JPH08196626A - 血液適合性人工肺用膜 - Google Patents

血液適合性人工肺用膜

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JPH08196626A
JPH08196626A JP3125210A JP12521091A JPH08196626A JP H08196626 A JPH08196626 A JP H08196626A JP 3125210 A JP3125210 A JP 3125210A JP 12521091 A JP12521091 A JP 12521091A JP H08196626 A JPH08196626 A JP H08196626A
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JP
Japan
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blood
polyolefin
hollow fiber
polyurethane
compatible
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Application number
JP3125210A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期にわたりウェット・ラングを引きおこす
ことなく、気体透過性にすぐれた、かつ強度的にすぐれ
た、人工心肺等に使用されるガス交換膜を提供する。 【構成】 強度のすぐれたポリオレフィンホローファイ
バーの表面を粗面化処理して、その面に特定ポリウレタ
ンまたはポリウレタンウレアからの血液適合性材料を被
覆してなる人工肺用膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、心臓手術に伴う開心術
において、血液循環および酸素供給を維持するために用
いられる人工心肺装置、肺不全患者の肺機能を代行する
人工肺、長期体外循環に用いられるECMO(Extr
a Corporeal Membrane Oxyg
enator)などのガス交換器の酸素交換膜に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、開心術に用いられている市販の人
工心肺装置のガス交換器(血液に酸素を添加し、炭酸ガ
スを除去して静脈血を動脈血化する部分)は、その酸素
付加機構により次の3種類に大別される:(1)ガス−
血液直接接触型(気泡型、フィルム型など);(2)小
孔(直径数百〜数千オングストローム)を通してガス交
換を行う型(ホローファイバー型、積層型など);
(3)ガス拡散型(均質膜中にガスが溶解・拡散して該
膜を透過する型)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した、従来技術の
うち(1)は静脈血に直接酸素を気泡化して吹き込み、
動脈血化するタイプである。この方式では血液と酸素ガ
スとが直接接触するために赤血球膜が破壊され、遊離ヘ
モグロビンが増加する。つまり溶血が生じやすい。さら
に、酸素ガスが直接吹き込まれるため、このガスが血液
中に微細な気泡となって残留する。これを除去すること
は困難であり、血液が受ける損傷が大きい。そのため長
期にわたり心肺機能を代行することは困難である。
【0004】(2)の小孔を通してガス交換を行うタイ
プにおいては、(1)のタイプのような血液とガスとの
直接の接触はないため、血液の損傷や血液中へのガス気
泡の混入といった問題は解消される。しかし、小孔を通
して血液中の水分や血漿成分が滲出するためガス交換能
が経時的に低下する。さらに、このような膜の素材は、
通常、ポリプロピレンなどであり、これらは血液適合性
に乏しい。つまり、これらの材料を使用すると血液凝固
因子の活性化や補体の活性化が起こり、さらには血小板
および白血球の凝集、融解などが生じやすい。これらの
反応を抑制するには、例えばヘパリンなどの抗凝固剤を
大量に投与することが必要となる。ヘパリンの大量投与
は出血を引き起こしやすく、生命に危険をおよぼす。こ
のように、(2)のタイプのガス交換器を長時間にわた
り使用することは、出血や血球成分の損傷による臓器不
全が多発するため不可能である。
【0005】(3)のタイプでは均質な膜面を通してガ
ス交換が行われるため、(1)のタイプのような血球の
損傷および血液中へのガス気泡の混入という問題がな
く、かつ(2)タイプのように水分や血漿成分の滲出と
いう欠点もない。このタイプの膜は、通常シリコーンラ
バー(シリコーン系ポリマー)により調製される。シリ
コーンラバーは他の素材に比べると比較的血液適合性に
優れるとされている。このように、(1)〜(3)のタ
イプのガス交換器においては、この(3)のタイプが最
も好適であると考えられる。しかし、この膜についても
次のような欠点がある。(a)シリコーンラバーは単独
では強度が低いため、強度保持のために膜厚を厚くした
り、補強剤としてフィラーを充填する必要がある。この
ため、ガスの拡散が遅くなり、酸素交換能が低い。
(b)シリコーンラバーの血液適合性は、なお充分であ
るとはいえず、血液凝固が起こるため、使用に際して
は、ヘパリンの大量投与が必要であり、そのため、出血
が起こりやすく、生命に危険をおよぼす。(c)補体の
