JPH08192450A - 光学的情報記録媒体用樹脂基板の製造方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体用樹脂基板の製造方法

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JPH08192450A
JPH08192450A JP584195A JP584195A JPH08192450A JP H08192450 A JPH08192450 A JP H08192450A JP 584195 A JP584195 A JP 584195A JP 584195 A JP584195 A JP 584195A JP H08192450 A JPH08192450 A JP H08192450A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大容量の光学的記録媒体用の樹脂基板、すな
わち、複屈折の極めて小さい樹脂基板を提供する。 【構成】 成形時の金締め圧力を特定範囲に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大容量の光学的情報記録
媒体、特に今後主流となると思われる、700nm未満
の短波長でNA=0.55以上の対物レンズを用い、か
つトラックピッチ1.3μm未満の記録密度で記録・再
生を行う光ディスクに適した樹脂基板の射出圧縮成形に
よる製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】記録可能な光ディスクとして穴あけ型媒
体が登場して以来、10年以上の年月が経過した。この
間、記録消去が可能な光磁気媒体、1ビームオーバーラ
イトが可能な相変化媒体なども実用化されている。極く
初期を除き、記録再生用光源としては半導体レーザーが
用いられており、使用レーザー波長は、初期は830n
m前後、最近では780nm前後が主流である。
【0003】収束光ビームのスポット径は、波長が短け
れば小さくすることができるため、短波長化が望まれて
いるが、現在、信頼性のある実用的な半導体レーザーの
波長は780nmまでである。このような光記録媒体
は、コスト、量産性の観点から透明な樹脂基板上に記録
層、保護層等を形成してなり、ポリカーボネート樹脂が
主として用いられている。樹脂基板、特にポリカーボネ
ート樹脂基板では、基板の光学的異方性、すなわち複屈
折、と基板のそり、すなわちチルトが問題となる。特に
光磁気媒体では、0.5度程度の小さなKerr回転角
を検出するため、複屈折の影響が大きい。
【0004】しかしながら、樹脂の分子量等の最適化、
成形技術の改良により、面内複屈折は20×10-6未満
に抑えられ、実用上問題ないレベルとなっている。一
方、垂直複屈折、すなわち基板面に平行な方向の屈折率
と基板面に直角な方向の屈折率の差の絶対値は、ポリカ
ーボネート樹脂基板で特に大きく、500×10-6以上
にも達するが、作動光学ヘッドの開発により、やはり実
用上問題ないレベルまでその影響は低減されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光ディ
スクの一層の高密度化が求められるなか、680nm前
後の半導体レーザーが実用化され、近い将来安価で高出
力なものが提供される見通しが出てきた。また、800
〜1000nm前後の高出力半導体レーザーと非線形素
子を組み合わせて500nm前後の波長を得る技術も進
歩し、レーザーと非線形素子を組み合わせたヘッドも小
型化されつつある。
【0006】さらには、波長500nm程度の半導体レ
ーザーも実験室レベルでは開発に成功したという報告が
あいついでいる。このように、短波長化半導体レーザー
を用いた高密度光ディスクは、まず波長680nm前後
を始めとして、近い将来に量産化される状況が整ってき
ている。またより小さなスポット径を得るため、収束用
の対物レンズの開口数NAを0.55以上にすることも
検討されている。以上述べたような高密度化の際、いっ
たん解決されたと思われた樹脂基板の光学的異方性及び
チルトが再び深刻な問題となることが懸念される。
【0007】まず、樹脂基板の光学的異方性(複屈折)
に係わる問題点としては、以下の2点があげられる。 1)基板を光ビームが通過する際に生じる位相差。
(W.A.Challener and T.A.Ri
nehart,Appl.Opt.,31(199
2),1853ページ等に詳しい)光磁気媒体のように
光の偏光とその方位の回転を利用して情報の記録再生を
行う媒体では、特定方向の直線偏光の回転とともに、楕
円化が生じ、これがキャリアレベルの低下、作動ヘッド
におけるコモンモードノイズの増加をもたらす。
【0008】通常のポリカーボネート樹脂基板では2軸
または1軸の光学的異方性を有し、これは入射光の方向
によって、位相差が異なってくることを意味する。収束
光ビームでは、種々の入射光線の方位があるため、無数
の位相差を有する光線の寄せ集めとなり、位相差板等で
は簡単に補正できない、複雑な波面を形成する。位相差
は、光線の入射方向によって決まる基板の複屈折をΔ
n、基板厚をd、波長をλとすると、
【0009】
【数1】Δn・d/λ
【0010】で決まるから、記録再生に用いる波長が短
くなれば、実質的に位相差は増加する。従って、短波長
化、特に700nm未満で使用する光磁気媒体では基板
の複屈折による位相差の問題が深刻になる。
【0011】2)複屈折による非点収差の問題。(B.
