JPH0821816A - 電気化学的処理のモニタリング方法 - Google Patents

電気化学的処理のモニタリング方法

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JPH0821816A
JPH0821816A JP15765494A JP15765494A JPH0821816A JP H0821816 A JPH0821816 A JP H0821816A JP 15765494 A JP15765494 A JP 15765494A JP 15765494 A JP15765494 A JP 15765494A JP H0821816 A JPH0821816 A JP H0821816A
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Kiminobu Ashida
公伸 芦田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 コンクリートの表面部に電極を設置し、該電
極を用いてコンクリート内部に電流を印加する処理方法
において、該電極に流れる電流値を検出することを特徴
とする電気化学的処理のモニタリング方法。 【効果】 本発明では、コンクリートに電気化学的処理
を行う場合、電流の短絡箇所を調べることが可能であ
り、その結果、短絡部の再処理ができる。また、初期の
段階で調査すれば、コンクリートの処理が正しく行われ
ているかどうかを判別することができるので、長期間に
わたる処理であっても、安定した処理ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材を内部に含むコン
クリートの電気化学的処理方法の処理中のモニタリング
に関し、特に、コンクリートに対し安定した処理が行わ
れているかどうかを調べる方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】コンクリートは、一般には、
種々の環境に対する抵抗性が強く、また、強アルカリ性
であるので、その内部にある鋼材は、鋼材表面に不動態
被膜を形成して腐食から保護され、そのために、コンク
リート構造物は耐久性のある永久構造物であると考えら
れてきた。しかしながら、この永久構造物と考えられて
きたコンクリート構造物も、中性化や塩害などの原因に
よりその耐久性が低下し、構造物としての寿命に疑問が
投げかけられるようになってきた。このような劣化した
コンクリート構造物を補修する方法として、電気化学的
な手法を用いた補修工法が開示されている(特開平1−
176287号公報、特開平2−302384号公報)。
【0003】これらの方法を用いて、コンクリートの改
質処理を行う場合、処理期間としてかなり長い時間が必
要であり、その処理効果の良否も処理期間が終了するま
でわからない。例えば、コンクリートから塩分を除去す
る方法では、その処理期間の2〜3ヶ月が経過した時点
で、コンクリート中の塩分量を測定する。従って、処理
期間中に、工事の不手際等で処理方法が不良であって
も、そのことが判明するまで2〜3ヶ月の時間が必要で
あった。よって、工事や処理の初期段階で、処理方法の
良否を判断する方法を開発することが重要であった。
【0004】また、コンクリートに電気を流す電気化学
的処理方法において、処理方法が不良になる最大の原因
は、通電する電流の短絡(陽極と陰極との短絡)であ
る。この短絡現象は、コンクリート表面と内部鉄筋との
間に電気を流す場合、電流がコンクリート表面を不均一
に流れることにより、部分的な短絡が発生する。このよ
うな部分的な短絡が発生した場合、短絡している付近の
コンクリートは電気化学的処理が行われるが、それ以外
の大部分のコンクリートは全く処理が行われないことに
なり、しかも、そのことが判明するまでに2〜3ヶ月要
するという課題があった。
【0005】本発明者らは、このような部分的な短絡を
早期に発見することにより、電気化学的処理方法の良否
を初期の段階で判断し、迅速に対応をすることにより、
絶えず安定した処理効果を得られるようにするために種
々の検討と試験を行なった結果、特定の方法を採用する
ことにより、前記課題を解消することが可能となり、本
発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、 (1)コンクリートの表面部に電極を設置し、該電極を
用いてコンクリート内部に電流を印加する処理方法にお
いて、該電極に流れる電流値を検出することを特徴とす
る電気化学的処理のモニタリング方法であり、および
(2)電流供給点からの距離に応じた電流値を検出する
ことにより、処理の判断を行うモニタリング方法であ
る。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。コンクリ
ートの電気化学的処理方法の一例の模式図を図1に示
す。コンクリート1の表面に電解質溶液とその保持材4
を仮設し、さらに、その中に電極3を有するように設置
する。この電極3をプラス極に、鉄筋2をマイナス極に
なるように電源5に接続し、所定の電流値を出力するこ
とにより、電気化学的処理を行う。この場合、電源5か
ら出力される電流値は、処理対象のコンクリート表面に
均一に電流が流れることを前提として、(必要電流密
度)×(コンクリートの表面積)アンペアの電流値が出
力される。従って、コンクリート表面に均一に電流が流
れておれば、コンクリート表面全体に必要量の電流値が