活性化により、血液凝固系の変化、血管壁の(白血球、
リンパ球などの)透過性の亢進、白血球の増加などが起
こる。その結果、発熱やショック症状が起こるなどして
生命に危険をおよぼしたり、手術後の回復が遅れること
がある。このタイプのガス交換器を有する人工心肺装置
もその使用可能な期間はせいぜい2〜3日間であり、こ
れ以上の期間にわたって使用を継続した場合の救命率は
零に近い。
【0006】上記の(3)のシリコーンラバー膜の代わ
りに用いられ得る素材としては、例えば、次のようなポ
リマーが研究されている。(a)の強度を改善するため
の例としては、米国特許第3419634号および第3
419635号に、シリコーン−ポリカーボネート共重
合体の製造が開示されている。さらに米国特許第376
7737号にはその共重合体を藻強いた薄膜の製造法が
開示されている。特開昭61−430号公報にはジアミ
ノリポシロキサン、イソシアネート化合物および多価ア
ミンを反応させて得られるポリウレアでなる選択性気体
透過膜が開示されている。さらに、特開昭60−241
567号明細書(高分子基盤技術研究組番号:PM−8
0)にはジアミノポリシロキサン、イソシアネート化合
物および第3級窒素を有する多価ヒドロキシ化合物を反
応させて得られるポリウレタンウレアからなる気体選択
透過膜が開示されている。これらのポリマーは比較的高
強度であるが血液適合性がいまだ充分であるとはいえ
ず、上記(b)および(c)の問題点を解決するには至
っていない。さらに、上記特開昭61−430号公報お
よび特開昭60−241567号明細書に記載のポリマ
ーは分子内にシロキサン結合とウレア結合という全く極
性の異なる2種類の結合が存在するため膜形成時の溶剤
の選択が難しく、薄膜化が困難である。
【0007】上記(b)に記載の血液凝固性の問題を解
決しうる材料としては、高分子論文集、36、223
(1979)に、ヘパリンをイオン結合によりある種の
ポリマーに結合させたものが開示されている。使用され
るポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレートおよび
グリシジルメタクリレートの三元共重合体の第3級アミ
ノ基を4級化した後、ポリウレタンにブレンドし、熱処
理により架橋させたポリマーである。この材料から得ら
れた成形物は、その表面からヘパリンをスロー・リリー
スさせるため、血液凝固が阻止される。しかし、ガス透
過性は充分とはいえず、人工心肺などには利用できな
い。特開昭58−188458号公報には主鎖にポリシ
ロキサンを含むポリウレタンまたはポリウレタンウレア
からなる抗血栓性エラストマーが開示されている。しか
し、このエラストマーの抗血栓性は充分に高いとはいえ
ない。さらに気体透過性も充分ではなく、かつ補体活性
も抑制されないため、上記用途には利用できない。
【0008】(c)に記載の血液中の補体活性化の問題
を解決しうる材料は、透析型人工腎臓用の透析膜の分野
に多く見られる。例えば、人工臓器16(2)、818
−821(1987)にはセルロース膜をジエチルアミ
ノエチル化した膜は、もとのセルロース膜に比較して、
透析中の補体活性化を著しく抑制すると報告されてい
る。しかし、この膜はガス透過性に乏しいため人工肺の
膜材料としては実用に共し難い。
【0009】さらに、特公昭54−18518には、親
水性成分と疎水性成分と第4級アンモニウム塩成分を必
須単位として含む共重合体とヘパリンからなり且つ標準
膜電位差が負の値を示すことを特徴とする抗凝血性医療
用材料が開示されている。しかし、この材料では気体透
過性のあるセグメントを有さないので、ガス透過性を全
く有さないばかりか、たとえ気体透過性のあるセグメン
トを本共重合体に導入したとしても、本文中に記載のカ
チオン性共重合体が水と平衡にあるとき5〜80重量%
の水を含有した場合は、この共重合体で作製した膜を水
分および血漿が通過(ウェット・ラング)し、経時的に
気体透過性が低下するとともに、体内の有効成分が漏出
するために、生体の生命維持が困難となる。
【0010】上記従来の欠点を改善するため、我々は鋭
意研究の結果、ウェット・ラングを引き起こすこと無く
長期に亘る気体透過性を有し、且つ長期血液適合性に優
れた気体透過性材料の開発に成功し、既に特許として出
願している。(出願番号?ケースNo.91-0054)しかしな
がら、この材料は気体透過性を有するセグメントである
ポリシロキサンの含量が限られているため市販のシリコ
ーンラバー膜と比較すると、若干気体透過性が劣ってい
た。また、強度保持のためにポリウレタンを導入しては
いるもののいまだ強度は充分ではなく、中空糸に成形し
た場合、一部に閉塞がみられるなどの欠点があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の欠点
を解決するものであり、その目的としては、長期間にわ
たりウェット・ラングを引き起こすこと無く長期に亘る
気体透過性を有し、且つ長期間血液適合性に優れた、人
工心肺装置等のガス交換膜を提供することにある。
【0012】すなわち、本発明は、ポリオレフィン系基
材の少なくとも一面に、血液適合性材料を被覆せしめて
なる血液適合性人工肺用膜であって、該ポリオレフィン
系基材の血液適合性材料を被覆せしめる面が、あらかじ
め平均0.01〜2.0μmの大きさの凹凸を有する面
