JP3516587B2 - コンクリート中の鋼材の連続性検出方法 - Google Patents

コンクリート中の鋼材の連続性検出方法

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JP3516587B2 JP07888798A JP7888798A JP3516587B2 JP 3516587 B2 JP3516587 B2 JP 3516587B2 JP 07888798 A JP07888798 A JP 07888798A JP 7888798 A JP7888798 A JP 7888798A JP 3516587 B2 JP3516587 B2 JP 3516587B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物中の鋼材の連続性検出、特に一定距離離れた部位のコ
ンクリート内部の鋼材の電気的連続性検出方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術とその課題】コンクリートは、一般には、
種々の環境に対する抵抗力が強く、また、強アルカリ性
であるので、その内部にある鋼材は、鋼材表面に不動態
被膜を形成して腐食から保護され、そのために、コンク
リート構造物は耐久性のある永久構造物であると考えら
れてきた。 【0003】しかしながら、この永久構造物と考えられ
てきたコンクリート構造物も、中性化や塩害などの原因
により鋼材が腐食し、その機能を失う事で構造物として
の寿命に疑問がなげかけられる様になってきた。 【0004】この様な劣化したコンクリート構造物の補
修方法としてコンクリート中の鋼材を腐食状態から腐食
しない状態に変化させる電気化学的補修工法として塩分
の除去と鋼材の腐食回復法である脱塩工法(特開平5−
178678号公報)、中性化コンクリート部のアルカ
リ性回復と鋼材の腐食回復法である再アルカリ化法(特
開平5−148061号公報)、腐食状態にある鋼材の
電気化学的防食法である電気防食(特開平4−4529
2号公報)とが行われている。 【0005】こられらの電気化学的な補修工法はコンク
リート内部の鋼材を陰極とし、コンクリートの外側に陽
極である外部電極を設置する工法である。よって、本工
法の場合には陰極とするコンクリート内部の鋼材が連続
しており、電気的に導通している場合は、10m〜20
mおきに直流電源の陰極に接続すればよいが、鋼材が連
続しておらず、電気的に絶縁している場合には絶縁部分
は必ず電源の陰極に接続し、処理面内にあるコンクリー
ト中の鋼材が必ず陰極となるように処理する必要があ
る。 【0006】従来、コンクリート中の鋼材の導通状態を
確認するには、コンクリートの一部を破壊して内部の鋼
材を露出させ、電気的な導通を確認するテスターにより
導通を確認したい部位の鋼材間の抵抗値の測定を行うこ
とに確認されていた。鋼材の導通がある場合は、抵抗値
としておよそ100Ω以下の抵抗値を示すが、鋼材の錆
び等により導通が不十分な場合は100Ω以上の抵抗値
を示し、全く導通していない場合には数キロΩから数メ
ガΩ以上の抵抗値を示す。 【0007】この様にコンクリート内部の鋼材の導通を
確認したい部位の鋼材同志の抵抗測定によりコンクリー
ト内部の鋼材の連続性が確認されていた。しかしなが
ら、この方法では、鋼材の連続性を確認したい部位毎に
鋼材を露出させる必要があり、コンクリートの一部を破
壊するためにコンクリート構造物を痛めてしまい劣化を
促進させる原因ともなりコンクリート構造物を維持する
観点からは好ましくない。また、コンクリートの一部を
破壊するためには専用の道具を用いる必要があり、鋼材
のかぶり深さが深い場合や、対象とするコンクリートの
面積が広い場合はより多くの部位の鋼材を露出させる必
要があり非常に多くの労力を要すると言う課題があっ
た。 【0008】本発明者らは、前記課題を解決すべく種々
検討した結果、コンクリート鋼材への導線の接続が不要
で、精度良くコンクリート中鋼材の電気的連続性の評価
可能な方法を見いだし、前記課題を解決し得ることを知
見し、本発明を完成するに至った。 【0009】 【課題を解決する為の手段】即ち、本発明は、コンクリ
