JPH08171708A - 薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク記録再生装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク記録再生装置

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JPH08171708A
JPH08171708A JP31297294A JP31297294A JPH08171708A JP H08171708 A JPH08171708 A JP H08171708A JP 31297294 A JP31297294 A JP 31297294A JP 31297294 A JP31297294 A JP 31297294A JP H08171708 A JPH08171708 A JP H08171708A
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film
magnetic head
hydrogen
amorphous carbon
thin
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Application number
JP31297294A
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English (en)
Inventor
Kazufumi Azuma
東  和文
Kazunari Takemoto
一成 竹元
Kenji Tasaka
健司 田坂
Noriyuki Saiki
教行 斉木
Shinsuke Higuchi
晋介 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な耐磨耗性と耐電圧特性のほか、磁性材料
の腐食防止性能にも優れた薄膜磁気ヘッドを提供するこ
と。 【構成】保護膜の表面領域を無水素非晶質炭素(水素含
有率が5原子%以下)で構成し、本体領域を含水素非晶
質炭素(水素含有率が6〜50原子%)で構成する。保
護膜は、無水素非晶質炭素からなる表面領域層と含水素
非晶質炭素からなる本体領域層の2層構造で構成する。
保護膜は、そのほか磁気ヘッドスライダの接触面から表
面に向かって水素含有率が減少する傾斜組成の非晶質炭
素膜で構成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高記録密度磁気ディス
ク装置に使用して好適な薄膜磁気ヘッド、特に磁気ヘッ
ドスライダの空気支持面に保護膜を形成した薄膜磁気ヘ
ッド関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置は、取扱情報量
の増大に伴って記録密度の高度化が急速に進展してい
る。磁気ディスク装置の記録密度を高度化するために
は、磁気ディスク面上に対する薄膜磁気ヘッドの浮上量
(実際には薄膜磁気ヘッドを搭載したスライダの浮上
量)を100nm近辺に設定する必要があるが、このよ
うに浮上量を小さくした場合は、高速で回転する磁気デ
ィスク面に磁気ヘッドスライダが接触又は衝突する機会
が増える。このため、磁気ヘッドスライダの空気支持面
に形成する保護膜は、薄くて強靱であることに加え、高
度の耐摩耗性を有することが必要である。また、磁気デ
ィスク装置の起動時には、磁気ヘッドに数ボルト程度の
電圧が掛かるが、保護膜は、この電圧に耐える必要があ
るほか、たとえ磁気ディスク面との接触又は衝突によっ
て摩耗が生じたとしても、それに伴って塵を出さない
(例えば気化する)ことが必要である。更に最近では、
超高密度の記録を実現するため、MRヘッド(磁気抵抗
読取ヘッド)が使用されようになっているが、MRヘッ
ドは、従来の誘導型ヘッドと異なり、磁性材料が腐食し
やすい欠点があるため、保護膜は、磁性材料の腐食を防
ぐ役割を備えることも必要になっている。
【0003】このような様々の要求に対応するため、含
水素非晶質炭素からなる保護膜を採用する提案が例えば
特開平4−276367号公報に記載されている。含水
素非晶質炭素は、ダイヤモンドライク・カーボンとも呼
ばれており、耐電圧特性に優れているほか、組成が緻密
であるため、磁気ヘッド使用中における磁性材料の腐食
を防止する効果がある。しかし、含水素非晶質炭素から