E.Bernacki and M.Mansurip
ur,Appl.Opt.,32(1993),654
7ページ等に詳しい)収束光ビームで基板に対して垂直
でなく斜めに光線が基板に入射する際、屈折が生じる
が、光学的異方性を有する基板では、入射光線の方位、
入射角度によって屈折率が異なることはよく知られてい
る。このため、本来、基板の記録層側の面で直径1μm
程度の面内に収束すべき、ビームに非点収差が生じる。
【0012】非点収差が生じた場合、焦点面をどこで合
わせるかという光学ヘッドの機差により、記録再生特性
にばらつきが生じる。また、ビームがトラック横断方向
に長軸をもつ楕円ビームとなった場合、隣接トラックか
らのクロストークが問題となる。短波長光源を用いた高
密度光ディスクでは、トラックピッチも狭くなるから、
クロストークの問題はいっそう厳しくなる。
【0013】従来、垂直複屈折を400×10-6未満と
する基板についての出願(特開昭62−204451)
はあるが、その製造方法に関する記述は不十分で必ずし
も光学的、機械的に優れた各種特性のバランスのとれた
基板を提供できるとは限らない。別の、出願(特開昭6
2−121767)では、主軸を基板面に水平にするこ
とを提案しているが、やはり、製造方法として十分な記
載があるとは言えないし、光学特性以外の機械特性等を
も満足できるとは限らない。
【0014】これらは、800nm程度の波長での比較
的記録密度の媒体を念頭に、複屈折に伴う位相差の低減
のみを考慮している。先の出願(特開昭62−2044
51号等)では射出成形過程を3段階で制御し、転写の
ための加圧過程の直後に圧力を大幅に抜くことを提案し
ているが、これでは、樹脂が比較的自由に収縮しやす
く、微妙な変形を生じ易い。光学的異方性の少ないポリ
オレフィン樹脂を用いるという材料面からの提案もある
が、その上に成膜した薄膜との密着性が悪いこと、生産
量が少なく、工程が複雑なため、高価であること等の理
由により、必ずしも実用化に適するとはいえない。
【0015】さらに、通常用いられる基板の厚みは1.
