JPH08197100A - 汚泥凝集処理装置 - Google Patents

汚泥凝集処理装置

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JPH08197100A
JPH08197100A JP7008085A JP808595A JPH08197100A JP H08197100 A JPH08197100 A JP H08197100A JP 7008085 A JP7008085 A JP 7008085A JP 808595 A JP808595 A JP 808595A JP H08197100 A JPH08197100 A JP H08197100A
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JP
Japan
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sludge
coagulant
tank
flocculation
control device
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JP7008085A
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English (en)
Inventor
Hideshi Ichikawa
英志 市川
Hidetsugu Kojima
英嗣 小島
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 最適な凝集剤の添加量を自動かつ正確に決定
して汚泥凝集処理を自動制御することのできる凝集状態
計測制御装置を備えた汚泥凝集処理装置を提供するこ
と。 【構成】 凝集状態計測制御装置4は、試験槽4−1内
の凝集状態を撮像して画像情報を得るテレビジョンカメ
ラ19と、このテレビジョンカメラにより得られた画像
情報に対して2値化処理を行ってフラクタル次元を算出
する画像処理装置20と、算出されたフラクタル次元か
ら最適添加量を決定する制御装置4−2とを備える。試
験槽4−1への汚泥水及び凝集剤の供給及び廃棄を凝集
剤の量を変化させながら計測の都度行うことを複数回繰
り返して前記最適添加量を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水処理プロセスの汚泥凝
集処理装置に関し、特に汚泥の凝集状態を自動計測して
凝集剤の添加量を自動調整する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水処理プロセスの汚泥凝集処理は汚泥を
効率良く除去するための前処理であり、汚泥を含む水に
凝集剤を添加して汚泥を凝集沈殿させる工程である。こ
の凝集処理工程による汚泥の凝集状態が良好であると、
脱水後の汚泥の含水率の低減を図ることができる。この
ため、汚泥の凝集状態を計測し、適量の凝集剤を添加し
て極力良好な凝集状態を実現することが水処理プロセス
においては重要である。
【0003】従来、このような汚泥の凝集状態を計測す
る方法としては、凝集汚泥の脱水分離液のコロイド荷電
量を測定する第1の方法、あるいは脱水後の汚泥に対
し、電極を接触させた時の電解電流から直接汚泥の水分
を計る第2の方法が提案されている。しかし、いずれの
方法もオンラインで凝集状態を計測するためには適して
いない。このため、従来は専らオペレータによる目視と
過去の経験的な知識に依存していた。
【0004】上述した第1、第2の方法はいずれも、特
殊なセンサを必要とし、実ラインではその保守が問題と
なるばかりでなく、オンラインで凝集状態を計測するた
めには適切な方法とはいえない。また、オペレータの目
視に基づく凝集状態の評価は必ずしも正確ではなく、ま
た経験的な知識を要する欠点があった。
【0005】これに対し、本願出願人は、汚泥の凝集状
態を自動的にかつオンラインで評価することのできる凝
集状態評価装置を提案した(特願平5−152361
