JPH08187076A - 商業的規模の採取前に濃縮された組織培養物が生産する生のT.ゴンデイイ(T.gondii)のブラデイゾイト、ならびに製品および方法 - Google Patents

商業的規模の採取前に濃縮された組織培養物が生産する生のT.ゴンデイイ(T.gondii)のブラデイゾイト、ならびに製品および方法

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JPH08187076A
JPH08187076A JP7252066A JP25206695A JPH08187076A JP H08187076 A JPH08187076 A JP H08187076A JP 7252066 A JP7252066 A JP 7252066A JP 25206695 A JP25206695 A JP 25206695A JP H08187076 A JPH08187076 A JP H08187076A
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bradyzoites
gondii
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tachyzoites
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カレン・ケイ・ブラウン
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Bayer AG
Bayer Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 T.ゴンディイ(T. gondii)に対
するネコの防護のための商業的規模のワクチンに適する
採取前組織培養物が生産するT.ゴンディイ(T.
ondii)を調製するための効率のよい方法の提供。 【解決手段】 ブラディゾイトを採取前に濃縮した商業
的規模の組織培養物が生産する生のT.ゴンティイ
T. gondii)のブラディゾイト、ならびにかか
るブラディゾイトの調製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トキソプラスマ症
に対するネコの保護に関する。より具体的には、本発明
は商業的規模の濃縮された組織培養物が生産する生のト
キソプラスマ ゴンディイ(T. gondii)のブ
ラディゾイト、それらのワクチン、診断薬ならびに同物
質の生成および使用の方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トキソプラスマ症はヒトおよび家畜動物
の重大な寄生性疾患である。従来の技術では、それがセ
ロネガティブの妊婦についての重大な問題として報告さ
れている。妊娠中に感染するとその女性は奇形もしくは
死亡した胎児を生むことがある。当該技術分野ではま
た、それが後天性免疫不全症候群(AIDS)患者およ
び特定の免疫抑制剤療法を受けている癌患者のような免
疫無防備状態の個体にとっての重大な問題として報告さ
れている。報告されるところによると、これらの個体の
多くのものはトキソプラスマ症で死亡している。
【0003】ネコはT.ゴンディイ(T. gondi
)の複雑な生活環の明確な宿主である。これらは小哺
乳類(具体的にはT.ゴンディイ(T. gondi
)に感染し、そしてそれらの接合子嚢を保持するマウ
ス)を摂取することにより感染する。T.ゴンディイ
T. gondii)の性的複製周期はネコの腸内で
生じ、そしてふん便内に排出される接合子嚢の生産をも
たらす。この接合子嚢は経口的経路を介して他の哺乳類
を感染することができる。ここで特に問題となるのは、
土壌およびごみ箱内の接合子嚢との接触か、もしくは感
染した動物の調理不十分な状態の肉を食べることのいず
れかによるヒトの感染である。
【0004】その感染を防ぐためには、ネコの感染およ
び後続の接合子嚢の排出を防ぐ安全な商業的規模のワク
チンを持つことが所望される。現在、当該技術分野で知
られる商業的規模のワクチンは、マウスの脳内でT.ゴ
ンディイ(T. gondii)を増殖させることによ
る通常の方法で調製されている。これまで当該技術分野
では、T.ゴンディイ(T. gondii)のブラデ
ィゾイトの商業的規模の組織培養生産のために都合のよ
い方法は開示されていなかった。
【0005】従来の技術の説明となるのは、Linds
ay,et al(J.Parasitology,1
991 77(1)、ページ126−132)であり、
これは、ウシの単球、ヒト胎児の肺細胞、およびメーデ
ィン−ダービー(Madin−Darby)種のウシ肝
臓細胞内でのT.ゴンディイ(T. gondii)の
ヤギ単離物による組織嚢の形成を開示している。しかし
ながら、得られるこの製品を給餌されたネコはそのふん
便内に接合子嚢を排出した。この開示は、この生物体に
対する活性について薬剤を検査するためにT.ゴンディ
イ(T. gondii)の組織培養増殖物を含むこの
調製物を用いることができることを教示している。この
開示は、ワクチンを開発するための組織培養物の使用は
教示していない。この開示は、組織培養調製物中にブラ
ディゾイトを生産させるための抗体の使用は教示してい
ない。
【0006】Jones et al(Infecti
on and Immunity、Jan.1986、
ページ147−156)は、マウスの星状膠細胞内での
T.ゴンディイ(T. gondii)嚢のインビトロ
培養法を開示している。この文献は、タキゾイトを含む
組織培養細胞の過剰増殖を阻害してブラディゾイトを含
む組織嚢の発育を可能にするためにガンマーインターフ
ェロンを使用する試みを開示している。この文献は、抗
体もしくは酵素の使用は教示してはいない。この文献は
ワクチン生産のための組織培養物内で増殖させた組織嚢
の使用は教示していない。この文献は有意な数の組織嚢
を形成するには40〜80日を必要とすることを教示し
ている。このような長期間の増殖の費用はワクチンの商
業的生産では認められないであろう。
【0007】Shimada et al.(Arc
h. Ophthalmol.、Vol92、Dec
1974)は、レイトン(Leighton)管内のウ
サギ角膜内皮細胞内でT.ゴンディイ(T. gond
ii)のRH種を増殖させることができることを開示し
ている。この文献は、タキゾイトの増殖を阻害するため
の抗体およびモルモット補体の使用を教示している。こ
の文献は、単独の免疫血清もしくは単独のモルモット補
体はタキゾイトの増殖を最小限度阻害するに過ぎないこ
と、およびこれら2つのものの組み合わせは相乗的であ
ることを教示している。しかしながら、この文献は、タ
キゾイトを死滅させるための酵素の使用、あるいはワク
チンの調製法もしくは検査法は教示していない。
【0008】米国特許第4,824,666号は、微生
物のタキゾイトを単球様リンパ腫細胞株のような非接着
性のヒト細胞株内に接種し、そしてその細胞株を、その
株を維持したままタキゾイトの増殖を促進することが可
能な組織培養用培地内で維持することを含む、トキソプ
ラスマ(Toxoplasma)属の寄生虫の大規模な
増殖物を生産する方法を開示している。この特許はブラ
ディゾイトの大規模生産は開示していない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これまでの記載事項に
より、従来の技術は商業的規模の濃縮された組織培養物
が生産するT.ゴンディイ(T. gondii)ワク
チンの需要を満たすことに失敗していることが理解され
るであろう。この失敗は、以下に記載する関連的な問題
が原因であると思われる。従来の技術では恐らく、組織
培養物中でT.ゴンディイ(T. gondii)を増
殖させる際の免疫原性の損失が問題であろうことが判っ
た。従来の技術では恐らく、T.ゴンディイ(T.