2mmであるが、基板の厚みを1.0mm未満とする
と、複屈折に係わる上記問題は軽減される。しかし、そ
のような薄型基板は、単体ではそり易く、機械的安定性
に乏しいため、張り合わせて使用する必要がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、現在広く
用いられており、安価で信頼性についても実績のあるポ
リカーボネート樹脂基板の複屈折、特に垂直複屈折を低
減し、将来の高密度媒体にも適用できるよう、射出成形
法について種々検討を行い、本発明に到達した。すなわ
ち、本発明の要旨は、射出圧縮成形によって形成され
る、外径80mmφ以上150mmφ以下の光学的情報
記録媒体用のポリカーボネート樹脂基板の製造方法であ
って、溶融樹脂を金型内に充填する第1過程と、圧縮し
てスタンパ上の微細パターンを転写する第2過程と、金
型内に樹脂を保持して冷却する第3過程と、金型を開い
て成形品を知り出す第4過程とからなり、金型温度を樹
脂のガラス転移点Tgに対して10から40℃低い温度
に保持し、第1過程において基板の単位面積あたりに印
加する圧力P1を0≦P1<220kgf/cm2
し、第2過程の圧力P2を220≦P2≦430kgf
/cm2 とし、第3過程において圧力を2段階に制御
し、その圧力P3、P4をP4+60≦P3≦P2−4
0kgf/cm2 、かつ、80≦P3<220kgf/
cm2 、0≦P4<80kgf/cm2 となるように設
定し、かつ、上記第1過程及び第2過程に要する時間、
すなわち、樹脂充填開始から圧力P2の印加を終了し、
圧力P3の印加開始までの時間を3秒未満とし、圧力P
3から圧力P4へ圧力を変化させるタイミングを樹脂充
填より3秒以上経過し、かつ5秒は経過しない時間とす
る光学的情報記録媒体用樹脂基板の製造方法に存する。
【0017】本発明に用いる樹脂はポリカーボネート樹
脂であり、1種または2種以上のビスフェノール類とホ
スゲンまたはジフェニルカーボネートのような炭酸エス
テルとを反応させることにより製造されるもので、その
例は、特公平6−20784、特公平6−20783に
例示されている。このうち、代表的なのは、現在広く用
いられているビスフェノールAからなるタイプである。
本発明における射出圧縮成形に用いる装置の概念図を図
1に、圧力制御の模式図を図2に示す。
【0018】以下、本発明のディスク用基板成形法につ
き詳細に説明する。図1には本発明の基板の成形方法を
実施する成形装置の一例が示されている。この成形装置
10は可動金型11と固定金型12とを含み、可動金型
11には基板13表面にビットやレーザー案内溝を転写
形成するためのスタンパー14が内外周スタンパー押さ
え15,16によって固定されている。
【0019】他方、固定金型12は固定盤17に載置さ
れており、中央には湯口筒体即ちスプルー部18が設け
られている。このスプルー部18の中心には樹脂流入路
18aが形成されており、その一端18bは金型11,
12間に形成されるキャビティ19内に開口し且つ他端
18cは射出ノズル20に接続している。そして、固定
金型12は、その外周部に配置され且つ固定盤17に取
付けられた金型押え21によって該固定盤17に固定さ
れている。
【0020】可動金型11と固定金型12は図1に示さ
れるように温度調整用チャンネル22a〜22d,23
a〜23dを備え、このチャンネルによって各金型1
1、12の径方向内側(以下内周部と称す)の温度と外
側(以下外周部と称す)の温度とを調節する。また、ス
プルー部18には中心の樹脂流入路18aを取り巻くよ
うに冷却媒体通路24が形成されている。
【0021】本発明のディスク用基板製造法はこのよう
な成形装置10によって実施される。すなわち、当該成
形装置10において、可動金型11が固定金型12に型
閉じされ、例えばポリカーボネートのような溶融樹脂が
射出ノズル20からスプルー部18の樹脂流入路18a
を介してキャビティ19内に射出される。溶融樹脂のキ
ャビティ19への射出工程前に、可動金型11は矢印A
方向に高圧で加圧される。
【0022】この可動金型11の加圧即ち型締め圧力
は、本特許請求に示す圧力である。この型締め圧力によ
りキャビティ19内の溶融樹脂は所望の板厚のディスク
