JPH08195520A - 固体レーザ発振器 - Google Patents

固体レーザ発振器

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JPH08195520A
JPH08195520A JP481495A JP481495A JPH08195520A JP H08195520 A JPH08195520 A JP H08195520A JP 481495 A JP481495 A JP 481495A JP 481495 A JP481495 A JP 481495A JP H08195520 A JPH08195520 A JP H08195520A
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solid
laser
state laser
light
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JP481495A
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Masahiro Ihara
正博 井原
Noboru Taguchi
昇 田口
Fumio Inaba
文男 稲場
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SEITAI HIKARI JOHO KENKYUSHO K
SEITAI HIKARI JOHO KENKYUSHO KK
Original Assignee
SEITAI HIKARI JOHO KENKYUSHO K
SEITAI HIKARI JOHO KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、例えばクロムライサフ(Cr:Li
SAF)結晶等、発振波長可変の固体レーザ媒質を用い
た固体レーザ発振器に関し、レーザ発振波長の狭線幅化
と波長選択の光学系の簡素化による出力特性の安定化を
図る。 【構成】Cr:LiSAF結晶3の端面3aに付された
全反射コーティングと出力ミラー4とで構成されるレー
ザ共振器の外側に回折格子12を配置し、その回折格子
12で回折された回折レーザ光3Cを、全反射ミラー8
で反射してレーザ共振器内部へフィードバックする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばクロムライサフ
(Cr:LiSAF)結晶等、発振波長可変の固体レー
ザ媒質を用いた固体レーザ発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、発振波長可変の固体レーザ発振器
の研究が盛んに行なわれている。例えば、クロムライサ
フ(Cr:LiSAF)結晶は波長700〜1000n
mの領域で波長選択可能なレーザ媒質として注目されて
おり、各種の波長選択方式が提案されている。以下に、
波長選択方式の一例として、1992年3月6日開催の
光・量子デバイス研究会資料「Cr:LiSAFレー
ザ」(青島伸一郎ほか、資料番号OQD−92−13)
に提案された方式について説明する。
【0003】図9は、上記従来の提案の方式による、固
体レーザ発振器の光学系配置図である。半導体レーザ1
から励起光としてのレーザ光1A(上記文献によれば
(以下、この断り書きは省略する)波長681.2nm
のレーザ光)が射出され、レンズ2を経由して、Cr:
LiSAF結晶3に入射される。このCr:LiSAF
結晶3は、Cr3+が3%ドープされた、5mm角の寸法
を有するものである。
【0004】このCr:LiSAF結晶3の半導体レー
ザ1側の面3aには、半導体レーザ1から射出されたレ
ーザ光1Aの波長については高透過率を有し、Cr:L
iSAF結晶で発生したレーザ光の波長領域(約800
nm)では高反射率のコーティングが付されている。ま
た、このCr:LiSAF結晶3の、半導体レーザ1か
ら離れた側の面3bには800nmの波長帯域について
無反射のコーティングが付されている。さらに、このC
r:LiSAF結晶3の無反射コーティングされた面3
bに向き合う位置に、800nmの波長帯域について反
