JPH06272732A - 減衰力可変型緩衝器 - Google Patents

減衰力可変型緩衝器

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Publication number
JPH06272732A
JPH06272732A JP5752293A JP5752293A JPH06272732A JP H06272732 A JPH06272732 A JP H06272732A JP 5752293 A JP5752293 A JP 5752293A JP 5752293 A JP5752293 A JP 5752293A JP H06272732 A JPH06272732 A JP H06272732A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic fluid
fluid
damping force
magnetic field
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Application number
JP5752293A
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English (en)
Inventor
Isao Nakatani
谷 功 中
Tsutomu Takahashi
橋 務 高
Hitoshi Hamaguchi
口 仁 浜
Noriyuki Naganuma
沼 伯 之 長
Munekatsu Shimada
田 宗 勝 島
Tatsuo Sugiyama
山 龍 男 杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENK
KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Nissan Motor Co Ltd
National Research Institute for Metals
Original Assignee
KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENK
KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Nissan Motor Co Ltd
National Research Institute for Metals
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Filing date
Publication date
Application filed by KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENK, KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK, Nissan Motor Co Ltd, National Research Institute for Metals filed Critical KYOSEKI SEIHIN GIJUTSU KENK
Priority to JP5752293A priority Critical patent/JPH06272732A/ja
Publication of JPH06272732A publication Critical patent/JPH06272732A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 流体の流速の広い範囲で所望の大きさの減衰
力を発生することができるようにした磁性流体利用の減
衰力可変型緩衝器を提供する。 【構成】 作動油として磁性流体10を用いた減衰力可
変型緩衝器1において、磁性流体10の流路6に、磁性
流体10の流れ方向に対して直交ないしはほぼ直交する
方向の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する部位を磁性
流体10の流れ方向において複数個所以上形成して磁性
流体10の流路6に圧力差を生じさせる磁性流体流動制
御機構13をそなえた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性流体を用いて減衰
力を変化させるのに利用される伸縮式や回転式などの減
衰力可変型緩衝器に関し、特に、電磁コイルへの通電量
を変えることによって磁性流体の流路を通過する前記磁
性流体の流動特性を変えることで発生減衰力を調整する
ことができるようにした磁性流体利用の伸縮式や回転式
などの減衰力可変型緩衝器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁コイルへの通電量を変えることによ
って磁性流体の流路を通過する前記磁性流体の粘性を変
化させることで発生減衰力を調整することができるよう
にした磁性流体利用の伸縮式減衰力可変型緩衝器として
は、例えば、実開昭62−151448号公報に開示さ
れたものがあり、また、回転式減衰力可変型緩衝器とし
ては、例えば、特開昭62−251220号公報に開示
されたものがある。
【0003】図19は、前者の伸縮式減衰力可変型緩衝
器101を示すものであって、シリンダ102の内部を
ピストンロッド103の先端に固定したピストン部10
4で区画して、ロッド側室102aとピストン側室10
2bを形成すると共に、前記各室102a,102bに
充満されてピストン部104がシリンダ102内を摺動
するときに、流路105を通過する作動油として磁性流
体を用いている。
【0004】そして、流路105には電磁コイル106
への通電によって磁界が発生し、前記流路105を通過
する作動油としての磁性流体の粘性が前記電磁コイル1
06への通電量を変えることで変化して、発生減衰力が
変更調整されることになるものとしている。
【0005】また、図20は、後者の回転式減衰力可変
型緩衝器111を示すものであって、ハウジング112
の内部には磁性流体が満たされており、このハウジング
112を貫通するシャフト113には複数の円板114
が取り付けられていると共に、ハウジング112の内側