号)。図13は上記凝集状態評価装置を適用した水処理
プロセスを示す概略図である。汚泥タンク11内の汚泥
を含む水12は、凝集槽13に送られ、ここで凝集剤タ
ンク14内の凝集剤15が添加されて、汚泥が凝集され
る。凝集剤タンク14内の凝集剤15は添加量調整機能
を有するポンプ16により凝集槽13に送られる。凝集
槽13内で凝集した凝集体は凝集槽13外に抜き取ら
れ、脱水機17により脱水された後、廃棄される。
【0006】凝集状態をオンラインで測定するために、
凝集槽13内の凝集体表面の画像をテレビジョンカメラ
19により撮像し、その出力画像信号は画像処理装置2
0に供給され、ここで後述するような方法により、凝集
状態の評価が行なわれる。その結果は、必要に応じて表
示装置21に表示される。オペレータ22はその結果を
見てキー入力装置等のリモート操作手段23により、ポ
ンプ16の回転数を操作して凝集剤15の添加量を調整
する。また、画像処理装置20による評価結果の情報は
モータ制御装置24に供給され、スイッチSを切り換え
て凝集剤15の添加量の調整をオペレータの手動操作に
代えて、自動制御することも可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の凝集
状態評価装置は、次のような問題点を有している。すな
わち、第1の問題点は、凝集槽13における最適凝集状
態の探索には凝集剤15の添加量を変動させて計測する
必要があり、変動の幅が大きいほど探索が容易になる。
しかし、凝集槽13は脱水機8の運転に支障がない凝集
状態を維持する必要があり、大幅な凝集剤15の添加量
の変更は行えない。そのために、凝集剤15の添加量の
調整を微少量ずつ徐々に行わなければならない。しか
も、添加量を調整した後にそれが実際に凝集槽13の凝
集状態に反映するまでの時間が長い。加えて、汚泥水に
含まれる汚泥量は常に一定とは限らないので、最適な添
加量を決定しにくい。
【0008】第2の点は、凝集槽13は大容量(通常、
水数トン分の容量)であるのに対し、テレビジョンカメ
ラ19はその一部のみであって、しかも凝集槽13の水
面近くの表面のみを撮影するだけであるので、凝集状態
を正確に把握しているとは言えない。このことからも、
最適な添加量を決定することが難しくなる。
【0009】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、上記の凝集状態評価装置の利点を生かしつ
つ、最適な添加量を自動かつ正確に決定して汚泥凝集処
理を自動制御することのできる凝集状態計測制御装置を
備えた汚泥凝集処理装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、汚泥を
含む汚泥水に凝集剤を添加して汚泥を凝集沈殿させる凝
集槽を備えた汚泥凝集処理装置において、前記凝集槽へ
の汚泥水供給ライン及び凝集剤供給ラインからそれぞ
れ、汚泥水及び凝集剤の一部を受けて小型の試験槽にて
汚泥の凝集状態の評価を行うと共に、該評価の結果に応
じて前記凝集槽への前記凝集剤の最適添加量を決定する
凝集状態計測制御装置と、前記決定された最適添加量の
凝集剤を前記凝集槽へ供給する凝集剤流量制御装置とを
備え、前記凝集状態計測制御装置は、前記試験槽内の凝
集状態を撮像して画像情報を得るテレビジョンカメラ
と、このテレビジョンカメラにより得られた画像情報に
対して2値化処理を行ってフラクタル次元を算出する画
像処理手段と、算出されたフラクタル次元から最適添加
量を決定する制御装置とを備え、前記試験槽への前記汚
泥水及び前記凝集剤の供給及び廃棄を前記凝集剤の量を
変化させながら計測の都度行うことを複数回繰り返して
前記最適添加量を決定することを特徴とする汚泥凝集処
理装置が得られる。
【0011】本発明によればまた、汚泥を含む汚泥水に
凝集剤を添加して汚泥を凝集沈殿させる凝集槽を備えた
汚泥凝集処理装置において、前記凝集槽への汚泥水供給
ライン及び凝集剤供給ラインからそれぞれ、汚泥水及び
凝集剤の一部を受けて小型の試験槽にて汚泥の凝集状態
