JPH0817643A - 油入電気機器 - Google Patents

油入電気機器

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Publication number
JPH0817643A
JPH0817643A JP14328394A JP14328394A JPH0817643A JP H0817643 A JPH0817643 A JP H0817643A JP 14328394 A JP14328394 A JP 14328394A JP 14328394 A JP14328394 A JP 14328394A JP H0817643 A JPH0817643 A JP H0817643A
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JP
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tank
oil
soundproof
pressure
soundproof tank
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JP14328394A
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Inventor
Toshio Chikama
敏夫 近間
Junpei Ueno
純平 上野
Eisuke Toyoda
英輔 豊田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 防音タンクの破裂が生じた場合に防音タンク
の変形量を少なくするか、または、防音タンクの変形が
生じた場合にその内部に配置した消火装置の破損を防止
する。 【構成】 防音タンク4の壁面または天井面6の一部に
は、避圧装置20が設けられる。避圧装置20は、防音
タンク4の壁面または天井面6を貫通する避圧窓21、
この避圧窓21の周囲に設けられた避圧窓枠22、およ
び薄く機械的に破損し易い材料で形成された避圧膜23
を備える。避圧膜23は、その外周部において避圧窓枠
22上に乗せられ、この避圧膜23の外周部の上に押え
板24が配置され、この押え板24と避圧窓枠22とが
締付ボルト25によって締め付けられる。避圧膜23の
面積は、一般の機器の避圧膜に比べて格段に大きくされ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油入変圧器およびリア
クトルなどの油入電気機器に係り、特に、UHV(10
00kV)送電用の油入電気機器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、送電系統に使用される変圧器やリ
アクトルなどの油入電気機器は、絶縁油を充填したタン
ク内に機器本体部を収納して構成されている。このよう
な油入電気機器においては、運転時に発生する電磁振動
や、隣接して設けられる冷却装置によって騒音を生じ
る。そのため、特に、都市部の変電所などに設置される
油入電気機器においては、周囲環境に対する騒音伝達を
防止する目的で、機器本体部を収納した本体タンクの外
側に防音タンクを設置することが多い。
【0003】しかしながら、このような油入電気機器の
内部で閃絡事故が生じると、閃絡アークが絶縁油を熱分
解してガスを発生させるため、本体タンク内部の圧力が
急激に上昇する。このような事故時に、本体タンクが一
部破裂した場合には、内部の分解ガスが本体タンクの外
側の防音タンク内部空間に噴出し、火災になることが懸
念される。そのため、通常は、防災対策として、防音タ
ンクの内部に消火装置を配置している。
【0004】図17は、このような消火装置として、最
も一般的な放水式の消火装置を備えた従来の油入電気機
器の一例を示す図である。以下には、この油入電気機器
の一例について説明する。
【0005】図17に示すように、機器本体部1は、本
体タンク2の中に収納されており、この本体タンク2内
には、機器本体部1の電気的絶縁と熱放散のために、絶
縁油3が充填されている。また、本体タンク2の外側に
は、油入電気機器の運転時に発する電磁振動や、図示し
ていない冷却装置によって発生する騒音が周囲に伝達さ
れることを防止するための防音タンク4が設置されてい
る。この防音タンク4の内側と本体タンク2の外側との
間に形成される防音タンク4の内部空間5は、本体タン
ク2のメンテナンス用として使用される空間であり、こ
の内部空間5には、以下に述べる消火装置10が配置さ
れている。また、図中6は、防音タンク4の壁面または
天井面を示している。なお、油入電気機器には、この他
にも、冷却装置、タップ切換え装置、制御盤などの装置
が付属するが、これらの装置は本発明に関係ないためそ
の説明は省略する。
【0006】次に、以上のような防音タンク4の内部空
間5に配置された消火装置について説明する。この消火
装置10は、放水ノズル11、給水配管12、および給
水バルブ13などの消火水系統装置と、温度検出器14
および電気配線管15などの検出系統装置から構成され
ている。そして、両系統の装置は、防音タンク4の壁面
または天井面に対して固定金具16を用いて強固に支持
固定されている。
【0007】以上のような構成を有する消火装置10
は、防音タンク4の内部空間5の火災発生時に動作し、
火災を防音タンク4内で消火して、防音タンク4外に延
焼することを防止できるように設計されている。また、
防音タンク4内の火災で最も過酷なケースは、前述した
ように、閃絡事故時に本体タンク2が一部破裂して防音
タンク4の内部空間5に火災が発生する場合である。す
なわち、機器本体部1の内部に閃絡事故が生じ、その閃
絡アークが絶縁油を熱分解してガスを発生させ、本体タ
ンク2内部の圧力が急激に上昇した際に、本体タンク2
が一部破裂すると、内部の分解ガスが本体タンク2の外
側の防音タンク4の内部空間5に噴出し、火災になる場
合がある。消火装置10はこのような火災時に有効な消
火機能を発揮できるように設計されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これまで一
般に、油入電気機器における事故拡大の限度について
は、次のように理解されている。すなわち、油入電気機
器内部の閃絡アークは、油入電気機器の保護リレーが動
作することによって事故電流が遮断されるまでの短時間
しか継続しないため、仮に本体タンクが一部破裂して
