JPH08187851A - インクジェットヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印字品質が高く、且つ組立性が良好で大量生
産性に優れたインクジェットヘッドを提供すること。 【構成】 圧電セラミックスプレート２およびカバープ
レート３の一端面１８に形成された開口部１９に、ノズ
ルプレート６１の全体がはまり込んで接着されている。
このため、高精度な位置決め装置や固定治具を必要とせ
ず、容易に組立を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数のインク流路を持
つインク流路形成部と、前記インク流路に連通するイン
ク噴射口を持つノズル形成部とを有するインクジェット
ヘッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ドロップオンデマンド方式のイン
クジェットヘッドとして、例えば、圧電セラミックスの
変形によってインク流路の容積を変化させ、その容積減
少時にインク流路内のインクをノズルから液滴として噴
射し、容積増大時にインク導入口からインク流路内にイ
ンクを導入するようにしたものがある。そして、所要の
印字データに従って所要の位置のノズルからインク滴を
噴射させることにより、インクジェットヘッドと対向す
る紙面上等に所望する文字や画像を形成するものであ
る。

【０００３】この種のインクジェットヘッドとしては、
例えば特開昭６３−２４７０５１号公報に記載されてい
るものがある。このインクジェットヘッドは、圧電セラ
ミックスの隔壁によって隔てられた複数の平行なインク
流路を形成し、前記インク流路の一端をフィルム状のノ
ズル形成部の前記ノズルに連通し、他の一端にインクを
供給するインク供給手段を接続し、前記隔壁の変形によ
ってインク流路の容積を変化させて前記ノズルからイン
クを噴射する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、フィルム状の
ノズルプレートをインクジェットヘッド本体に接着する
際、インク流路の位置に対応した位置にノズルの位置を
合わせて接着するために、高精度な位置決め装置を必要
としていた。その上、接着剤が完全に硬化するまでの
間、ノズルプレートの位置がずれないように治具等で固
定する必要があった。

【０００５】また、例えばＵＳＰ５，０５９，９７３号
に記載されているように、ノズルプレートの一部がイン
ク流路にはまり込む構造のものも提案されているが、ノ
ズルプレートの形状が複雑であり、製作がむずかしい上
に、組立の際に壊れやすいなどの問題点があった。

【０００６】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、印字品質に優れ、且つ大量生産
性に優れたインクジェットヘッドを提供することを目的
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のインクジェットヘッドは、複数のインク流路
を持つインク流路形成部と、前記インク流路に連通する
インク噴射口を持つノズル形成部とを有するものであ
り、更に、前記インク流路形成部のインク流路端には開
口部が形成され、その開口部の内周面が、前記インク噴
射口と前記インク流路との位置を決める位置決めガイド
部を成しており、前記開口部に、前記ノズル形成部が嵌
入された構成を有している。

【０００８】尚、前記開口部は、前記ノズル形成部の外
形の少なくとも一部が嵌合可能な段部を有するものでも
よい。

【０００９】尚、前記開口部及び前記ノズル形成部は、
前記ノズル形成部の嵌入方向に対して錐形状を有するも
のでもよい。

【００１０】

【作用】上記の構成を有する本発明の請求項１に係るイ
ンクジェットヘッドにおいては、前記インク流路形成部
に設けられ、且つその内周面がインク噴射口とインク流
路との位置を決める位置決めガイド部を成す開口部に、
前記ノズル形成部が嵌入される構造になっていることに
より、高精度な位置決め装置や固定治具を必要とせず、
容易に正確な組立を行うことができる。

【００１１】請求項２に係るインクジェットヘッドにお
いては、ノズル形成部の少なくとも一部が嵌合する段部
によって、ノズル形成部とインク流露形成部との嵌入方
向における位置が定められる。

【００１２】請求項３に係るインクジェットヘッドにお
いては、開口部及びノズル形成部が前記嵌入方向に向か
って細くなっている。そのため、インク流露形成部とノ
ズル形成部との組付けの際には、前記ノズル形成部の嵌
入方向端面は前記開口部の開口端部より細いので、嵌入
しやすくなる。また、その錘形状によりノズル形成部と
インク流露形成部との嵌入方向における位置も定められ
る。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。

