JPH08203441A - ジャイロトロン装置及びジャイロトロン装置の出力調整方法 - Google Patents

ジャイロトロン装置及びジャイロトロン装置の出力調整方法

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JPH08203441A
JPH08203441A JP1066595A JP1066595A JPH08203441A JP H08203441 A JPH08203441 A JP H08203441A JP 1066595 A JP1066595 A JP 1066595A JP 1066595 A JP1066595 A JP 1066595A JP H08203441 A JPH08203441 A JP H08203441A
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Toshiyuki Kikunaga
敏之 菊永
Hiroyuki Asano
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ジャイロトロン装置を小型化し、かつ操作
性、信頼性を向上させることを目的とする。 【構成】 電子ビーム9を射出する電子銃1と、永久磁
石20及び電磁石30、50で構成され、射出電子に旋
回運動を起こさせる軸方向磁場を発生する磁場発生装置
と、旋回電子と固有モードで共振している高周波電磁場
との間でサイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさせる空
胴共振器6と、この空胴共振器6内を通過した電子ビー
ム9を回収するコレクタ7と、サイクロトロン共鳴メー
ザ作用により発生した高周波10を外部に取り出す出力
窓8と、永久磁石20の温度を測定する温度測定手段7
0、80とでジャイロトロン装置300を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子サイクロトロン
共鳴メーザ作用を利用した、マイクロ波またはミリ波を
発生するジャイロトロン、ジャイロクライストロン、ジ
ャイロTWTなどの装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子ビームと空胴共振器の固有モードの
高周波電磁場との間の電子サイクロトロン共鳴メーザ相
互作用を利用した、上記のジャイロトロン装置は、例え
ば、特開昭56−102045号公報に示されている。
この様な従来のジャイロトロン装置の概略を図33に示
す。図33において、1は電子ビーム9を取り出す電子
銃であり、2はカソード、3はカソード上の電子放出
部、4は第1アノード、5は第2アノードである。6は
上記電子ビームと高周波電磁場とが共鳴的に相互作用を
起こし、高周波10を発生する空胴共振器、7は相互作
用を終えた電子ビームを回収するコレクタ、8は高周波
10を取り出す出力窓であり、ジャイロトロン装置30
0はこれら電子銃1、空胴共振器6、コレクタ7、出力
窓8等によりなるジャイロトロン200と、電子ビーム
に旋回運動を与えるため、ジャイロトロン200の軸方
向に磁場を発生する主電磁石11と電子銃電磁石12よ
り構成される。
【0003】次に動作について説明する。電子銃1のカ
ソード上の電子放出部3から射出された電子ビームは、
カソード・第1アノード間の電界により加速され、電子
銃電磁石12によって発生された磁場により、旋回運動
しながら軸方向にドリフトする。さらに、主電磁石11
によって発生された強力な磁場によって電子ビームは圧
縮され、電子は磁場に対して垂直方向の速度を増大さ
せ、平行方向速度を減少させながら、空胴共振器6に入
る。上記主電磁石11が発生する軸方向磁場によってサ
イクロトロン運動している電子は、通常円筒状空胴から
なる空胴共振器6における固有モードの高周波電磁場と
サイクロトロン共鳴メーザ相互作用し、電子の磁場に対
して垂直方向の速度成分によるエネルギーの一部は高周
波エネルギーに変換される。空胴共振器6で相互作用を
終えた電子ビームは、コレクタ7に回収され、空胴共振
器6で励起された高周波は、出力窓8を透過して外部に
取り出される。空胴共振器6において電子ビームのエネ
ルギーが効率的に高周波のエネルギーに変換されるの
は、次式が成り立つ時である。
【0004】
【数1】
【0005】ここでωは空胴共振器6における固有モー
ドの電磁場の共振角周波数、kz は固有モードの軸方向
波数、vz は電子の軸方向速度、sは高調波次数、Ωc
は相対論的効果を考慮した電子のサイクロトロン角周波
数である。Ωc は電子の電荷をe(絶対値)、空胴共振
器内での軸方向磁束密度をB、相対論的係数をγ、電子
の静止質量をm0 とすると次式で与えられる。 Ωc=eB/γm0 (2) (1)式からわかるように、電子ビームのエネルギーが
効率的に高周波のエネルギーに変換され、強力な電磁波
が発生するのは、(1)式の右辺が左辺より僅かに小さ
い時である。また、電子ビームの加速電圧をVb [kV]と
すると、相対論的係数γは次式で与えられる。 γ=1+Vb/511 (3) したがって、電子ビームの加速電圧を変えるとγが変わ
るため、(1)式を満たすためには、(2)式より軸方
向磁束密度Bを調整する必要のあることがわかる。この
ようにジャイロトロン装置においては、磁場が本質的な
役割を果たしており、磁場を精度良く合わせることが、
ジャイロトロン装置を効率良く運転する上で重要であ
る。
【0006】また、図34は従来のジャイロトロン装置
の他の例である。図33ではジャイロトロンの電子銃
は、カソード2と第1アノード4、第2アノード5から
なる3極型電子銃であるが、図34ではカソード2とア
ノード14からなる2極型電子銃が用いられている。2
極型電子銃を用いたジャイロトロン装置は、例えば雑誌
「Radiophys. Quantum Electron.」(Vol.18, No.2, 197
5, P.204 )に示されている。図33の3極型電子銃も図
34の2極型電子銃も、ともに中空状の電子ビームを射
出し、ジャイロトロンを動作させる上での働きは同じで
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のジャイロトロン
装置は以上のように構成されており、電子に旋回運動を
与えるための主電磁石11、電子銃電磁石12には超電
導電磁石、または常電導電磁石、またはその両方を用い
た電磁石が使用されており、電子ビームの加速電圧に応
じて電磁石に流す電流を調整することにより、磁束密度
を最適値に合わせていた。(1)、(2)式から分かる
ように、高周波数の発振を得るためには、空胴共振器内
で高磁場が必要なため、例えば30GHz 程度以上の発振
を得る場合は主電磁石には超電導電磁石が用いられ、そ
れ以下の周波数の発振を得る場合には、常電導電磁石が
利用されることが多い。しかし、超電導電磁石は一般に
高価であり、励磁するためには液体ヘリウムなどの冷媒
を供給するか、冷凍機を使って、極低温にまで電磁石を
冷却しなければならないなど、手間がかかり、また磁場
を急激に変化させることが難しいという問題があった。
一方、常電導電磁石では、高磁場の発生には大容量の励
磁電源が必要であり、大電力を消費すること、電磁石や
励磁電源を水冷などにより冷却する必要もあることなど
を考慮すると、ランニングコストが高くなるという問題
があった。
【0008】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、ジャイロトロン装置を小型化
し、ランニングコストを極めて安くするとともに、操作
性を容易にし、信頼性も向上させることを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
るジャイロトロン装置は、ジャイロトロンの発振動作に
必要な軸方向磁場の発生を、永久磁石と電磁石から構成
される磁場発生装置で行わせるようにするとともに、上
記永久磁石の温度を測定する温度測定手段を設けたもの
である。
【0010】また、この発明の請求項2に係るジャイロ
トロン装置は、永久磁石の温度を測定する温度測定手段
を設けるとともに、予め求められた、永久磁石の温度
と、所望の発振出力を得るために電磁石に流すべき励磁
電流との関係に基づき、温度測定手段で得られた上記永
久磁石の温度に対応して、電気信号を電磁石の励磁電源
に送り、上記励磁電流の不足分、または過剰分を調整
し、磁場発生装置が発生する磁束密度を制御する制御手
段を設けたものである。
【0011】また、この発明の請求項3に係るジャイロ
トロン装置は、永久磁石と電磁石からなる磁場発生装置
において、上記電磁石を、永久磁石の温度変化による発
生磁場の変化を調整するための電磁石とジャイロトロン
の発振出力を制御するための電磁石とに分けて設置した
ものである。
【0012】また、この発明の請求項4に係るジャイロ
トロン装置の出力調整方法は、永久磁石と電磁石で磁場
発生装置を構成するジャイロトロン装置において、上記
永久磁石の温度に応じて上記電磁石に流す励磁電流を変
化させ、上記永久磁石の温度変化より生ずる、所望の発
振出力を得るために必要な磁束密度の不足分、または過
剰分を調整するようにしたものである。
【0013】また、この発明の請求項5に係るジャイロ
トロン装置は、ジャイロトロンの発振動作に必要な軸方
向磁場の発生を、永久磁石と電磁石から構成される磁場
発生装置で行わせるようにするとともに、上記磁場発生
装置が発生している磁場の磁束密度を測定する磁束密度
測定手段を設け、さらに測定された磁束密度と、予め求
められた、所望の発振出力を得るために必要な磁束密度
とを比較して、磁束密度の不足分、または過剰分に対応
する電気信号を、上記電磁石の励磁電源に送り、上記磁
束密度を調整する制御手段を設けたものである。
【0014】また、この発明の請求項6に係るジャイロ
トロン装置は、磁場発生装置の構成要素の一つである電