には同様にして複数の円板115が取り付けられてい
る。
【0006】そして、電磁コイル116に通電すると磁
性流体の粘性が増加して、円板114,115の相対的
な回転が阻止される傾向となるため、減衰力が発生す
る。そしてまた、磁性流体の粘性は、電磁コイル116
への通電量を変えることで変化して、発生減衰力が変更
調整されることになるものとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の伸縮式や回転式の減衰力可変型緩衝器101,
111にあっては、電磁コイル106,116への通電
量を変化させても、好ましい発生減衰力の変更調整をな
し難い不都合のあることが鋭意検討の結果明らかになっ
た。
【0008】すなわち、上記した従来技術のものにおい
ては、電磁コイルをそなえた磁場発生装置は両端が解放
されたソレノイドであるため、必要な大きさの磁界が磁
性流体に有効に作用しないという欠点をもつ。また、伸
縮式の場合には磁界の方向が磁性流体の流れ方向と平行
であるため、磁界による磁性流体の粘性増加が大きくな
いという欠点を有している。
【0009】さらに、磁性流体の粘性の磁場による増加
代には、流体の流速、つまり、せん断速度依存性がある
ため、流速の大きなところでは、粘性にもとづく大きな
調整幅の減衰力発生は期待することができ難いことが明
らかになった。
【0010】また、磁性流体の磁場による粘性力の増加
分だけでは、たとえ流速が小さいときであったとして
も、所望の大きさの調整幅の減衰力発生は期待でき難い
ことがわかった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、このような従来技術がもつ問
題点にかんがみてなされたものであって、流体の流速の
広い範囲で所望の大きさの減衰力を発生することができ
るようにした磁性流体利用の減衰力可変型緩衝器を新た
に提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる減衰力可
変型緩衝器は、作動油として磁性流体を用いたことを特
徴とするものであるが、この磁性流体の磁界による粘性
の増加を顕著にさせるためには、磁界の方向は磁性流体
の流れ方向に対し直角成分をもたなくてはならないこ
と、および磁性流体の粘性の磁場による増加代には、流
体の流速、つまり、せん断速度依存性があるため、流速
の大きなところでは、粘性にもとづく大きな調整幅の減
衰力発生は期待することができ難いことが鋭意研究の結
果判明したことにもとづいてなされたものであって、本
発明では、磁性流体の磁場による粘性の増加を利用する
とともに、前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を
複数段で有効に利用するようにしたものである。
【0013】すなわち、本発明に係わる減衰力可変型緩
衝器は、作動油として磁性流体を用いた減衰力可変型緩
衝器において、前記磁性流体の流路に、前記磁性流体の
流れ方向に対して直交ないしはほぼ直交する方向の磁場
を印加し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性流体の
流れ方向において複数個所以上形成して前記磁性流体の
流路に圧力差を生じさせる磁性流体流動制御機構をそな
えたことを特徴としている。
【0014】本発明に係わる減衰力可変型緩衝器の実施
態様においては、作動油として磁性流体を用い、ピスト
ンをそなえたピストンロッドが摺動するシリンダ内のロ
ッド側室とピストン側室とを連通する磁性流体の流路を
そなえた伸縮式減衰力可変型緩衝器において、前記磁性
流体の流路に、前記磁性流体の流れ方向に対して直交な
いしはほぼ直交する方向の磁場を印加し且つ前記磁場を
印加する部位を前記磁性流体の流れ方向において多数個
所形成して前記磁性流体の磁場による粘性増加を利用す
るとともに前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を
多段で利用することにより前記磁性流体の流路に圧力差
を生じさせる磁性流体流動制御機構をそなえたものとす
ることができる。
【0015】また、本発明に係わる減衰力可変型緩衝器
の他の実施態様においては、作動油として磁性流体を用
い、ハウジング内に、前記ハウジングに設けた固定壁
と、回転軸に設けた移動可能なベーンとで仕切られた部
屋を設け、部屋間を連通する磁性流体の流路をそなえた
回転式減衰力可変型緩衝器において、前記磁性流体の流
路に、前記磁性流体の流れ方向に対して直交ないしはほ
ぼ直交する方向の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する
部位を前記磁性流体の流れ方向において多数個所形成し
て前記磁性流体の磁場による粘性増加を利用するととも
に前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を多段で利
用することにより前記磁性流体の流路に圧力差を生じさ
せる磁性流体流動制御機構をそなえたものとすることが
できる。
【0016】そして、本発明においては、磁性流体とし
て、比初透磁率が10程度以上で且つ飽和磁化が300
G程度以上であるものを用いることができ、また、磁性
流体流動制御機構は磁場発生装置をそなえ、前記磁場発
生装置は電磁コイルとコアを用いた電磁石を有し、前記
コアの両極を狭隘な磁気ギャップを介して対向させ、前
記磁気ギャップに磁性流体の流路の一部ないしは多数部
を密接して設け、前記コアと磁性流体とが一体となって
閉じた磁気回路を形成するものとすることができ、そし
てまた、磁気ギャップ内に、磁性流体と共に高透磁率部
材を設けたものとすることもできる。
【0017】
【発明の作用】ところで、本発明の内容を明確にするた
めには、ここで、本発明に至った背景について説明して
おく必要がある。
【0018】本発明におけるような流体の流動下におい
て、磁性流体の流動を磁場によってどのように制御する
のかについては、文献等から知ることができないので、
以下に述べる基礎実験を行った。
【0019】内径R,長さLの円筒に、粘度ηの流体を
流量Qだけ流すときに、円筒の両端に発生する圧力差Δ
pは、次の(1)式で与えられる。
