JPH0818392A - 圧電フィルタ - Google Patents

圧電フィルタ

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Publication number
JPH0818392A
JPH0818392A JP14660894A JP14660894A JPH0818392A JP H0818392 A JPH0818392 A JP H0818392A JP 14660894 A JP14660894 A JP 14660894A JP 14660894 A JP14660894 A JP 14660894A JP H0818392 A JPH0818392 A JP H0818392A
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JP
Japan
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piezoelectric
piezoelectric resonator
substrate
resonance frequency
frequency
Prior art date
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Application number
JP14660894A
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English (en)
Inventor
Takayuki Kamae
隆行 鎌江
Tetsuo Hatono
哲男 鳩野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 圧電共振子がラダー型に接続された圧電フィ
ルタにおいて、これら圧電共振子のそれぞれに直列及び
並列にコンデンサが接続されている圧電フィルタ。 【効果】 コンデンサの静電容量を適切に選択すること
により、画一的に圧電特性が付与された圧電共振子の分
極状態等を精密に制御するという複雑な工程を必要とせ
ずに、容易に圧電共振子の共振周波数及び反共振周波数
を特定の値に調整することができ、安価な圧電フィルタ
の提供が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電フィルタに関し、よ
り詳細にはコードレス電話やラジオをはじめとする通信
機器のろ波器として機能する圧電フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に圧電フィルタは圧電特性を有する
セラミックスからなる圧電共振子を含んで構成されてい
る。この圧電共振子に用いられる圧電セラミックスは、
製造時の成形性や切断加工の簡便さから一般に矩形板状
や円板状のものが採用されており、その寸法は厚さが数
10μm〜数mm、一辺の長さ又は直径が数mm〜数1
0mmである。圧電共振子は、前記形状の圧電セラミッ
クスの両面にペースト塗布や蒸着による銀製や銅製の電
極が形成され、圧電セラミックス自身は厚さ方向に分極
されている。
【0003】kHz帯域で共振子機能を発現する圧電共
振子には、一般に、拡がり振動、周辺振動、面積振動又
は長さ振動などと呼ばれる振動モードが利用される。こ
のときの共振周波数は圧電共振子の一辺の長さ、直径又
は周囲の長さによって決まってくる。
【0004】次に圧電共振子の電気特性について説明す
る。図15は、圧電共振子に一定範囲の周波数を有する
交流電圧を印加した場合の、周波数に対する圧電共振子
のインピーダンスと位相との関係を示したグラフであ
る。
【0005】図15に示したように、共振現象が発現す
る周波数付近において圧電共振子のインピーダンスを測
定すると、インピーダンスの極小と極大が観測される。
インピーダンスが極小となる周波数fm付近に直列共振
周波数fs及び共振周波数frが存在し、一方インピー
ダンスが極大になる周波数fn付近には並列共振周波数
fp及び反共振周波数faが存在する。しかし、測定値
から厳密に各周波数を求めることが容易でないため、極
端に厳密性が要求されない場合、慣用的にはインピーダ
ンスの極小値を与える周波数を共振周波数fr又は直列
共振周波数fsと呼び、インピーダンスの極大値を与え
る周波数を反共振周波数fa又は並列共振周波数fpと
呼ぶことがある。ここでは、以降インピーダンスが極小
になる周波数を共振周波数frとし、インピーダンスが
極大になる周波数を反共振周波数faとする。また、そ
れぞれの周波数におけるインピーダンスを、共振インピ
ーダンスRo 、反共振インピーダンスRa、共振周波数
frと反共振周波数faとの周波数の差(fa−fr)
を周波数差Δf、共振インピーダンスRoと反共振イン
ピーダンスRaとのインピーダンスの比から導かれる値
(20・log(Ra/Ro))をP/V比と呼ぶこと
とする。
【0006】次に、圧電セラミックスの分極処理と分極
処理に依る圧電共振子のインピーダンス挙動について説
明する。
【0007】分極処理とは、圧電セラミックスに直流電
圧を印加して圧電の向きを電界の向きに揃え、圧電の方
向すなわち圧電の軸を電界の方向に平行になるように揃
える処理をいう。しかし、多くの結晶粒子から構成され
るセラミックスでは、焼結が完了した時点での結晶粒子
の向きはバラバラになっており、全ての結晶粒子を分極
させることは難しい。この焼結が終了した圧電セラミッ
クスを出来るだけ効率よく分極させるには、印加する電
圧を絶縁破壊を起こさない範囲でできるだけ大きくし、
電圧印加の温度をできるだけキュリー温度に近くし、ま
た印加する時間を長くすることが好ましい。最適な分極
条件で分極処理を行うとそれ以上分極出来ない飽和した
状態となり、圧電セラミックスの結晶粒子の分極軸が最
