JPH08189542A - 減衰力可変型緩衝器およびこれに適する磁性流体流動制御機構 - Google Patents

減衰力可変型緩衝器およびこれに適する磁性流体流動制御機構

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JPH08189542A
JPH08189542A JP290795A JP290795A JPH08189542A JP H08189542 A JPH08189542 A JP H08189542A JP 290795 A JP290795 A JP 290795A JP 290795 A JP290795 A JP 290795A JP H08189542 A JPH08189542 A JP H08189542A
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田 宗 勝 島
Tatsuo Sugiyama
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 磁性流体を用いて減衰力を変化させるのに利
用される伸縮式や回転式などの減衰力可変型緩衝器に関
するものであり、比較的小さな電力で所望の大きさの減
衰力を発生することができるようにする。 【構成】 環状すき間42,52によって形成される磁
性流体の流路に、電磁石47,57によって磁性流体の
流れの方向に対して直交する方向の磁場を印加して、磁
性流体の磁場による粘性増加および磁場の磁性流体に及
ぼす磁気力の作用を多段で利用して磁性流体の流路に圧
力差を生じさせる減衰力可変型緩衝器の磁性流体流動制
御機構において、電磁石47,57のコア48,58の
極部に磁場を集中させる磁気回路が構成されているとと
もに、磁場印加部位の流路断面積が電磁石47,57を
跨ぐかたちで電磁石47,57の流路方向の長さの2倍
程度以上の長さにわたって一様で、かつ、各電磁石部間
の流路には磁性流体だまり202,212を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性流体を用いて減衰
力を変化させるのに利用される伸縮式や回転式などの減
衰力可変型緩衝器に関し、特に、電磁コイルへの通電量
を変えることによって磁性流体の流路を通過する前記磁
性流体の流動特性を変えることで発生減衰力を調整する
ことができるようにした磁性流体利用の伸縮式や回転式
などの減衰力可変型緩衝器ならびにこの減衰力可変型緩
衝器およびその他の機器における流体流動制御に適する
磁性流体流動制御機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁コイルへの通電量を変えることによ
って磁性流体の流路を通過する前記磁性流体の粘性を変
化させることで発生減衰力を調整することができるよう
にした磁性流体利用の伸縮式減衰力可変型緩衝器として
は、例えば、実開昭62−151448号公報に開示さ
れたものがあり、また、回転式減衰力可変型緩衝器とし
ては、例えば、特開昭62−251220号公報に開示
されたものがあったが、本発明者らは、すでに、前記し
た従来の減衰力可変型緩衝器では、電磁コイルへの通電
量を変化させても、より好ましい発生減衰力の変更調整
をなし難い不都合のあることを明らかにし、所望の大き
さの減衰力を発生することができるようにした磁性流体
利用の減衰力可変型緩衝器を新たに開発して特許出願
(特願平5−57522号明細書および図面)してい
る。
【0003】すなわち、磁性流体の粘性の磁場による増
加代には、流体の流速、つまり、せん断速度依存性があ
るため、流速の大きなところでは、粘性にもとづく大き
な調整幅の減衰力発生は期待することができ難いこと、
また、磁性流体の磁場による粘性力の増加分だけでは、
たとえ流速が小さいときであっても、所望の大きさの調
整幅の減衰力発生は期待でき難いこと、等が明らかにな
った。
【0004】そこで、磁性流体の磁場による粘性の増加
を利用するとともに、前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気
力の作用を複数段で有効に利用するようにして、流体の
流速の広い範囲で所望の大きさの減衰力を発生すること
ができるようにした減衰力可変型緩衝器を開発した。
【0005】また、さらに、既出願の伸縮式や回転式な
どの減衰力可変型緩衝器においては、電磁コイルへ流す
電流値が比較的大きな値とならざるを得ないという問題
があり、この問題を解決するという課題があったが、磁
場を印加する部位における電磁石のコアの極が直接ない
しはほとんどギャップのない状態で磁性流体に接してい
る構成とすることによりこの課題を解決する減衰力可変
型緩衝器および磁性流体流動制御機構を新たに開発して
特許出願(特願平5−255952号明細書および図
面;以下「平成5年既出願」とする。)している。
【0006】また、さらに、平成5年既出願の伸縮式や
回転式などの減衰力可変型緩衝器においては、飽和磁化
の大きな磁性流体を利用する際に、飽和磁化の大きな磁
性流体では、粘度が比較的高くなるため、磁場を印加し
ないときの減衰力、すなわち、制御をしていないときの
減衰力が大きくなり、これを小さくするためには、流路
の隙間を大きくとらなければならないので、電磁石コイ
ルへ流す電流値が比較的大きくならざるを得ないという
問題があり、この問題を解決するという課題があった
が、磁場を印加する部位における電磁石のコアの極部が
磁性流体の流路に突出している構成とすることにより、
この課題を解決する発明を特許出願(特願平6−123
857号明細書および図面;以下「平成6年既出願甲」
とする。)している。
【0007】また、さらに、永久磁石による磁場印加部
を設けることにより、省電力化が図れることを見出だ
し、特許出願(特願平6−174569号明細書および
図面;以下「平成6年既出願乙」とする。)している。
【0008】図17および図18は、上記平成5年既出
願における伸縮式減衰力可変型緩衝器を示すものであ
る。
【0009】この伸縮式減衰力可変型緩衝器1は、シリ
ンダ2内に挿通したピストンロッド3の下端に設けたピ
ストン4によって、シリンダ2の内部をロッド側室2a
とピストン側室2bとに区画している。そして、ロッド
側室2aとピストン側室2bは、シリンダ2の外側に形
成した磁性流体の流路5と、シリンダ外筒6とアブソー
バ外筒7との間で形成されたスペース8と、シリンダ2
の底部蓋9に設けたオリフィス11を介して連通してい
る。
【0010】そして、各室2a,2bと、磁性流体の流
路5と、スペース8の一部は磁性流体10で満たされて
いる。また、スペース8の上部空間には、窒素ガスが封
入されており、スペース8はいわゆるリザーバの機能を
もっている。
【0011】そして、伸びるときには、ピストン4に設
けたオリフィス12は閉となり、シリンダ2の底部蓋9
に設けたオリフィス11は開となる。このため、ロッド
側室2aの磁性流体10は流路5を通って下向きに流
れ、スペース8、オリフィス11を通ってロッド側室2
bに還流する。
【0012】また、縮むときには、シリンダ2の底部蓋
9に設けたオリフィス11は閉となり、ピストン4に設
けたオリフィス12は開となって、シリンダ2内の各室
2a,2bにある磁性流体10は、押し込まれるピスト
ンロッド3の体積分だけ押し出され、流路5を通って下
向きに流れ、スペース(リザーバ)8へと流れ込んで貯
留される。
【0013】したがって、この場合には、伸びるときも
縮むときも、流路5における磁性流体10の流れは同じ
方向になる。また、流路5の入口と出口との間に発生す
る圧力差によって減衰力が発生する。
【0014】次に、この伸縮式減衰力可変型緩衝器1で
は、磁性流体10の流路5に、磁性流体流動制御機構1
5をそなえており、流路5における構造を説明する。
【0015】この流路5は、シリンダ外筒6の内側に設
けられた円筒部材16とシリンダ内筒2の外側に設けら
れた電磁石17との間の環状すき間によって形成されて
いる。そして、電磁石17のコア18は、図示の縦断面
コの字形をなした環状のものであり、シリンダ内筒2の
外側に多数配設されている。また、電磁石17のコア1
8には、電磁コイル19が設けられている。そして、円
筒部材16および電磁石17のコア18は、高透磁率材
料で作製されている。
【0016】図18に、この部分の拡大断面を示すが、
電磁石17のコア18の極部18a,18bが磁性流体
10に直接ないしはほとんどギャップのない状態で接し
ており、図18に示すように、コア18と、流路5内の
磁性流体10と、円筒部材16とで磁気回路が形成され
ている。
【0017】したがって、電磁コイル19に通電する
と、小さな電流で大きな磁場が流路5内の磁性流体10
に印加され、このとき、磁性流体10の流れの方向に対
して直交する方向に磁場が印加される。
【0018】また、電流量を変えることにより、印加磁
場の大きさを変えることができる。
【0019】そして、21は環状のスペーサであり、非
磁性材料で作製されていると共に、22は環状のおさえ
であり、これも非磁性材料で作製されていて、電磁石1
7は図17に示す如くシリンダ内筒2の外側に多数並べ
られている。
【0020】このような磁場印加を行うための構成とす
ることによって、磁性流体10の流れに対し、ほぼ垂直
に、しかも多数個所で、磁場が印加できることとなる。
【0021】したがって、電磁コイル19に対する通電
量を変えることによって、磁性流体10の粘性、および
磁性流体10に働く磁気力を変化させて、磁性流体10
の流動が制御できるので、流路5の入口と出口との間に
発生する圧力差を変えることができ、比較的小さな電流
で減衰力を変えることができるようになる。
【0022】この場合、スペーサ21およびおさえ22
の材料としては、銅,オーステナイト系ステンレス鋼等
の非磁性金属や、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフ
ロン)等の樹脂を用いることができ、磁気回路を形成す
る円筒部材16およびコア18には、軟鉄,Fe−Si
合金,Fe−Al合金,パーマロイ,ミューメタル等の
高透磁率材料であれば何でも使用することができる。そ
して、コア18には、フェライトコアを用いることもで
き、これらに限らず、高周波用磁性材料を用いると、応
答性のより優れた電磁石17とすることができる。
【0023】そして、具体的な寸法例としては、ピスト
ン4の直径を35mmとし、ピストンロッド3の直径を
20mmとすることができる。したがって、受圧面積
は、伸びのときに6.48cm、縮みのときに3.1
4cmとなる。
【0024】また、流路5のすき間bは、ピストンスピ
ード0.6m/secにおいても流体を制御しないとき
の圧力差があまり大きくならないようにb=1mmとす
ることができ、この場合、ピストンスピード0.6m/
secにおいても十分に層流域である。
【0025】さらに、円筒部材16は、肉厚2mmの軟
鉄製のものとすることができ、環状コア18は、図18
において、Lc=6mm,g=6mm,a=6mm,h
=3mmとし、軟鉄で作製し、5kOeの磁場が十分可
能な電磁石17とすることができる。
【0026】また、環状のスペーサ21は厚さ2mmと
し、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)で作製