ート中の電位測定を行える2個以上の検出端をコンクリ
ート表面に接触させ、コンクリート中の鋼材の連続性を
確認したい任意の2箇所以上のコンクリート中の鋼材の
電位を測定することにより、電位差測定値の変動時間を
検出することを特徴とするコンクリート中の鋼材の連続
性検出方法である。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明について説明する。本発明では、コンクリ
ート内部の鋼材の電気的な連続性を確認したいコンクリ
ート中の任意の鋼材近傍上のコンクリート表面に電位測
定検出端(以下、本検出端という)を少なくとも2個接
触させ、電位差の測定をし、その測定値の変動及び変動
時間をモニターする。 【0011】図2は、本発明で用いられるコンクリート
中の鋼材の連続性検出装置の一例を示す説明図である。 【0012】本発明で使用する本検出端には、通常、銀
/塩化銀電極、カロメル電極、銅/硫酸銅電極、などの
照合電極を備えたものを用いるが、白金や酸化ジルコニ
ウム、酸化ルテニウムを始めとする腐食されない貴金属
類あるいは貴金属メッキされた金属などの電位測定可能
な金属を備えたものでも可能である。 【0013】本検出端の一方の電極は電位測定装置のプ
ラス側に、もう一方の電極はマイナス側に接続される。
プラス側、またはマイナス側に本検出端を複数個接続す
る場合は常にプラス側、マイナス側の各々1個づつ、2
極間の電位が測定できるように検出端の接続が切り替え
られる切替装置を備える。 【0014】測定にあたっては、複数の本検出端の内、
1方の本検出端をコンクリート面に接触させ、他方の本
検出端を順次コンクリート面に接触させてゆき、本検出
端間での電位差を測定し、その測定値の変動及び変動時
間をモニターする。本発明でいう電位差測定値の変動時
間とは、電位差を一般のマルチメーターで測定した場合
に、例えば、デジタル値で表示される測定値の変動時間
のことをいう。電位差の測定が行えている場合は、例え
ば、デジタル値で表示される電位差測定値の変動時間は
1秒〜数十秒である。この場合、コンクリート中の鋼材
の連続性が有ることが検出されたことになる。一方、電
位差の測定が行えていない場合は、例えば、デジタル値
で表示される電位差測定値の変動時間は1秒未満であ
る。この場合、コンクリート中の鋼材の連続性が無いこ
とが検出されたことになる。 【0015】次に、測定装置について説明する。まず、
本検出端について説明する。本検出端としては、脱脂綿
やスポンジ等の保水材に塩化カリウムや水酸化カルシウ
ム等の電解質溶液を含浸させたもの、あるいは、保水材
の乾燥を防ぐために容器内に電解質溶液を蓄え、保水材
へ常に電解質溶液を供給できるものの中に前記照合電極
を備えたものを使用する。コンクリート表面への電気的
な接触が必要である為、湿潤部分である保水材をコンク
リート面に接触できる様にしておく必要がある。また、
接触面積が0.5cm2 以上確保できれば、形状、大き
さは問わない。 【0016】本検出端の例としては、特開昭59-217147
号公報の可搬式電極部や特開昭63-163266 号公報の腐食
検出端等電極があるが、本発明においては、電位測定の
できるものであればいかような検出端でも使用可能であ
る。この本検出端を少なくとも2個使用し、本検出端ど
うしが接触しないようにコンクリート表面に接触させ
る。測定の際に本検出端が接触した場合は、両方の検出
端で同一部分を測定してしまうため異なる部分の電位差
は測定できなくなり測定値の変動はなくなり安定した数
値を示す。 【0017】次に、電位測定装置について説明する。本
検出端は導線により、電位測定装置に接続される。電位
測定装置は、センサーに照合電極を用いて一方をコンク
リート中の鋼材に接続し、コンクリート中鋼材の自然電
位測定に用いるハイテスタや電気化学的測定に用いられ
るポテンショスタット、ガルバノスタットなど信号の入
力抵抗が高い装置を用いることができる。 【0018】ここで用いる電位測定装置であるハイテス
タは、電気回路の電圧測定にも用いられ、またポテンシ
ョスタット、ガルバノスタットはそれぞれ単独に用いら
れ、ポテンショスタットは、電圧制御による電流測定を
行う装置、ガルバノスタットは電流制御による電圧測定
