JPH0819755A - 粉体塗装方法 - Google Patents

粉体塗装方法

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JPH0819755A
JPH0819755A JP17969394A JP17969394A JPH0819755A JP H0819755 A JPH0819755 A JP H0819755A JP 17969394 A JP17969394 A JP 17969394A JP 17969394 A JP17969394 A JP 17969394A JP H0819755 A JPH0819755 A JP H0819755A
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heating step
coating
melting
curing
heating
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JP17969394A
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Keijiro Maeda
敬二郎 前田
Tadao Murakami
忠男 村上
Mikio Imai
幹雄 今井
Koichi Kawaguchi
功一 川口
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AKABANE TOKOU KOGYO KK
Sony Corp
Original Assignee
AKABANE TOKOU KOGYO KK
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁膜内に気泡を残さず、またエッジカバー
率を上げることのできる粉体塗装方法を提供する。 【構成】 導電体に対して電気絶縁抵抗特性を得るため
に施す粉体塗装方法として、少なくとも次の(A)〜
(C)の工程を行なう。(A)被塗装体である導電体に
塗料を付着させる塗装工程。(B)塗料を熔融状態に保
つ熔融加熱工程。(C)塗料を硬化させる硬化加熱工
程。また、少なくとも(A)の塗装工程及び(B)の熔
融加熱工程を含む工程を複数回繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電体に対して電気絶縁
抵抗特性を得るために施す粉体塗装方法にかかり、特に
静電型スピーカの電極板の絶縁塗装に関して好適なもの
である。
【0002】
【従来の技術】一対の固定電極間を対向配置し、かつこ
の固定電極間に振動体を配するようにしてスピーカユニ
ットを構成した静電型スピーカが知られている。この静
電型のスピーカユニットに対しては、一対の固定電極間
に駆動信号を印加するとともに、振動体の電極と固定電
極との間に直流バイアス電圧を印加することにより、駆
動信号に応じた音圧を発生させる。
【0003】図6は本出願人が先に提案した構造技術に
かかる静電型スピーカユニットの外観図であり、図7は
その断面図である。このスピーカユニット1は、フレー
ム2,フレーム3がネジNによって接合されて形成され
ている。そして図7(a)から分かるようにフレーム
2,フレーム3の内方には固定電極4A,4Bが対向状
態で配されている。この固定電極4A,4Bは、フレー
ム2,フレーム3の中央に形成されている開口部2a,
3aから外部に露出されている。また、図6からわかる
ように固定電極4A(及び4B)は長方形状の平板とさ
れ、多数の開口Hが形成される。
【0004】固定電極4A,4Bの間隙部分には振動膜
9が配される。この振動膜9の周囲端部は金属枠体7及
び振動体電極8によって挟持され、弾性体6を介してフ
レーム2,3内に装着される。振動膜9は例えばポリエ
ステルフィルムに導電性の薄膜を施して形成されてい
る。
【0005】固定電極4A,4Bの間隙に位置する振動
膜9は、固定電極4A及び4Bに対して所定長のエアギ
ャップCが設けられる。図7(b)に拡大して示すよう
に固定電極4A及び4Bの周辺部位にはスペーサ5A,
5Bが配され、振動膜9はスペーサ5A,5Bによって
挟接された状態となっており、即ち、スペーサ5A,5