することができる。そして、電磁石17は、図17に示
すように、上下方向に10個並べたものとすることがで
き、この場合は、磁場の印加される個所は合計20個所
である。
【0027】さらに、スペース8の上部空間には、大気
圧のNガスを入れたものとし、このような構成のもの
とすることにより、磁性流体10の磁場による粘性力と
ともに、磁気力を有効に利用した(後者の効果の方が
大)伸縮式減衰力可変型緩衝器1とすることができる。
【0028】図19,図20および図21は、上記平成
5年既出願における回転式減衰力可変型緩衝器を示すも
のである。
【0029】この回転式減衰力可変型緩衝器31は、ハ
ウジング32の一方側で突出している回転軸32aを一
体でそなえていると共に側板32bをそなえており、ハ
ウジング32が回転軸32aとともに一体で回転する。
また、ハウジング32の他方側の側板32b側には、固
定軸33が設けてあり、ハウジング32内には、図20
に示すように、このハウジング32に設けた内部壁32
cがある。
【0030】一方、固定軸33に連結されている円筒体
34には、ベーン34aが設けてあり、ハウジング32
内において内部壁32cで形成された空間は、ベーン3
4aによって二つの部屋35a,35bに仕切られてい
る。
【0031】また、円筒体34の内側には、二つの環状
をなす内側空間41および外側空間51が設けられてい
る。そして、それぞれの円筒状をなす空間41,51に
は、以下で詳しく説明する磁性流体流動制御機構45,
55が設けてある。
【0032】そして、環状をなす内側の空間41と部屋
35aとは流路37(図20参照)で連通しており、内
側の空間41と外側の空間51とは流路38(図19参
照)で連通しており、外側の空間51と部屋35bとは
流路39(図20参照)で連通している。
【0033】そして、これらの空間41,51,部屋3
5a,35bおよび流路37,38,39は磁性流体4
0で満たされている。
【0034】そこで、回転軸32aが反時計回りに回転
すると、図20に示すように、部屋35aの磁性流体4
0は流路37を通って内側の空間41に至り、内側の空
間41で環状すき間42を図19の左から右方向へと流
れ、次いで、流路38を通って外側の空間51に至り、
外側の空間51で環状すき間52を図19の右から左方
向へと流れ、次いで流路39を通ったのち部屋35bへ
と流れる。
【0035】また、回転軸32aが時計回りに回転する
ときには、磁性流体40は上記とは逆向きに流れる。
【0036】次に、この回転式減衰力可変型緩衝器31
では、環状すき間42,52よりなる磁性流体40の流
路に、磁性流体流動制御機構45,55をそなえている
ので、この流路における構造をさらに説明する。
【0037】この磁性流体の流路は、円筒部材46,5
6と、電磁石47,57との間の環状すき間42,52
で形成されている。そして、電磁石47,57のコア4
8,58は、図示の断面コの字形をなした環状のもので
ある。この電磁石47,57のコア48,58には、そ
れぞれ電磁コイル49,59が設けられている。この場
合、円筒部材46,56および電磁石47,57のコア
48,58は、高透磁率材料で作製されている。
【0038】図21に、この部分を拡大して示すが、電
磁石47,57のコア48,58の極部48a,48
b,58a,58bが磁性流体40に直接接しており、
図21に示すように、コア48,58と、環状すき間
(流体流路)42,52内の磁性流体40と、円筒部材
46,56とで磁気回路が形成される。
【0039】したがって、電磁コイル49,59に通電
すると、小さな電流で大きな磁場が環状すき間42,5
2内の磁性流体40に印加され、このとき、磁性流体4
0の流れの方向に対して直交する方向に磁場が印加され
る。また、電流量を変えることにより、印加磁場の大き
さを変えることができる。
【0040】そして、44,54は環状のスペーサであ
り、非磁性材料で作製されている。また、電磁石47,
57は、図19に示す如く内側の空間41および外側の
空間51においてそれぞれ複数並べられている。
【0041】このような磁場印加を行うための構成とす
ることによって、磁性流体40の流れに対し、ほぼ垂直
に、しかも多数個所で、磁場が印加できることとなる
(電磁石1個で2個所)。
【0042】したがって、電磁コイル49,59に対す
る通電量を変えることによって、磁性流体40の粘性、
および磁性流体40に働く磁気力を変化させて、磁性流
体40の流動が制御できるので、流路の入口と出口との
間に発生する圧力差を変えることができ、比較的小さな
電流で減衰力を変えることができるようになる。
【0043】この場合、環状のスペーサ44,54の材
料としては、銅,オーステナイト系ステンレス鋼等の非
磁性金属、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)
等の材料を用いることができ、磁気回路を形成する円筒
部材46,56およびコア48,58には、軟鉄,Fe
−Si合金,Fe−Al合金,パーマロイ,ミューメタ
ル等の高透磁率材料であれば何でも使用することができ
る。そして、コア48,58にはフェライトコアを用い
ることができ、さらに、それらに限らず、高周波用磁性
材料を用いると応答性のより優れた電磁石47,57と
することができる。
【0044】そして、具体的な寸法例としては、ハウジ
ング32の内径を120mmとし、円筒体34の外径を
52mmとし、ベーン34aの幅を80mmとすること
ができ、また、流路を形成する環状すき間42,52の
図21に示す幅bについては、回転速度100°/se
cにおいても流体を制御しないときの圧力差があまり大
きくならないようにb=1mmとすることができ、この
場合、回転速度100°/secにおいても十分に層流
域である。
【0045】さらに、円筒部材46,56は、肉厚2m
mの軟鉄製のものとすることができ、環状コア48,5
8は、図21において、Lc=6mm,g=6mm,a
=5mm,h=3mmとし、軟鉄で作製し、5kOeの
磁場が十分発生可能な電磁石47,57とすることがで
きる。
【0046】また、環状のスペーサ44,54は、厚さ
2mmとし、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロ
ン)で作製することができる。そして、電磁石47,5
7は、図19に示すように、それぞれ3個並べたものと
することができ、この場合は、磁場の印加される個所は
合計12個所であって、このような構成のものとするこ
とにより、磁性流体40の磁場による粘性力とともに、
磁気力を有効に利用した(後者の効果の方が大)回転式
減衰力可変型緩衝器31とすることができる。
【0047】図22は、緩衝器本体とは別体構造のもの
となっている別置式磁性流体流動制御機構75を示して
いる。
【0048】この別置式磁性流体流動制御機構75にお
いて、ハウジング85の内側には、図に示すような二つ
の環状をなす内側空間81および外側空間91が設けて
ある。そして、環状をなす内側空間81は流路71(7
1a)に接続され、環状をなす外側空間91は流路71
(71b)に接続され、これらの空間81,91および
流路71は磁性流体70で満たされる。
【0049】磁性流体流動制御機構75内での磁性流体
の流路は、円筒部材86,96と、電磁石87,97と
の間の環状すき間82,92で形成されている。そし
て、電磁石87,97のコア88,98は、図示の断面
コの字形をなした環状のものである。この電磁石87,
97のコア88,98には、それぞれ電磁コイル89,
99が設けられている。この場合、円筒部材86,96
および電磁石87,97のコア88,98は、高透磁率
材料で作製されている。
【0050】磁性流体70は、例えば、流路71aから
入ってきて内側の環状すき間82を通り、流路84を通
過したのち外側の環状すき間92を通り、流路71bへ
と流動する。
【0051】図23に、環状すき間82,92の一部を
拡大して示すが、電磁石87,97のコア88,98の
極部88a,88b,98a,98bが磁性流体70に
直接ないしはほとんどギャップのない状態で接してお
り、図23に示すように、コア88,98と、環状すき
間(流体流路)82,92内の磁性流体70と、円筒部
材86,96とで磁気回路が形成される。
【0052】したがって、電磁コイル89,99に通電
すると、小さな電流で大きな磁場が環状すき間82,9
2内の磁性流体70に印加され、このとき、磁性流体7
0の流れの方向に対して直交する方向に磁場が印加され
る。また、電流量を変えることにより、印加磁場の大き
さを変えることができる。
【0053】そして、84,94は環状のスペーサであ
り、非磁性材料で作製されている。また、電磁石87,
97は、図22に示すごとく内側の空間81および外側
の空間91においてそれぞれ複数並べられている。
【0054】このような磁場印加を行うための構成とす
ることによって、磁性流体70の流れに対し、ほぼ垂直
に、しかも多数個所で磁場が印加できることとなる(電
磁石1個で2個所)。
【0055】したがって、電磁コイル89,99に対す
る通電量を変えることによって、磁性流体70の粘性、
および磁性流体70に働く磁気力を変化させて、磁性流
体70の流動が制御できるので、流路の入口と出口との
間に発生する圧力差を変えることができ、比較的小さな
電流で減衰力を変えることができるようになる。
【0056】この場合、環状のスペーサ84,94の材
料としては、銅,オーステナイト系ステンレス鋼等の非
磁性金属、ポリ4フッ化エチレン(商品名;テフロン)
等の樹脂を用いることができ、また、磁気回路を形成す
る円筒部材86,96およびコア88,98には、軟
鉄,Fe−Si合金,Fe−Al合金,パーマロイ,ミ
ューメタル等の高透磁率材料であれば何でも使用するこ
とができる。そして、コア88,98には、フェライト
コアを用いることもでき、高周波用磁性材料を用いると
応答性のより優れた電磁石87,97とすることができ
る。そして、このような磁気回路では、コア88,98
の極部88a,88b,98a,98bは直接磁性流体
70と接しているので、小さな電流である程度以上の大
きさの磁場を磁性流体70に印加できることとなる。
【0057】また、円筒部材86,96とコア88,9
8との間のすき間がせいまいこともより好都合なものと
なっている。したがって、さらに小さな電流で十分なわ
けである。
【0058】また、防錆や絶縁等のために、コア88,
98にコーティングを施すことが必要な場合もでてくる
が、その際のコーティング層の厚さはせいぜい10μm
程度以下であるので、ほとんど電流値には差が生じてこ
ない。
【0059】そして、具体的な寸法例としては、流路を
形成する環状すき間82,92の図23に示す幅bをb
=1mmとし、円筒部材86,96は、肉厚2mmの軟
鉄製のものとし、環状コア88,98は、図23におい
て、Lc=6mm,g=6mm,a=5mm,h=3m
mとし、軟鉄で作製し、5kOeの磁場が十分可能な電
磁石87,97とすることができる。
【0060】また、環状のスペーサ84,94は厚さ2
mmとし、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)
で作製し、電磁石87,97は、図22に示すようにそ
れぞれ3個並べたものとすることができ、このとき、磁