【0020】 Δp=(8・L・η/π・R)・Q ・・・(1) これは、円筒内層流粘性流の場合であり、例えば、一色
尚次著 『わかりやすい熱と流れ』 森北出版 (19
79),第98頁に述べられている。
【0021】図13に、実験装置の概要を示す。上記
(1)式に基づき、内径R,長さLの円筒91の両端の
圧力P,Pを測定した。磁性流体では、粘度ηが磁
場により変化することが期待されるため、磁場を印加し
ない場合と印加した場合とでΔpに違いが生ずるものと
考えられる。
【0022】図13において、流量Qをパラメータと
し、圧力P,Pを測定した。
【0023】磁場を印加していないときの圧力差をP
(=P−P)とし、磁場を印加したときの圧力差を
P(=P−P)とする。ここでの磁場は、2つの永
久磁石92,93を使用して、磁性流体の流れ方向に対
して直交する方向に印加した。
【0024】実験に用いた磁性流体は、窒化鉄磁性流体
A(ただし、Aは試料を識別するための記号)と、比較
のためのタイホー工業(株)製の水ベースマグネタイト
磁性流体W40である。この場合、窒化鉄磁性流体Aは
新たに合成して作製した。
【0025】内径4mm,外径6mm,長さ112mm
の銅製パイプの場合の結果を以下に示す。なお、磁場は
約1600 Oeであった。
【0026】図14に、窒化鉄磁性流体Aの流動特性を
測定した結果(測定は室温)を示す。図14の横軸は平
均流速である。壁面でのせん断速度 は、平均流速Wmeanと管径dとで と与えられる。ここで、d=0.4cmであるので、平
均流速の20倍が になる。なお、平均流速Wmeanは、流量QとWme
an=Q/π・Rなる関係になる。
【0027】したがって、図14の横軸は、平均流速で
あるが、せん断速度あるいは流量と読みかえることがで
きる。
【0028】磁場を印加していないときの圧力差P
は、ほぼニュートン流体的に増加している。一方、磁
場を印加したときの圧力差PがPに対してどの位の大
きさになるかをみるために、P/Pでプロットした。
【0029】図14に示すように、P/Pは流速に対
して急速に減少している。すなわち、流速が大きなとこ
ろ、換言すればせん断速度の大きなところでは、磁場に
よって磁性流体の粘性(粘度η)が増加することによる
圧力増加の作用は期待できないことがわかる。
【0030】図15は、同一条件で測定した水ベースマ
グネタイト磁性流体W40の流動特性を測定した結果を
示す。この場合には、P/Pが窒化鉄磁性流体Aに比
べて非常に小さい。また、この磁性流体の室温での粘度
ηは27.0cPであり(ただし、毛管粘度計による測
定結果)、この値を用いて前記(1)式の線を求めたも
のが図15中に記入してある。このことから、水ベース
マグネタイト磁性流体W40では、非ニュートン性が大
きいことがわかる。
【0031】図14の圧力差Pと比較すると、水ベー
スマグネタイト磁性流体W40での流動と窒化鉄磁性流
体Aの流動とが違うことがよく理解される(なお、粘度
測定結果より、窒化鉄磁性流体Aの粘度は、ほぼ同じ程
度であった)。
【0032】この場合、窒化鉄磁性流体では、微粒子磁
化がマグネタイト磁性流体の微粒子磁化に比べて大きい
こと、および粒径がよくそろっていることが、窒化鉄磁
性流体の良流動性の理由であると考えられる。なお、毛
管粘度計におけるせん断速度 は200〜300/sec程度である。
【0033】さて、次に、磁性流体の磁気特性について
述べる。
【0034】図16は、窒化鉄磁性流体Bと水ベースマ
グネタイト磁性流体W40の室温での直流磁気特性の測
定結果を示すものである。この図16は、振動型磁力計
(VSM)にて測定した結果を示すものであって、横軸
を有効磁界(Heff)に、縦軸を4πIに直してプロ
ットしてある。
【0035】また、磁化の立ち上がりを比較するため
に、約10kOeでの磁化を飽和磁化とみなし、その飽
和磁化で規格化したのが図17である。
【0036】図16および図17に示すように、窒化鉄
磁性流体では、磁化曲線の立ち上がりが急峻であること
がわかる。そして、窒化鉄磁性流体では、600 Oe
の有効磁界(Heff)で90%磁化するのに対して、
水ベースマグネタイト磁性流体W40では、90%磁化
させるのに4.4kOeの磁界が必要であることが図1
7よりわかる。
【0037】窒化鉄微粒子の粒子磁化がマグネタイト微
粒子の粒子磁化に比べて大きいこと、および粒径がよく
そろっていることが、窒化鉄磁性流体の磁化曲線の立ち
上がりが急峻であることの理由であると解釈される。
【0038】磁性流体の磁気特性について上記とは別の
観点から述べる。
【0039】図18は、振動型磁力計(VSM)にて測
定した窒化鉄磁性流体A´と水ベースマグネタイト磁性
流体W40のそれぞれ室温での直流磁気特性を示すもの
である。この図18において、横軸は外部磁場(He
x)であり、縦軸は磁化の立上がりを比較するために5
kOeでの磁化で規格化して示してある。この場合、5
kOeでの磁化を飽和磁化であるとみなすことにする。
【0040】図18に示すように、窒化鉄磁性流体で
は、磁化曲線の立ち上がりが急峻であることがわかる。
そして、窒化鉄磁性流体では、280 Oeの外部磁界
(Hex)で90%磁化するのに対して、水ベースマグ
ネタイト磁性流体W40では、90%磁化させるのに
2.5kOeの磁界が必要なことがわかる。
【0041】前述したように、窒化鉄微粒子の粒子磁化
がマグネタイト微粒子の粒子磁化に比べて大きいこと、
および粒径がよくそろっていることが、窒化鉄磁性流体
の磁化曲線の立ち上がりが急峻であることの理由である
と解釈される。
【0042】このような磁化曲線の立ち上がりの急峻さ
は、初透磁率の違いで代表させることができる。
【0043】トロイダルコア状の容器に磁性流体を満し
て測定したB−H曲線から求めた比初透磁率は、窒化鉄
磁性流体Bでは17、水ベースマグネタイト磁性流体W
40では4であった。以下、比初透磁率のことを単に透
磁率と呼ぶことにする。
【0044】さて、前述した磁性流体の流動実験より、
磁場を印加した際の粘性の増加だけでは、大きな圧力差
の発生は期待薄であることが判明した。ところで、磁性
流体は、磁場に引きつけられるという特性がある。この
磁気力の効果を有効に利用できないかという考えが本発