磁石として、所望の発振出力を得るために必要な空胴共
振器における軸方向の磁束密度のうちの±10%以下の
磁束密度を調節できる主磁場微調整電磁石を設置したも
のである。
【0015】また、この発明の請求項7に係るジャイロ
トロン装置は、磁場発生装置の構成要素の一つである電
磁石として、所望の発振出力を得るために必要な電子銃
のカソード上の電子放出部における軸方向の磁束密度の
うちの±10%以下の磁束密度を調節できる電子銃磁場
微調整電磁石を設置したものである。
【0016】また、この発明の請求項8に係るジャイロ
トロン装置は、ジャイロトロンの発振動作に必要な軸方
向磁場の発生を、永久磁石と電磁石から構成される磁場
発生装置で行わせるようにするとともに、上記永久磁石
の温度を調節する温度制御機構を設けたものである。
【0017】また、この発明の請求項9に係るジャイロ
トロン装置は、永久磁石の温度を測定する温度測定手段
を設け、上記温度制御機構は、永久磁石の温度が、予め
設定された温度に対して±2℃以内に納まるように永久
磁石の温度を調節するようにしたものである。
【0018】また、この発明の請求項10に係るジャイ
ロトロン装置は、永久磁石が発生している磁束密度を測
定する磁束密度測定手段を設け、前記温度制御機構は、
永久磁石が発生している磁束密度が、予め設定された磁
束密度に対して±0.2%以内に納まるように永久磁石
の温度を調節するようにしたものである。
【0019】また、この発明の請求項11に係るジャイ
ロトロン装置は、ジャイロトロンの電子銃部あるいは電
磁石の少なくとも一方を冷却する冷却手段を設けたもの
である。
【0020】
【作用】請求項1記載のジャイロトロン装置は、ジャイ
ロトロンの発振動作に必要な軸方向磁場の発生を、永久
磁石と電磁石から構成される磁場発生装置で行わせるよ
うにし、かつ上記永久磁石の温度を測定して、永久磁石
の温度変化による発生磁場の磁束密度の変化を調整でき
るようにすることによって、信頼性を向上させている。
【0021】請求項2記載のジャイロトロン装置は、例
えば、永久磁石の温度測定手段と、磁場発生装置が発生
する磁束密度を制御する制御手段を設け、上記制御手段
において、予め求められた、永久磁石の温度と、ジャイ
ロトロンで所定の周波数の発振と所望の発振出力を得る
ために電磁石に流すべき励磁電流との関係を表すデータ
に基づき、永久磁石の温度に対応して、励磁電流の不足
分、または過剰分に対応する電気信号を上記電磁石の励
磁電源に送り、上記励磁電流の不足分、または過剰分を
調整するようにしたので、温度変化があっても、容易に
所望の発振出力が得られ、信頼性、操作性が向上する。
【0022】請求項3記載のジャイロトロン装置は、永
久磁石と電磁石からなる磁場発生装置において、上記電
磁石を、永久磁石の温度変化による発生磁場の変化を調
整するための電磁石とジャイロトロンの発振出力を制御
するための電磁石とに分けたものであるので、永久磁石
の温度変化による発生磁場の変化を容易に調整すること
ができ、ジャイロトロンから所望の発振出力を得る場合
の操作性を容易にしている。
【0023】請求項4記載のジャイロトロン装置の出力
調整方法は、永久磁石と電磁石で磁場発生装置を構成す
るジャイロトロン装置に対し、永久磁石の温度に応じて
電磁石に流す励磁電流を変化させて、上記永久磁石の温
度変化より生ずる、所望の発振出力を得るために必要な
磁束密度の不足分、または過剰分を調整するようにして
いるので、温度変化があっても所望の発振出力が得ら
れ、信頼性が上がる。
【0024】請求項5記載のジャイロトロン装置は、磁
場発生装置が発生している磁束密度を測定する磁束密度
測定手段、及び上記磁束密度を制御する制御手段を設
け、上記制御手段において、測定された磁束密度と、予
め求めてあったジャイロトロンで所定の周波数の発振と
所望の発振出力を得るために必要な磁束密度とを比較し
て、磁束密度の不足分、または過剰分に対応する電気信
号を電磁石の励磁電源に送り、磁束密度の不足分、また
は過剰分を調整するようにしたので、温度変化があって
も、容易に所望の発振出力が得られ、信頼性、操作性が
向上する。
【0025】請求項6記載のジャイロトロン装置は、磁
場発生装置の構成要素の一つである電磁石として、ジャ
イロトロンの所定の発振動作に必要な空胴共振器におけ
る軸方向の磁束密度のうち±10%以下の磁束密度を調
整できる主磁場微調整電磁石を設置したものであり、ジ
ャイロトロン装置を小型にし、ランニングコストを極め
て安くするとともに、操作性を容易にする。
【0026】請求項7記載のジャイロトロン装置は、磁
場発生装置の構成要素の一つである電磁石として、ジャ
イロトロンの所定の発振動作に必要な電子銃のカソード
上の電子放出部における軸方向の磁束密度のうちの±1
0%以下の磁束密度を調節できる電子銃磁場微調整電磁
石を設置したものであり、ジャイロトロン装置を小型に
し、ランニングコストを極めて安くするとともに、操作
性を容易にする。
【0027】請求項8記載のジャイロトロン装置は、永
久磁石の温度を制御し、永久磁石が発生している磁束密
度の変動を抑えることによって、永久磁石が置かれた周
囲の温度変化にあわせて磁場微調整電磁石の電流値を調
整しなくても、ジャイロトロンから所定の発振出力が得
られ、どのような気温の場所でも運転できる信頼性の高
い、取り扱いの容易なジャイロトロン装置を提供する。
【0028】請求項9記載のジャイロトロン装置は、永
久磁石の温度を測定して、永久磁石の温度を予め設定さ
れた温度に対して±2℃の範囲内に納まるようにし、永
久磁石が発生している磁束密度の変動を小さく抑えるこ
とによって、磁場微調整電磁石に流す電流を、永久磁石
が置かれた周囲の温度変化にあわせて調整しなくても、
ジャイロトロンから所定の発振出力が得られる、信頼性
の高い、取り扱いの容易なジャイロトロン装置を提供す
る。
【0029】請求項10記載のジャイロトロン装置は、
永久磁石が発生している磁束密度を測定して、永久磁石
の温度変化による磁束密度の変動を最適磁束密度から±
0.2%の範囲内に抑えるようにすることによって、磁
場微調整電磁石に流す電流を永久磁石が置かれた周囲の
温度変化にあわせて調整しなくてもジャイロトロンから
所定の発振出力が得られる、信頼性の高い、取り扱いの
容易なジャイロトロン装置を提供する。
【0030】請求項11記載のジャイロトロン装置は、
磁場微調整電磁石に流す電流による発熱、および電子銃
のカソードにおける発熱を冷却しているので、永久磁石
の温度を変化させることがなく、したがって永久磁石が
発生している磁束密度の変化を抑えることができるた
め、信頼性の高いジャイロトロン装置となる。
【0031】
【実施例】
実施例1.この発明の実施例1によるジャイロトロン装
置を図について説明する。図1において、図33、また
は図34と同一符号を付したものは、各々従来のジャイ
ロトロン装置と同一、または相当のものである。20は
永久磁石であり、例えば雑誌「International Journal
of Infrared and Millimeter Waves」(Vol.14, No.4,
1993, P.783 )に示されるような方法により軸方向磁場
を発生してもよいし、図2(a)(b)に示すように、
台形状の磁石切片26を複数個各々径方向に磁化した
後、ドーナツ状に組み合わせて、外部形状及び内部形状
が多角形であり、磁化方向が略々径方向の筒状永久磁石
25a〜25hを構成し、さらにこの筒状永久磁石を軸
方向に複数個配置する構成でも軸方向磁場を発生させる
ことができる。また、この永久磁石20はジャイロトロ
ン200の軸方向の全長にわたって、ジャイロトロンの
発振動作に必要な磁場の大部分を発生し、さらにこの磁
石20と空胴共振器6付近に置かれた主磁場微調整電磁
石30の両方でジャイロトロン200の発振動作に必要
な軸方向の磁束密度を空胴共振器内に発生する。また、
50は電子銃磁場微調整電磁石であり、永久磁石20と
ともに電子銃の動作に必要な軸方向の磁束密度をカソー
ド2の電子放出部付近に発生する。70は永久磁石の温
度を検出するための温度検出器で、例えば熱電対やサー
ミスタが用いられる。80は温度検出器70からの信号
を受け、温度測定する本体装置である温度測定装置であ
る。300はジャイロトロン200と、永久磁石20及
び電磁石30、50から構成される磁場発生装置と、温
度検出器70と、温度測定装置80とからなるジャイロ
トロン装置を示している。
【0032】磁場発生装置を永久磁石と電磁石から構成
したジャイロトロン装置に関する先行技術が、同一出願
人による特願平6−315133号明細書によって出願
されている。本発明は、上記出願で示されたジャイロト
ロン装置の操作性をさらによくしたものである。
【0033】既に記したように、ジャイロトロンの発振
動作には磁場が本質的な役割を果たしており、空胴共振
器6において発振させたい固有モードの発振周波数にあ
わせて、磁場を精度良く調整することが、ジャイロトロ
ン装置を効率良く運転する上で重要である。前記
(1)、(2)式からわかるように、高周波数の発振を
得るためには、空胴共振器6において高磁場が必要であ
ることから、従来のジャイロトロン装置の磁場発生装置
には、常電導電磁石、または超電導電磁石、あるいはそ
の両方が用いられてきた。電磁石は、発生させる磁場を
容易に調整できるため、電子ビームの加速電圧やビーム
電流値に合わせて発振出力を制御する上で便利である。
しかし、常電導電磁石の励磁には大容量の励磁電源が必
要で、消費電力も大きく、また励磁電源や電磁石を水冷
するなどにより冷却する必要がある。一方、超電導電磁
石は一般に高価であり、液体ヘリウムなどで極低温にま
で冷却する必要があるなど、いずれの電磁石を使用する
においても初期コスト、ランニングコストが大きく、取
扱い上の手間もかかるという問題がある。
【0034】しかし、図1のように永久磁石と電磁石の
両方を用いた磁場発生装置を用いるとこの問題は解消す