も、この本体タンクから噴出する分解ガスの量は少ない
と考えられている。そしてまた、このような解釈から、
たとえ、本体タンクから噴出する分解ガスによって、防
音タンクの内部空間で火災を発生した場合でも、この分
解ガスの噴出量が少ないため、この分解ガスによって防
音タンクまでもが破裂する可能性はなく、したがって、
火災が防音タンクの外側にまで波及することはないもの
と考えられている。
【0009】しかしながら、このことは逆に、仮に、油
入電気機器の保護リレーが正常に動作せず、事故電流の
遮断を予備保護リレーに頼らざるを得ないような極めて
希な場合には、以上のような事故拡大の限度の前提条件
が崩れて、多量の分解ガスが発生し、火災が防音タンク
の外側にまで波及し得ることを意味している。このよう
な事故拡大の可能性は、極めて確率が低いとしてもこれ
を除去することが必要である。特に、将来的に実用化が
予定されているところの、UHV(1000kV)送電
用の油入電気機器のように電力供給上重要な機器におい
ては、事故拡大により電力供給が停止するような事態の
発生を確実に回避し、常に安定した電力供給を行うこと
が要求される。
【0010】以下には、このような油入電気機器の事故
拡大現象について、より詳しく説明する。すなわち、油
入電気機器内部の閃絡事故時の本体タンクの破裂に関し
ては、文献:電気共同研究40巻5号(電気協同研究会
昭和60年1月発行)に詳しく研究結果が発表されて
いるが、その中から必要な情報を引用して以下の説明を
行う。なお、以下には、この文献を「電協研報告」と略
称する。
【0011】まず、内部閃絡事故による閃絡アークが絶
縁油の分解ガスを発生させる量は、「電協研報告の11
頁 1−2−2(b)(i)項 分解ガスの発生量」に
よると、単位時間あたりのアークエネルギーに対して、
0.5lit/kW・secである。この場合、単位時
間あたりのアークエネルギーをUとすると、このUは次
の式(1)で求められる。なお、この式(1)におい
て、Vはアーク電圧(V)、Iはアーク電流実行値(k
A)である。
【数1】 また、この式(1)を用いて、500kV単相変圧器の
場合のアークエネルギーを計算すると、次のようにな
る。すなわち、アーク電圧は8000V、アーク電流実
行値は50kAであり、単位時間あたりのアークエネル
ギーは、360000(kW・sec /sec )となる。そ
して、この場合の分解ガス発生量は、保護リレーが故障
を除去する時間を60msec とすると、10800li
tすなわち10.8m3 となる。
【0012】さらに、「電協研報告の15頁 1−3−
1(3)項」では、500kV単相変圧器の場合、この
ような分解ガスによるタンク内圧上昇は、タンクの破裂
耐圧5kg/cm2 に至らず、本体タンクは破裂しない
ものと結論づけている。したがって、従来技術の防音タ
ンク内の消火設備は、万一、本体タンクの品質に問題が
あった場合に、破裂とは言わないまでも、一部に亀裂な
どが生じて内部のガスが噴出するような事態を想定した
バックアップとしての防災設備という位置づけとなって
いる。
【0013】ところで、本明細書で問題として取り上げ
ているのは、本体タンクの強度ではなく、本体タンクが
万一破裂し、防音タンクの内部空間に分解ガスが噴出し
た場合に、この防音タンクが内部圧力上昇に耐え得るの
かという点である。まず、閃絡事故時に油入電気機器の
保護リレーが正常に動作した場合には、防音タンクの圧
力上昇はわずかであり、問題とならない。すなわち、5
00kV単相変圧器の例では、前述したように、保護リ
レーが正常に動作した際に発生する分解ガスの量は1
0.8m3 であるが、UHV油入電気機器の場合でも、
アーク電圧・アーク電流・保護リレーの故障除去時間
は、500kV変圧器の場合と同じであるので、発生ガ
スの量は同じである。そして、このUHV油入電気機器
の場合、防音タンクの内部容積から本体タンクの体積を
差引いた防音タンクの内部空間は、約360m3 である
ため、ガスが本体タンクから防音タンクの内部空間に放
出したときの防音タンクの圧力上昇は、燃焼の温度上昇
を考慮してもせいぜい0.2気圧程度の上昇に過ぎず、
問題とはならない。
【0014】これに対して、問題となるのは、油入機器
の保護リレーが正常に動作せず、事故電流の遮断を予備
保護リレーに頼らざるを得ないような極めて希な場合で
ある。このような場合には、故障を除去する時間は27
0msec と大幅に延長される。この場合に、本体タンク
内で発生するガス量は約4.5倍に増えるため、防音タ
ンクの内圧上昇は、1.5気圧程度となり、防音タンク
の破裂を生じる可能性がある。そして、このように防音
タンクの破裂を生じる場合、破裂する前の防音タンクの
形状は、図18の点線で示すように、図17に示すよう
な正常状態から外に膨らむ形で変形するため、内部に配
置した消火装置の配管類には、この変形力が加わること
になる。一般的には、消火装置の配管類は、柔軟構造と
して設計されていないため、その変形に追従できずに破
損し、消火能力を失うこととなる。その結果、火災の延
焼は免れない。このような現象は、極めて希なケースと
は言え、UHV送電用油入電気機器のように電力供給上
重要な役割を担う機器にあっては、見逃すことが許され
ない現象である。
【0015】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
防音タンクの破裂が生じた場合に防音タンクの変形量を
少なくするか、または、防音タンクの変形が生じた場合
にその内部に配置した消火装置の破損を防止可能であ
り、事故の拡大を防止可能な優れた油入電気機器を提供
することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁油を充填
するとともに機器本体部を収納してなる本体タンクと、
この本体タンクの外周囲を閉塞する防音タンクと、この
防音タンクと前記本体タンクとの間に形成される内部空
間に配管を有する消火装置とを備えた油入電気機器にお
いて、防音タンクの一部、消火装置の配管の支持構造、
あるいは、配管自体に次のような改良を加えたことを特
徴としている。
【0017】請求項1記載の発明は、防音タンクの所定
部に、内部空間の圧力が所定値以上になると破断し、外
部空間と内部空間とを連通させる避圧部を設けたことを
特徴としている。請求項2および3記載の発明は、請求
項1記載の発明の構成において、避圧部がさらに次のよ
うに構成されたことを特徴としている。すなわち、請求