明に至った出発点なわけである。
【0045】磁性流体が流れているパイプを考えてみる
と、その一部に磁場を印加したときの圧力上昇は、 で与えられる。例えば、武富・近角著 『磁性流体、基
礎と応用』 日刊工業新聞社(1988) 第25頁参
照。
【0046】ここで、Hは磁性流体に有効に作用してい
る磁場の大きさである。つまり、(2)式の右辺は、図
16に示した磁化曲線の下の面積に相当する。
【0047】ここで、Δpの大きさを評価してみる。5
kOeの磁場(磁束密度)で磁化が300Gであったと
すると、0.03[T]×5×10×79.6[A/
m]=11.9×10TA/m=11.9kPa=
0.12気圧と概算される。すなわち、約0.1気圧の
圧力上昇が期待できることになる。
【0048】この圧力上昇は、流れに対する抵抗とな
る。したがって、磁気力による圧力の発生が期待できる
ことになる。磁場を印加する個所を多数設けると、多段
効果が期待できることになり、大きな圧力を発生させる
ことが可能となる。
【0049】これが、本発明の基本となる考え方であ
る。
【0050】さて、図13に示した実験装置での結果で
ある図14には、上記した磁気力による圧力差も含まれ
ているわけであるが、窒化鉄磁性流体Aの飽和磁化(飽
和磁束密度)は約320Gであり、印加した磁場が約
1.6kOeであることを考慮すると、大半が粘性によ
る効果であると考えられる。
【0051】図13に示した実験装置により、長い管を
用いかつ磁場印加部を電磁石にして、窒化鉄磁性流体A
を用いて磁気力による分を実験により推定したところ、
上記した推算とほぼ同じ結果となった。すなわち、約4
kOeの磁場で約0.1気圧の圧力差が生じることがわ
かった。また、この磁気力による圧力の増加分は、流速
にはあまり依存しない結果となっていた。
【0052】
【実施例】図1および図2は、本発明の一実施例におけ
る伸縮式減衰力可変型緩衝器を示すものである。
【0053】この伸縮式減衰力可変型緩衝器1は、シリ
ンダ2内に挿通したピストンロッド3の下端に設けたピ
ストン4によって、シリンダ2の内部をロッド側室2a
とピストン側室2bとに区画している。そして、各室2
a,2bは、外筒5の外側に設けた磁性流体の流路6
と、シリンダ2と外筒5との間で形成されたスペース7
と、シリンダ2の底部蓋8に設けたオリフィス9によっ
て連通している。
【0054】そして、各室2a,2bと、磁性流体の流
路6と、スペース7の一部は、磁性流体10で満たされ
ている。また、スペース7の上部空間には、窒素ガスが
封入されており、スペース7はいわゆるリザーバの機能
をもっている。
【0055】そして、伸びるときには、ピストン4に設
けたオリフィス11は閉となり、シリンダ2の底部蓋8
に設けたオリフィス9は開となる。このため、ロッド側
室2aの磁性流体10は流路6を通って下向きに流れ、
スペース7、オリフィス9を通ってロッド側室2bに還
流する。
【0056】また、縮むときには、シリンダ2の底部蓋
8に設けたオリフィス9は閉となり、ピストン4に設け
たオリフィス11は開となって、シリンダ2内の各室2
a,2bにある磁性流体10は押し込まれるピストンロ
ッド3の体積分だけ押し出され、流路6を通って下向き
に流れ、スペース7(リザーバ)7へと流れ込んで貯留
される。したがって、この実施例では、伸びるときも縮
むときも流路6における磁性流体10の流れは同じ方向
になっている。また、流路6の入口と出口との間に発生
する圧力差によって、減衰力が発生する。
【0057】次に、この減衰力可変型緩衝器1では、磁
性流体10の流路6に、磁性流体流動制御機構13をそ
なえているので、この流路6における構造を説明する。
【0058】この流路6は、非磁性材料よりなるパイプ
14で形成され、図2に示すように、円筒部材15の外
側に巻きつけられている部分がある。この場合、円筒部
材15は高透磁率材料で作製されている。この磁路6の
旋回部分には磁場が多数個所において印加される。図2
に、磁場印加を行うための構造を示す。
【0059】図2に示すように、磁場印加のための磁場
発生装置16として電磁石17をそなえており、この電
磁石17は、高透磁率材料よりなるコア18と電磁コイ
ル19からなっている。そして、コア18と、流路6内
の磁性流体10と、高透磁率材料よりなる円筒部材15
とで磁気回路が形成される。したがって、電磁コイル1
9に通電すると、小さな電流で比較的大きな磁場が流路
6内の磁性流体10に印加され、このとき、磁性流体1
0の流れの方向に対して直交する方向に磁場が印加され
る。また、電流量を変えることにより、印加磁場の大き
さを変えることができる。
【0060】図1の構成では、電磁石17は3つからな
っている。ここで、電磁石17を分割したのは、電磁石
17の作製の容易さ等を考慮したからである。
【0061】このような磁場印加を行うための構成とす
ることによって、磁性流体10の流れに対しほぼ垂直
に、しかも多数個所で磁場が印加でき、電磁コイル19
に対する通電量を変えることによって磁性流体10の粘
性および磁性流体10に働く磁気力を変化させて磁性流
体10の流動を制御する磁性流体流動制御機構13が得
られることとなる。
【0062】このような構成の減衰力可変型緩衝器1に
おいて、磁性流体の流路6を形成するパイプ14の材料
としては、銅,オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁
性金属、ポリ四フッ化エチレン(商品名 テフロン)等
の樹脂を用いることができるが、もちろん、その他の非
磁性材料であれば何であってもよい。
【0063】また、磁気回路を形成する円筒部材15お
よびコア18には、軟鉄,Fe−Si合金,Fe−Al
合金,パーマロイ,ミューメタル等の高透磁率材料であ
れば何でも使用することができる。そしてまた、コア1
8にはケイ素鋼板等からなる積層コアやフェライトコア
等が用いられ、さらにはそれらに限らず、高周波用磁性
材料を用いると応答性のより優れた電磁石17とするこ
とができる。
【0064】図1および図2に示した伸縮式減衰力可変
型緩衝器1のさらに具体的な構成例を示すと、この実施
例では、ピストン4の径を35mmとし、ピストンロッ
ド3の径を20mmとした。したがって、受圧面積は、