ondii)ワクチンにおける抗原量が問題であろうこ
とが判った。従来の技術では恐らく、有効なワクチンを
生産するのに十分な量でT.ゴンディイ(T. gon
dii)のブラディゾイトの生存率を保持することが問
題であろうことが判った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明により、安全で商
業的規模の、組織培養物が生産するT.ゴンディイ
T. gondii)、ならびにそれらのワクチンお
よび診断薬が提供される。
【0011】これまでの記載事項に従うと、本発明は、
採取前に濃縮された商業的規模の組織培養物が生産する
生のT.ゴンディイ(T. gondii)のブラディ
ゾイトを包含する。本発明で有用なT.ゴンディイ
T. gondii)は、T−263として表示され
る株のような接合子嚢陰性の表現型を特徴とする株のも
のであることができる。
【0012】本発明は更に、採取前に濃縮された商業的
規模の組織培養物が生産する生のT.ゴンディイ(T.
gondii)のブラディゾイトを調製するための方
法も含む。この態様においては、この方法は、(i)あ
る組織培養物をT.ゴンディイ(T. gondii
に感染させ、(ii)高生産率になるまでT.ゴンディ
イ(T. gondii)を増殖させ、(iii)タキ
ゾイトを含む組織培養物の過剰増殖を阻害し、かつ組織
嚢内のブラディゾイトの形成を刺激化し、(iv)得ら
れるブラディゾイトを高生産率になるまで増殖させ、
(v)残存するタキゾイトの数を減少させ、(vi)そ
の嚢からブラディゾイトを放出させ、そして(vii)
その組織培養物を採取することを含む。本発明に従う
と、組織培養物の採取は採取後の濃縮がワクチンもしく
は診断薬を調製するのに妨げとなる。
【0013】更に本発明は、採取前に濃縮された商業的
規模の組織培養物が生産する生のT.ゴンディイ(T.
gondii)のブラディゾイトの有効量を含むワク
チンおよび診断薬を包含する。このワクチンは、生の
T.ゴンディイ(T. gondii)のブラディゾイ
トの免疫原的な有効量を含む。この診断薬は、検出可能
な免疫複合体を提供するためのT.ゴンディイ(T.
gondii)のブラディゾイトの有効量を含む。更に
本発明は、ワクチンもしくは診断薬を投与する方法も含
む。
【0014】本発明をより十分に記載するのを補助する
ために、本明細書内で用いられる幾つかの用語を以下の
ように文脈内に挿入する。用語「採取前に濃縮された」
は、組織培養物が生産する生のT.ゴンディイ(T.
gondii)のブラディゾイトを採取前に濃縮するこ
とを意味する。用語「商業的規模」は、遠心分離もしく
は限外濾過のような採取後濃縮技術が存在しないことを
意味する。損傷性の採取後濃縮技術を用いなければ、免
疫原的定量可能なかなりの高生産率で生のブラディゾイ
トの免疫原的有効量を取得することができる。用語「免
疫原的有効量」は、ネコが接合子嚢を排出することを妨
ぐためのワクチンに調剤することができる生のブラディ
ゾイトの量を意味する。
【0015】用語「免疫原的定量可能な」は、防護を付
与するワクチンの用量中の生のブラディゾイトの数を的
確に測定する能力を意味する。マウスの注射およびその
後のT.ゴンディイ(T. gondii)抗体の検
出、もしくは組織培養物の接種およびその後の細胞障害
性効果(CPE)の観察のいずれかを必要とするアッセ
イ法によりT.ゴンディイ(T. gondii)の免
疫原的定量可能量を決定することができる。理解される
であろうが、免疫原性物質の正確な定量が商業もしくは
認可を受ける目的では必要となるであろう。
【0016】採取前に濃縮される組織培養物が生産する
生のT.ゴンディイ(T. gondii)のブラディ
ゾイトは、商業的規模で安全に調製することができるこ
とを我々は見いだした。また、これらのワクチンはトキ
ソプラスマ症に対する防護に特に有用であることも見い
だした。本発明はこれ以降に更に十分に記述される。
【0017】
【発明の実施の形態】先に記載されるように、本発明は
採取前に濃縮された商業的規模の組織培養物が生産する
生のT.ゴンディイ(T. gondii)のブラディ
ゾイトを含む。一般的に、本発明において有用なT.ゴ
ンディイ(T. gondii)は防護用抗体を含み、
かつ複製能を欠損するものである。用語「複製能を欠損
する」は、T.ゴンディイ(T. gondii)株
が、環境に排出されることがある接合子嚢を生産するこ
とができないことを意味する。本発明において有用な
T.ゴンディイ(T. gondii)の、説明的であ
るが制限的ではない例はT−263突然変異体であるこ
とがある。この突然変異体はAmerican Typ
e Culture Collectionに寄託され
ており、そしてATCC受託番号第No.40615号