にプレス成形され、スタンパー14のピット又は溝等の
プリフォーマット情報が転写される。そして、プレス成
形後はこの型締め圧力をそのまま保持、或いは段階的に
変化させる。この後、成形されたディスク基板を金型1
1、12から取り出す。すなわち、金型を開く直前に固
定金型12に付属したエアー離型機構から基板と固定金
型12との間にエアーを導入してディスク基板を固定金
型12から引き離し金型を開く。
【0023】可動金型11側は、金型を開くと同時、あ
るいは、型開後に機械的突出機構が動作するまでの間に
エアー供給することにより、ディスク基板をスタンパー
14から引き離す。図2において、圧力制御は少なくと
も3段階に分けられる。
【0024】溶融した樹脂を金型内に充填する第1過程
は、樹脂温度が低下して流れにくくなる前に終了するた
め、1秒未満の短時間とする。充填された樹脂表面にス
タンパの微細パターンを転写するための第2過程は、
0.5秒〜2秒程度に選ばれるのが普通である。樹脂の
冷却を行なう第3過程は数秒から30秒程度の間で、機
械特性の安定性、タクトタイム等を考慮して決められ
る。基板をいきなり取り出すとガラス転移点Tg近傍に
あるため、変形し易い。例えば、基板中心部を吸着して
金型からはずす場合、わずかな引っかかり(金型を開い
た時の落下防止に必要)により、基板が反ったりする。
【0025】溶融樹脂の温度は樹脂の流動性が十分確保
でき、かつ分解等から変質が防げる温度であり、例え
ば、分子量15000程度のビスフェノールAからなる
ポリカーボネート樹脂では、3百数十℃程度から400
℃程度に選ばれる。もちろん、樹脂の融点、流動性、耐
熱性を基準として決められるので、樹脂の融点が変化す
れば必ずしもこの範囲にあるとは限らない。
【0026】金型温度Tmoは通常、樹脂のガラス転移
点Tgよりやや低めに選ばれる。Tgより数十℃以上低
いと、金型表面でのスキン層形成が促進され、特に面内
複屈折が大きくなる。Tgより高いと、基板が柔らかい
まま金型から取り出されることになり、機械特性の面か
ら好ましくない。
【0027】例えば、充填時の樹脂温度350℃、樹脂
のTgが140℃の場合、Tmoは100℃〜120℃
とし、冷却時間を5秒〜10秒とする。少なくともこの
3段階あれば、現行の垂直複屈折500×10-6程度の
光ディスク樹脂基板の製造は可能である。
【0028】さて、ポリカーボネート樹脂基板の複屈折
のうち、面内複屈折に関しては、樹脂温度、金型温度を
ある温度以上にして樹脂の流動性を確保し、また、樹脂
自身の分子量を14000〜20000程度に低くする
ことで、十分低くできる。また、比較的短時間の低温の
アニールでも低減できる。すなわち、20×10-6未満
にすることは容易である(特公平6−20784、特開
昭60−155424)。
【0029】一方、通常500〜600×10-6と言わ
れるポリカーボネート樹脂基板の垂直複屈折を低くする
ことは容易ではない。第2過程で相当大きな圧力P2を
印加して転写したあと、第3過程において圧力P3をで
きるだけ低くして冷却した方が良いことは既に知られて
いる(特公平5−68778)。
【0030】本発明者らは、P2からP3への圧力差が
大きく、かつP3が低いほど垂直複屈折の低下が著し
く、また、特定の時間範囲内でP2からP3への圧力低
下を行うことが有効であることを見いだした。この圧力
低下のタイミングは、金型内に充填された樹脂の内部の
温度が急激に低下する際に、Tgを通過する前後とほぼ
一致する。
【0031】すなわち、垂直複屈折の発生要因は、面内
複屈折のように樹脂充填時の流動によるものではなく、
冷却時、特にTg近傍での板厚方向の圧力と樹脂が収縮
しようとする圧力のバランスによって決まる。P2,P
3がずっと高ければ、基板は板厚方向に圧縮された状態
で固化する。P3がたとえ低くても、P2からP3への
移行が早ければ、樹脂の収縮があまりにも自由に行われ
るため、やはり高応力状態のまま固化してしまう。
【0032】いずれにせよ、板厚方向と面内方向の応力
に異方性が生じ、これとポリカーボネート樹脂特有の大
きな光弾性定数のために、前述のような大きな垂直複屈
折が残されてしまうのである。従来、垂直複屈折は樹脂