伸びのときに6.48cm、縮みのときに3.14c
となる。
【0065】次に、流路6の流れがピストンスピード
0.6m/secまで十分に層流域であるように内径を
決めた。そこで、内径8mm,外径10mmの銅製パイ
プ14を用いて流路6を形成することとした。この銅製
パイプ14は、円筒部材15の外側に10回巻きつける
ことにした。この場合、内径8mmの銅製パイプ14の
全長は219cmであった。円筒部材15は、肉厚2m
mの軟鉄製のものとした。
【0066】さらに、図2に示すコア18も軟鉄で作製
し、4kOeの磁場の発生が十分可能な電磁石17とし
た。図1に示すように、電磁石17は3分割とした。こ
のとき、磁場の印加される個所は20ケ所である。ま
た、スペース7の上部空間には大気圧のNガスを入れ
た。
【0067】以上の構成とすることにより、磁性流体1
0の磁場による粘性力とともに、磁気力を有効に利用し
た(後者の効果の方が大)減衰力可変型緩衝器とするこ
とができる。
【0068】図1および図2に示した伸縮式減衰力可変
型緩衝器1において、磁性流体10として窒化鉄磁性流
体Aを用いたときの性能を図3に□印および○印で示
す。図3において、横軸がピストンスピードであり、縦
軸が減衰力である。また、+が伸びであるとき、−が縮
みであるときをあらわしている。そして、磁場の印加が
ないとき(H=0のとき)を□印で示し、約4kOeの
磁場を印加したとき(H=4のとき)を○印で示してい
る。
【0069】図3より明らかなように、窒化鉄磁性流体
Aを用いたときに、伸びでみると、約20kgfの可変
幅となっている。そして、電流量を調節することによ
り、この幅内の減衰力が得られることはいうまでもな
い。
【0070】次に、飽和磁化の値が窒化鉄磁性流体Aの
約4倍である窒化鉄磁性流体Cを磁性流体10として用
いて性能を調べた。その結果も同じ図3に示す。このと
きH=0では、磁性流体Aより少し大きめであったが、
傾向は同じであったのでプロットを省略した。そして、
約4kOeの磁場を印加したとき(H´=4のとき)を
△印で示している。この結果、伸びでみると約80kg
fの可変幅となっており、さらに大幅な減衰力の調整が
できるものとなっている。
【0071】なお、この磁性流体Cにおける図13に示
した実験装置での測定結果は、平均流速が0付近でのP
/Pの値が、図14でのそれの2倍より少し大きめの
値となっていた(なお、P/Pの挙動は同じであっ
た。)。
【0072】以上の性能試験結果からわかるように、窒
化鉄磁性流体では、飽和磁化の大きな磁性流体が容易に
合成できるため、磁気力の利用が極めて有効にできるわ
けである((2)式参照)。
【0073】また、図16,図17および図18の磁化
曲線からわかるように、透磁率が大きいので小さな磁場
で容易に磁化するため、このことも磁気力の利用を極め
て有効にしているわけである。
【0074】そして、磁性流体10の飽和磁化(磁束密
度)が300G程度以上,透磁率が10程度以上あれ
ば、窒化鉄磁性流体に限定されず、他の磁性流体であっ
ても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0075】上記実施例において用いた窒化鉄磁性流体
は、気相液相反応法により合成したものである。すなわ
ち、鉄カルボニルFe(CO)およびポリブテニルコ
ハク酸イミドをノルマルパラフィン系溶媒中に溶解させ
た後、アンモニアガスを吹き込みながら、80〜120
℃程度に加熱して反応させ、鉄アンミンカルボニル化合
物を生成させる。これをさらに120℃以上の高温で加
熱することにより、鉄アンミンカルボニル化合物を分解
させて、窒化鉄磁性流体を得た。
【0076】次に、他の実施例を示す。
【0077】図1および図2に示した実施例では、磁性
流体10の流動を制御して圧力差を発生させる磁性流体
流動制御機構13を外筒5の外側に設けているが、別置
型のものとすることもできる。
【0078】図4に、別置型の磁性流体流動制御機構1
3の一例の構造を示す。
【0079】基本的には、図1および図2の実施例にお
ける磁性流体流動制御機構13と同じ構造を有してお
り、ケーシング21の内部には高透磁率材料よりなる円
筒部材22が配設してあり、この円筒部材22の内側に
非磁性材料よりなるパイプ14を旋回状態で設けること
によって、このパイプ14内で磁性流体10の流路6を
形成すると共に、パイプ14の内側に電磁石17が設け
てある。この電磁石17は、高透磁率材料よりなるコア
18と電磁コイル19により形成されていて、磁場発生
装置16を構成している。そして、磁気回路は、コア1
8と、流路6内の磁性流体10と、円筒部材22で形成
される。また、この場合にも、電磁石17は3つの電磁
石に分けてあり、作製の容易さを考慮すると、このよう
に分けた方が良い。また、このように分けることによ
り、制御の仕方に幅をもたせることも可能となる場合も
ありうる。
【0080】この実施例においても、流路6内に流れる
磁性流体10に対して磁場がその流れ方向に対しほぼ垂
直方向にそしてまた多数個所で印加されることになるの
で、前記図1および図2の場合と同様の性能を得ること
ができる。
【0081】図5は、別置型の磁性流体流動制御機構1
3の他の例の構造を示すものであり、動作原理は図4に
示したものと同じである。ただし、流路6の入口と出口
が同じ面に設けられており、流路6を形成するパイプ1
4は、導線の無誘導巻きと同じ巻き方となっている。
【0082】図6は、ピストン4に図4に示した磁性流
体流動制御機構13を組み込んだ場合の一例を示す。こ
の場合、ピストンロッド3には、電磁石17へ通電する
ためのリード線を通す貫通穴3aが設けてある。そし
て、この実施例では、ピストンロッド3のストロークが
短くなるので、ストロークの要求が厳しくない緩衝器に
適しているといえる。
【0083】図7および図8は本発明のさらに他の実施
例における回転式減衰力可変型緩衝器を示すものであ
る。
【0084】この回転式減衰力可変型緩衝器31は、ハ
ウジング32の一方側で突出して回転する回転軸33を
そなえており、この回転軸33はベーン34を一体でそ
なえていると共に、ハウジング32の他方側には固定軸
32cが設けてある。
【0085】ハウジング32内には、このハウジング3