【００１４】図１に示すように、インクジェットヘッド
１は、圧電セラミックスプレート２とカバープレート３
とノズルプレート６１と基板４１から構成されている。

【００１５】まず、圧電セラミックス２は矢印５の方向
に分極処理が施され、その上面は、薄い円板状のダイヤ
モンドブレード等により切削加工され、複数の溝８が形
成されている。また、その溝８の側面は側壁１１とな
り、各溝８を隔てている。溝８は同じ深さであり、かつ
平行であるが、圧電セラミックスプレート２の一端面１
５に近づくにつれて徐々に浅くなっており、一端面１５
付近には浅溝１６が形成されている。ここで、溝８の深
さは４８５μｍ、溝８の幅は８５μｍ、側壁１１の幅は
８５μｍである。そして、溝８の内面には、その両側面
の上半分に金属電極１３がスパッタリング等によって形
成されている。また、浅溝１６の内面には、その側面お
よび底面に金属電極９がスパッタリング等によって形成
されている。また、前記一端面１５と反対側の一端面１
８側には、ノズルプレート６１をはめ込むための開口部
１９（図２）を形成するために、側壁１１の一部が機械
加工などにより除去されている。

【００１６】次に、カバープレート３は、ガラス材料、
セラミックス材料または樹脂材料等から形成されてい
る。そして、カバープレート３には、研削または切削加
工等によって、インク導入口２１及びマニホールド２２
が形成されている。そして、圧電セラミックスプレート
２の上面とカバープレート３のマニホールド２２加工側
の面とがエポキシ系接着剤等によって接着される。従っ
て、インクジェットヘッド１には、溝８の上面が覆われ
て横方向に互いに間隔を有する複数のインク流路１２
（図２）が構成される。そのインク流路１２は長方形断
面の細長い形状である。また、一端面１８側には、段部
１９ａを備えた開口部１９が形成される。開口部は、ノ
ズルプレート６１の外形寸法よりわずかに大きな寸法を
有している。又、本実施例において前記段部１９ａは、
その奥行きがノズルプレートの厚みとほぼ同じか、ある
いは小さくなるように設けられている。

【００１７】そして、圧電セラミックスプレート２及び
カバープレート３の一端面１５の後方には、基板４１が
エポキシ系接着剤等によって接着されている。その基板
４１には、各インク流路１２の位置に対応した位置に導
電層のパターン４２が形成されている。その導電層のパ
ターン４２と浅溝１６の底面の金属電極９とは、周知の
ワイヤボンディングによって導線４３で接続されてい
る。

【００１８】そして、圧電セラミックスプレート２及び
カバープレート３の端面１８に形成された開口部１９
に、各インク流路１２（図２）の配列に対応した間隔で
ノズル６４が設けられたノズルプレート６１を嵌入し、
エポキシ系接着剤等で接着されている。このノズルプレ
ート６１に形成されているノズル６４は、図２に示すよ
うにテーパ部６３及びオリフィス部６２から形成されて
いる。各ノズル６４と各インク流路１２とが一対一に正
確に位置合わせされることが、印字品質の観点から要求
されるが、ノズルプレート６１の外形部と前記開口部１
９の内周面は、図１中のＸ，Ｙ方向の位置決めのための
ガイドとなっており、ノズルプレート６１を嵌入させる
動作により、同時に位置合わせ、位置の補正がなされる
ような構成になっている。

【００１９】したがって、複雑な位置決め手法を用いる
ことなく、ノズル６４とインク流路１２の位置決めを行
うことができる。また、接着剤が硬化するまでの間、位
置がずれないように治具などで固定する必要もない。更
に、ノズルプレート６１の接着は、ノズル孔が形成され
ていない側面にて接着されるので、過ってノズル６４に
接着剤が入り込んで目詰まり等の不都合を起こすことが
無い。

【００２０】インクジェットヘッド１は図示しない制御
部によってインク噴射制御される。前記制御部は、イン
クジェットヘッド１の上面のインク流路１２の金属電極
１３には噴射するインク流路１２の金属電極１３に電圧
Ｖを印加し、且つ他の噴射しないインク流路１２の金属
電極１３を接地して、噴射するインク流路１２からイン
クを噴射させ、下面のインク流路１２の金属電極１３に
は、噴射するインク流路１２の金属電極１３を接地し、
且つ他の噴射しないインク流路１２の金属電極１３に電
圧Ｖを印加して、噴射するインク流路１２からインクを
噴射させる。