Bの厚みによってエアギャップCの長さ(ギャップサイ
ズ)が高精度に設定されるように構成されている。
【0006】例えばこのような構造のスピーカユニット
に対して、図8のような回路で駆動信号及びバイアス電
圧が印加される。即ち、昇圧トランス11の1次巻線側
に商用電源が入力されるように構成し、この昇圧トラン
ス11の2次巻線側を、ダイオード12〜18及びコン
デンサ19〜26により形成された多段倍電圧整流回路
に接続している。そして、この多段倍電圧整流回路の出
力をトランス30の2次巻線側の中間タップに接続して
いる。
【0007】トランス30の2次巻線はそれぞれ抵抗2
8,29を介して固定電極4A,4Bに接続されてお
り、また、昇圧トランス11の2次巻線の一端は抵抗2
7を介して端子TC から振動体電極8(即ち振動膜9)
に接続されているため、振動膜9と固定電極4A、及び
振動膜9と固定電極4Bの間に直流バイアス電圧が印加
されることになる。この直流バイアス電圧は例えば2.5K
V という高い電圧とされる。
【0008】また、このスピーカ装置が接続されている
パワーアンプからは、トランス30の1次巻線側に接続
されている端子間に音声信号が供給される。この音声信
号が抵抗31を介してトランス30の1次巻線側に流れ
ると、トランス30によって昇圧され2次巻線側に駆動
信号としてあらわれることになり、この駆動信号が端子
F ,TR から固定電極4A,4Bに印加される。
【0009】このような静電型スピーカの場合において
駆動力Fは、クーロンの法則に基づいて一般的に、
【数1】 であらわされることになる。ただし、q1 ,q2 は各電
極の電荷、rは電極間の距離、kは比例定数である。
【0010】静電型スピーカはこのように表わされる駆
動力Fによって動作されるものであり、従って、直流バ
イアスによる電荷をq1 、交流駆動信号による電荷をq
2 と考えると、駆動力は直流バイアスと交流駆動信号の
積に依存することが理解される。このため、駆動力を上
げ、感度を向上させようとする場合は、直流バイアス電
圧を上限まで上げることが一般的に行なわれる。
【0011】ところで、この上限の値とは、エアーギャ
ップCの耐電圧となる。エアーギャップCの耐電圧は通
常4.5kV/mmといわれている。しかし実際には、
直流バイアス電圧に交流駆動信号が重畳されることや、
空気中の湿気や固定電極へのゴミの付着等によりエアー
ギャップCの耐電圧が低下したりすることを考えると、
上限までバイアス電圧を上げることはできない。エアー
ギャップCの耐圧をこえると、コロナ放電やアーク放電
が起こり、大きなノイズが発生したり振動膜9が破壊さ
れてしまったりするためである。このため、スピーカ装
置としての感度を十分に上げることは困難であった。
【0012】上記放電や破壊を避け、感度を向上するた
めには、固定電極の表面に粉体塗装などで絶縁処理を施
すことが考えられる。すなわち図9(a)に模式的に示
すように固定電極4A,4Bの表面に絶縁膜32を形成
するものである。
【0013】この図9(a)のスピーカユニット部位の
等価回路は図9(b)に示されるようになる。この等価
回路において、CI1,CI2は絶縁膜32のキャパシタン
ス、CA1,CA2はエアーギャップCのキャパシタンス、
I1,RI2は絶縁膜32の抵抗分、RS1,RS2はエアー
ギャップCの構成部材(スペーサ5A,5B)の表面抵
抗となる。
【0014】この場合の動作を考えるとエアーギャップ
Cに発生するバイアス電圧VBaは、抵抗分圧により、
【数2】 となる。ただし、VBoはバイアス電源電圧とする。
【0015】また、交流駆動信号VDaを固定電極4A,
4B間でみると、
【数3】 となる。ただしVDoは供給駆動電圧とする。
【0016】この(数2)(数3)に基づいて感度向上
について考えると、
【数4】
【数5】 の条件が必要となる。
【0017】(数4)が満たされることで十分なバイア
ス電圧がとれ、また(数5)が満たされることにより、
駆動信号としての十分な感度がとれることになる。そし
て、(数4)を満たすには、ギャップ構成部品であるス
ペーサ5A,5Bに塩化ビニールやアクリル等の高絶縁
材料を用いることが考えられ、また(数5)に関して
は、通常絶縁材として用いられるエポキシ等の誘電率