供給されることになるが、不均一に電流が流れておれ
ば、電流値が不足する部分を生じる。
【0008】図2は、電源5から出された電線が電極3
と接続されている状況を示している。通常は、電極3は
いくつかの分電盤6を通して複数箇所の接続点を有して
いる。従って、電極3は複数箇所の接続点を経由して、
電流を供給されているため、電極3内を流れる電流は複
雑な動きをしているので、この状態で電極3内の電流分
布を調べても意味はない。よって、本発明において、電
極3内の電流値の測定時には、図2に示すように電極3
は1つの分電盤6からのみ電流を供給されるようにしな
ければならない。すなわち、2つ目以降の分電盤6から
の供給を一時的にOFFにする必要がある。図2におい
て、2つ目以降の分電盤6を点線で表しているのは、一
時的にOFFにした状態を示している。また、この場
合、分電盤6からの接続点は、電極3の縦横いずれかの
ほぼ直線上になる点であることが好ましい。電極3は1
つの分電盤6からのみ電流を供給されるようにしてか
ら、電極3の長さ、または、幅方向に沿って等間隔(図
2ではL)毎の計測線を通過する電流値を検出すること
により、コンクリートに均一な処理がされているかどう
かがわかる。
【0009】コンクリートに均一な処理がされている場
合、電極3のABba、BCcb、CDdc、DEed、EFfe等に囲まれ
た各部分の面積は等しいから、各部分からコンクリート
表面に流れる電流値もほぼ等しい値となる。従って、1
番目の計測線Aaを通過する電流値、すなわち、分電盤6
から供給される電流値をPとし、ABba、BCcb、CDdc、DE
ed、EFfe等の各部分からコンクリート表面に流れる電流
値をαとすると、2番目の計測線Bbを通過する電流値は
P−α、3番目の計測線Ccを通過する電流値はP−2×
α、4番目の計測線Ddを通過する電流値はP−3×αと
なる。従って、n番目の計測線を通過する電流値をf
(n) とすると、
【数1】 となる。よって、各計測線を通過する電流値がほぼ数1
を満たしていれば、コンクリートがほぼ均一に処理され
ていると判断できる。なお、コンクリートの電気化学的
処理においては、通常コンクリートの表面積当たり1A/
m2の電流を電源より出力しているから、
【数2】 となる。コンクリートの電気化学的処理が順調に行われ
ているかどうかの判断基準としては、数1を変形して、
f(n) −f(n+1) =αn となるαn
【数3】 を満たしておれば、最低限の電気化学的処理が行われて
いると判断して良い。すなわち、コンクリートの表面積
当たり0. 5A/m2以上の電流が電極3からコンクリート
に流れておれば、電気化学的処理が行われる。なお、n
は電極3の長さ方向に計測線の間隔Lで割った値の整数
部分である。
【0010】なお、このような電流値の確認は、電気化
学的処理の開始後、直ちに行うことが好ましいが、相当
時間が経過してから行っても良い。さらに、処理時間の
経過とともに、繰り返し確認をすることが、一層好まし
い。また、このような確認を行った時点で、数3を満た
さない箇所が発見された場合、その電極3のいずれかの
場所から余分に電流が流れている。その部分は、通常電
極3のαn の大きな部分であると考えることができる。
従って、電極3自身を取り替えるか、または、そのαn
の大きな部分のみを付け替えて、下地処理を再度行うこ
とにより電気化学的処理を順調に行うことができる。
【0011】本発明の(1)による計測線を通過する電
流値f(n) をY軸に、分電盤6と電極3との接続位置か
らの距離をX軸にして、電流値をプロットする、および
/または、それらの点を線で結ぶ。なお、電流値f(n)
をX軸、距離をY軸としてもかまわない。
【0012】図3は、電流値をプロットし、それらを結
んだ線が理想的な処理が行われている場合を示してい
る。図4は、計測線のBbとCc間で電流値が大きく減少し
ており、α2 が他の部分と較べて大変大きいことがわか
る。その結果、電流値は計測線Eeまでしか届かず、電極
3のEFfeの部分には電流が流れていないことが判別でき
る。よって、電極3のBCcb部分を調べ、電流値が余分に
流れる原因を除去すれば、点線で示したように電極3の
EFfeの部分にも必要な電流を供給できることが容易にわ
かる。図5は、計測線のCcとDd間で電流値が急激に減少
しており、α3 が大変大きいことがわかる。この状態で
は、計測線Ddから先には必要な電流が流れていない。
従って、図4と同様に電極3のCDdc部分を調べ、短絡の
原因を除去すれば、計測線Ddから先に必要な電流量を供
給することができる。
【0013】なお、電流供給点からの距離に応じた電流
値を検出する第2発明においては、電極3の計測線の区
間を等距離に限定する必要はなく、計測区間の長さが異
なっていても良い。最後に、本発明を分かりやすく説明
するために、図2から図5において、分電盤6からの電
極3への接続位置を計測線Aaとしたが、接続位置が電極
3の端部に限定されるわけではなく、計測線Bb、Cc等ど
の位置であっても差し支えなく、本説明と同様の方法に
て短絡箇所を調べることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例には限定されるものではな
い。 実施例1 高さ1. 5m、長さ20m、厚さ30cmの鉄筋コンクリ
ートの壁を用いて電気化学的処理を行った。この壁のコ
ンクリートは、海砂を使用していたために、コンクリー
ト内に多量の塩分が存在し、その結果として、鉄筋の腐
食が発生していた。よって、電気化学的処理の1つであ