を行う装置として一般に用いられている装置でもある。
通常現場での測定には、コンパクトで持ち運びの容易な
ハイテスタが使用される。 【0019】次に、測定方法について説明する。測定に
際しては、コンクリートと本検出端との電気的な接触を
良好とする為、測定の前にコンクリート面を水道水や水
酸化カルシウム溶液などの電解質溶液で湿潤状態にして
おくことが好ましい。湿潤の程度としては、水分量が過
剰とならず、測定点に水たまりができない程度が好まし
い。あるいは、本検出端の保水材をコンクリート面に接
触させることでこの状態を作っても良い。 【0020】この状態で全ての装置の接続を行い、本検
出端をコンクリート表面に接触させるとコンクリート中
の鋼材が電気的に導通している場合にはコンクリートを
介し本検出端とコンクリート中の鋼材とで安定な電気的
回路を形成し、各々の本検出端を接触させた部位のコン
クリート中の鋼材の電位が検出され、電位測定装置にそ
の測定部位での電位差が表示される。コンクリート中鋼
材の電位差測定値の変動は、使用した電位測定装置の信
号検出直後は0.1秒〜0.5秒で変動するが、次第に
その変動時間の間隔は長くなり、測定開始後約10秒後
には、測定値は数秒間隔程度となり、数分後には数十秒
以上の変動時間の間隔となる。 【0021】これに対し、コンクリート中の鋼材が電気
的に連続性がない場合には、コンクリートを介し本検出
端とコンクリート中の鋼材とで形成するはずの電気的回
路が鋼材部で切断されてしまうので、コンクリート中鋼
材の電位差測定値の変動は、使用した電位測定装置の信
号検出直後は0.1秒〜0.5秒で変動するが、測定開
始後、数分以上経過してもその状態は変わらず、全く電
位差の測定値を特定できない状態となる。 【0022】よって、コンクリート中の鋼材の導通状態
はコンクリートの表面に設置した2個以上の本検出端を
備えた電位差測定装置での測定値の変動時間を検出する
ことにより、コンクリートを破壊することもなく完全に
非破壊で判断することができる。 【0023】本発明では、2点間の電位差が測定される
が、一方の本検出端を基準とし他方に複数の本検出端を
接続した場合は複数接続した本検出端と電圧測定装置と
の接続を切り替えることによりそれぞれの部位でのコン
クリート中鋼材の電位差測定値の変動時間の測定が可能
となる。 【0024】 【実施例】以下、本発明の実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 セメント280kg/m3 、水168kg/m3 、細骨
材860kg/m3 、粗骨材1002kg/m3 、AE
減水剤0.7kg/m3 、の配合にて縦10cm、横1
0cm、長さ20cmのコンクリート供試体を作製し
た。なお、このコンクリート供試体の断面の深さ5cm
の所に公称径13mmの丸鋼鋼材を埋設した。 【0025】中性化供試体は、作製したコンクリート供
試体を炭酸ガス濃度5%、温度30℃、湿度60%R.
H.の条件に設定された促進中性化槽中に1年間処理し
た後、さらに大気中に1年間放置し、内部鋼材を腐食さ
せた(供試体1)。未中性化供試体は、作製した供試体
を2年間大気中に放置した(供試体2)。図1に供試体
概要を示す。 【0026】測定前の処理として、測定面に約50ml
の飽和水酸化カルシウム溶液を噴霧し、1時間放置した
後、中性化供試体1と未中性化供試体2の内部鋼材をリ
ード線で接続し、接続位置からそれぞれ15cmの部位
において、鉛電極を本検出端とした電位測定装置により
コンクリート中鋼材の電位差を測定した。結果を表1に
示す。また、図2に測定の状況を示す。 【0027】測定開始後、電位測定装置によりコンクリ
ート中鋼材の電位差の測定値の変動の周期は次第に長く
なり、20秒後には安定したコンクリート中鋼材の電位
差の測定値を示すようになった。従って、コンクリート
中鋼材の電位差の測定が可能であったことよりコンクリ
ート中の鋼材の連続性が有ることを検出することができ
た。 【0028】また、本発明のコンクリート中の鋼材の連
続性検出方法を検証するために、従来から実施されてい
る方法であるマルチメーターを用いて供試体の両端より
リード線で接続した鋼材の抵抗を測定したところ、0.