は、空気のそれよりも十分に高いので(数5)は容易に
満たされることになる。
【0018】そしてさらに、このように絶縁膜32を設
ける場合は、絶縁膜32の抵抗分RI1,RI2を高く設定
しておくことにより、万一リークが発生しても、可聴レ
ベルの高圧のノイズを発生したり部品破壊を生じさせる
ことを防止できるという特徴も得られる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
固定電極4A,4Bに対する絶縁膜32の形成のための
手法としては流動浸漬式粉体塗装、静電式流動浸漬粉体
塗装、静電式吹き付け粉体塗装がとられていた。
【0020】流動浸漬式粉体塗装の工程は、図10
(a)に示すように、まず前加熱工程として固定電極4
A,4Bとなる電極板を加熱する。そして塗装工程とし
て、粉体塗料を浮遊させているタンク内に前加熱を施し
た電極板を投入する。すると電極板の熱により粉体塗料
が電極板上で溶かされて付着される。最後に硬化加熱工
程として、粉体塗料が付着された電極板に対して粉体塗
料を硬化させるための加熱を行なう。
【0021】静電式流動浸漬粉体塗装の場合は図10
(b)のようにまず高圧印加工程として、電極板に高圧
を印加し、電極板に静電気を発生させる。その後はほぼ
同様で塗装工程として、粉体塗料を浮遊させているタン
ク内に電極板を投入する。すると電極板の静電気により
粉体塗料が引き付けられて電極板に付着される。最後に
硬化加熱工程として、粉体塗料が付着された電極板を加
熱して粉体塗料を硬化させる。
【0022】静電式吹き付け粉体塗装は、図10(b)
の塗装工程において塗料の流動浸漬ではなく吹き付けが
行なわれるものである。
【0023】ところが、これらの塗装工程において、硬
化加熱工程では粉体塗料の完全硬化に必要な比較高い温
度の加熱を行なうため、粉体塗料の熔融からゲル化まで
の時間が短いものとなる。このため、塗装工程で巻き込
んだ空気が排出されないまま気泡として塗料、即ち絶縁
膜32内に残ってしまうという問題があった。
【0024】図11はその現象を模式的に示したもの
で、塗装工程により図11(a)のように粉体塗料Pが
電極板4に付着されるが、このとき粉体塗料Pと電極板
4の間に空気Aが巻き込まれた状態となる。これを硬化
加熱工程に送ると、図11(b)のように粉体塗料Pは
熔融されてそのまま液化し、その後短時間で図11
(c)のように完全硬化してしまうため、粒子間に存在
していた空気Aは排出されず、最終的に図11(c)に
ARとして示すように気泡として残ってしまう。
【0025】このような絶縁膜32内の気泡の存在は、
固定電極4A,4Bの耐電圧を低下させる要因となって
おり、スピーカ性能の低下につながることになってい
た。
【0026】また、気泡ARを完全硬化前に排出させる
ためには、粉体塗料の熔融からゲル化までの時間を長く
することが考えられるが、このために硬化加熱工程にお
ける加熱温度を下げると、粉体塗料が不完全硬化となっ
てしまい、これも絶縁膜32としての本来の性能を発揮
できないことになる。
【0027】また、絶縁膜32の電気的絶縁性能に悪影
響を与えるものは、上記の気泡ARと並んで、膜厚の不
定部分の存在というものがある。図12は電極板4に対
して上記塗装方法で絶縁膜32を形成した状態を断面図
で示している。この図からわかるように、塗装による膜
厚は平坦部分の膜厚taに比べてコーナー部分の膜厚t
cでは表面張力により薄くなってしまう。絶縁膜32の
絶縁性能は膜厚に比例するものであり、かつ最も薄い部
分の絶縁性が支配的なものとなる。従って、コーナ部分
で膜厚が薄くなってしまうことは絶縁性能の低下につな
がる。
【0028】平坦部とコーナー部の膜厚の比率をエッジ
カバー率と呼んでいるが、このエッジカバー率ξは、図
中のta、tcについて、
【数6】 となる。即ちこのエッジカバーξを向上させることは固
定電極4A,4Bの性能向上につながり、これを実現す
る塗装方法が求められている。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題
点に鑑みて、絶縁膜内に気泡を残さず、またエッジカバ
ー率を上げることのできる粉体塗装方法を提供すること
を目的とする。