場の印加される個所は合計12個所であって、このよう
な構成とすることにより、磁性流体70の磁場による粘
性力とともに、磁気力を有効に利用した(後者の効果の
方が大)磁性流体流動制御機構75とすることができ
る。
【0061】図11および図12は、上記平成6年既出
願甲の発明における伸縮式ないしは回転式減衰力可変型
緩衝器に適する磁性流体流動制御機構の要部の構成を示
しており、ここでは、図19および図20に示した回転
式減衰力可変型緩衝器31の磁性流体40の流路にそな
えた磁性流体流動制御機構45,55を改良した場合を
示す。
【0062】この磁性流体の流路は、図11に示すよう
に、円筒部材46,56と、電磁石47,57との間の
環状すき間42,52で形成されている。そして、電磁
石47,57のコア48,58は、図示の断面コの字形
をなした環状のものである。この電磁石47,57のコ
ア48,58には、それぞれ電磁コイル49,59が設
けられている。この場合、円筒部材46,56および電
磁石47,57のコア48,58は、高透磁率材料で作
製されている。
【0063】図12に、この部分を拡大して示すが、電
磁石47,57のコア48,58の極部48a,48
b,58a,58bが磁性流体40の流路(環状すき間
42,52)に突出しており、コア48,58の極部4
8a,48b,58a,58bは磁性流体40に十分接
触したものになっていて、コア48,58と、環状すき
間(流体流路)42,52内の磁性流体40と、円筒部
材46,56とで磁気回路が形成される。
【0064】したがって、電磁コイル49,59に通電
すると、小さな電流で大きな磁場が環状すき間42,5
2内の磁性流体40に印加され、このとき、磁性流体4
0の流れの方向に対して直交する方向に磁場が印加され
る。また、電流量を変えることにより、印加磁場の大き
さを変えることができる。
【0065】図11および図12において、44,54
は環状のスペーサであり、非磁性材料で作製されてい
る。また、電磁石47,57は、図19に示したと同様
に内側の空間41および外側の空間51においてそれぞ
れ複数並べられている。
【0066】このような磁場印加を行うための構成とし
て、コア48,58の極部48a,48b,58a,5
8bが磁性流体40の流路(環状すき間42,52)に
突出したものとすることによって、磁性流体40の流れ
に対し、ほぼ垂直に、しかも多数個所で、十分な磁場が
印加できることとなる(電磁石1個で2個所)。
【0067】したがって、電磁コイル49,59に対す
る比較的小さな電流による通電量を変えることによっ
て、磁性流体40の粘性、および磁性流体40に働く磁
気力を変化させて、磁性流体40の流動が制御できるの
で、流路の入口と出口との間に発生する圧力差を変える
ことができ、比較的小さな電流で減衰力を変えることが
できるようになる。
【0068】この場合、環状のスペーサ44,54の材
料としては、銅,オーステナイト系ステンレス鋼等の非
磁性金属、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)
等の材料を用いることができるが、もちろん、その他、
非磁性材料であれば何であってもよい。
【0069】また、磁気回路を形成する円筒部材46,
56およびコア48,58には、軟鉄,Fe−Si合
金,Fe−Al合金,パーマロイ,ミューメタル等の高
透磁率材料であれば何でも使用することができる。そし
て、コア48,58にはフェライトコアを用いることが
でき、さらに、それらに限らず、高周波用磁性材料を用
いると応答性のより優れた電磁石47,57とすること
ができる。
【0070】そして、この場合の磁気回路では、コア4
8,58の極部48a,48b,58a,58bが磁性
流体40の流路(環状すき間42,52)に突出してい
ることによって磁性流体40と直接に接しているので、
より小さな電流である程度以上の大きさの磁場を磁性流
体40に印加できることとなる。
【0071】また、円筒部材46,56とコア48,5
8との間のすき間がせまいことも、好都合なものとなっ
ている。
【0072】そして、防錆や絶縁等のために、コア4
8,58にコーティングを施すことが必要な場合もでて
くるが、その際のコーティング層の厚さはせいぜい10
μm程度以下であるので、ほとんど電流値には差が生じ
てこない。
【0073】したがって、この場合、コア48,58の
極部48a,48b,58a,58bは、磁性流体40
の流路に突出していることにより磁性流体40と直接に
接していることとなり、小さな電流である程度以上の大
きさの磁場を磁性流体40に印加できることとなる。
【0074】また、具体的寸法例としては、ハウジング
32の内径を140mmとし、円筒体34の外径を72
mmとし、ベーン34aの幅を122mmとすることが
できる。
【0075】また、円筒部材46,56は、肉厚2mm
の軟鉄製のものとすることができる。さらに、環状コア
48,58は、図12において、Lc=8mm,g=1
0mm,a=5mm,h=3mmとし、軟鉄で作製し、
5kOeの磁場が十分発生可能な電磁石47,57とす
ることができる。また、コア48の極部48a,48b
の突出量はC=1mmとし、相対的に、電磁コイル4
9は1mm引っこめることができる。
【0076】また、環状スペーサ44,54は厚さをs
=8mmとし、また、環状スペーサ44,54からの極
部48a,48b,58a,58bの突出量はC=2
mmとして、環状スペーサ44,54は極部48a,4
8b,58a,58bから2mm引っこめることとし
て、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)で作製
することができる。さらに、電磁石47,57は、図1
1に示すように、それぞれ3個並べたものとし、このと
き、磁場の印加される個所は、合計12個所である。
【0077】また、環状すき間42,52の寸法はb=
1mmとすることができる。この場合、回転速度が10
0°/secにおいても十分に層流域である。
【0078】以上の構成とすることにより、磁性流体4
0の磁場による粘性力とともに磁気力を有効に利用した
(後者の効果が大)回転式減衰力可変型緩衝器31とす
ることができる。
【0079】図3および図4は、上記平成6年既出願乙
の発明における伸縮式ないしは回転式減衰力可変型緩衝
器に適する磁性流体流動制御機構の要部の構成を示して
おり、ここでは、図19および図20に示した回転式減
衰力可変型緩衝器31の磁性流体40の流路にそなえた
磁性流体流動制御機構45,55を改良した図11およ
び図12に示した磁性流体流動制御機構45,55を更
に改良した場合を示している。
【0080】この磁性流体の流路は、図3に示すよう
に、円筒部材46,56と、電磁石47,57との間、
および、磁石極108,118との間の環状すき間4
2,52で形成されている。そして、電磁石47,57
のコア48,58は、図示の断面コの字形をなした環状
のものである。この電磁石47,57のコア48,58
には、それぞれ電磁コイル49,59が設けられてい
る。
【0081】また、磁石極108,118は、図示の断
面長方形をなした環状のものである。そして、この磁石
極108,118に当接して環状の永久磁石109,1
19が設けられており、この環状の永久磁石109,1
19は、軸方向に着磁されている。
【0082】さらに、永久磁石109,119の図面右
側には、この永久磁石109,119に当接して磁石極
108,118と同形状の磁石極110,120が設け
られている。
【0083】また、円筒部材46,56、電磁石47,
57のコア48,58、磁石極108,118および磁
石極110,120は、高透磁率材料で作製されてい
る。
【0084】図4は、図3の電磁石および永久磁石によ
る磁場印加部分を拡大した図であって、電磁石47,5
7のコア48,58の極部48a,48b,58a,5
8bが磁性流体40の流路(環状すき間42,52)に
突出しており、コア48,58の極部48a,48b,
58a,58bは磁性流体40に十分接触したものにな
っていて、コア48,58と、環状すき間(流体流路)
42,52内の磁性流体40と、円筒部材46,56と
で磁気回路が形成される。
【0085】したがって、電磁コイル49,59に通電
すると、小さな電流で大きな磁場が環状すき間42,5
2内の磁性流体40に印加され、このとき、磁性流体4
0の流れの方向に対して直交する方向に磁場が印加され
る。また、電流量を変えることにより、印加磁場の大き
さを変えることができる。
【0086】図3および図4において、44,54は環
状のスペーサであり、非磁性材料で作製されている。ま
た、電磁石47,57は、図19に示したと同様に内側
の空間41および外側の空間51においてそれぞれ複数
並べられている。
【0087】このような磁場印加を行うための構成とし
て、コア48,58の極部48a,48b,58a,5
8bが磁性流体40の流路(環状すき間42,52)に
突出したものとすることによって、磁性流体40の流れ
に対し、ほぼ垂直に、しかも多数個所で、十分な磁場が
印加できることとなる(電磁石1個で2個所)。
【0088】したがって、電磁コイル49,59に対す
る比較的小さな電流による通電量を変えることによっ
て、磁性流体40の粘性、および磁性流体40に働く磁
気力を変化させて、磁性流体40の流動が制御できるの
で、流路の入口と出口との間に発生する圧力差を変える
ことができ、比較的小さな電流で減衰力を変えることが
できるようになる。
【0089】一方、磁石極108,118と磁石極11
0,120の極部108a,118a,110b,12
0bも磁性流体40の流路(環状すき間42,52)に
突出しており、この極部108a,118a,110
b,120bは、磁性流体40に十分接触したものとな
っていて、永久磁石109,119と、磁石極108,
118と、磁石極110,120と、環状すき間(流体
流路)42,52内の磁性流体40と、円筒部材46,
56とで磁気回路が形成されている。
【0090】磁石極108,118,110,120と
円筒部材46,56との間、すなわち、環状すき間に
は、常に、永久磁石109,119による磁場が印加さ
れた状態となっている。
【0091】このような、永久磁石による磁場印加部を
設けると、磁性流体の物性がより流動制御に適した状態
に変わるため流動制御効果を高めることができる(詳細
については、上記平成6年既出願乙の明細書を参照)。
【0092】なお、環状のスペーサ44,54の材料と
しては、銅,オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性
金属、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)等の
材料を用いることができるが、もちろん、その他、非磁
性材料であれば何であってもよい。
【0093】また、磁気回路を形成する円筒部材46,
56、コア48,58および磁石極108,118,1
10,120には、軟鉄,Fe−Si合金,Fe−Al
合金,パーマロイ,ミューメタル等の高透磁率材料であ
れば何でも使用することができる。そして、コア48,
58にはフェライトコアを用いることができ、さらに、
それらに限らず、高周波用磁性材料を用いると応答性の
より優れた電磁石47,57とすることができる。
