JPH08207308A - インクジェット記録装置およびそのクリーニング方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 異物によるノズルの詰まりやノズル内に入っ
た泡によるトラブルの無い、印字が良好なインクジェッ
ト記録装置を提供する。 【構成】 インクを貯蔵するためのインクタンク及びイ
ンクをノズル液室へ直接供給するためのチップタンクを
備えたオンデマンド方式のインクジェット記録装置にお
いて、インクタンクとチップタンクとの間に、インクタ
ンクからチップタンクへのインクインク流路Ａ、及びチ
ップタンクからインクタンクへのインク流路Ｂを備え、
前記インク流路ＡにフィルタＡ及び逆流防止手段Ａを有
し、且つ前記インク流路ＢにフィルタＢ及び逆流防止手
段Ｂを有することを特徴とするインクジェット記録装
置。また、ポンプ手段によって、前記インクジェット記
録装置のチップタンク及びＢＪヘッド内をクリーニング
する方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
およびそのクリーニング方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録装置は、連続ジェッ
ト方式と、電気熱変換素子や圧電変換素子を利用したオ
ンデマンド方式とに大別される。この中で電気熱変換素
子を利用したサーマルインクジェット方式は、ノズルの
微細加工が容易であるため、複数のノズルをアレイ状に
配列させたマルチノズルヘッドが一般的になっている。
また近年では、ヘッドの高解像度化が進み、インク滴を
小さくする必要からノズル径がさらに微小になってきて
いる。そのため、異物によるノズルの詰まりの問題が生
じている。従来からこの問題の防止のため、製造工程で
の異物の混入や吐出プロセスにおける異物の発生には細
心の注意をはらってきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
ノズルの一層の微小化により、異物によるノズルの詰ま
りが原因となる印字不良の発生頻度が増大している。

【０００４】図３に従来のインクジェット記録装置を示
す。従来のインクジェット記録装置では、インクタンク
（１）とチップタンク（２）との間に、インクタンク
（１）からチップタンク（２）へのインク流路Ａ（４）
しか設けられていないため、一度チップタンク内に異物
が混入するとその異物を取り除くことが不可能であっ
た。そのため、混入した異物は、インクとともに流れて
ノズル内で詰まり、インク吐出の停止、吐出量の低下、
吐出方向の変化等による印字不良を引き起こしていた。

【０００５】また、インクタンク（１）からインクを供
給する際、特にカートリッジ式のインクタンク（１）を
取り付けたときには、チップタンク（２）はインクで満
たされていない。そのため、ポンプ手段のキャップ（１
０）をＢＪヘッド（３）のインク吐出口に密封するよう
に装着し、このキャップ（１０）と、パイプを介して連
結している回復ポンプ（１１）によって吸引することに
より、インクタンク（１）内のインクをインク流路Ａ
（４）からチップタンク（２）へ導入し、チップタンク
（２）内をインクで満たす操作を行う必要がある。一
度、チップタンク（２）内がインクで満たされると、吐
出により消費されたインクは、インク流路Ａ（４）を通
してインクタンク（１）からチップタンク（２）へ補充
される。

【０００６】このとき、インク流路Ａ（４）はフィルタ
Ａ（６）が設けられているため、インクタンク（１）内
にあった異物はここで濾過されることになるが、フィル
タＡ（６）を透過するような微小な異物やインク吐出プ
ロセスで発生した焦げなどの異物はチップタンク（２）
内を浮遊することになる。

【０００７】さらに、チップタンク（２）内は異物ばか
りでなく、インク流路Ａ（４）の接続部およびノズルか
ら取り込まれた泡、並びに吐出プロセスの熱反応で発生
したガスによる泡が浮遊することになる。このようなチ
ップタンク（２）内の泡は、吐出を繰り返すうちにノズ
ル付近に流れていき、ノズル液室に入って吐出不良を起
こす原因になる。