の評価を行うと共に、該評価の結果に応じて前記凝集槽
への前記凝集剤の最適添加量を決定する凝集状態計測制
御装置と、前記決定された最適添加量の凝集剤を前記凝
集槽へ供給する凝集剤流量制御装置とを備え、前記凝集
状態計測制御装置は、前記試験槽内の凝集状態を撮像し
て画像情報を得るテレビジョンカメラと、このテレビジ
ョンカメラにより得られた原画像情報を2次元フーリエ
変換し、その結果として得られるグラフを一次式で回帰
してその傾きを求める画像処理手段と、求められた傾き
から最適添加量を決定する制御装置とを備え、前記試験
槽への前記汚泥水及び前記凝集剤の供給及び廃棄を前記
凝集剤の量を変化させながら計測の都度行うことを複数
回繰り返して前記最適添加量を決定することを特徴とす
る汚泥凝集処理装置が得られる。
【0012】
【作用】本発明は、汚泥の凝集体がフラクタル構造を有
しており、凝集状態が良好であるほど、フラクタル次元
が高くなる傾向にあることに着目し、凝集体表面の画像
情報からフラクタル次元を算出することにより、凝集状
態を計測するようにしている。そして、この凝集状態の
計測を、凝集槽に比べて非常に小型の試験槽を用いてバ
ッチ処理的に行うので、凝集剤を添加した後、それが凝
集状態に反映するまでの時間が短い。このことから、凝
集剤の添加量調整を繰り返し行い、その結果から最適な
添加量を正確に決定することができる。
【0013】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図1は、本発明を適用した水処理プロセスを示す概
略図である。攪拌機1−1を備えた凝集槽1に、汚泥水
供給ライン2、凝集剤供給ライン3からそれぞれ汚泥
水、凝集剤が供給される。汚泥水供給ライン2、凝集剤
供給ライン3にはそれぞれ、分岐ライン2−1、3−1
が設けられ、汚泥水、凝集剤の一部が凝集状態計測制御
装置4内の試験槽4−1に供給される。分岐ライン2−
1、3−1にはそれぞれ、モータ駆動によるポンプ2−
2、3−2が設けられ、後述する制御装置4−2により
供給量及び起動タイミングが制御される。凝集剤供給ラ
イン3にはモータ駆動によるポンプ3−3が設けられ、
後述する凝集剤流量制御装置5により供給量及び起動タ
イミングが制御される。凝集槽1に生じた凝集フロック
は、図示しないポンプ等により抜き出されて脱水機6で
脱水され、廃棄処分される。
【0014】凝集状態計測制御装置4は、攪拌機4−3
を備えた試験槽4−1、制御装置4−2に加えて、図1
3に示した装置と同じテレビジョンカメラ19と後述す
る画像処理を行う画像処理装置20とテレビジョンカメ
ラ19からの画像や画像処理装置20からの画像処理結
果を表示する表示装置21とを備えている。なお、試験
槽4−1の大きさは、1000(cc)程度の容量を有
していれば良く、水数トン分の大容量を持つ凝集槽1の
大きさに比べて非常に小さい。
【0015】凝集状態計測制御装置4の動作を図2を参
照して説明する。ステップS1では、制御装置4−2に
よりポンプ2−2、3−2を定期的に必要な時間だけ駆
動して、汚泥水を一定量だけ試験槽4−1に供給すると
共に、汚泥水に対してある混合比となる量の凝集剤を供
給する。ステップS2では、攪拌機4−3により試験槽
4−1内を攪拌する。攪拌後、テレビジョンカメラ19
により試験槽4−1内を撮像する(ステップS3)。ス
テップS4では、テレビジョンカメラ19からの画像信
号を処理し、処理結果のうち必要なデータを表示装置2
1に表示させたり、制御装置4−2へ送出する。
【0016】ステップS5では、制御装置4−2により
排出弁4−4を開として、試験槽4−1内の凝集ブロッ
クや水をすべて廃棄する。ステップS6では、制御装置
4−2において最適な凝集剤の量を決定できたかどうか
の判定を行い、決定できていなければステップS7で凝
集剤の混合比を変更してステップS1に戻る。ステップ
S1では、制御装置4−2が変更された混合比を得られ
るようにポンプ3−2を制御する。ステップS1〜S7
は、最適な凝集剤の添加量を決定できるまで繰り返され
る。