となるように表面処理された面であることを特徴とする
血液適合性人工肺用膜であり、ポリオレフィン系基材が
ポリオレフィン系のホローファイバーであり、表面処理
が、過マンガン酸カリウム含有硫酸への浸漬処理である
前記の血液適合性人工肺用膜であり、ポリオレフィン系
基材がポリオレフィン系のホローファイバーであり、表
面処理が、電子線の照射処理である前記の血液適合性人
工肺用膜であり、血液適合性材料が、ジイソシアネート
(DI)、イソシアネート基と反応しうる水酸基または
アミノ基を分子末端に有するポリシロキサン(NOP
S)、第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオール
(NPO)の3者を少なくとも反応させて得られる、ポ
リウレタンまたはポリウレタンウレア(PU)を、該P
U中の第3級アミノ基を4級化した、ポリウレタンまた
はポリウレタンウレア(PU4)である前記の血液適合
性人工肺用膜である。本発明の血液適合性に優れた人工
肺用膜は、さらに上記の被覆済み人工肺用膜のPU4を
ヘパリン類で処理することによって得られることを特徴
とする。
【0013】本発明に用いられる、好ましい血液適合性
材料となる特定のポリウレタン、ポリウレタンウレアの
原料として用いられる、NPOの原料となる、第3級ア
ミノ基を有する化合物として、下記化1に示す化合物が
特に好ましい。
【化1】 (化1におけるR1 とR3 は水素または炭素数が1から
3のアルキル基を示し、R2 は炭素数が1から10のア
ルキル基を示す。)
【0014】本発明の被覆剤となるポリウレタンまたは
ポリウレタンウレアに用いられるジイソシアネート(D
I)としては、ポリウレタンまたはポリウレタンウレア
の調製に通常用いられるジイソシアネート類(芳香族、
脂肪族、脂環族)が利用され得る。ジイソシアネートは
2種以上が混合されて用いられ得る。以下、ポリシロキ
サン(NOPS)、第3級アミノ基を有するポリエーテ
ルポリオール(NPO)など本発明の被覆剤となるポリ
マーに使用される成分は、それぞれについて2種以上が
混合されて用いられ得る。
【0015】イソシアネート基と反応し得る水酸基もし
くはアミノ基を分子末端に有するポリシロキサンは次の
化2で示されるものが特に好ましい。
【0016】
【化2】 (化2におけるXおよびYはそれぞれ独立して−OH、
−NH2 または炭素数2〜10の置換アミノ基、R1
よびR3 はそれぞれ独立して炭素数2〜10のアルキレ
ン基、オキシアルキレン基、アラルキレン基、またはア
リーレン基、R2 はそれぞれ独立して炭素数1〜10の
アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、n
は5〜300の整数である。)
【0017】このポリシロキサンの分子量は、200〜
20000、好ましくは500〜8000、さらに好ま
しくは1000〜4000である。得られるポリウレタ
ンまたはポリウレタンウレア中のこのポリシロキサンの
含量は20〜95%、好ましくは30〜85%である。
【0018】本発明の被覆剤となるポリウレタンまたは
ポリウレタンウレアに用いられる第3級アミノ基を有す
るポリエーテルポリオール(NPO)は、化1のアミン
ジオールを強酸触媒により重縮合させて得られるが、化
1のR1 、R2 およびR3 の炭素数の合計が2〜10、
好ましくは3〜8のアミンジオールを用いることが好ま
しい。合計の炭素数が3以下の場合は、親水性が大き
く、水および血漿の透過性が大きくなると同時に高吸水
性のため、4級化後ヘパリン化しても、ヘパリンの放出
速度が速く長期に亘る血液適合性が得られない。また炭
素数合計が10を越えると第3級アミノ基の窒素原子の
回りの立体障害が大きくなり、4級化が困難となる。ま
たたとえ4級化を進行させたとしても立体障害が大きす
ぎるために、ヘパリンとの造塩結合が弱くなり、ヘパリ
ン化が不十分となり長期の血液適合性を達成することが
困難である。またR1 、R2 およびR3 いずれも直鎖の
アルキル基であることが好ましい。
【0019】化1で示されるアミンジオールとともに、
必要に応じて他のジオールが用いられ得る。そのような
ジオールとしては、炭素数2〜20の脂肪族または脂環
族ジオールおよび/または分子量150〜2000のポ
リオキシアルキレングリコールがある。
【0020】アミノポリエーテルポリオールを調製する
には、まず、化1のアミンジオールに必要に応じて他の
ジオールを混合し、触媒を加え、常圧下で150〜27
0℃、好ましくは200〜250℃に加熱し、生成する
水を留去しながら、1〜30時間、好ましくは3〜20
時間に亘り反応させる。ついで、0.5〜6時間、好ま
しくは1〜4時間かけて、10mmHg以下好ましくは3
mmHg以下の減圧とする。この減圧状態、かつ上記温度
下で1〜10時間、好ましくは2〜7時間反応させる
と、分子量200〜8000、好ましくは500〜40
00のアミノポリエーテルポリオールが得られる。この
アミノポリエーテルポリオールの塩基性窒素含量は1.
0〜15.0%好ましくは2.0〜11.0%である。
本発明の被覆剤となるポリウレタンまたはポリウレタン
ウレアの調製時には、上記各方法で得られたアミノポリ
エーテルポリオールは、分子内に存在する第3級アミノ
基が、該ポリウレタンまたはポリウレタンウレア中に
0.01〜3.00mmol/g、好ましくは0.05〜2.
