシング６の中心軸位置に強固に保持する働
きをする。

【００１３】固定軸９には、電機子１０が嵌合結合によ
り取付けてあり、これにより、電機子１０をケーシング
６の中心位置に保持する働きをする。電機子１０は、外
形がほぼ円柱状の電機子鉄心１０ａと、この鉄心１０ａ
に巻装され電機子巻線１０ｂとで構成され、電機子巻線
１０ｂに３相交流電力が供給されることにより、鉄心１
０ａの外周面に回転磁界を発生させる働きをする。回転
子１１は、電機子鉄心１０ａの外側を囲む円筒形に作ら
れている回転子鉄心１１ａと、この鉄心１１ａに施され
ているかご形巻線(図には表われていない)とで構成され
ている。

【００１４】回転子ブラケット１２、１３は、通常の誘
導電動機のケーシングとブラケットと同様に作られ、ケ
ーシングに相当する円筒部の内側に回転子１１の外周面
が嵌合結合により固定されている。

【００１５】このとき、回転子ブラケット１２と回転子
ブラケット１３は、図示のように、インロー嵌合され、
図示してない鋲螺により締結されている。また、そし
て、ブラケットに相当する部分の中心には、それぞれ軸
受１４、１５が設けられ、これに固定軸９が挿通されて
いる。

【００１６】このとき、これらの軸受１４、１５の外輪
は、回転子ブラケット１２、１３の受け部のシート面に
対しては締代嵌合により装着され、内輪は、固定軸９に
対して緩い嵌合で装着されている。従って、これら回転
子ブラケット１２、１３は、回転子１１と共に、固定軸
９を中心として回転自在に軸支されていることになる。

【００１７】遠心羽根ブレード１６は、空気吸込口６ａ
側にある回転子ブラケット１２の外側に、円周方向にそ
って複数枚、固定軸９に対して放射状をなして設けられ
ている板状の部材で、回転子ブラケット１２が回転され
たとき、遠心ファンとして動作し、矢印で示すよう
に、空気吸込口６ａから空気を取り入れ、円周方向に昇
圧して、矢印で示すように、送り出す働きをする。そ
して、それらの先端部には、ベルマウス形のシュラウド
１６ａが設けてあり、送風効率の向上が得られるように
構成してある。

【００１８】軸流羽根ブレード１７は、回転子ブラケッ
ト１３の円筒部の外周面に、円周方向にそって複数枚、
固定軸９に対して放射状をなして設けられている板状の
部材で、固定軸９に沿った長手方向に対してひねりが設
けてあり、これにより回転子ブラケット１２が回転され
たとき、軸流ファンとして動作し、矢印で示すように
して送りこまれてきた空気をさらに矢印、で示すよ
うに昇圧し、空気排出口６ｂに誘導して外部に送り出す
働きをする。

【００１９】電源接続端子部１８は、図示のように、固
定軸９の一方の端部から他方の端部に向かって延びて形
成されている中空部を通って電機子巻線１０ｂに接続さ
れた電線の端部で、電源接続用の端子として用いられる
ものである。

【００２０】次に、この実施例の動作について説明す
る。上記したように、電機子１０は、スパイダ７、８と
固定軸９により、図示のように、ケーシング６の中心に
固定状態で保持されており、この電機子１０の周囲に回
転子１１が位置している。そして、この回転子１１は、
回転子ブラケット１２、１３を介して、２個の軸受１
４、１５により、固定軸９に回転可能に軸支されてい
る。

【００２１】従って、電機子１０と回転子１１とは、外
回転子形の誘導電動機を形成し、電源接続端子部１８を
介して、外部の電源から３相交流電力が供給されること
により、回転子１１と回転子ブラケット１２、１３さら
には、遠心羽根ブレード１６と軸流羽根ブレード１７も
一体となって固定軸９を中心軸として回転する。

【００２２】この結果、これら遠心羽根ブレード１６と
軸流羽根ブレード１７により、図示の矢印〜で示す
ように、昇圧された空気流が作り出され、送風機として
機能することになる。

【００２３】この実施例では、回転子１１が、電機子１
０の両側にある２個の軸受１４、１５により、固定軸９
に対して軸支されているので、回転子全体のバランスが
良い上、回転軸の危険速度に対する考慮を要せず、且つ
リング状の鉄心からなる回転子１１は遠心力に対しても
充分な強度を示すので、高速回転にも容易に対応でき、
この結果、常用回転速度を高くすることによる風量、風
圧の増加を充分に得ることができる。

【００２４】そして、この結果、この実施例によれば、
同一風量、同一風圧など、同じ性能の場合には、充分に
小型化、軽量化することができる。

【００２５】また、この実施例では、遠心羽根ブレード
１６にシュラウド１６ａが設けてあるので、空気の流れ
に乱れを生じるのが抑えられ、この結果、高い送風効率
を確実に得ることができ、効率向上に伴なう更なる小型
化、軽量化を得ることができる。