の流動時に生じる配向性のみで説明されたり、圧縮成形
時の歪の残留のみに注目して説明されたりしてきた。
(例えば特開平4−83620)。樹脂固化時の、特に
Tg近傍まで冷却されたときの樹脂内の圧力バランスに
言及した例は、本発明者らが知る限り全くない。
【0033】本発明者らによる垂直複屈折発生メカニズ
ムに関する上記の新たな考案が、以下に述べる本発明の
新規性を支えるものであることは言うまでもない。本発
明者らは、考察は別として、従来経験的に提案、使用さ
れてきた、この3段階の制御だけでは、光学的、機械的
に高密度な媒体に適用できる基板は得難いという結論に
達した。すなわち、P2からP3の圧力差が大きく、P
3が低ければ良いということをP2からP3への1段階
で行おうとすると、樹脂に引けが発生したり、反りが発
生し易い。
【0034】これは、樹脂温度は金型の半径方向で一様
ではなく、Tgを通過するタイミングも2〜3秒のばら
つきを生じるため、一気に圧力を加えると、半径方向で
その効果が一様でなく、結果として、内外周で応力差を
生じるためであると考えられる。また、板厚方向にも温
度分布は存在するので基板の表裏に応力分布が非対称に
なったりする。
【0035】そこで、圧力プロファイルを4段階以上に
して冷却過程の圧力低下を段階的に行う必要がある。圧
力低下を徐々にあるいは段階的にするという提案は従来
もあったが、先に述べたとおり、特に垂直複屈折の低減
には特定の圧力差、タイミングのみが有効であり、この
点で従来の方法では不十分であると言わざるを得ない。
【0036】本発明においては、図2に模式的に示した
ような4段階の圧力プロファイルを用いる。金型温度T
moについては、上記3段階制御の場合と同様な配慮か
ら、樹脂のガラス転移点Tgに対して10℃から40℃
低い温度に保持する。金型温度をこのような範囲に保つ
ことは、樹脂の冷却速度をほぼ一定の範囲にする効果も
ある。
【0037】すなわち、特定の時間範囲に圧力を制御す
る本発明の特徴の一つは、樹脂温度がTg近傍まで冷却
された時に圧力を変化させることであるから、上記金型
温度を一定の範囲に保つことで圧力を変化させるべき特
定の時間範囲を限定できる。樹脂充填時の圧力P1は0
≦P1<220kgf/cm2 とする。220kgf/
cm2 以上とすると、樹脂充填時の抵抗が大きくなり、
せん断応力が増大して、樹脂の配向が促進させるため、
面内複屈折が大きくなりすぎるので好ましくない。
【0038】微細パターン転写のための圧力P2は、2
20≦P2≦430kgf/cm2とする。220kg
f/cm2 未満では、微細パターンの転写が不十分であ
る。例えば、深さ0.5〜1μm、幅0.3〜0.6μ
m程度の溝を形成する場合、スタンパの凸形状の転写率
が悪く、浅い溝しか形成できないという問題が生じる。
【0039】430kgf/cm2 より大とすると、基
板中の残留応力歪を増大させ、複屈折の増大、基板のそ
りを生じ易い。本発明では、転写後の一定の冷却時間基
板を金型内に保持し、この間、圧力をP3、P4と段階
的に低下させる。P2からP3への圧力を低下させるタ
イミングは、金型内への樹脂充填開始から3秒未満とす
る。
【0040】樹脂を金型内に充填するには通常0.5秒
程度で十分であるから、残りの約2.5秒未満がP2印
加時間となる。P3からP4への圧力低下を、金型内樹
脂温度がほぼTg近傍にさしかかる時間帯とする。すな
わち、P3からP4へ圧力を変化させるタイミングを、
樹脂充填より3秒以上経過し、かつ5秒よりは経過しな
い時間帯とする。
【0041】圧力P3、P4はP4+60≦P3≦P2
−40kgf/cm2 、かつ80≦P3<220kgf
/cm2 、0≦P4<80kgf/cm2 となるように
設定する。P2−P3が40kgf/cm2 未満であっ
たり、P3が220kgf/cm 2 以上であると、P2
からP3へ圧力低下させた効果が全くなく、実質的にP
2からP4にいっきに圧力変動させることになり、やは
り好ましくない。
【0042】最後に、P4を0≦P4<80kgf/c
2 となるように設定する。P4が80kgf/cm2
以上では、特に垂直複屈折の低減効果は見られない。本
発明の場合P1からP4のいずれかの圧力を印加する時