2に設けた固定壁35で形成された空間37が設けてあ
ると共に、ベーン34で仕切られた部屋37a,37b
が設けてあり、ベーン34で仕切られた部屋37a,3
7bには磁性流体40が満たしてある。そして、各部屋
37a,37bは、磁性流体40の流路36で連通して
いる。
【0086】空間37内には、後に詳しく説明するが、
磁性流体の流動を制御する磁性流体流動制御機構43が
設けてある。
【0087】図8において、回転軸33が右回り(時計
方向)に回ると、部屋37b内の磁性流体40は左側の
流路口36bから流路36を経由して右側の流路口36
aから部屋37aへと流れて移動する。また、回転軸3
3が左回り(反時計方向)に回ると、部屋37a内の磁
性流体40は右側の流路口36aから流路36を経由し
て左側の流路口36bから部屋37bへと流れて移動す
る。
【0088】次に、この減衰力可変型緩衝器31では、
磁性流体40の流路36に、磁性流体流動制御機構43
をそなえているので、この流路36における構造を説明
する。
【0089】この流路36は、図7および図8に示すよ
うに、旋回したパイプ44により形成されている。この
パイプ44は、非磁性の金属材料である銅あるいはオー
ステナイト系ステンレススチールで作られていてもよ
く、また、ポリ四フッ化エチレン(商品名 テフロン)
等の樹脂製であってもよい。もちろん、その他の非磁性
材料であれば何であってもよい。
【0090】また、パイプ44の外側には、高透磁率材
料よりなる円筒部材45が設けてある。
【0091】この磁性流体流動制御機構43は、磁場印
加のための磁場発生装置46として電磁石47をそなえ
ており、この電磁石47は、高透磁率材料よりなるコア
48と電磁コイル49からなっている。この場合、コア
48は、図8に示すように、円形における対向する部分
が切除された形状をなすものとなっている。また、この
実施例では、電磁石47は2つから成っている。このよ
うに電磁石47を分割した構造にすると、電磁石47の
作製が容易となる等の利点がある。
【0092】そして、コア48と、流路36内の磁性流
体40と、円筒部材45とで磁気回路が形成される。し
たがって、電磁コイル49に通電すると、磁性流体40
の流れ方向に対してほぼ直交する方向に磁場が印加さ
れ、この実施例では、10ケ所で磁場が磁性流体40に
印加され、電磁コイル49に対する通電を変えることに
よって磁性流体40の粘性および磁性流体40に働く磁
気力を変化させて磁性流体40の流動を制御する磁性流
体流動制御機構43が得られることとなる。
【0093】この実施例において、円筒部材45および
コア48は、軟鉄,Fe−Si合金,Fe−Al合金,
パーマロイ,ミューメタル等で作製されるが、コア48
はケイ素鋼板等による積層コアとしてもよい。この場
合、積層コアあるいはフェライトコア等、さらにそれら
に限らず高周波用磁性材料を用いると、より優れた応答
性を有する電磁石47とすることができる。
【0094】そして、流路36の一方の流路口36aと
他方の流路口36bとで粘性力とともに磁気力の効果を
利用して大きな圧力差を発生させることとなるのであ
り、流路36を磁性流体40が流動する際の流動抵抗が
ベーン34に抗力を及ぼすため、回転軸33に減衰力が
発生することになる。
【0095】図7および図8に示した回転式減衰力可変
型緩衝器31のさらに具体的な構成例を示すと、回転軸
33の径を20mmとし、ハウジング32の内径を12
0mmとし、ベーン34の幅を50mmとした。次に、
流路36の流れが回転速度100°/secまで十分に
層流域であるように、パイプ44の内径を決めた。そこ
で、内径6mm,外径8mmの銅製パイプ44を用いて
流路36を形成することにした。
【0096】この銅製パイプ44は、円筒部材45の内
側で5回巻きとした。この場合、内径6mmの銅製パイ
プ44の全長は約60cmであった。円筒部材45は、
肉厚2mmの軟鉄製のものとした。
【0097】さらに、コア48も軟鉄で作製し、4kO
eの磁場の発生が十分可能な電磁石47とした。図7に
示すように、電磁石47は2分割とした。このとき、磁
場の印加される個所は10ケ所である。
【0098】以上の構成とすることにより、磁性流体4
0の磁場による粘性力とともに、磁気力を有効に利用し
た減衰力可変型の緩衝器とすることができる。
【0099】図7および図8に示した回転式減衰力可変
型緩衝器31において、磁性流体40として窒化鉄磁性
流体Aを用いたときの性能を図9に□印および○印で示
す。図9において、横軸が回転軸33の回転速度[de
g/sec]であり、縦軸が減衰力、すなわちトルク
[kgf・m]である。そして、磁場の印加がないとき
(H=0のとき)を□印で示し、約4kOeの磁場を印
加したとき(H=4のとき)を○印で示している。
【0100】図9より明らかなように、窒化鉄磁性流体
Aを用いたときには、約2kgf・mの可変幅となって
いる。そして、電流量を調節することにより、この幅内
の減衰力が得られることはいうまでもない。
【0101】次に、飽和磁化の値が窒化鉄磁性流体Aの
約4倍である窒化鉄磁性流体C´を磁性流体40として
用いて性能を調べた。その結果も図9に示す。このとき
H=0では、磁性流体Aより少し大きめの値であった
が、傾向は同じであったのでプロットを省略した。そし
て、約4kOeの磁場を印加したとき(H´=4のと
き)を△印で示している。この結果、約6.4kgf・
mの可変幅となっており、さらに大幅な減衰力の調整が
できるものとなっている。
【0102】なお、この磁性流体C´における図13に
示した実験装置での測定結果は、平均流速が0付近での
P/Pの値が、図14でのそれの2倍より少し大きめ
の値となっていた(なお、P/Pの挙動は同じであっ
た。)。
【0103】以上の性能試験結果からわかるように、窒
化鉄磁性流体では、飽和磁化の大きな磁性流体が容易に
合成できるため、磁気力の利用が極めて有効にできるわ
けである((2)式参照)。
【0104】また、図16,図17および図18の磁化
曲線からわかるように、透磁率が大きいので小さな磁場
で容易に磁化するため、このことも磁気力の利用を極め
て有効にしているわけである。
【0105】そして、磁性流体40の飽和磁化(磁束密
