JPH08190075A - 頭部装着型映像表示装置 - Google Patents

頭部装着型映像表示装置

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JPH08190075A
JPH08190075A JP109095A JP109095A JPH08190075A JP H08190075 A JPH08190075 A JP H08190075A JP 109095 A JP109095 A JP 109095A JP 109095 A JP109095 A JP 109095A JP H08190075 A JPH08190075 A JP H08190075A
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Japan
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eye
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Withdrawn
Application number
JP109095A
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English (en)
Inventor
Yutaka Kodama
裕 児玉
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 観察者の利き眼を考慮して見易く表示できる
頭部装着型映像表示装置を提供する。 【構成】 光路を展開した状態で、左右の接眼光学系14
L,14R の表示素子側の主点OR,OL どうしを結ぶ線分の中
点から偏った任意の一点Oと、左右の接眼光学系14L,14
R のそれぞれの表示素子側の焦点FL,FR とを結ぶ直線上
の任意の領域で、右眼用映像表示素子4Rまたはその共役
像である右眼用表示面と、左眼用映像表示素子4Lまたは
その共役像である左眼用表示面とを、それらの間隔を変
化させつつ、左右の接眼光学系14L,14R の光軸方向にほ
ぼ平行移動させる表示面移動手段17,18a,19,20,22,23,2
4 を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、観察者の頭部に装着
され、眼球内網膜上に映像を投影する頭部装着型映像表
示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、観察者の頭部に装着され、LCD
等の映像表示素子に映像を表示して、その映像をレンズ
系や凹面鏡等の各種投影光学系を用いて観察者の眼球内
に虚像として導く頭部装着型映像表示装置が種々提案さ
れている。かかる頭部装着型映像表示装置は、装置を手
等で持つことなく、装着手段を介して観察者の頭部に装
着した装置本体で映像を観察できると共に、装置本体内
に設けられた小型の映像表示素子で大画面像を見ること
ができることから、新しいタイプの映像表示装置として
注目されている。
【0003】図13および図14は従来の頭部装着型映
像表示装置を示すものである。この頭部装着型映像表示
装置101は、平成6年7月7日に頒布された「3次元
画像コンファレンス '94」の講演論文集に記載された
もので、図13に一方の眼球に対応する光学系の側面図
を示すように、外界を見るためのハーフミラー104を
有し、このハーフミラー104により、レンズ102で
拡大したLCD103の映像を一旦反射させて、その虚
像106を観察するようにしている。また、ハーフミラ
ー104の前方には、調光可能な液晶シャッタ105を
配置し、これにより外界と虚像106との明るさのバラ
ンスを調整し得るようにしている。
【0004】図13に示す頭部装着型映像表示装置10
1では、外界の物体107までの距離状況に合わせて、
虚像106の距離を調整し得るようにしている。このた
め、図14に示すように、右左の眼球に対応するLCD
103R,103Lを移動可能に構成している。以下、
この点について、図14を参照してさらに詳細に説明す
る。なお、図14において、右眼に対応する素子には、
その符号にサフィックスRを、左眼に対応する素子に
は、その符号にサフィックスLをそれぞれ付してある。
【0005】図14において、右左のレンズ102R,
102Lの焦点距離fは等しく、主平面108は一致し
ている。また、レンズ102R,102Lの光軸109
R,109Lは、距離Lを隔てて平行となっている。こ
こで、OR,OLはレンズ102R,102Lのそれぞ
れの主点、Oは線分OR,OLの中点、FR,FLはレ
ンズ102R,102LのLCD側のそれぞれの焦点、
O′は線分FR,FLの中点を示している。
【0006】この従来の頭部装着型映像表示装置では、
2枚のLCD103Rおよび103Lを、レンズ主平面
108のLCD面までの距離を等しくしながら、線分
O,FRおよびO,FL上をそれぞれ移動させ、これに
より虚像106の距離を変化させるようにしている。
【0007】ここで、左右の光学系の虚像106が一致
する理由は、以下のように説明されている。すなわち、
レンズ主平面108とLCD103R,103Lとの間
のそれぞれの距離s1 は、右左とも同一であり、レンズ
102R,102Lの焦点距離fも同じであるので、左
右の虚像106の表示平面と主平面108間の距離は等
しくなる。したがって、左右の虚像106の中心がそれ
ぞれ直線O,O′上に存在することを示せば、左右の虚
像106が一致することになる。
【0008】そこで、ORを原点に、直線OR,OLを
d軸に、直線OR,FRをs軸にとると、右眼用LCD
103Rの中心MR(s1 ,d1 )は、直線OFR上に
あるので、 d1 =L/2−L・s1 /(2f) (1) が成立する。
【0009】一方、右眼用LCD103Rの虚像中心の
座標を、MR′(s1 ′,d1 ′)とすると、結像公式
より、 1/f=1/s1 −1/s1 ′ (2) となる。また、レンズ主点OR、LCD103Rの中心
MRおよび虚像中心MR′は、一直線上に並ぶので、 s1 /s1 ′=d1 /d1 ′ (3) となる。したがって、上記(1),(2)および(3)式
から、 d1 ′=L/2 (4) となり、虚像中心MR′は、直線O,O′上に存在する
ことになる。
【0010】また、左眼用レンズ102Lの光学系は、
直線O,O′に対して、右眼用レンズ102Rの光学系