項2記載の発明において、避圧部は、防音タンクの一部
に設けられた避圧窓と、この避圧窓の周囲に設けられた
避圧窓枠と、この避圧窓枠に固定された避圧膜とを備え
た避圧装置であることを特徴としている。また、請求項
3記載の発明において、避圧部は、防音タンクの一部に
設けられた溶接弱点部であることを特徴としている。そ
してまた、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明
の構成において、さらに、次の特徴を有する。すなわ
ち、請求項4記載の発明は、防音タンクにおける溶接弱
点部の両側部分間を、伸縮可能な伸縮部材によって互い
に機械的に固定したことを特徴としている。
【0018】請求項5記載の発明においては、消火装置
の配管の支持構造が次のように構成されたことを特徴と
している。すなわち、請求項5記載の発明は、消火装置
の配管を、防音タンクに対して可動に支持する支持装置
を設けたことを特徴としている。請求項6および7記載
の発明は、請求項5記載の発明の構成において、支持装
置がさらに次のように構成されたことを特徴としてい
る。すなわち、請求項6記載の発明において、支持装置
は、並列に設けた弾性部材と振動吸収部材を備えたこと
を特徴としている。また、請求項7記載の発明におい
て、支持装置は、配管の周方向を覆い、この配管をその
軸方向に可動に支持する支持部材を備えたことを特徴と
している。
【0019】請求項8記載の発明においては、消火装置
の配管自体が次のように構成されたことを特徴としてい
る。すなわち、請求項8記載の発明は、消火装置の配管
の一部に可撓部または伸縮部を設けたことを特徴として
いる。また、請求項9記載の発明においては、請求項8
記載の発明において、消火装置がさらに次のように構成
されたことを特徴としている。すなわち、請求項9記載
の発明において、消火装置は、給水配管とこの給水配管
に複数配置された放水ノズルを備えた放水式の消火装置
であり、放水ノズルは、その放水角度が通常の放水角度
よりも3〜10度程度大きくされ、隣接する放水ノズル
の放水が重なるように構成される。
【0020】
【作用】以上のような構成を有する本発明の作用は次の
通りである。すなわち、請求項1記載の発明によれば、
防音タンクの所定部に避圧部を設けることにより、防音
タンクの圧力上昇時には、早期にこの避圧部を破断し、
開口させて圧力上昇値を低く押さえることができる。し
たがって、防音タンクの変形量を少なくすることができ
る。請求項2記載の発明によれば、防音タンクの圧力上
昇時には、早期に避圧膜を開口させて圧力上昇値を低く
押さえることができるため、防音タンクの変形量を少な
くすることができる。請求項3記載の発明によれば、防
音タンクの圧力上昇時には、早期に溶接弱点部を開口さ
せて圧力上昇値を低く押さえることができるため、防音
タンクの変形量を少なくすることができる。請求項4記
載の発明によれば、溶接弱点部の開口時にその両側部分
を伸縮部材で支持できるため、この溶接弱点部の開口が
防音タンク全体の破壊へ発展することを防止できる。
【0021】請求項5記載の発明によれば、消火装置の
配管を、防音タンクに対して可動に支持する支持装置を
設けることにより、仮に防音タンクに変形を生じた場合
でも、防音タンクに対して配管を移動させることができ
るため、配管の破損を防止することができる。請求項6
記載の発明によれば、防音タンクに変形を生じた場合
に、防音タンクの変位量を弾性部材と振動吸収部材によ
って相乗的に吸収することができるため、配管の破損を
防止することができる。請求項7記載の発明によれば、
防音タンクに変形を生じた場合に、防音タンクに対して
配管をその軸方向に移動させることができるため、配管
の破損を防止することができる。
【0022】請求項8記載の発明によれば、消火装置の
配管の一部に可撓部または伸縮部を設けることにより、
仮に防音タンクに変形を生じた場合でも、防音タンクの
変形に追従して配管を変形させることができるため、配
管の破損を防止することができる。請求項9記載の発明
によれば、放水ノズルの放水角度を通常より拡大してい
るため、給水配管が変形して放水ノズルの方向角度にあ
る程度の狂いを生じた場合でも、油入電気機器の本体タ
ンクの全体に放水を行き渡らせることができる。したが
って、防音タンクの変形時において十分な消火能力を維
持できる。
【0023】
【実施例】以下には、本発明による油入電気機器の複数
の実施例について、図1〜図16を参照して順次説明す
る。
【0024】[1]第1実施例…図1 [1−1]実施例の構成 図1は、本発明による油入電気機器の第1実施例を示す
図である。この第1実施例は、特に、請求項1、2記載
の発明を適用した実施例であり、図1は、防音タンクの
一部を示している。この図1に示すように、防音タンク
4の壁面または天井面6は、外壁板6a、内壁板6b、
補強ビーム6c、および遮音材6dから構成され、止め
ボルト6eによって組み立てられている。そして、この
防音タンク4の壁面または天井面6の一部には、避圧装
置20が設けられている。この避圧装置20は、防音タ
ンク4の壁面または天井面6を貫通する避圧窓21、こ
の避圧窓21の周囲の外壁板6aに設けられた避圧窓枠
22、および、この避圧窓枠22に固定された避圧膜2
3を備えている。すなわち、この避圧膜23は、薄く機
械的に破損し易い材料で形成されており、その外周部が
避圧窓枠22上に乗せられている。そして、この避圧膜
23の外周部の上に押え板24が配置され、この押え板
24と避圧窓枠22とが締付ボルト25によって締め付
けられることにより、避圧膜23が固定されている。ま
た、避圧膜23の面積は、一般の機器の避圧膜に比べて
格段に大きくされている。なお、図示していないが、こ
の防音タンク4は、図17に示した従来例と同様に、油
入電気機器の本体タンクの外側に配置されており、その
内部には、配管を有する同様の消火装置が設けられ、同
様にして防音タンク4に支持固定されている。
【0025】ところで、このような避圧膜を使用した避
圧装置の構成そのものは、一般に用いられている公知の
構造であるが、このタイプの避圧装置を防音タンクに応
用した従来技術は存在していない。
【0026】[1−2]実施例の作用 以上のような構成を有する本実施例によれば、次のよう
な作用が得られる。ここではまず、防音タンクにおける
避圧部の動作原理について説明する。すなわち、防音タ
ンクは、一般的に出入口のドアや油配管の貫通部などに
隙間があり、また換気口などが設けられているため完全