【０００８】そのため従来から、前記のインクタンク
（１）からのインクの導入操作と同様にして、ポンプ手
段のキャップ（１０）を吐出口に装着し、回復ポンプ
（１１）で吸引して泡を含んだチップタンク（２）内の
インクを排インクタンク（１２）に捨てるとともに、イ
ンクタンク（１）の新しいインクでチップタンク（２）
内を充てんしていた。しかし、このときインクに混入し
ている異物もインクの吐出口を通過するため、ノズル径
よりも大きい異物はノズルに詰まり印字不良の原因とな
っていた。また、インクを排インクタンクにすてるた
め、本来、印字のために使用すべきインクを浪費してい
た。加えて、排インクタンクの容量を大きくする必要が
あり、近年、求められている装置のコンパクト化を困難
にしていた。

【０００９】そこで本発明の目的は、上記の問題を解決
し、異物によるノズルの詰まりやノズル内に入った泡に
よるトラブルの無い、印字が良好なインクジェット記録
装置を提供することである。また、異物や泡を除去する
ことはもちろん、インクが節約でき、装置のコンパクト
化が可能となるクリーニング方法を提供することであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために種々の検討を重ねた結果、本発明を完
成した。すなわち本発明は第１に、インクを貯蔵するた
めのインクタンク及びインクをノズル液室へ直接供給す
るためのチップタンクを備えたオンデマンド方式のイン
クジェット記録装置において、インクタンクとチップタ
ンクとの間に、インクタンクからチップタンクへのイン
ク流路Ａ、及びチップタンクからインクタンクへのイン
ク流路Ｂをそれぞれ少なくとも一つずつ備え、前記イン
ク流路ＡにフィルタＡ及び逆流防止手段Ａを有し、且つ
前記インク流路Ｂに逆流防止手段Ｂを有することを特徴
とするインクジェット記録装置に関する。

【００１１】本発明は第２に、前記インク流路Ｂにフィ
ルタＢを有する第１の発明のインクジェット記録装置に
関する。

【００１２】本発明の第３は、第１または第２の発明の
インクジェット記録装置において、ポンプ手段により、
チップタンクからインクタンクへインクを移動させ、次
いでインクタンクからチップタンクへインクを移動させ
ることによって、チップタンク及びＢＪヘッド内をクリ
ーニングする方法に関する。

【００１３】以下、図面を参照しながら本発明を詳細に
説明する。

【００１４】図１は、本発明のインクジェット記録装置
の１例を示す説明図である。本発明のインクジェット記
録装置のインクジェット記録ヘッドは、大別してインク
タンク（１）、チップタンク（２）及びＢＪヘッド
（３）の３つのユニットから構成されている。また、ポ
ンプ手段は、キャップ（１０）、排インクタンク（１
２）及び回復ポンプ（１１）からなり、図のようにパイ
プで接続されている。

【００１５】インクタンク（１）は、インクを貯蔵する
ためのものであり、本体と脱着可能なカートリッジ式や
本体との一体式等がある。インクタンクの内部は、スポ
ンジ等のインク吸収剤が充てんされており、このインク
吸収剤にインクが吸収され、インクタンク内にインクが
貯蔵される。

【００１６】このインクタンク（１）は、インクタンク
（１）からチップタンク（２）へのインク流路Ａ
（４）、及びチップタンク（２）からインクタンク
（１）へのインク流路Ｂ（５）のそれぞれ少なくとも一
つ以上のインク流路によってチップタンク（２）と連結
している。図１では、インク流路Ａ（４）およびインク
流路Ｂ（５）が一つずつ設けられているが、それぞれ複
数設けてもよい。

【００１７】上記のインク流路Ａ（４）には、インク内
の異物を濾過するためのフィルタＡ（６）及び弁などの
逆流防止手段Ａ（８）を設け、且つ上記のインク流路Ｂ
（５）には逆流防止手段Ｂ（９）を設ける。このとき、
図２のように、インク流路Ｂ（５）にさらにフィルタＢ
（７）を設けてもよい。なお、各図の矢印は、インクの
流れ方向を示す。

【００１８】以上のようにしてインクタンク（１）と連
結されたチップタンク（２）は、通常、ＢＪヘッド
（３）のノズル液室に隣接して設置され、ノズル液室へ
インクを直接供給するための一時貯蔵タンクとして機能
する。

【００１９】ＢＪヘッド（３）は、インクジェットノズ
ルがアレイ状に配列され、そのインクジェットノズル
は、ヒータ等の電気熱変換素子とノズル液室との一対で
構成されている。各ノズル液室は、隣接して設けられた
チップタンク（２）からインクが供給され、インクで常
に満たされるようになっている。