【００２６】なお、回転速度を高くするためには、誘導
電動機の極数を小さくするか、電源周波数を高くしてや
れば良いが、このとき、電源周波数を上げるためにはイ
ンバータ装置を用いればよく、これによれば、簡単に、
しかも容易に回転速度を上げることができる。

【００２７】次に、本発明の他の実施例について、図２
により説明する。この図２の実施例において、１９、２
０は、すべり軸受を構成するためのリング状軸受部材で
あり、その他の構成は、図１の実施例と同じである。そ
して、リング状軸受部材１９は、図示のように、回転子
ブラケット１２の端面に設けてあり、他方、リング状軸
受部材２０は、固定軸９に固定されている。

【００２８】次に、この実施例の動作について説明す
る。回転子１１が回転して、遠心羽根ブレード１６と軸
流羽根ブレード１７により空気の昇圧が行なわれ、送風
動作が開始されると、回転子１１に、図２の矢印Ａで示
す軸方向の反力(推力：スラスト)が発生する。

【００２９】しかして、図１の実施例では、この回転子
１１に働く反力は、２個の軸受１４、１５により受ける
ようにしているが、この図２の実施例では、この反力を
リング状軸受部材１９、２０からなるスラスト軸受によ
り、軸受１４、１５とは独立に受けるようにしたもので
ある。

【００３０】なお、この図２の実施例におけるスラスト
軸受としては、スラストボールベアリング又はスラスト
テーパーローラベアリングなどの転がり軸受を用いるよ
うにしてもよい。また、図１の実施例における軸受１
４、１５としても、図示のような普通のボールベアリン
グではなくて、深みぞ形ボールベアリングやテーパーロ
ーラベアリングなど、スラストとラジアルを兼ねたベア
リングを用いるようにしてもよい。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、回転軸の危険速度を考
慮する必要が無くなり、回転子の遠心力強度を容易に高
めることができる上、構造的に回転部分のバランスが良
好に保たれるので、定格回転速度の増加による小型化、
軽量化を確実に得ることができる。

【００３２】また、本発明によれば、誘導電動機で最も
温度が上昇する回転子の外側に空気通路が形成されるの
で、効果的な冷却作用が自動的に得られ、この結果、さ
らに小型化、軽量化が可能になる。また、このとき、軸
受部分も空気通路に位置されるので、軸受の温度上昇も
抑えられ、容易に長寿命化を得ることができる。

【００３３】さらに、本発明によれば、回転部が２個の
軸受間に位置するので、回転系が安定で良好なバランス
構造になることから、高速回転させても振動、騒音が容
易に抑えられ、軸受の負荷荷重が均等になるこのから、
この点からも軸受寿命を延ばすことができる。

【００３４】次に、本発明によれば、遠心ポンプと軸流
ポンプの２種のポンプ作用を用いているので、高速回転
化と相俟って、羽根車の外径が小さくでき、これによっ
ても小型化を得ることができる。

【００３５】加えて、本発明によれば、電動機とポンプ
部分が一体化されているので、コンパクトに作ることが
でき、殆ど電動機と変わらない、ほば円筒形の外形を有
するので、取付の自由度が高く、適用範囲を充分に広げ
ることができ、汎用性を充分に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による電動送風機の一実施例を示す部分
断面による側面図である。

【図２】本発明による電動送風機の他の一実施例を示す
部分断面による側面図である。

【図３】電動送風機の従来例を示す斜視図である。

【図４】電動送風機の従来例を示す部分断面による側面
図である。

【符号の説明】

６ 送風機ケーシング ７、８ スパイダ ９ 固定軸 １０ 電機子(固定子) １１は回転子 １２、１３ 回転子ブラケット １４、１５ 軸受 １６ 遠心羽根ブレード １６ａ シュラウド １７ 軸流羽根ブレード １８ 電源接続端子部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 静 千葉県習志野市東習志野七丁目１番１号 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 長谷川 健吾 千葉県習志野市東習志野七丁目１番１号 日立京葉エンジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気吸込口と空気排出口とを有するほぼ
   円筒状のケーシング内に遠心羽根ブレードと軸流羽根ブ
   レードとを備えた電動送風機において、 上記ほぼ円筒状のケーシングの中心軸位置に配置した固
   定軸と、 上記固定軸に固定された円柱形の電機子と、 上記電機子を取り囲んだ円筒形に作られ、該電機子の両
   側に設けてある軸受により、上記固定軸に対して回転可
   能に軸支された回転子とを設け、 上記電機子と回転子により外回転子形電動機を形成さ
   せ、上記回転子に上記遠心羽根ブレードと軸流羽根ブレ
   ードを取付けたことを特徴とする電動送風機。
2. 【請求項２】 請求項１の発明において、上記軸流羽根
   ブレードが空気吸込口に位置し、その外周部にシュラウ
   ドが設けられていることを特徴とする電動送風機。