JPH08180888A - 燃料電池スタックおよび燃料電池スタック用電極接合体ならびにその製造方法 - Google Patents

燃料電池スタックおよび燃料電池スタック用電極接合体ならびにその製造方法

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JPH08180888A
JPH08180888A JP6336718A JP33671894A JPH08180888A JP H08180888 A JPH08180888 A JP H08180888A JP 6336718 A JP6336718 A JP 6336718A JP 33671894 A JP33671894 A JP 33671894A JP H08180888 A JPH08180888 A JP H08180888A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池スタックにおける電極端部を確実に
支持して、反応ガスの漏洩を防止すると共に、燃料電池
スタックの小型軽量化を実現する。 【構成】 固体電解質21の両側に電極22、23が接
合されてなる電極接合体20において、電極端部からは
み出している固体電解質の露出面を被覆する樹脂被覆部
24が、電極接合体の両面において電極と面一に設けら
れてなる。この樹脂被覆部を両側よりガスセパレータ2
5で挟持接合して、燃料電池スタックが構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料電池スタックおよび
燃料電池スタック用電極接合体ならびにその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、使用される電解質の種類に
より、固体高分子電解質型、リン酸型、溶融炭酸塩型、
固体酸化物型等の各種が知られている。このうち固体高
分子電解質型燃料電池は、分子中にプロトン交換基を有
する高分子樹脂膜を飽和に含水させるとプロトン導電性
電解質として機能することを利用した燃料電池であっ
て、比較的低温度域で作動し、発電効率も優れているた
め、電気自動車搭載用を初めとして各種の用途が見込ま
れている。
【0003】固体高分子電解質型燃料電池スタックは、
固体高分子電解質膜の両面にガス拡散電極をホットプレ
ス等の手段により接合してなる電極接合体(単セル)
と、カーボンや金属製のガスセパレータとを積層した構
造を有する(たとえば特開平6−119928号公報参
照)。
【0004】ガス拡散電極は、電解質膜に接する側に配
される触媒活物質を含む触媒層と、この触媒層を支持す
ると共に反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)を供給およ
び排出し、さらに集電体としての機能をも有する多孔質
のガス拡散層とからなり、一方のガス拡散電極は燃料ガ
ス(たとえば水素ガスまたは水素を高濃度に含むガス)
の供給を受ける燃料電極(アノード極)となり、他方の
ガス拡散電極は酸化剤ガス(たとえば空気)の供給を受
ける酸化剤電極(カソード極)となる。
【0005】このような従来技術による2セルの燃料電
池スタックの構成例が図3に示される。
【0006】単セル10は、上記のように、電解質膜1
1の両面にガス拡散電極12が接合されてなる。
【0007】ガスセパレータは、表裏面にそれぞれ多数
の凹溝2、3が互いに直交方向に形成されたガス不透過
性材料(たとえばグラファイト)よりなるセパレータ板
1が、フェノール樹脂等の樹脂絶縁材料よりなるセパレ
ータ枠4の内部に収納された状態で支持されて構成され
ている。セパレータ枠4にはガスマニホールドを収容す
るためのマニホールド装填口5が開口形成される。
【0008】この燃料電池スタックにおいて、マニホー
ルド装填口5に装填される燃料ガスガス供給マニホール
ド(図示せず)には燃料ガスが導入され、セパレータ枠
4の内部に形成される流路孔6を介して、セパレータ板
1とセパレータ枠4との間の上方空間領域7に導入さ
れ、セパレータ板1の表面側の凹溝2を図において左方
向に流動する。そして、図示されない反対側端部におい
て、同様にセパレータ板1とセパレータ枠4との間に形
成される上方空間領域(7)およびセパレータ枠4の内
部に形成される流路孔(6)を通り、燃料ガス排出マニ
ホールドに排出される。
【0009】酸化剤ガスは、セパレータ板1の下面に形
成された凹溝3を通って、燃料ガスとは直交方向に流れ
る。凹溝3は、セパレータ板1とセパレータ枠4との間
の下方に形成される下方空間領域8を介して、図3に示
されるマニホールド装填口5と直交方向に形成されるマ