る。例えば、電子ビームの加速電圧がVb =20kVの
時、(3)式より、γ=1.04であり、2倍高調波発
振で周波数28GHz の発振を得るためには(1)式でs
=2であるから、この式と(2)式より空胴共振器6に
おいて約5.2kGより少し小さい程度の軸方向磁束密度
が必要である。このうちの例えば5kGを永久磁石20に
よって発生させ、残りの約0.2kGを主磁場微調整電磁
石30で発生させれば、励磁電源は小型でもよく、消費
電力は少なくてすむ。なお、電子銃1から射出される電
子ビームの特性は、電子ビームの加速電圧やビーム電流
値の他に、電子銃1付近での磁束密度によっても変化
し、空胴共振器6において発生する高周波出力に微妙な
影響を及ぼすことがわかっている。したがって、ジャイ
ロトロンの電子銃1付近の磁束密度も微調整できること
が望ましい場合もあり、図1では、永久磁石20以外に
電子銃磁場微調整電磁石31も設置している。
【0035】次に本実施例のジャイロトロン装置の運転
方法について説明する。上述したように、例えば2倍高
調波発振で周波数28GHz の発振を得るためには、空胴
共振器6において約5.2kGの軸方向磁束密度が必要で
ある。5.2kGうち例えば5kGを永久磁石20によって
発生させ、残りの約0.2kGを主磁場微調整電磁石30
で発生させるものとする。一般に永久磁石は、使用時の
温度が異なると、発生する磁束密度も異なる性質があ
る。この特性を決める残留磁束密度温度係数は磁石材料
などによって異なるが、例えばネオジム系磁石では−
0.1%/℃程度である。したがって、例えばジャイロ
トロン装置の運転時の温度が10℃異なると永久磁石の
発生する磁場の磁束密度に約50G の差ができるため、
(永久磁石の温度が上がると発生している磁束密度は減
少し、温度が下がると発生している磁束密度は増加す
る。)ジャイロトロンの発振出力の制御を行うために
は、温度変化による永久磁石の発生する磁場の磁束密度
の変化も考慮して、主磁場微調整電磁石30に流す電流
を調整する必要がある。図3はこの運転方法を説明する
グラフである。図3(a)は永久磁石の温度をパラメー
タにとり、ある電子ビームの加速電圧、ある電子ビーム
電流で、電磁石30に流す電流を変えた時のジャイロト
ロンからの発振出力の変化を示したものである。永久磁
石20の温度が20℃の時、電磁石30に流す電流を5
A 程度にすれば発振出力10kWの最大値が得られるが、
永久磁石の温度が10℃に下がると永久磁石が発生して
いる磁場の磁束密度は増加するため、10kWの発振出力
を得るためには、その増加する分だけ電磁石が発生する
磁場を用いて磁束密度を調整する必要があり、逆に永久
磁石の温度が30℃に上がると永久磁石が発生している
磁場の磁束密度は減少するため、その減少する分だけ電
磁石が発生する磁場を用いて磁束密度を調整する必要が
ある。さらに、図3(a)は永久磁石が同一温度でも電
磁石30に流す電流を変えると空胴共振器における磁束
密度が変化するため、ジャイロトロンの発振効率が変化
し、発振出力も変わることを示している。即ち、電磁石
30に流す電流を変えることによって、発振出力を制御
することができる。また、図3(b)は発振出力をパラ
メータにとり、永久磁石の温度が変化したとき、同一の
発振出力を得るために必要な電磁石30に流す電流を示
したものである。ジャイロトロン装置を運転する場合に
は、図3(a)や図3(b)に示す関係を予め求めてお
き、永久磁石に取り付けられた温度検出器70で永久磁
石の温度を測定して、その温度で所望の発振出力を得る
ために必要な電磁石30に流すべき電流を、上記関係を
用いて読みとり、その電流を流せば所望の発振出力が得
られる。なお、図1では、温度検出器70は8か所に設
置されているが、永久磁石の温度としては、その平均温
度をとってもよいし、空胴共振器などのジャイロトロン
の動作上重要な部分に近い所の温度を採用し、その他の
部分の温度は参考として見ておくというのでもよい。ま
た、温度検出器70を永久磁石の温度をよく反映してい
る部分の1か所に設置するのでもよい。
【0036】また、図3のグラフは一つの例として上げ
たものであり、ジャイロトロンの発振出力の最大値は1
0kW以上でもよく、また主磁場微調整電磁石30に流す
電流や永久磁石の温度も異なる領域の例も考えられる。
さらに、ジャイロトロンのカソードとアノード間に印加
する電子ビームの加速電圧や電子ビーム電流によって
も、所定のジャイロトロンの発振出力を得るための主磁
場微調整電磁石30に流す電流は異なるが、必要に応じ
ていろいろな場合のデータを取っておけば、上記と同様
の方法でジャイロトロン装置を運転すればよい。また、
永久磁石20が発生している軸方向磁場の磁束密度が、
ジャイロトロンの発振動作に必要な磁束密度を越えてい
る場合には、主磁場微調整電磁石30が発生する磁場の
方向が、永久磁石が発生している磁場の向きとは逆方向
になるように流せばよい。さらに、この場合の電流の向
きを負方向の電流として定義すると、ある温度での永久
磁石20の発生している軸方向磁場の磁束密度が、ジャ
イロトロンのある動作パラメータでの最適値である時に
は、永久磁石の温度が変化した場合や、ジャイロトロン
の発振出力の制御のためには主磁場微調整電磁石30に
は正、負にまたがった電流を流すことになる場合もあ
る。
【0037】また、上記のことは電子銃付近の磁場につ
いても同様のことが言える。この場合図3(a)の横軸
や(b)の縦軸は、電子銃磁場微調整電磁石50に流す
電流となる。さらに、永久磁石の温度変化による発生磁
場の変化の調整を行い、ジャイロトロンの発振出力を制
御することは、主磁場微調整電磁石30と電子銃磁場微
調整電磁石50の両方を用いてもよいし、可能な場合に
はどちらか一方を用いて行ってもよい。
【0038】実施例2.この発明の実施例2によるジャ
イロトロン装置を図4を用いて説明する。図において、
71は温度検出器、81は温度測定装置である。実施例
1では、永久磁石20の温度を測定する温度検出器70
は、ジャイロトロン200が設置される永久磁石20の
内側壁面に取り付けられていたが、必ずしも内側でなく
てもよく、永久磁石の温度を反映する位置であれば図4
のように外側に取り付けてもよく、またその取り付け個
所は図のように1個所でもよいし、永久磁石の温度の均
一性を知るために2個所以上であってもよい。また、ジ
ャイロトロン200を永久磁石20に設置した状態であ
れば、ジャイロトロン200と永久磁石20の温度はほ
ぼ同じであるので、温度検出器70を図5に示すよう
に、ジャイロトロン200の側に取り付けてもよく、さ
らには、ジャイロトロン本体と永久磁石20を接続する
ためのフランジ13に取り付けてもよい。
【0039】実施例3.この発明の実施例3によるジャ
イロトロン装置を図6を用いて説明する。実施例1や実
施例2では主磁場微調整電磁石30や電子銃磁場微調整
電磁石50はともに1個の電磁石であったが、必ずしも
1つである必要はなく、図6のようにそれぞれ2個或い
は3個以上の主磁場微調整電磁石31、32、及び電子
銃磁場微調整電磁石51、52から構成されていてもよ
い。また、主磁場微調整電磁石と電子銃磁場微調整電磁
石を構成する電磁石の数が等しい必要もない。永久磁石
20の温度変化による軸方向磁場の磁束密度の変化分を
調整すること、及びジャイロトロンの発振出力の制御の
目的のために、必要な個数を配置すればよい。また、そ
れらの電磁石はそれぞれが独立に励磁できても、あるい
は電磁石を直列に接続して、1つの電源で励磁できるよ
うにしておいてもよい。
【0040】実施例4.この発明の実施例4によるジャ
イロトロン装置を図7を用いて説明する。永久磁石20
の温度は、永久磁石に取り付けられた温度検出器によっ
て観測するのが厳密な測定法である。しかし、例えば永
久磁石が長時間、比較的温度変化の緩やかな一定の場所
に置かれている場合には、永久磁石の温度は永久磁石が
置かれている場所の温度と同程度と考えられる。その場
合には、その場所の温度を永久磁石の温度と考えて、図
3(a)、(b)のデータに基づいてジャイロトロン装
置を運転してもよい。即ち、図7に示すように、永久磁
石が置かれている場所に設置されている温度計85で温
度を読み、その温度を永久磁石20の温度として、図3
(a)、(b)のデータから所望の発振出力を得るため
に必要な主磁場微調整電磁石30、及び電子銃磁場微調
整電磁石50に流す電流を決める。
【0041】実施例5.この発明の実施例5によるジャ
イロトロン装置を図8を用いて説明する。図8におい
て、91は主磁場微調整電磁石33の励磁電源、95は
電子銃磁場微調整電磁石53の励磁電源である。72は
永久磁石20の温度を測定するための温度検出器、82
は温度測定装置80からの出力を受けて、励磁電源91
及び95の出力電流を制御するための制御装置である。
また、温度測定装置80や制御装置82に、温度表示機
能を付加しておいてもよい。既に記したように永久磁石
20が発生する磁場の磁束密度は、永久磁石の温度に依
存して変動する。制御装置82には、図3(a)(b)
に示されているものと同様のデータ、即ち永久磁石の温
度をパラメータにとった時、電磁石33、53に流れる
電流に対する発振出力を表すデータ、及び適当な発振出
力で一定値を維持する場合の永久磁石の温度に対する電
磁石33、53に流すべき電流のデータが、数値的また
は数式的に入力されている。したがって、制御装置82
は、所望の発振出力を得るために、その時の永久磁石2
0の温度での電磁石33、53に流すべき電流値を求
め、その電流値に対応する制御信号を励磁電源91、9
5に送る。励磁電源91、95はその制御信号にしたが
って電磁石33、53に励磁電流を流し、これによって
ジャイロトロンから所望の出力の発振が得られる。ま
た、必要ならば制御装置82が永久磁石20の温度も表
示するようにしておく。制御装置82としてはパーソナ
ルコンピューターなどを用いればよい。また、図8では
温度検出器72は、永久磁石20の内壁に取り付けられ