と対称なので、同様にして、レンズ102Lの虚像中心
も直線O,O′上に存在することになる。これにより、
左右の虚像が一致する。
【0011】なお、特開平6−123852号公報に
は、上述の内容が記載されていると共に、像奥行き調整
(視度調整)や眼幅調整を行った際も、虚像を移動させ
る機構が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の頭部装着型映像表示装置では、観察される虚像
を近距離に調整すると、虚像が両眼の中間に導かれて寄
り眼の状態になるため、自然な観察状態とずれて観察し
にくくなるという問題がある。すなわち、人間には、よ
く利く方の腕としての右利きや左利きがあるように、よ
く利く方の眼としての右利きや左利きといった利き眼が
あり、注視する際にその観察する対象物をわずかに利き
眼側に寄せる場合がある。そのため、注視する映像が左
右の両眼の中間にあると、自然な観察状態とずれて観察
しにくくなる。
【0013】また、観察される虚像を、仮想モニタとし
てコンピュータやワープロのディスプレイ代わりに使用
する場合を考えると、横書きの表示の場合には、表示さ
れる情報が虚像の左寄りになるため、虚像を近づけた際
に情報量が多いところが注視しずらくなるという問題が
ある。
【0014】この発明の第1の目的は、上記の問題点に
鑑みてなされたもので、観察者の利き眼を考慮して見易
く表示できるよう適切に構成した頭部装着型映像表示装
置を提供しようとするものである。
【0015】また、上述した従来の頭部装着型映像表示
装置では、映像表示素子であるLCDを移動させて、両
眼虚像を一致させるようにしているため、移動によって
高価なLCDを損傷するおそれがあると共に、移動の際
に、LCDに映像信号等を供給するための配線に負担が
かかり、断線等の故障が生じやすくなるという問題があ
る。さらに、配線やLCD自体の重量によって、移動操
作がしにくくなるという問題がある。
【0016】この発明の第2の目的は、上記の問題点に
鑑みてなされたもので、映像表示素子の損傷や故障を生
じることなく、両眼虚像を容易にほぼ一致できるよう適
切に構成した頭部装着型映像表示装置を提供しようとす
るものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、第1の発明は、右眼用の映像を表示する右眼用
映像表示素子と、左眼用の映像を表示する左眼用映像表
示素子と、前記右眼用の映像を観察者の右側眼球に導く
ために、前記右眼用映像表示素子からの光束によって右
眼用射出瞳を形成する右眼用接眼光学系と、前記左眼用
の映像を観察者の左側眼球に導くために、前記左眼用映
像表示素子からの光束によって左眼用射出瞳を形成する
左眼用接眼光学系とを有する頭部装着型映像表示装置に
おいて、光路を展開した状態で、前記左右の接眼光学系
の表示素子側の主点どうしを結ぶ線分の中点から偏った
任意の一点と、前記左右の接眼光学系のそれぞれの表示
素子側の焦点とを結ぶ直線上の任意の領域で、前記右眼
用映像表示素子またはその共役像である右眼用表示面
と、前記左眼用映像表示素子またはその共役像である左
眼用表示面とを、それらの間隔を変化させつつ、前記左
右の接眼光学系の光軸方向にほぼ平行移動させる表示面
移動手段を有することを特徴とするものである。
【0018】前記任意の一点は、前記左右の接眼光学系
の一方の表示素子側の主点とするのが、観察者の利き眼
を考慮して、より見易く表示したり、虚像を近づけた際
に情報量の多い表示部分を見やすい位置に移動する点で
好ましい。
【0019】また、上記第2の目的を達成するため、こ
の発明は、右眼用の映像を表示する右眼用映像表示素子
と、左眼用の映像を表示する左眼用映像表示素子と、前
記右眼用の映像を観察者の右側眼球に導くために、前記
右眼用映像表示素子からの光束によって右眼用射出瞳を
形成する右眼用接眼光学系と、前記左眼用の映像を観察
者の左側眼球に導くために、前記左眼用映像表示素子か
らの光束によって左眼用射出瞳を形成する左眼用接眼光
学系とを有する頭部装着型映像表示装置において、光路
を展開した状態で、前記左右の映像表示素子が固定状態
にあるときの、前記右眼用映像表示素子の共役像である
右眼用共役像と、前記左眼用眼用映像表示素子の共役像
である左眼用共役像とを、その少なくとも一方の共役像
が、他方の接眼光学系の光軸側にほぼ平行移動するよう
に、前記左右の接眼光学系の光軸方向に移動させる共役
像移動手段を有することを特徴とするものである。
【0020】前記共役像移動手段は、前記左右の共役像
を、前記左右の接眼光学系の表示素子側の主点を通る直
線上の任意の一点と、前記左右の接眼光学系のそれぞれ
の表示素子側焦点とを結ぶ直線上を移動させるよう構成
するのが、虚像の奥行きと輻輳角とをほぼ一致させて、
虚像を見易くする点で好ましい。
【0021】前記共役像移動手段は、ほぼ平行移動して
前記左右の共役像を移動させる反射面を有し、該反射面
を、光路を展開した状態で、当該反射面で反射される光
軸とは他方の光軸側に向けて配置するのが、装置を小型
化する点でより好ましい。
【0022】前記反射面は、ほぼ平面鏡をもって構成す
るのが、歪みのない虚像を得る点で好ましい。
【0023】
【作用】第1の発明においては、観察者が頭部装着型映
像表示装置を装着して、左右の眼球の瞳をそれぞれ左右
の射出瞳に重ねると、左右の映像表示素子に表示された
それぞれの映像が、左右の接眼光学系により虚像として
左右眼球の網膜上に導かれて両眼視できるようになる。
その際、光路を展開した状態、すなわち反射面等の光軸
を曲げる光学素子があったとしても、光軸を真っ直ぐに
した状態で、右眼用表示面と左眼用表示面とを同時に左
右の接眼光学系の光軸方向に移動させると、接眼光学系
と表示面との間隔が変化して、虚像の奥行きが変化する
が、この光軸方向への移動の際に、左右の表示面の任意
の表示領域が移動する経路を、左右の接眼光学系の映像
表示素子側の主点を通る直線上の任意の一点と、左右の
接眼光学系のそれぞれの映像表示素子側の焦点とを結ぶ
直線上の任意の領域として、左右の表示面の間隔を変化
させつつほぼ平行移動させれば、左右眼球に導かれる虚
像の奥行きと輻輳角(観察者の左右眼球の視線方向のな
す角)とがほぼ一致することになる。以下、このことを
図1および図2に示すこの発明の概念図を参照して説明
する。
【0024】図1は、左右の接眼光学系の映像表示素子