ニホールド装填口に装填される酸化剤ガス供給あるいは
排出マニホールドと連通している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図3に示さ
れるように構成される燃料電池スタックにおいては、電
解質膜11の端部を上下に積層されるガスセパレータで
両側から挟持するものであるため、各セパレータと電解
質膜との接合面は平面でなければならない。一方、燃料
電池スタックにおいては、小型軽量化を図るため、ガス
供給あるいは排出用マニホールドをガスセパレータの内
部に設置する内部マニホールド方式が採用されることが
多い。このため、一枚のガスセパレータを作成するに
は、セパレータ枠4のマニホールド装填口5の内側部分
を上方から切削除去して流路孔6に相当する凹溝を複数
並設した後、被覆部材9を載置接合して流路孔6を上方
より閉塞する工程が必要であった。被覆部材9は、電極
端部支持のための高さ調整手段としても必要である。
【0011】このため、ガスセパレータの製造工程が複
雑化するだけでなく、被覆部材9の接着部分からガスが
漏洩する危険が潜在していた。
【0012】また、ガス拡散電極12がガスセパレータ
の上方空間領域7および下方空間領域8において終端し
ているため、これら空間領域を流れるそれぞれの反応ガ
スにガス拡散電極12の端部および電解質膜11がさら
されている。このため、特に上方空間領域7を流れる燃
料ガスにさらされる上面側において、ガス拡散電極12
に用いられる触媒(Pt)と燃料ガス(水素)とが反応
して発火する危険が伴う。
【0013】さらに、電解質膜11は燃料電池稼働時に
は膨潤状態にあるため、ガス拡散電極12が電解質膜か
ら剥離し、さらには剥離した電極が流路孔を塞いで反応
ガスの流通を妨げるという障害も生じていた。
【0014】そこで、上記従来技術では反応ガスにさら
されていた部分を被覆し、かつ電極端部をセパレータ枠
の両側から支持する構造とすることが要求される。この
要求は、電極端部を図3において右方向に延長させてこ
の端部を支持するための凹部をセパレータ枠4の内枠部
の部分13に形成するか、逆にセパレータ枠の内枠部を
図3に示される位置よりも左方向に延長して電極端部支
持用の凹部を形成することによって満たすことが可能で
ある。しかしながら、後者によるときは流路孔の容積が
小さくなってしまい、また、いずれにしても電極端部支
持用の凹部を加工する手間が余分にかかるので好ましく
ない。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
従来技術の問題点を解消し、加工手間を要することなく
電極端部を確実に固定して反応ガスの漏洩を防止するこ
とのできる新規なシール手段を備えた燃料電池スタック
を提供することを目的とする。
【0016】また、本発明は、従来技術において必要と
されていた流路孔閉塞用および高さ調整用の被覆部材を
不要化することによりセパレータの製造工程を簡略化
し、またセパレータを薄くすることにより燃料電池スタ
ックの小型軽量化を達成することを目的とする。
【0017】これらの目的を達成するため、本発明で
は、電極接合体において両側の電極よりもはみ出してい
る電解質膜端部の露出面を樹脂接着剤により被覆するこ
とを提案する。
【0018】すなわち、本発明は、固体電解質の両側に
電極を配した電極接合体とガスセパレータとが交互に積
層されてなる燃料電池スタックにおいて、前記ガスセパ
レータの一側面には隣接する一方の電極接合体の電極に
燃料ガスを供給するための燃料ガス流路溝が設けられる
と共に、他側面には隣接する他方の電極接合体の電極に
酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路溝が設けら
れ、前記電極接合体の四周端部には前記電極の端部から
はみ出している前記固体電解質の露出面を被覆する樹脂
被覆部が設けられ、前記樹脂被覆部が両側より前記ガス
セパレータの間に挟持されて接合されてなることを特徴
とする。
【0019】前記樹脂被覆部は、好ましくは、前記電極
接合体の両面において前記電極と面一に設けられる。
【0020】また、本発明は、固体電解質の両側にガス
流通可能な多孔質材よりなる電極が接合されてなる電極
接合体において、前記電極の端部からはみ出している前
記固体電解質の露出面を被覆する樹脂被覆部が、前記電
極接合体の両面において前記電極と面一に設けられてな
ることを特徴とする。
【0021】さらに、本発明による燃料電池スタック用
電極接合体の製造方法は、固体電解質膜の両側にガス流
通可能な多孔質材よりなる電極を接合し、前記電極の端