大限に整列すると同時に向きも最大限に揃うので、その
圧電セラミックスにおける圧電性を最大限に効率よく発
現させることができるようになる。
【0008】すなわち、分極処理が施されていない圧電
共振子は、インピーダンスの極小及び極大値が発現せ
ず、単なるコンデンサとしてしか機能しないが、分極処
理による分極の程度が高くなるに従い周波数差Δf及び
P/V比が大きくなり、分極が飽和した状態で周波数差
ΔfおよびP/V比も最大値を示す。この最大値は材料
や振動モードにより異なる。圧電共振子の特性にはお互
いに相関性を有するものがあり、例えば電気機械結合係
数kが60%を超えるようなkHz帯域の圧電共振子Δ
fはΔf>50(KHz)と大きい値を示す。また機械
的品質係数Qmが2000を超える材料では、P/V比
が100dB近くになる場合もある。
【0009】このような分極処理が施された圧電セラミ
ックスは、その直後から徐々に分極が緩和され、また急
激な温度変化によっては急激に分極が緩和されることが
知られている。このとき共振周波数frは高周波数側に
シフトし、反共振周波数faは低周波数側にシフトする
ことで共振周波数frと反共振周波数faとの周波数差
Δfは減少してゆく。また、共振インピーダンスR0
上昇し、反共振インピーダンスRaは低下するのでP/
V比は低下する。そのため、周波数の安定性が要求され
る電子部品の圧電フィルタ用として用いられる圧電セラ
ミックスには、熱エージングと呼ばれる熱衝撃による分
極状態の強制的な緩和処理を施し、その後の環境変化に
対する圧電特性の安定化を図っている。熱エージングは
キュリー温度以下の温度で、常温より高い温度に保持さ
れた高温槽などの中に急激に圧電セラミックスを入れ、
所定時間保持した後すみやかに常温へ戻す方法が多く採
用されている。
【0010】図16は、圧電共振子の等価回路を示した
回路構成図である。図16に示したように圧電共振子の
等価回路はインダクタンスL1 、容量C1 、及び抵抗R
1 が直列に接続された回路と容量C0 とが並列に接続さ
れた回路として表すことができ、これより共振周波数f
rおよび反共振周波数faは下記の数1式、及び数2式
で与えられる。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】次に、従来の圧電フィルタの調整方法につ
いて、圧電フィルタとして一般的な455kHz圧電バ
ンドパスフィルタを例に挙げ、中でも最も基本的な構成
である入出力端子に対して並列及び直列に接続された圧
電共振子から構成された1段のラダー型フィルタを例に
挙げて説明する。
【0014】図17は、ラダー型に接続された圧電共振
子からなる圧電フィルタを示した回路構成図である。図
17に示したように、この圧電フィルタは入出力端子に
直列に接続された圧電共振子51a(以下、直列圧電共
振子ともいう)と、入出力端子に並列に接続された圧電
共振子51b(以下、並列圧電共振子ともいう)とによ
り構成される。
【0015】圧電フィルタの減衰量を大きくするため
に、この基本回路をはしご状に多段に連結する構成をと
ることもできる。図18は、このような多段ラダー型に
直列圧電共振子51a、及び並列圧電共振子51bが接
続された圧電フィルタを示した回路構成図である。
【0016】455kHz圧電バンドパスフィルタの場
合、直列圧電共振子51aと並列圧電共振子51bは、
直列圧電共振子51aの共振周波数frsと並列圧電共
振子51bの反共振周波数fapがフィルタの中心周波
数である455(kHz)で一致する様に精度良く構成
されなければならない。
【0017】圧電バンドパスフィルタの帯域幅は、構成
する直列圧電共振子51aおよび並列圧電共振子51b
の共振周波数frと反共振周波数faとの周波数差Δf
により制御される。定性的には周波数差Δfが大きい圧
電共振子により構成された圧電フィルタは帯域幅が広
く、周波数差Δfが狭い圧電共振子により構成された圧
電フィルタは帯域幅が狭くなる。
【0018】従って、実際に圧電フィルタを作製するに
は、目的とする帯域幅に応じて圧電共振子の周波数差Δ
fを調整し、さらに直列圧電共振子51aの共振周波数
frsと並列圧電共振子51bの反共振周波数fapを
圧電フィルタの中心周波数である455kHzになるよ
うに調整する。
【0019】調整方法としては、例えば分極の程度が減
少するように調整し、次に共振周波数fr又は反共振周
波数faを調整し、最後に熱エージングにより特性を安
定化させる。
【0020】まず圧電共振子の周波数差Δfの調整は、
分極の程度を下げることにより周波数差Δfを減少させ
る方向で調整する。すなわち、分極した向きとは逆に、
分極したときを下回る電界を印加することで分極の軸は
変えずにその程度だけを徐々に変える。この処理は逆分
極処理と呼ばれる。
【0021】逆分極処理のパラメータには、印加する電
界強度、電界印加時間、電界印加回数などがあるが材料
の種類や共振子の厚さなどにより適切な条件が全て異な
る。また材料製造ロットや、同じロットにおいても共振
子を切出した場所の違いなどにより処理条件が微妙に異
なるので最適条件は圧電共振子によりそれぞれ異なる。
その結果精度良く逆分極処理を施すことは著しく困難
で、逆分極処理は長年の経験に基づき施されるものであ
り、一連の自動処理では処理できない。さらに分極する
電界が少し大きかったり電界を与える向きを誤ったりす
ることで、材料の周波数差Δfが小さくなりすぎるばか
りでなく、途中まで調整した材料の分極の向きが反転し
て再び飽和分極に戻ったりしてしまう場合が多い。そこ
で、分極の向きを間違えないために圧電共振子に印を印
刷したり、大量に同一条件で分極し0後に圧電共振子の
自動選別機により要求範囲にある圧電共振子とそうでな
い圧電共振子とを分類し、圧電共振子の特性が要求範囲
に入るまで根気よく逆分極処理を繰り返すなどの対処法