【0094】そして、この発明における磁気回路では、
コア48,58の極部48a,48b,58a,58b
が磁性流体40の流路(環状すき間42,52)に突出
していることによって磁性流体40と直接に接している
ので、より小さな電流である程度以上の大きさの磁場を
磁性流体40に印加できることとなる。
【0095】また、円筒部材46,56とコア48,5
8との間のすき間がせまいことも、好都合なものとなっ
ている。
【0096】そして、防錆や絶縁等のために、コア4
8,58にコーティングを施すことが必要な場合もでて
くるが、その際のコーティング層の厚さはせいぜい10
μm程度以下であるので、ほとんど電流値には差が生じ
てこない。
【0097】したがって、この発明において、コア4
8,58の極部48a,48b,58a,58bは、磁
性流体40の流路に突出していることにより磁性流体4
0と直接に接していることとなり、小さな電流である程
度以上の大きさの磁場を磁性流体40に印加できること
となる。
【0098】また、具体的寸法例としては、ハウジング
32の内径を140mmとし、円筒体34の外径を72
mmとし、ベーン34aの幅を122mmとすることが
できる。
【0099】また、円筒部材46,56は、肉厚2mm
の軟鉄製のものとした。さらに、環状コア48,58
は、図4において、Lc=8mm,g=10mm,a=
5mm,h=3mmとし、軟鉄で作製して5kOeの磁
場が十分発生可能な電磁石47,57とした。また、コ
ア48の極部48a,48bの突出量はC=1mmと
し、相対的に、電磁コイル49は1mm引っこめること
ができる。
【0100】また、環状スペーサ44,54は、その厚
さをs=8mmとし、また、環状スペーサ44,54か
らの極部48a,48b,58a,58bの突出量はC
=2mmとして、環状スペーサ44,54は極部48
a,48b,58a,58bから2mm引っこめること
として、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)で
作製し、さらに、電磁石47,57は、図3に示すよう
に、それぞれ2個並べたものとし、このとき、磁場の印
加される個所は、合計8個所である。
【0101】また、磁石極108,118,110,1
20も軟鉄製のものとすることができる。図4におい
て、Lm=8mm,a=5mmである。また、永久磁石
109,119には、表面磁束密度が約1kGのフェラ
イト磁石を用いることができる。さらに、gm=10m
m,tm=4mmとしえる。
【0102】また、環状すき間42,52の寸法はb=
1mmとすることができる。この場合、回転速度が10
0°/secにおいても十分に層流域である。
【0103】以上の構成とすることにより、磁性流体4
0の磁場による粘性力とともに磁気力を有効に利用し、
かつ、高効率化を図った回転式減衰力可変型緩衝器31
とすることができる。
【0104】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来における減衰力可変型緩衝器等に使用されている
磁性流体流動制御機構においては、減衰力を発生するた
めの電磁石による磁場を発生する際に多くの電力を消費
するため、潜在的に、省電力化の要望が常にあり、この
ことを解決して、更なる高効率化を図ることが課題であ
った。
【0105】
【発明の目的】本発明は、このような従来技術がもつ問
題点にかんがみてなされたものであって、比較的小さな
電力で、所望の大きさの減衰力を発生させることができ
るようにした減衰力可変型緩衝器ならびにこの減衰力可
変型緩衝器およびその他の機器における流体流動制御に
適する磁性流体流動制御機構を更に新たに提供すること
を目的としている。
【0106】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる減衰力可
変型緩衝器に適する磁性流体流動制御機構は、作動油と
して磁性流体を用い、磁性流体の磁場による粘性の増加
を利用するとともに、前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気
力の作用を複数段以上で有効に利用するようにしたもの
であり、高効率化を達成するための手段を更に鋭意検討
した結果なされたものである。
【0107】すなわち、本発明の請求項1に係わる減衰
力可変型緩衝器は、作動油として磁性流体を用い、前記
磁性流体の流路に、電磁石によって前記磁性流体の流れ
の方向に対して直交ないしはほぼ直交する方向の磁場を
印加し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性流体の流
れの方向において複数個所以上形成し、前記磁場を印加
する部位における前記電磁石のコアの極部が直接ないし
はほとんどギャップのない状態で磁性流体に接してい
て、前記磁性流体の磁場による粘性増加を利用するとと
もに前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を複数段
以上で利用することにより、前記磁性流体の流路に圧力
差を生じさせる磁性流体流動制御機構をそなえた減衰力
可変型緩衝器において、前記磁場を印加する部位で電磁
石のコアの極部に磁場を集中させる磁気回路が構成され
ているとともに、前記磁場を印加する部位における流路
の断面積が電磁石を跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長
さの2倍程度以上の長さにわたって一様であり、かつ、
各電磁石部間の流路には磁性流体だまりが設けてあるこ
とを特徴としている。
【0108】そして、本発明の請求項1に係わる減衰力
可変型緩衝器の実施態様においては、請求項2として、
作動油として磁性流体を用い、ピストンをそなえたピス
トンロッドが摺動するシリンダ内のロッド側室とピスト
ン側室とを連通する磁性流体の流路をそなえ、前記磁性
流体の流路に、電磁石によって前記磁性流体の流れの方
向に対して直交ないしはほぼ直交する方向の磁場を印加
し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性流体の流れの
方向において多数個所形成し、前記磁場を印加する部位
における前記電磁石のコアの極部が直接ないしはほとん
どギャップのない状態で磁性流体に接していて、前記磁
性流体の磁場による粘性増加を利用するとともに前記磁
場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を多段で利用するこ
とにより、前記磁性流体の流路に圧力差を生じさせる磁
性流体流動制御機構をそなえた伸縮式減衰力可変型緩衝
器において、前記磁場を印加する部位で電磁石のコアの
極部に磁場を集中させる磁気回路が構成されているとと
もに、前記磁場を印加する部位における流路の断面積が
電磁石を跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長さの2倍程
度以上の長さにわたって一様であり、かつ、各電磁石部
間の流路には磁性流体だまりが設けてある構成のものと
することができる。
【0109】また、同じく、実施態様において、請求項
3として、作動油として磁性流体を用い、ハウジング内
に、前記ハウジングに設けた固定壁と、回転軸に設けた
移動可能なベーンとで仕切られた部屋を設け、部屋間を
連通する磁性流体の流路をそなえ、前記磁性流体の流路
に、電磁石によって前記磁性流体の流れの方向に対して
直交ないしはほぼ直交する方向の磁場を印加し且つ前記
磁場を印加する部位を前記磁性流体の流れの方向におい
て多数個所形成し、前記磁場を印加する部位における前
記電磁石のコアの極部が直接ないしはほとんどギャップ
のない状態で磁性流体に接していて、前記磁性流体の磁
場による粘性増加を利用するとともに前記磁場の磁性流
体に及ぼす磁気力の作用を多段で利用することにより、
前記磁性流体の流路に圧力差を生じさせる磁性流体流動
制御機構をそなえた回転式減衰力可変型緩衝器におい
て、前記磁場を印加する部位で電磁石のコアの極部に磁
場を集中させる磁気回路が構成されているとともに、前
記磁場を印加する部位における流路の断面積が電磁石を
跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長さの2倍程度以上の
長さにわたって一様であり、かつ、各電磁石部間の流路
には磁性流体だまりが設けてある構成のものとすること
ができる。
【0110】そして、同じく実施態様において、請求項
4として、磁性流体の流れが、環状すき間流れであるよ
うにすることができ、同じく実施態様において、請求項
5として、磁性流体として、比初透磁率が10程度以上
で且つ飽和磁化(飽和磁束密度)が300G程度以上で
あるものを用いることができ、同じく実施態様におい
て、請求項6として、磁性流体流動制御機構が一体で組
み込まれているものとすることができ、同じく実施態様
において、請求項7として、磁性流体だまりに永久磁石
による磁場印加部が設けてあるものとすることができ
る。
【0111】また、本発明の請求項8に係わる減衰力可
変型緩衝器およびその他の機器の流体流動制御に使用さ
れる磁性流体流動制御機構は、作動油として磁性流体を
用い、前記磁性流体の流路に、電磁石によって前記磁性
流体の流れの方向に対して直交ないしはほぼ直交する方
向の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁
性流体の流れの方向において複数個所以上形成し、前記
磁場を印加する部位における前記電磁石のコアの極部が
直接ないしはほとんどギャップのない状態で磁性流体に
接していて、前記磁性流体の磁場による粘性増加を利用
するとともに前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用
を複数段以上で利用することにより、前記磁性流体の流
路に圧力差を生じさせる磁性流体流動制御機構におい
て、前記磁場を印加する部位で電磁石のコアの極部に磁
場を集中させる磁気回路が構成されているとともに、前
記磁場を印加する部位における流路の断面積が電磁石を
跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長さの2倍程度以上の
長さにわたって一様であり、かつ、各電磁石部間の流路
には磁性流体だまりが設けてある構成のものとすること
ができる。
【0112】そして、本発明の請求項8に係わる磁性流
体流動制御機構の実施態様においては、請求項9とし
て、磁性流体の流れが、環状すき間流れであるようにす
ることができ、同じく実施態様において、請求項10と
して、磁性流体として、比初透磁率が10程度以上で且
つ飽和磁化(飽和磁束密度)が300G程度以上である
ものを用いるようにしたりすることができ、同じく実施
態様において、請求項11として、減衰力可変型緩衝器
の流体流動制御に使用されるものとすることができ、同
じく実施態様において、請求項12として、磁性流体だ
まりには、永久磁石による磁場印加部を設けるものとす
ることができる。
【0113】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わる減衰力可変型
緩衝器では、磁場を印加する部位で電磁石のコアの極部
に磁場を集中させる磁気回路を構成することにより、磁
性流体に印加される磁場の値が高められ、磁性流体に印