なる保護膜は、硬度不足のため、耐摩耗性が不充分であ
る点で問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の前記問題点を解消し、良好な耐磨耗性と耐電圧特
性のほか、磁性材料の腐食防止性能にも優れた薄膜磁気
ヘッドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の前記課題は、保
護膜の表面領域を無水素非晶質炭素で構成することによ
って効果的に解決することができる。ここで「無水素非
晶質炭素」とは、水素含有率が5原子%以下である非晶
質炭素のことを意味する。即ち、保護膜の表面領域は、
良好な耐摩耗性を実現するため、水素を含まない非晶質
炭素で構成することが望ましいが、保護膜の形成過程で
僅かながら水素が混入するのを完全に阻止することが不
可能である。しかし、本発明者の試作実験の結果によれ
ば、仮りに水素が混入しても、その量が5原子%以下で
ある場合は、実用上充分な耐摩耗性を保護膜に付与する
ことが可能であることが判明した。
【0006】一方、含水素非晶質炭素膜は、水素含有率
が高い場合、良好な耐電圧特性を発揮する反面、組成の
緻密さが低下して腐食防止性能が劣化する。逆に、水素
の含有率が低い場合は、腐食防止性能が良好である反
面、耐電圧特性が劣化する。試作実験の結果、水素含有
率が6原子%〜50原子%である含水素非晶質炭素を用
いて保護膜の本体領域(表面領域以外の領域)を構成し
た場合は、耐電圧特性及び腐食防止性能の両面において
満足すべき結果を得ることができた。但し、耐電圧特性
を特に重視する場合は、水素含有率が10原子%以上で
あることが望ましく、一方、腐食防止性能を特に重視す
る場合は、水素含有率が40原子%以下であることが望
ましい。従って、保護膜の本体領域を構成する含水素非
晶質炭素の水素含有率の最も望ましい範囲は、10〜4
0原子%である。
【0007】保護膜は、無水素非晶質炭素からなる表面
領域層と含水素非晶質炭素からなる本体領域層の2層構
造で構成することが可能であるほか、磁気ヘッドスライ
ダとの接触面から表面に向かって水素含有率が減少する
傾斜組成の非晶質炭素膜で構成することも可能である。
【0008】無水素非晶質炭素は、含水素非晶質炭素に
比較して更に硬く、しかも更に緻密な組成を有する材料
であるが、成膜した場合の導電率が10-5S/cmと高
いため、耐電圧特性の点で難点があり、従来は、磁気ヘ
ッドの保護膜として用いられていなかった。しかし、無
水素非晶質炭素を含水素非晶質炭素と組み合わせて保護
膜を形成した場合は、良好な耐電圧特性及び腐食防止性
能を保持しつつ、耐摩耗性を著しく向上させることがで
きる。無水素非晶質炭素膜は、含水素非晶質炭素膜と同
様、回転中の磁気ディスクと接触又は衝突した場合、破
砕した炭素が燃えて水と炭酸ガスとなって気化するた
め、塵を出さない点でも有利である。
【0009】無水素非晶質炭素を成膜するには、公知の
スパッタリング法を利用することが可能であり、含水素
非晶質炭素を成膜するには、公知の反応性スパッタリン
グ法や高周波又はマイクロ波を用いた公知のプラズマC
VD法を利用することが可能である。後者の場合は、成
膜中のメタン又は水素の流量を変えるか、投入電力を変
えるなど、成膜条件を適宜調整することにより、非晶質
炭素の水素含有率を所望の値に制御するができるほか、
膜厚方向における水素含有率を任意に傾斜させることが
できる。組成傾斜は、連続的とするのが普通であるが、
必要に応じて段階的又は多次関数的とすることも可能で
ある。
【0010】2層構造の保護膜及び組成傾斜の保護膜の
いずれを採用した場合も、磁気ヘッドスライダの浮上量
を極めて微小化することができるが、保護膜の厚さは、
目的に応じて4nm〜30nmの範囲に設定することが
望ましい。膜厚が4nm未満であると、ピンホールが発
生して保護膜としての機能が低下し、膜厚が30nmを
超えると、スペースロスが増大して記録再生特性が劣化
する。実用性から判断して最も望ましい保護膜の膜厚
は、4nm〜15nmの範囲であり、高密度記録と信頼
性を両立させることができる。
【0011】更に、無水素非晶質炭素からなる表面領域
層の厚さは、2nm〜28nmの範囲であることが望ま
しい。膜厚が2nm未満であると、無水素非晶質炭素、
含水素非晶質炭素ともに、膜状にならずに島状になる傾
向がみられるからである。実用性から判断して最も望ま
しい表面領域層の厚さは、2nm〜13nmの範囲であ