側の主点を通る直線上の任意の一点を、右眼用接眼光学
系の映像表示素子側の主点とした場合の光学系を示すも
のである。図1において、右眼用接眼光学系1Rおよび
左眼用接眼光学系1Lは、それぞれ等しい焦点距離fを
有すると共に、映像表示素子側の主平面2および射出瞳
側の主平面2がそれぞれ一致し、かつそれらの光軸3
R,3Lは、間隔Lを隔てて平行となっている。ここで
は、得られる結果に変わりはないので、表示素子側主平
面2および射出瞳側主平面2の間隔、すなわち主点間隔
を、簡略のため0(ゼロ)としている。なお、ORおよ
びOLは、接眼光学系1Rおよび1Lのそれぞれの映像
表示素子側の主点兼射出瞳側主点、FRおよびFLは、
接眼光学系1Rおよび1Lのそれぞれの映像表示素子側
の焦点を示す。
【0025】図1において、2枚の表示面4R,4Lの
任意の領域上の対応する点MR,MLは、それぞれ映像
表示素子側の主平面2との距離を等しくしながら線分F
R,ORおよびFL,OR上を移動する。この移動によ
り虚像5の距離が変化する。以下、この関係を保った場
合でも、左右眼球に導かれる虚像5が一致する理由を説
明する。
【0026】接眼光学系1R,1Lの映像表示素子側の
主平面2と表示面4R,4Lとのそれぞれの間の距離s
2 は、左右とも等しく、接眼光学系1R,1Lの焦点距
離fも等しいので、左右の虚像5の表示平面と接眼光学
系1R,1Lの射出瞳側主平面2とのそれぞれの間の距
離は等しくなる。したがって、左の表示面4Lの点ML
に対応する虚像5の点ML′が、接眼光学系1Rの光軸
上に存在することを示せば、左右の虚像5は一致するこ
とになる。
【0027】そこで、ORを原点に、直線OR,OLを
d軸に、直線OR,FRをs軸にとると、左眼用表示面
4L上の点ML(s2 ,d2 )は、直線OR,FL上に
あるので、 d2 =L・s2 /f (5) が成立する。また、左眼用表示面4L上の点MLに対応
する虚像5上の点の座標を、ML′(s2 ′,d2 ′)
とすると、結像公式より、 1/f=1/s2 −1/s2 ′ (6) となる。
【0028】しかも、左眼用接眼光学系1Lの射出瞳側
主点OL、左眼用表示面4L上の点MLおよびこの点M
Lに対応する虚像5上の点ML′は、主点間隔が0であ
ることから、一直線上に並ぶので、 s2 /s2 ′=(L−d2 )/(L−d2 ′)(7) となる。したがって、上記(5),(6) および(7)式
から、 d2 ′=0 (8) となるので、点ML′は、右眼用接眼光学系1Rの光軸
3R上に存在することになる。また、右眼用接眼光学系
1Rの光軸3Rに重なるOR,FR上の表示面4R上の
点MRは、やはり接眼光学系1Rの光軸3R上に虚像5
として導かれるので、左右の虚像が一致することにな
る。
【0029】以上、左右の接眼光学系1L,1Rの映像
表示素子側の主点を通る直線上の任意の一点を、右眼用
接眼光学系1Rの映像表示素子側主点としたときの光学
系を説明したが、左右の接眼光学系1L,1Rの映像表
示素子側の主点を通る直線上の任意の一点を、左眼用接
眼光学系1Lの映像表示素子側主点としたときの光学系
についても、上記説明の左右を入れ換えることにより、
同様にして、虚像5は左眼用接眼光学系1Lの光軸3L
上を移動することになる。
【0030】次に、図2を参照して、左右の表示面4
L,4Rの任意の表示領域が移動する経路を、左右の接
眼光学系1L,1Rの映像表示素子側の主点を通る直線
上の任意の一点と、左右の接眼光学系1L,1Rのそれ
ぞれの映像表示素子側の焦点とを結ぶ直線上の任意の領
域として、左右の表示面4L,4Rをほぼ平行移動させ
たときに、左右眼球に導かれる虚像5の奥行きと輻輳角
とがほぼ一致することを説明する。
【0031】図2において、右眼用接眼光学系1Rおよ
び左眼用接眼光学系1Lは、それぞれ等しい焦点距離f
を有すると共に、映像表示素子側の主平面2および射出
瞳側の主平面2がそれぞれ一致し、かつ、それらの光軸
3R,3Lは平行となっている。ここでも、説明を簡略
化するため、映像表示素子側主平面2および射出瞳側主
平面2の間隔である主点間隔は0としている。なお、O
RおよびOLは接眼光学系1Rおよび1Lのそれぞれの
映像表示素子側主点兼射出瞳側主点、Oは各接眼光学系
1R,1Lの映像表示素子側主点OR,OLを結ぶ線分
を、l1 :l2に分割する内分点、FRおよびFLは各
接眼光学系1Rおよび1Lのそれぞれの映像表示素子側
焦点、O′は焦点FRFLを結ぶ線分をl1 :l2 に分
割する内分点を示す。
【0032】2枚の表示面4R,4Lの任意の領域上の
対応する点MR,MLは、映像表示素子側主平面2との
距離を等しくしながら、線分FR,OおよびFL,O上
をそれぞれ移動する。この移動により虚像5の距離が変
化する。以下、この関係を保った場合でも、左右眼球に
導かれる虚像5が一致する理由を説明する。
【0033】接眼光学系1R,1Lの映像表示素子側主
平面2と、表示面4R,4Lとの間のそれぞれの距離s
1 は、左右とも同一であり、接眼光学系1R,1Lの焦
点距離fも同じであるので、左右の虚像5の表示平面と
射出瞳側主平面2との間のそれぞれの距離も等しくな
る。したがって、左右の虚像5の表示面4R,4L上の
点MRおよびMLにそれぞれ対応する点MR′およびM
L′が、それぞれ内分点O,O′を結ぶ線上に存在する
ことを示せば、左右の虚像5は一致することになる。
【0034】そこで、ORを原点に、直線OR,OLを
d軸に、直線OR,FRをs軸にとると、右眼用表示面
4R上の点MR(s1 ,d1 )は、直線O,FR上にあ
るので、 d1 =l1 −l1 ・s1 /f (9) が成立する。また、右眼用表示面4R上の点MRに対応
する虚像5の座標を、MR′(s1 ′,d1 ′)とする
と、結像公式より、 1/f=1/s1 −1/s1 ′ (10) となる。
【0035】さらに、右眼用接眼光学系1Rの射出瞳側
主点OR、右眼用表示面4R上の点MRおよびこの点M
Rに対応する虚像5上の点MR′は、主点間隔が0であ
ることから、一直線上に並ぶので、 s1 /s1 ′=d1 /d1 ′ (11) となる。したがって、上記(9),(10) および(1
1)式から、 d1 ′=l1 (12) となるので、点MR′は内分点O,O′を結ぶ線上に存
在することになる。
【0036】また、左眼用表示面4L上の点ML
(s1 ,d2 )は、直線O,FL上にあるので、 d2 =l1 +l2 ・s1 /f (13) が成立する。ここで、左眼用表示面4L上の点MLに対