加される磁場の値が高くなって効率が向上することとな
る。また、磁場を印加する部位における流路の断面積を
電磁石を跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長さの2倍程
度以上の長さにわたって一様としたのは、磁性流体の流
路に生じる圧力増加について電磁石のコアの極が突出し
ている突出極と比較したとき、電磁石のコアの極が平坦
な場合(流路の断面積が一様な場合)の圧力増加は、突
出極の場合よりも到達圧力増加が大きいためであり、こ
のとき、一様流路部の長さを電磁石の長さの2倍よりも
小さくすると突出極の場合と似た挙動となるため、一様
流路部の長さを電磁石の長さの2倍程度以上とする必要
があったためである。このとき、磁性流体の流路の断面
積をすべて一様とすると電磁石の電磁コイルに流れる電
流が大きなところで圧力増加が頭打ちになってしまうと
いう問題が発生するが、電磁石間に磁性流体だまりを設
けると圧力増加の頭打ちが解消されることとなり、この
結果、流動制御効果の効率が高まり、より少ない電力
で、比較的大きな所望の減衰力が発生されることとなる
と共に、電流値を変えることによって減衰力が大きく変
わる減衰力可変型緩衝器となる。
【0114】本発明の請求項2に係わる減衰力可変型緩
衝器では、上記の構成とすることにより、請求項1に記
載したと同様の作用を奏する伸縮式の減衰力可変型緩衝
器となる。
【0115】本発明の請求項3に係わる減衰力可変型緩
衝器では、上記の構成とすることにより、請求項1に記
載したと同様の作用を奏する回転式の減衰力可変型緩衝
器となる。
【0116】本発明の請求項4に係わる減衰力可変型緩
衝器では、上記の構成とすることにより、さらに少ない
電力で、比較的大きな所望の減衰力を発生する減衰力可
変型緩衝器となる。
【0117】本発明の請求項5に係わる減衰力可変型緩
衝器では、磁性流体として透磁率が10程度以上、飽和
磁化が300G程度以上の磁性流体を用いることによっ
て、所望の減衰力の可変幅が容易に得られる減衰力可変
型緩衝器となる。
【0118】本発明の請求項6に係わる減衰力可変型緩
衝器では、上記の構成とすることにより、小型化された
実用性の高い減衰力可変型緩衝器となる。
【0119】本発明の請求項7に係わる減衰力可変型緩
衝器では、永久磁石による磁場印加部を設けると、磁性
流体の物性がより流動制御に適した状態に変わることに
より、流動制御効果がさらに高くなって、さらに一層少
ない電力で、比較的大きな所望の減衰力を発生する減衰
力可変型緩衝器となる。
【0120】本発明の請求項8に係わる磁性流体流動制
御機構では、上記の構成とすることにより、請求項1と
同様の作用によって流動制御効果の効率が向上した磁性
流体流動制御機構となる。
【0121】本発明の請求項9に係わる磁性流体流動制
御機構では、上記の構成とすることにより、さらに一層
流動制御効果の効率が向上した磁性流体流動制御機構と
なる。 本発明の請求項10に係わる磁性流体流動制御
機構では、磁性流体として透磁率が10程度以上、飽和
磁化が300G程度以上の磁性流体を用いることによっ
て、所望の減衰力の可変幅が容易に得られる磁性流体流
動制御機構となる。
【0122】本発明の請求項11に係わる磁性流体流動
制御機構では、減衰力可変型緩衝器に用いることによ
り、より少ない電力で、比較的大きな所望の減衰力が発
生されることとなると共に、電流値を変えることによっ
て減衰力が大きく変わる減衰力可変型緩衝器が得られる
こととなる。
【0123】本発明の請求項12に係わる磁性流体流動
制御機構では、上記の構成とすることにより、磁性流体
の物性がより流動制御に適した状態に変わって、流動制
御効果の効率がさらに高い磁性流体流動制御機構とな
る。
【0124】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0125】図1および図2は、本発明の一実施例にお
ける伸縮式ないしは回転式減衰力可変型緩衝器に適する
磁性流体流動制御機構の要部の構成を示しており、ここ
では、図19および図20に示した回転式減衰力可変型
緩衝器31の磁性流体40の流路にそなえた磁性流体流
動制御機構45,55を改良した図11および図12に
示した磁性流体流動制御機構45,55を更に改良した
場合を示している。
【0126】この磁性流体の流路は、図1に示すよう
に、円筒部材146,156と、電磁石47,57との
間、および、磁石極108,118との間の環状すき間
42,52で形成されている。そして、電磁石47,5
7のコア48,58は、図示の断面コの字形をなした環
状のものである。この電磁石47,57のコア48,5
8には、それぞれ電磁コイル49,59が設けられてい
る。
【0127】また、円筒部材146,156、電磁石4
7,57のコア48,58は、高透磁率材料で作製され
ている。
【0128】図2は、図1の電磁石による磁場印加部分
を拡大した図であって、電磁石47,57のコア48,
58の極部48a,48b,58a,58bが磁性流体
40の流路(環状すき間42,52)に露出しており、
コア48,58の極部48a,48b,58a,58b
は磁性流体40に十分接触したものになっていて、コア
48,58と、環状すき間(流体流路)42,52内の
磁性流体40と、円筒部材146,156とで磁気回路
が形成される。
【0129】これらの円筒部材146,156には、電
磁石47,57のコア48,58の極部48a,48
b,58a,58bに対向して、極部48c,48d,
58c,58dが形成してある。また、201,211
は非磁性材で形成した層である。
【0130】このようにすることにより、電磁石の磁場
を極部に集中させることができる。この作用、効果につ
いては後述することにする。
【0131】ここで、電磁コイル49,59に通電する
と、小さな電流で大きな磁場が環状すき間42,52内
の磁性流体40に印加され、このとき、磁性流体40の
流れの方向に対して直交する方向に磁場が印加される。
また、電流量を変えることにより、印加磁場の大きさを
変えることができる。
【0132】図1および図2において、44,54,1
44,154は環状のスペーサであり、非磁性材料で作
製されている。また、電磁石47,57は、図19に示
したと同様に内側の空間41および外側の空間51にお
いてそれぞれ複数並べられている。
【0133】このような磁場印加を行うための構成とし
て、コア48,58の極部48a,48b,58a,5
8bおよび円筒部材146,156の極部48c,48
d,58c,58dが磁性流体40の流路(環状すき間
42,52)に接したものとすることによって、磁性流
体40の流れに対し、ほぼ垂直に、しかも多数個所で、
十分な磁場が印加できることとなる(電磁石1個で2個
所)。
【0134】したがって、電磁コイル49,59に対す
る比較的小さな電流による通電量を変えることによっ
て、磁性流体40の粘性、および磁性流体40に働く磁
気力を変化させて、磁性流体40の流動が制御できるの
で、流路の入口と出口との間に発生する圧力差を変える
ことができ、比較的小さな電流で減衰力を変えることが
できるようになる。
【0135】さて、図1および図2に図示してあるよう
に、電磁石部における磁性流体の流路42,52の断面
は、電磁石の長さの約2倍の長さにわたって一様なもの
としてある。
【0136】また、環状のスペーサ144,154は十
分にひっこめてあり、その外側には十分な体積が確保さ
れている。すなわち、磁性流体だまり202,212が
設けてある。
【0137】このような構成とすることの作用、効果に
ついては後述することにする。
【0138】なお、環状のスペーサ44,54,14
4,154の材料としては、銅,オーステナイト系ステ
ンレス鋼等の非磁性金属、ポリ4フッ化エチレン(商品
名:テフロン)等の材料を用いることができるが、もち
ろん、その他、非磁性材料であれば何であってもよい。
【0139】また、磁気回路を形成する円筒部材14
6,156、コア48,58には、軟鉄,Fe−Si合
金,Fe−Al合金,パーマロイ,ミューメタル等の高
透磁率材料であれば何でも使用することができる。そし
て、コア48,58にはフェライトコアを用いることが
でき、さらに、それらに限らず、高周波用磁性材料を用
いると応答性のより優れた電磁石47,57とすること
ができる。
【0140】そして、本発明における磁気回路では、コ
ア48,58の極部48a,48b,58a,58bお
よび円筒部材146,156の極部48c,48d,5
8c,58dが磁性流体40の流路(環状すき間42,
52)に露出していることによって磁性流体40と直接
に接しているので、より小さな電流である程度以上の大
きさの磁場を磁性流体40に印加できることとなる。
【0141】また、円筒部材146,156とコア4
8,58との間のすき間がせまいことも、好都合なもの
となっている。
【0142】そして、防錆や絶縁等のために、コア4
8,58および円筒部材146,156にコーティング
を施すことが必要な場合もでてくるが、その際のコーテ
ィング層の厚さはせいぜい10μm程度以下であるの
で、ほとんど電流値には差が生じてこない。
【0143】したがって、本発明において、コア48,
58の極部48a,48b,58a,58bは、磁性流
体40の流路に露出していることにより磁性流体40と
直接に接していることとなり、小さな電流である程度以
上の大きさの磁場を磁性流体40に印加できることとな
る。
【0144】ところで、本発明におけるような流体の流
動下において、磁性流体40の流動を磁場によってどの
ように制御しうるかについては文献等から知ることがで
きなかったので、ここでは、さらに以下に述べる新たな
基礎的な検討を実験により試みた。
【0145】まず、それらについて詳述する前に、前述
の平成6年既出願甲の明細書に記述してあることである
が、これまでに得られた知見について、おおまかに述べ
ておく。これは、本発明の内容を説明するために必要な
背景となるからである。
【0146】図13に示すように、半径R,環状すきま
bのとき、粘度ηの流体を流量Qだけ流すときに、長さ
をLとすると、両端に発生する圧力差Δpは次の数式1
で与えられる。
【0147】
【数式1】 ただし、D=2R。
【0148】この式は、流体の流れが環状すきま流れの
場合であり、例えば、佐藤俊雄著『油圧装置設計の実
際』 大河出版 (1970),第47頁に述べられて
いる。
【0149】この式により、流体の粘性に基づく圧力差
が生じていると考えることができる。
【0150】一方、磁気力による圧力上昇は、
【0151】
【数式2】 で与えられる。例えば、武富,近角著 『磁性流体 基
礎と応用』 日刊工業新聞社 (1988) 第25頁
参照。
【0152】ここで、Hは磁性流体に作用している磁場
の大きさであり、Mは磁性流体の磁化である。そして、
数式2の右辺は、後出の図14に示す磁化曲線の下の面
積に相当する。
【0153】ここで、磁気力による圧力差Δpの大きさ
を評価してみる。5kOeの磁場で磁性流体の磁化(磁
束密度)が300G(ガウス)であったとすると、 0.03[T]×5×10×79.6[A/m] =11.9×10TA/m=11.9kPa=0.1
2気圧 と概算される。すなわち、約0.1気圧の圧力上昇が期
待できることになる。
【0154】この圧力上昇は、流れに対する抵抗とな