度)が300G程度以上、透磁率が10程度以上あれ
ば、窒化鉄磁性流体に限定されず、他の磁性流体であっ
ても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0106】上記実施例において用いた窒化鉄磁性流体
は、気相液相反応法により合成したものであり、前述し
た工程により得ることができる。
【0107】次に、さらに他の実施例を示す。
【0108】図7および図8に示した実施例では、磁性
流体40の流動を制御して圧力差を発生させる磁性流体
流動制御機構43をハウジング32内部の空間37内に
設けているが、別置型のものとすることもできる。
【0109】図10に、別置型の磁性流体流動制御機構
43の一例の構造を示す。
【0110】基本的には、図7および図8の実施例にお
ける磁性流体流動制御機構43と同じ構造を有してお
り、ケーシング51の内部には高透磁率材料よりなる円
筒部材52が配設してあり、この円筒部材52の内側に
非磁性材料よりなるパイプ44を旋回状態で設けること
によって、このパイプ44内で磁性流体40の流路36
を形成する共に、パイプ44の内側に電磁石47が設け
てある。この電磁石47は、高透磁率材料よりなるコア
48と電磁コイル49により形成されていて、磁場発生
装置46を構成している。そして、磁気回路は、コア4
8と、磁路36内の磁性流体40と、円筒部材52で形
成される。また、この場合には、電磁石47は3つの電
磁石に分けてあり、作製のしやすさ、制御の仕方に幅を
もたせること等を考慮に入れて分けている。
【0111】この実施例においても、流路36内に流れ
る磁性流体40に対して磁場がその流れ方向に対しほぼ
垂直方向にそしてまた多数個所で印加されることになる
ので、前記図7および図8の場合と同様の性能を得るこ
とができる。
【0112】図11は、別置型の磁性流体流動制御機構
43の他の例の構造を示すものであり、動作原理は図1
0に示したものと同じである。ただし、流路36の入口
と出口が同じ面に設けられており、流路36を形成する
パイプ44は、導線におけるいわゆる無誘導巻きと同じ
巻き方になっている。
【0113】このように、別置型の磁性流体流動制御機
構43を使うと、回転軸33の回転角の範囲がより大き
くできるという効果がある。
【0114】図12は、別置型の磁性流体流動制御機構
(図10または図11に示したもの)43を2個使用し
た場合の回転式減衰力可変型緩衝器31を示すものであ
る。
【0115】この実施例において、ハウジング32に
は、2つの固定壁35(35a,35b)が設けてある
と共に、回転軸33には、2つのベーン34(34a,
34b)が設けてあり、固定壁35(35a,35b)
とベーン34(34a,34b)とで仕切られた4つの
部屋37a(37a−1,37a−2),37b(37
b−1,37b−2)を磁性流体40で満たしたものと
している。
【0116】そして、部屋37a−1と部屋37b−1
とは流体穴36a−1と流体穴36b−1とに連結され
る一方の磁性流体流動制御機構43を介して連通してい
ると共に、同様に、部屋37a−2と部屋37b−2と
は流体穴36a−2と流体穴36b−2とに連結される
他方の磁性流体流動制御機構43を介して連通してい
る。
【0117】このような構成としたときでも、減衰力を
発生する機構は、図7および図8に示した実施例と同じ
であり、図12に示した回転式減衰力可変型緩衝器31
では、回転角の範囲がせばめられるが、減衰力の可変範
囲を倍化できるという効果がある。
【0118】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係わ
る減衰力可変型緩衝器では、作動油として磁性流体を用
いた減衰力可変型緩衝器において、前記磁性流体の流路
に、前記磁性流体の流れ方向に対して直交ないしはほぼ
直交する方向の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する部
位を前記磁性流体の流れ方向において複数個所以上形成
して前記磁性流体の流路に圧力差を生じさせる磁性流体
流動制御機構をそなえた構成としたから、磁性流体の磁
場による粘性増加を利用するのみならず、磁性流体に働
く磁気力の作用を複数段で利用することができるため、
大きな圧力差の発生が可能となり、したがって、大きな
減衰力の可変幅を有する緩衝器を提供することが可能に
なるという著しく優れた効果がもたらされ、磁性流体と
して透磁率が10程度以上、飽和磁化が300G程度以
上の磁性流体を用いることによって、所望の減衰力の可
変幅が容易に実現できるようになり、磁性流体の流路に
設ける磁性流体流動制御機構を別置の構造とすることも
できるので、従来の伸縮式や回転式などの緩衝器の基本
構造をあまり変更することなく、減衰力可変型の緩衝器
にすることが可能であるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる減衰力可変型緩衝器の一実施例
を示す伸縮式減衰力可変型緩衝器の縦断面説明図であ
る。
【図2】図1に示した伸縮式減衰力可変型緩衝器におけ
る磁性流体流動制御機構部分の説明図である。
【図3】図1に示した伸縮式減衰力可変型緩衝器の減衰
力特性を示すグラフである。
【図4】図1に示した伸縮式減衰力可変型緩衝器におい
て磁性流体流動制御機構を別置型のものとした場合の一
例を示す縦断面説明図(図4の(a))および水平断面
説明図(図4の(b))である。
【図5】図1に示した伸縮式減衰力可変型緩衝器におい
て磁性流体流動制御機構を別置型のものとした場合の他
の例を示す縦断面説明図である。
【図6】図1に示した伸縮式減衰力可変型緩衝器におい
て磁性流体流動制御機構をピストンの内部に組み込んだ
場合の一例を示す縦断面説明図である。
【図7】本発明に係わる減衰力可変型緩衝器の他の実施
例を示す回転式減衰力可変型緩衝器の縦断面説明図であ
る。
【図8】図7に示した回転式減衰力可変型緩衝器の横断
面説明図である。
【図9】図7に示した回転式減衰力可変型緩衝器の減衰
力特性を示すグラフである。
【図10】図7に示した回転式減衰力可変型緩衝器にお
いて磁性流体流動制御機構を別置型のものとした場合の
一例を示す縦断面説明図(図10の(a))および水平