る。
【0012】
【実施例】以下、図面に示した実施例を参照して本発明
に係る薄膜磁気ヘッドを更に詳細に説明する。
【0013】<実施例1>図1は、本発明の薄膜磁気ヘッ
ドを採用した磁気ディスク記録再生装置の一例を示す。
本装置は、情報を記録する磁気ディスク(記録媒体)1
4と、磁気ディスク14を回転させるモータ(図示せ
ず)と、磁気ディスク14に情報を書き込み又は磁気デ
ィスク14から情報を読みだす磁気ヘッドを搭載した磁
気ヘッドスライダ15と、磁気ヘッドスライダ15を支
持し、磁気ディスク14の目標位置に決めるアクチュエ
ータ16及びボイスコイルモータ17と、磁気ディスク
装置内部を清浄に保つエアフィルタ(図示せず)とをも
って構成されている。
【0014】磁気ディスク14は、周知の以下の方法を
使って製作した。まず、アルミニウム・マグネシウム
(AlMg)合金円板にニッケル燐(NiP)膜を鍍金法
により10μm形成し、その表面を研磨した。その上に
スパッタ法によりクロム(Cr)を100μm形成し、
更にコバルト(Co)合金膜をスパッタリング法により
50nm形成した。最後に、保護膜としてスパッタリン
グ法により非晶質炭素膜を数十ナノメータ形成してから
膜厚6nmのパーフルオロエーテル系潤滑膜を付着させ
た。
【0015】磁気ヘッドスライダ15は、後述する実施
例2,3で製作した薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気ヘッ
ドスライダを用いた。このようにして構成した磁気記録
再生装置について摺動試験を行ったところ、再生出力が
70%低下した時の総回転数は45000回転であり、
このときにいずれのヘッドも、その表面に傷がないこと
を確認し、装置として良好な結果が得られた。
【0016】<実施例2>本発明に係わる薄膜磁気ヘッド
の一実施例を製作工程を参照して図2に示す。図2dに
おいて、23は、本発明の薄膜磁気ヘッドの断面図を示
し、空気支持面に2層構造の保護膜10を形成した。保
護膜10は、本体領域層の含水素非晶質炭素膜21と表
面領域層の無水素非晶質炭素膜22をもって構成した。
保護膜10には接着層20を介在させた。
【0017】以下に薄膜磁気ヘッドの製作工程について
説明する。図2aに示すように、材料がALTIC(A
l23TiC、酸化アルミニウム・炭化チタン)のスライ
ダ基板1の上に、周知の方法により薄膜磁気ヘッドの積
層体を形成した。即ち、スライダ基板1の上にスパッタ
リング法により下部磁性膜2を形成し、その上に2酸化
シリコン(SiO2)、ポリイミド等の絶縁材料を成膜し
たあと、エッチング等により絶縁層3、コイル導体4を
形成した。これらの積層体の上に上部磁性膜5を成膜し
て薄膜磁気ヘッドの積層体6を形成した。続いて図2b
に示すように、積層体6の上に、アルミナ、酸化シリコ
ン等の絶縁物をスパッタリング法により堆積して、保護
層7を形成した。ここまでの工程では、実際には、図2
aの右に示すように、スライダ基板1の上に薄膜製作技
術を用いて、一括して多数の積層体を同時に形成した。
なお、基板1の厚さ方向がスライダの長さ方向になる。
【0018】次に、図2bの一点鎖線の部分で、同図の
右に示すように、基板1を矩形に切断して数個ごとに分
離する。切断してから端面8を上にし、端面8を研削し
てから研磨し、図2cに示す空気支持面9を形成した。
空気支持面9は、ヘッド及びスライダの同一平面上に形
成される。空気支持面9の上に、本発明の保護膜10を
次の方法により形成した。
【0019】空気支持面9の全面に、シリコンをターゲ
ットとしたマグネトロンスパッタ法により膜厚2nmの
シリコン膜を形成し、接着層20とした。成膜の条件
は、13.56MHz の高周波電力200W、圧力0.
67Pa(パスカル)、アルゴン流量20SCCM(Sta
ndard Cubic cm/minute)とした。なお、スライダ基板
に炭素を含む材料を用いる場合には、非晶質炭素との密
着性に問題がなく、接着層20を省略することができ
る。
【0020】次に、マグネトロンスパッタ装置を用いた
反応性スパッタリング法により含水素非晶質炭素膜21
を5nm成膜した。膜厚の測定は、シリコン膜20及び
含水素非晶質炭素膜21とも、分光エリプソメータを用
いて行ない、実際の膜厚を決定した。成膜は、グラファ
イトをターゲットとし、メタンとアルゴンの混合ガスを
メタンの分圧が20%になるようにして流し、圧力0.