る。したがって、磁気力による圧力の発生が期待できる
ことになる。磁場を印加する個所を多数設けると、多段
効果が期待できることになり、大きな圧力を発生させる
ことが可能となる。
【0155】図5(a)に示すように、内側向きの環状
コア48が2個並んだものとすることによって円筒部材
46との間で環状すき間42を形成し、流動特性を実験
により把握した。
【0156】流量Q、すなわち、環状すき間42におけ
る流速をパラメータとして、両端の圧力を測定すること
により、圧力差を求めた。このとき、図13における
R,bの値は、それぞれ、R=10mm,b=0.45
mmとした。
【0157】そして、環状コア48は、PBパーマロイ
で作製したものとし、図12の記号で寸法を示すと、L
c=4mm,g=7mm,h=6mm,a=10mmで
ある。
【0158】スペーサ44は、ポリ4フッ化エチレン
(テフロン)で作製した。内側の円筒部材46には、中
実のFe−13重量%Al製のシャフト(直径19.1
mm)を用いた。
【0159】電磁コイル49には、線径が0.5mmの
エナメル線を用い、巻数は50ターンのものとした。
【0160】実験は、主に、タイホー工業(株)製の水
ベースマグネタイト磁性流体W40を用いて行なった。
また、窒化鉄磁性流体A(ただし、Aは試料を識別する
ための記号)についても調べた。なお、窒化鉄磁性流体
Aは、新たに合成して作製した。
【0161】磁場印加のないときの両端の圧力差は、理
論値(数式1)と一致していた。
【0162】次に、磁場を印加した際の圧力の増加分に
ついて調べた。水ベースマグネタイト磁性流体W40で
は、一段あたり、磁場約5kOeにおいて、約0.05
kgf/cm2 の増加となっていた。
【0163】また、多段における効果についても確認す
ることができた。
【0164】一方、窒化鉄磁性流体Aでは、同じ条件下
での実験において、一段あたり約0.1kgf/cm2
の圧力の増加となっていた。この窒化鉄磁性流体Aの飽
和磁化(飽和磁束密度)は約320G(ガウス)であっ
た。すなわち、窒化鉄磁性流体では、上記したほぼ予想
通りの圧力の増加となっているわけである。
【0165】さて、次に、磁性流体の磁気特性について
述べる。
【0166】図14は、窒化鉄磁性流体Bと水ベースマ
グネタイト磁性流体W40の室温での直流磁気特性の測
定結果を示すものである。この図14は、振動型磁力計
(VSM)にて測定した結果を示すものであって、横軸
を有効磁界(Heff)に、縦軸を4πIに直してプロ
ットしてある。
【0167】また、磁化の立ち上がりを比較するため
に、約10kOeでの磁化を飽和磁化とみなし、その飽
和磁化で規格化したのが図15である。
【0168】図14および図15に示すように、窒化鉄
磁性流体では、磁化曲線の立ち上がりが急峻であること
がわかる。そして、窒化鉄磁性流体では、600 Oe
の有効磁界(Heff)で90%磁化するのに対して、
水ベースマグネタイト磁性流体W40では、90%磁化
させるのに4.4kOeの磁界が必要であることが図1
5よりわかる。
【0169】窒化鉄微粒子の粒子磁化がマグネタイト微
粒子の粒子磁化に比べて大きいこと、および粒径がよく
そろっていることが、窒化鉄磁性流体の磁化曲線の立ち
上がりが急峻であることの理由であると解釈される。
【0170】磁性流体の磁気特性について上記とは別の
観点から述べる。
【0171】図16は、振動型磁力計(VSM)にて測
定した窒化鉄磁性流体A´と水ベースマグネタイト磁性
流体W40のそれぞれ室温での直流磁気特性を示すもの
である。この図16において、横軸は外部磁場(He
x)であり、縦軸は磁化の立ち上がりを比較するために
5kOeでの磁化で規格化して示してある。この場合、
5kOeでの磁化を飽和磁化であるとみなすことにす
る。
【0172】図16に示すように、窒化鉄磁性流体で
は、磁化曲線の立ち上がりが急峻であることがわかる。
そして、窒化鉄磁性流体では、280 Oeの外部磁界
(Hex)で90%磁化するのに対して、水ベースマグ
ネタイト磁性流体W40では、90%磁化させるのに
2.5kOeの磁界が必要なことがわかる。
【0173】前述したように、窒化鉄微粒子の粒子磁化
がマグネタイト微粒子の粒子磁化に比べて大きいこと、
および粒径がよくそろっていることが、窒化鉄磁性流体
の磁化曲線の立ち上がりが急峻であることの理由である
と解釈される。
【0174】このような磁化曲線の立ち上がりの急峻さ
は、初透磁率の違いで代表させることができる。
【0175】トロイダルコア状の容器に磁性流体を満し
て測定したB−H曲線から求めた比初透磁率は、窒化鉄
磁性流体Bでは17、水ベースマグネタイト磁性流体W
40では4であった。
【0176】以下、比初透磁率のことを単に透磁率と呼
ぶことにする。
【0177】ところで、減衰力可変型緩衝器において
は、上述したように、省電力で、高効率なものが望まし
い。
【0178】そこで、高効率化の方策について更に鋭意
検討した。
【0179】その際、電磁石の磁場を集中させると、磁
性流体に印加される磁場の値が高められることに着眼し
た。
【0180】つまり、磁性流体に印加される磁場の値が
高くなると、それだけ効率が上げられると考えられるか
らである。
【0181】そこで、その効果を実験により確認してみ
ることにした。
【0182】実験は、まず、水ベース磁性流体W40を
使用して行なった。
【0183】図5(a)に示すように、電磁石2個を並
べた場合と、円筒部材を本発明に係わるものに変更した
場合である図5(b)とを比較してみた。
【0184】まず図5(a)について、寸法関係を示
す。
【0185】前述したことと重複するが、図13におけ
るR,bの値は、それぞれ、R=10mm,b=0.4
5mmとした。
【0186】そして、環状コア48は、PBパーマロイ
で作製したものとし、図12の記号で寸法を示すと、L
c=4mm,g=7mm,h=6mm,a=10mmで
ある。また、s=10mm,30mmである。なお、C
1 =0mm,C2 =0mmである。
【0187】スペーサ44は、ポリ4フッ化エチレン
(テフロン)で作製した。また、両側に図示の如く、s
=10mm,s=30mmのスペーサ44を配置した。
内側の円筒部材46には、中実のFe−13重量%Al
製のシャフト(直径19.1mm)を用いた。
【0188】また、電磁コイル49には、線径0.5m
mのエナメル線を用い、巻き数は50ターンのものとし
た。
【0189】図6(A)における(a)は、電磁石2個
に通電した際の圧力増加を電流に対してプロットしたも
のである。
【0190】次に、図5(b)の設定で同様の測定を試
みた。
【0191】図5(b)の円筒部材46には、中実のF
e−13重量%Al製シャフトを用いた。図示のように
電磁石の極の対向部のみを直径19.1mmとした。突
出部長さは4mmとし、コアの極部長さと同じにした。
また、シャフトのそれ以外の径は直径17.1mmと
し、その部分を接着剤で覆って固め、外径を19.1m
mに仕上げて図示のシャフトとした。なお、接着剤とし
てはアラルダイトを使用した。電磁石,スペーサ等は図
5(a)と同じものを用いた。
【0192】したがって、環状すき間の寸法関係は、図
5(a)と(b)では、まったく同じである。
【0193】図5(b)において、電磁石2個に通電し
た際の圧力増加分を、電流に対してプロットしたものが
図6(A)における(b)である。
【0194】図6(A)における(b)において、電流
が大きなところで圧力増加が頭打ちになってしまってい
る。また、電流が小さい領域では(a)に比べて約5割
の圧力増加となっている。
【0195】すなわち、電磁石の磁場を、図5(b)の
ように磁気回路を工夫することにより集中させると、約
5割の効率アップが図れることがわかったわけである。
【0196】また、図5(a)では、磁場はやはり電磁
石の極の下で大きいが、ひろがった分布となってしまっ
ているわけである。
【0197】さらに、図5(b)のように、円筒部材に
突起部を設けると、磁場が電磁石の極に集中するため、
結果としては、磁性流体に印加される磁場の大きさが増
していると考えられる。
【0198】なお、実際の磁場分布、磁場の大きさの測
定はここでは実施しなかった。
【0199】次に、図5(b)において、電流が大きい
ところで、圧力増加が頭打ちになってしまう(図6
(A)における(b)参照)理由について考察してみ
た。
【0200】電流の大きなところでは、磁場もそれなり
に大きくなる。すると、磁性微粒子のクラスターが電磁
石の磁極下に形成されてくるが、図5(b)のように、
電磁石間の環状すきまは閉空間であり、かつ、容積も小
さいため、磁性微粒子の供給が不十分となってしまう。
【0201】そのために、圧力増加が頭打ちになるもの
と推定される。
【0202】このことを確認するため、図5(c)のよ
うに、電磁石間に磁性流体だまり202を設けてみた。
【0203】図5(c)では、図5(b)のまん中のス
ペーサのみ変更し、10mmのスペーサ2個と、それよ
り6mm引っこめた10mmのスペーサとした。
【0204】そして、電磁石2個に通電した際の圧力増
加分を電流に対してプロットしたものが図6(B)にお
ける(c)である。結果は、上記の考察の通りであるこ
とがわかる。
【0205】なお、図6(B)の一点鎖線は、図6
(A)における(b)の結果をトレースしたものであ
る。
【0206】以上により、電磁石間に磁性流体だまり2
02を設けると圧力増加の頭打ちは解消できることがわ
かった。
【0207】以上の実験の結果より、約5割の効率向上
が可能になるということになる。
【0208】次に、窒化鉄磁性流体Aを用いて同様の実
験を試みた。
【0209】結果は水ベースの場合とほぼ同じであっ
た。
【0210】さて、図5(c)では、環状すきま流路の
断面積は一様としてある。また、一様流路部の長さは電
磁石の長さの約2倍としてある。
【0211】以下、このようにした理由について述べ
る。
【0212】図11に示すような突出極の場合および図
5のような平坦の場合についての圧力増加分の比較を詳
細に検討してみた。
【0213】ここで、結果の一例を図7に示す。図7中
の○が平坦な場合であり、図7中の△が突出極の場合で
ある。
【0214】なお、同図の結果を得たときの詳細な実験
条件については割愛する。
【0215】突出極の場合は電流が小さいときの圧力増
加は、平坦の場合よりもまさっているが、電流が大きい
ところでは平坦の場合の方がまさっている。
【0216】つまり、到達圧力増加は平坦の方が大きく
なるわけである。
【0217】そこで、ここでは、最終到達圧力増加を重
視し、平坦の方を選ぶことにした。ところで、図5
(c)の場合に、もし、一様流路部の長さを更に短くし
たときどうなるかについても調べてみた。
【0218】その結果、電磁石の長さの1.5倍程度に
すると突出極と似た挙動となる(図7参照)ことがわか
った。
【0219】したがって、一様流路部の長さは2倍程度
以上必要なわけである。
【0220】以上の基礎検討をもとに設計したのが、既
述した図1および図2に示した構造を有する伸縮式ない
しは回転式減衰力可変型緩衝器に適する磁性流体流動制
御機構である。そしてこれを図19ないし図21に示し
た回転式減衰力可変型緩衝器31に組み込んだ。
【0221】この場合、ハウジング32の内径を140
mmとし、円筒体34の外径を72mmとし、ベーン3