が与えられている。
【0018】変性された生の突然変異体もしくは弱毒化
突然変異体は、「C」株のようないずれかのT.ゴンデ
ィイ(T. gondii)株のタキゾイトを、N−メ
チル−N−ニトロ−ニトロソ−グアニジン[Pffef
ferkron,E.R.and Pfefferkr
on,L.C.、”Toxoplasma gondi
:Isolation and Prelimina
ry Characterization of Te
mperature SensitiveMutant
s.”Experimental Parasitol
ogy 39、365−376(1976)]のような
アルキル化剤に露出させ、そして一つもしくは複数の代
謝拮抗薬に耐性を示す突然変異体を単離することにより
作出することができる。その後に、この耐性突然変異体
を更に接合子嚢陰性表現型について選択し、そして最終
的にネコを防護する能力について選択する。
【0019】T.ゴンディイ(T. gondii)の
増殖を促進するいずれかの組織培養初代細胞もしくは細
胞株を本発明に従って使用することができる。詳しく説
明すると、組織培養細胞もしくは細胞株を、ウシ胎児の
肺細胞、マウスの星状膠細胞、ヒトの包皮繊維芽細胞
(Human Foreskin Fibroblas
t)、およびヒトの二倍体肺細胞(Human Dip
loid Lung Cell)(MRC−5)からな
る群から選択することができる。また、クランデル(C
randell)細胞株(ネコ)、クッター種の研究用
イヌの腎臓細胞株(Cutter Laborator
ies Dog Kidney CellLine)
(CLDK)、ベロ細胞株(Vero Cell Li
ne)、およびメーディン−ダービー(Madin−D
arby)種のウシの腎臓(MDBK)細胞株も使用す
ることができる。具体的には、ウシ胎児の肺細胞のよう
な増殖の遅い細胞が生のT.ゴンディイ(T. gon
dii)のブラディゾイトを増殖させるのに有用であ
る。これらの細胞は、本発明のT.ゴンディイ(T.g
ondii)の特定の増殖条件に特に適する。
【0020】理解されるであろうが、既述の、(i)あ
る組織培養物をT.ゴンディイ(T. gondii
に感染させる段階、および(ii)T.ゴンディイ
T.gondii)のタキゾイトを増殖させる段階
は、組織培養物中に高生産率のタキゾイトを提供する段
階と見なすことができる。得られる組織培養物はT.ゴ
ンディイ(T. gondii)のタキゾイトを含み、
これをやはり先に記載される段階(iii)から(vi
i)までに供することができる。具体的であるが制限的
ではない態様においては、この方法は、ある組織培養物
を当該技術分野に知られる技術により高細胞カウント数
にまで増殖させることを含む。組織培養物を高細胞カウ
ント数にまで増殖させる技術は当該技術分野で知られて
いるものの、本発明では高細胞カウント数が必要とされ
ることの認識は本発明の一部分と見なされる。高細胞カ
ウント数を有する組織培養物を、ある感染多重度(MO
I)でT.ゴンディイ(T. gondii)に感染さ
せて高生産率のタキゾイトを生産する。用語「感染多重
度(MOI)」は、各細胞に感染する最多数の生物体を
生産する細胞の実際のカウント数(数)に対する、細胞
培養物を感染させるのに用いるT.ゴンディイ(T.
gondii)のタキゾイトの数の比率を意味する。本
発明において有用であるのは0.001〜1.0の、そ
して好ましくは0.01〜0.5のMOIである。典型
的には、このMOIは0.05である。T.ゴンディイ
T. gondii)のタキゾイトは、高生産率のタ
キゾイトを生産するための誘導的、組織培養物増殖条件
下で増殖させる。この条件は、増殖培地の1ミリリット
ル当たりの最多カウント数(数)のタキゾイトを生産す
るのに有効な、選択されるタキゾイト:細胞:増殖培地
比を含む。細胞の至適増殖(最多細胞カウント数/m
L)を促進するのに必要な増殖培地は、ダルベッコーの
最少必須培地(Dulbecco’s Minimum
EssentislMedium)(DMEM)、ア
ールのラクトアルブミン加水分解物(Earl’s L
actalbumin Hydrolysate)、ア
ールの最少必須培地(Earl’s Minimum
Essentisl Medium)、高濃度のグルコ
ース、グルコースおよびグルタミンを含むDMEMから
なる群より選択することができる。タキゾイトの最高増
殖(高生産率)を援助するのに必要な増殖培地は、高濃
度のグルコース、ならびにグルタミンおよびウシ胎児血
清を含むDMEMを含む。培地の量は、1750cm2
の表面当たり200mLから1000mLにまで変化す
ることがある。300〜500mLの培地が好んで使用
されるであろう。この組織培養物増殖条件は更に、6.