67Pa として行なった。なお、目的に応じてメタンに
代え水素を用いることができる。また、13.56MH
z の高周波は、2.45GHz のマイクロ波に代えるこ
とができた。成膜した膜21の水素量は、HFS(Hydro
gen Forward Scattering)分析により、約38原子%で
あった。また、膜の導電率は、10のマイナス13乗台
S/cmを測定した。
【0021】次に、同マグネトロンスパッタ装置の成膜
室を一旦高真空に引き、今度はメタンを止めて、アルゴ
ンのみを流して無水素非晶質炭素膜22を8nm成膜し
た。メタンを止めて無水素非晶質炭素膜22に水素を含
まないようにしたが、測定の結果5原子%の水素が認め
られた。これは、成膜室の中に吸着しているメタン、水
素が完全に除去できずに残留していたため混入したもの
である。膜22の導電率は、10のマイナス5乗台S/
cmを測定した。
【0022】以上のようにして図2dに示すように、空
気支持面に保護膜10を有する薄膜磁気ヘッド23を製
作した。薄膜磁気ヘッド23を搭載した磁気ヘッドスラ
イダ全体の外観を図3aに示す。保護膜10を形成した
後、磁気ヘッドスライダに次の方法によりレール加工を
行なった。レールは、ヘッドスライダを所望の量(10
0nm前後)だけ浮上させるように空気の流れを制御す
る働きをするものである。レールは、少なくとも一つ必
要である。レール加工では、まず、エッチングのマスク
となるポジ型の有機レジスト(東京応化製、OFPR−
800)をロールコート印刷法により保護膜10の上に
塗布した。これを通常のリソグラフィにより露光して現
像し、図3bに示すようにレールパターンのマスク11
を形成した。このマスクを使ってアルゴンガスを用いた
イオンミリング法により、レールパターン以外の部分の
物質を所定の深さまで除去してレールの形状の残留マス
ク12を形成した(図3c)。残留したマスク12を除
去して保護膜を有するレール13を形成し磁気ヘッドス
ライダを完成させた(図3d)。
【0023】製作した薄膜磁気ヘッドを評価した。耐摩
耗性については、回転ディスクを用い、減速低浮上試験
に加えてCSS摩耗試験(Contact Start Stop)を行なっ
た。減速低浮上試験では、ディスクの接線方向速度5m
/s、浮上量20nm、2000rpmの条件で500
時間後も問題はなく、浮上量40nmでのCSS摩耗試
験では、45000回後も損傷は見当らず、良好な耐摩
耗特性が得られた。また、耐電圧試験では、5.6V以
上の良好な結果が得られた(5Vを越えれば良好)。亜
硫酸ガスの2ppm雰囲気下に放置した腐食試験では、
20時間経過後も磁性材料表面での腐食は観測されず、
良好な保護特性を確認した(5時間経過後に腐食が認め
られなければ良好)。
【0024】次に、含水素非晶質炭素膜21を高周波プ
ラズマCVD装置に使って成膜する方法を実施した。接
着層20を形成してから、その上に含水素非晶質炭素を
膜厚4nm成膜した。13.56MHz の高周波を用
い、成膜室内にメタン、水素、アルゴンの混合ガス(そ
れぞれ10:20:20SCCM)を導入した。なお、
原料ガスは、メタンのほか、エチレン、トルエン、ヘキ
サン等の炭化水素ガスを選択して用いることができる。
形成した膜21の水素含有率は、48原子%であった。
次に、ヘッドスライダをマグネトロンスパッタ装置のス
パッタリング室に移動し、前記したのと同様の条件で、
膜厚4nm、水素含有率4.2原子%の無水素非晶質炭
素膜22を形成した。このようにして製作した薄膜磁気
ヘッドを評価した結果、前記薄膜磁気ヘッドと変わらな
い評価結果が得られた。
【0025】なお、以上の他に水素含有率の範囲を広げ
て、含水素非晶質炭素膜21の水素含有率が5原子%〜
60原子%の範囲及び無水素非晶質炭素膜22の水素含
有率が3原子%〜5原子%の範囲について7例を試作
し、その特性を調べた。各膜厚は、接着層20が2n
m、含水素非晶質炭素膜21が4nm〜8nm、無水素
非晶質炭素膜22が3nm〜7nmの範囲とした。試作
結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】耐摩耗性は、無水素非晶質炭素膜22の水
素含有率を5原子%以下としたためいずれも良好であっ
た。また、試作No.1〜No.5は、耐電圧、腐食保
護とも良好であった。試作No.6は、耐電圧が不足
し、試作No.7は、腐食保護が不十分であった。以上
の結果、含水素非晶質炭素膜21の水素含有率は、6原
子%〜50原子%が望ましく、6原子%未満或いは50
原子%を超える水素含有率は、採用できないことが判明
した。なお、試作No.1及び試作No.5の結果か
ら、腐食保護を特に重視する用途によっては40原子%
以下、耐電圧を特に重視する用途によっては10原子%
以上とすることが望ましいことが分かった。従って、水