4aの幅を122mmとした。
【0222】また、円筒部材146,156は、肉厚3
mmの軟鉄製のものとし、図2において、Ly=7m
m,d=1mmとした。層201,202は樹脂で作製
した。具体的には、接着剤であるアラルダイトで固め、
内面をなめらかに仕上げた。
【0223】また、環状コア48,58は、図2におい
て、Lc=7mm,g=8mm,a=5mm,h=3m
mとし、軟鉄で作製して5kOeの磁場が十分発生可能
な電磁石47,57とした。
【0224】また、環状スペーサ44,54は、その厚
さをs1 =10mmとし、また、環状スペーサ144,
154はその厚さをs2 =14mmとし、e=2mmと
した。
【0225】環状スペーサ44,54,144,154
は、ポリ4フッ化エチレン(商品名:テフロン)で作製
した。
【0226】さらに、電磁石47,57は図1に示すよ
うに、それぞれ2個並べたものとした。このとき、磁場
の印加される個所は合計8個所である。
【0227】また、環状すき間42,52の寸法はb=
1mmとした。この場合、回転速度が100°/sec
においても十分に層流域である。
【0228】以上の構成とすることにより、磁性流体4
0の磁場による粘性力とともに磁気力を有効に利用し、
かつ、高効率化を図った回転式減衰力可変型緩衝器31
とすることができる。
【0229】図1および図2ならびに図19および図2
0に示した回転式減衰力可変型緩衝器31において、磁
性流体40として、窒化鉄磁性流体Aを用いたときの性
能を図8に△印で示す。
【0230】この際に、前述したように、飽和磁化(飽
和磁化密度)は約320Gであった。
【0231】図8において、横軸が回転軸32aの回転
速度[deg/sec]であり、縦軸は、電磁石による
磁場印加を行なわないときと、全電磁石とも約5kOe
の磁場としたときの減衰力、すなわち、トルク[kgf
・m]の差である。
【0232】なお、ここでいう約5kOeの磁場とは、
本発明のように、磁場の集中の工夫をしなかったときの
磁場の値を与える電流値としたという意味である。実際
の電磁石極下での磁場の値はもっと大きくなっているは
ずである。
【0233】図8より明らかなように、窒化鉄磁性流体
Aを用いたときに、約2.8kgf・mの可変幅となっ
ている。そして、電流量を調節することにより、この幅
内の減衰力が得られることはいうまでもない。
【0234】次に、飽和磁化が窒化鉄磁性流体Aの約3
倍である窒化鉄磁性流体Cを磁性流体40として用いて
性能を調べた。
【0235】この結果も同じく図8に○印で示す。
【0236】可変幅は約8.5kgf・mとなってお
り、さらに大幅な減衰力の調整ができるものとなってい
ることが認められた。
【0237】以上の性能試験結果より、本発明による回
転式減衰力可変型緩衝器31においては、電磁石2個
(計4個)で電磁石3個(計6個)と同等の性能が得ら
れることがわかった。すなわち、2/3の省電力化が達
成されているわけである。
【0238】ところで、平成6年既出願乙におけるよう
に、永久磁石による磁場印加部を設けることによっても
省電力化が図れる。
【0239】図9の構成は、図1および図2の構成と電
磁石等については同じであるが、磁性流体だまり20
2,212に永久磁石による磁場印加部を設けてある。
【0240】磁場印加部の構成は、環状磁石109,1
19と断面Lの字状の環状の磁石極108,118,1
10,120,111,121,112,122からな
っている。
【0241】まん中のものは、断面Lの字状の環状の磁
石極108,118と磁石極110,120は2つ組み
合わされてヨークを形成している。
【0242】左右のものは、断面Lの字状の環状の磁石
極111,121,112,122がそれぞれ一つでヨ
ークを形成している。
【0243】環状の磁石109,119は半径方向に着
磁されている。
【0244】図4の記号で、Lm を2mmとし、磁石
極,磁石は電磁石極よりも1mm引っこめ、また、磁石
には表面磁束密度が約1kGのフェライト磁石を用い
て、回転式減衰力可変型緩衝器31としての性能を調べ
てみた。
【0245】この結果、図8と同様の性能を十分余裕を
もって達成することができた。
【0246】図8と同じ性能を得るために必要な電磁石
の電流値から評価した更なる省電力化の程度は、約3割
であった。
【0247】すなわち、磁性流体だまり202,212
に、永久磁石による磁場印加部を設けると、さらに約3
割の効率が上げられることになる。
【0248】また、図10は他の永久磁石による磁場印
加部の構成例である。
【0249】この場合、109,119は、軸方向に着
磁された環状の永久磁石であり、108,118,11
0,120は環状の磁石極である。
【0250】永久磁石109,119は、gm(図4参
照)を8mm,4mm(左右の磁石)とし、tmを2m
mとし、フェライト磁石で表面磁束密度が約1kGのも
のを用いて、回転式減衰力可変型緩衝器31としての性
能を調べてみた。
【0251】その際、環状の磁石極108,118,1
10,120は、電磁石極より図示の如く1mm引っ込
めた。
【0252】この構成での性能も、図9の構成での性能
とほぼ同様であった。
【0253】さて、以上の性能試験結果からわかるよう
に、窒化鉄磁性流体では、飽和磁化の大きな磁性流体が
容易に達成できるため、磁気力の利用が極めて有効にで
きるわけである(数式2参照)。
【0254】また、図14,図15,図16の磁化曲線
からわかるように、透磁率が大きいので、小さな磁場で
容易に磁化するため、このことも磁気力の利用を極めて
有効にしている。
【0255】そして、磁性流体40の飽和磁化(磁束密
度)が300G(ガウス)程度以上、透磁率が10程度
以上あれば、窒化鉄磁性流体に限定されず、他の磁性流
体であっても同様の効果が得られることはいうまでもな
い。
【0256】上記実施例等において用いた窒化鉄磁性流
体は、気相液相反応法により合成したものである。すな
わち、鉄カルボニルFe(CO)およびポリブテニル
コハク酸イミドをノルマルパラフィン系溶媒中に溶解さ
せた後、アンモニアガスを吹き込みながら、80〜12
0℃程度に加熱して反応させ、鉄アンミンカルボニル化
合物を生成させる。これをさらに120℃以上の高温で
加熱することにより、鉄アンミンカルボニル化合物を分
解させて、窒化鉄磁性流体を得た。
【0257】さらに、上記した実施例では、図19およ
び図20に示した回転式減衰力可変型緩衝器に適用した
場合について説明したが、図17および図18に示した
伸縮式減衰力可変型緩衝器にも適用できることはいうま
でもない。
【0258】さらにまた、本発明による磁性流体流動制
御機構は、減衰力可変型緩衝器に適用されるものとして
説明したが、他の機器における流体流動制御に適用する
ことも可能である。
【0259】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の請求
項1に係わる減衰力可変型緩衝器によれば、作動油とし
て磁性流体を用い、前記磁性流体の流路に、電磁石によ
って前記磁性流体の流れの方向に対して直交ないしはほ
ぼ直交する方向の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する
部位を前記磁性流体の流れの方向において複数個所以上
形成し、前記磁場を印加する部位における前記電磁石の
コアの極部が直接ないしはほとんどギャップのない状態
で磁性流体に接していて、前記磁性流体の磁場による粘
性増加を利用するとともに前記磁場の磁性流体に及ぼす
磁気力の作用を複数段以上で利用することにより、前記
磁性流体の流路に圧力差を生じさせる磁性流体流動制御
機構をそなえた減衰力可変型緩衝器において、前記磁場
を印加する部位で電磁石のコアの極部に磁場を集中させ
る磁気回路が構成されているとともに、前記磁場を印加
する部位における流路の断面積を電磁石を跨ぐかたちで
電磁石の流路方向の長さの2倍程度以上の長さにわたっ
て一様とし、かつ、各電磁石部間の流路には磁性流体だ
まりを設ける構成としたことから、流動制御効果の効率
を高めることが可能となり、その結果、より少ない電力
で、比較的大きな所望の減衰力を発生することができる
と共に、電流値を変えることによって減衰力を大きく変
えることが可能である減衰力可変型緩衝器が得られると
いう著しく優れた効果がもたらされる。
【0260】本発明の請求項2に記載の構成とすれば、
請求項1に記載したと同様の効果を奏する伸縮式の減衰
力可変型緩衝器が得られるという効果がもたらされる。
【0261】本発明の請求項3に記載の構成とすれば、
請求項1に記載したと同様の効果を奏する回転式の減衰
力可変型緩衝器が得られるという効果がもたらされる。
【0262】本発明の請求項4に記載の構成とすれば、
さらに少ない電力で、比較的大きな所望の減衰力を発生
する減衰力可変型緩衝器が得られるという効果がもたら
される。
【0263】本発明の請求項5に記載の構成とすれば、
磁性流体として透磁率が10程度以上、飽和磁化が30
0G程度以上の磁性流体を用いることにより、所望の減
衰力の可変幅が容易に達成できる減衰力可変型緩衝器が
得られるという効果がもたらされる。
【0264】本発明の請求項6に記載の構成とすれば、
小型化することができ、実用性の高い減衰力可変型緩衝
器とすることができるという効果が得られる。
【0265】本発明の請求項7に記載の構成とすれば、
永久磁石による磁場印加部を設けると、磁性流体の物性
がより流動制御に適した状態に変わることにより、流動
制御効果をさらに高くすることが可能となり、さらに一
層少ない電力で、比較的大きな所望の減衰力を発生する
ことができる減衰力可変型緩衝器が得られ。
【0266】本発明の請求項8に係わる磁性流体流動制
御機構によれば、請求項1の減衰力可変型緩衝器と同様
な効果で流動制御効果の効率を向上することができる磁
性流体流動制御機構が得られるという効果もたらされ
る。
【0267】本発明の請求項9に記載の構成とすれば、
さらに一層流動制御効果の効率が向上した磁性流体流動
制御機構が得られるという効果がもたらされる。
【0268】本発明の請求項10に記載の構成とすれ
ば、磁性流体として透磁率が10程度以上、飽和磁化が
300G程度以上の磁性流体を用いることによって、所
望の減衰力の可変幅が容易に達成できる磁性流体流動制
御機構が得られるという効果がもたらされる。
【0269】本発明の請求項11に記載の構成とすれ
ば、減衰力可変型緩衝器に用いることにより、より少な
い電力で、比較的大きな所望の減衰力を発生することが
できると共に、電流値を変えることによって減衰力を大
きく変えることができる減衰力可変型緩衝器が得られる
という効果がもたらされる。
【0270】本発明の請求項12に記載の構成とすれ
ば、磁性流体の物性をより流動制御に適した状態に変え
ることができ、流動制御効果の効率がさらに高い磁性流
体流動制御機構が得られるという効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における磁性流体流動制御機
構の断面説明図である。
【図2】図1に示した磁性流体制御機構の磁場印加部の
拡大説明図である。
【図3】平成6年既出願乙における磁性流体流動制御機
構の断面説明図である。
【図4】図3に示した磁性流体流動制御機構の磁場印加
部分の拡大説明図である。
【図5】環状すき間の具体的構成を示す従来例(図5の