ていたが、必ずしも内壁でなくてもよい。永久磁石の温
度を反映する位置であれば図4に示したように外側に取
り付けても良い。
【0042】実施例6.この発明の実施例6によるジャ
イロトロン装置を図9を用いて説明する。実施例5では
永久磁石に取り付けられた温度検出器は1個であった
が、図9に示すように2個以上の温度検出器73を取り
付けてもよい。この場合、制御装置83は上記各温度検
出器73が検出した温度の平均温度にしたがって、所望
の発振出力を得るための電磁石34、54に流すべき電
流値を求め、その電流値に対応する制御信号を励磁電源
92、96におくる。また、必要ならば温度測定装置8
0、あるいは制御装置83または両方に永久磁石の各部
の温度、またはその平均温度を表示する機能を付加して
おいてもよい。
【0043】実施例7.この発明の実施例7によるジャ
イロトロン装置を図10を用いて説明する。図10にお
いて、40は温度変化による磁場変化調整用の主磁場微
調整電磁石であり、永久磁石の温度変化による発生磁場
の空胴共振器付近の磁束密度の変化を調整するための電
磁石である。45は発振出力を調整するための出力制御
用の主磁場微調整電磁石である。また、60は温度変化
による磁場変化調整用の電子銃磁場微調整電磁石であ
り、永久磁石の温度変化による発生磁場の電子銃付近の
磁束密度の変化を調整するための電磁石である。65は
発振出力を調整するための出力制御用の電子銃磁場微調
整電磁石である。このように本実施例では、磁場発生装
置の構成要素である電磁石を、永久磁石の温度変化によ
る発生磁場の変化を調整するための電磁石とジャイロト
ロンの発振出力を制御するための電磁石とに分けて設置
している。図3(a)から分かるように、永久磁石20
のそれぞれの温度について、電磁石に流す電流に対する
発振出力を示すそれぞれのグラフは、横軸である電磁石
に流す電流に関して平行移動した形になっている。これ
は、永久磁石の温度が均一ならば、温度変化による発生
磁場の変化の割合はいたるところ同一で残留磁束密度温
度係数にしたがって変化するからである。したがって、
永久磁石の温度が変化してもジャイロトロンからの発振
出力を同じにしておきたい場合には、永久磁石の温度変
化による発生磁場の磁束密度の変化分のみを磁場発生装
置の構成要素である電磁石で調整すればよい。図10で
上記の役割を果たすのが電磁石40と電磁石60であ
り、一方、電磁石45と電磁石65は発振出力の制御の
みに用いる電磁石である。ただし、図10において、電
磁石45と電磁石65の励磁電源とその制御装置は省略
されている。
【0044】次に図3(a)を用いて運転する方法につ
いて説明する。永久磁石の温度変化を考えるには基準と
なる温度を決めておく必要があるが、ここでは20℃を
基準に取るものとする。永久磁石の温度が20℃のとき
には主磁場微調整電磁石に約5A の電流を流すと約10
kWの発振出力が得られる。この約5A の電流によって生
じる磁束密度の発生を図10では電磁石40と電磁石4
5によって発生させるが、それぞれの電磁石に流す電流
の割合は適当に決め、それを基準とする。電子銃磁場微
調整電磁石についても同様に決め、それを基準にするも
のとする。ジャイロトロン装置運転中に永久磁石20の
温度が20℃から変化しなければ、発振出力の調整はす
べて電磁石45、または電磁石65、あるいは両方の電
磁石を用いて行う。もし、永久磁石20の温度が変化し
ていく場合には、永久磁石の残留磁束密度温度係数から
決まる発生磁束密度の変化分を補正するため、温度測定
装置80からの信号を受けた制御装置82が、電磁石4
0及び電磁石60の励磁電源91、95に必要な電流を
供給するように制御する。このようにすると、電磁石や
その励磁電源の個数は増加するが、ジャイロトロン装置
運転上の磁束密度の制御を容易にするという利点があ
る。なお、図10では温度変化による磁場変化調整用の
電磁石40、60が内側に巻かれ、出力制御用の電磁石
45、65が外側に巻かれているが、この位置関係は逆
でもよい。
【0045】実施例8.この発明の実施例8によるジャ
イロトロン装置を図11を用いて説明する。図11で
は、温度変化による磁場変化調整用の主磁場微調整電磁
石41と温度変化による磁場変化調整用の電子銃磁場微
調整電磁石61とが直列に接続されている。実施例7で
も述べたように、永久磁石の温度変化による発生磁場の
変化の割合はいたるところ同一であるから、空胴共振器
付近で永久磁石が発生している磁束密度と電子銃付近で
永久磁石が発生している磁束密度の比を考慮して、電磁
石41と電磁石61のコイル巻数比を選択しておけば、
磁場微調整電磁石の励磁電源90ひとつを用いて、電磁
石41と電磁石61に同一電流を流すことにより、永久
磁石の温度変化による発生磁場の変化を調整することが
できる。このようにすることによって、永久磁石の温度
変化による発生磁場の変化を調整するための磁場微調整
電磁石の励磁電源の数を減らすことができる。また、図
11では電磁石41と電磁石61のコイルは別々に巻い
てあるように描かれているが、永久磁石内の各場所にお
ける永久磁石の発生磁束密度を考慮して、コイルを連続
的に巻いてもよい。
【0046】実施例9.この発明の実施例9によるジャ
イロトロン装置を図12を用いて説明する。図12にお
いて、77は例えばホール素子のような磁束密度測定素
子、87は磁束密度測定素子77からの出力を受け、磁
束密度を測定する本体装置である磁束密度測定装置、8
4は磁束密度測定装置からの信号を受けて主磁場微調整
電磁石35の励磁電源93及び、電子銃磁場微調整電磁
石55の励磁電源97の出力電流を制御するための制御
装置である。また、この磁束密度測定装置87や制御装
置84には、磁束密度表示機能を付加しておいてもよ
い。
【0047】既に記したように永久磁石20が発生する
磁場の磁束密度は、永久磁石の温度に依存して変動する
が、図12のジャイロトロン装置では、磁束密度測定素
子77と磁束密度測定装置87を用いて、発生磁場の軸
方向の磁束密度を直接測定し、制御装置84を用いて所
望の発振出力を得るための磁束密度と比較して、磁束密
度の不足分、または過剰分を調整するように主磁場微調
整電磁石35、電子銃磁場微調整電磁石55のそれぞれ
の励磁電源93、97に信号を送り、必要な電流を流す
ようになっている。図13(a)は、適当な電子ビーム
の加速電圧と電子ビーム電流の時の空胴共振器付近の軸
方向の磁束密度に対する発振出力の依存性であり、同図
(b)は、同図(a)と同一の電子ビームの加速電圧と
電子ビーム電流の時のカソード付近の軸方向の磁束密度
に対する発振出力の依存性である。同図(a)ではカソ
ード付近の磁束密度は一定の値に固定されており、空胴
共振器付近の軸方向の磁束密度がB0 の時に最大の発振
出力が得られ、また同図(b)では空胴共振器付近の軸
方向の磁束密度が一定の値に固定されており、カソード
付近の軸方向の磁束密度がBk の時に最大の発振出力が
得られている。したがって、永久磁石の温度が変化し、
そのために発生磁場の磁束密度が変化しても、図13
(a)、(b)に示されたグラフにしたがって所望の発
振出力を得るための磁束密度の不足分、または過剰分を
電磁石で調整すれば、所望の発振出力を得ることができ
る。図12では空胴共振器付近及び、カソード付近に磁
束密度測定素子77が置かれており、これを利用して、
図13(a)、(b)のデータを取り、そのデータを数
値的または、数式的に制御装置84に記憶させておけ
ば、永久磁石20の温度が変化して、永久磁石が発生す
る磁場の磁束密度が変化しても所望の発振が得られるよ
うに、制御装置84が励磁電源93、97を制御して電
磁石35、55に流す電流を調節する。
【0048】実施例10.この発明の実施例10による
ジャイロトロン装置を図14を用いて説明する。図12
では磁束密度測定素子77は、主磁場微調整電磁石35
や電子銃磁場微調整電磁石55の内側に設置されていた
が、内側に設置することが困難な場合には、図14に示
すように、主磁場微調整電磁石35や電子銃磁場微調整
電磁石55の近くで、永久磁石20が発生している磁場
に、上記の各々の電磁石が発生する磁場の一部を加えた
磁場を検出できる位置に設置してもよい。この場合、磁
束密度測定素子77が検出する磁束密度は、空胴共振器
付近の磁束密度やカソード付近の磁束密度とは必ずしも
一致しない場合があるが、図13に相当するグラフを作
成することはできる。即ち、図13(a)に相当するグ
ラフでは主磁場微調整電磁石35の近くに設置された磁
束密度測定素子77が検出する磁束密度を横軸にとれば
よく、図13(b)に相当するグラフでは電子銃磁場微
調整電磁石55の近くに設置された磁束密度測定素子7
7が検出する磁束密度を横軸にとればよい。
【0049】実施例11.この発明の実施例11による
ジャイロトロン装置を図15を用いて説明する。図12
では磁束密度測定素子77は空胴共振器付近やカソード
付近に設置され、永久磁石20が発生する磁場に主磁場
微調整電磁石35や電子銃磁場微調整電磁石55が発生
する磁場を加えた全軸方向磁場の磁束密度を測定するよ
うにしたが、永久磁石20の温度が比較的均一な場合に
は、永久磁石20が発生する磁場を検出できる位置であ
れば、上記電磁石35、55から離れたところに磁束密
度測定素子78を設置してもよい。図15では、磁束密
度測定素子78は主磁場微調整電磁石35や電子銃磁場
微調整電磁石55が発生する磁場の影響を受けない所に
設置されている。永久磁石20の温度が比較的均一な場
合には、永久磁石の温度変化による発生磁場の変化の割
合はいたるところ同一である。即ち、永久磁石の温度変
化により、図15で磁束密度測定素子78が置かれた位
置の磁束密度が、例えば0.5%増加したならば空胴共
振器付近の磁束密度もカソード付近の磁束密度もともに
0.5%増加している。そして、繰り返し述べてきたよ
うに、永久磁石の温度と発生している磁場の磁束密度と
の関係は、残留磁束密度温度係数に依存しており、ある