密閉ではない。それにも関わらず、防音タンク内にある
油入機器からのガス噴出量が多く、しかも急激に噴出さ
れた場合には、防音タンクの内圧上昇が生じることにな
る。すなわち、油入電気機器で発生する分解ガスの単位
時間あたりの体積増加から見ると、防音タンクは密閉状
態とほぼ同様に作用する。したがって、ある程度の面積
を有する避圧部を開口させることによって、この密閉性
を早く消失すれば、防音タンク破壊時の圧力上昇を低い
値に抑えることができることになる。
【0027】次に、本実施例の避圧装置の作用について
説明する。まず、閃絡事故時などにおいて、油入電気機
器の本体タンク内で分解ガスを発生した際に、本体タン
クが一部破裂を生じて分解ガスが本体タンク外に噴出
し、防音タンク4内の圧力が上昇した場合には、この圧
力上昇時の早期に防音タンク4の避圧膜23が破断し、
開口して、防音タンク4の密閉性が失われる。したがっ
て、防音タンク4の圧力上昇を低く押さえることができ
るため、防音タンク4の変形量を少なくすることができ
る。その結果、この防音タンク4の壁面または天井面6
に支持している消火装置の配管の変形を少なくすること
ができるため、これらの配管の破損を防止することがで
きる。
【0028】[2]第2実施例…図2 [2−1]実施例の構成 図2は、本発明による油入電気機器の第2実施例を示す
図である。この第2実施例は、特に、請求項1、3、お
よび4記載の発明を適用した実施例である。すなわち、
図2の(A)は防音タンクの全体を示しており、(B)
は避圧部である溶接弱点部周辺を示している。まず、図
2の(A)において、実線で示す部分は、防音タンク4
の壁面および天井面6の溶接線である。この溶接線の一
部には、太い実線17で示すように、防音タンク4の天
井面の1つの角部に沿って、溶接弱点部が設けられてい
る。この溶接弱点部17は、積極的にその強度が弱くな
るような貧弱な溶接を行うことによって形成されてい
る。
【0029】また、図2の(B)に示すように、溶接弱
点部17の両側部分、すなわち、溶接弱点部17を挟む
天井面6と壁面6部分との間には、伸縮可能な伸縮部材
として伸縮ステー18が配置されており、天井面と壁面
との間を機械的に固定している。この伸縮ステー18
は、横から見て「く」字形に曲った状態で防音タンク4
の壁面および天井面にそれぞれ溶接されている。
【0030】なお、図示していないが、この防音タンク
4は、図17に示した従来例と同様に、油入電気機器の
本体タンクの外側に配置されており、その内部には、配
管を有する同様の消火装置が設けられ、同様にして防音
タンク4に支持固定されている。
【0031】[2−2]実施例の作用 以上のような構成を有する本実施例によれば、次のよう
な作用が得られる。まず、閃絡事故時などにおいて、油
入電気機器の本体タンク内で分解ガスを発生した際に、
本体タンクが一部破裂を生じて分解ガスが本体タンク外
に噴出し、防音タンク4内の圧力が上昇した場合には、
この圧力上昇時の早期に防音タンク4の溶接弱点部17
が破断する形で開口して図2の(A)に点線で示すよう
な形状変化をきたすこととなる。したがって、本実施例
においても、前述した第1実施例と同様に、圧力上昇時
の早期に、防音タンク4の密閉性が失われることにな
り、防音タンク4の圧力上昇を低く押さえることができ
るため、防音タンク4の変形量を少なくすることができ
る。その結果、第2実施例と同様に、この防音タンク4
の壁面または天井面6に支持している消火装置の配管、
すなわち、配管の変形を少なくすることができるため、
これらの配管の破損を防止することができる。
【0032】また、このような溶接弱点部17の破断に
よる分解がこの部分に限定されていれば問題はないが、
他の溶接部分との強度の差があまりない場合など、場合
によっては破断がさらに進み、防音タンク4全体が分解
され、破壊される恐れがある。これに対して、本実施例
においては、伸縮ステー18により、防音タンク4全体
の破壊を防止することができる。すなわち、溶接弱点部
17の破断が生じた場合には、伸縮ステー18が「く」
字形から直線に伸びるようにして、溶接弱点部17の両
側の天井面と壁面との間に開口が生じるが、伸縮ステー
18が伸びきると、この伸縮ステー18が、天井面と壁
面とを保持し、これらの間のそれ以上の開離を阻止する
ように作用する。したがって、防音タンク4全体の破壊
に至る恐れはない。
【0033】[3]第3実施例…図3 図3は、本発明による油入電気機器の第3実施例を示す
図である。この第3実施例は、特に、請求項5記載の発
明を適用した実施例である。すなわち、図3の(A)と
(B)は、消火装置の給水配管12とそれを支持する支
持装置30を示す図であり、(A)は給水配管12の側
面方向から見た図、(B)は給水配管12の軸方向から
見た図である。まず、図3の(A)に示すように、防音
タンク4の天井面6には支持装置30が設けられ、この
支持装置30によって、消火装置の給水配管12が防音
タンク4の天井面6に対して可動に吊り下げられてい
る。この場合、支持装置30は、固定金具16、スプリ
ング31、および支持金具32の全体によって構成され
ている。すなわち、固定金具16は、防音タンク4の天
井面6に対して取り付けられており、この固定金具16
の下方に、スプリング31を介し、リング状の支持金具
32が機械的に連結されている。そして、この支持金具
32内に、消火装置の給水配管12が挿入され、支持さ
れている。なお、図示していないが、この防音タンク4
は、図17に示した従来例と同様に、油入電気機器の本
体タンクの外側に配置されている。
【0034】以上のような構成を有する本実施例によれ
ば、次のような作用が得られる。まず、閃絡事故時など
において、発生した分解ガスにより本体タンクが一部破
裂を生じて分解ガスが本体タンク外に噴出した際に、こ
の分解ガスによる防音タンク4の急激な圧力上昇により
防音タンク4の壁面または天井面6が急激に変形した場
合には、この防音タンク4の変位量を、スプリング31
の作用によって吸収することができる。したがって、防
音タンク4の変形によって給水配管12に加わる無理な
力を十分に低減することができるため、給水配管12の
破損を防止することができる。
【0035】[4]第4実施例…図4 図4は、本発明による油入電気機器の第4実施例を示す
図である。この第4実施例は、特に、請求項5、6記載
の発明を適用した実施例であり、前述の第3実施例の変
形例に相当する。すなわち、図4の(A)と(B)は、
消火装置の給水配管12とそれを支持する支持装置30