応する虚像5上の点の座標を、ML′(s1 ′,
2 ′)とすると、結像公式より、 1/f=1/s1 −1/s1 ′ (14) となる。
【0037】しかも、左眼用接眼光学系1Lの射出瞳側
主点OL、左眼用表示面4L上の点MLおよびこの点M
Lに対応する虚像5上のML′は、主点間隔が0である
ことから、一直線上に並ぶので、 s1 /s1 ′=(l1 +l2 −d2 )/(l1 +l2 −d2 ′) (15) となる。したがって、上記(13),(14) および(1
5)式から、 d2 ′=l1 (16) となるので、点ML′も、同じく内分点O,O′を結ぶ
線上に存在することになる。以上より、左右の虚像5は
一致する。
【0038】なお、上記説明では、点Oを、線分OR,
OLの内分点としたが、l1 やl2のいずれかを負とし
ても、左右の虚像5を一致させる関係が成立する。言い
換えれば、左右の接眼光学系1L,1Rの映像表示素子
側主点OR,OLを通る直線上の任意の一点と、左右の
接眼光学系1L,1Rの映像表示素子側焦点とを結ぶ直
線上に、表示面4L,4Rの対応する任意領域が位置す
れば、左右の虚像5は重なることになる。
【0039】以上の説明から明らかなように、内分点O
の位置は、虚像5が形成される位置に対応する。したが
って、この点Oを、左右の主点の中点から偏って位置さ
せれば、虚像5を近づけた際に像位置を横方向にずらす
ことができる。具体的には、点Oを中点よりも、右眼用
接眼光学系1R側に位置させれば、虚像5は観察者の直
前方よりも右側で位置調整でき、また、左眼用接眼光学
系1L側に位置させれば、虚像5は観察者の直前方より
も左側で位置調整できるので、右利き用や左利き用の使
用に好適となる。
【0040】また、右眼用接眼光学系1Rの映像表示素
子側主点と内分点Oとの間隔をl1、内分点Oと左眼用
接眼光学系1Lの映像表示素子側主点との間隔をl2
したとき、1.5l1 <l2 を満たすようにすれば、一
般的に多い右利き眼の人により好適であり、また、仮想
スクリーンの左寄りに情報が集まっている場合の使用に
好適となる。同様に、間隔l1 およびl2 が、l1
1.5l2 を満たすようにすれば、左利き眼の人に好適
となる。
【0041】さらに、l1 =0またはl2 =0、すなわ
ち点Oを左右の接眼光学系1L,1Rのいずれかの映像
表示素子側の主点とすれば、表示面を光軸に対し偏心移
動させる偏心手段を左右の光学系の一方のみに設ければ
よいので、部品点数を削減することができると共に、他
方の表示面はほぼ光軸上を移動させればよいので、製作
誤差の発生を抑えることができる。また、利き眼側の表
示面をほぼ光軸に沿って移動させるようにすれば、利き
眼側の映像中心の収差変動を抑えることができる。ま
た、特に、点Oを図1に示したように、右眼用接眼光学
系1Rの映像表示素子側主点とすれば、一般的に多い右
利き眼の人により好適になると共に、仮想スクリーンの
左寄りに情報が集まっている場合の使用にも好適とな
る。
【0042】第2の発明においては、観察者が頭部装着
型映像表示装置を装着して、左右の眼球の瞳をそれぞれ
左右の射出瞳に重ねると、左右の映像表示素子に表示さ
れたそれぞれの映像は、左右の接眼光学系により虚像と
して左右眼球の網膜上に導かれて両眼視できるようにな
る。その際、光路を展開した状態で、右眼用共役像と左
眼用共役像とを同時に左右の接眼光学系の光軸方向に移
動させると、それぞれの接眼光学系と共役像との間隔が
変化して、虚像の奥行きが変化するが、この光軸方向へ
の移動の際に、左右の共役像の間隔が常に狭くなるの
で、奥行きに応じて輻輳角も変化することになる。しか
も、映像表示素子は、頭部装着型映像表示装置本体に固
定され、映像表示素子の共役像が共役像移動手段によっ
て移動するので、映像表示素子自体やそれに接続されて
いる配線等が損傷を受けることもなくなる。
【0043】また、共役像移動手段を、左右の接眼光学
系の映像表示素子側の主点を通る直線上の任意の一点
と、左右の接眼光学系のそれぞれの映像表示素子側焦点
とを結ぶ直線上の任意の領域として、左右の共役像を移
動させるようにすれば、図1および図2で説明したよう
に、虚像の奥行きと輻輳角とがほぼ一致することになる
ので、虚像が観察し易くなる。
【0044】この共役像移動手段は、例えば、図3に示
すように構成することができる。なお、図3において、
図1および図2に示したものと同一作用をなすものに
は、同一の符号を付して、その説明を省略する。すなわ
ち、左右の接眼光学系1L,1Rの光軸3L,3R上
で、各映像表示素子側に、ほぼ平行移動可能に反射面6
R,6Lを配置する。これら反射面6R,6Lは、光路
を展開した状態で、それらの法線が内側に向くように設
けると共に、ほぼ平行移動した際に、反射面6R,6L
が対応する光軸3L,3Rを中心として回動しないよう
に構成する。
【0045】このように、反射面6R,6Lを設ける
と、それによって表示面4R,4Lの共役像7R,7L
が形成され、これらの共役像7R,7Lは、反射面6
R,6Lの平行移動に応じて移動することになる。例え
ば、反射面6R,6Lを、表示面4R,4Lと接眼光学
系1R,1Lとの間の光路長が短くなる方向に平行移動
(図3中では、反射面6R,6Lを実線で示す面から破
線で示す面へ移動)させると、反射面6R,6Lは互い
に内側を向いているので、共役像7R,7Lは接眼光学
系1R,1L側に近づく方向に移動すると共に、互いに
接近する方向に移動する(図3中では、共役像7R,7
Lが実線で示す面から破線で示す面へ移動する)。
【0046】逆に、反射面6R,6Lを、表示面4R,
4Lと接眼光学系1R,1Lとの間の光路長が長くなる
方向に平行移動させると、上記の関係が逆になる。した
がって、眼球に導かれる虚像は、観察者に近い状態にあ
るときは、輻輳角が大きくなり、観察者から遠い状態に
あるときは、輻輳角が小さくなるので、虚像が見易くな
る。
【0047】また、図3からも明らかなように、反射面
6R,6Lが光路を折り返しているので、反射面6R,
6Lの移動による共役像7R,7Lの移動量は、反射面
6R,6Lの移動量よりも大きくなる。したがって、映
像表示素子自体を移動させる場合に比べて、虚像位置調
整に必要なスペースを節約することができるので、装置
全体を小型化することが可能となる。
【0048】なお、共役像を移動させる他の構成として
は、例えば、再結像光学系により映像表示素子を再結像