2Ωの値を示し、従来法の測定結果からも鋼材の連続性
が有ることを確認することができた。 【0029】 <使用材料> セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製 水 :水道水 細骨材 :姫川産川砂 粗骨材 :姫川産砕石(Gmax=20mm) AE減水剤 :ポゾリスNo.70 、エム・エム・ビー社製 鋼材 :公称径13mmの丸鋼鋼材。 【0030】 <測定機器> 本検出端 :鉛電極PM−4、日本防食工業社製 電圧測定装置 :デジタルC・ PチェッカーMT−400、日本防食工業社製 【0031】実施例2 測定供試体として2個の測定供試体を5cm離して間に
コンクリートを充填して供試体間の鉄筋の間隔5cmと
して内部鋼材をリード線で接続せずに一体化した供試体
を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。測定開始
後、90秒経過しても電位測定装置による測定値の変動
時間は1秒未満であり、測定値も安定しなかった。これ
よりコンクリート中の鋼材に連続性が無いことを検出す
ることができた。 【0032】また、本発明のコンクリート中の鋼材の連
続性検出方法を検証するために、従来から実施されてい
る方法であるマルチメーターを用いて供試体の両端の鋼
材部分を測定点として抵抗測定を行ったところ43MΩ
の値を示し、従来法の抵抗測定結果からも鋼材の連続性
が無いことを確認することができた。 【0033】 【表1】 【0034】実施例3 塩害を受けたRCコンクリート製の鉄道高架橋の測定を
行った。実施例1と同様の装置を用い、10m離れた任
意の2点間での測定を行った。結果を表2に示す。測定
開始後、電位測定装置により測定値の変動時間は1秒以
上であり、また、変動時間は次第に長くなり、10秒後
には安定した測定値を示すようになった。従って、コン
クリート中鋼材の電位差の測定が可能であったことより
2点間のコンクリート中の鋼材の連続性が有ることを検
出することができた。 【0035】また、本発明のコンクリート中の鋼材の連
続性検出方法を検証するために、従来から実施されてい
る方法である測定点のコンクリートの一部をはつり取
り、コンクリート内部の鉄筋を露出させ、マルチメータ
ーにより任意の2点間の抵抗を測定したところ、0.2
Ωの値を示し、従来法の抵抗測定結果からも鋼材の連続
性が有ることを確認することができた。 【0036】実施例4 実施例3とは異なった別の部位で10m離れた任意の2
点間での測定を行った以外は実施例3と同様に行った。
結果を表2に示す。測定開始後、90秒経過しても電位
測定装置による測定値の変動時間は1秒未満であり、測
定値も安定しなかった。従って、コンクリート中の鋼材
の連続性が無いことを検出することができた。 【0037】また、本発明のコンクリート中の鋼材の連
続性検出方法を検証するために、従来から実施されて方
法である測定点のコンクリートの一部をはつり取り、コ
ンクリート内部の鉄筋を露出させ、マルチメーターによ
り任意の2点間の抵抗を測定したところ、測定値はオー
バーレンジを示し、マルチメーターでは測定できる範囲
より大きい抵抗値であり、従来法の抵抗測定結果からも
鋼材が連続性が無いことを確認することができた。 【0038】 【表2】 【0039】 【発明の効果】本発明によれば、コンクリート中の鋼材
の電気的な連続性の有無を鋼材を露出させることなく検
出することができる。すなわち、従来の方法の様な鋼材
露出の為のはつり作業やコアリング作業を必要とせず、
完全に非破壊でコンクリート中鋼材の電気的な連続性の
有無を検出できる。この為、労力の軽減効果があり、ま
た、コンクリート構造物の破壊行為を必要としない等の
利点を有する。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例で測定に用いたコンクリート供
試体の一例を示す断面図である。 【図2】本発明の実施例で用いた測定装置を示す概略図
である。 【符号の説明】 1 中性化供試体(供試体1) 2 未中性化供試体(供試体2) 3 鋼材 4 本検出端 5 リード線 6 電位測定装置
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−221292(JP,A) Electrode Potenti al Measurements of Concrete Reinforc ement for Corrosio n Evaluation,CEMEN T AND CONCRETE RES EARCH,1996年,Vol.24,N o.3,401−411 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 351 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コンクリート中の電位測定を行える2個
    以上の検出端をコンクリート表面に接触させ、コンクリ
    ート中の鋼材の連続性を確認したい任意の2箇所以上の
    コンクリート中の鋼材の電位を測定することにより、電
    位差測定値の変動時間を検出することを特徴とするコン
    クリート中の鋼材の連続性検出方法。
JP07888798A 1998-03-26 1998-03-26 コンクリート中の鋼材の連続性検出方法 Expired - Lifetime JP3516587B2 (ja)

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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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Electrode Potential Measurements of Concrete Reinforcement for Corrosion Evaluation,CEMENT AND CONCRETE RESEARCH,1996年,Vol.24,No.3,401−411

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