射率99.2%の出力ミラーが配置されている。この出
力ミラー4と、Cr:LiSAF結晶3の、半導体レー
ザ1側の面3aに付されたコーティングとで、レーザ共
振器が構成されている。
【0005】出力ミラー4から図9の右側に向って射出
された、Cr:LiSAF結晶3によるレーザ光3A
(波長約800nm)は、コリメータレンズ5でコリメ
ートされ、ビームスプリッタ6により、ビームスプリッ
タ6で反射されて図の下方に進む光3Bと、ビームスプ
リッタ6を透過してさらに右に進む光3Cに分割され
る。図の下方に進む光3Bは、このレーザ発振器からの
レーザ出力光となる。また、図の右に進む光3Cは、プ
リズム7により分光され、その分光された一部の波長の
光が全反射ミラー8で反射し、その反射光はプリズム7
を経由し、再びビームスプリッタ6に至る。ハーフミラ
ー6に戻ってきた光は、ビームスプリッタ6で反射して
全反射ミラー9に向かう光と、ビームスプリッタ6を透
過してコリメートレンズ5に向かう光に分かれる。反射
ミラー9に向かった光はその反射ミラー9で反射して再
びビームスプリッタ6に至り、その一部はビームスプリ
ッタ6を透過して出力光となり、他の一部はビームスプ
リッタ6で反射して再度プリズム7に向かう。
【0006】反射ミラー8で反射しプリズム7を経由
し、さらにビームスプリッタ6を透過した光は、コリメ
ータレンズ5を経由し、さらに出力ミラー4を経由して
Cr:LiSAF結晶3に入射する。すなわち、出力ミ
ラー4から出力されたレーザ光3Aのうち、プリズム7
で分光された一部の分光光のみがCr:LiSAF結晶
3に再度入射し、その波長の光の利得のみが選択的に高
まり、Cr:LiSAF結晶3はその波長で発振する。
【0007】このように、図9に示すレーザ発振器で
は、Cr:LiSAF結晶3の、半導体レーザ1側の面
3aに付されたコーティングと出力ミラー4とでレーザ
共振器を構成し、そのレーザ共振器の外側に、プリズム
7を含むフィードバック系を備えることにより、発振波
長の規制が行なわれている。ここで、プリズム7から射
出された光を反射して再度プリズム7に向かわせる全反
射ミラー8の角度を変えると、プリズム7から全反射ミ
ラー8の側に射出された光のうちの、再度プリズムに入
射される分光光の波長が変化し、したがってCr:Li
SAF結晶3にフィードバックされる光の波長が変化
し、Cr:LiSAF結晶3による発振波長が変化す
る。
【0008】図9に示すレーザ発振器からは、上述した
ように、コリメータレンズ5を経由しビームスプリッタ
6で反射したビームと、反射ミラー9で反射しビームス
プリッタ6を透光したビームとが重ね合わされたビーム
が出力光3Bとして出力される。上記文献によれば、C
r:LiSAF結晶を用いた図9に示すレーザ発振器で
は、波長可変幅として約100nmが可能であり、発振
スペクトルの幅(線幅)は2nm程度であったと報告さ
れている。
【0009】しかし、分光分析のための光源、あるいは
干渉現象を利用した計測のための光源としてはもっと狭
い線幅のレーザ光が求められる。また図9の構成では、
フィードバック系光学素子の点数がビームスプリッタ
6、プリズム7、2枚の全反射ミラー8,9と4点もあ
り、これらの位置関係の長期の保持が難しく、上述した
2つのビームの重ね合わせとしてのレーザ出力特性を考
えると、ビーム重ね合わせの長期の保持は困難であっ
て、ビーム形状や出力の長期安定性にも問題がある。
【0010】次に、発振波長を可変する目的のものでは
ないが、半導体レーザについて、プリズムに比べ波長選
択精度(分解能)のすぐれた回折格子を用いて、発振ス
ペクトルの狭線幅化を行った例について説明する(「1
991年のオプティクスレターズ誌7月15日号、第1
6巻、第12)910頁 ケー・シー・ハーヴェイとシ
ー・ジェー・ミアット(K.C.Harvey and
C.J.Myatt)「グレージング入射回折を用い
た外部共振器ダイオードレーザ(External−c
avity diode laser using a
grazing−incidence diffra
ction)」」参照)。
【0011】図10は、上記文献で提案された、半導体