が実施されている。さらに直列圧電共振子51aの共振
周波数frや並列圧電共振子51bの反共振周波数fa
を455kHzに調整する工程で周波数差Δfが影響を
受けて変化したり、最後の熱エージング処理の影響で周
波数差Δfが変化することが一般にあるので、このよう
な周波数差Δfの後工程における変化についても見込ん
で調整しておかなければならない。
【0022】次に圧電共振子の共振周波数frや反共振
周波数faを455kHzに調整する工程を説明する。
ここで、直列圧電共振子51aの反共振周波数faを4
55kHzに調整する工程を例にとり説明する。455
kHzは圧電フィルタの中心周波数にあたるので、±1
kHz以内の高い精度で調整しなければならない。
【0023】反共振周波数faが455kHzより高い
場合、この反共振周波数faを減少させなければならな
い。反共振周波数faは圧電共振子の周囲の長さを変化
させることにより調整することができ、反共振周波数f
aを減少させる場合、圧電共振子の周囲の長さを長くす
ればよい。そこで図19に示すように、圧電共振子52
の辺の中央部にスリット53を入れることにより見掛け
上周囲の長さを長くし、反共振周波数faを低周波数側
へシフトさせることができる。圧電材料の周波数定数は
およそ2000Hz・m前後なので200Hzの調整
は、深さ25μmのスリット53を圧電共振子52の中
心を点対称に1組形成することに相当し、大変高い加工
精度が要求される。このとき同時に共振周波数frも低
周波数側にシフトするので圧電共振子52の周波数差Δ
fはほぼ保たれる。
【0024】一方、最初の反共振周波数faが455k
Hzよりも低い場合は、反共振周波数faを増加させな
ければならない。この場合、図20に示したように圧電
共振子52のコーナー部分を削除し、コーナーカット部
54を形成する。
【0025】圧電共振子52にスリット加工やコーナカ
ット処理加工を施すときは、圧電共振子52を破壊しな
いように注意するだけでなく、圧電共振子52の中央に
対して点対称になるように加工を施さなければならな
い。対称性が損なわれると圧電共振子52のインピーダ
ンス挙動に、例えばリップルと呼ばれる望ましくない共
振が発生し、また加工中に圧電共振子にクラックと呼ば
れるヒビが入ると共振周波数や反共振周波数付近のイン
ピーダンス挙動が著しく乱れて圧電フィルタに用いるこ
とができなくなる。
【0026】従来の周波数調整工程では自動選別機など
で周波数の同じ圧電共振子52を選び出し、位置精度良
く対称にスリット加工又はコーナカット加工を施したの
ち再度自動選別を実施して目標周波数範囲に該当したも
のを選び出し、不合格品については再度加工を施す方法
がとられている。
【0027】直列圧電共振子の共振周波数frを455
kHzに調整する場合も同様であるが、さらに、厚み縦
振動モードを利用する圧電共振子基板の場合、蒸着する
電極厚さを厚くする方法により共振周波数frを調整す
ることも可能である。
【0028】最後に熱エージングを行い、調整歪を緩和
して安定化を図る。この時、先に調整してきた周波数差
Δfも455kHzに調整した共振周波数fr及び反共
振周波数faもズレるので、上記工程はこうしたズレも
考慮して調整しておかなければならない。熱エージング
処理後、再度自動選別機などで適合した圧電共振子を選
別して圧電共振子の調整が終了する。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、圧電共
振子の特性調整を行うには、逆分極処理に依る周波数差
Δfの調整、反共振周波数faや共振周波数frを圧電
フィルタの中心周波数である455kHzに合わせるス
リット加工処理、コーナカット処理、及び特性を安定化
させる熱エージング処理などを施す必要があり、それら
の工程において処理の最適条件がそれぞれ異なるので画
一的な処理を施してゆくことが難しいという課題があっ
た。そのため、従来はこの一連の調整処理を行うために
大量の圧電共振子基板を製造して調整を行い、全数検査
により適合品を選び出し、不合格品は再度フィードバッ
クして適合するまで調整するという非能率的な方法を行
わざるをえないという課題もあった。
【0030】また、圧電共振子に逆分極処理を施した
り、圧電共振子周囲を加工することは周波数をはじめと
する特性の温度依存性増大などを招き、圧電共振子を不
安定化する可能性が高く、調整処理により圧電共振子の
周波数温度依存性が大きくなる場合は、材料開発にまで
フィードバックして調整した後に周波数が安定する材料
を再検討しなければならないという課題もあった。
【0031】次に、このような圧電共振子を使用した圧
電フィルタの組み立てについて説明する。図21は圧電
部品の一例として、4素子ラダー形圧電フィルタを模式
的に示した断面図である。複数の圧電共振子60、これ
ら圧電共振子60の間に挿入されて圧電共振子60を挟
持する複数の端子板61、端子板61同士を絶縁する絶
縁部材64及びバネ62からなる部品65は、一旦保護
ケース63の外で図21に示した状態に配列された後、
保護ケース63中に収納される。この図面では、保護ケ
ース63の開口部に樹脂等による蓋が配置されていない
が、通常、部品65を保護ケース63内に納めた後、保
護ケース63の開口部に蓋が配設され、部品65が保護
ケース63中に密封されることにより圧電フィルタが完
成する。
【0032】このように従来の圧電フィルタは、金属製
の端子板61に形成された突起61aより圧電共振子6
0表面に形成された電極と導通が図られ、また端子板6
1に形成された突起61aを介して圧電共振子63が挟
持された構造なので部品点数や部品の種類が多く、その
構造も不安定なものであった。
【0033】この圧電フィルタを組み立てるには、配列
された部品65をピンセット等で挟持した状態で保護ケ
ース63に挿入し、挟持する力を保護ケース63の内壁