(a))並びに本発明例(図5の(b)および図5の
(c))の基本的説明図である。
【図6】図5において、圧力増加分を電流に対してプロ
ットした実験結果を示すグラフである。
【図7】環状すき間が一様流路断面のときおよび電磁石
の極のみが流路に突出しているときの圧力増加分を電流
に対してプロットした実験結果を示すグラフである(環
状すき間は同一)。
【図8】図1に示した磁性流体制御機構を図19および
図20に示した回転式減衰力可変型緩衝器に組み込んだ
ときの減衰力特性を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施例による磁性流体流動制御機
構の断面説明図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例による磁性流体流
動制御機構の断面説明図である。
【図11】平成6年既出願甲における磁性流体流動制御
機構の断面説明図である。
【図12】図11に示した磁性流体流動制御機構の磁場
印加部分の拡大説明図である。
【図13】環状すき間の説明図である。
【図14】窒化鉄磁性流体Bと水ベースマグネタイト磁
性流体W40のそれぞれ室温での直流磁気特性の測定結
果を示すグラフである。
【図15】図14の縦軸を飽和磁化で規格化した磁化曲
線を示すグラフである。
【図16】窒化鉄磁性流体A´と水ベースマグネタイト
磁性流体W40のそれぞれ室温での直流磁気特性の測定
結果を示すグラフである。
【図17】平成5年既出願における伸縮式減衰力可変型
緩衝器の縦断面説明図である。
【図18】図17に示した伸縮式減衰力可変型緩衝器の
磁場印加部分の拡大説明図である。
【図19】平成5年既出願における回転式減衰力可変型
緩衝器の縦断面説明図である。
【図20】図19に示した回転式減衰力可変型緩衝器の
A−A線断面説明図である。
【図21】図19に示した回転式減衰力可変型緩衝器の
磁場印加部分の拡大説明図である。
【図22】減衰力可変型緩衝器とは別置式の磁性流体流
動制御機構の縦断面説明図である。
【図23】図22に示した磁性流体流動制御機構の磁場
印加部分の拡大説明図である。
【符号の説明】
1 伸縮式減衰力可変型緩衝器 2 シリンダ 2a ロッド側室 2b ピストン側室 3 ピストンロッド 4 ピストン 5 磁性流体の流路 10 磁性流体(作動油) 15 磁性流体流動制御機構 16 高透磁率部材(円筒部材) 17 電磁石 18 コア 18a,18b コアの極部 19 電磁コイル 31 回転式減衰力可変型緩衝器 32 ハウジング 32a 回転軸 32c 内部壁 33 固定軸 34a ベーン 35a,35b 部屋 37,38,39 磁性流体の流路 40 磁性流体(作動油) 42,52 環状すき間(磁性流体の流路) 44,54 スペーサ 45,55 磁性流体流動制御機構 46,56 高透磁率部材(円筒部材) 47,57 電磁石 48,58 コア 48a,48b,58a,58b コアの極部 48c,48d,58c,58d 円筒部材の極部 49,59 電磁コイル 70 磁性流体 71 磁性流体の流路 75 磁性流体流動制御機構 82,92 環状すき間(磁性流体の流路) 86,96 高透磁率部材(円筒部材) 87,97 電磁石 88,98 コア 88a,88b,98a,98b コアの極 89,99 電磁コイル 108,118,110,120 環状の磁石極 109,119 永久磁石 111,121,112,122 環状の磁石極 144,154 スペーサ 146,156 円筒部材 201,211 樹脂層 202,212 磁性流体だまり
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉 山 龍 男 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動油として磁性流体を用い、前記磁性
    流体の流路に、電磁石によって前記磁性流体の流れの方
    向に対して直交ないしはほぼ直交する方向の磁場を印加
    し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性流体の流れの
    方向において複数個所以上形成し、前記磁場を印加する
    部位における前記電磁石のコアの極部が直接ないしはほ
    とんどギャップのない状態で磁性流体に接していて、前
    記磁性流体の磁場による粘性増加を利用するとともに前
    記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を複数段以上で
    利用することにより、前記磁性流体の流路に圧力差を生
    じさせる磁性流体流動制御機構をそなえた減衰力可変型
    緩衝器において、前記磁場を印加する部位で電磁石のコ
    アの極部に磁場を集中させる磁気回路が構成されている
    とともに、前記磁場を印加する部位における流路の断面
    積が電磁石を跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長さの2
    倍程度以上の長さにわたって一様であり、かつ、各電磁
    石部間の流路には磁性流体だまりが設けてあることを特
    徴とする減衰力可変型緩衝器。
  2. 【請求項2】 作動油として磁性流体を用い、ピストン
    をそなえたピストンロッドが摺動するシリンダ内のロッ
    ド側室とピストン側室とを連通する磁性流体の流路をそ
    なえ、前記磁性流体の流路に、電磁石によって前記磁性
    流体の流れの方向に対して直交ないしはほぼ直交する方
    向の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁
    性流体の流れの方向において多数個所形成し、前記磁場
    を印加する部位における前記電磁石のコアの極部が直接
    ないしはほとんどギャップのない状態で磁性流体に接し
    ていて、前記磁性流体の磁場による粘性増加を利用する
    とともに前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を多
    段で利用することにより、前記磁性流体の流路に圧力差
    を生じさせる磁性流体流動制御機構をそなえた伸縮式減
    衰力可変型緩衝器において、前記磁場を印加する部位で
    電磁石のコアの極部に磁場を集中させる磁気回路が構成
    されているとともに、前記磁場を印加する部位における
    流路の断面積が電磁石を跨ぐかたちで電磁石の流路方向
    の長さの2倍程度以上の長さにわたって一様であり、か
    つ、各電磁石部間の流路には磁性流体だまりが設けてあ
    ることを特徴とする請求項1に記載の減衰力可変型緩衝
    器。
  3. 【請求項3】 作動油として磁性流体を用い、ハウジン
    グ内に、前記ハウジングに設けた固定壁と、回転軸に設
    けた移動可能なベーンとで仕切られた部屋を設け、部屋
    間を連通する磁性流体の流路をそなえ、前記磁性流体の
    流路に、電磁石によって前記磁性流体の流れの方向に対
    して直交ないしはほぼ直交する方向の磁場を印加し且つ
    前記磁場を印加する部位を前記磁性流体の流れの方向に
    おいて多数個所形成し、前記磁場を印加する部位におけ
    る前記電磁石のコアの極部が直接ないしはほとんどギャ
    ップのない状態で磁性流体に接していて、前記磁性流体
    の磁場による粘性増加を利用するとともに前記磁場の磁
    性流体に及ぼす磁気力の作用を多段で利用することによ
    り、前記磁性流体の流路に圧力差を生じさせる磁性流体
    流動制御機構をそなえた回転式減衰力可変型緩衝器にお
    いて、前記磁場を印加する部位で電磁石のコアの極部に
    磁場を集中させる磁気回路が構成されているとともに、
    前記磁場を印加する部位における流路の断面積が電磁石
    を跨ぐかたちで電磁石の流路方向の長さの2倍程度以上
    の長さにわたって一様であり、かつ、各電磁石部間の流
    路には磁性流体だまりが設けてあることを特徴とする請
    求項1に記載の減衰力可変型緩衝器。
  4. 【請求項4】 磁性流体の流れが、環状すき間流れであ
    ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    の減衰力可変型緩衝器。
  5. 【請求項5】 磁性流体として、比初透磁率が10程度
    以上で且つ飽和磁化(飽和磁束密度)が300G程度以
    上であるものを用いることを特徴とする請求項1ないし
    4のいずれかに記載の減衰力可変型緩衝器。
  6. 【請求項6】 磁性流体流動制御機構が一体で組み込ま
    れていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    に記載の減衰力可変型緩衝器。
  7. 【請求項7】 磁性流体だまりには、永久磁石による磁
    場印加部が設けてあることを特徴とする請求項1ないし
    6のいずれかに記載の減衰力可変型緩衝器。
  8. 【請求項8】 作動油として磁性流体を用い、前記磁性
    流体の流路に、電磁石によって前記磁性流体の流れの方
    向に対して直交ないしはほぼ直交する方向の磁場を印加
    し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性流体の流れの
    方向において複数個所以上形成し、前記磁場を印加する
    部位における前記電磁石のコアの極部が直接ないしはほ
    とんどギャップのない状態で磁性流体に接していて、前
    記磁性流体の磁場による粘性増加を利用するとともに前
    記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を複数段以上で
    利用することにより、前記磁性流体の流路に圧力差を生
    じさせる磁性流体流動制御機構において、前記磁場を印
    加する部位で電磁石のコアの極部に磁場を集中させる磁
    気回路が構成されているとともに、前記磁場を印加する
    部位における流路の断面積が電磁石を跨ぐかたちで電磁
    石の流路方向の長さの2倍程度以上の長さにわたって一
    様であり、かつ、各電磁石部間の流路には磁性流体だま
    りが設けてあることを特徴とする磁性流体流動制御機
    構。
  9. 【請求項9】 磁性流体の流れが、環状すき間流れであ
    ることを特徴とする請求項8に記載の磁性流体流動制御
    機構。
  10. 【請求項10】 磁性流体として、比初透磁率が10程
    度以上で且つ飽和磁化(飽和磁束密度)が300G程度
    以上であるものを用いることを特徴とする請求項8また
    は9に記載の磁性流体流動制御機構。
  11. 【請求項11】 減衰力可変型緩衝器の流体流動制御に
    使用される請求項8ないし10のいずれかに記載の磁性
    流体流動制御機構。
  12. 【請求項12】 磁性流体だまりには、永久磁石による
    磁場印加部が設けてあることを特徴とする請求項8ない
    し11のいずれかに記載の磁性流体流動制御機構。
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