【００２１】次に、図３，図４によって、インクジェッ
トヘッド１の動作を説明する。

【００２２】所要のデータに従って、インクジェットヘ
ッド１の上面のインク流路１２ｂからインクの噴出を行
なうとすると、金属電極１３ｅと１３ｆとに正の駆動電
圧Ｖが印加され、金属電極１３ｄと１３ｇとが接地され
る。すると、図４に示すように、側壁１１ｂには矢印１
４ｂの方向の駆動電界が発生し、側壁１１ｃには矢印１
４ｃの方向の駆動電界が発生する。駆動電界方向１４ｂ
及び１４ｃは分極方向５と直交しているため、側壁１１
ｂ及び１１ｃは、圧電厚みすべり効果により、この場
合、インク流路１２ｂの内部方向に急速に変形する。こ
の変形によってインク流路１２ｂの容積が減少してイン
ク圧力が急速に増大し、圧力波が発生して、インク流路
１２ｂに連通するノズル６４（図１）からインク滴が噴
射される。また、駆動電圧Ｖの印加が停止されると、側
壁１１ｂ及び１１ｃが変形前の位置（図３参照）に戻る
ためインク流路１２ｂ内のインク圧力が低下する。する
と、インク供給口２１からマニホールド２２を通してイ
ンク流路１２ｂ内にインクが供給される。

【００２３】尚、インク流路１２の容積を自然状態から
増加させ、その増加状態から自然状態への容積変化によ
って、インクを噴射させる噴射方法でもよい。

【００２４】また、本実施例では、圧電セラミックスを
用いたインクジェットヘッドであったが、周知のバブル
ジェット式のインクジェットヘッドであっても良い。

【００２５】更に、変形例として、開口部１９及びノズ
ルプレート６１が、前記嵌入方向に向かって徐々に細く
なるような錐形状に形成されたものを挙げる。この場
合、圧電セラミックスプレート２及びカバープレート３
とノズルプレート６１との組付けの際には、前記ノズル
プレート６１の嵌入方向端面は前記開口部１９の開口端
部より細いので、嵌入しやすくなる。また、その錘形状
により、ノズルプレート６１の嵌入方向における位置も
定められる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明のインクジェットヘッドによれば、インク流路形成
部に設けられた開口部に、ノズル形成部全体がはまり込
む構造になっているので、仮固定用の治具を必要とせ
ず、組立が容易になる。

【００２７】また、開口部の内周面をガイドとして、イ
ンク流路とノズルの位置決めを行うようにすれば、高精
度な位置決め装置をなくすことができ、製造コストを大
幅に低減させることができるとともに、大量生産性に優
れる。

【００２８】更に、インク流露形成部とノズル形成部と
を接着剤を用いて接着する場合においては、ノズル孔が
形成されていない側面にてノズル形成部は接着されるの
で、ノズルに接着剤が入り込んで目詰まり等の不都合が
起こることが無い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のインクジェットヘッドを示
す斜視図である。

【図２】前記実施例のインクジェットヘッドのノズル部
を示す断面図である。

【図３】前記実施例のインクジェットヘッドの断面図で
ある。

【図４】前記実施例のインクジェットヘッドの作動状態
を示す説明図である。

【符号の説明】

１ インクジェットヘッド ２ 圧電セラミックスプレート ３ カバープレート ８ 溝 １２ インク流路 １９ 開口部 １９ａ 段部 ６１ ノズルプレート ６４ ノズル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のインク流路を持つインク流路形成
   部と、前記インク流路に連通するインク噴射口を持つノ
   ズル形成部とを有するインクジェットヘッドにおいて、 前記インク流路形成部のインク流路端には開口部が形成
   され、その開口部の内周面が、前記インク噴射口と前記
   インク流路との位置を決める位置決めガイド部を成して
   おり、 前記開口部に、前記ノズル形成部が嵌入された構成を有
   していることを特徴とするインクジェットヘッド。
2. 【請求項２】 前記開口部は、前記ノズル形成部の外形
   の少なくとも一部が嵌合可能な段部を有することを特徴
   とする請求項１に記載のインクジェットヘッド。
3. 【請求項３】 前記開口部及び前記ノズル形成部は、前
   記ノズル形成部の嵌入方向に対して錐形状を有すること
   を特徴とする請求項１に記載のインクジェットヘッド。