部からはみ出している前記固体電解質の露出面を被覆す
るように樹脂接着剤を充填し、燃料電池スタックを固定
する際の実際の組み付け荷重以上の荷重条件で両側から
加圧しながら、前記樹脂接着剤を乾燥硬化させ、後に治
具を外して前記樹脂接着剤による樹脂被覆部を形成する
ことを特徴とする。
【0022】
【作用】電極接合体における樹脂被覆部は、電極端部か
らはみ出している電解質膜の露出面を被覆する。燃料電
池スタックにおいては、樹脂被覆部が両側よりガスセパ
レータ間に挟持されて接合されることにより、電極端部
が確実に支持され、反応ガスの漏洩を防止する。
【0023】スタック組み付け時においては、電極接合
体とガスセパレータ間の接触抵抗を低下させるために、
スタック両側より加圧する。組み付け荷重以上の荷重条
件で両側から加圧されることにより硬化した樹脂被覆部
は、組み付け時においては非弾性体となっているので、
スタック組み付け時の加圧条件下においても変形から防
止され、ガスセパレータからはみ出すことがなく、弾性
体である電極接合体とガスセパレータとが圧接される。
【0024】
【実施例】以下図1および図2を参照して本発明の一実
施例による燃料電池スタックの構成を説明する。
【0025】電極接合体20は、図1に示されるよう
に、電解質膜21の両側にガス拡散電極(以下単に電極
と言う)22、23が接合されてなり、さらに、これら
電極からはみ出している電解質膜の四周端部の露出面を
被覆するエポキシ系接着剤よりなる樹脂被覆部24が設
けられる。
【0026】樹脂被覆部24による端部被覆工程は、電
解質膜21の両側に電極22、23を接合した電極接合
体20を治具に挟み、電解質膜21の端部露出面を被覆
するようにエポキシ系接着剤を充填し、燃料電池スタッ
クを固定する際の実際の組み付け荷重以上の荷重(たと
えば15kgf/cm2)で両側から加圧しながら、自
然乾燥により接着剤を硬化させた後に治具を外すことに
よって行うことができる。これにより、樹脂被覆部24
の厚みは電極接合体20の厚みと同一に成形され、しか
も燃料電池スタックの組み付け時において50kgf/
cm2を上限として上記加圧による荷重以下の荷重(た
とえば10kgf/cm2)を加えても、成形された樹
脂被覆部24は非弾性体となっているため、燃料電池ス
タックにおいてセパレータからはみ出ることがなく、弾
性体である電極接合体20とガスセパレータ25とが圧
接される。
【0027】このような電極接合体20を2つ用いて各
々をガスセパレータ25で挟持しながら積層して得た2
セルの燃料電池スタックが図2に示される。
【0028】ガスセパレータ25は、その上面および下
面にそれぞれ反応ガスの流路溝となる凹溝26、27を
有するグラファイト等のガス不透過性材料よりなるセパ
レータ板28と、該セパレータ板28を囲繞支持するフ
ェノール樹脂等の樹脂絶縁材料よりなるセパレータ枠2
9とからなる。セパレータ枠29は、反応ガスを供給あ
るいは排出するためのガスマニホールドを装填可能なマ
ニホールド装填口30を四周辺部分に各々有すると共
に、各マニホールド装填口30の内周側に通ずるガス流
路孔31が貫通形成されている。
【0029】セパレータ枠29におけるガス流路孔31
は、セパレータ板28におけるガス流路溝26、27と
平行に形成される。すなわち、樹脂絶縁材料を射出成形
する一工程で、ガス流路孔31を備えたセパレータ枠2
9が形成され、従来技術に用いられていた被覆部材9を
製造する工程およびこの被覆部材を載置してガス流路孔
を閉塞する工程を必要としない。
【0030】セパレータ枠29のガス流路孔31は、一
端においてマニホールド装填口30に開口し、他端にお
いてセパレータ板28とセパレータ枠29との間に形成
される空間部32に開口している。空間部32は、セパ
レータ板28の一方のガス流路溝、たとえば上方に形成
される燃料ガス流路溝26に通じている。かくして、燃
料ガスは、マニホールド装填口30に装填される燃料ガ
ス供給マニホールド(図示せず)から、セパレータ枠2
9内のガス流路孔31および空間部32を通って、セパ
レータ板28上面の燃料ガス流路溝26を図において左
方向に流れてゆく。そして、図示される端部の反対側に
同様に形成されている空間部(32)およびガス流路孔
(31)を通って、反対側のマニホールド装填口(3
0)に装填される燃料ガス排出マニホールド(図示せ
ず)に排出される。他方の反応ガスである酸化剤ガス
は、セパレータ板28下面の酸化剤ガス流路溝27を通
って、燃料ガスとは直交方向に流れるものであるが、そ
の詳細説明は省略する。
【0031】セパレータ枠29のマニホールド装填口3
0の内側部分33の厚みは、セパレータ板28の厚みと