場所の磁束密度を測定することにより、永久磁石の温度
を知ることができる。したがって、図3(a)(b)の
永久磁石20の温度の代わりに磁束密度測定素子78が
検出する磁束密度をとれば、図3に相当するデータを取
ることができる。このデータをグラフにした例を図16
に示す。図16では一つのデータを取るときには、電子
銃磁場微調整電磁石55に流す電流は、適当な値で固定
されている。
【0050】ジャイロトロン装置の運転は、例えば図1
6(a)のグラフを用いて次のようにする。例えば、磁
束密度測定素子78が検出した磁束密度がB2[G]であっ
たならば、約10kWの発振出力を得るためには、主磁場
微調整電磁石35には約5Aの電流を流し、また電磁石
35に流す電流を適当に変えることによって発振出力を
調整することができる。磁束密度測定素子78が測定し
た磁束密度がB1やB3であった時には、それぞれの曲線
に基づいて電磁石35に流す電流を決めればよい。ま
た、図16(b)のグラフを用いても、同様に電磁石3
5に流す電流を決めることができる。
【0051】電子銃磁場微調整電磁石55に流す電流に
ついても同様のことが言える。この場合のグラフは、図
16(a)の横軸や(b)の縦軸は電子銃磁場微調整電
磁石55に流す電流となる。このデータを取るときに
は、主磁場微調整電磁石35に流す電流は適当な値に固
定しておく。また、永久磁石20の温度変化による発生
磁場の変化の調整を行い、ジャイロトロンの発振出力を
調整することは、主磁場微調整電磁石35と電子銃磁場
微調整電磁石55の両方を用いてもよいし、可能な場合
にはどちらか一方でもよい。
【0052】実施例12.この発明の実施例12による
ジャイロトロン装置を図17を用いて説明する。既に述
べたように、(3)式からわかるように電子ビームの加
速電圧が変化すると、空胴共振器おいて所定の周波数の
発振に必要な磁束密度も変化する。しかし例えば、Vb
=20kV〜40kVの間で動作させるものとすれば、
γ=1.04〜1.08であるので、2倍高調波発振で
28GHz の周波数の発振を得るためには、空胴共振器に
おいて約5.2kG〜5.4kGの範囲の軸方向磁束密度が
発生できればよい。また、永久磁石の温度変化による発
生磁場の変化の特性を決める残留磁束密度温度係数は、
磁石材料によって異なるが、例えばネオジム系磁石で
は、−0.1%/℃程度である。したがって、5.2kG
〜5.4kGの間をとって軸方向磁束密度が5.3kG程度
の永久磁石を製作し、製作時の温度が20℃であったと
すると、永久磁石の温度が40℃の時には約5.19k
G、0℃の時には約5.41kGとなり、2%程度の変化
である。さらに、永久磁石が発生する磁束密度に関する
設計値と実物との誤差は2〜3%程度には抑えられる。
したがって、電子ビームの加速電圧を広い範囲で変えな
い場合には、永久磁石の±20℃程度の温度変化とあわ
せても、設計値からの誤差は10%以下におさまる。し
たがって、空胴共振器付近に設置された主磁場微調整電
磁石は、設計値の周波数の発振を得るために必要な磁束
密度の10%を発生できる能力があれば、電子ビームの
加速電圧を広い範囲で変えない場合には、実用上問題の
無い場合が多い。図17の主磁場微調整電磁石36は、
所望の周波数で、所望の発振出力を得るために、必要な
磁束密度の10%を発生できる程度の電磁石である。こ
のようにすることによって、主磁場微調整電磁石の励磁
電源は小型、軽量になり、消費電力も軽減され、ランニ
ングコストが下がる。
【0053】なお、図17には、実施例5で述べたよう
な温度測定装置からの信号を受けて制御装置を使って電
磁石の励磁電源を制御する装置や、実施例9で述べたよ
うな磁束密度測定素子や、磁束密度測定装置からの信号
を受けて励磁電源を制御する制御装置は記されていない
が、上記のことは実施例1から実施例11までの説明に
おける全ての主磁場微調整電磁石にあてはまる。また、
上記のことは、28GHz 以外の発振周波数や、基本波発
振の場合についても同じように言えることである。
【0054】実施例13.この発明の実施例13による
ジャイロトロン装置を図18を用いて説明する。実施例
12で述べたことと同様のことが、カソード付近の磁場
についても言える。図18で、電子銃磁場微調整電磁石
56は、カソード上の電子放出部において必要な磁束密
度の10%を発生できる程度の電磁石である。このよう
にすることによって、電子銃磁場微調整電磁石の励磁電
源は小型、軽量になり、消費電力も軽減され、ランニン
グコストが下がる。
【0055】実施例14.既に述べたとおり、ジャイロ
トロン装置の磁場発生装置における永久磁石の温度が変
化すると、発生する磁束密度が変化し、ジャイロトロン
の発振出力は変化する。永久磁石の置かれた周囲の気温
が季節、地方、気候、あるいは1日のうちの時刻によっ
て大きく変化する場合には、永久磁石の温度も変動する
ため、ここまでの実施例では、そのときの永久磁石の温
度に合わせて磁場微調整電磁石に流す電流を調節し、ジ
ャイロトロンから所定の発振出力を得るという方法をと
っていた。しかし、別の方法として永久磁石の温度を周
囲の気温の変化にかかわらず、予め設定された温度ある
いは温度範囲に保つことができれば、磁場微調整電磁石
に流す電流を気温に合わせて調節する必要のない、取り
扱いの容易なジャイロトロン装置を提供することができ
る。以下の実施例ではこのような永久磁石の温度を制御
するものについて説明する。
【0056】図19はこの発明の実施例14によるジャ
イロトロン装置の構成を示す構成図である。図19にお
いて、301は磁場発生装置が永久磁石と電磁石を用い
て構成されたジャイロトロン装置本体、201はこのジ
ャイロトロン装置本体301を収納する収納ケース、2
02はケース内の温度を制御し、永久磁石の温度を予め
設定された一定の温度あるいは温度範囲に保つための温
度制御装置、203はジャイロトロンが発生した電磁波
を導く導波管、204はジャイロトロン装置本体301
を搭載する架台である。
【0057】所定の発振出力でジャイロトロンを運転す
るためには、例えば図3(a)に示したようなデータを
利用する。図3(a)から、例えば、永久磁石の温度を
20℃に設定した場合には、10kWの発振出力を得るた
めには、主磁場微調整電磁石に約5A の電流を流せばよ
いことがわかる。したがって、この場合には温度制御装
置202でケース201内の温度を20℃付近に保て
ば、永久磁石の温度も20℃付近に保たれるため、収納
ケース201の外の気温の変化を考慮せずに図3(a)
の永久磁石20の温度が20℃のときのグラフにしたが
って主磁場微調整電磁石に流す電流を変えれば、それに
対応する発振出力が得られる。このように、収納ケース
201の外の気温が変化しても永久磁石の温度は変化せ
ず、永久磁石が発生している磁束密度の変化を抑えるこ
とができるので、上記気温の変化に合わせて磁場微調整
電磁石に流す電流を変える必要がない。また、気温の変
化が大きい場所でも、永久磁石の温度を予め設定された
温度あるいは温度範囲に保つことができるため、永久磁
石が発生している磁束密度の変動は小さく、磁場微調整
電磁石の調整可能範囲に納まるようにできるため、どの
ような気温の場所でも運転できる信頼性の高いジャイロ
トロン装置を提供することができる。なお、ケース20
1を断熱能力を持った材料で構成する、あるいはケース
に断熱材を取り付ければ、周囲の気温の変化を受けにく
くなるので、より効果的である。また、上記の説明では
収納ケース201内の温度を20℃付近に保つとして説
明しているが、必ずしも20℃付近である必要はなく、
使用にあたって使い易い温度に設定すればよい。
【0058】実施例15.実施例14では、永久磁石の
温度を予め設定された温度あるいは温度範囲に保つ方法
としてジャイロトロン装置本体をケース内に収納する例
を示したが、図20に示すように、永久磁石20を、例
えばマントルヒータのような加熱機能付き断熱具210
を用いて、あるいはテープヒータなどの加熱器具と断熱
材を併用して、直接、永久磁石20の周囲を囲むように
してもよい。このようにすれば、簡単に永久磁石の温度
を制御することができる。また、断熱作用を利用するだ
けでも効果がある場合もある。
【0059】実施例16.永久磁石の温度を予め設定さ
れた温度あるいは温度範囲に保つ方法として、実施例1
4ではジャイロトロン装置本体をケース内に収納する例
を示し、実施例15では加熱機能付き断熱具等を用いる
例を示したが、図21に示すようにしてもよい。図21
において、205はジャイロトロン装置本体301の置
かれている部屋である。この部屋の温度は空調装置20
6で制御され、永久磁石は予め設定された温度あるいは
温度範囲に保たれている。このようにすることによっ
て、実施例14ないし実施例15と同等の効果を得るこ
とができる。ただし、ここで示した空調装置は四季を通
じて部屋内で人が快適に過ごすために設置したものでは
なく、永久磁石の温度を予め設定された温度あるいは温
度範囲に保つためのものである。
【0060】実施例17.実施例14ないし実施例16
では、ジャイロトロン装置本体を収納するケースあるい
は加熱機能付き断熱具あるいは室内の空調装置を用いて
永久磁石の温度を制御する例を示したが、永久磁石の温
度を制御する方法として図22に示すような方法もあ
る。図において、101は熱媒体温度制御装置および循
環装置、102は熱媒体温度制御装置および循環装置1
01によって一定範囲の温度に保たれている、例えば水
などの熱媒体、103は熱媒体102を導くためのパイ
プ、104は熱が伝わりやすい方法で永久磁石内面に取
り付けられた熱交換部分、105は断熱材である。
【0061】熱媒体102は、熱媒体温度制御装置およ
び循環装置101によって、パイプ103を通って熱交
換部分104へ流れ込み、永久磁石は予め設定された温
度あるいは温度範囲に保たれる。即ち、熱交換部分10
4では、例えば気温の変化などの原因で永久磁石20の
温度が熱媒体102の温度より高いときは、永久磁石か