させて共役像を形成するようにし、この再結像光学系を
移動させて共役像を移動させることも考えられるが、小
型軽量化のためには、図3に示したように構成するのが
有利である。
【0049】さらに、図3に示す構成において、反射面
6R,6Lを、ほぼ平面鏡とすると、反射面移動時の虚
像の歪みがないので、映像が見易くなる。
【0050】なお、第1,第2の発明において、任意の
表示領域を、同じ映像あるいは視差を含んだほぼ等しい
映像で、直径1mmの領域とすると、得られる虚像の重
なりを良好にできる。また、左右の接眼光学系を装置本
体に固定として、左右の映像表示素子またはその共役像
を移動させて像位置を調整するようにすれば、接眼光学
系を移動させて像位置を調整する場合と比較して、射出
瞳の移動がなく、像観察がし易くなる。
【0051】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
して説明する。先ず、図4および図5を参照して、頭部
装着型映像表示装置の概要を説明する。図4は、観察者
8がゴーグルタイプの頭部装着型映像表示装置9をバン
ド9Aを介して装着し、映像を楽しんでいる状態を示す
ものである。この頭部装着型映像表示装置9は、図5に
一方の眼球に対応する光学系の構成を示すように、シャ
ッタ10でシースルーの状態を遮断し、装置上部に設け
られているLCD(液晶表示器)よりなる映像表示素子
4からの映像を、ハーフミラー11を透過させて凹面鏡
12で反射させ、さらにハーフミラー11で反射させて
観察するようになっている。この発明の一実施例では、
映像表示素子4をボールバー13を介して上下方向(矢
印方向)に移動可能に構成する。以下、具体的構成につ
いて説明する。
【0052】図6〜図8は、この発明の第1実施例を示
すものである。この実施例の頭部装着型映像表示装置
は、接眼光学系に反射用の光学素子を有しないないもの
である。したがって、映像表示素子4は、図5に示した
ものとは異なり、観察者の眼の前方に配設されているタ
イプのものである。なお、この発明は、かかる構成の他
にも、映像表示素子が観察者の耳の近傍に配設され、側
頭部に配設された接眼光学系を介して映像を観察するよ
う構成されたもの等、種々のタイプの頭部装着型映像表
示装置に適応することができる。
【0053】この実施例では、図6に平面図を一部断面
で示すように、右眼用映像表示素子4Rおよび左眼用映
像表示素子4L上の映像を、それぞれ右眼用接眼レンズ
14Rおよび左眼用接眼レンズ14Lで拡大して観察す
る。なお、この実施例では、接眼レンズ14L,14R
を、それらの焦点距離をともに例えば6cmとすると共
に、表示素子側の主点を結ぶ間隔も6cmとする。これ
ら映像表示素子4R,4Lは、図7に部分斜視図をも示
すように、左右に長い矩形体として、画面15R,15
Lが観察者の左右の眼16L,16Rに対向するように
支持枠17に支持する。
【0054】支持枠17には、その四隅に貫通孔17
a,17b,17cおよび17dを形成し、これら貫通
孔17a,17b,17cおよび17dに、それぞれガ
イドバー18a,18b,18cおよび18dを貫通さ
せる。ガイドバー18a,18b,18cおよび18d
は、それらのうちの一本、この実施例ではガイドバー1
8aを、表面にネジを形成したボールネジをもって構成
する。また、支持枠17には、ボールネジ18aに螺合
して、像位置調整ノブ19を回転可能に設ける。このた
め、支持枠17には、貫通孔17aの周囲に突起部17
eを設け、また、像位置調整ノブ19には、突起部17
eに係合する突起部19eを設けて、これら突起部17
eおよび突起部19eを回転可能に係合させることによ
り、像位置調整ノブ19を支持枠17に回転可能に設け
る。
【0055】このようにして、この実施例では、像位置
調整ノブ19を回動させることにより、像位置調整ノブ
19、支持枠17および映像表示素子4R,4Lを、ボ
ールネジ18aおよびガイドバー18b,18c,18
dに沿って、すなわち観察者8に対して前後方向(矢印
方向)に一体に移動させるようにする。なお、この実施
例では、像位置調整ノブ19を左へ2回転させると、映
像表示素子4R,4Lが光軸上を眼球16R,16L側
へ5mm移動するものとする。
【0056】また、支持枠17には、軸21を中心に回
転可能にギア20を設け、このギア20を像位置調整ノ
ブ19に形成したギヤに噛合させる。この実施例では、
像位置調整ノブ19が2回転すると、ギア20が逆方向
に1回転するようにする。ギア20には、カム22を設
け、このカム22に、左眼用映像表示素子4Lに設けた
突起23を当接させる。また、突起23を設けた側とは
反対側の左眼用映像表示素子4Lの端部と支持枠17と
の間にはバネ24を設け、これにより突起23がカム2
2に常に当接するように附勢する。なお、カム22は、
軸21から突起23の当接面までの距離と、ギア20の
回転角とが比例関係となるように、図8に示すように、
渦巻き形状の面をもって構成する。この実施例では、カ
ム22が1回転すると、軸21から突起23の当接面ま
での距離が5mm変化するように構成する。
【0057】上記構成において、像位置調整ノブ19を
回転操作すると、左右の映像表示素子4R,4Lは、光
軸上を、例えば眼球16L,16R側に一体に移動する
と共に、左眼用映像表示素子4Lは、さらに、像位置調
整ノブ19の回転によるカム22の回転に伴い、例え
ば、カム22が図8に示すように、破線状態から実線状
態に回転するのに伴い、突起23を介してバネ24の付
勢力に抗して右方向、すなわち右眼用映像表示素子4R
に近づく方向に移動する。
【0058】ここで、左右の映像表示素子4R,4L
は、像位置調整ノブ19の回転に比例して光軸上を移動
し、像位置調整ノブ19が左方向に2回転すると、眼球
16L,16R側に5mm移動する。また、左眼球用の
映像表示素子4Lは、カム22の回転に比例して右眼用
映像表示素子4Rの光軸側に移動し、像位置調整ノブ1
9が左方向に2回転してカム22が一回転すると、右眼
用映像表示素子4Rの光軸側に5mm移動する。
【0059】したがって、この実施例によれば、像位置
調整ノブ19を回動操作することにより、左右の映像表
示素子4L,4Rを、それらの中心が図6において太線
で表した経路を通るように、しかも、右眼用の接眼光学
系14Rの表示素子側の主点ORと、左右の接眼レンズ
14L,14Rのそれぞれの表示素子側の焦点FL,F