略同一であり、セパレータ枠のマニホールド装填口の外
側部分34の厚みは、セパレータ板28の厚みに電極接
合体20の全体厚みを加えたものと略同一である。
【0032】電極接合体20、セパレータ板28および
セパレータ枠29の各々の接合箇所には、熱硬化性樹脂
によるシール剤35が塗布され、反応ガスのリークを防
止している。
【0033】なお、図示実施例においては、図1から明
らかなように、電極接合体20全体としては正方形の表
裏面を有しているが、一方の面に設けられる電極22と
他方の面に設けられる電極23はいずれも長方形の面形
状を有し、しかも、それら長方形の長辺と短辺との関係
が電極22と電極23とでは異なるように形成されてい
る。このため、電極22の側においては樹脂被覆部24
は図1において上下方向に幅広とされ、電極23の側に
おいては反対に図1において左右方向に幅広とされてい
る。このような設計により、各々の電極面上を流れる反
応ガスに対して適切なシール効果を与えることができ
る。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、電極端部を被覆する樹
脂被覆部を設けたことにより、セパレータ間において確
実に電極端部を支持することができ、電極端部からの反
応ガスの漏洩を防止することができる。
【0035】また、燃料電池スタックに用いられるガス
セパレータにおけるセパレータ枠の加工が簡略化される
と共に、セパレータ厚みが減少される(たとえば従来の
セパレータ厚み5.3mmを本発明によれば4.3mm
程度に薄くすることができる)ので、燃料電池スタック
の小型軽量化が実現される。
【0036】さらに、電極端部が樹脂被覆部で被覆され
るため、燃料電池スタックにおいて電解質膜が反応ガス
に晒される露出部分がなくなり、電解質膜の膨潤による
剥離等の燃料電池稼働時のトラブルが解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による燃料電池スタックに用
いられる電極接合体の構成を示す上面図、側面図および
下面図である。
【図2】図1の電極接合体を用いた2セルの燃料電池ス
タックを示す部分断面図である。
【図3】従来技術による燃料電池スタックの構成例を示
す部分断面図である。
【符号の説明】
20 電極接合体(燃料電池単セル) 21 電解質膜 22、23 ガス拡散電極 24 樹脂被覆部 25 ガスセパレータ 26、27 凹溝(ガス流路溝) 28 セパレータ板 29 セパレータ枠 30 マニホールド装填口 31 ガス流路孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質の両側に電極を配した電極
    接合体とガスセパレータとが交互に積層されてなる燃料
    電池スタックにおいて、前記ガスセパレータの一側面に
    は隣接する一方の電極接合体の電極に燃料ガスを供給す
    るための燃料ガス流路溝が設けられると共に、他側面に
    は隣接する他方の電極接合体の電極に酸化剤ガスを供給
    するための酸化剤ガス流路溝が設けられ、前記電極接合
    体の四周端部には前記電極の端部からはみ出している前
    記固体電解質の露出面を被覆する樹脂被覆部が設けら
    れ、前記樹脂被覆部が両側より前記ガスセパレータの間
    に挟持されて接合されてなることを特徴とする燃料電池
    スタック。
  2. 【請求項2】 前記樹脂被覆部が前記電極接合体の両
    面において前記電極と面一に設けられることを特徴とす
    る請求項1の燃料電池スタック。
  3. 【請求項3】 固体電解質の両側にガス流通可能な多
    孔質材よりなる電極が接合されてなる電極接合体におい
    て、前記電極の端部からはみ出している前記固体電解質
    の露出面を被覆する樹脂被覆部が、前記電極接合体の両
    面において前記電極と面一に設けられてなることを特徴
    とする燃料電池スタック用電極接合体。
  4. 【請求項4】 固体電解質膜の両側にガス流通可能な
    多孔質材よりなる電極を接合し、前記電極の端部からは
    み出している前記固体電解質の露出面を被覆するように
    樹脂接着剤を充填し、燃料電池スタックを固定する際の
    実際の組み付け荷重以上の荷重条件で両側から加圧しな
    がら、前記樹脂接着剤を乾燥硬化させ、後に治具を外し
    て前記樹脂接着剤による樹脂被覆部を形成することを特
    徴とする燃料電池スタック用電極接合体の製造方法。
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