レーザの発振スペクトルの狭線幅化を実現した光学系の
配置図である。レーザダイオード10の一端面10a
は、このレーザダイオード10の発振波長に対し高反射
率を有するコーティングが付されており、もう1つの端
面10bには無反射コーティングが付されている。レー
ザダイオード10から射出したレーザ光10Aはコリメ
ートレンズ11によりコリメートされ、反射型回折格子
12に入射する。この入射光のうち、0次回折光10B
が、このレーザ発振器の出力光となる。また、回折格子
12で回折された回折光は全反射ミラー13に向かい、
その全反射ミラー13で反射し、その反射した回折光の
うち特定の波長の回折光のみが往路と同一の光路を通っ
てレーザダイオード10に入射する。これにより特定の
発振波長のみ選択的に利得が高まり、レーザダイオード
10はその発振波長で発振する。発振波長の微調整は、
上記文献にて提案された方式によれば、全反射ミラー1
3に圧電素子14を固定しその圧電素子に電圧を印加す
ることにより反射ミラー13の位置や角度を微調整する
ことにより行なっている。
【0012】尚、半導体レーザの場合、レーザ共振器
は、通常、レーザダイオード10の両端面10a,10
bに付された2枚のコーティングで構成されるが、ここ
では、レーザ共振器は、レーザダイオード10の端面1
0aに付されたコーティングと、反射ミラー13とによ
り構成されている。ここで、回折格子12は図9に示す
プリズム7と比べ波長分解能が高いため、図10に示す
レーザ発振器によれば線幅の極めて狭い波長の光のみを
レーザダイオード10にフィードバックすることがで
き、細幅の極めて狭いレーザ光を得ることができる。上
記の文献によれば発振レーザ光の細幅を2.4×10-8
nm程度にまで低減できたと報告されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の2つの従来技術
から、クロムライサフ(Cr:LiSAF)結晶を用い
た発振波長可変なレーザ発振器を構成し、しかも狭い線
幅のレーザ光を得るために、図10に示すレーザ発振器
におけるレーザダイオード10に代えてCr:LiSA
F結晶を配置し、そのCr:LiSAF結晶に図10の
左側から励起光を入射するよう構成することが考えられ
る。
【0014】しかしながら、Cr:LiSAF結晶はレ
ーザダイオードと比べ利得が低いため、回折格子12の
ような損失の大きな光学素子をレーザ共振器(図10の
例では、前述したように、レーザダイオード10の端面
10aに付されたコーティングと全反射ミラー13とで
レーザ共振器が構成されている)の内部に含むような構
成ではレーザ発振できないという問題がある。
【0015】本発明は、上記事情に鑑み、例えばCr:
LiSAF結晶のような利得の低い発振波長可変の固体
レーザ媒質を用いた場合であっても、図9に示す従来例
と比べ、レーザ発振波長の狭線幅化と波長選択の光学系
の簡素化による出力特性の安定化が図られた固体レーザ
発振器を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の固体レーザ発振器は、 (1)励起光が入射されその励起光のエネルギーにより
励起されて発振波長可変のレーザ光を発生する固体レー
ザ媒質 (2)上記固体レーザ媒質の一端側に配備された、上記
励起光を透過するとともにその固体レーザ媒質で発生し
たレーザ光を反射する第1の反射ミラー (3)上記第1の反射ミラーとでレーザ共振器を成し、
上記固体レーザ媒質で発生したレーザ光を出力する出力
ミラー (4)上記出力ミラーから出力されたレーザ光を回折す
る回折格子 (5)上記回折格子で回折された回折光を反射して反射
した回折光を上記固体レーザ媒質内に入射させる第2の
反射ミラー を備えたことを特徴とする。
【0017】ここで、上記第1の反射ミラーは、前述し
た図9に示す従来例と同様に、上記固体レーザ媒質の一
端面に付されたコーティングにより形成されたものであ
ってもよいが、上記第1の反射ミラーは、上記固体レー
ザ媒質とは別体に形成されたものであることも好ましい
態様である。また、上記本発明の固体レーザ発振器にお
いて、上記第2の反射ミラーの角度を調節する角度調節