【0017】制御装置4−2は、最適な凝集剤の添加量
を決定すると、これを指令値として凝集剤流量制御装置
5と表示装置21に送る。凝集剤流量制御装置5は、送
られてきた指令値に基づいてポンプ3−3を制御して指
定された量の凝集剤を凝集槽1に供給する。なお、必要
に応じてスイッチS1をオペレータ操作側に切り換える
ことにより、表示装置21に表示された指令値をオペレ
ータがキー入力装置等から手動で入力することができ
る。
【0018】以上のように、本発明に用いられる凝集状
態計測制御装置4は、凝集槽とは別系統にて少量の汚泥
水に対して一定時間毎に、いわばバッチ処理にて凝集剤
の添加量を変えながら凝集状態の計測を繰り返し、後述
する処理方法によりそれらの結果の中からピーク値を最
適な凝集剤の量として適確に決定する。しかも、実際に
起こっている凝集状態の撮像を凝集体が静止した状態、
かつ至近距離から行うので、凝集状態をより正確に把握
することができる。更に、試験槽4−1内では常に良好
な凝集状態が得られなくても問題は生じないので、はじ
めは凝集剤の変更量を大きくし、徐々に変更量を小さく
してゆくというサーチ方法により、最適値の決定を正確
に行うことができる。
【0019】図3は、図1の画像処理装置20の構成を
より詳細に示すブロック図である。テレビジョンカメラ
19から送られた画像信号はフレームメモリ201にデ
ィジタル信号として記憶された後、CPU202により
読み出され、後述するアルゴリズムに従って画像の評価
が行われる。この評価結果は表示用回路203を通して
表示装置21に表示される。
【0020】複雑な画像処理を行う場合、もしくは処理
時間を短縮したい場合には、画像処理用の高速処理用プ
ロセッサ204を追加する場合もある。なお、画像処理
装置20による上記の画像処理はパーソナルコンピュー
タを利用しても容易に行うことができる。
【0021】図4は画像処理の原理を説明するための凝
集体(凝集フロック)の凝集状態を示す概略図である。
本発明において利用する画像処理では、凝集体がフラク
タル構造を有していることに着目して、その性質を利用
した画像処理を行う。まず、図4により簡単にフラクタ
ルの考え方を説明する。図4では、2種類の理想的な凝
集状態を2次元にて表している。図4(a)では、1次
粒子31の周辺に4ヶの1次粒子32が付着して2次粒
子33を形成し、それがまた同じ構造で付着して3次粒
子34を形成する。以下、これを繰り返して、凝集体3
5として成長する。
【0022】一方、図4(b)では、1次粒子31の周
辺に8ヶの1次粒子32が付着して2次粒子33´を形
成し、それがまた同じ構造で付着して3次粒子34´を
形成する。以下、これを繰り返して、凝集体35´とし
て成長する。図4(b)では図4(a)に比べより密な
構造にて凝集が行われている。これらに対してフラクタ
ル次元は寸法の増加比に対する粒子数(面積)の増加比
の対数比で表され、それぞれ次の数式1及び数式2に示
す値となる。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】数式2、すなわち図4(b)のフラクタル
次元は、通常考える2次元と一致するのに対し、数式
1、すなわち図4(a)のフラクタル次元ではそれより
小さい1.46という非整数の次元として表される。
【0026】以上のことから推測されるように、フラク
タル次元は、あるパターンがどの程度の複雑さにおいて
空間内に拡がっているかを非整数の値によって表してい
ると言える。この考え方は同様に3次元空間においても
定義される。
【0027】凝集体の場合には、良好な凝集状態である
ほど、フラクタル次元が高くなる傾向になる。そこで、
フラクタル次元を画像処理によって求めることで、凝集
状態のオンライン計測を大ざっぱな評価として行うこと
が、本発明において利用する画像処理での基本的考え方
である。しかしながら、実際の凝集体は、図4に示すよ
うな理想的な凝集状態にはならず、また多くの凝集体が
重なって複雑なパターンを形成するのが一般的である。
【0028】図5はこのような一般的な凝集状態を代表