00mmol/gとなるような割合で使用される。
【0021】本発明の被覆剤となるポリウレタンまたは
ポリウレタンウレアの調製に、必要に応じて用いられる
他のポリオールまたはポリアミンは、例えば低分子鎖延
長剤や高分子量ポリオールである。低分子鎖延長剤とし
ては、ジオール類、ジアミン類およびオキシアルキレン
グリコール類がある。この低分子量鎖延長剤としては特
に、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブチ
レンジアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミンが
好ましい。上記高分子量ポリオールとしては、ポリオキ
シアルキレングリコールやポリエステルジオールが挙げ
られる。ポリオキシアルキレングリコールとしては、分
子量300〜15000、好ましくは800〜8000
のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどがある。ポリエ
ステルジオールとしては、炭素数2〜10の脂肪族ジオ
ールと炭素数6〜16の脂肪族ジカルボン酸類とから得
られるポリエステルジオール、ε−カプロラクトンなど
のカプロラクトン類から得られるポリエステルジオール
などがある。これら高分子量ポリオールのうちではポリ
エステルジオールが好適である。高分子量ポリオール
は、得られるポリマー中の含量は50%以下、好ましく
は30%以下である。
【0022】本発明の被覆剤となるポリウレタンまたは
ポリウレタンウレアは、いずれも公知の方法で調製され
得る。例えば、溶液重合法によりポリウレタンを調製す
るには、まず、化2で示され、分子末端に水酸基または
アミノ基を有するポリシロキサン、およびジイソシアネ
ート、さらに必要に応じて上記高分子量ポリオールをイ
ソシアネート基に不活性な溶媒に溶解させ、30〜15
0℃、好ましくは40〜120℃で5〜300分間、好
ましくは15〜120分間に亘り、窒素気流気下にて攪
拌しながら反応を行う。これに前記のアミノポリエーテ
ルポリオール(NPO)および必要に応じて上記低分子
量鎖延長剤(低分子量ジオール)を添加し0〜100
℃、好ましくは5〜80℃において15〜300分間反
応させて鎖延長し、高分子量化を行う。
【0023】ここで使用される溶媒としてはジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、四塩化炭素、
ベンゼン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドン、これらの混合物など
が挙げられる。特に、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合
物が好ましい。反応時には、必要に応じて重合触媒が加
えられる。触媒としては、ジブチルチンジラウレートな
どの錫系触媒、テトラブトキシチタンのようなチタン系
触媒または他の金属触媒が挙げられる。触媒は、反応液
中に1〜500ppm、好ましくは5〜100ppmの
含有で添加される。ポリウレタンの調製には、使用され
る上記各モノマー成分を1度に仕込んで溶融重合する方
法も採用され得る。
【0024】上記重合反応において、各成分の混合モル
比は次の通りである。ポリシロキサンポリオールと、ア
ミノポリエーテルポリオールのモル比は100/1〜1
/3、好ましくは20/1〜1/5;ポリシロキサンポ
リオール、およびアミノポリエーテルポリオールすなわ
ちNOPS+NPOと、(必要に応じて使用される)低
分子量鎖延長剤であるポリオールとのモル比は1/10
0〜1/1、好ましくは1/30〜1/2;全ポリオー
ルとジイソシアネートとのモル比は10/8〜8/1
0、好ましくは10/9〜9/10である。
【0025】本発明の被覆剤となるポリウレタンウレア
は、いずれも公知の方法で調製され得る。そのなかでも
特に溶液重合法が好適である。溶液重合法によりポリウ
レタンウレアを調製する場合に、ポリシロキサンポリオ
ール、アミノポリエーテルポリオールそれに必要に応じ
て高分子量ポリオールなどが用いられる。この場合に
は、これらとジイソシアネートを不活性溶媒に溶解させ
る。これを上記ポリウレタンの場合と同様に0〜150
℃、好ましくは10〜100℃で5〜300分間、好ま
しくは15〜120分間に亘り反応させる。これを0〜
40℃、好ましくは5〜20℃に冷却し、前記化2で示
され、末端にアミノ基を有するポリシロキサン、および
必要に応じて低分子量鎖延長剤(低分子量ジアミン)を
不活性溶媒に溶解させた者を滴下し、反応させると所望
の分子量のポリウレタンウレアが得られる。この反応に
おいては、生成するポリマーがウレア結合を有するた
め、使用する溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピ
ロリドンのようなアミド系溶媒;またはそれらとジオキ
サン、テトラヒドロフランなどとの混合溶媒が好適であ
る。生成するポリマーの溶解性を高める目的で、LiC
l、LiBr、CaCl2 などの塩類を添加することも
推奨される。各成分の配向割合など、その他の条件につ