ら熱媒体へと熱が流れ、永久磁石は冷却され、熱媒体は
加熱される。高温になった熱媒体は再び熱媒体温度制御
装置および循環装置101に導かれて冷却される。逆
に、永久磁石20の温度が熱媒体102の温度より低い
ときは、永久磁石は熱媒体によって加熱され、熱媒体は
熱をうばわれる。熱をうばわれた熱媒体は熱媒体温度制
御装置および循環装置101によって加熱される。ま
た、断熱材105が設置されているので、気温の変化に
対して永久磁石の温度変化はゆるやかであり、また、永
久磁石内に温度分布ができたとしても、最高温度と最低
温度の差を小さくすることができる。このようにすれ
ば、気温が変化しても常に永久磁石は予め設定された温
度あるいは温度範囲に保たれ、永久磁石が発生する磁束
密度の変化を抑えることができるので、気温の変化に合
わせて磁場微調整電磁石に流す電流を調整する必要がな
くなる。また、気温の変化が大きい場所でも、永久磁石
が発生している磁束密度の変動は小さく、磁場微調整電
磁石の調整可能範囲に納まるようにできるため、どのよ
うな気温の場所でも運転できる信頼性の高いジャイロト
ロン装置を提供することができる。
【0062】実施例18.実施例17では、永久磁石の
内面にパイプを取り付けて熱交換部分とした例を示した
が、空間的に余裕がない、あるいはジャイロトロン挿入
時に障害になるなどのことがある場合は、図23に示す
ように永久磁石20の外面にパイプを取り付け、熱交換
部分104とする方法でもよく、実施例17と同等の効
果がある。
【0063】実施例19.この発明の実施例19による
ジャイロトロン装置を図24、図25および図26を用
いて説明する。図25は、ジャイロトロンの電子ビーム
の加速電圧および電子ビーム電流を一定とした場合の、
ジャイロトロンの空胴共振器における軸方向の磁束密度
の変化に対する発振出力の変化を示している。この図に
は具体的な数値は記入していないが、一般に図示のよう
な関係がある。図26は、例えば電子ビームの加速電圧
bを30kVとし、電子ビーム電流Ibを1.2A で一定
とし、2倍高調波発振で28GHz のマイクロ波を発振さ
せた場合の、ジャイロトロンの空胴共振器における軸方
向の磁束密度の変化に対する発振出力の変化を示す実験
結果の例である。この図で、例えば磁束密度が5200
Gaussから5210Gaussに変化したとき、発振出力はお
よそ9.2kWから7.8kWに変化している。これを割合
で言えば、磁束密度の約0.2%の変化に対し、発振出
力はおよそ15%変化していることになる。この割合は
電子ビームの加速電圧、電子ビーム電流、周波数、基本
波発振あるいは高調波発振などの違いによって多少変化
するが、いずれの場合にも磁束密度の±0.2%程度の
変化に対し、発振出力は15%程度変化するものと予想
される。したがって、空胴共振器における軸方向の磁束
密度の変化を±0.2%程度以内に抑えることができれ
ば、ジャイロトロンの発振出力の変動を±15%程度以
内に抑えることができ、永久磁石の置かれている周囲の
気温の変化に合わせて磁場微調整電磁石の電流値を調整
しなくても、ジャイロトロンの発振出力の変動を小さく
抑えることができる。永久磁石の残留磁束密度温度係数
は、例えばネオジム系材料の場合およそ−0.1%/℃
であるから、この温度係数を用いると磁束密度の変化を
±0.2%程度以内に抑えるためには、永久磁石の温度
変化を±2℃程度以内に抑えればよいことになる。本実
施例では永久磁石の温度を予め設定された温度から±2
℃程度の範囲に保つ方法を述べる。
【0064】図24で、106は例えばニクロム線など
の加熱器、107は加熱器の電源、108は加熱器の電
源および冷却装置の制御をするための制御装置、70は
例えば熱電対、サーミスタなどの温度検出器、80は温
度測定装置、110は冷却装置である。これらをまとめ
て永久磁石の温度制御系118と呼ぶ。
【0065】永久磁石20の温度は温度検出器70と温
度測定装置80とで測定される。永久磁石の温度が予め
設定された温度より2℃以上低くなると、制御装置10
8は加熱器の電源107を作動させて、加熱器106に
電流を流し、永久磁石20を加熱する。永久磁石の温度
が予め設定された温度になれば、制御装置108は加熱
器の電源107を停止させる。また、逆に永久磁石20
の温度が予め設定された温度より2℃以上高くなると、
制御装置108は冷却装置110を作動させる。冷却装
置110は熱媒体102を冷却し、循環させる。熱媒体
102は熱交換部分104で永久磁石20を冷却し、再
び冷却装置110に戻ってくる。永久磁石の温度が予め
設定された温度になれば、制御装置108は冷却装置1
10を停止させる。また、断熱材105が設置されてい
るので、気温が変化しても永久磁石の温度変化はゆるや
かであり、また、永久磁石内に温度分布ができたとして
も、最高温度と最低温度の差を小さくすることができ
る。
【0066】このように構成すれば、永久磁石の温度を
予め設定された温度の±2℃の範囲内に保つことができ
る。したがって、既に記したように、この時磁束密度の
変動の大きさは±0.2%以内に抑えられ、ジャイロト
ロンの発振出力の変動を±15%程度以内に抑えること
ができるため、永久磁石が置かれている周囲の気温の変
化に合わせて磁場微調整電磁石に流す電流を調整する必
要がなく、発振出力を変化させたい時にのみ主磁場微調
整電磁石30あるいは電子銃磁場微調整電磁石50また
はその両方に流す電流を調整すればよいので、使い易い
ジャイロトロン装置を提供することができる。
【0067】ただし、図24では温度検出器70を、永
久磁石のジャイロトロン空胴共振器に近い部分1箇所に
取り付けているが、必ずしもこの部分に取り付ける必要
はなく、永久磁石の温度を測定できる箇所であればどこ
でもよい。また、複数箇所に取り付け、その平均温度を
とってもよい。
【0068】実施例20.実施例19では永久磁石の温
度をある範囲内に納まるように制御することによって、
永久磁石の置かれている周囲の気温の変化に合わせて磁
場微調整電磁石に流す電流を調整する必要がないように
したが、実施例5で述べたような、温度測定装置を用い
て、永久磁石の温度制御に加えて磁場微調整電磁石に流
す電流も制御できるようにすると、磁束密度をさらに高
精度で調整することができる。図27はその装置の構成
を示す図である。図27において、94は主磁場微調整
電磁石の励磁電源、98は電子銃磁場微調整電磁石の励
磁電源、109は加熱器の電源107、冷却装置11
0、主磁場微調整電磁石の励磁電源94、および電子銃
磁場微調整電磁石の励磁電源98を制御するための制御
装置であり、これらをまとめて磁場微調整電磁石に流す
電流の制御系117と呼ぶ。
【0069】このようにすれば、加熱器106、加熱器
の電源107、温度検出器70、温度測定装置80、冷
却装置110、制御装置109からなる永久磁石の温度
制御系118によって永久磁石の温度は予め設定された
温度の±2℃の範囲内に保たれた状態で、さらに主磁場
微調整電磁石30や電子銃磁場微調整電磁石50に流す
電流の制御系117は永久磁石20の温度に基づいて、
実施例5での説明と同様に動作して、上記の主磁場微調
整電磁石30、あるいは電子銃磁場微調整電磁石50ま
たはその両方に流す電流を調整する。したがって、実施
例19で述べたような、永久磁石の温度を予め設定され
た温度の±2℃の範囲内に保つ場合より、ジャイロトロ
ンの発振出力の変動はさら小さくなる。
【0070】このようにすることによって、ジャイロト
ロンから所望の発振出力を得るために必要な軸方向の磁
束密度を高精度で発生することができるため、実際のジ
ャイロトロンの発振出力と所望の発振出力との差は極め
て小さくなる。また、上記の磁場微調整電磁石に流す電
流を調整することによってジャイロトロンの発振出力を
変化させたい場合でも、磁場微調整電磁石に流す電流の
制御系117の中にある制御装置109に所望の発振出
力を入力することによって、その時の永久磁石の温度に
おいて磁場微調整電磁石に流すべき電流が自動的に励磁
電源から供給されるようにしておけば、操作性がよく、
信頼性の高いジャイロトロン装置を提供することができ
る。
【0071】ここで、本実施例における磁場微調整電磁
石に流す電流の制御系117は、永久磁石の温度を測定
し、その温度に基づいて動作するようになっているが、
実施例9と同様に磁束密度を測定し、その磁束密度に基
づいて動作するようにしてもよく、同等の効果が得られ
る。この場合は、温度検出器70と温度測定装置80に
加えて、さらに磁束密度測定素子77と磁束密度測定装
置87を用いる。また、図27では永久磁石の温度制御
系118の温度検出器70を、永久磁石のジャイロトロ
ン空胴共振器に近い部分1箇所に取り付けているが、必
ずしもこの部分に取り付ける必要はなく、永久磁石の温
度を測定できる箇所であればどこでもよい。また、複数
箇所に取り付け、その平均温度を永久磁石の温度として
もよい。さらに、本実施例では実施例19に示した温度
制御系118に、磁場微調整電磁石に流す電流の制御系
117を併用する例を示したが、上記、実施例19の永
久磁石の温度制御系118の代わりに、実施例14に示
した収納ケース201、または実施例15に示した加熱
機能付き断熱具210、または実施例16に示した室内
の空調装置206、あるいは実施例17及び実施例18
に示した熱媒体温度制御装置および循環装置101を用
いて、永久磁石20の温度を制御する温度制御系を用い
る方法でもよく、同等の効果が得られる。
【0072】実施例21.この発明の実施例21による
ジャイロトロン装置を図28を用いて説明する。実施例
19から実施例20では、永久磁石20の温度を測定
し、それに基づいて永久磁石の温度を制御する方法をと
っていたが、本実施例では、永久磁石20が発生してい
る磁束密度を測定し、それに基づいて永久磁石の温度を
制御する方法について述べる。実施例19の中でも述べ
たとおり、空胴共振器における磁束密度の変化を±0.
