JPH08189797A - 防護材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来品に比べて軽量且つ弾道抵抗性に優れた
防護用品を提供する。 【構成】 引張強度２０ｇ／ｄ以上、引張弾性率５００
ｇ／ｄ以上のポリエチレン繊維布帛が全体の６０〜８５
体積％含まれ、樹脂成分中に末端及び側鎖にビニル基を
有するブタジエン／アクリロニトリル共重合体等のエラ
ストマーを２０〜８０重量％添加されてなる防護材料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は弾丸などの飛行物から人
体などを保護するための防護用品を作るための材料に関
する。この防護材料は、防弾チョッキ、防弾ヘルメッ
ト、防弾板等の防護用品等に利用することができる。

【０００２】

【従来の技術】防弾チョッキ、防弾ヘルメット、防弾板
等の防護用品の材料として、長年の間、金属が使用され
てきたが、近年、被保護体の荷重負担を軽減するため
に、防弾性（弾道抵抗性）に優れている全芳香族ポリア
ミド繊維を用いた材料の検討がなされている。しかし、
全芳香族ポリアミド繊維よりも軽量でかつ防弾性に優れ
ている素材として超高分子量ポリエチレン繊維が挙げら
れる。例えば、高強力・高弾性率繊維である超高分子量
ポリエチレン繊維を用いた防護材料の従来例として特開
昭６０−１７８２９６号の公報記載の繊維断面偏平率を
特定した繊維を使用する旨についての技術が挙げられ
る。しかし樹脂についての検討はなされておらず、十分
な防弾性能を有する防護材料ではなかたった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
にない軽量でかつ耐弾性（弾道抵抗性）に優れた防護材
料を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の防護材料は、少
なくとも２０ｇ／ｄ以上の引張強度と少なくとも５００
ｇ／ｄ以上の引張弾性率の高強度高弾性率ポリエチレン
繊維を有する布帛と樹脂からなり、該繊維を６０〜８５
体積％含有し、且つ該樹脂成分中に末端及び側鎖にビニ
ル基を有するブタジエン／アクリロニトリル共重合体の
エラストマーを２０〜８０重量％添加されていることを
特徴とする。

【０００５】以下に本発明について詳述する。本発明に
おける繊維は、弾道抵抗性および軽量性を確保するため
に、少なくとも２０ｇ／ｄ以上の引張強度と少なくとも
５００ｇ／ｄ以上の引張弾性率を有することが必要であ
る。上記範囲外では、弾道抵抗性および軽量化の効果が
充分得られなくなるからである。

【０００６】また、該繊維は、６０〜８５体積％の範囲
で含有されている事が必要である。６０体積％未満では
従来の防護材料と比較して、弾道抵抗性の優れた防護材
料が得られなくなり、また８５体積％を越えると該繊維
間に樹脂が充填されなくなり、剛性及び保形性が急激に
悪くなる。

【０００７】本発明における樹脂としては、汎用のビニ
ルエステル樹脂・不飽和ポリエステル樹脂等が使用で
き、特に限定されるものではない。しかし、該樹脂はエ
ラストマーのビニル基との関係により、ビニルエステル
樹脂である事が好ましい。

【０００８】エラストマーとしては、末端及び側鎖にビ
ニル基を有するブタジエン／アクリロニトリル共重合体
が使用できる。

【０００９】エラストマーの添加量は、全体の２０〜８
０重量％であることが好ましい。２０％未満ではエラス
トマーの添加効果が現れず、また８０％を越えると樹脂
全体の強度が低下し好ましくない。

【００１０】なお本発明にかかるエラストマーは末端及
び側鎖にビニル基を有しているので、特にビニルエステ
ル樹脂とのブレンドにおいて良く混合する。したがっ
て、エラストマーを混ぜたときに起こる剛性低下を極力
抑えることができ、最大限エラストマーの特性を活かす
ことができる。