する画像からフラクタル次元を求めるために前処理とし
て行う2値化を説明する画像パターン図である。図5
中、下の画像は原画像であり、上の画像はこれを2値化
画像にしたものである。原画像から2値化画像に変換す
る方法は、通常の画像処理分野でよく知られた技術を用
いることができるので、詳細な説明は省略する。図5に
示される2値化された画像パターンは次に粗視化され
る。
【0029】図6は粗視化を説明するための図である。
粗視化とは、図6に示すようにパターンを構成する粒子
51の大きさに対してより大きなます目52を切り、そ
の中に1つでも粒子が存在すればそのます目全体を”
1”(図の斜線部)、粒子が1つも存在しなければその
ます目全体を”0”(白地)として、パターンを量子化
することである。
【0030】次に、このような粗視化を、図7に示すよ
うに,ます目の大きさを画像の画素と同じにした場合を
最小単位として、その2倍、4倍…というように2n
(n:自然数)して粗視化し、”1”のます目の個数を
数える。すなわち、図7(a)は最小単位によるます目
により粗視化した状態を示す。図7(b)は2倍の面積
のます目により粗視化した状態を示し、図7(c)は4
倍の面積のます目により粗視化した状態を示している。
【0031】その結果を図8に示すように両対数目盛り
からなるグラフ上にプロットする。ここで、横軸は粗視
化のます目の倍率r0 =1、r1 =2、r2 =4、r3
=8、縦軸は粗視化後の”1”のます目の個数M(r)
である。2値化画像が、フラクタル性を有している場
合、図8は直線上にプロットされ、その傾きがフラクタ
ル次元に相当する。実際にはやや曲線に近くなるので、
適当な部分での傾きで代表させる。例えば、細かい部分
の構造に重点を置く場合には、図8の粗視化の倍率が1
から2に至る領域でのフラクタル次元であるD1または
粗視化の倍率が2から4に至る領域でのフラクタル次元
であるD2で代表させる。ここで、D1及びD2はそれ
ぞれ下記の数式3、数式4で表される。
【0032】
【数3】
【0033】
【数4】
【0034】このような画像処理は、2値化と粗視化に
よるます目の個数を計数するという非常に簡単な処理に
より、画像全体の複雑さの評価を行うことができるた
め、1回の計算時間が通常の画像処理に比べ短く、オン
ライン計測に適している。また、評価結果が1つの数値
にて表され、オペレータが目視にて凝集状態を評価する
場合の尺度に置き換え易い。
【0035】図9は本発明の画像処理の第2の例を示す
図で、図9(a)は原画像パターン、図9(b)はこの
原画像パターンを2次元フーリエ変換して得られる波形
図である。図10は図9(b)の一部を取り出して示す
グラフである。上記の第1の例では、計算時間の点で非
常に優れているが、凝集体の表面状態の複雑さ情報を2
値化の段階においてかなり捨てている。凝集体の種類に
よっては、このような方法では十分な評価結果を得られ
ないことも考えられるため、この第2の例では、図9
(a)の原画像を2値化せずに2次元フーリエ変換する
ことにより、凝集体の表面状態の評価を行うものであ
る。
【0036】すなわち、原画像を2次元フーリエ変換す
ると、図9(b)に示すようになる。同図において、横
軸はx、yそれぞれの方向の波数kx、ky(空間周波
数)を表す。また、縦軸は、各周波数の成分の振幅を表
す。凝集体の画像にはx,yの方向のパターンの偏りは
少ないので、図9(b)もx方向、y方向にほぼ対称な
パターンとなって現れる。したがって、どちらか片方向
(図ではx方向)のパターンを調べれば、原画像の性質
がわかる。
【0037】図9(b)のLで示す部分の信号をグラフ
にしたものが図10である。凝集体の表面がフラクタル
性を有する場合、Lで示す部分の信号を両対数にてグラ
フにしたものは直線になるが、実際には図9に示すよう
に波数の小さい範囲と大きい範囲で直線からずれてく
る。また、中間の領域でも、ある程度のばらつきを有す
る。そこで、この中間領域を一次式で回帰して、その傾
きβを求めその値を凝集状態評価の代表値とする。