断面説明図(図10の(b))である。
【図11】図7に示した回転式減衰力可変型緩衝器にお
いて磁性流体流動制御機構を別置型のものとした場合の
他の例を示す縦断面説明図である。
【図12】図7に示した回転式減衰力可変型緩衝器にお
いて二つの磁性流体流動制御機構をそなえる場合の一例
を示す横断面説明図である。
【図13】磁性流体の流動特性を測定したときに用いた
実験装置の概要を示す説明図である。
【図14】図13に示した実験装置によって測定した窒
化鉄磁性流体Aの流動特性を示すグラフである。
【図15】図13に示した実験装置によって比較のため
に測定した水ベースマグネタイト磁性流体W40の流動
特性を示すグラフである。
【図16】窒化鉄磁性流体Bと水ベースマグネタイト磁
性流体W40の室温での直流磁気特性の測定結果を示す
グラフである。
【図17】図16の縦軸を飽和磁化で規格化した磁化曲
線を示すグラフである。
【図18】窒化鉄磁性流体A´と水ベースマグネタイト
磁性流体W40の室温での直流磁気特性の測定結果を示
すグラフである。
【図19】従来の磁性流体を利用した伸縮式減衰力可変
型緩衝器の一例を示す断面説明図である。
【図20】従来の磁性流体を利用した回転式減衰力可変
型緩衝器の一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 伸縮式減衰力可変型緩衝器 2 シリンダ 2a ロッド側室 2b ピストン側室 3 ピストンロッド 4 ピストン 6 磁性流体の流路 10 磁性流体(作動油) 13 磁性流体流動制御機構 15 高透磁率部材(円筒部材) 16 磁場発生装置 17 電磁石 18 コア 19 電磁コイル 31 回転式減衰力可変型緩衝器 32 ハウジング 33 回転軸 34 ベーン 35 固定壁 36 磁性流体の流路 37a,37b 部屋 40 磁性流体(作動油) 43 磁性流体流動制御機構 45 高透磁率部材(円筒部材) 46 磁場発生装置 47 電磁石 48 コア 49 電磁コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高 橋 務 東京都目黒区中目黒2丁目3番12号 科学 技術庁金属材料技術研究所 内 (72)発明者 浜 口 仁 埼玉県戸田市新曽南3丁目17番35号 株式 会社共石製品技術研究所内 (72)発明者 長 沼 伯 之 埼玉県戸田市新曽南3丁目17番35号 株式 会社共石製品技術研究所内 (72)発明者 島 田 宗 勝 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 杉 山 龍 男 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動油として磁性流体を用いた減衰力可
    変型緩衝器において、前記磁性流体の流路に、前記磁性
    流体の流れ方向に対して直交ないしはほぼ直交する方向
    の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性
    流体の流れ方向において複数個所以上形成して前記磁性
    流体の流路に圧力差を生じさせる磁性流体流動制御機構
    をそなえたことを特徴とする減衰力可変型緩衝器。
  2. 【請求項2】 作動油として磁性流体を用い、ピストン
    をそなえたピストンロッドが摺動するシリンダ内のロッ
    ド側室とピストン側室とを連通する磁性流体の流路をそ
    なえた伸縮式減衰力可変型緩衝器において、前記磁性流
    体の流路に、前記磁性流体の流れ方向に対して直交ない
    しはほぼ直交する方向の磁場を印加し且つ前記磁場を印
    加する部位を前記磁性流体の流れ方向において多数個所
    形成して前記磁性流体の磁場による粘性増加を利用する
    とともに前記磁場の磁性流体に及ぼす磁気力の作用を多
    段で利用することにより前記磁性流体の流路に圧力差を
    生じさせる磁性流体流動制御機構をそなえたことを特徴
    とする減衰力可変型緩衝器。
  3. 【請求項3】 作動油として磁性流体を用い、ハウジン
    グ内に、前記ハウジングに設けた固定壁と、回転軸に設
    けた移動可能なベーンとで仕切られた部屋を設け、部屋
    間を連通する磁性流体の流路をそなえた回転式減衰力可
    変型緩衝器において、前記磁性流体の流路に、前記磁性
    流体の流れ方向に対して直交ないしはほぼ直交する方向
    の磁場を印加し且つ前記磁場を印加する部位を前記磁性
    流体の流れ方向において多数個所形成して前記磁性流体
    の磁場による粘性増加を利用するとともに前記磁場の磁
    性流体に及ぼす磁気力の作用を多段で利用することによ
    り前記磁性流体の流路に圧力差を生じさせる磁性流体流
    動制御機構をそなえたことを特徴とする請求項1に記載
    の減衰力可変型緩衝器。
  4. 【請求項4】 磁性流体として、比初透磁率が10程度
    以上で且つ飽和磁化(飽和磁束密度)が300G程度以
    上であるものを用いることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の減衰力可変型緩衝器。
  5. 【請求項5】 磁性流体流動制御機構は磁場発生装置を
    そなえ、前記磁場発生装置は電磁コイルとコアを用いた
    電磁石を有し、前記コアの両極を狭隘な磁気ギャップを
    介して対向させ、前記磁気ギャップに磁性流体の流路の
    一部ないしは多数部を密接して設け、前記コアと磁性流
    体とが一体となって閉じた磁気回路を形成することを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の減衰力可
    変型緩衝器。
  6. 【請求項6】 磁気ギャップ内に、磁性流体と共に高透
    磁率部材を設けたことを特徴とする請求項5に記載の減
    衰力可変型緩衝器。
JP5752293A 1993-03-17 1993-03-17 減衰力可変型緩衝器 Pending JPH06272732A (ja)

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