る脱塩処理を行った。
【0015】図1に示すように、電解質溶液とその保持
材4には、飽和水酸化カルシウム水溶液、および、セル
ロースファイバーを、電極3には、幅1. 2mで長さ2
0mのチタンメッシュを用いて、鉄筋2との間に直流電
流を流した。チタンメッシュには、2m間隔に電線で分
電盤6と接続し、電流を供給した。通電開始翌日、一番
端の分電盤のみをON、他をOFFとして、チタンメッ
シュに流れる電流値を端部から50cm間隔にて測定し
た。距離をX軸、電流値をY軸として、XYグラフにプ
ロットしたところ、端部から11. 5mまでは電流値が
ほぼ一定の値で減少し、チタンメッシュからコンクリー
トへとほぼ一定の割合の電流が流れ、脱塩処理が行えて
いることがわかった。
【0016】しかし、12mの位置で電流が大幅に低下
し、12mから先にはほとんど流れていないことが判明
した。これは、11. 5〜12mの間で、何らかの原因
で短絡現象が起こっているのもと判断できた。よって、
11. 5〜12mの間のチタンメッシュを切断し、セル
ロースファイバーとともに、コンクリート表面から除去
した。11. 5〜12m間のコンクリート表面を丹念に
調査したところ、コンクリート打設時の型枠を支える金
属製セパレータがコンクリート表面にあり、しかも、こ
のセパレータと鉄筋2との電気抵抗値が非常に小さいこ
とが判明した。この結果、電流はチタンメッシュ、セパ
レータから鉄筋2へと流れ、短絡していた。そこで、こ
のセパレータに絶縁処理を行い、再度、その部分に飽和
水酸化カルシウム水溶液、セルロースファイバー、およ
び、チタンメッシュを設置して、電流値を調べたとこ
ろ、端部から20mの位置までほぼ一定の値で減少でき
るようになった。この状態で8週間の電気化学的処理を
行ったところ、コンクリート中の含有塩分量は処理前の
1/4にまで低下しており、目的を十分に果たすことが
できた。
【0017】なお、比較として11. 5〜12m間の短
絡部分を発見せず、そのまま電気化学的処理を行った場
合、コンクリート中の含有塩分量の減少は余り期待でき
ず、目的を果たすことができなかった。しかも、目的を
果たすことができなかったことが判明するのが、約2ヶ
月後であり、もうその時は工事終了時であった。
【0018】
【発明の効果】本発明では、コンクリートに電気化学的
処理を行う場合、電流の短絡箇所を調べることが可能で
あり、その結果、短絡部の再処理ができる。また、初期
の段階で調査すれば、コンクリートの処理が正しく行わ
れているかどうかを判別することができるので、長期間
にわたる処理であっても、安定した処理ができる。従っ
て、従来のように、処理期間終了時まで、処理がうまく
行われているかどうかわからないという課題が解決でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリートに電気化学的処理を行う1例の模
式図である。
【図2】電源から出ている電線が電極と接続されている
モデル図であり、電極に流れる電流を計測するための説
明図である。
【図3】距離と電流値をプロットしたXYグラフであ
り、順調に処理が行われているときのものである。
【図4】図3と同様のXYグラフであるが、部分的に短
絡現象が発生している場合の例である。
【図5】図3と同様のXYグラフであるが、部分的に短
絡現象が発生している場合の例である。
【符号の説明】
1 コンクリート 2 鉄筋 3 電極 4 電解質とその保持材 5 電源 6 分電盤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートの表面部に電極を設置し、
    該電極を用いてコンクリート内部に電流を印加する処理
    方法において、該電極に流れる電流値を検出することを
    特徴とする電気化学的処理のモニタリング方法。
  2. 【請求項2】 電流供給点からの距離に応じた電流値を
    検出することを特徴とする請求項1記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6398945B1 (en) 1999-07-22 2002-06-04 Infrastructure Repair Technologies, Inc. Method of treating corrosion in reinforced concrete structures by providing a uniform surface potential
JP2012193425A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 短絡異物の検知方法および短絡異物の検知装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6398945B1 (en) 1999-07-22 2002-06-04 Infrastructure Repair Technologies, Inc. Method of treating corrosion in reinforced concrete structures by providing a uniform surface potential
JP2012193425A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 短絡異物の検知方法および短絡異物の検知装置

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