を示す図であり、(A)は給水配管12の側面方向から
見た図、(B)は給水配管12の軸方向から見た図であ
る。本実施例の支持装置30は、スプリング31と並列
に配置された振動吸収部材33を備えている。なお、他
の部分については前記第3実施例と全く同様に構成され
ている。
【0036】以上のような構成を有する本実施例によれ
ば、分解ガスによる防音タンク4の急激な圧力上昇によ
り防音タンク4の壁面または天井面6が急激に変形した
場合には、この防音タンク4の変位量をスプリング31
と振動吸収部材33の作用によって相乗的に吸収するこ
とができる。したがって、防音タンク4の変形によって
給水配管12に加わる無理な力を十分に低減できるた
め、給水配管12の破損を防止することができる。
【0037】[5]第5実施例…図5 図5は、本発明による油入電気機器の第5実施例を示す
図である。この第5実施例は、特に、請求項5記載の発
明を適用した実施例であり、前述の第3実施例の変形例
に相当する。すなわち、図5の(A)と(B)は、消火
装置の給水配管12とそれを支持する支持装置30を示
す図であり、(A)は給水配管12の側面方向から見た
図、(B)は給水配管12の軸方向から見た図である。
本実施例の支持装置30において、固定金具16は、防
音タンク4の壁面6に対して取り付けられており、この
固定金具16の上方に、スプリング31を介し、リング
状の支持金具32が機械的に連結されている。そして、
この支持金具32内に、消火装置の給水配管12が挿入
され、支持されている。
【0038】以上のような本実施例の支持装置30の構
成は、第3実施例の支持装置30と上下関係を逆にした
だけであり、基本的に第3実施例と同様であるため、本
実施例においても、第3実施例と同様の作用が得られ
る。
【0039】[6]第6実施例…図6 図6は、本発明による油入電気機器の第6実施例を示す
図である。この第6実施例は、特に、請求項5、6記載
の発明を適用した実施例であり、前述の第4実施例の変
形例に相当する。すなわち、図6の(A)と(B)は、
消火装置の給水配管12とそれを支持する支持装置30
を示す図であり、(A)は給水配管12の側面方向から
見た図、(B)は給水配管12の軸方向から見た図であ
る。この図6と第4実施例を示す図4とを比較すれば明
らかなように、本実施例の支持装置30の構成は、第4
実施例の支持装置30と上下関係を逆にしただけであ
り、基本的に第4実施例と同様である。したがって、本
実施例においても、第4実施例と同様の作用が得られ
る。
【0040】[7]第7実施例…図7 図7は、本発明による油入電気機器の第7実施例を示す
図である。この第7実施例は、特に、請求項5、7記載
の発明を適用した実施例であり、前述の第3実施例の変
形例に相当する。この場合、図7は、給水配管12とそ
れを支持する支持装置30を示す図であり、特に、給水
配管12の側面方向から見た図である。この図7に示す
ように、本実施例においては、支持金具32内における
給水配管12との間の空間に、スライド用ローラ34が
配置されており、このスライド用ローラ34によって、
給水配管12がその軸方向にスライド移動可能に支持さ
れている。なお、他の構成については、スプリング31
以外は図示していないが、第3実施例と全く同様に構成
されている。
【0041】以上のような構成を有する本実施例によれ
ば、分解ガスによる防音タンク4の急激な圧力上昇によ
り防音タンク4の壁面または天井面6が急激に変形した
場合には、この防音タンク4の変位量を、スプリング3
1の作用と給水配管12のスライド移動によって相乗的
に吸収することができる。したがって、防音タンク4の
変形によって給水配管12に加わる無理な力をできる限
り低減することができるため、給水配管12の破損をよ
り確実に防止することができる。
【0042】[8]第8実施例…図8 図8は、本発明による油入電気機器の第8実施例を示す
図である。この第8実施例は、特に、請求項5、7記載
の発明を適用した実施例であり、前述の第7実施例の変
形例に相当する。すなわち、図8は、給水配管12とそ
れを支持する支持装置30を示す図であり、特に、給水
配管12の側面方向から見た図である。この図8と第7
実施例を示す図7とを比較すれば明らかなように、本実
施例の支持装置30の構成は、第7実施例の支持装置3
0と上下関係を逆にしただけであり、基本的に第7実施
例と同様である。したがって、本実施例においても、第
7実施例と同様の作用が得られる。
【0043】[9]第9実施例…図9 図9は、本発明による油入電気機器の第9実施例を示す
図である。この第9実施例は、特に、請求項5、7記載
の発明を適用した実施例である。すなわち、図9の
(A)と(B)は、消火装置の給水配管12とそれを支
持する支持装置30を示す図であり、(A)は給水配管
12の側面方向から見た図、(B)は給水配管12の軸
方向から見た図である。本実施例の支持装置30は、図
示していない防音タンク4の天井面6に設けられてい
る。そして、この支持装置30を構成する支持金具32
内における給水配管12との間の空間には、PTFEな
どのフッ素樹脂材料からなるスライド部材35が配置さ
れており、このスライド部材35によって、給水配管1
2がその軸方向にスライド移動可能に支持されている。
【0044】以上のような構成を有する本実施例によれ
ば、分解ガスによる防音タンク4の急激な圧力上昇によ
り防音タンク4の壁面または天井面6が急激に変形した
場合には、前述した第7実施例と同様に、防音タンク4
の変位量を、スプリング31の作用と給水配管12のス
ライド移動によって相乗的に吸収することができる。し
たがって、第7実施例と同様に、防音タンク4の変形に
よって給水配管12に加わる無理な力をできる限り低減
することができるため、給水配管12の破損をより確実
に防止することができる。
【0045】[10]第10実施例…図10 図10は、本発明による油入電気機器の第10実施例を
示す図である。この第10実施例は、特に、請求項5、
7記載の発明を適用した実施例であり、前述の第8実施
例の変形例に相当する。すなわち、図10の(A)と
(B)は、消火装置の給水配管12とそれを支持する支
持装置30を示す図であり、(A)は給水配管12の側
面方向から見た図、(B)は給水配管12の軸方向から
見た図である。この図10と第9実施例を示す図9とを
比較すれば明らかなように、本実施例の支持装置30の
構成は、第9実施例の支持装置30と上下関係を逆にし