5と7.5との間のpH、ならびに34℃と39℃との
間の温度を含む。この条件が、6.8と7.2との間の
pH、ならびに35℃と37℃との間の温度を含むこと
が好ましい。得られるタキゾイトのカウント数は少なく
とも1×105/mL(組織培養物液)となるはずであ
る。
【0021】細胞障害性効果が観察されるような十分な
高レベルにまでタキゾイトが増殖した際には、タキゾイ
トの増殖(適切には、過剰増殖として本明細書で称され
る)を阻害し、そしてタキゾイトを刺激化させて組織嚢
を形成させる。これは、その組織培養物に対するT.ゴ
ンディイ(T. gondii)特異的抗体、および好
ましくはT.ゴンディイ(T. gondii)のタキ
ゾイト特異的抗体の添加により実施することができる。
このタキゾイト特異的抗体は、タキゾイトによるこの組
織培養物の過剰増殖を阻害するのに十分な量で添加す
る。0.1%〜10%、および好ましくは3%〜5%の
濃度を利用することができる。タキゾイト特異的抗体の
説明的であるが制限的ではない例は、ヤギ、ウサギ、ウ
マ、およびウシからなる群より選択することができる。
これまでの記載事項から組織嚢中のブラディゾイトが得
られる。
【0022】組織嚢中のブラディゾイトを、それらの内
のかなりの数のものが保存および/またはワクチン製剤
の条件が原因となる消耗を切り抜けるような高生産率に
まで増殖させる。用語「高生産率」は、採取された組織
培養物の濃縮を伴わずに有効なワクチンへと製剤するこ
とかできる、多数の採取前の組織培養物が生産する生の
T.ゴンディイ(T. gondii)のブラディゾイ
トを意味する。保存および製剤条件下での生のブラディ
ゾイトの高率消耗のために、本明細書では高生産率の生
のブラディゾイトが要求される。詳しく説明すると、安
定用化学物質の添加、液体窒素中での凍結、および凍結
乾燥のようなワクチン製剤段階が、ブラディゾイトの生
存率の2〜4logの減少をもたらす。従って、組織培
養採取物の各ミリリットル中約2.5×105の生のブ
ラディゾイトを例とする高生産率の生のブラディゾイト
を提供すると有利である。
【0023】組織培養物への酵素の添加により、組織培
養物中に残存するタキゾイトの数が減少し、そして生の
ブラディゾイトが組織嚢から放出される。蛋白質分解酵
素を、0.0001%〜5%の、そして好ましくは0.
0001%〜0.1% w/vの濃度で利用することが
できる。本発明において有用な酵素は、ペプシン、トリ
プシン、およびキモトリプシンからなる群より選択され
る蛋白質分解酵素であることがある。
【0024】得られる組織培養物質を、容器表面に吸着
することがある細胞、組織嚢、および生のブラディゾイ
トの化学的もしくは機械的除去により採取することがで
きる。機械的手段は、ガラスビーズ、高速撹拌、もしく
はこすりとりを含むことができる。化学的手段は、トリ
プシンのような酵素の添加を含むことができる。T.ゴ
ンディイ(T. gondii)の採取前に濃縮された
組織培養物を商業的な規模で調製する際には、典型的に
は、ローラーボトル、生物反応装置、もしくは類似容器
のような大容量の組織培養系(容器)が利用される。生
物反応装置が好まれる。これらの容器を使用すると、少
なくとも10リットルのブラディゾイト採取物質を各バ
ッチ当たりに取得することができる。詳しく説明する
と、本発明に記載される商業的規模の組織培養物は、採
取液のミリリットル当たり500,000もの多量なブ
ラディゾイトを生産することができる。従って本発明
は、生のT.ゴンディイ(T. gondii)のブラ
ディゾイトを調製するための簡便かつコスト有効的な方
法を提供する。それとは対照的に、マウスにおける商業
的規模のT.ゴンディイ(T. gondii)の調製
法は、マウス当たり約10用量のワクチンを生産する。
マウスには注射器/針を用いてT.ゴンディイ(T.
gondii)の注射を施し(安全でない業務)、これ
を少なくとも28日間は維持および給餌および保護し、
そしてその後に採取を行う必要がある。この方法は極端
に労力集約的でありかつ費用がかかる。
【0025】本発明の方法を、典型的には密閉系(容
器)内で実施するのが本発明の特徴でもある。そのため
細胞の接種のための注射器および針は全く必要ない。実
際、密閉系の使用により、その方法を実施する個体の感
染が回避される。従って本発明は、組織培養物が生産す
る生のブラディゾイトおよびワクチンを調製するための
安全な方法が提供される。
【0026】ワクチンもしくは診断薬を、本発明の生の
ブラディゾイトで製剤することができる。このワクチン
は、液体、凍結、もしくは凍結乾燥状態であることがで
き、そしてジメチルスルホキシド(DMSO)、糖、お
よび血清のような化学物質の添加によって採取された組
織培養物を安定化させることにより製剤することができ
る。典型的には、保存化物質を液体窒素内で凍結させ
る。用量当たり10という少ないブラディゾイトが接合
子嚢排出に対する防護を提供することができる。典型的
にはこのワクチンは、用量当たり約100〜200のブ
ラディゾイトを含む。このワクチンが主にブラディゾイ
トからできていることは本発明特有の特徴である。すな
わちこのワクチンはタキゾイトを含まないか、もしくは
実質的に含まない。
【0027】認識されるであろうが、ワクチン中のブラ
ディゾイトに伴うタキゾイトの存在が偽りの抗原定量値
の原因となることがあり、これはタキゾイトが、ネコが
接合子嚢を排出するのを妨げないためである。タキゾイ
トならびにブラディゾイトを含むワクチンはネコの診断
用テストにおいて偽りの陽性セロコンバージョンを生じ
ることがある。実際、T.ゴンディイ(T. gond
ii)ワクチン中の有意な数のタキゾイトの存在は、商
業的規模の組織培養物が生産するT.ゴンディイ(T.
gondii)ワクチンの有効性を「妨害」するであ
ろう。組織培養物が生産するT.ゴンディイ(T.