Rと結ぶ直線上の領域を平行に移動させることができる
ので、観察者8が観察する奥行きと輻輳角とを一致させ
ることができる。
【0060】また、この実施例によれば、図1で説明し
たように、右眼16Rの直前方に映像の中心部がある虚
像が得られるので、右眼が利き眼の観察者に有利である
と共に、例えば、コンピュータプログラムの作成時等、
表示面の左寄りに情報を表示する場合が多い使用におい
て好適である。さらに、この実施例では、横方向の移動
を、左眼用の映像表示素子4Lのみとしたので、構成を
簡単にできる。
【0061】なお、第1実施例では、左眼用の映像表示
素子4Lを光軸方向およびそれと直交する方向に、右眼
用の映像表示素子4Rを光軸方向のみにそれぞれ移動可
能としたが、逆に、左眼用の映像表示素子4Lを光軸方
向のみに、右眼用の映像表示素子4Rを光軸方向および
それと直交する方向に移動可能に構成することもでき
る。この場合には、利き眼が左眼の観察者に有利とな
る。また、像位置調整ノブ19は、手動操作に限らず、
モータ等の動力源を用いて回転駆動するよう構成するこ
ともできる。さらに、図5において説明したように、左
右の映像表示素子4L,4Rの前方にシャッタを設け
て、外界と映像とを違和感なく同時に観察するスーパー
インポーズができるよう構成することもできる。
【0062】図9〜11は、この発明の第2実施例を示
すもので、第1実施例と同様の作用を成すものには同じ
参照番号を付して、その説明を省略する。この実施例
は、移動可能な反射面6L,6Rを用いて、前後方向の
虚像移動に伴う輻輳変換を行うようにしたものである。
すなわち、左右の映像表示素子4L,4Rを固定し、反
射面6L,6Rを移動させて、左右の映像表示素子4
L,4Rの共役像を、それぞれ左右の投影光学系の表示
素子側主点を結ぶ線分の中点と、それぞれの焦点とを結
ぶ線上を移動させるようにしたものである。
【0063】図9に示すように、右眼用光学系は、右眼
用映像表示素子4Rの映像を、右眼用移動反射面6R、
右眼用接眼レンズ14Rおよび反射面25Rを経て観察
者8の右眼16Rに投影するよう構成する。ここで、映
像表示素子4R、接眼レンズ14Rおよび反射面25R
は、装置本体に固定し、反射面6Rは、左右の接眼光学
系の光軸3L,3R間の距離をL、左右の接眼レンズ1
4L,14Rの焦点距離をfとするとき、tanθ=L
/2fを満たすように、接眼レンズ14Rの光軸に対し
てθだけ傾いて、該接眼レンズ14Rの光軸方向に移動
するよう構成する。
【0064】なお、映像表示素子4Rは、その表示面
が、接眼レンズ14Rの表示素子側主点ORから反射面
6R側の光軸上の任意の点を折返点26とし、該折返点
26から光軸3Rに対して2θを成す軸に対して垂直
で、かつその軸上に表示面中心部が位置すると共に、該
表示面中心から折返点26を経て接眼レンズ14Rの表
示素子側主点ORに到るまでの二線分の和がfとなる位
置に配置する。左眼用光学系についても、上記の右眼用
光学系と同様に構成して面対称に配置する。
【0065】ここで、反射面25R,6Rおよび25
L,6Lで曲げられた光軸3R,3Lを直線に展開する
と、左右の映像表示素子4L,4R、反射面6L,6R
および接眼レンズ14L,14Rに対して、それぞれ図
9に破線で示すように、左右の映像表示素子共役像4
L′,4R′、反射面共役像6L′,6R′および接眼
レンズ共役像14L′,14R′が形成される。
【0066】この状態で、反射面6R,6Lを図中矢印
で示す方向に平行移動させると、映像表示素子4R,4
Lの共役像4R′,4L′は、それぞれの表示素子側主
点(共役像)OR′,OL′を結ぶ線分の中心点O′
と、それぞれの焦点(共役像)FR′,FL′とを結ぶ
直線上を移動することになる。これを証明するには、図
10において、反射面を移動させることによる共役像4
R′の偏心量Δdと、光軸上の移動量Δsとの比Δd:
Δsが、OR′,O′間の距離であるL/2と、O
R′,FR′間の距離であるfとの比(L/2):fに
等しいこと、つまりΔd/Δs=(L/2)/fを示せ
ばよいことになる。
【0067】以下、このことを図10を参照して説明す
る。図10において、4R″は反射面25Rによる共役
像を示し、FR″は反射面6Rが折り返し点26に重な
ったときの光軸と表示素子4Rとの交点の反射面25R
による像を示す。ここで、反射面6RがΔmだけ光軸上
を移動したときのΔsとΔdについて考える。反射面像
6R′の移動後の接眼レンズ像14R′の光軸と、表示
素子像4R″との交点をaとすると、Δdは像FR″と
交点aとの距離に等しくなる。この距離は、移動後の反
射面像6R′と光軸との交点bを通り、線分FR″,a
に平行で、交点bから反射面6Rの移動前の光軸までの
交点cまでの距離bcに等しい(Δd=cb)。
【0068】また、Δsは、光軸上の距離の変化量と同
じであるので、FR″から折返点の像26″を経たO
R′までの距離と、交点aから交点bを経たOR′まで
の距離との差となる。ここで、線分FR″,cと、線分
a,bは等しく、かつ線分b,OR′が共通の光軸とな
るので、その差は、交点cから像26″を経た交点bま
での距離となる(Δs=c26″+26″b)。ここ
で、三角形b,c,26″は直角三角形となり、∠c,
26″,bは、反射面6Rの傾きがθなので、その二倍
の2θとなり、かつ線分26″bがΔmなので、 Δd=cb=Δm・sin 2θ (17) および、 Δs=c26″+26″b=Δm( cos2θ+1) (18) となる。したがって、(17)および(18)式から、 Δd/Δs=(sin 2θ)/( cos2θ+1)= tanθ (19) が得られる。
【0069】以上のことから、 tanθ=L/(2f)と
することで、Δd/Δs=(L/2)/fを満たし、こ
の条件下で、反射面6R,6Lを、図9に矢印で示す方
向に平行移動させれば、映像表示素子4R,4Lの共役
像4R′,4L′は、それぞれの表示素子側主点(共役
像)OR′,OL′を結ぶ線分の中点O′と、それぞれ
の焦点(共役像)FR′,FL′とを結ぶ直線上を移動
することになり、また映像表示素子4R,4Lの中心部
分の虚像が、観察者8の真っ直ぐ前方に形成されること
になる。
【0070】図11は、反射面6R,6Lを移動させる
ための構成を示すもので、接眼レンズ等を省略して示し
ている。この実施例では、シャフト28を、これに一体
に設けた調整ノブ27により回転させることにより、反