間も0とはならない。P4を0kg/cm2 とすること
は、面内複屈折を小さくする上で効果がある。P4が2
0kgf/cm2 から80kgf/cm2 では、負の比
較的大きな複屈折が特に、外周部に発生し易い。
【0043】相変化媒体のような反射率変化を検出する
媒体では問題とならないレベルであるが光磁気媒体では
問題となるレベルとなる−20×10-6から−50×1
-6の範囲にある。ここでいう、面内複屈折の符号は、
半径方向主軸の屈折率が円周方向の主軸の屈折率より大
きい場合を正とする。本発明者らの検討によれば、この
負の複屈折は、樹脂基板を該樹脂の示差走査熱量計で測
定したガラス転移点Tgに対し、Tg−40℃≦Ta≦
Tg−10℃なる温度Taにおいてアニールすることに
よって大幅に低減することができ、ほとんどの場合、−
20×10-6より小さくできる。(絶対値を小さくでき
る)。
【0044】また、アニールによる複屈折の低減は樹脂
の配向または、熱歪みの緩和によることが知られている
が、垂直と面内の複屈折ではアニールによる緩和速度が
異なるため、垂直複屈折を低下させるには30分以上の
アニールが必要である。外周部の面内複屈折の大きな領
域は、最外周から数mm未満に限られるので、外周部の
複屈折を低減したい場合には金型の外径を、上記樹脂基
板の外径より3mm以上10mm未満だけ大きいものと
し、上記金型径とほぼ等しい樹脂基板を成形した後、所
定の外径まで外周部を切削することも有効である。
【0045】もちろん、アニールと外周切削を組み合わ
せても良い。なお、本発明における4段階の圧力制御の
うち、P3、P4のステップは圧力範囲を上記P3、P
4に課せられた条件を保ちつつ、多段階に分割して、段
階的に圧力を減少させても良い。以下、実施例を用いて
本発明を詳細に説明する。本発明は、以下の実施例で用
いられた、特定の構造を有する成形機に依存しないこと
は言うまでもない。また、以下の実施例で用いた特定の
ポリカーボネート樹脂のみに限定されるものではない。
【0046】
【実施例】
実施例1〜14、比較例1〜16 成形用樹脂として、分子量14300のビスフェノール
Aタイプのポリカーボネート樹脂を用いた。示差走査熱
量計で測定したガラス転移点Tgは140℃である。成
形機のシリンダー内の樹脂温度を350℃として、金型
内に樹脂の充填を行った。金型温度は110℃〜120
℃で変化させた。樹脂基板は130mm、厚みは1.2
mmとした。
【0047】成形機は、住友重機(株)製のディスク5
A MIII (商品名)を使用した。表1に実施例の、表
2に比較例の成形条件及び評価結果をまとめた。評価結
果として半径30mmから60mmのうち10mm刻み
で、4点測定した面内複屈折及び垂直複屈折の最大値と
最小値を示した。さらに、基板の機械特性を現行光ディ
スクの規格(ISO/IEC13549)に従って評価
した結果、十分なマージンをもってクリアするものを
○、ぎりぎりではあるがクリアするものを△、規格外の
ものを×で表した。
【0048】また、溝及びセクター部のピットの転写製
をやはり、上記規格に従って評価し、十分なマージンを
もってクリアするものを○、ぎりぎりではあるがクリア
するものを△、規格外のものを×で表した。実施例1
0、11はP3、P4を2段階に分割した例であり、機
械特性の改善に効果がある。
【0049】実施例15、比較例17、18 実施例1の基板を120℃、1時間でアニールした結果
を実施例15(表1)に示した。機械特性は良好であっ
た。アニールにより垂直複屈折は約80×10-6低減で
きた。面内複屈折は特に、最外周部で負の大きな値が低
減でき、+10×10-6から−10×10-6の範囲に収
まり全体的に良好な光学特性が得られ、光磁気ディスク
でも使用できるレベルとなった。
【0050】実施例1の基板を90℃でアニールした結
果を比較例17(表2)、130℃でアニールした結果
を比較例18(表2)に示した。90℃では面内複屈折
は低減できたものの、垂直複屈折はほとんど効果がな
く、130℃では、ガラス転移点に近すぎて基板が若干
軟化し、機械特性が悪化した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明の方法によれば、光学異方性、す