に預けた後ピンセットを抜き取る方法が一般的である。
ピンセットを抜き取った後に保護ケース63内にて位置
にズレが生じた場合、圧電共振子60や端子板61等を
一つ一つ丁寧に修正する必要があった。
【0034】またこのような圧電フィルタではインピー
ダンス整合を取るために外部に抵抗用スペースを用意
し、別途準備した抵抗を接続する必要があった。
【0035】このように従来の圧電フィルタでは構造自
体が安定なものではなく、組み立てる方法自体も熟練を
要する細かい作業を必要とするという課題があった。ま
た、前記したようにインピーダンス整合をとるために
は、抵抗を外付けする必要があり、前記圧電フィルタを
電子部品に組み込む工程が複雑になるだけでなく、空間
的にも大きなスペースが必要となるため、前記圧電フィ
ルタを実装する電子部品の小型化が難しくなるという課
題があった。
【0036】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、圧電共振子の圧電特性を正確に調整するため
の、前述した逆分極処理、外形加工処理及び熱エージン
グ処理等の複雑な前処理を行ず、画一的な電気的処理だ
けを行った圧電共振子を用いても、共振周波数の正確な
調整が可能な圧電フィルタを提供することを目的として
いる。
【0037】また、本発明は圧電フィルタを構成する部
品の点数が少なく、組み立て方法が簡単なためにコスト
ダウンを図ることが可能で、低背位化も可能であり、か
つ耐衝撃性、信頼性に優れた圧電フィルタを提供するこ
とを目的としている。
【0038】さらに本発明は、インピーダンス整合のた
めの抵抗等を外付けする必要のない圧電フィルタを提供
することを目的としている。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る圧電フィルタは、圧電共振子がラダー型
に接続された圧電フィルタにおいて、これら圧電共振子
のそれぞれに直列及び並列にコンデンサが接続されてい
ることを特徴としている(1)。
【0040】また、本発明に係る圧電フィルタは、上記
(1)記載の圧電フィルタにおいて、圧電共振子に対し
てそれぞれに直列及び並列に接続される4個のコンデン
サが1枚の誘電体基板を用いて構成されていることを特
徴としている(2)。
【0041】また、本発明に係る圧電フィルタは、上記
(1)又は(2)記載の圧電フィルタにおいて、コンデ
ンサ基板、入出力端子に対して直列に接続される圧電共
振子基板、及び入出力端子に対して並列に接続される圧
電共振子基板の順序で積層され、1単位のラダー型圧電
フィルタが構成されていることを特徴としている
(3)。
【0042】以下、本発明を詳細に説明する。図1は、
圧電共振子11に直列および並列にそれぞれコンデンサ
s 、Cp が接続された状態を示した回路構成図であ
り、また図2は、図1に示した回路の等価回路図であ
る。
【0043】図2に示したように、圧電共振子の等価回
路はインダクタンスL1 及び容量C1 が直列に接続され
た回路と、この回路に容量C0 が並列に接続された回路
として表し得る。すなわち、ここでは考え方を簡略化す
るために、その値が小さいと考えられる抵抗は無視して
いる。
【0044】この図2に示した等価回路のインピーダン
ス|Z|は下記の数3式で与えられ、この回路の共振周
波数Frは下記の数4式で、反共振周波数Faは数5式
で与えられる。
【0045】
【数3】
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】但し、frは圧電共振子11の共振周波数
である。
【0049】上記数3式〜数5式において、コンデンサ
0 、Cs 、Cp は正の値をとるので下記の数6式が成
り立つ。
【0050】
【数6】
【0051】圧電共振子11の反共振周波数faは、下
記の数7式で与えられるので、これよりfr<Fr<F
a<faという関係が成り立つ。すなわち、図1に示し
たコンデンサCs 、Cp が設けられた共振回路の共振周
波数Fr及び反共振周波数Faは、コンデンサCs 、C
p の容量を調整することにより共振周波数frおよび反
共振周波数faの間で制御することが可能である。
【0052】
【数7】
【0053】次に、コンデンサを設けることにより周波
数を調整する場合のコンデンサの許容誤差について説明
する。
【0054】一般に圧電共振子として用いられるセラミ
ックスは種々の特性を有するものが存在するが、455
kHz近傍に共振を示す材料につき、機械的品質係数Q
mが高いものと低いものとでその圧電共振子の特性及び
等価回路定数を例示すると、下記の表1のような値をと
る。
【0055】
【表1】
【0056】このような特性を有する二つの材料からな
る圧電共振子11を用いて図1に示す共振回路を構成
し、446kHzに共振周波数を調整しようとした場
合、コンデンサCs 、Cp の静電容量のずれがどの程度
になったら、共振周波数が目標値に対して500Hzず
れるかを計算すると下記の表2のようになる。
【0057】
【表2】
【0058】この場合のコンデンサCs 、Cp の静電容
量の計算は下記の数8式及び数9式に従って計算する。
【0059】
【数8】
【0060】
【数9】
【0061】上記した表2から明らかなように、機械的
品質係数Qmが高い材料ほど、コンデンサCs 、Cp
静電容量のずれが共振周波数に及ぼす影響が少ないこと
がわかる。機械的品質係数Qmが著しく低い材料(Qm
=100.9)においても、コンデンサCs 、Cp の静
電容量を目標値に対して約6%以内に納めれば、周波数
の誤差は500Hz以内に納まることがわかる。コンデ
ンサCs 、Cp の静電容量の偏差が6%以内ということ
は、150℃の温度範囲でコンデンサCs 、Cp の静電
容量温度特性が400ppm/℃以内の値であればよい