射面6R,6Lを平行移動させる。このため、シャフト
28の両端部には、それぞれ左右対称の形状にボールネ
ジ29R,29Lを形成し、反射面6R,6Lには、ボ
ールネジ29R,29Lに噛合して鋸歯状のネジヤマ3
0R,30Lを一体に設ける。
【0071】図11において、調整ノブ27を操作して
シャフト28を回動させると、反射面6R,6Lは、シ
ャフト28の軸方向で、シャフト28の回動方向に応じ
て、互いに近寄る方向あるいは遠ざかる方向に平行移動
するので、これにより虚像位置を合わせることができ
る。
【0072】この実施例によれば、映像表示素子4R,
4Lを装置本体に固定できるので、映像表示素子4R,
4Lへの図示しない配線等を傷めることなく、虚像の奥
行きおよび輻輳角を満足した値に容易に調整することが
できると共に、その調整のためのスペースも小さくでき
るので、装置全体を小型化できる。
【0073】なお、第2実施例では、左右眼球の中心の
真っ直ぐ前方に虚像中心を形成するようにしたが、線分
OR′,O′と線分O′,OL′とを、それぞれ
1 ′,1 2 ′(11 ′≠12 ′)として、左右眼球の
中心から偏った前方に虚像中心を形成するようにするこ
ともできる。この場合には、反射面6R,6Lを、それ
ぞれ光路を展開した状態で、互いの光軸方向に傾け、反
射面6Rの傾き角θRを、tanθR=11 ′/fを満
たす角度とし、反射面6Lの傾き角θLを、tanθL
=12 ′/fを満たす角度とすればよい。もちろん、1
1 ′または12 ′は、0(ゼロ)や負の値としても虚像
を重ねることができる。
【0074】また、反射面6R,6Lを移動させる手段
は、上記の構成に限らず、例えば、モータ等の動力源を
用いて電気的に行うよう構成することもできる。さら
に、反射面25R,25Lをハーフミラーとして、外界
と映像とを違和感なく同時に観察するスーパーインポー
ズができるよう構成することもできる。
【0075】図12は、この発明の第3実施例を示すも
のである。この光学系は、光路を展開した状態では、第
2実施例とほぼ同様であるが、固定の反射面の構成およ
び配置位置が第2実施例と異なっている。したがって、
第2実施例におけると同様の作用をなすものには、同じ
参照番号を付してその説明を省略する。
【0076】図12に示すように、右眼用光学系は、右
眼用映像表示素子4Rの映像を、右眼用移動反射面6R
および右眼用プリズム33Rを経て観察者8の右眼16
Rに投影するよう構成する。プリズム33Rは、透過反
射面32Rと、焦点距離fのパワーを有する反射面31
Rとを有し、反射面6Rで反射された映像を、透過反射
面32Rを透過させて反射面31Rで反射させ、さらに
透過反射面32Rで反射させて右眼16Rに導くよう構
成する。
【0077】ここで、映像表示素子4Rおよびプリズム
33Rは装置本体に固定し、反射面6Rは左右の光学系
の光軸間の距離をLとするとき、tanθ=L/2f
(fは、反射面31Rの焦点距離)を満たすように、プ
リズム33Rの光軸に対してθだけ傾いて移動するよう
構成する。また、映像表示素子4Rは、その表示面が、
プリズム33Rの表示素子側主点ORから反射面6R側
の光軸上の任意の点を折返点26とし、該折返点26か
ら光軸に対して2θを成す軸に対して垂直で、かつその
軸上に表示面中心部が位置すると共に、該表示面中心か
ら折返点26を経てプリズム33Rの表示素子側主点O
Rに到るまでの二線分の和がfとなる位置に配置する。
左眼用光学系についても、上記の右眼用光学系と同様に
構成して面対称に配置する。
【0078】なお、反射面6R,6L上および反射面3
1R,31L上には、反射の際に90度偏光方向が変わ
るコーティングして、正規な光軸での反射による光量損
失を少なく抑えるようにすると共に、透過反射面32
R,32Lは、映像表示素子4R,4Lの光束が直接眼
球に入射しないように、映像表示素子4R,4Lの偏光
方向は反射し、それと直行する偏光方向は透過する偏光
ビームスプリッタをもって構成する。
【0079】この実施例において、第2実施例で説明し
たと同様に、反射面6R,6L、反射面31R,31L
および透過反射面32R,32Lで曲げられる光軸を直
線に展開して、反射面6R,6Lを図中矢印で示す方向
に一体的に平行移動させると、それぞれの映像表示素子
4R,4Lの共役像は、それぞれの表示素子側主点(O
R,OLの像)の中点と、それぞれの焦点を結ぶ線上を
移動することになる。したがって、第2実施例における
と同様に、映像表示素子4R,4Lの中心部分の虚像
は、左右の射出瞳の中心を通る観察者8の真っ直ぐ前方
の直線上に形成されることになる。なお、この実施例で
は、反射面を3枚づつを用いているので、表示させる映
像は、左右が反転することになる。
【0080】以上のように、この実施例によれば、第2
実施例におけると同様に、映像表示素子4R,4Lを装
置本体に固定できるので、映像表示素子4R,4Lへの
図示しない配線等を傷めることなく、虚像の奥行きおよ
び輻輳角を満足した値に容易に調整することができる。
また、反射面6R,6Lと反射面31R,31Lとの間
に、透過反射面32R,32Lを介在させて、光軸の折
り返しを増やしているので、接眼光学系をコンパクト化
することができ、したがって装置全体を小型にできる。
さらに、透過反射面32R,32Lを透過する外界光に
より外界像も観察できるので、外界と映像とを違和感な
くスーパーインポーズできる。
【0081】なお、この発明は、上述した実施例にのみ
限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能
である。例えば、映像表示素子に表示される映像を再結
像させる再結像光学系を付加することもできる。このよ
うにすれば、例えば、図10においてFR″,OR′間
の光路中に再結像面を形成することができるので、接眼
光学系の表示素子側主点までの距離(焦点距離)を短く
でき、視角を大きくすることができる。
【0082】また、接眼光学系に、少なくとも表示素子
側から正のパワーを有する面および負のパワーを有する
面を設けることもできる。このようにすれば、例えば、
図10においてFR″から接眼レンズ14R′まで間
(またはその近傍)に、表示素子側主点を形成できるの
で、表示素子から接眼光学系の表示素子側主点までの距
離(焦点距離)を短くでき、視角を大きくすることがで
きる。
【0083】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、第1の