ondii)を含むワクチンの信頼性が高い抗原量を可
能にするためには、ワクチンのタキゾイト含有量を調節
する必要がある。ワクチンからタキゾイトを本質的に排
除することの必要性の方がむしろ重要であり、それはタ
キゾイトはブラディゾイトと比較して組織培養物中での
増殖がより良好であるためである。規制的および/また
は商業的見地から、ワクチン内の実質的な数のタキゾイ
トの存在は望ましくない。
【0028】本発明の実施の際には、このワクチンをネ
コに投与してネコが接合子嚢を排出するのを防ぐことが
できる。この投与は、引用により本明細書に取り込まれ
る同時係属中の米国特許出願第08/118,905号
に記載される独特なストロー技術を介して経口的に行わ
れる。ネコへの他の投与法には、筋肉内的、皮下的、腸
内的、もしくは膣内的投与が含まれるであろう。
【0029】本発明の実施の際にはまた、組織培養物が
生産するT.ゴンディイ(T. gondii)を含む
診断薬を、トキソプラスマ症の存在もしくは非存在を検
出するのに用いることができる。現在、T.ゴンディイ
T. gondii)の検出用の全ての診断用テスト
はタキゾイドを含む。本発明に従って生産される生のブ
ラディゾイトは、診断用テストにおける抗原としての利
用により良く適合するであろう。これは、生のブラディ
ゾイトがネコにとって防護的である一方で、生のタキゾ
イトはネコにおける抗体応答を刺激化することが可能で
あるもののネコを防護することはできないためである。
本発明に従って生産される生のブラディゾイトもしくは
不活化させた(死滅化させた)ブラディゾイトを用いて
診断テスト系に有用なマトリックスをコートすることが
できる。このマトリックスの例は、ELISAプレー
ト、ポリマー、もしくは濾紙細片などであることがあ
る。生のブラディゾイトもしくは死滅化ブラディゾイト
でのマトリックスのコーティング後には、このマトリッ
クスを試薬類および動物からの血清と混合することがで
きる。血清が、T.ゴンディイ(T. gondii
感染を有し、かつ再露出から保護されている動物からの
ものである場合には、ブラディゾイト(タキゾイトの代
わりに)の使用によりこの保護状態が検出されるはずで
ある。
【0030】以下の実施例は、本発明の具体的態様を更
に詳しく説明する。しかしながらこれらの実施例は、こ
れまでの開示で十分に特徴が記載されている本発明の範
囲を制限することを意味するのではない。
【0031】
【実施例】実施例1 ブラディゾイトを含むT−263組織嚢の組織培養物増
殖の特定の実施例が以下のとうりに開示される。マウス
腹膜内滲出物中で生産された親種(Master Se
ed)から取得され、かつ5×105/mLのタキゾイ
トを含む実用種(working seed)タキゾイ
トのバイアル瓶を解凍し、そして1×106の細胞を含
む融合性のヒト包皮繊維芽細胞(Human Fore
skinFibroblast)(HSF)の単層培養
物に添加した。従ってこのMOIは0.5であった。こ
の組織培養物を細胞障害性効果(CPE)が終了するま
で発育させた。この最初の組織培養物増殖(継代)は、
タキゾイトを組織培養に適合させるために実施した。ウ
シ胎児の肺(Embryonic BovineLun
g)(EBL)細胞を、ダルベッコーの最少必須培地
(Dulbecco’s Minimal Essen
tial Medium)(DMEM)+10%のウシ
胎児血清(Fetal Bovine Serum)
(FBS)+グルタミンおよびゲンタマイシンを用いて
75cm2中で増殖させた。この細胞が融合状態になっ
た際にこの培地を除去し、そして12ml/フラスコの
トキソプラスマ保持用培地(Toxoplasma M
aintenance Medium)(TMM=45
00mg/mLのグルコース、3%のFBS、1%の2
mMグルタミン、および50mg/mLのゲンタマイシ
ンを含むDMEM)を添加した。この後にHSF細胞培
養物からの5×105のタキゾイトを添加した。このフ
ラスコを37℃、5%のCO2の雰囲気下で4日間イン
キュベートした。4日目に、ELISAにより陽性であ
ることが決定されている5%のヤギもしくはウサギの抗
トキソプラスマ血清を含む新鮮なTMMを各フラスコに
添加した。これらのフラスコを既述の条件下で更に3日
間インキュベートした。7日目にはこれらの嚢を増殖用
表面からかき取ることにより採取した。この方法を用い
るとフラスコ当たり約100,000のブラディゾイト
を含む約200の嚢、すなわち採取した組織培養採取物
に対してミリリットル当たり約8,000の生のブラデ
ィゾイトが取得された。
【0032】ブラディゾイトを含むこれらの生の組織嚢
を用いてワクチンを調製した。組織嚢が未処理のままで
ある(ペプシン未処理)ワクチン、あるいはこの組織嚢
を37℃下、0.05%のペプシンで10分間消化させ
た(ペプシン消化)ワクチンを調製した。後者の処理
は、残存するタキゾイトを死滅させるばかりでなくブラ
ディゾイトを放出させもする。このワクチン製剤を組織
嚢もしくはブラディゾイトの具体的な量を含むように希
釈し、そして各調剤はネコのワクチン接種を行う時点で
マウスにおいて逆力価測定した。
【0033】5匹のネコを、ペプシン未処理の組織嚢の
形態の10、100、もしくは1000のブラディゾイ
トのいずれかでワクチン接種した。追加的な5匹のネコ
(調剤当たり)をペプシン消化した嚢の形態の10、1
00、もしくは1000のブラディゾイトのいずれかで
ワクチン接種した。用量あたりのブラディゾイト濃度は
マスウにおける逆力価測定により確認した。初回ワクチ
ン接種後21日目には、全てのネコに、それぞれ1、1
0、もしくは100のブラディゾイトを含む製剤でのブ
ースター注射を施した。初回ワクチン接種後43日目に
は、T−265と表示される有毒の接合子嚢排出性T.