ということを示しており、このような材料は実現可能で
ある。また、実際には機械的品質係数Qmの値として、
200〜1500程度の材料が多用されるているので、
コンデンサCs 、Cp における静電容量の許容誤差はも
う少し大きく見積もることが可能である。
【0062】また、上記表2の結果より、コンデンサC
s 、Cp の静電容量は数nF程度のものが必要であるこ
とがわかる。圧電セラミックスとして多用されているP
ZTからなる材料で、その比誘電率εr が2400のも
のを用い、厚さ150μm、一辺5mm角のコンデンサ
基板を形成すれば、約3500pFの静電容量を確保す
ることができ、この静電容量は電極の面積を変化させる
ことにより容易に制御することが可能である。
【0063】次に、コンデンサCs 、Cp を用いて、共
振周波数等の調整を行う場合にどのような構成のコンデ
ンサを形成すればよいかについて説明する。
【0064】図3(a)〜(d)は、直列圧電共振子1
1a、並列圧電共振子11bに対してそれぞれに直列及
び並列に4個のコンデンサCs1、Cs2、Cp1、Cp2が接
続された1単位のラダー型圧電フィルタを示した回路構
成図である。ここで、INは入力用端子を、OUTは出
力用端子を、GNDは接地用端子を示している。
【0065】図3(a)〜(d)に示したように、コン
デンサを接続する仕方として、4種類の接続方法があ
る。ここで、図3(a)に着目して回路構成図の書き方
を変えると図4に示すような回路構成図となる。そこ
で、図4に示した回路構成図を、直列圧電共振子11
a、並列圧電共振子11bを除いたコンデンサCs1、C
s2、Cp1、Cp2だけの回路構成に書き直すと、図5に示
すような回路構成図となる。図5に示した回路構成図に
おいて、接続端子1と接続端子2、及び接続端子3と接
続端子5との間に、それぞれ直列圧電共振子11aと並
列圧電共振子11bを接続すれば図4に示した回路構成
図と同様の構成となる。従って、図5に示したコンデン
サを含む回路を構成し、接続端子1と接続端子2との間
に直列圧電共振子11aを、接続端子3と接続端子5と
の間に並列圧電共振子11bを挿入すれば、図4に示し
た圧電フィルタが構成されることになる。
【0066】図5に示した回路をセラミックス誘電体材
料を使用したコンデンサ基板を用いて構成すると、図6
(a)に示すような2枚のコンデンサ基板12を使用し
た回路構成とすることが可能であり、さらに図6(b)
に示したように1枚のコンデンサ基板12を使用した回
路構成とすることも可能である。
【0067】図7(a)は、図6(b)に示した電極を
有する回路が形成されたコンデンサ基板12を模式的に
示した正面図であり、図7(b)はその裏面図である。
【0068】図7(a)、(b)に示したように誘電体
基板120の一主面には、2つの電極13a、13bが
形成されており、他の主面には3つの電極13c、13
d、13eが形成され、合計4個のコンデンサが構成さ
れている。この電極13a、13b、13c、13d、
13eと圧電共振子とを接続することにより共振回路が
構成され、コンデンサ基板12の誘電体材料の選定及び
電極の面積を調整することにより、4個のコンデンサの
静電容量の調整がなされ、これにより共振回路の共振周
波数Fr及び反共振周波数Faを制御することが可能に
なる。
【0069】以上、圧電共振子がラダー型に接続された
圧電フィルタにおいて、これら圧電共振子のそれぞれに
直列及び並列にコンデンサが接続された回路を構成し、
コンデンサの容量を変化させることにより、共振周波数
を制御することが可能なこと、及び前記コンデンサが一
枚のコンデンサ基板を用いて構成することが可能なこと
を説明した。
【0070】次に、前記した4個のコンデンサが形成さ
れた一枚のコンデンサ基板を用いて圧電フィルタを構成
する方法について説明する。
【0071】前記コンデンサ基板を用いて従来から使用
されている図21に示したような圧電フィルタを形成す
ることもできるが、電極同士の接続方法が難しくなるた
め好ましくない。そこで、圧電共振子を構成する基板
(圧電共振子基板)等と直接積層した形状の圧電フィル
タとする方法が考えられる。この場合、圧電共振子基板
は板状体の両主面のほぼ全域に電極を形成した通常の構
造では、積層した他の基板により振動が阻害されるた
め、使用することができない。従って、他のセラミック
ス基板と積層された状態でも、振動部分が自由に振動で
きる構成の圧電共振子基板を形成する必要がある。
【0072】図8(a)は前記構成の圧電共振子基板を
模式的に示した斜視図であり、(b)は前記圧電共振子
基板の平面図である。
【0073】この圧電共振子基板21は、振動部24、
保持部26及び振動部24と保持部26とを結合する結
合部25a、25bを備えている。そして、振動部24
が自由に振動できるように振動部24の周囲の大部分が
コの字状に削除され、振動を邪魔しない部分のみが結合
部25a、25bにより保持部26と結合され、一体化
が図られている。振動部24の両面には振動電極22
a、22b(図示せず)が形成され、結合部25a、2
5b及び保持部26にはそれぞれ片面にだけ端子電極2
3a、23bが形成されており、これら端子電極23
a、23bに交流を印加することにより両面に振動電極
22a、22bが形成された振動部24が振動するよう
になっている。端子電極の形状は、積層体の電極構造に
より変形させてもよい。
【0074】前記した圧電共振子基板21を使用する場
合でも、振動部24が他のセラミックス基板と直接接触
すると振動が阻害されるので、圧電共振子基板21同士
又は圧電共振子基板21と他のセラミックス基板を積層
する際には、スペーサ基板を介して積層する必要があ
る。
【0075】図9はスペーサ基板14を模式的に示した
平面図であるが、このスペーサ基板14は、図9に示し
たように中央の大部分に貫通孔14aが形成された構造