【0038】図11は2種類の画像処理方法の結果を示
すグラフである。図11(a)は第1の例の方法、すな
わち、2値化画像からフラクタル次元を求める方法によ
るもので、横軸に凝集剤の添加量を、縦軸にフラクタル
次元をそれぞれ示している。図11(b)は第2の例、
すなわち、原画像を2次元フーリエ変換し、その結果と
して得られるグラフから傾きを求める方法によるもの
で、横軸に凝集剤の添加量を、縦軸に回帰一次式の傾き
βをそれぞれ示している。図11(a)、(b)から明
らかなように、凝集体は凝集剤の添加量により、その凝
集状態が変化する。そして、その添加量には最適点が存
在し、図11(a)、(b)のグラフで最大の評価値
(ピーク値)を示す点が最適な凝集剤の添加量を示す点
として把握される。 そして、前述したように、本発明
では凝集槽とは別系統にて少量の汚泥水に対して一定時
間毎に、いわばバッチ処理にて凝集剤の添加量を変えな
がら凝集状態の計測を短時間で繰り返し、それらの結果
の中からピーク値(フラクタル次元あるいは傾きβ)を
探すことで、このピーク値を最適な凝集剤の量として正
確に決定することができる。
【0039】図12は凝集状態を定量的に評価する目安
として、水切りの容易さを決める透過抵抗(図a)と、
脱水後の凝集体の含水率(図b)を示すグラフである。
図12において、横軸は凝集剤の添加量を示している。
これらのグラフにおいて、縦軸の値が小さい程、凝集状
態は良好であるが、図12(a)、(b)から明らかに
最適点が存在し、またその点は、図11にて示す最適点
とほぼ一致することが解る。したがって、本発明の画像
処理結果は、凝集状態を評価する一つの目安となり、ま
たその評価結果を最大にするように凝集剤添加量を調整
することで、凝集状態の最適制御も可能となる。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば汚泥凝集処理において凝集状態の評価をオンラインに
て自動計測することが可能となり、しかも計測結果から
最適な凝集剤の添加量を自動的に決定すると共に、添加
量を自動調整できるので、オペレータは凝集状態の評価
に長年の経験を必要とせずに凝集状態の最適制御を行う
ことができる。また、本発明に用いられる凝集状態計測
制御装置は、凝集処理の実プラントとは別系統で、試験
槽内の凝集状態の良否は問われないので、1回当たりの
凝集剤添加の変更幅を大きくとることができ、大きな変
更幅から小さな変更幅に移行させて計測を繰り返すこと
により、より正確に最適な凝集剤の添加量を決定するこ
とができる。加えて、実際に起こっている凝集状態の撮
像を凝集体が静止した状態、かつ至近距離から行うの
で、凝集状態をより正確に把握することができる。更
に、既設の水処理プラントでも簡単な配管工事を行うだ
けで設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による凝集状態計測制御装置を適用した
水処理プロセスを示す概略図である。
【図2】図1の凝集状態計測制御装置の動作を説明する
ための図である。
【図3】図1の画像処理装置20の構成をより詳細に示
すブロック図である。
【図4】本発明に用いられる画像処理の原理を説明する
ために凝集体の凝集状態を示した概略図である。
【図5】本発明に用いられる画像処理の一例である、一
般的な凝集状態を代表する画像からフラクタル次元を求
める方法を説明するための画像パターン図である。
【図6】図5の例を基に、画像の粗視化の原理を説明す
るための図である。
【図7】図6の粗視化の過程をより具体的に説明するた
めの図である。
【図8】本発明に用いられる画像処理の一例である、フ
ラクタル次元を求める原理を説明するための図である。
【図9】フーリエ変換を利用する本発明の第2の画像処
理の例を説明するための図である。
【図10】図9に示されたパターンを2次元フーリエ変
換して得られる波形図である。
【図11】本発明に用いられた2種類の画像処理方法の
結果を示すグラフである。
【図12】凝集状態を定量的に評価する目安としての、