発明によれば、観察者の効き眼を考慮した、あるいは虚
像を近づけた際に情報量の多い表示部分が見やすい位置
に移動できる頭部装着型映像表示装置を得ることができ
る。
【0084】また、第2の発明によれば、映像表示素子
を装置本体に固定した状態で、両眼虚像を容易にほぼ一
致でき、しかも小型にできる頭部装着型映像表示装置を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の原理を説明するための図である。
【図2】同じく、第1の発明の原理を説明するための図
である。
【図3】第2の発明の原理を説明するための図である。
【図4】この発明にかかる頭部装着型映像表示装置の使
用状態を示す側面図である。
【図5】同じく、この発明にかかる頭部装着型映像表示
装置の概略構成を示す概要図である。
【図6】この発明の第1実施例の要部の構成を一部断面
で示す平面図である。
【図7】図6の部分斜視図である。
【図8】同じく、図6の部分詳細図である。
【図9】この発明の第2実施例の要部の構成を示す図で
ある。
【図10】第2実施例の作用を説明するための図であ
る。
【図11】図9の部分斜視図である。
【図12】この発明の第3実施例の要部の構成を示す図
である。
【図13】従来の頭部装着型映像表示装置の構成を示す
図である。
【図14】その作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1L,1R 接眼光学系 2L,2R 接眼光学系の主平面 3L,3R 接眼光学系の光軸 4L,4R 映像表示素子 5L,5R 虚像 6L,6R 反射面(表示面移動手段・共役像移動手
段) 7L,7R 映像表示素子の共役像 8 観察者 9 頭部装着型映像表示装置 12 凹面鏡(接眼光学系) 14L,14R 接眼レンズ(接眼光学系) 15R,15L 画面 16L,16R 観察者眼球 17 支持枠 18a ボールネジ 19 像位置調整ノブ 20 ギア 22 カム 23 突起 24 バネ 27 調整ノブ 28 シャフト 29R,29L ボールネジ 31L,31R 反射面 32L,32R 透過反射面 33L,33R プリズム(接眼光学系)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 右眼用の映像を表示する右眼用映像表示
    素子と、左眼用の映像を表示する左眼用映像表示素子
    と、前記右眼用の映像を観察者の右側眼球に導くため
    に、前記右眼用映像表示素子からの光束によって右眼用
    射出瞳を形成する右眼用接眼光学系と、前記左眼用の映
    像を観察者の左側眼球に導くために、前記左眼用映像表
    示素子からの光束によって左眼用射出瞳を形成する左眼
    用接眼光学系とを有する頭部装着型映像表示装置におい
    て、 光路を展開した状態で、前記左右の接眼光学系の表示素
    子側の主点どうしを結ぶ線分の中点から偏った任意の一
    点と、前記左右の接眼光学系のそれぞれの表示素子側の
    焦点とを結ぶ直線上の任意の領域で、 前記右眼用映像表示素子またはその共役像である右眼用
    表示面と、前記左眼用映像表示素子またはその共役像で
    ある左眼用表示面とを、それらの間隔を変化させつつ、
    前記左右の接眼光学系の光軸方向にほぼ平行移動させる
    表示面移動手段を有することを特徴とする頭部装着型映
    像表示装置。
  2. 【請求項2】 前記任意の一点は、前記左右の接眼光学
    系の一方の表示素子側の主点であることを特徴とする請
    求項1記載の頭部装着型映像表示装置。
  3. 【請求項3】 右眼用の映像を表示する右眼用映像表示
    素子と、左眼用の映像を表示する左眼用映像表示素子
    と、前記右眼用の映像を観察者の右側眼球に導くため
    に、前記右眼用映像表示素子からの光束によって右眼用
    射出瞳を形成する右眼用接眼光学系と、前記左眼用の映
    像を観察者の左側眼球に導くために、前記左眼用映像表
    示素子からの光束によって左眼用射出瞳を形成する左眼
    用接眼光学系とを有する頭部装着型映像表示装置におい
    て、 光路を展開した状態で、前記左右の映像表示素子が固定
    状態にあるときの、前記右眼用映像表示素子の共役像で
    ある右眼用共役像と、前記左眼用眼用映像表示素子の共
    役像である左眼用共役像とを、 その少なくとも一方の共役像が、他方の接眼光学系の光
    軸側にほぼ平行移動するように、前記左右の接眼光学系
    の光軸方向に移動させる共役像移動手段を有することを
    特徴とする頭部装着型映像表示装置。
  4. 【請求項4】 前記共役像移動手段は、前記左右の共役
    像を、前記左右の接眼光学系の表示素子側の主点を通る
    直線上の任意の一点と、前記左右の接眼光学系のそれぞ
    れの表示素子側焦点とを結ぶ直線上を移動させるよう構
    成したことを特徴とする請求項3記載の頭部装着型映像
    表示装置。
  5. 【請求項5】 前記共役像移動手段は、ほぼ平行移動し
    て前記左右の共役像を移動させる反射面を有し、該反射
    面を、光路を展開した状態で、当該反射面で反射される
    光軸とは他方の光軸側に向けて配置したことを特徴とす
    る請求項3または4記載の頭部装着型映像表示装置。
  6. 【請求項6】 前記反射面を、ほぼ平面鏡をもって構成
    したことを特徴とする請求項5記載の頭部装着型映像表
    示装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100438596B1 (ko) * 1997-05-23 2005-05-24 엘지전자 주식회사 머리장착영상표시장치의 시각 조절 장치
JP2009269551A (ja) * 2008-05-09 2009-11-19 Calsonic Kansei Corp 車両用表示装置

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KR100438596B1 (ko) * 1997-05-23 2005-05-24 엘지전자 주식회사 머리장착영상표시장치의 시각 조절 장치
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