いては、ポリウレタンの場合に準じる。
【0026】この様にして得られるポリウレタンまたは
ポリウレタンウレアは、その分子内の第3級アミノ基を
4級化すること、そしてそれにヘパリンもしくはその類
似化合物(以下ヘパリン類とする)を結合させることが
必要である。そのようにすることにより血液適合性がさ
らに向上する。ヘパリン類の結合は、ポリウレタンまた
はポリウレタンウレアを4級化剤で処理することにより
分子内の第3級アミノ基を4級化し、次にヘパリン類で
処理してポリイオンコンプレックスを形成させることに
より行われる。このような4級化剤としては炭素数1〜
10、好ましくは2〜8のアルキルハライド、アラルキ
ルハライド、アリールハライドおよび活性エステルのう
ちすくなくとも1種が用いられる。これら4級化剤のう
ち、炭素数1〜10、好ましくは2〜8のアルキルハラ
イドが好適である。4級化剤は、ポリマー中の第3級ア
ミノ基に対して0.1〜10.0モル倍、好ましくは
0.5〜5.0モル倍の割合で用いられる。ポリウレタ
ンまたはポリウレタンウレアの4級化には、例えば、こ
れらのポリマーを適当な溶媒に融解させて、これに上記
4級化剤溶液を加える方法が好ましい。例えば、ポリウ
レタンまたはポリウレタンウレアの重合終了後の溶液に
4級化剤を添加し、20〜100℃、好ましくは40〜
80℃で0.1〜60時間、好ましくは1〜30時間反
応させる。このようにして4級化された第3級アミノ基
の4級化率は1〜100%、好ましくは10%以上であ
る。
【0027】4級化されたアミノ基を含有するポリウレ
タンまたはポリウレタンウレアは環状エーテル系溶媒に
溶解され、既存のポリオレフィン系多孔質ホローファイ
バーを表面処理したものに被覆される。該ポリウレタン
またはポリウレタンウレアに対して不活性で、且つ良好
な溶解性を示す溶媒としてはN,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル
ピロリドンのようなアミド系溶媒;テトラヒドロフラ
ン、テトラヒドロピラン、ジオキサンのような環状エー
テル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンのようなケ
トン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレンのようなハラ
イド系溶媒などが挙げられるが、ポリオレフィン系多孔
質ホローファイバーに対する溶媒の濡れ性を考慮すると
環状エーテル系溶媒を用いることが望ましい。特にテト
ラヒドロフランが好適である。環状エーテル系溶媒に溶
解された、4級化アミノ基を含有するポリウレタンまた
はポリウレタンウレアの濃度は0.5〜20重量%、好
ましくは1〜15重量%となるよう調製されることが望
ましい。
【0028】本発明に用いられるポリオレフィン系基材
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれ
らの共重合体または前記重合体に他の共重合可能な単量
体を少量(20重量%以下)共重合せしめたもの、また
前記の各重合体を、適宜変性した材料を用いたものであ
り、その基材の形状としては、フィルム状、膜状、中空
糸状(ホローファイバー)の形状が挙げられるが、好ま
しくは中空糸状のものである。上記溶解ポリウレタンま
たはポリウレタンウレアに表面処理を施した人工肺用ポ
リオレフィン系多孔質ホローファイバーを浸せきした後
これを引き上げ、10℃から100℃、好ましくは15
℃〜60℃で、1〜180分、好ましくは5〜90分乾
燥する。この操作を少なくとも1度行うことにより、乾
燥後の被覆済みホローファイバーにおいて、被覆剤であ
るポリウレタンまたはポリウレタンウレアの含量が1〜
50重量%となるようにすることが望ましい。
【0029】本発明の要点である、ホローファイバー等
のポリオレフィン系基材の少なくとも一面を、あらかじ
め表面処理する方法としては、過マンガン酸カリウム−
濃硫酸溶液への浸せき、乃至は電子線の照射によって行
う。過マンガン酸カリウム−濃硫酸溶液での処理は、ホ
ローファイバー/過マンガン酸カリウム−濃硫酸溶液の
比が0.05〜20.0重量パーセント、好ましくは
0.5〜5.0重量パーセントとなるよう、人工肺用ポ
リオレフィン系多孔質膜を、0.1〜20.0g/1、
好ましくは1.0〜3.0g/1の過マンガン酸カリウ
ム−濃硫酸溶液に、0℃〜100℃、好ましくは5.0
℃〜30.0℃で0.5分間〜20.0分間、好ましく
は1.0分間〜5.0分間浸せきした後、冷水で充分洗
浄して行う。
【0030】電子線照射による処理は、人工肺用ポリオ
レフィン系(多孔質膜)ホローファイバーを耐圧容器に
とり、0℃〜100℃、好ましくは5.0℃〜30.0
℃の状態で0.05Torr〜100Torr、好まし
くは1.0Torr〜6.0Torrに減圧し、窒素、
酸素、アルゴン、炭酸ガス、空気のような無機ガス、乃
至はメタン、エタン、アセチレンのような有機ガスを
0.1sccm〜1000sccm、好ましくは1.0
sccm〜600sccm入れ、1.0W〜10.0k
W、好ましくは1.0kW〜5.0kWの電子線を0.