水切りの容易さを決める透過抵抗と、脱水後の凝集体の
含水率を示すグラフである。
【図13】本願出願人により提案されている汚泥凝集処
理装置の概略を説明するための図である。
【符号の説明】
1、13 凝集槽 1−1、4−3 攪拌機 2 汚泥供給ライン 3 凝集剤供給ライン 4 凝集状態計測制御装置 4−1 試験槽 4−4 排出弁 6、17 脱水機 11 汚泥タンク 12 汚泥を含む水 14 凝集剤タンク 15 凝集剤 16 ポンプ 19 テレビジョンカメラ 22 オペレータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚泥を含む汚泥水に凝集剤を添加して汚
    泥を凝集沈殿させる凝集槽を備えた汚泥凝集処理装置に
    おいて、 前記凝集槽への汚泥水供給ライン及び凝集剤供給ライン
    からそれぞれ、汚泥水及び凝集剤の一部を受けて小型の
    試験槽にて汚泥の凝集状態の評価を行うと共に、該評価
    の結果に応じて前記凝集槽への前記凝集剤の最適添加量
    を決定する凝集状態計測制御装置と、 前記決定された最適添加量の凝集剤を前記凝集槽へ供給
    する凝集剤流量制御装置とを備え、 前記凝集状態計測制御装置は、前記試験槽内の凝集状態
    を撮像して画像情報を得るテレビジョンカメラと、この
    テレビジョンカメラにより得られた画像情報に対して2
    値化処理を行ってフラクタル次元を算出する画像処理手
    段と、算出されたフラクタル次元から最適添加量を決定
    する制御装置とを備え、前記試験槽への前記汚泥水及び
    前記凝集剤の供給及び廃棄を前記凝集剤の量を変化させ
    ながら計測の都度行うことを複数回繰り返して前記最適
    添加量を決定することを特徴とする汚泥凝集処理装置。
  2. 【請求項2】 汚泥を含む汚泥水に凝集剤を添加して汚
    泥を凝集沈殿させる凝集槽を備えた汚泥凝集処理装置に
    おいて、 前記凝集槽への汚泥水供給ライン及び凝集剤供給ライン
    からそれぞれ、汚泥水及び凝集剤の一部を受けて小型の
    試験槽にて汚泥の凝集状態の評価を行うと共に、該評価
    の結果に応じて前記凝集槽への前記凝集剤の最適添加量
    を決定する凝集状態計測制御装置と、 前記決定された最適添加量の凝集剤を前記凝集槽へ供給
    する凝集剤流量制御装置とを備え、 前記凝集状態計測制御装置は、前記試験槽内の凝集状態
    を撮像して画像情報を得るテレビジョンカメラと、この
    テレビジョンカメラにより得られた原画像情報を2次元
    フーリエ変換し、その結果として得られるグラフを一次
    式で回帰してその傾きを求める画像処理手段と、求めら
    れた傾きから最適添加量を決定する制御装置とを備え、
    前記試験槽への前記汚泥水及び前記凝集剤の供給及び廃
    棄を前記凝集剤の量を変化させながら計測の都度行うこ
    とを複数回繰り返して前記最適添加量を決定することを
    特徴とする汚泥凝集処理装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002243428A (ja) * 2001-02-13 2002-08-28 Hitachi Ltd パターン検査方法およびその装置
CN100370474C (zh) * 2006-03-29 2008-02-20 哈尔滨工业大学 水中絮体影像分形模式识别方法
JP2010247151A (ja) * 2009-03-27 2010-11-04 Metawater Co Ltd 汚泥の凝集状態の自動制御方法及び汚泥の凝集システム
JP2021109141A (ja) * 2020-01-09 2021-08-02 株式会社クラレ 水処理方法
JP2022064136A (ja) * 2020-10-13 2022-04-25 株式会社クラレ 水処理システム及び水処理方法

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