機構を備えることが好ましい。この角度調節機構は、そ
の目的により、レーザ発振波長の初期設定用のものであ
ってもよく、必要に応じていつでも調整できるように構
成されたものであってもよく、あるいは発振波長をモニ
タしておき、その波長の発振が持続するように自動調節
するものであってもよい。また、この角度調節機構は、
第2の反射ミラーの反射面とその第2の反射ミラーへ入
射する回折レーザ光の光軸との交点を中心としてその第
2の反射ミラーを回動するものであってもよく、回折格
子の回折面と、その回折格子に入射するレーザ光の光軸
との交点を中心としてその第2の反射ミラーを回動させ
るものであってもよく、上記角度調節機構により上記第
2の反射ミラーの角度を調節する際の回動中心点は、固
体レーザ媒質にフィードバックされる回折光の波長が可
変されるように第2の反射ミラーの角度を調節するもの
であればよく、その第2の反射ミラーの回動中心点は特
に限定されるものではない。
【0018】また、上記本発明の固体レーザ発振器にお
いて、上記回折格子は、反射型の回折格子、あるいは、
透過型の回折格子のいずれであってもよく、さらには、
上記回折格子は、音響光学的に形成された回折格子であ
ってもよい。また、上記本発明の固体レーザ発振器にお
いて、上記固体レーザ媒質と上記出力ミラーとの間にエ
タロンを備えることも好ましい態様である。
【0019】さらに、上記本発明の固体レーザ発振器に
おいて、上記出力ミラーは、上記固体レーザ媒質の端面
に付されたコーティングにより形成されたものであって
もよい。尚、上記本発明の固体レーザ発振器は、固体レ
ーザ媒質は特に限定されるものではないが、その固体レ
ーザ媒質が現在知られている発振波長可変の固体レーザ
媒質であるCr:LiSAF結晶あるいはCr:LiC
AF結晶である場合に、その有効性が大きい。
【0020】
【作用】本発明の固体レーザ発振器は、レーザ共振器の
外側に回折格子を配置し、その回折格子で回折された回
折レーザ光を第2の反射ミラーで反射して固体レーザ媒
質内へフィードバックする構成であり、こうすることに
より、レーザ共振器内部に損失の大きな光学素子を含ま
せる必要がなく、例えばCr:LiSAF結晶のような
利得の低いレーザ媒質であっても先ずレーザ発振が開始
し、回折格子により分光された分光レーザ光がフィード
バックされると、レーザ共振器はその波長についてだけ
利得が上がったことになり、レーザ発振はその波長につ
いてだけ生ずるようになる。本発明によればプリズムよ
り分解能の高い回折格子が用いられているため、発振波
長の線幅は0.1nmレベルまで狭めることができる。
【0021】レーザ共振器外部に置かれる波長選択のた
めのフィードバック系は、図9の従来の構成では4点の
光学素子から成っていたが、本発明では回折格子と第2
の反射ミラーとの2点で済むため、光学系としての安定
度が向上でき、図9に示す構成のような2ビームを重ね
合わせる必要もなく、出力特性の長期安定性が実現でき
る。
【0022】ちなみに、本発明者による実験において、
従来提案された図9に示す構成におけるプリズム7の代
わりに回折格子を配置したところ、その回折格子は、C
r:LiSAF結晶3の一端面3aの反射コーティング
と出力ミラー4とで構成されるレーザ共振器の外部に配
置されることとなり発振は実現できたが、出力光を構成
する2ビームの重ね合わせが極めて難しく、また、一旦
うまく重ね合わせても、フィードバック系を構成する光
学素子の数が多いためその重ね合わせが直ぐにずれるな
ど、長期安定性に欠けるという問題点が極めて大きいこ
とが判明した。
【0023】上記本発明において、上記第1の反射ミラ
ーを、上記固体レーザ媒質の一端面に付されたコーティ
ングにより形成すると、上記第1の反射ミラーを、上記
固体レーザ媒質とは別の部材として備えた場合と比べ、
レーザ発振器の小型化に寄与することになる。ところ
で、上記第1の反射ミラーは、励起光を透過するととも
に上記固体レーザ媒質で発生したレーザ光を反射する特
性を有している必要があるが、レーザ発振波長を大きく
変化させようとすると、その大きく変化した波長のレー
ザ光を反射させるために、それに適合した特性を有する
第1の反射ミラーに取り替える必要がある。そのよう