ゴンディイ(T. gondii)株の10,000の
ブラディゾイトで全てのネコを刺激化した。ワクチン接
種を施さなかった5匹のネコを刺激化して対象として用
いた。ワクチン接種後3日目〜14日目、およびブース
ター注射の際、ならびに刺激化後14日の間、接合子嚢
の排出についてふん便試料を調査した。このようなふん
便調査は接合子嚢についてのふん便試料の顕微鏡的判定
を必要とした。その上、このふん便試料を遠心分離し、
そして上清を取り出し、そしてマウス内に腹膜内注射
(IP)した。注射後4週間目にこれらのマウスの脱血
を行い、そしてT.ゴンディイ(T. gondii
のセロコンバージョンについて検査した。ふん便の上清
を注射したマウスのセロコンバージョン(間接的凝集力
価は≧1:40である)により、検査したふん便試料中
には少なくとも一つの接合子嚢の排出が存在したことが
示される。
【0034】表1は、いずれかの製剤でのワクチン接種
もしくはブースター注射後には接合子嚢は全く排出され
ないことを示す。6つのワクチンの内の5つがネコの防
護をもたらしたたことを注記する。100パーセント
(5/5)の対照用のネコが感染しており、そして刺激
化後に接合子嚢を排出した。個々のワクチンの結果の分
析により、ペプシン処理化嚢ワクチンはより一貫した防
護をもたらすことが示される。10のブラディゾイトを
含む投与剤は刺激化後に40%のネコを防護した。10
0のブラディゾイトを含むワクチンは80%のネコを防
護した。1000のブラディゾイトを含むワクチンは刺
激化後に60%のネコを防護した。ペプシン未処理の嚢
から調製されたワクチン(ブラディゾイトは嚢から放出
されておらず、かつタキゾイトが混在していた)は、1
0のブラディゾイトの用量レベルでは80%のネコを、
100のブラディゾイトの用量レベルでは0%を、そし
て1000のブラディゾイトの用量レベルでは75%の
ネコを防護した。この矛盾は商業用製品にとっては望ま
しくない。従って、ブラディゾイトの放出およびタキゾ
イトの破壊をもたらす組織培養物中で増殖させた組織嚢
のペプシン消化が、ワクチンの商業用製品にとっては好
ましい。
【0035】このワクチンをいずれかの所望の様式でネ
コに投与することができる。現在では経口様式の投与が
好まれる。0.1mL〜2.0mL、および好ましくは
0.2mL〜1.0mLの用量をネコ当たりに使用する
ことができる。これまでに記載されるワクチンは液体で
あったが、凍結乾燥形態もしくは凍結形態のワクチンを
作成および使用することは当業者の技術範囲内に含まれ
る。
【0036】組織培養物中で増殖させたT.ゴンディイ
T. gondii)ワクチンはネコを免疫化し、そ
してそのためそれらのネコが有毒な排出性株に後に露出
されてもにネコが排出を行わないようにすることができ
る。追加的には、組織培養物中で調製されるブラディゾ
イトを診断アッセイの開発に使用することができる。表
1は本発明を更に詳しく説明する。
【0037】実施例2 ローラーボトル中でのT.ゴンディイ(T. gond
ii)のブラディゾイトの、採取前に濃縮された組織培
養物の調製のための増殖条件を以下に更に詳しく説明す
る。
【0038】実用種の調製. HSF細胞のような迅速
に増殖する細胞を使用して、実施例1に記載される方法
を介して親種から高生産率の実用種T.ゴンディイ
T.gondii)のタキゾイトを生産した。
【0039】最少容量の培地中でのEBL細胞増殖の至
適化. EBL細胞を、様々な容量の細胞増殖用培地を
含むローラーボトル内に入れる。使用する培地はDME
M+10%のウシ胎児血清(Fetal Bovine
Serum)である。最少量の溶媒中の最大増殖率を
決定する目的で、8時間の間隔をおいてこれらのローラ
ーボトルからの試料についての細胞計数を行う。実用種
での感染についての至適時間を、最少容量の培地中の最
大数の健常細胞の生産にかかる時間を評定することによ
り決定する。300mLのダルベッコーの最少必須培地
(Dulbecco’s Minimal Essen
tial Medium)(DMEM)+10%のウシ
胎児血清(Fetal Bovine Serum)が
これらの細胞を9Lのローラーボトル中で7日以内に融
合状態にまで増殖させるであろうことが見いだされた。
【0040】MOIの決定. 前段階からのEBL細胞
が融合状態(1×106/mL)になる際に、これらに
DMEM+4.5g/mLのグルコース、3%のFB
S、1%の2mMグルタミン、および50mg/mLの
ゲンタマイシンを含む新鮮な培地を再供給する。その後
にこれらを、1×103/mL〜1×107/mL(組織
培養用培地)の範囲にわたるカウント数のHSF中で増
殖させたタキゾイトで感染させる。タキゾイトの継代中
に試料を採取し、そして1mLの試料中のタキゾイト数
を計数する。組織培養用培地の1ミリリットル当たりに
最多のタキゾイトを生産するMOIを算出する。このよ
うなMOIは一般的に0.01と0.5との間であり、
そしてローラーボトル系にとって最高のMOIは0.0
5である。このMOIは、組織培養用培地の1ミリリッ
トル当たりの至適生産率のT.ゴンディイ(T. go
ndii)のタキゾイトを生産させるように各細胞を感
染するのに要するT.ゴンディイ(T. gondi
)のタキゾイト数を提供する。
【0041】タキゾイトの至適増殖. MOIを決定し
た後、一連の新しいローラーボトルを調製する。これら
のローラーボトルは前段階で特定される培地を含み、そ
してpH6.0と8.0との間の範囲の組織培養物のp
Hを調製するために様々な緩衝液が添加されている。イ
ンキュベーション温度(37℃)、酸素圧、およびCO
2レベルはこの実験については一定に保持される。試料
は8〜12時間の間隔をおいて取り出し、そしてタキゾ
イトを計数する。最多数のタキゾイトが生産されるpH