を有するものであればよい。圧電共振子基板に形成され
た電極の厚さが不均一であったり、圧電共振子基板に面
方向に対して微妙な反りがあった場合も、その度合いが
スペーサ基板14の厚さより小さければ、圧電共振子基
板が他の圧電共振子基板やコンデンサ基板に接触するこ
とはなく、圧電共振子基板の振動が阻害されることはな
い。
【0076】スペーサ基板14の4隅に小さな貫通孔1
4bが形成されているのは、この貫通孔14bに導電ペ
ーストなどの導電材料を埋設することにより、上下に位
置する他の基板間の電気的な接続を確保するためであ
る。
【0077】
【作用】本発明に係る圧電フィルタ(1)によれば、圧
電共振子がラダー型に接続された圧電フィルタにおい
て、これら圧電共振子のそれぞれに直列及び並列にコン
デンサが接続されているので、コンデンサの静電容量を
適切に選択することにより、画一的な圧電特性を有する
圧電共振子を用い、その分極状態等を精密に制御すると
いう複雑な工程を必要とせずに、容易に圧電共振子の共
振周波数及び反共振周波数を特定の値に調整することが
でき、安価な圧電フィルタの提供が可能になる。
【0078】また、本発明に係る圧電フィルタ(2)に
よれば、上記(1)記載の圧電フィルタにおいて、圧電
共振子に対してそれぞれに直列及び並列に接続される4
個のコンデンサが1枚の誘電体基板を用いて構成されて
いるので、上記(1)に記載のものが奏する作用の他、
この1枚のコンデンサ基板で1単位のラダー型圧電フィ
ルタの共振周波数及び反共振周波数の調整が可能にな
り、そのためより簡単な構造の圧電フィルタの提供が可
能になる。
【0079】また、本発明に係る圧電フィルタ(3)に
よれば、上記(1)又は(2)記載の圧電フィルタにお
いて、コンデンサ基板、入出力端子に対して直列に接続
される圧電共振子基板、及び入出力端子に対して並列に
接続される圧電共振子基板の順序で積層され、1単位の
ラダー型圧電フィルタが構成されているので、上記
(1)、(2)に記載のものが奏する作用の他、従来よ
り少ない部品により、容易に小型、低背位で、より簡単
な構造の耐衝撃、信頼性に優れた圧電フィルタが作製さ
れ、より安価な圧電フィルタの提供が可能になる。
【0080】また、上記圧電フィルタ(3)に、膜状抵
抗体が形成されたセラミックス基板が積層された場合に
は、インピーダンス整合用の抵抗体を外付けする必要が
なくなり、省スペース化が図られる。
【0081】
【実施例】以下、本発明に係る圧電フィルタの実施例を
図面に基づいて説明する。
【0082】まず、圧電共振子に直列及び並列にコンデ
ンサCp 、Cs を挿入した回路を構成することにより、
共振周波数及び反共振周波数の調整を行った試験例につ
いて説明する。
【0083】下記の表3に示した特性を有する圧電共振
子1を用い、図1に示した回路と同様に、圧電共振子1
に直列及び並列のコンデンサCp 、Cs を挿入した回路
を構成し、共振周波数Fr及び反共振周波数Faの調整
を行った。
【0084】
【表3】
【0085】上記表3に示したように圧電共振子1は共
振周波数frが451.875KHz、反共振周波数f
aが467.000KHzであり、この圧電共振子1を
使用して、共振周波数Frを460.000KHz、反
共振周波数Faを466.000KHzに調整すること
とした。
【0086】図1に示した回路、すなわち図2に示した
等価回路における、共振周波数Fr、反共振周波数Fa
は上記した数4式及び数5式で表され、これよりコンデ
ンサCp 、Cs の静電容量は上記した数8式及び数9式
で表される。
【0087】数8式および数9式に基づくコンデンサ容
量の計算から、Cp は48.349pFおよびCs は3
81.655pFとなったが、前記した静電容量を正確
に有するコンデンサを入手することが困難なので、静電
容量が47pFのコンデンサおよび静電容量が360p
Fのコンデンサを用いて共振周波数Fr及び反共振周波
数Faの調整を試みた。この場合、計算により予想され
る周波数は、共振周波数Frが460.213KHz、
反共振周波数Faは466.037KHzである。
【0088】図10は、共振周波数Fr、反共振周波数
Faを測定した結果を示したグラフであり、横軸に周波
数、縦軸にインピーダンスをとっている。図10の結果
より予想通りの周波数に制御されたことが解る。このよ
うにコンデンサの容量が5%以上ずれていても、目的と
する周波数から1KHzもずれずに共振周波数Fr、反
共振周波数Faを調整することが可能である。
【0089】次に、実施例に係る圧電フィルタについて
説明する。
【0090】図11は実施例に係る圧電フィルタを模式
的に示した斜視図である。
【0091】この圧電フィルタは、種々のセラミックス
基板の積層体であり、下から順次、入力側直列抵抗が基
板の上に形成された保護キャップ31、コンデンサ基板
32、スペーサ基板33、直列圧電共振子基板34、ス
ペーサ基板35、並列圧電共振子基板36、出力側並列
抵抗が基板の上に形成された保護キャップ37の順序で
積層、接着されている。またこの積層体の4隅には対角
線上に導電材料よりなる接地用電極38が形成され、他
の対角線上には入力用電極39、出力用電極40が形成
されている。
【0092】図12は、前記圧電フィルタの回路構成図
であり、ラダー型に接続された直列圧電共振子基板3
4、並列圧電共振子基板36のそれぞれに直列及び並列
に4個のコンデンサCs1、Cs2、Cp1、Cp2が接続さ
れ、さらに入出力端子に直列及び並列にインピーダンス
整合用の抵抗Rs 、Rp が接続されている。
【0093】また、図13(a)〜(h)は図10に示
した圧電フィルタを構成する個々の基板を模式的に示し
た平面図であり、(a)、(b)が入力側直列抵抗が基
板の上に形成された保護キャップ31、(c)(d)が
コンデンサ基板32、(e)、(f)がスペーサ基板3