【0030】このために、導電体に対して電気絶縁抵抗
特性を得るために施す粉体塗装方法として、少なくとも
次の(A)〜(C)の工程が含まれるようにする。即
ち、(A)被塗装体である導電体に塗料を付着させる塗
装工程と、(B)塗料を熔融状態に保つ熔融加熱工程
と、(C)塗料を硬化させる硬化加熱工程である。
【0031】また、少なくとも(A)の塗装工程及び
(B)の熔融加熱工程を含む工程を複数回繰り返すよう
にする。
【0032】
【作用】熔融加熱工程により、電極板に付着した粉体塗
料は十分に液化し、このとき粉体塗料と電極板の間の空
気は排出される。また複数回の塗装を行なうことで、最
初の塗装層によりコーナ部分は湾曲され、その次の塗装
ではエッジの影響は少なくなるため、総合的にみてエッ
ジカバー率を上げることができる。
【0033】
【実施例】以下、図1〜図5により本発明の実施例を説
明する。図1(a)〜(c)は本発明の実施例となる流
動浸漬式粉体塗装の工程について3つの例を示している
ものである。
【0034】図1(a)は前加熱工程、塗装工程の後、
熔融加熱工程を経てから硬化加熱工程を行なうものであ
る。図1(b)は前加熱工程、塗装工程、熔融加熱工程
を行なった後、再び前加熱工程、塗装工程、熔融加熱工
程を実行し、最後に硬化加熱工程を行なうものである。
図1(c)は前加熱工程、塗装工程、熔融加熱工程、硬
化加熱工程を行なった後、再び前加熱工程、塗装工程、
熔融加熱工程、硬化加熱工程を行なうものである。
【0035】いづれにしても本発明の場合、塗装工程の
後、硬化加熱工程に至る前に熔融加熱工程が存在するこ
とになる。なお、図1(b)の手順では前加熱工程、塗
装工程、熔融加熱工程が2回行なわれているが、これが
3回以上実行されてもよい。また、図1(c)では前加
熱工程、塗装工程、熔融加熱工程、硬化加熱工程が2回
実行されるものであるが、これが3回以上実行されても
よい。
【0036】この図1では流動浸漬式粉体塗装を例にあ
げているが、静電式流動浸漬粉体塗装において本発明が
適用される場合は前加熱工程が高圧印加工程とされれば
よい。また、静電式吹き付け粉体塗装において本発明が
適用される場合は前加熱工程が高圧印加工程とされると
ともに、塗装工程が吹き付け塗装となるものである。
【0037】静電式流動浸漬粉体塗装、静電式吹き付け
粉体塗装においても本発明は熔融加熱工程により同様の
効果を得ることができるものであるため、以下、流動浸
漬式粉体塗装を例として実施例を説明していく。
【0038】図3は加熱による粉体塗料の変移を示した
ものである。粉体塗料に対して約70°C〜80°Cに
加熱すると、粉体塗料粒子は熔融状態となる。さらに、
150°Cの温度を加えると硬化する。ここで、本実施
例では、熔融加熱工程において一定時間70°C〜80
°C程度に加熱することにより、塗料に巻き込まれた気
泡を排出するものである。
【0039】粉体塗装工程に熔融加熱工程を加えること
による気泡排出作用を図2で説明する。図2(a)は塗
装工程の状態を示す。即ち、前加熱工程により熱っせら
れた電極板4を粉体塗料を浮遊させているタンク内に投
入する工程である。このとき、電極板4の熱により粉体
塗料が電極板に付着されていく。
【0040】ここで、電極板4の熱により付着した粉体
塗料の粒子は順々に熔融を開始する。即ち、図2(b)
(c)(d)の状態に変移していく。この後、熔融加熱
工程で一定時間70°C〜80°Cの加熱状態を保つ。
このときの加熱手段としては、中〜遠赤外線ヒータ又は
電磁式ヒータを用いて内部の電極板4側から加熱してい
く。すると、この熔融加熱工程において、図2(e)に
示すように粉体塗料の粒子Pは十分に液化することにな
り、このとき、粉体塗料の粒子Pと電極板4の間に残さ
れていた気泡ARは塗料表面側に排出されていく。
【0041】その後、最後に硬化加熱工程として、粉体
塗料が付着された電極板に対して粉体塗料を硬化させる
ための150°C程度の加熱を行なう。すると、液化し
ていた塗料が硬化されていくが、すでに気泡は排出され
ているため図2(f)のように気泡の存在しない絶縁膜
32が形成されることになる。
【0042】このように塗装工程の後に熔融加熱工程が
実行されることで、気泡を排出することができ、またそ