は6.8と7.4との間である。タキゾイトの至適生産
率は、35℃と37℃との間の温度でもたらされる。従
って、タキゾイトは6.8と7.4との間のpH、37
℃付近の温度で、追加的酸素およびCO2の供給を全く
伴わずに最も多く生産される。
【0042】高生産率のブラディゾイトの調製. タキ
ゾイトを刺激化してそれらを次の発生段階(ブラディゾ
イトを含む組織嚢)に転化させるが、この際にその環境
はそれらの生存に不利なものとなる。ブラディゾイトの
増殖は、組織培養物中のタキゾイトを刺激化させて組織
嚢へと転化させることで開始する。これは、DMEM+
4.5g/mLのグルコース、3%のFBS、1%の2
mMグルタミン、50mg/mLのゲンタマイシン、お
よびT.ゴンディイ(T. gondii)のタキゾイ
ト特異的抗血清を含む新鮮な培地を感染組織培養物に再
供給することにより達成される。このような抗血清は、
0.1%と10%との間、好ましくは5%付近の量で添
加する。この抗血清の添加後に、タキゾイトの増殖用の
条件を最少限度に留めると、それらはブラディゾイトを
含む組織嚢へと変異し始める。組織嚢が形成され始める
時点で、ブラディゾイトの増殖に特異的な新鮮な栄養素
を含む増殖用培地(このセクションに既述されたものと
同一の新鮮な培地)を供給する。この組織培養物のイン
キュベーションは、少なくとも2.5×105/mL
(組織培養液)の至適ブラディゾイトカウント数が生じ
るまで継続させる。このカウント数は、その培養物の顕
微鏡的観察、次いで嚢内のブラディゾイトの計数、およ
び追加的にその組織培養物表面の指定される領域内の嚢
の数(ローラーボトル内のcm2当たりの嚢、もしくは
生物反応装置内のビーズ当たりの嚢)の計数を行うこと
により決定される。
【0043】残存するタキゾイトの除去. ブラディゾ
イトのカウント数が最大値である際に、この組織培養物
を、0.01%と1.0%との間の範囲にわたる濃度の
ペプシン、トリプシン、もしくはキモトリプシンのよう
な酵素で処理する。
【0044】ブラディゾイトの採取. 酵素処理段階後
にその組織培養物を採取する。採取は、その組織培養物
への更に別の酵素(最高1.0%までの濃度のトリプシ
ン)の添加によるか、あるいは細胞が接着している表面
からその細胞をかきとるためのガラスビーズもしくは類
似マトリックスを添加することによるように細胞を機械
的に除去することによって、細胞、組織嚢、およびブラ
ディゾイトを無菌的に除去することにより実施すること
ができる。採取が終了した際には、この組織培養採取物
質は少なくとも2.5×105のブラディゾイト/mL
を含むはずであり、そしてこれらを採取後濃縮を伴うこ
となくワクチンへと直接調製することができる。
【0045】ネコ用のワクチンへの調製. この組織培
養採取物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)および
FBSのような化学物質の添加により安定化させ、0.
2mL/ストローでストロー輸送系内に充填させ、そし
て液体窒素内で凍結する。このような方法は生のブラデ
ィゾイトに不利な影響を及ぼし、その結果ブラディゾイ
トの生存率の2〜4logの損失を生じる。生のブラデ
ィゾイトは、凍結および凍結乾燥の際にも、記載されて
いるものに類似する製造率の損失を伴うことがある。
【0046】T.ゴンディイ(T. gondii)の
生のブラデジゾイトワクチンの投与. 生のブラディゾ
イトを含む凍結ストローを液体窒素から取り出し、解凍
し、そしてネコを免疫化する目的でネコに経口的に配給
する。免疫化計画および検査方法は実施例1に記載され
る。
【0047】実施例3 以下の事柄は本発明をより詳しく説明する。採取前に濃
縮された商業的規模の製品用にローラーボトルを用いる
際には、培地の量は1750cm2の表面当たり200
mLから1000mLまでに変化することがある。pH
は6.6と7.5との間であるべきである。温度調節は
35℃と39℃との間に保つべきである。EBL細胞
を、それらが1×106細胞/mLに達するまでDME
M+10%のFBS中で増殖させる。細胞をDMEM、
4.5g/mLのグルコース、3%のFBS、1%の2
mMグルタミン、および50mg/mLのゲンタマイシ
ンを含む新鮮な培地中、0.01〜0.05のMOIの
タキゾイトで感染させる。タキゾイトを3〜5日の期間
にわたり37℃で至適カウント数に増殖させる。この
際、新鮮な培地(先に定義されている)+3〜5%の
T.ゴンディイ(T. gondii)タキゾイト特異
的抗体をこの感染化組織培養物に添加する。ローラーボ
トルを更に3〜4日間インキュベートし、この間にこの
組織培養物をブラディゾイトを含む組織嚢の発達につい
て顕微鏡的に観察する。ブラディゾイトの至適カウント
数が達成される際に、0.05%のペプシンおよび5g
のガラスビーズを各ローラーボトルに添加し、そして追
加的に30〜60分間インキュベートする。これらのロ
ーラーボトルの内容物を、各ガラスビーズを分離して取
り出す回収用装置を介してそれらを移動させることによ
り合わせる。2.5×106を超えるブラディゾイトを
含む採取された組織培養物を、その後にワクチンの調剤
もしくは診断薬の調製用に用いることができる。T.ゴ
ンディイ(T. gondii)を組織培養物中で商業
的規模で増殖させると、200mL〜1Lの組織培養物
用培地を含む一つのローラーボトルが500用量もの多
くのワクチンを生産することができる。
【0048】本発明に従う大用量の組織培養物中で調製
されるブラディゾイト抗原は、野生型のT.ゴンディイ
T. gondii)での刺激後にはネコが排出を行
わないようにすることができ、すなわちこれは異型の
種、すなわちT−256の接合子嚢排出を回避させるこ
とができるということである。次の表は実施例1に基づ