3、(g)、(h)が直列圧電共振子基板34を示して
いる。また、配線の接続状態がわかり易いように、
(a)、(c)、(e)、(g)は、(b)、(d)、
(f)、(h)に示した各基板の裏側に形成された電極
等をそのままの方向から透視した平面図(以下、透視平
面図と記す)として示している。
【0094】図13(a)、(b)に示した保護キャッ
プ31の上面((b)に示した面)には、その周辺を除
いた部分に凹部31aが形成されており、凹部31aに
導電体及び樹脂を含有するペーストを塗布することによ
り形成された膜状抵抗体41が形成されており、一方四
隅には接地用電極38、入力用電極39、及び出力用電
極40が形成されている。凹部31aが形成されている
のは、膜状抵抗体41がその上に積層されるコンデンサ
基板32の電極32a、32b、32cと接触しないよ
うにするためである。
【0095】この保護キャップ31の上には、(c)、
(d)に示したコンデンサ基板32が積層され、膜状抵
抗体41に対向する面((c)に示した面)には面積の
異なる3つの電極32a、32b、32cが形成され、
他の面((d)に示した面)には2つの電極32d、3
2eが形成されている。(c)に示した電極のうち、電
極32aは膜状抵抗体41に接続され、電極32bはス
ルーホール42を通じて出力用電極40に接続され、も
う一つの電極32cはスルーホール42を通じて接地用
電極38に接続されている。他方、(d)に示した電極
32dはスペーサ基板33に形成されたスルーホール4
2を通じて直列圧電共振子基板34の(g)に示した電
極34aとSの部分で接続されており、他方電極32e
はPの部分を介し、同様にスルーホール42を通じて並
列圧電共振子基板36の電極(図示せず)に接続されて
いる。
【0096】(e)、(f)に示したスペーサ基板33
はコンデンサ基板32と直列圧電共振子基板34とが接
触しないようにするために積層された基板であり、四隅
にスルーホール42が形成され、その上下に配置される
基板同士の電気的導通が図られている。スペーサ基板3
3は直列圧電共振子基板34や並列圧電共振子基板36
と同様の材料により構成してもよく、配線部分による容
量の発生を抑えるためにアルミナ等の誘電率の低い基板
で構成してもよい。
【0097】(g)、(h)に示した直列圧電共振子基
板34は、図8に示した圧電共振子基板21と同様の構
造を有し、振動電極34a、34bが形成された部分が
自由に振動できるようになっている。(h)に示した振
動電極34bはスルーホール42を通じて出力用電極4
0に接続されている。
【0098】なお、直列圧電共振子基板34の上には、
前述したようにスペーサ基板35、並列圧電共振子基板
36、保護キャップ37が積層されているが、電極の接
続方法等が若干異なる他はほぼ同様の構成を有している
ので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0099】多段のラダー型圧電フィルタを構成する場
合には、前記した構成の積層体を1単位とし、スペーサ
基板を介して何単位か積層すればよい。また、前記1単
位ごとに圧電フィルタを横に並べ、お互いに接続するこ
とによっても多段化を図ることができ、この場合は多段
の圧電フィルタであっても、低背位の圧電フィルタを構
成することができる。
【0100】前記実施例に係る圧電フィルタにおいて、
コンデンサ基板32の電極面積がどの程度になるかを計
算してみることにする。表3に示した圧電共振子1を直
列圧電共振子基板34とし、表3に示した圧電共振子2
を並列圧電共振子基板36とする。圧電共振子2の共振
周波数を454KHz、反共振周波数を460KHzと
するにはCp2=511.3pF、Cs2=3651.2p
Fとすればよい。圧電共振子1は上述したように共振周
波数を460KHz、反共振周波数を466KHzとす
るにはCp1=48.3pF、Cs1=381.6pFにす
ればよい。よって4つのコンデンサの合計容量はおよそ
4600pFとなる。このコンデンサを比誘電率(ε
r )が5000、厚さ(d)が150μmの誘電体を用
いて構成すると、その電極面積(S)は下記の数10式
から求められ、その結果Cp1、Cs1、Cp2、Cs2の順に
電極面積(S)は、0.164mm2 、1.293mm
2 、1.732mm2 、12.371mm2 となり、そ
の合計した面積は15.56mm2 となる。このような
電極は、例えば前記誘電特性を有する約5mm角の誘電
体基板上に十分形成することが可能である。
【0101】
【数10】
【0102】一方、誘電体基板の比誘電率からいって、
電極面積が大きくなりすぎ、静電容量の精度を十分に確
保することが難しい場合には、直列圧電共振子用のコン
デンサと並列圧電共振子用のコンデンサとを誘電率の異
なる2個のコンデンサ基板に別々に構成すればよい。
【0103】図14(a)は、2個のコンデンサが1枚
のコンンデンサ基板に形成されたコンデンサ基板を示し
た平面図であり、(b)はその透視平面図である。この
コンデンサ基板12’には、一主面に面積の異なる2個
の電極13a’、13b’が形成され、他の主面にも同
様の形状の電極13c’、13d’が形成され、これに
より2個のコンデンサが形成されている。
【0104】コンデンサ基板12’を比誘電率(εr
=1000でその厚さ(d)が200μmの材料を用い
て形成すると、静電容量が47pFのコンデンサを形成
するにはその電極面積が1.062mm2 となり、静電
容量が360pFのコンデンサを形成するには電極面積
(S)は8.132mm2 となる。図14に示したコン
デンサ基板12’としては、約4mm角のものを使用し
て、その主面に約3mm角の範囲内に電極13a’、1
3b’を、その面積が約1:8となるように形成すれば
よい。