の後に硬化加熱工程を行なうことで、不完全硬化となる
こともない。つまり、図1(a)〜(c)のいづれの工
程例でも、図2の作用により気泡のない絶縁膜32を生
成できることになる。
【0043】図4に前加熱工程、塗装工程、熔融加熱工
程を行なう装置を模式的に示す。図4(a)は上面側か
らみた状態、図4(b)は側面側からみた状態である。
41はコンベヤでありローラ42によって駆動される。
このコンベヤ41にハンガーによって電極板4が吊され
て搬送される。43は前加熱用ヒータ、44は塗料タン
ク、45はエアー送り装置、46はエレベータ機構であ
る。また、47a,47bは熔融加熱用ヒータを示す。
【0044】コンベヤ41に搬送される電極板4は、ま
ず前加熱用ヒータ43によって前加熱される。例えば前
加熱用ヒータ43により雰囲気温度260°Cで27秒
間の加熱が行なわれる。前加熱用ヒータ43による前加
熱工程が終了すると、電極板4は塗料タンク44の上方
に送られる。塗料タンク44の内部にはエアー送り装置
45によりエアーが送られており、これにより塗料タン
ク44内部では粉体塗料が浮遊状態で舞っている。この
粉体塗料の材料構成は、約50%がエポキシ樹脂であと
の50%が添加物(絶縁材)とされている。
【0045】塗料タンク44の上方で電極板4はエレベ
ータ機構46によって一旦コンベヤから外され、塗料タ
ンク44の内部に0.1 秒間程度浸漬される。このとき、
図2(a)〜(d)のように粉体塗料の粒子Pが付着さ
れていく。そして、電極板4はエレベータ機構46によ
って塗料タンク44から引き上げられ、再びコンベア4
1に吊されて搬送され、熔融加熱工程に入る。
【0046】即ち、まず熔融加熱用ヒータ47aの部位
に搬送されて、例えば雰囲気温度160°Cの出力で1
8秒間加熱される。その後、熔融加熱用ヒータ47bの
部位に搬送されて、例えば雰囲気温度100°Cの出力
で18秒間加熱される。この熔融加熱用ヒータ47a,
47bによる熔融加熱工程では電極板4が70°C程度
の状態に保たれており、このとき、図2(e)のように
気泡が排出される。
【0047】図1(a)の例の場合は、以上の工程が終
了したら電極板4はコンベア41から外されて他の加熱
装置に送られ、硬化加熱が行なわれることになる。硬化
加熱工程としては150°Cの状態で30分程度加熱さ
れ、塗料が乾燥(硬化)される。
【0048】また、図1(b)の例の場合は、一旦熔融
加熱工程が終了されてもそのままコンベア41で搬送さ
れ、再び前加熱用ヒータ43の部位に送られる。そして
前加熱工程、塗装工程、熔融加熱工程が行なわれる。図
1(c)の例の場合では硬化加熱後に再び図4の装置で
前加熱、塗装、熔融加熱が行なわれ、最後に硬化加熱が
行なわれる。
【0049】以上のように図1に例示した本発明の塗装
方法では、熔融加熱工程により塗料に巻き込まれた気泡
を排出することができ、気泡のない絶縁膜32にを形成
することができる。これによって固定電極4A,4Bと
しての絶縁性能は向上され、スピーカ性能を向上させる
ことができる。
【0050】ところで、図1(b)(c)の例は、いわ
ゆる塗装を2回行なうものであり、本発明にかかるこの
塗装方法によってエッジカバー率を向上させることがで
きる。以下、これについて説明する。
【0051】図1(b)において最初の熔融加熱工程が
終了した時点、もしくは図1(c)において最初の硬化
加熱工程が終了した時点での状態を図5(a)に示す。
この1回目の塗装を行なった図5(a)の状態で絶縁膜
として平面部分で膜厚t1 が形成されたとする。この塗
装に使用した塗料のエッジカバー率をaとすると、図5
(a)での電極板4のコーナー部分の膜厚t1Cは、
【数7】 となる。
【0052】ここで、2回目の塗装(前加熱工程、塗装
工程、熔融加熱工程、硬化加熱工程)を行なう。このと
き1回目の塗装により電極板のコーナ部分はかなり湾曲
され、大きなR形状となっているため、2回目の塗装に
おけるエッジカバー率はほぼ100%となる。
【0053】従って2回の塗装で形成される膜厚をt2
とし、t2 =2t1 とすると、2回目の塗装時にはコー
ナ部分にもt1 の厚みが形成され、結局コーナー部分の
厚みt2Cとしては、t2C=t1 +t1Cとなる。従って上
記(数7)を用いて図5(b)の状態でのエッジカバー