2%以内に抑えることができれば、ジャイロトロンの発
振出力の変動を±15%程度以内に抑えることができ、
永久磁石の置かれている周囲の気温の変化に合わせて磁
場微調整電磁石の電流値を調整しなくても、ジャイロト
ロンの発振出力の変動を小さくすることができる。
【0073】図28において、106は例えばニクロム
線などの加熱器、107は加熱器の電源、113は加熱
器の電源107の制御、および冷却装置110の制御を
するための制御装置、78は例えばホール素子などの磁
束密度測定素子、88は磁束密度を測定する際の本体装
置である磁束密度測定装置、110は冷却装置である。
ここで、磁束密度測定素子78は主磁場微調整電磁石3
0および電子銃磁場微調整電磁石50が発生している磁
束密度の影響を受けず、永久磁石20が発生している磁
場の磁束密度を測定する位置に取り付けられる。また、
これらをまとめて永久磁石の温度制御系130と呼ぶ。
【0074】永久磁石20の発生する磁束密度は、磁束
密度測定素子78と磁束密度測定装置88とで測定され
る。永久磁石の温度が比較的均一な場合には、永久磁石
の温度変化による発生磁場の変化の割合はいたるところ
同一である。即ち、永久磁石の温度変化により、図28
で磁束密度測定素子78が置かれた位置の磁束密度が、
例えば0.2%増加したならば空胴共振器付近の磁束密
度も0.2%増加している。したがって、永久磁石の温
度が予め設定された温度のときに磁束密度測定素子78
が測定した磁束密度と比較して、ある温度の時の磁束密
度が0.2%以上高かったならば、これは永久磁石の温
度が予め設定された温度より低いためであるから、磁束
密度測定装置88からの信号を受けた制御装置113は
加熱器の電源107を作動させて加熱器106に電流を
流し永久磁石20を加熱するので、永久磁石の温度は上
昇する。その結果、永久磁石が発生している磁束密度は
減少する。また、逆に磁束密度測定素子78が置かれた
位置の磁束密度が、0.2%以上減少していたならば空
胴共振器付近の磁束密度も0.2%以上減少しており、
これは永久磁石の温度が予め設定された温度より高いた
めであるから、磁束密度測定装置88からの信号を受け
た制御装置113は冷却装置110を作動させる。冷却
装置110は熱媒体102を冷却し、循環させる。熱媒
体102は熱交換部分104で永久磁石20を冷却し、
永久磁石の温度は下がる。その結果、永久磁石が発生し
ている磁束密度は増加する。
【0075】このように構成すれば、ジャイロトロン運
転時において永久磁石が発生している磁束密度を測定
し、予め設定された温度で永久磁石が発生していた磁束
密度と比較して、永久磁石が発生している磁束密度の変
化を±0.2%以内に抑えるように永久磁石の温度を制
御することによって、ジャイロトロンの発振出力の変動
を±15%程度以内に抑えることができるため、永久磁
石が置かれている周囲の気温の変化に合わせて磁場微調
整電磁石に流す電流を調整する必要がなく、発振出力を
変化させたいときのみ磁場微調整電磁石に流す電流を調
整すればよいので、使い易いジャイロトロン装置を提供
することができる。
【0076】実施例22.実施例21では、永久磁石2
0が発生している磁束密度を測定し、それに基づいて永
久磁石の温度をある範囲内に納めるように制御すること
によって、永久磁石の置かれている周囲の気温の変化に
合わせて磁場微調整電磁石に流す電流を調整する必要が
ないようにしたが、永久磁石の温度制御に加えて、磁束
密度測定装置によって磁場微調整電磁石に流す電流も制
御できるようにすると、磁束密度をさらに高精度で調整
することができる。図29はそのような装置の構成を示
す図である。図29において、94は主磁場微調整電磁
石の励磁電源、98は電子銃磁場微調整電磁石の励磁電
源、114は加熱器の電源107、冷却装置110、主
磁場微調整電磁石の励磁電源94、および電子銃磁場微
調整電磁石の励磁電源98を制御するための制御装置で
あり、これらをまとめて磁場微調整電磁石に流す電流の
制御系119と呼ぶ。
【0077】このようにすれば、永久磁石の温度制御系
130によって永久磁石20の温度は制御され、永久磁
石が発生している磁束密度は、ジャイロトロンから所望
の発振出力を得るために必要な磁束密度から±0.2%
の範囲内に保たれた状態で、さらに磁場微調整電磁石に
流す電流の制御系119は永久磁石20が発生している
磁束密度に基づいて実施例11と同様に動作して、必要
な電流を磁場微調整電磁石に流し、さらに精度よく磁束
密度を調整する。したがって、永久磁石の発生する磁束
密度の変動は、実施例21で述べたような±0.2%の
範囲内に抑えられる場合よりさらに小さい範囲内に抑え
られ、ジャイロトロンの発振出力の変動はさら小さくな
る。このようにすることによって、ジャイロトロンから
所望の発振出力を得るために必要な磁束密度を高精度で
発生することができるため、実際のジャイロトロンの発
振出力と所望の発振出力との差は極めて小さくなる。ま
た、主磁場微調整電磁石あるいは電子銃磁場微調整電磁
石またはその両方に流す電流を調整することによってジ
ャイロトロンの発振出力を変化させたい場合でも、上記
の磁場微調整電磁石に流す電流の制御系の中にある制御
装置114に所望の発振出力を入力することによって、
その時の永久磁石の温度において上記の磁場微調整電磁
石に流すべき電流が自動的に励磁電源から供給されるよ
うにしておけば、操作性がよく、信頼性の高いジャイロ
トロン装置を提供することができる。
【0078】実施例23.この発明の実施例23による
ジャイロトロン装置を図30を用いて説明する。ジャイ
ロトロンの動作のために必要な磁場を永久磁石と電磁石
を用いて発生させる磁場発生装置を利用したジャイロト
ロン装置においては、ジャイロトロンの運転上、上記電
磁石である主磁場微調整電磁石や電子銃磁場微調整電磁
石には適当な値の電流を流す必要があるため、上記各磁
場微調整電磁石での発熱は避けられない。また、ジャイ
ロトロンの電子銃部には、内部に900℃程度の高温に
なるカソードがあり、この発熱により、電子銃部の外壁
の温度は数10℃から100℃にまで上がることがあ
る。これらの発熱が大きい場合、永久磁石の温度を変化
させ、永久磁石が発生している磁束密度を変化させて、
ジャイロトロンの発振出力を変化させたり、低融点材料
を溶融させたりするなどの悪影響がある。本実施例で
は、ジャイロトロンの電子銃部および上記各磁場微調整
電磁石を冷却するための方法を述べる。
【0079】図30で120は空冷のための空気流発生
装置、121は空気流発生装置120によって発生した
空気の流れの方向を示し、122はジャイロトロン本体
と永久磁石20を接続するためのフランジで、ここには
空気が通過できる貫通穴が設けられている。このように
すれば、磁場微調整電磁石において発生した熱、および
電子銃のカソードでの発熱による電子銃部の外壁の熱を
除去することができるので、永久磁石の温度を変化させ
たり、低融点材料を溶融させたりするようなことがな
く、信頼性の高いジャイロトロン装置を得ることができ
る。ただし、本実施例では空気の流れの方向はジャイロ
トロンの電子銃側からコレクタ側へ流れるように描いて
あるが、逆方向のジャイロトロンのコレクタ側から電子
銃側への流れでもよく、同じ効果が得られる。
【0080】実施例24.実施例23では、ジャイロト
ロン装置の近くに空気流発生装置120をおいた例を示
したが、図31のようにある程度離れた位置に空気流発
生装置120を置き、パイプ123等で導くようにして
もよく、実施例23と同等の効果がある。また、空気の
流れの方向は図示と逆でもよいことは言うまでもない。
【0081】実施例25.実施例23から実施例24で
は、ジャイロトロンの電子銃側に空気流発生装置120
を設置するようにした例を示したが、図32のようにコ
レクタ側に設置するようにしてもよく、実施例23から
実施例24と同等の効果を発揮する。また、空気の流れ
の方向は図示と逆でもよいことは言うまでもない。
【0082】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1によれ
ば、ジャイロトロン装置における磁場発生装置を永久磁
石と電磁石とで構成し かつ永久磁石の温度を測定する
温度測定手段を設けたので、永久磁石の温度変化による
発生磁場の磁束密度の変化を調整できるようになり、信
頼性が向上する。
【0083】また、本発明の請求項2によれば、永久磁
石の温度を測定する温度測定手段を設けるとともに、予
め求められた、永久磁石の温度と、所望の発振出力を得
るために電磁石に流すべき励磁電流との関係に基づき、
温度測定手段で得られた上記永久磁石の温度に対応し
て、電気信号を電磁石の励磁電源に送り、上記励磁電流
の不足分、または過剰分を調整する制御手段を設けたの
で、温度変化があっても、容易に所望の発振出力が得ら
れ、信頼性、操作性が向上する。
【0084】また、本発明の請求項3によれば、永久磁
石と電磁石からなる磁場発生装置において、上記電磁石
を、永久磁石の温度変化による発生磁場の変化を調整す
るための電磁石とジャイロトロンの発振出力を制御する
ための電磁石とに分けたので、操作性が向上する。
【0085】また、本発明の請求項4によれば、永久磁
石と電磁石で磁場発生装置を構成するジャイロトロン装
置に対し、永久磁石の温度に応じて電磁石に流す励磁電
流を変化させて、上記永久磁石の温度変化より生ずる、
所望の発振出力を得るために必要な磁束密度の不足分、
または過剰分を調整するようにしたので、温度変化があ
っても所望の発振出力が得られ、信頼性が上がる。
【0086】また、本発明の請求項5によれば、磁場発
生装置が発生している磁束密度を測定する磁束密度測定
手段、及び測定された磁束密度と、予め求められた、所
望の発振出力を得るために必要な磁束密度とを比較し
て、磁束密度の不足分、または過剰分に対応する電気信
号を、上記電磁石の励磁電源に送り、上記磁束密度を調
整する制御手段を設けたので、温度変化があっても、容
易に所望の発振出力が得られ、信頼性、操作性が向上す
る。
【0087】また、本発明の請求項6によれば、磁場発
生装置の構成要素の一つである電磁石として、所望の発
振出力を得るために必要な空胴共振器における軸方向の
磁束密度のうちの±10%以下の磁束密度を調節できる
主磁場微調整電磁石を設置したので、ジャイロトロン装
置を小型にし、ランニングコストを極めて安くするとと
もに、操作性を容易にする。
【0088】また、本発明の請求項7によれば、磁場発
生装置の構成要素の一つである電磁石として、所望の発
振出力を得るために必要な電子銃のカソード上の電子放
出部における軸方向の磁束密度のうちの±10%以下の
磁束密度を調節できる電子銃磁場微調整電磁石を設置し
たので、ジャイロトロン装置を小型にし、ランニングコ
ストを極めて安くするとともに、操作性を容易にする。
【0089】また、本発明の請求項8によれば、ジャイ
ロトロンの発振動作に必要な軸方向磁場の発生を、永久
磁石と電磁石から構成される磁場発生装置で行わせるよ
うにするとともに、上記永久磁石の温度を調節する温度
制御機構を設けたので、信頼性、操作性が向上する。
【0090】また、本発明の請求項9によれば、永久磁
石の温度を測定する温度測定手段を設け、温度制御機構
は、永久磁石の温度が、予め設定された温度に対して±
2℃以内に納まるように永久磁石の温度を調節するよう
にしたので、信頼性、操作性が向上する。
【0091】また、本発明の請求項10によれば、永久
磁石が発生している磁束密度を測定する磁束密度測定手
段を設け、温度制御機構は、永久磁石が発生している磁
束密度が、予め設定された磁束密度に対して±0.2%
以内に納まるように永久磁石の温度を調節するようにし
たので、信頼性、操作性が向上する。
【0092】また、本発明の請求項11によれば、ジャ
イロトロンの電子銃部あるいは電磁石の少なくとも一方
を冷却する冷却手段を設けたので、信頼性が上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1によるジャイロトロン装置
を示す構成図である。
【図2】永久磁石を用いて軸方向磁場を発生させる一例
を説明する説明図である。
【図3】永久磁石の温度変化による発生磁場の変化があ
る時のジャイロトロン装置の運転方法を説明する説明図
である。
【図4】この発明の実施例2によるジャイロトロン装置
を示す構成図である。
【図5】この発明の実施例2による他のジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施例3によるジャイロトロン装置