【００１１】少なくとも、引張強度２０ｇ／ｄ以上、引
張弾性率５００ｇ／ｄ以上の高強度高弾性率ポリエチレ
ン繊維を使用して布帛を構成する。次に、１２０℃、５
分で硬化する末端及び側鎖にビニル基を有するブタジエ
ン／アクリロニトリル共重合体等のエラストマーをビニ
ルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂に溶解させる（この重
合体はビニル基を持っているので主樹脂によく溶解す
る）。これを前記布帛に含浸させ、プリプレグ（半硬
化）状態にし、この状態の布帛を積層したのち金型に入
れて、１２０℃で５分間加熱加圧プレスし、防護材料を
得る。

【００１２】本発明において、防護材料の耐弾性が向上
するのは、樹脂中のエラストマーによる弾丸などの飛行
物体の吸収エネルギー量の増加とエラストマー中のビニ
ル基による剛性低下の抑制や、該繊維の体積％が高いこ
とによる該繊維の特性（耐弾性など）の寄与が大きいか
らである。

【００１３】

【実施例】

（実施例１）引張強度３０ｇ／ｄ、引張弾性率１１００
ｇ／ｄの高強力、高弾性率ポリエチレン繊維（ダイニー
マ・ジャパン社製、商品名「ダイニーマＳＫ６０」）を
使用して、目付け１６６ｇ／ｍ² の平織物を製造した。
次に、１２０℃、５分で硬化する末端及び側鎖にビニル
基を有するブタジエン／アクリロニトリル共重合体のエ
ラストマーをビニルエステル樹脂中に４０重量％溶解さ
せた。これを前記織物に含浸させ、プリプレグ（半硬
化）状態にし、この状態の織物を１３枚積層したのち金
型に入れて、１２０℃で５分間加熱加圧プレスし、繊維
体積含有率が８０％の板を成形した。

【００１４】（比較例１）樹脂中に該エラストマーを１
０重量％しか添加していないこと以外は上記実施例１と
同様にして板を成形した。

【００１５】（比較例２）樹脂中に該エラストマーを９
０重量％添加したこと以外は上記実施例１と同様にして
板を成形した。

【００１６】（比較例３）該繊維の体積含有率を４０％
にした以外は上記実施例１と同様にして防弾盾を成形し
た。

【００１７】（比較例４）該繊維の体積含有率を９５％
にした以外は上記実施例１と同様にして防弾盾を成形し
た。

【００１８】（比較例５）該繊維の代わりに、引張強度
が９．４ｇ／ｄ、引張弾性率が５０ｇ／ｄであるナイロ
ン６繊維の平織物（目付け１８５ｇ／ｍ² ）を使用した
以外は上記実施例１と同様にして防弾盾を成形した。

【００１９】（比較例６）該エラストマーの代わりに樹
脂中に末端及び側鎖にビニル基を有しないブタジエン／
アクリロニトリル共重合体を添加したこと以外は上記実
施例１と同様にして板を成形した。

【００２０】上記の実施例１および比較例１〜６のサン
プルについて、防弾性能等の評価を行なった。評価は、
２２口径の銃から１．２ｇの重さの弾丸を上記サンプル
に対し３ｍの距離から直角に発射し（初速度３３４ｍ／
秒）、サンプル前後の弾丸の速度差をもとに、吸収され
たれエネルギー量を求める事により行なった。

【００２１】各サンプルの耐弾性能を評価した結果を表
１に示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【発明の効果】本発明にかかる防護材料は従来に比べて
軽量且つ信頼性の高い弾道抵抗性に優れた防護用品を作
ることができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも２０ｇ／ｄ以上の引張強度と
   少なくとも５００ｇ／ｄ以上の引張弾性率の高強度弾性
   率ポリエチレン繊維を有する布帛と樹脂からなる防護材
   料において、該繊維を６０〜８５体積％含有し、かつ該
   樹脂成分中に末端及び側鎖にビニル基を有するブタジエ
   ン／アクリロニトリル共重合体のエラストマーを２０〜
   ８０重量％添加されていることを特徴とする防護材料。
2. 【請求項２】 樹脂がビニルエステル樹脂であることを
   特徴とする請求項１記載の防護材料。