ただけであり、基本的に第9実施例と同様である。した
がって、本実施例においても、第9実施例と同様の作用
が得られる。
【0046】[11]第11実施例…図11 図11は、本発明による油入電気機器の第11実施例を
示す図である。この第11実施例は、特に、請求項8記
載の発明を適用した実施例である。すなわち、図11の
(A)と(B)は、消火装置の配管の一部の可撓部とし
て使用される可撓継ぎ手を示しており、(A)は断面
図、(B)は外形図である。この図11の(A)におい
て、2つの取付フランジ40は防音タンク内の他の配管
と接続するためのフランジであり、図示はしていない
が、演習上に通常4〜6の複数個のボルト孔を備えてお
り、ボルトとナットで相手方のフランジとガスケットを
介して接続されるように構成されている。この取付フラ
ンジ40は、耐候性のある柔軟性材料、例えば、ゴム系
材料から構成されている。そして、この2つの取付フラ
ンジ40間には可撓管41が配置され、この可撓管41
は、取付フランジ40と同一の材質で一体成形されてい
る。図11の(B)に示すように、可撓管41の外周に
は、金属製の保護網42が巻き付けられている。
【0047】以上のような構成を有する本実施例におい
ては、次のような作用が得られる。すなわち、消火装置
の配管の一部に図11に示すような可撓継ぎ手を使用す
ることにより、分解ガスによる防音タンク4の急激な圧
力上昇により防音タンク4の壁面または天井面6が急激
に変形した場合には、この防音タンク4の変形に追従し
て可撓継ぎ手を変形させることができる。したがって、
防音タンク4の変形によって配管に加わる無理な力を十
分に低減することができるため、配管の破損を防止する
ことができる。また、本実施例においては、可撓管41
の外周に保護網42を設けているため、この保護網42
によって、可撓管41を外傷から保護し、かつ、可撓管
41の内部圧力に対して強度上の補強をすることができ
る。
【0048】[12]第12実施例…図12 図12は、本発明による油入電気機器の第12実施例を
示す図である。この第12実施例は、特に、請求項8記
載の発明を適用した実施例である。すなわち、図12
は、前述の第11実施例と同様に、消火装置の配管の一
部の可撓部として使用される可撓継ぎ手を示している。
この図12において、2つの取付フランジ40は、前述
した第11実施例と異なり金属製である。そして、この
2つの取付フランジ40間には、一対の球状継ぎ手4
3,44が互いに連結される形で配置されている。すな
わち、これらの球状継ぎ手43,44は、その取付フラ
ンジ40との反対側の一端に大小の球形状部を備えてお
り、一方の球状継ぎ手43の大径の球形状部を他方の球
状継ぎ手44の小径の球形状部の外周に被せる形で機械
的に連結されている。この場合、一対の球状継ぎ手4
3,44の大小の球径状部の対向する内周面と外周面
は、互いに摺動する摺動面とされており、この摺動面に
は例えば防水グリースなどの潤滑材45が用いられ、密
封性が保たれている。なお、これらの球状継ぎ手43,
44と取付フランジ40とは、同一材料で一体成形され
るか、または、溶接・銀ロー付などで接続されている。
【0049】以上のような構成を本実施例においては、
次のような作用が得られる。すなわち、消火装置の配管
の一部に図12に示すような一対の球状継ぎ手43,4
4からなる可撓継ぎ手を使用することにより、前述した
第11実施例と同様に、分解ガスによる防音タンク4の
急激な圧力上昇により防音タンク4の壁面または天井面
6が急激に変形した場合には、この防音タンク4の変形
に追従して可撓継ぎ手を変形させることができる。具体
的には、可撓継ぎ手を構成する一対の球状継ぎ手43,
44間の摺動動作により、この球状継ぎ手43,44間
の角度を変え、可撓継ぎ手を変形させることができる。
したがって、第11実施例と同様に、防音タンク4の変
形によって配管に加わる無理な力を十分に低減すること
ができるため、配管の破損を防止することができる。
【0050】[13]第13実施例…図13 図13は、本発明による油入電気機器の第13実施例を
示す図である。この第13実施例は、特に、請求項8記
載の発明を適用した実施例であり、前述した第12実施
例の変形例に相当する。すなわち、図13は、前述の第
12実施例と同様に、消火装置の配管の一部の可撓部と
して使用される可撓継ぎ手として、一対の球状継ぎ手4
3,44からなる可撓継ぎ手を示しており、特に、可撓
継ぎ手を配管の屈曲点に応用した実施例を示している。
このように構成した場合には、配管の屈曲点の角度を変
えることによって、可撓継ぎ手を変形させることができ
る。したがって、前述した第11、第12実施例と同様
の作用が得られる。
【0051】[14]第14実施例…図14 図14は、本発明による油入電気機器の第14実施例を
示す図である。この第14実施例は、特に、請求項8記
載の発明を適用した実施例である。すなわち、図14
は、消火装置の配管の一部の伸縮部として使用される伸
縮可能な二重パイプを示している。この図14において
は、径の異なる一対のパイプ46,47が、大径のパイ
プ46内に小径のパイプ47を挿入する形で互いに連結
されており、これらのパイプ46,47は、その他端に
おいて、それぞれ取付フランジ40に溶接されている。
この大径と小径のパイプ46,47の対向する内周面と
外周面には、図示するような溝46a,47aがそれぞ
れ設けられ、これらの溝46a,47aの中にOリング
形ガスケット48がそれぞれ挿入されており、これによ
って密封性が保たれている。
【0052】以上のような構成を有する本実施例におい
ては次のような作用が得られる。すなわち、消火装置の
配管の一部に図14に示すような一対のパイプ46,4
7からなる二重パイプを使用することにより、分解ガス
による防音タンク4の急激な圧力上昇により防音タンク
4の壁面または天井面6が急激に変形した場合には、こ
の防音タンク4の変形に追従して伸縮管を伸縮させるこ
とができる。具体的には、大径と小径のパイプ46,4
7が、Oリング形ガスケット48を介して密封を保ちな
がら、軸方向に摺動することにより、2つの取付フラン
ジ40間の管長を伸縮させることができる。したがっ
て、防音タンク4の変形によって配管に加わる無理な力
を十分に低減することができるため、配管の破損を防止
することができる。
【0053】[15]第15実施例…図15 図15は、本発明による油入電気機器の第15実施例を
示す図である。この第15実施例は、特に、請求項8記