に、第1の反射ミラーを取り替える必要を生じるほど発
振波長を大きく変化させる場合、第1の反射ミラーを固
体レーザ媒質の一端面に付したコーティングにより形成
すると、固体レーザ媒質そのものを取り替える必要を生
じることになる。
【0024】これに対し、上記第1の反射ミラーを固体
レーザ媒質とは別体に形成しておくと、その第1の反射
ミラーを取り替える必要を生じるほど発振波長を変化さ
せる場合、固体レーザ媒質そのものは取り替える必要が
なく、その点有利である。また、上記第1の反射ミラー
を固体レーザ媒質の一端面に付したコーティングにより
形成すると、固体レーザ媒質の温度変化により、膨張率
の関係からその固体レーザ媒質が歪み、その端面に付さ
れたコーティングからなる第1の反射ミラーが傾いたり
することがあり、狭線幅のレーザの場合出力の変動やモ
ードホップ(波長の変化)が生じる可能性がある。上記
第1の反射ミラーを、固体レーザ媒質とは別体としてお
くことは、第1の反射ミラーに固体レーザの媒質の熱が
直接伝わることが避けられるため、この点でも有利であ
る。
【0025】また、上記本発明において、固体レーザ媒
体と出力ミラーとの間にエタロンを配置すると、レーザ
発振の線幅をさらに狭めることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、本発明の固体レーザ発振器の第1実施例の光学系
配置図である。この図1および以下に説明する各図にお
いて、前述した従来例(図9、図10参照)の構成要素
に対応する構成要素には、図9、図10において付した
符号と同一の符号を付して示す。
【0027】図1において、レーザ媒質であるCr:L
iSAF結晶3には、半導体レーザ1の、波長668n
mの出力レーザ光1Aが励起光として入力され、そのC
r:LiSAF結晶3はその励起光により励起される。
Cr:LiSAF結晶3の端面3aには、そのCr:L
iSAF結晶3での発振レーザ光の波長の850nmの
波長領域では高反射、励起光に対しては無反射のコーテ
ィングがなされており、Cr:LiSAF結晶3の他の
端面3bにはそのCr:LiSAF結晶3で発振したレ
ーザ光の波長について無反射のコーティングがなされて
いる。また、その外部には、Cr:LiSAF結晶3で
発振したレーザ光の波長について例えば反射率98.5
%の部分透過コーティングがなされた出力ミラー4が配
置されている。半導体レーザ1による励起により、C
r:LiSAF結晶3の端面3aと出力ミラー4の構成
によるレーザ共振器内でレーザ発振が始まり、出力ミラ
ー4からレーザ光3Aが出力される。この出力レーザ光
3Aは、コリメートレンズ5を経由して、そのレーザ光
3Aがかすめるような角度に配置された回折格子12に
照射され、ここでの1次回折光は全反射ミラー8で反射
され、もと来た光路をたどり、レーザ共振器の内部にフ
ィードバックされる。このとき回折格子12の波長分解
能で定まる狭線幅の光のみがフィードバックされるた
め、レーザ発振器は、この狭線幅で発振するようにな
る。また全反射ミラー8の角度を変化させると、この回
折格子から、フィードバックされる回折光の波長が変化
するため、レーザ発振波長を変化させることができる。
このレーザ発振器の出力は、回折格子12における反射
光(0次光)3Bである。
【0028】図2、図3は、図1に示す構成のレーザ発
振器を組立てて行なった実験における実験データを示す
図である。ここでは、Cr:LiSAF結晶3として、
5×5×5mmの寸法のものを用いた。全反射ミラー8
の角度を変化させると、図2に示すように、発振波長が
804〜962nmの範囲で変化でき、波長可変幅とし
て150nmが得られた。また、このときの発振線幅
は、半値幅0.2nmと測定された。この0.2nmの
発振線幅内をより詳しく調べてみると、図3に示すよう
に、0.05nmごとに6本のスペクトルが含まれてい
ることがわかった。
【0029】図4は、本発明の固体レーザ発振器の第2
実施例の光学系配置図である。図2においては、図1に
示すレーザ発振器のレーザ共振器内部に、エタロン板2
0が付加されている。図5は、エタロン板20を図4に
示す位置に配置したときの発振線幅を示す図である。