【００２０】以上のような本発明のインクジェット記録
装置において、印字動作によりインク内に異物や泡が浮
遊するようになったときは、ポンプ手段により、チップ
タンク（２）からインクタンク（１）へインクを移動さ
せ、次いでインクタンク（１）からチップタンク（２）
へインクを移動させることによって、チップタンク
（２）及びＢＪヘッド（３）内をクリーニングを行う。
すなわち、以下のクリーニング操作を行う。まず、ポン
プ手段のキャップ（１０）を吐出口に装着し、次いで回
復ポンプ（１１）で吐出口からチップタンク（２）内に
逆に空気を送り込み、チップタンク（２）内の泡と異物
を含んだインクを全てインク流路Ｂ（５）を通してイン
クタンク（１）に戻す。このとき、インクタンク（１）
はスポンジなどの吸収体で満たされた構造であるため、
インクとともに戻された泡はスポンジの無数の気泡を通
り大気連通口（１３）から大気に放出される。そして、
インク成分だけがスポンジに浸透するため、インクタン
ク（１）に戻されたインクは再利用可能となる。

【００２１】また、図２のようにインク流路Ｂ（５）に
フィルタＢ（７）を設けた場合は、インクがインク流路
Ｂ（５）を通過する際に、異物がフィルタＢ（７）によ
って除去される。これにより、インクタンク（１）内の
インクは、クリーニング操作を行っても汚れることな
く、異物を含まないきれいなインクが供給可能となる。
さらに、インクタンクからチップタンクへインクを移動
させる次の工程において、フィルタＢ（７）により除去
された上記の異物は、逆流防止手段Ｂ（９）によってチ
ップタンク（２）内に戻ることはない。

【００２２】次の工程として、回復ポンプ（１１）を吸
引動作に切り換え、インクタンク（１）からチップタン
ク（２）へインクを移動させ、空になっていたチップタ
ンク（２）とＢＪヘッド（３）を、再びきれいなインク
で満たす。

【００２３】以上説明したように、印字動作により異物
や泡が浮遊するようになっても、チップタンク（２）お
よびＢＪヘッド（３）をクリーニングすることによっ
て、異物によるノズルの詰まりやノズル内に入った泡に
よるトラブルが防止され、印字不良の発生頻度を抑制す
ることが可能となる。

【００２４】これまでの説明では、インクタンク（１）
がカートリッジ式で交換可能なタイプについて主に記述
したが、インクタンク（１）がチップタンクやＢＪヘッ
ドと一体となっている使い切りタイプの構造でも本発明
は同様に適用できる。

【００２５】また、これまでの説明は、モノクロタイプ
のインクジェット記録装置に関してのみ記述している
が、インクタンクやチップタンクを複数個備えたカラー
タイプのインクジェット記録装置についても本発明は同
様に適用できる。

【００２６】

【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定するものではない。

【００２７】実施例１ 図１は、実施例１のインクジェット記録装置の説明図で
ある。本発明のインクジェット記録装置のインクジェッ
ト記録ヘッドは、大別してインクタンク（１）、チップ
タンク（２）及びＢＪヘッド（３）の３つのユニットか
ら構成される。また、ポンプ手段は、キャップ（１
０）、排インクタンク（１２）及び回復ポンプ（１１）
からなり、図のようにパイプで接続されている。

【００２８】インクタンク（１）は、インクを貯蔵する
ためのものであり、本体と脱着可能なカートリッジ式で
ある。インクタンクの内部は、スポンジからなるインク
吸収剤が充てんされており、このインク吸収剤にインク
が吸収され、インクタンク内にインクが貯蔵される。

【００２９】このインクタンク（１）は、インクタンク
（１）からチップタンク（２）へのインク流路Ａ
（４）、及びチップタンク（２）からインクタンク
（１）へのインク流路Ｂ（５）によってチップタンク
（２）と連結している。

【００３０】上記のインク流路Ａ（４）には、インク内
の異物を濾過するためのフィルタＡ（６）、及び逆流防
止手段Ａ（８）の弁を設け、且つ上記のインク流路Ｂ
（５）には逆流防止手段Ｂ（９）を設けた。なお、図中
の矢印は、インクの流れ方向を示している。