素含有率の10原子%〜40原子%が最も望ましい範囲
であることが判明した。
【0028】<実施例3>実施例2と同様の方法で図2c
に示す空気支持面9を形成し、その上に接着層20を成
膜してから、以下の方法により傾斜組成の保護膜を形成
した。実施例2と同様のマグネトロンスパッタ装置を用
い、成膜ガスとして最初にメタンを8SCCM及びアル
ゴンを12SCCM流して、ガス圧0.67Pa、高周波
電力1200Wの条件で成膜を開始した。この初期条件
は、膜の水素含有率を50原子%とする条件である。成
膜を開始してから直ちに全ガス流量と成膜圧力を一定に
したままで1次関数的にメタン流量を減少させ、同時に
アルゴン流量を増大させ、成膜終了直前のガス流量を、
メタン0.5SCCM、アルゴン19.5SCCMとし
た。この終了時の条件は、膜の水素含有率を5原子%と
する条件である。膜厚は、11nmを得た。傾斜組成の
保護膜は、このような反応性スパッタリング法を用いて
形成することができるほか、メタンなどを用いたプラズ
マCVD法を用いて形成することができる。いずれの方
法も成膜中のメタンや水素の流量を時間とともに減少さ
せたり、投入電力を制御することにより、膜中への水素
の入り方を連続的に減少させることがでた。
【0029】傾斜組成の保護膜を形成した後、実施例2
と同様の方法でレールを形成して磁気ヘッドスライダを
完成させ、その特性を評価した。回転ディスクを用いた
摺動試験の結果、減速低浮上試験では、ディスクの接線
方向の速度5m/s、浮上量20nm、2000rpm
の条件で500時間後も問題はなく、浮上量40nmで
のCSS摩耗試験では、45000回後も損傷は見当ら
ず、良好な耐摩耗性が得られた。耐電圧試験では、6V
以上の良好な結果が得られた。また、亜硫酸ガスの2p
pm雰囲気下に放置した腐食試験では、20時間経過後
も磁性材料表面での腐食は観測されず、良好な保護特性
を確認した。
【0030】なお、以上の他に水素含有率の範囲を広げ
て、成膜開始時の磁気ヘッドスライダとの接触面の水素
含有率が5原子%〜60原子%の範囲及び成膜終了時の
最表面の水素含有率が5原子%〜6原子%の範囲につい
て4例を試作し、その特性を調べた。膜厚は、9nm〜
12nmの範囲とした。試作結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】成膜開始時の水素含有率が6原子%〜50
原子%の範囲及び成膜終了時の水素含有率が5原子%以
下で良好な特性が得られることが分かった。なお、試作
No.5は、耐電圧が不十分であり、試作No.4は、腐
食保護が不十分であった。従って、成膜開始時の水素含
有率が6原子%未満又は50原子%を超えるのは望まし
くないことが判明した。また、6原子%〜50原子%の
範囲でも、耐電圧特性を特に重視する場合は、10原子
%以上とし、腐食保護を特に重視する場合は、40原子
%以下とすることが望ましく、従って、成膜開始時の水
素含有率の最も望ましい範囲は、10原子%〜40原子
%であることが判明した。
【0033】なお、メタン流量及びアルゴン流量を増減
させる方法については、1次関数的に連続させるほか、
段階的に変化させる方法、多次関数的に変化させる方法
についても実施したが、成膜開始時及び成膜終了時の水
素含有率を前記したのと同様の範囲とすることにより、
良好な結果が得られた。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、保護膜の表面領域を無
水素非晶質炭素で構成したため、良好な耐磨耗性と耐電
圧特性のほか、磁性材料の腐食防止性能にも優れた薄膜
磁気ヘッドを実現することが可能となる。このような薄
膜磁気ヘッドを採用することによって、信頼性の高い高
密度記録の磁気記録再生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる磁気ディスク記録再生装置の一
実施例を説明するための構造斜視図。
【図2】本発明に係わる薄膜磁気ヘッドの一実施例を製
作工程を参照して説明するための断面図。
【図3】図2の薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気ヘッドス
ライダにレールを成形する工程を説明するための構造
図。
【符号の説明】
1…スライダ基板 2…下部磁性層 3…絶縁層 4…コイル導体 5…上部磁性膜 6…薄膜磁気ヘッドの積層体 7…保護層 8…端面 9…空気支持面 10…保護膜 11…レールパターンのマスク 12…残留したマスク 13…レール 14…磁気ディスク 15…磁気ヘッドスライダ 16…アクチュエータ 17…ボイスコイルモータ 20…接着層 21…含水素非晶質炭素膜 22…無水素非晶質炭素膜 23…保護膜を有する薄膜磁気ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉木 教行 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 樋口 晋介 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ヘッドスライダの空気支持面に含水素