なわち複屈折が小さく、かつ機械的安定性に優れた基板
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる装置の一例の縦断面図
【図2】本発明の方法の圧力制御の模式図
【符号の説明】 10 成形装置 11 可動金型 12 固定金型 13 基板 14 スタンパー 18 スプルー部 19 キャビティー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 69:00 B29L 17:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出圧縮成形によって形成される、直径
    80mmφ以上150mmφ未満、厚み1.0mm以上
    1.5mm以下の光学的記録媒体用のポリカーボネート
    樹脂基板の製造法であって、溶融樹脂を金型内に充填す
    る第1過程と、圧縮してスタンパ上の微細パターンを転
    写する第2過程と、金型内に樹脂を保持して冷却する第
    3過程と、金型を開いて成形品を知り出す第4過程とか
    らなり、金型温度を樹脂のガラス転移点Tgに対して1
    0から40℃低い温度に保持し、第1過程において基板
    の単位面積あたりに印加する圧力P1を0≦P1<22
    0kgf/cm2 とし、第2過程の圧力P2を220≦
    P2≦430kgf/cm2 とし、第3過程において圧
    力を2段階に制御し、その圧力P3、P4をP4+60
    ≦P3≦P2−40kgf/cm2 、かつ、80≦P3
    <220kgf/cm2 、0≦P4<80kgf/cm
    2 となるように設定し、かつ、上記第1過程及び第2過
    程に要する時間、すなわち、樹脂充填開始から圧力P2
    の印加を終了し、圧力P3の印加開始までの時間を3秒
    未満とし、圧力P3から圧力P4へ圧力を変化させるタ
    イミングを樹脂充填より3秒以上経過し、かつ5秒は経
    過しない時間とする光学的情報記録媒体用樹脂基板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 圧力P4を0とすることを特徴とする請
    求項1に記載の光学的情報記録媒体用樹脂基板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 成形後の樹脂基板を基板を形成する樹脂
    の示差走査熱量計で測定したガラス転移点Tgに対し、
    Tg−40≦Ta≦Tg−10℃なる温度Taで少なく
    とも30分アニールすることを特徴とする請求項1に記
    載の光学的情報記録媒体用樹脂基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 金型キャビティーの外径を、所望の樹脂
    基板の外径より3mm以上10mm未満大きいものと
    し、樹脂基板を成形したのち、所定の外径まで樹脂基板
    の外周部を切削することを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載の光学的情報記録媒体用樹脂基板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 圧力P3及び圧力P4の印加時間を分割
    し、圧力P3、圧力P4を経時的に減少させることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学的情
    報記録媒体用樹脂基板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008270686A (ja) * 2007-04-25 2008-11-06 Toshiba Corp パターン形成装置、パターン形成方法及びテンプレート
JP2015116789A (ja) * 2013-12-20 2015-06-25 日本ゼオン株式会社 プラスチック成形方法

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