【００３１】以上のようにインクタンク（１）と連結さ
れたチップタンク（２）は、ＢＪヘッド（３）のノズル
液室に隣接して設置され、ノズル液室へインクを直接供
給するための一時貯蔵タンクとして機能する。

【００３２】ＢＪヘッド（３）には、インクジェットノ
ズルがアレイ状に配列され、そのインクジェットノズル
は、電気熱変換素子であるヒータとノズル液室との一対
で構成されている。各ノズル液室は、隣接して設けられ
たチップタンク（２）からインクが供給され、インクで
常に満たされるようになっている。

【００３３】実施例２ インク流路Ｂ（２）にフィルタＢを設けた以外は、実施
例１と同様なインクジェット記録装置を作製した（図２
参照）。

【００３４】実施例３ 実施例１のインクジェット記録装置を、印字不良が発生
するまで繰り返し作動させた。インクジェット記録装置
を停止した後、図１に示すポンプ手段のキャップ（１
０）をその吐出口に装着し、次いで回復ポンプ（１１）
で吐出口からチップタンク（２）内に逆に空気を送り込
み、チップタンク（２）内の泡と異物を含んだインクを
全てインク流路Ｂ（５）を通してインクタンク（１）に
戻した。

【００３５】次に、回復ポンプ（１１）を吸引動作に切
り換え、インクタンク（１）からチップタンク（２）へ
インクを移動させ、完全に空になっていたチップタンク
（２）とＢＪヘッド（３）を、再びきれいなインクで満
たした。

【００３６】以上のクリーニング操作により印字不良は
発生しなくなった。

【００３７】実施例４ 実施例２のインクジェット記録装置を用いた以外は、実
施例３と同様なクリーニング操作を行った。この操作の
後は印字不良は発生しなかった。

【００３８】

【発明の効果】インクジェット記録装置を以上に説明し
たような構成にし、クリーニングを行うことによって以
下の効果があり、なかでも（ａ）〜（ｃ）の効果によ
り、印字不良が発生しなくなった。 （ａ）チップタンクやノズル液室内の異物が除去でき
た。 （ｂ）ノズルに一度詰まった異物が除去できた。 （ｃ）チップタンク、ノズル液室およびノズル内の泡が
除去できた。 （ｄ）泡の除去操作のときにインクを排インクタンクへ
すてる必要がなく、インクの節約が可能になった。 （ｅ）排インクタンクへインクをすてる量が減ったた
め、排インクタンクの容量を小さくすることができ、ポ
ンプ手段のコンパクト化が可能になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット記録装置の１例を示す
説明図である。

【図２】本発明のインクジェット記録装置の１例を示す
説明図である。

【図３】従来のインクジェット記録装置の説明図であ
る。

【符号の説明】

１ インクタンク ２ チップタンク ３ ＢＪヘッド ４ インク流路Ａ ５ インク流路Ｂ ６ フィルタＡ ７ フィルタＢ ８ 逆流防止手段Ａ ９ 逆流防止手段Ｂ １０ キャップ １１ 回復ポンプ １２ 排インクタンク １３ 大気連通口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクを貯蔵するためのインクタンク及
   びインクをノズル液室へ直接供給するためのチップタン
   クを備えたオンデマンド方式のインクジェット記録装置
   において、インクタンクとチップタンクとの間に、イン
   クタンクからチップタンクへのインク流路Ａ、及びチッ
   プタンクからインクタンクへのインク流路Ｂをそれぞれ
   少なくとも一つずつ備え、前記インク流路Ａにフィルタ
   Ａ及び逆流防止手段Ａを有し、且つ前記インク流路Ｂに
   逆流防止手段Ｂを有することを特徴とするインクジェッ
   ト記録装置。
2. 【請求項２】 インク流路ＢにフィルタＢを有する請求
   項１記載のインクジェット記録装置
3. 【請求項３】 請求項１または２記載のインクジェット
   記録装置において、ポンプ手段により、チップタンクか
   らインクタンクへインクを移動させ、次いでインクタン
   クからチップタンクへインクを移動させることによっ
   て、チップタンク及びＢＪヘッド内をクリーニングする
   方法。