率ξは、
【数8】 となる。つまり、通常エッジカバー率を50%以上とす
ることは非常に困難であるところ、本実施例の場合、エ
ッジカバー率を容易に50%以上とすることができる。
そして、これにより絶縁膜32の絶縁性能を向上させる
ことができ、従って上述のとおり気泡を排除することと
合わせて、固定電極4A,4Bの性能を著しく向上させ
ることができる。
【0054】なお、本発明は実施例に限定されるもので
はなく、要旨の範囲内で各種手順の付加、変更が考えら
れることはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明の粉体塗装方
法では、被塗装体である導電体に塗料を付着させる塗装
工程と、塗料を熔融状態に保つ熔融加熱工程と、塗料を
硬化させる硬化加熱工程を実行することで、絶縁層内に
気泡を残すことを解消し、かつ不完全硬化となることも
ないため、良好な絶縁性能を得ることができるという効
果がある。
【0056】また、少なくとも塗装工程及び熔融加熱工
程を含む工程を複数回繰り返すことにより、エッジカバ
ー率を向上させることができ、これも絶縁性能を向上さ
せる効果を発揮する。そして、これらのことから、静電
型スピーカの電極板における絶縁塗装のために本発明を
適用することで、容易に高性能なスピーカを実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の説明図である。
【図2】実施例の熔融加熱工程の作用の説明図である。
【図3】加熱温度と塗料粒子の状態の説明図である。
【図4】実施例の塗装工程を行なう塗装装置の説明図で
ある。
【図5】実施例の塗装方法により向上されるエッジカバ
ー率の説明図である。
【図6】静電型スピーカユニットの外観の説明図であ
る。
【図7】静電型スピーカユニットの断面図である。
【図8】静電型スピーカユニットの駆動回路系の回路図
である。
【図9】固定電極に絶縁塗装を施した場合の説明図及び
等価回路図である。
【図10】従来の塗装方法の説明図である。
【図11】従来の塗装方法における気泡の残存状態の説
明図である。
【図12】従来の塗装方法におけるエッジカバー率の説
明図である。
【符号の説明】
1 スピーカユニット 2,3 フレーム 4 電極板 4A,4B 固定電極 5A,5B スペーサ 7 金属枠体 8 振動体電極 9 振動膜 32 絶縁膜 P 粉体塗料の粒子 AR 気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04R 31/00 C (72)発明者 今井 幹雄 東京都北区赤羽南2−18−1 赤羽塗工工 業株式会社内 (72)発明者 川口 功一 東京都北区赤羽南2−18−1 赤羽塗工工 業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電体に対して電気絶縁抵抗特性を得る
    ために施す粉体塗装方法として、少なくとも次の(A)
    〜(C)の工程が含まれることを特徴とする粉体塗装方
    法。 (A)被塗装体である導電体に塗料を付着させる塗装工
    程。 (B)塗料を熔融状態に保つ熔融加熱工程 (C)塗料を硬化させる硬化加熱工程
  2. 【請求項2】 少なくとも前記(A)の塗装工程及び
    (B)の熔融加熱工程を含む工程を複数回繰り返すこと
    を特徴とする請求項1に記載の粉体塗装方法。
JP17969394A 1994-07-08 1994-07-08 粉体塗装方法 Pending JPH0819755A (ja)

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JP17969394A JPH0819755A (ja) 1994-07-08 1994-07-08 粉体塗装方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003520664A (ja) * 1999-12-28 2003-07-08 アルストム (スウィツァーランド) リミテッド 粉体塗装による導電体の絶縁体の製造方法

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