5分間〜60.0分間好ましくは1.0分間〜10.0
分間照射して行う。この電子線のRF(ラジオ・フレキ
ュエンシー)は500.0kHz〜100.0MHz、
好ましくは3.0MHz〜30.0MHzである。以上
の処理により、ポリオレフィン系基材の面は、図に示す
ように0.01〜2.0μm程度の凹凸状または、海綿
状の粗面となり、血液適合性材料を例えば溶液でコーテ
ィングする際に、きわめて均一に、かつ強固に、被覆が
なされる。
【0031】4級化されたアミノ基を含有するポリウレ
タンまたはポリウレタンウレアを被覆した人工肺用ポリ
オレフィン系多孔質膜ホローファイバーは、ヘパリン類
を接触させることにより該ヘパリン類を結合させる(ヘ
パリン化する)。例えば上記被覆済み人工肺用ポリオレ
フィン系多孔質ホローファイバーを、ヘパリン類を0.
1〜10%、好ましくは0.5〜5%の割合で含有する
溶液に20〜100℃、好ましくは40〜80℃で、
0.1〜40時間、好ましくは0.5〜30時間に亘り
浸せきすることによりヘパリン化が行われる。ここで用
いる溶媒としては水、もしくは環状エーテル類、アミド
類、ケトン類、アルコール類などの水溶性溶媒と水との
混合物が好ましく、特にテトラヒドロフランと水、テト
ラヒドロピランと水、N,N−ジメチルホルムアミドと
水、N,N−ジメチルアセトアミドと水の混合物が好適
である。また、ここで言うヘパリン類とは、ヘパリン:
コンドロイチン硫酸、−SO3 H、−NHSO3 H基な
どを有する天然または合成高分子化合物などを包含して
指す。
【0032】本発明の材料人工心肺装置における酸素交
換膜として利用すると、酸素/炭酸ガス交換が有利に行
われる。且つ該材料は血液適合性に優れるため血液凝固
や補体の活性化に起因するショック症状などがきわめて
起こりにくい。ヘパリン化した材料を使用すると、ポリ
マー上のヘパリン類がスロー・リリースされるため、さ
らに抗凝固性に優れる。このように本発明の材料は、例
えば、長期間肺機能を代行するECMOにも効果的に利
用され得る。さらに本発明は、呼吸器系患者の酸素吸入
療法に用いられる医療用酸素富化膜などに利用され得
る。
【0033】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。実
施例中の部は重量部を意味する。 <実施例1>3−n−ブチル−3−アザ−1,5−ペン
タンジオール8738部および亜燐酸10.3部をオー
トクレーブに仕込み、攪拌しながら、窒素気流下、常圧
で200〜230℃にて26時間加熱し、生成水を留去
しながら反応を行った。次いで、230℃で760mmHg
から0.3mmHgで3時間反応を継続させた。このように
して、OH価58.7、塩基性窒素6.30mmol/gのア
ミノポリエーテルポリオール(a)を得た。数平均分子
量1800の下記化3で表されるポリジメチルシロキサ
ンジオール3240部、ジブチルチンジラウレート0.
3部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(以下MDIと略記する)1195部、上記アミノポリ
エーテルポリオール827.3部および1,4−ブタン
ジオール191.1部をテトラヒドロフラン(以下TH
Fと略記する)3802部とN,N−ジメチルホルムア
ミド(以下DMFと略記する)7604部との混合溶媒
に溶解し、窒素気流下、20℃で1時間、40℃に昇温
して20時間反応させて、固形分32%、粘度1830
ポイズ(30℃)のベースポリマー溶液(BSa)を得
た。この溶液にDMFを追加し、攪拌して5%溶液とし
た。5%溶液10gを水平に保った100cm2 のガラ
ス上に均一に塗布した後、40℃で1時間、60℃で2
時間、窒素気流下で乾燥後、60℃で減圧乾燥を15時
間行い、50μm厚のベースポリマーフィルム(BF
a)を得た。さらに、ベースポリマー溶液(BSa)1
00部に沃化ヘキシル8.14部を加え、60℃で攪拌
しながら反応させて、ベースポリマー中の第3級アミノ
基の4級化を行った。この4級化ポリマー溶液(QS
a)をジオキサンで希釈して5%溶液とし、上記ベース
ポリマー溶液(BSa)の場合と同様にして、50μm
厚の4級化ポリマーフィルム(QFa)を得た。このベ
ースポリマーフィルム(BFa)および4級化ポリマー
溶液(QFa)約0.2gを正確に秤量し、ジオキサン
/エタノール(7/3容量比)混合溶媒50mlに溶解し
電位差滴定装置(平沼製作所製、Comtite−7)
を用いて、N/10−HC104 ジオキサン溶液で滴定
し、その変曲点より塩基製窒素含量を測定したところ、
ベースポリマーフィルム(BFa)の塩基性窒素含量は
0.67mmol/g、4級化ポリマーフィルム(QFa)の
それは0.25mmol/gであった。この結果より、4級化
率は約63%であることがわかる。
【0034】
【化3】 既存の人工肺用ポリプロピレン製多孔質ホローファイバ
ー42.0mgを過マンガン酸カリウムの濃硫酸溶液