【0105】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る圧電フ
ィルタ(1)にあっては、圧電共振子がラダー型に接続
された圧電フィルタにおいて、これら圧電共振子のそれ
ぞれに直列及び並列にコンデンサが接続されているの
で、コンデンサの静電容量を適切に選択することによ
り、画一的な圧電特性を有する圧電共振子の分極状態等
を精密に制御するという複雑な工程を必要とせずに、容
易に圧電共振子の共振周波数及び反共振周波数を特定の
値に調整することができ、安価な圧電フィルタの提供が
可能になる。
【0106】また、本発明に係る圧電フィルタ(2)に
あっては、上記(1)記載の圧電フィルタにおいて、圧
電共振子に対してそれぞれに直列及び並列に接続される
4個のコンデンサが1枚の誘電体基板を用いて構成され
ているので、この1枚のコンデンサ基板で1単位のラダ
ー型圧電フィルタの共振周波数及び反共振周波数の調整
が可能になり、そのためより簡単な構造の圧電フィルタ
の提供が可能になる。
【0107】また、本発明に係る圧電フィルタ(3)に
よれば、上記(1)又は(2)記載の圧電フィルタにお
いて、コンデンサ基板、入出力端子に対して直列に接続
される圧電共振子基板、及び入出力端子並列に接続され
る圧電共振子基板の順序で積層され、1単位のラダー型
圧電フィルタが構成されているので、上記(1)、
(2)に記載の効果の他、従来より少ない部品により、
容易に小型、低背位で、より簡単な構造の耐衝撃、信頼
性に優れた圧電フィルタが作製され、より安価な圧電フ
ィルタの提供が可能になる。また、この圧電フィルタは
積層型であるので、従来の圧電フィルタより容易に他の
電子部品等に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電共振子に直列および並列にそれぞれコンデ
ンサが接続された状態を示した回路構成図である。
【図2】図1に示した回路の等価回路図である。
【図3】(a)〜(d)は、直列圧電共振子、並列圧電
共振子に対してそれぞれに直列及び並列に4個のコンデ
ンサが接続された1単位のラダー型圧電フィルタを示す
回路構成図である。
【図4】図3(a)に示した回路を変形した回路構成図
である。
【図5】図4の示した回路より圧電共振子を除いた回路
を示す回路構成図である。
【図6】(a)は図5に示した回路を2枚の誘電体基板
を使用することにより構成した回路構成図であり、
(b)は同じ回路を1枚の誘電体基板を使用することに
より構成した回路構成図である。
【図7】(a)は図6(b)に示した回路を形成するた
めのコンデンサ基板の一主面の電極の形状を示した平面
図であり、(b)は他の主面の電極の形状を示した平面
図である。
【図8】(a)は本発明に用いられる圧電共振子基板を
模式的に示した斜視図であり、(b)は前記圧電共振子
基板の平面図である。
【図9】本発明に用いられるスペーサ基板を模式的に示
した平面図である。
【図10】試験例に係る圧電フィルタを使用して共振周
波数及び反共振周波数を測定した結果を示したグラフで
ある。
【図11】実施例に係る圧電フィルタを模式的に示した
斜視図である。
【図12】図10に示した圧電フィルタの回路構成図で
ある。
【図13】(a)〜(h)は図10に示した圧電フィル
タを構成する個々の基板を模式的に示した平面図であ
る。
【図14】(a)は、2個のコンデンサが1枚のコンン
デンサ基板に形成されたコンデンサ基板を示した平面図
であり、(b)はその透視平面図である。
【図15】圧電共振子に一定範囲の周波数を有する交流
電圧を印加した場合の、周波数に対する圧電共振子のイ
ンピーダンスと位相との関係を示したグラフである。
【図16】圧電共振子の等価回路を示した回路構成図で
ある。
【図17】ラダー型に接続された圧電共振子からなる圧
電フィルタを示した回路構成図である。
【図18】多段ラダー型に直列圧電共振子、及び並列圧
電共振子が接続された圧電フィルタの回路を示した回路
構成図である。
【図19】反共振周波数を減少させるために、スリット
が形成された圧電共振子基板を模式的に示した平面図で
ある。
【図20】反共振周波数を増加させるためにコーナーカ
ット部が形成された圧電共振子基板を模式的に示した平
面図である。
【図21】4素子ラダー形圧電フィルタを模式的に示し
た断面図である。
【符号の説明】
11 圧電共振子 21 圧電共振子基板 12、12’、32 コンデンサ基板 13a・・・ 、13e、13a’・・・ 、13d’、32a
・・・ 32e 電極 14、33、35 スペーサ基板 11a、34 直列圧電共振子基板 11b、36 並列圧電共振子基板 41 膜状抵抗体 120 誘電体基板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電共振子がラダー型に接続された圧電
    フィルタにおいて、これら圧電共振子のそれぞれに直列
    及び並列にコンデンサが接続されていることを特徴とす
    る圧電フィルタ。
  2. 【請求項2】 圧電共振子に対してそれぞれに直列及び
    並列に接続される4個のコンデンサが1枚の誘電体基板
    を用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載
    の圧電フィルタ。
  3. 【請求項3】 コンデンサ基板、入出力端子に対して直
    列に接続される圧電共振子基板、及び入出力端子に対し
    て並列に接続される圧電共振子基板の順序で積層され、
    1単位のラダー型圧電フィルタが構成されていることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電フィル
    タ。
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