載の発明を適用した実施例であり、前述した第14実施
例の変形例に相当する。すなわち、図15は、前述の第
14実施例と同様に、消火装置の配管の一部の伸縮部と
して使用される伸縮管を示している。この図15におい
ては、大小のパイプ46,47の代わりに、2つの取付
フランジ40間に溶接された断面波形状の伸縮管49が
使用されている。このように構成した場合には、伸縮管
49の構造的な伸縮によって、2つの取付フランジ40
間の管長を伸縮させることができる。したがって、前述
した第14実施例と同様の作用が得られる。
【0054】[16]第16実施例…図16 図16は、本発明による油入電気機器の第16実施例を
示す図である。この第16実施例は、特に、請求項9記
載の発明を適用した実施例である。すなわち、図16
は、防音タンク内に配置される消火装置の放水ノズルと
その放水角度を示している。この図16において、放水
ノズル11は、給水配管12の途中に複数個配置されて
いる。また、この給水配管12の一部には、前述した第
11〜15実施例において示したいずれかの可撓部また
は伸縮部が構成されている。そして、各放水ノズル11
の先端には、スプリンクラー51が取り付けられてお
り、このスプリンクラー51は、消火装置の動作によっ
て水を放水し、油入電気機器の本体タンク2に吹き掛け
るように構成されている。ここで、図中52は、スプリ
ンクラー51による放水範囲、53および54は、放水
角度を示しているが、通常の場合の放水角度53は、放
水を油入電気機器の本体タンク2の全体に行き渡らせる
ために、隣接する放水ノズル11からの放水と重ならな
い程度の角度に選定されている。これに対して、本実施
例においては、この放水ノズル11からの放水角度54
が、通常の放水角度53より3〜10度大きくされてお
り、隣接する放水ノズル11からの放水と重なるように
構成されている。
【0055】ところで、このような放水ノズルそのもの
は一般に用いられている公知の構造であるが、前記第1
1〜15実施例のように、消火装置の配管自体に柔軟性
を持たせる構成と、このような放水ノズルの構成を組み
合わせた従来技術は存在していない。
【0056】そして以上のような構成を有する本実施例
においては、次のような作用が得られる。すなわち、防
音タンクが変形を生じ、この防音タンクの変形に追従し
て給水配管12が変形した際には、給水配管12に取り
付けられている放水ノズル11の方向に狂いが生じる。
これに対して、本実施例においては、放水ノズル11の
放水角度54を通常より拡大しているため、放水ノズル
11の方向角度にある程度の狂いを生じても、油入電気
機器の本体タンク2の全体に放水を行き渡らせることが
できる。したがって、防音タンクの変形時において十分
な消火能力を維持できる。
【0057】[17]他の実施例 なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものではな
く、例えば、次のような変形例が考えられる。
【0058】まず、前記第1実施例において、避圧装置
の構造は、避圧窓枠22上に配置した避圧膜23を、押
え板24と締付ボルト25で固定しているが、避圧膜の
固定方法は、密封性を保持できる限りで適宜変更可能で
ある。したがって、例えば、避圧膜を接着剤で固定した
り、ガスケットを介して釘止めしたり、あるいは、特殊
な取付金具を使って固定する構造などが考えられる。
【0059】次に、前記第3〜7実施例においては、配
管を防音タンク4の天井面から吊すかまたは壁面に対し
て支持するための支持装置30の一部にスプリング31
を使用して防音タンクの変位量を吸収しているが、この
スプリングに代えて、弾性を有する各種の部材を自由に
使用可能である。したがって、例えば、ゴム性の材料で
製作した棒で天井面から吊すかまたは壁面に対して支持
するように構成することが考えられる。
【0060】また、前記第7〜10実施例においては、
支持装置30に対して配管をその軸方向にスライド可能
に支持する手段として、スライド用ローラ34やフッ素
樹脂材料からなるスライド部材35を使用しているが、
これらのスライド手段に代えて、各種の材料からなる各
種のスライド手段を自由に使用可能である。そしてま
た、前記第3〜10実施例においては、給水配管12を
支持する構成について説明したが、給水配管12以外の
各種の配管、例えば、図17に示したような電気配線管
15にも同様に適用可能であり、同様の作用が得られる
ものである。
【0061】一方、前記第11〜15実施例において
は、取付フランジ40を使用して配管接続を行う場合を
示したが、本発明は、他の配管接続方法、例えばネジ嵌
合や袋ナット嵌合などを用いた構成にも同様に適用可能
であり、同様の作用が得られるものである。また、これ
らの実施例のように、配管の一部に可撓部または伸縮部
を設けた構成を、電気配線管に適用する場合には、配線
管の内部に収納される電気配線の長さを、配線管が変形
しても線が切れないように長く設定し、たるみを持たせ
ておくことが必要である。
【0062】さらに、前記各種実施例の全てに共通し
て、放水式の消火装置を備えた場合について説明した
が、本発明は、放水式の消火装置を備えた防音タンクに
限らず、同様に配管を有する各種の消火装置、例えば、
泡消火装置、特殊消火ガスを用いる消火装置を備えた防
音タンクにも、同様に適用可能であり、同様に優れた作
用が得られるものである。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
防音タンクの一部、消火装置の配管の支持構造、あるい
は、配管自体を改良することにより、防音タンクの破裂
が生じた場合に防音タンクの変形量を少なくするか、ま
たは、防音タンクの変形が生じた場合にその内部に配置
した消火装置の破損を防止可能であり、事故の拡大を防
止可能な優れた油入電気機器を提供することである。
【0064】すなわち、本発明によれば、油入電気機器
内において、油入電気機器の内部閃絡事故によりアーク
分解されたガスが噴出し、防音タンクが内圧上昇により
変形して破裂してしまった場合に、防音タンク内の消火
装置の変形破壊を防止して、消火機能を維持することが
できる。このような不幸な事故は、前述したように、油
入電気機器の保護リレーが正常に動作せず、事故電流の
遮断を後備保護リレーに頼らざるを得ないような極めて
希な場合にしか生じないが、万一このような事故が発生
した場合には、火災が防音タンクの外部にまで波及する
重大災害に発展し得る。電力供給上に重要な油入電気機