(2g/1)6.0gに浸せきし、室温で2分間攪拌し
た後、大量の氷水につけて充分洗浄し、表面処理ホロー
ファイバー(THa)を得た。この処理を行う前後のホ
ローファイバーの表面をSEMで観察した表面状態(繊
維の形状)は図1、図2に示すとおりである。
【0035】図2に示すのは表面処理後であり、表面が
海綿状の凹凸を有しているのがよくわかる。
【0036】既存の人工肺用ポリプロピレン製多孔質ホ
ローファイバー42.0mgを耐圧容器にとり、室温で
3Torrまで減圧した後、アクリル酸をガス状態で3
00sccm入れて電子線を3分間投入した。この電子
線は13.56MHz、100Wであった。こうして表
面処理ホローファイバー(THa’)を得た。
【0037】4級化ポリマー溶液(BSa)をTHFで
希釈して1%、7%とし、これらの各溶液に表面処理ホ
ローファイバーを浸せきした後引き上げ、40℃で1時
間乾燥することによって4級化ポリマーを被覆し、被覆
済みホローファイバー(CHa、CHa’)を得た。被
覆操作前後のホローファイバーは重量を測定し、被覆剤
固定率を求めた。被覆剤固定率の算出は次式を用いて行
った。 [被覆剤固定率(%)]=[(W−D)/W]×100 上式でWは被覆剤みホローファイバー(CHa、CH
a’)の重量、Dは被覆前のホローファイバーの重量を
示す。結果は下記の表1に示す。また被覆済のホローフ
ァイバーを、メチルオレンジの水溶液に浸漬して4級化
ポリマー(PU4)がのった部分の染色をして、被覆状
態を目視で観察した。結果を表2に示す。(このときa
は均一な被覆を、bは被覆がややむらが多く見られる、
cは縞状のむらが多く見られる、の状態をそれぞれ示
す。)
【0038】
【表1】 表1において、Dは被覆前のホローファイバーの重量、
Wは被覆後のホローファイバーの重量を示す。
【0039】
【表2】 各々の被覆剤みホローファイバー(CHa、CHa’)
を2%ヘパリン溶液(溶媒はTHF/水=1/9重量
比)に浸せきして60℃で12時間ヘパリン化を行い、
ヘパリン化ホローファイバー(HHa、HHa’)を得
た。
【0040】上記ヘパリン化ホローファイバーを家兎の
大腿静脈内に留置してin vivoで抗血栓性を評価
した。詳細な実験方法は下記の通りである。家兎(日本
白色種、♂、2.5〜3.0Kg)をペントバルビタール
麻酔下で、大腿静脈を剥離し、末梢側を糸で結紮し、糸
より2〜3cmの所を血管鉗子でクランプした後、糸より
5mmの所を眼科剪刀で血管径の1/4 〜1/3 まで切り、そ
こより試験に用いるホローファイバーを17cm中枢側に
向かって挿入した。挿入位置より1cm程度のところで、
血管外に出ているホローファイバーの端部を組織に縫い
つけ、ホローファイバーが流されるのを防止した。剥離
した部位は縫合し、抗生物質を投与し、以降、試料取り
出しまで2週間飼育した。取り出しは、ヘパリン加ペン
トバルビタールで麻酔下、正中切開を施し、腹部大動脈
より適当なチューブを用いて脱血して犠死させた後、ホ
ローファイバー挿入部を血管と一緒に切開して取り出し
て血管を切開し、ホローファイバーと血管内部とを写真
に撮るとともに、目視でホローファイバーを観察し5段
階評価を行った。結果は表3に示す。
【0041】前記ヘパリン化ホローファイバーを90回
巻きのループにして束ね、一方の端を適当な素材の円筒
型の容器に収め、エポキシ系、乃至ウレタン系のポッテ
ィング剤を流し込んで固めた後、この固めた部分をすべ
てのホローファイバーが切断されるような位置で円筒型
容器もろとも切断して、気体透過性測定用のモジュール
を作った。このモジュールを気密な構造を持ち、円筒型
容器部分を所定の位置にセットすることによってホロー
ファイバーの内壁が外気と通じるように設計された、金
属製の圧力容器にセットして、1.0Kg/cm2 の圧力で
酸素、または炭酸ガスを送り込み、ホローファイバー壁
面を透過して圧力容器外部に導き出される気体の量を測
定することにより、試料の気体透過性を測定した。結果
は表3に示す。
【0042】
【表3】 表3において、抗血栓性の欄中、aは血小板凝集、血
栓、フィブリンとも生成が見られない、bはフィブリン
または血小板凝集は見られるが血栓の生成がない、cは
bと同じでかつ血栓生成が少し見られる、dはbと同じ
でかつ血栓生成が少し多量に見られる、eはbと同じで
かつ血栓生成が多量に見られる、の評価を各々示す。
( )内は、被覆材ののりが悪い部分の評価である。
【0043】<実施例2>実施例1で得られたベースポ
リマー溶液(BSa)100部に沃化エチル5.99部
を加え、60℃で攪拌しながら反応させて、ベースポリ
マー中の第3級アミノ基の4級化を行った。この4級化
ポリマー溶液(QSb)をジオキサンで希釈して5%溶
液とし、実施例1の場合と同様にして、50μm厚の4
級化ポリマーフィルム(QFb)を得た。この4級化ポ
リマーフィルム(QFb)の塩基性窒素の含量は0.2
0mmol/gであった。この結果より4級化率は約70%で