を示す構成図である。
【図7】この発明の実施例4によるジャイロトロン装置
を示す構成図である。
【図8】この発明の実施例5によるジャイロトロン装置
を示す構成図である。
【図9】この発明の実施例6によるジャイロトロン装置
を示す構成図である。
【図10】この発明の実施例7によるジャイロトロン装
置を示す構成図である。
【図11】この発明の実施例8によるジャイロトロン装
置を示す構成図である。
【図12】この発明の実施例9によるジャイロトロン装
置を示す構成図である。
【図13】永久磁石の温度変化による発生磁場の変化が
ある時のジャイロトロン装置の運転方法を説明する説明
図である。
【図14】この発明の実施例10によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図15】この発明の実施例11によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図16】永久磁石の温度変化による発生磁場の変化が
ある時のジャイロトロン装置の運転方法を説明する説明
図である。
【図17】この発明の実施例12によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図18】この発明の実施例13によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図19】この発明の実施例14によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図20】この発明の実施例15によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図21】この発明の実施例16によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図22】この発明の実施例17によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図23】この発明の実施例18によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図24】この発明の実施例19によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図25】空胴共振器における磁束密度の変化に対す
る、ジャイロトロンの発振出力の一般的な変化を示す定
性的なグラフである。
【図26】この発明の実施例19に係わるジャイロトロ
ンの空胴共振器部における磁束密度の変化に対する発振
出力の変化を示すグラフである。
【図27】この発明の実施例20によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図28】この発明の実施例21によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図29】この発明の実施例22によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図30】この発明の実施例23によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図31】この発明の実施例24によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図32】この発明の実施例25によるジャイロトロン
装置を示す構成図である。
【図33】従来のジャイロトロン装置の概略を示す構成
図である。
【図34】従来の他のジャイロトロン装置の概略を示す
構成図である。
【符号の説明】
1 電子銃、2 カソード、3 電子放出部、4 第1
アノード、5 第2アノード、6 空胴共振器、7 コ
レクタ、8 出力窓、9 電子ビーム、10高周波、1
3 フランジ、14 アノード、20,25 永久磁
石、30,31,32,33,34,35,36 主磁
場微調整電磁石、40,41 温度変化による磁場変化
調整用の主磁場微調整電磁石、45 出力制御用の主磁
場微調整電磁石、50,51,52,53,54,5
5,56 電子銃磁場微調整電磁石、60,61 温度
変化による磁場変化調整用の電子銃磁場微調整電磁石、
65出力制御用の電子銃磁場微調整電磁石、70,7
1,72,73 温度検出器、77,78 磁束密度測
定素子、80,81 温度測定装置、82,83,84
制御装置、85 温度計、87,88 磁束密度測定
装置、90 磁場微調整電磁石の励磁電源、91,9
2,93,94 主磁場微調整電磁石の励磁電源、9
5,96,97,98 電子銃磁場微調整電磁石の励磁
電源、101 熱媒体温度制御装置および循環装置、1
02 熱媒体、103 パイプ、104 熱交換部分、
105 断熱材、106 加熱器、107 加熱器の電
源、108,109,113,114 制御装置、11
0 冷却装置、117,119 磁場微調整電磁石に流
す電流の制御系、118,130 永久磁石の温度制御
系、120 空気流発生装置、121 空気の流れの方
向、122 フランジ、123パイプ、130 永久磁
石の温度制御系、200 ジャイロトロン、201収納
ケース、202 温度制御装置、203 導波管、20
4 架台、205ジャイロトロン装置の置かれている部
屋、206 空調装置、210 加熱機能付き断熱具、
300 ジャイロトロン装置、301 ジャイロトロン
装置本体。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビームを射出する電子銃と、射出電
    子に旋回運動を起こさせる軸方向磁場を発生する磁場発
    生装置と、旋回電子と固有モードで共振している高周波
    電磁場との間でサイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさ
    せる空胴共振器と、この空胴共振器内を通過した電子ビ
    ームを回収するコレクタと、上記サイクロトロン共鳴メ
    ーザ作用により発生した高周波を外部に取り出す出力窓
    とを備え、上記磁場発生装置が永久磁石と電磁石を用い
    て構成されたジャイロトロン装置において、上記永久磁
    石の温度を測定する温度測定手段を設けたことを特徴と
    するジャイロトロン装置。
  2. 【請求項2】 予め求められた、永久磁石の温度と、所
    望の発振出力を得るために電磁石に流すべき励磁電流と
    の関係に基づき、温度測定手段で得られた上記永久磁石
    の温度に対応して、電気信号を上記電磁石の励磁電源に
    送り、上記励磁電流の不足分、または過剰分を調整し、
    磁場発生装置が発生する磁束密度を制御する制御手段を
    備えたことを特徴とする請求項1記載のジャイロトロン
    装置。
  3. 【請求項3】 磁場発生装置を構成する電磁石を、永久
    磁石の温度変化による発生磁場の変化を調整する電磁石
    と、発振出力を制御する電磁石とに分けて設置したこと
    を特徴とする請求項1または2記載のジャイロトロン装
    置。
  4. 【請求項4】 永久磁石と電磁石で構成された磁場発生
    装置により、電子銃より出射する射出電子に旋回運動を
    起こさせて、空胴共振器内を通過する旋回電子と固有モ
    ードで共振している高周波電磁場との間でサイクロトロ
    ン共鳴メーザ作用を起こさせ、上記サイクロトロン共鳴
    メーザ作用により発生した高周波を外部に取り出すジャ
    イロトロン装置において、上記永久磁石の温度に応じて
    上記電磁石に流す励磁電流を変化させ、上記永久磁石の
    温度変化より生ずる、所望の発振出力を得るために必要
    な磁束密度の不足分、または過剰分を調整するようにし
    たジャイロトロン装置の出力調整方法。
  5. 【請求項5】 電子ビームを射出する電子銃と、射出電
    子に旋回運動を起こさせる軸方向磁場を発生する磁場発
    生装置と、旋回電子と固有モードで共振している高周波
    電磁場との間でサイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさ
    せる空胴共振器と、この空胴共振器内を通過した電子ビ
    ームを回収するコレクタと、上記サイクロトロン共鳴メ
    ーザ作用により発生した高周波を外部に取り出す出力窓
    とを備え、上記磁場発生装置が永久磁石と電磁石を用い
    て構成されたジャイロトロン装置において、上記磁場発
    生装置が発生している磁場の磁束密度を測定する磁束密
    度測定手段、及び測定された磁束密度と、予め求められ
    た、所望の発振出力を得るために必要な磁束密度とを比
    較して、磁束密度の不足分、または過剰分に対応する電
    気信号を、上記電磁石の励磁電源に送り、上記磁束密度
    を調整する制御手段を備えたことを特徴とするジャイロ
    トロン装置。
  6. 【請求項6】 磁場発生装置を構成する電磁石は、所望
    の発振出力を得るために必要な空胴共振器における軸方
    向の磁束密度のうちの±10%以下を調節する主磁場微
    調整電磁石を有することを特徴とする請求項1ないし
    3、または5のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
  7. 【請求項7】 磁場発生装置を構成する電磁石は、所望
    の発振出力を得るために必要な電子銃のカソード上の電
    子放出部における軸方向の磁束密度のうちの±10%以
    下を調節する電子銃磁場微調整電磁石を有することを特
    徴とする請求項1ないし3、5、または6のいずれかに
    記載のジャイロトロン装置。
  8. 【請求項8】 電子ビームを射出する電子銃と、射出電
    子に旋回運動を起こさせる軸方向磁場を発生する磁場発
    生装置と、旋回電子と固有モードで共振している高周波
    電磁場との間でサイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさ
    せる空胴共振器と、この空胴共振器内を通過した電子ビ
    ームを回収するコレクタと、上記サイクロトロン共鳴メ
    ーザ作用により発生した高周波を外部に取り出す出力窓
    とを備え、上記磁場発生装置が永久磁石と電磁石を用い
    て構成されたジャイロトロン装置において、上記永久磁
    石の温度を調節する温度制御機構を備えたことを特徴と
    するジャイロトロン装置。
  9. 【請求項9】 永久磁石の温度を測定する温度測定手段
    を設け、温度制御機構は、上記永久磁石の温度が、予め
    設定された温度に対して±2℃以内に納まるように上記
    永久磁石の温度を調節することを特徴とする請求項8記
    載のジャイロトロン装置。
  10. 【請求項10】 永久磁石が発生している磁束密度を測
    定する磁束密度測定手段を設け、温度制御機構は、上記
    永久磁石が発生している磁束密度が、予め設定された磁
    束密度に対して±0.2%以内に納まるように上記永久
    磁石の温度を調節することを特徴とする請求項8記載の
    ジャイロトロン装置。
  11. 【請求項11】 ジャイロトロンの電子銃部または電磁
    石の少なくとも一方を冷却する冷却手段を設けたことを
    特徴とする請求項1ないし3、または5ないし10のい
    ずれかに記載のジャイロトロン装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010526417A (ja) * 2007-05-04 2010-07-29 マックス プランク ゲゼルシャフト ツゥアー フェデルゥン デル ヴィッセンシャフテン エー フォー 電子ビームコレクタの掃引を制御する方法及び装置
WO2014017758A1 (ko) * 2012-07-26 2014-01-30 성균관대학교 산학협력단 싸이클로트론 전자석의 자기장 측정장치
CN114242545A (zh) * 2021-11-23 2022-03-25 中国工程物理研究院应用电子学研究所 一种紧凑型千瓦级毫米波源

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