器においては、前述したように、このような重大な事故
に対して、従来では何等対策を講じ得なかったが、本発
明によってこのような重大な事故を防止することができ
る。したがって、本発明の意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による油入電気機器の第1実施例を示す
断面図。
【図2】本発明による油入電気機器の第2実施例を示す
図であり、(A)は全体の模式的斜視図、(B)は溶接
弱点部周辺の断面図。
【図3】本発明による油入電気機器の第3実施例を示す
図であり、(A)は一方向から見た側面図、(B)は別
の方向から見た側面図。
【図4】本発明による油入電気機器の第4実施例を示す
図であり、(A)は一方向から見た側面図、(B)は別
の方向から見た側面図。
【図5】本発明による油入電気機器の第5実施例を示す
図であり、(A)は一方向から見た側面図、(B)は別
の方向から見た側面図。
【図6】本発明による油入電気機器の第6実施例を示す
図であり、(A)は一方向から見た側面図、(B)は別
の方向から見た側面図。
【図7】本発明による油入電気機器の第7実施例を示す
側面図。
【図8】本発明による油入電気機器の第8実施例を示す
側面図。
【図9】本発明による油入電気機器の第9実施例を示す
図であり、(A)は一方向から見た側面図、(B)は別
の方向から見た側面図。
【図10】本発明による油入電気機器の第10実施例を
示す図であり、(A)は一方向から見た側面図、(B)
は別の方向から見た側面図。
【図11】本発明による油入電気機器の第11実施例を
示す図であり、(A)は断面図、(B)は外形図。
【図12】本発明による油入電気機器の第12実施例を
示す断面図。
【図13】本発明による油入電気機器の第13実施例を
示す断面図。
【図14】本発明による油入電気機器の第14実施例を
示す断面図。
【図15】本発明による油入電気機器の第15実施例を
示す断面図。
【図16】本発明による油入電気機器の第16実施例を
示す構成図。
【図17】放水式の消火装置を備えた従来の油入電気機
器の一例を示す構成図。
【図18】図17の防音タンクが変形した状態を示す説
明図。
【符号の説明】
1…機器本体部 2…本体タンク 3…絶縁油 4…防音タンク 5…(防音タンクの)内部空間 6…(防音タンクの)壁面または天井面 10…消火設備 11…防水ノズル 12…給水配管 13…給水バルブ 14…温度検出器 15…電気配線管 16…固定金具 17…溶接弱点部 18…伸縮ステー 20…避圧装置 21…避圧窓 22…避圧窓枠 23…避圧膜 24…押え板 25…締付ボルト 30…支持装置 31…スプリング 32…支持金具 33…振動吸収部材 34…スライド用ローラ 35…スライド部材 40…取付フランジ 41…可撓管 42…保護網 43,44…球状継ぎ手 45…潤滑材 46,47…パイプ 46a,47a…溝 48…Oリング形ガスケット 49…伸縮管 51…スプリンクラー 52…放水範囲 53,54…放水角度

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁油を充填するとともに機器本体部を
    収納してなる本体タンクと、この本体タンクの外周囲を
    閉塞する防音タンクと、この防音タンクと前記本体タン
    クとの間に形成される内部空間に配管を有する消火装置
    とを備えた油入電気機器において、 前記防音タンクの所定部に、前記内部空間の圧力が所定
    値以上になると破断し、外部空間と前記内部空間とを連
    通させる避圧部を設けたことを特徴とする油入電気機
    器。
  2. 【請求項2】 前記避圧部は、前記防音タンクの一部に
    設けられた避圧窓と、この避圧窓の周囲に設けられた避
    圧窓枠と、この避圧窓枠に固定された避圧膜とを備えた
    避圧装置であることを特徴とする請求項1記載の油入電
    気機器。
  3. 【請求項3】 前記避圧部は、前記防音タンクの一部に
    設けられた溶接弱点部であることを特徴とする請求項1
    記載の油入電気機器。
  4. 【請求項4】 前記防音タンクにおける前記溶接弱点部
    の両側部分間を、伸縮可能な伸縮部材によって互いに機
    械的に固定したことを特徴とする請求項3記載の油入電
    気機器。
  5. 【請求項5】 絶縁油を充填するとともに機器本体部を
    収納してなる本体タンクと、この本体タンクの外周囲を
    閉塞する防音タンクと、この防音タンクと前記本体タン
    クとの間に形成される内部空間に配管を有する消火装置
    とを備えた油入電気機器において、 前記消火装置の前記配管を、前記防音タンクに対して可
    動に支持する支持装置を設けたことを特徴とする油入電
    気機器。
  6. 【請求項6】 前記支持装置は、並列に設けた弾性部材
    と振動吸収部材を備えたことを特徴とする請求項5記載
    の油入電気機器。
  7. 【請求項7】 前記支持装置は、前記配管の周方向を覆
    い、この配管をその軸方向に可動に支持する支持部材を
    備えたことを特徴とする請求項5記載の油入電気機器。
  8. 【請求項8】 絶縁油を充填するとともに機器本体部を
    収納してなる本体タンクと、この本体タンクの外周囲を
    閉塞する防音タンクと、この防音タンクと前記本体タン
    クとの間に形成される内部空間に配管を有する消火装置
    とを備えた油入電気機器において、 前記消火装置の前記配管の一部に可撓部または伸縮部を
    設けたことを特徴とする油入電気機器。
  9. 【請求項9】 前記消火装置は、給水配管とこの給水配
    管に複数配置された放水ノズルを備えた放水式の消火装
    置であり、 前記放水ノズルは、その放水角度が通常の放水角度より
    も3〜10度程度大きくされ、隣接する放水ノズルの放
    水が重なるように構成されたことを特徴とする請求項8
    記載の油入電気機器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022540591A (ja) * 2019-07-09 2022-09-16 ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト 液体充填外鉄型変圧器または外鉄型リアクトルのためのタンク

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