く組織培養物ワクチン接種研究を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】本発明は説明を目的とするこれまでの記述
に詳細に記載されているが、このような詳細は単にその
目的のためのみのものであり、そして請求項に制限され
る場合を除き、本発明における変法が本発明の精神およ
び範囲から逸脱することなく当業者により作成されるこ
とがあることが理解されるべきである。
【0053】本発明の主な特徴または態様は以下のとう
りである。
【0054】1. 採取前に濃縮された商業的規模の組
織培養物が生産する生のT.ゴンディイ(T. gon
dii)のブラディゾイト。
【0055】2. 接合子嚢陰性の表現型を特徴とする
株である、前記1に記載のT.ゴンディイ(T. go
ndii)。
【0056】3. T−263と表示される株である、
前記1に記載のT.ゴンディイ(T. gondi
)。
【0057】4. i)ある組織培養物をT.ゴンディ
イ(T. gondii)に感染させ、ii)高生産率
になるまでT.ゴンディイ(T. gondii)を増
殖させ、iii)タキゾイトを含む組織培養物の過剰増
殖を阻害し、そして組織嚢内のブラディゾイトの形成を
刺激し、iv)得られるブラディゾイトを高生産率にな
るまで増殖させ、v)残存するタキゾイトの数を減少さ
せ、vi)その嚢からブラディゾイトを放出させ、そし
てvii)その組織培養物を採取することを含む、採取
前に濃縮された商業的規模の組織培養物が生産する生の
T.ゴンディイ(T. gondii)のブラディゾイ
トを調製するための方法。
【0058】5. 組織培養物が、ウシ胎児の肺細胞、
マウスの星状膠細胞、ヒトの包皮繊維芽細胞、およびM
RC−5細胞からなる群より選択される一員から得られ
る、前記4の方法。
【0059】6. 組織培養物を、高生産率のタキゾイ
トを生産するのに有効な感染多重度で感染させる、前記
4の方法。
【0060】7. タキゾイトの過剰増殖をその組織培
養物へのT.ゴンディイ(T. gondii)特異的
抗体の添加により阻害してブラディゾイトを生産させ
る、前記4の方法。
【0061】8. T.ゴンディイ(T. gondi
)特異的抗体が、ヤギ、ウサギ、ウマ、およびウシか
らなる群より選択される一員である、前記7の方法。
【0062】9. 残存性タキゾイトの数の減少が、ペ
プシン、トリプシン、およびキモトリプシンからなる群
より選択される蛋白質分解酵素を添加することによる、
前記4の方法。
【0063】10. 前記1に記載される採取前に濃縮
された組織培養物が生産する生のT.ゴンディイ(T.
gondii)のブラディゾイトの免疫原的有効量を
含むワクチン。
【0064】11. 生のブラディゾイトもしくは修飾
された生のブラディゾイトであることを特徴とする、前
記10のワクチン。
【0065】12. 液体、凍結、もしくは凍結乾燥状
態である、前記10のワクチン。
【0066】13. 前記1の採取前に濃縮された生の
T.ゴンディイ(T. gondii)のブラディゾイ
トを含むトキソプラスマ症の検出のための診断薬。
【0067】14. ネコに前記10のワクチンを投
与することを含む、T.ゴンディイ(T. gondi
)の接合子嚢を排出しないようにネコを治療する方
法。
【0068】15. 前記13の診断用物質と、ある
生物学的試料を接触させ、そして免疫複合体の存在もし
くは非存在を検出することを含む、ネコにおけるトキソ
プラスマ症を診断する方法。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 採取前に濃縮された商業的規模の組織培
    養物が生産する生のT.ゴンディイ(T. gondi
    )のブラディゾイト。
  2. 【請求項2】 i)ある組織培養物をT.ゴンディイ
    T. gondii)に感染させ、ii)高生産率に
    なるまでT.ゴンディイ(T. gondii)を増殖
    させ、iii)タキゾイトを含む組織培養物の過剰増殖
    を阻害し、かつ組織嚢内のブラディゾイトの形成を刺激
    し、iv)得られるブラディゾイトを高生産率になるま
    で増殖させ、v)残存するタキゾイトの数を減少させ、
    vi)その嚢からブラディゾイトを放出させ、そしてv
    ii)その組織培養物を採取することを含む、採取前に
    濃縮された商業的規模の組織培養物が生産する生のT.
    ゴンディイ(T. gondii)のブラディゾイトを
    調製するための方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載される採取前に濃縮され
    た組織培養物が生産する生のT.ゴンディイ(T.
    ondii)のブラディゾイトの免疫原的有効量を含む
    ワクチン。
  4. 【請求項4】 請求項1の採取前に濃縮された生のT.
    ゴンディイ(T.gondii)のブラディゾイトを含
    むトキソプラスマ症の検出のための診断薬。
  5. 【請求項5】 ネコに請求項3のワクチンを投与するこ
    とを含む、T.ゴンディイ(T. gondii)の接
    合子嚢を排出させないようにネコを治療する方法。
  6. 【請求項6】 請求項4の診断用物質と、ある生物学的
    試料を接触させ、そして免疫複合体の存在もしくは非存
    在を検出することを含む、ネコにおけるトキソプラスマ
    症を診断する方法。
JP7252066A 1994-09-12 1995-09-06 商業的規模の採取前に濃縮された組織培養物が生産する生のT.ゴンデイイ(T.gondii)のブラデイゾイト、ならびに製品および方法 Pending JPH08187076A (ja)

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