あることがわかる。4級化ポリマー溶液(QSb)を用
い、実施例1で得られた表面処理ホローファイバー(T
Ha、THa’)の被覆を行い、被覆剤みホローファイ
バー(CHb、CHb’)を得た。被覆剤固定率は表1
に被覆状態は表2に示す。さらに実施例1と同様にして
ヘパリン化ホローファイバー(HHb、HHb’)を
得、実施例1の方法によって抗血栓性、気体透過性を測
定した。結果は表3に示す。
【0044】<比較例1>市販の人工肺用ポリプロピレ
ン製多孔質ホローファイバーを未処理のまま、実施例1
で得られた4級化ポリマーを用いて被覆した。実施例1
と同様の方法で抗血栓性、気体透過性を測定した。結果
はそれぞれ表に示す。
【0045】<比較例2>実施例2で得られた4級化ポ
リマー溶液(QSb)を用い、表面処理を行っていない
市販の人工肺用ポリプロピレン製多孔質ホローファイバ
ーの被覆を行い、実施例1と同様の方法で被覆剤固定
率、被覆状態および抗血栓性、気体透過性を測定した。
結果はそれぞれ表1、表2、表3に示す。
【0046】以上の結果から明らかなように、あらかじ
めホローファイバーの表面処理を行わずに4級化ポリマ
ーで被覆した比較例1、2のホローファイバーは4級化
ポリマーがよくのっている部分と、よくのっていない部
分が縞状に分布してしまい、のりの良くない部分での抗
血栓性が若干不十分になってしまう。これに対して実施
例のホローファイバーは抗血栓性、気体透過性とも良好
である。すなわち、本発明の人工肺用膜は良好な気体透
過性および長期間の血液適合性を有する素材として、き
わめて有用であることが明らかである。
【0047】
【発明の効果】本発明の特定のポリウレタンまたはポリ
ウレタンウレアを被覆した人工肺用膜は、良好な気体透
過性を有しており、且つ長期間の血液適合性を有するも
のであり、人工心肺装置、人工肺、ECMOなどの素材
として、優れた適性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリオレフィン系ホローファイバーの実施例1
の表面処理前の表面状態の走査型電子顕微鏡写真によ
る、繊維の形状を示すものである。
【図1】ポリオレフィン系ホローファイバーの実施例1
の表面処理後の表面状態の走査型電子顕微鏡写真によ
る、繊維の形状を示すものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリオレフィン系ホローファイバーの実施例1
の表面処理前の表面状態の走査型電子顕微鏡写真によ
る、繊維の形状を示すものである。
【図2】ポリオレフィン系ホローファイバーの実施例1
の表面処理後の表面状態の走査型電子顕微鏡写真によ
る、繊維の形状を示すものである。
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリオレフイン系ホローフアイバーの実施例1
の表面処理前の表面状態の走査型電子顕微鏡写真によ
る、繊維の形状を示すものである。
【図2】ポリオレフイン系ホローフアイバーの実施例1
の表面処理後の表面状態の走査型電子顕微鏡写真によ
る、繊維の形状を示すものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系基材の少なくとも一面
    に、血液適合性材料を被覆せしめてなる血液適合性人工
    肺用膜であって、該ポリオレフィン系基材の血液適合性
    材料を被覆せしめる面が、あらかじめ平均0.01〜
    2.0μmの大きさの凹凸を有するように表面処理され
    た面であることを特徴とする血液適合性人工肺用膜。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン系基材がポリオレフィン
    系のホローファイバーであり、表面処理が、過マンガン
    酸カリウム含有硫酸への浸漬処理である請求項1の血液
    適合性人工肺用膜。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系基材がポリオレフィン
    系のホローファイバーであり、表面処理が、電子線の照
    射処理である請求項1の血液適合性人工肺用膜。
  4. 【請求項4】 血液適合性材料が、ジイソシアネート
    (DI)、イソシアネート基と反応しうる水酸基または
    アミノ基を分子末端に有するポリシロキサン(NOP
    S)、第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオール
    (NPO)の3者を少なくとも反応させて得られる、ポ
    リウレタンまたはポリウレタンウレア(PU)を、該P
    U中の第3級アミノ基を4級化した、ポリウレタンまた
    はポリウレタンウレア(PU4)である請求項1、請求
    項2、請求項3の血液適合性人工肺用膜。
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