    非晶質炭素からなる保護膜を形成してなる磁気ヘッドに
    おいて、当該保護膜の表面領域は、無水素非晶質炭素
    (水素含有率が5原子%以下である非晶質炭素をいう。
    以下同じ)で構成されていることを特徴とする薄膜磁気
    ヘッド。
  2. 【請求項2】前記保護膜の本体領域(表面領域以外の領
    域)を構成する含水素非晶質炭素の水素含有率が6原子
    %〜50原子%であることを特徴とする請求項1に記載
    の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】前記保護膜の本体領域(表面領域以外の領
    域)を構成する含水素非晶質炭素の水素含有率が10原
    子%〜40原子%であることを特徴とする請求項1に記
    載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】前記保護膜は、無水素非晶質炭素からなる
    表面領域層と含水素非晶質炭素からなる本体領域層の2
    層構造で構成されていることを特徴とする請求項1〜請
    求項3のいずれか一に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】前記無水素非晶質炭素からなる表面領域層
    の膜厚が2nm〜28nmであることを特徴とする請求
    項4に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】前記無水素非晶質炭素からなる表面領域層
    の膜厚が2nm〜13nmであることを特徴とする請求
    項4に記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】前記保護膜は、磁気ヘッドスライダとの接
    触面から表面に向かって水素含有率が減少する傾斜組成
    の非晶質炭素膜で構成されていることを特徴とする請求
    項1〜請求項3のいずれか一に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】前記傾斜組成の非晶質炭素膜で構成されて
    いる保護膜の膜厚が4nm〜30nmであることを特徴
    とする請求項7に記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】前記傾斜組成の非晶質炭素膜で構成されて
    いる保護膜の膜厚が4nm〜15nmであることを特徴
    とする請求項7に記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】前記保護膜上に空気流制御用レールが配
    設されていることを特徴とする請求項1〜請求項9のい
    ずれか一に記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】請求項1〜請求項10のいずれか一に記
    載の薄膜磁気ヘッドを用いて構成したことを特徴とする
    磁気ディスク記録再生装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7130154B2 (en) 1999-12-28 2006-10-31 Alps Electric Co., Ltd. Magnetic head slider having protrusions provided on the medium-facing surface and manufacturing method therefor
US7212380B2 (en) 2004-04-26 2007-05-01 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Magnetic write head with recessed overcoat
US7269889B2 (en) 2001-09-11 2007-09-18 Tdk Corporation Method of manufacturing a magnetic head
US7520048B2 (en) 2004-05-28 2009-04-21 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Method of fabricating a GMR head

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