【0030】図4に示すようにエタロン板20を配置す
ると、図5に示すように、図3に示した多数本(図3で
は6本)の発振スペクトルの中から、単一のスペクトル
を選別して発振させることができた。このときの発振線
幅は0.001nm以下と測定された。なお、図3に示
す多数本の発振スペクトルの間隔は、Cr:LiSAF
結晶3の厚さ5mmを光共振器としたときの縦モードと
解釈される。このため、Cr:LiSAF結晶3の厚さ
を例えば2mmに低減させると、縦モード間隔が2.5
倍に広がり、回折格子12の分解能内には単一のスペク
トルしか存在できなくなり、図4に示すエタロン板20
を挿入した時と同様、0.001nm以下の発振線幅を
得ることができる。
【0031】図6は、本発明の固体レーザ発振器の第3
実施例の光学系配置図である。ここでは回折格子として
透過形回折格子121が用いられている。透過形回折格
子121では、その裏面から垂直に光を入射させると、
図のように透過して直進する0次光3Bと、その0次元
光3Bとは異なる方向に回折光3Cが得られる。この回
折光3Cを全反射ミラー8で反射させ、もときた光路を
逆進させてやると、上記した各実施例と同様にレーザ共
振器へのフィードバックがなされ、このレーザ発振器
は、回折格子121のもつ波長分解能で定まる狭線幅で
の発振状態となる。出力レーザ光3Bは回折格子を透過
して直進する0次光として取り出される。全反射ミラー
8の角度を変化させると、この回折格子121からフィ
ードバックされる回折光の波長が変化するため、レーザ
発振波長を変化させることができる。
【0032】図7は、本発明の固体レーザ発振器の第4
実施例の光学系配置図である。この第4実施例の基本構
成は、図6における透過形回折格子をフィードバック系
光学部品として配置したものと同じであるが、この第4
実施例における回折格子122は音響光学効果を用いた
ものである。モリブデン酸鉛、二酸化テルルなどの超音
波伝搬媒体122aの端部に圧電素子122bを張り付
け、この圧電素子122bに、高周波電源122cから
の高周波電圧を加えると、超音波伝搬媒体122aの内
部には、超音波の波長と振幅で定まる屈折率変化が生
じ、これが回折格子として作用する。この音響光学的な
回折格子により回折された回折光3Cを反射する全反射
ミラー8を配置し、この回折光3Cを反射してもときた
光路を逆進させてやると、上記のプロセスによりレーザ
共振器へのフィードバックがなされ、このレーザ発振器
は回折格子のもつ波長分解能できまる狭線幅での発振状
態となる。この場合も、出力レーザ光3Bは、回折格子
となる超音波伝搬媒体122aを直進透過する0次光で
ある。この第4実施例の特徴は、全反射ミラー8の角度
を変化させずにレーザ発振の波長を選択できることであ
る。すなわち超音波伝搬媒体122a内部の屈折率分布
は、印加する高周波電圧の周波数で変化できるため、全
反射ミラー8の角度を変化させなくても、電気的な波長
選択が可能となる。
【0033】尚、図を参照しての説明は省略するが、出
力レーザ光のスペクトルの一層の狭線幅化に関する考え
かた、すなわちエタロン板を用いての狭線幅化、あるい
はCr:LiSAF結晶の厚さを薄くすることによる狭
線幅化などは、図6、図7に示す各実施例についてもそ
のまま適用できることは言うまでもない。図8は、本発
明の固体レーザ発振器の第5実施例の光学系配置図であ
る。
【0034】これまでの各実施例では出力ミラー4はC
r:LiSAF結晶3から分離した形で配置されていた
が、この図8に示す第5実施例においては、Cr:Li
SAF結晶3の光励起側の端面3aと対向する端面3b
に、出力ミラーに相当する反射率98.5%のコーティ
ングが施こされており、これによっても、波長可変レー
ザ発振器を実現できる。この場合、特にCr:LiSA
F結晶3の厚さを薄くすることにより図3に示される
0.05nmのスペクトル間隔を回折格子の分解能より
広げた場合、エタロン板を用いた場合と同様の単一スペ
クトル発振が可能となる。この第5実施例に対しても透
過形回折格子、あるいは音響光学効果による回折格子を
用いてのフィードバック系を適用することが可能であ
る。これにより、非常にコンパクトな波長可変範囲の広
い固体レーザ発振器を実現できる。
【0035】尚、上述した各実施例では、Cr:LiS
AF結晶3の端面3aに施されたコーティングにより、
本発明にいう第1の反射ミラーが形成されているが、本
発明にいう第1の反射ミラーは、Cr:LiSAF結晶
3とは別体に形成され、半導体レーザ1とCr:LiS
AF結晶3との間に配置されたものであってもよい。そ
の場合、Cr:LiSAF結晶3の端面3aには、半導
体レーザ1からのレーザ光(励起光)1Aの波長に対し
て高透過率であって、かつ、Cr:LiSAF結晶3で
発振したレーザ光の波長に対して無反射のコーティング
を施すことが好ましい。Cr:LiSAF結晶3の他の
端面3bには、上述した各実施例と同様、そのCr:L
iSAF結晶3で発振したレーザ光の波長について無反
射のコーティングを施すことが好ましい。
【0036】第1の反射ミラーを、Cr:LiSAF結
晶3とは別体に形成すると、その第1の反射ミラーを、
Cr:LiSAF結晶3の端面3aに付したコーティン
グで形成した場合と比べ、以下の点で有利である。 (a)発振波長を変化させる場合、その波長可変幅は、
レーザ共振器を構成する第1の反射ミラーと出力ミラー
の反射特性ないし透過特性により定まる。第1の反射ミ
ラーについては、半導体レーザ1からのレーザ光(励起
光)1Aについて高透過率であるとともに、Cr:Li
SAF結晶3の発振レーザ光について高反射率である必
要がある。発振レーザ光の波長が大きく変化するとその
大きく変化した波長についても高反射率を維持すること
は難しく、第1の反射ミラー及び出力ミラーを交換しな
い場合は、前述した実験データに示す波長可変幅150
mm程度が限界であると考えられる(図2参照)。そこ
で、これ以上の波長範囲にわたって発振レーザ光の波長
を変化させるためには、第1の反射ミラー及び出力ミラ
ーを交換する必要がある。その場合、第1の反射ミラー
(および出力ミラー)をCr:LiSAF結晶3とは別
体に形成しておけば、Cr:LiSAF結晶を交換する
ことなく、第1の反射ミラー及び出力ミラーを交換する
だけでよい。 (b)狭線幅のレーザの場合、Cr:LiSAF結晶3
の温度変化により結晶が歪むことがあり、第1の反射ミ
ラーを、Cr:LiSAF結晶3の端面3aに施したコ
ーティングで形成しておくと、そのコーティングによる
第1の反射ミラーが傾き、これが原因となって出力レベ
ルの変動や波長の変動(モードホップ)が生じ、波長や
出力レベルが安定されにくい。第1の反射ミラー(およ
び出力ミラー)を、Cr:LiSAF結晶3とは別体に
形成しておくと、Cr:LiSAF結晶3の熱が伝わり
にくく、レーザ出力の波長やレベルを一層安定化させる
ことができる。
【0037】上述した各実施例は、固体レーザ媒質とし
てCr:LiSAF結晶を用いたものであるが、本発明
における固体レーザ媒質はCr:LiSAF結晶に限ら
れるものではなく、例えばCr:LiSAF結晶等、他
の固体レーザ媒質を用いてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体レー
ザ発振器によれば、例えばCr:LiSAF結晶のよう
な利得の低いレーザ媒質であっても、回折格子のもつ鋭
い波長選択性を実現することができる。すなわち、本発
明によればレーザ共振器内部に損失の大きな光学素子を
存在させる必要がなく、Cr:LiSAF結晶のような
利得の低いレーザ媒質であってもまずレーザ発振が開始
し、回折格子の波長選択効果をもつ出力がフィードバッ
クされると、レーザ共振器はその波長についてだけQが
上がったことになりレーザ発振はこの波長についてだけ
生ずるようにできる。また、出力ミラーを外部ミラーと
して結晶とは空間をへだてて配置した場合は、この空間
にエタロン板を配置して、発振波長の一層の狭線幅化が
実現できる。またレーザ共振器外部に置かれる波長選択
のためのフィードバック系は図9の構成では4点の光学
素子から成っていたが、本発明では回折格子と第2の反
射ミラーとの2点で済むため光学系としての安定度が向
上し、また2本のビームの重ね合わせの構成ではないた
めに、出力特性の長期安定性も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体レーザ発振器の第1実施例の光学
系配置図である。
【図2】図1に示す構成のレーザ発振器を組立てて行な
った実験における実験データを示す図である。
【図3】図1に示す構成のレーザ発振器を組立てて行な
った実験における実験データを示す図である。
【図4】本発明の固体レーザ発振器の第2実施例の光学
系配置図である。
【図5】エタロン板を図4に示す位置に配置したときの
発振線幅を示す図である。
【図6】本発明の固体レーザ発振器の第3実施例の光学
系配置図である。
【図7】本発明の固体レーザ発振器の第4実施例の光学
系配置図である。
【図8】本発明の固体レーザ発振器の第5実施例の光学
系配置図である。
【図9】従来の提案の方式によるレーザ発振器の光学系
配置図である。
【図10】従来提案された、半導体レーザの発振スペク
トルの狭線幅化を実現した光学系の配置図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ 2 レンズ 3 Cr:LiSAF結晶 3a,3b 結晶の端面 3B 出力レーザ光 4 出力ミラー 5 コリメートレンズ 12,121,122 回折格子 8 全反射ミラー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光が入射され該励起光のエネルギー
    により励起されて発振波長可変のレーザ光を発生する固
    体レーザ媒質と、 前記固体レーザ媒質の一端側に配備された、前記励起光
    を透過するとともに前記固体レーザ媒質で発生したレー
    ザ光を反射する第1の反射ミラーと、 前記第1の反射ミラーとでレーザ共振器を成し、前記固
    体レーザ媒質で発生したレーザ光を出力する出力ミラー
    と、 前記出力ミラーから出力されたレーザ光を回折する回折
    格子と、 前記回折格子で回折された回折光を反射して反射した回
    折光を前記固体レーザ媒質内に入射させる第2の反射ミ
    ラーとを備えたことを特徴とする固体レーザ発振器。
  2. 【請求項2】 前記第1の反射ミラーが、前記固体レー
    ザ媒質の一端面に付されたコーティングにより形成され
    たものであることを特徴とする請求項1記載の固体レー
    ザ発振器。
  3. 【請求項3】 前記第1の反射ミラーが、前記固体レー
    ザ媒質とは別体に形成されたものであることを特徴とす
    る請求項1記載の固体レーザ発振器。
  4. 【請求項4】 前記第2の反射ミラーの角度を調節する
    角度調節機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の
    固体レーザ発振器。
  5. 【請求項5】 前記回折格子が、音響光学的に形成され
    た回折格子であることを特徴とする請求項1記載の固体
    レーザ発振器。
  6. 【請求項6】 前記固体レーザ媒質と前記出力ミラーと
    の間にエタロンを備えたことを特徴とする請求項1記載
    の固体レーザ発振器。
  7. 【請求項7】 前記出力ミラーが、前記固体レーザ媒質
    の端面に付されたコーティングにより形成されたもので
    あることを特徴とする請求項1記載の固体レーザ発振
    器。
  8. 【請求項8】 前記固体レーザ媒質が、Cr:LiSA
    F結晶あるいはCr:LiCAF結晶であることを特徴
    とする請求項1記載の固体レーザ発振器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002151776A (ja) * 2000-11-13 2002-05-24 Gigaphoton Inc 真空紫外レーザ装置
JP2008211232A (ja) * 2008-04-11 2008-09-11 Shimadzu Corp 半導体レーザ装置
KR100945423B1 (ko) * 2008-04-10 2010-03-05 (주)레이저옵텍 파장가변 외부공진 레이저

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