JPH08168385A - 2つのc2領域を有する脳特異的タンパク質 - Google Patents

2つのc2領域を有する脳特異的タンパク質

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JPH08168385A
JPH08168385A JP6320775A JP32077594A JPH08168385A JP H08168385 A JPH08168385 A JP H08168385A JP 6320775 A JP6320775 A JP 6320775A JP 32077594 A JP32077594 A JP 32077594A JP H08168385 A JPH08168385 A JP H08168385A
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protein
brain
doc2
sequence
antibody
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JP6320775A
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Satoshi Oda
聡 織田
Yoshimi Takai
義美 高井
Hisanaga Igarashi
久永 五十嵐
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Shionogi and Co Ltd
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Shionogi and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2つのC2領域を有する脳特異的タンパク質
(Doc2)およびDoc2をコードする遺伝子を提供する。さ
らに、該遺伝子を有する発現ベクター、該発現ベクター
を導入した形質転換体、および該形質転換体を培養する
ことによりDoc2タンパク質を製造する方法も提供する。
また、Doc2タンパク質を認識する抗体、該抗体を産生し
得るハイブリドーマ、および該抗体を用いるDoc2タンパ
ク質の免疫学的測定方法を提供する。 【構成】 2つのC2領域を有する脳特異的なタンパク質
(Doc2)をコードする遺伝子が得られた。この遺伝子を
有する発現ベクターを導入した形質転換体を培養するこ
とによりDoc2タンパク質が得られる。Doc2はカルシウム
イオン依存的にホスホリピッドと結合し得るが、膜貫通
領域およびRab3A結合領域を有さないことが見いだされ
た。このように、Doc2は既知のタンパク質とは異なる構
造を有し、このDoc2の機能を解明することにより、神経
伝達物質の放出機構がより明らかになり得る。従って、
Doc2は脳神経系の疾患の原因究明手段として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2つのC2領域を有する
脳特異的タンパク質;該脳特異的タンパク質の構造遺伝
子;該遺伝子を含む発現ベクター;該発現ベクターを有
する形質転換体;該形質転換体を用いた脳特異的タンパ
ク質の製造方法;脳特異的タンパク質に対する抗体;該
抗体を産生し得るハイブリドーマ;および該抗体を用い
た試料中の脳特異的タンパク質を定量するための免疫学
的測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロテインキナーゼCは最初、カルシウ
ムイオンおよびホスファチジルセリン存在下にジアシル
グリセロールにより活性化されるプロテインキナーゼと
して発見された(Y. Takaiら、Biochem. Biophys. Res.
Commun.、91、1218-1224 (1979)、およびY. Takaiら、
J. Biol. Chem.、254、5049-5052 (1979))。タンパク
質の構造解析により、プロテインキナーゼCは、C1、C
2、およびC3領域と、V1、V2、V3、およびV4領域とから
なり、C1領域はジアシルグリセロールと結合し、C2領域
はカルシウムイオンおよびホスファチジルセリンと結合
することが明らかになっている(Y. Nishizuka、Natur
e、334、661-665 (1988))。
【0003】C2領域を有するタンパク質としては、プロ
テインキナーゼC以外に、ホスホリパーゼA2、ホスホリ
パーゼCγ、Unc-13、Ras GAP、シナプトタグミン、お
よびラブフィリン3Aなどが知られている(M.L. Stahl
ら、Nature、332、269-272 (1988)、U.S. Dixonら、Nat
ure、335、90-93 (1988)、J.D. Clarkら、Cell、65、10
43-1051 (1991)、I.N. MaruyamaおよびS. Brenner、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA、88、5729-5733 (1991)、M.
S. Perinら、Nature、345、260-263 (1990)、およびH.
Shiratakiら、Mol. Cell Biol.、13、2061-2068 (199
3))。このうち、プロテインキナーゼC、ホスホリパー
ゼA2、Unc-13、ホスホリパーゼC、およびRas GAPは、
1つのC2領域を有し、一方、シナプトタグミン、および
ラブフィリン3Aは2つのC2領域を有している。これらの
タンパク質の中で、プロテインキナーゼC、ホスホリパ
ーゼA2、シナプトタグミン、およびラブフィリン3Aは、
無細胞系において、カルシウムイオンおよびホスファチ
ジルセリンと結合することが証明されている。プロテイ
ンキナーゼC、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼC
γ、およびRas GAPは膜に存在する受容体からのシグナ
ル伝達において重要な働きをしていることが明らかにさ
れている。また、シナプトタグミンはC2領域の上流に膜
貫通領域を有し、シナプス小胞に存在し、神経伝達物質
の放出に関与している。ラブフィリン3Aは、低分子量GT
P結合タンパク質の1つで神経伝達物質の放出に関与し
ているRab3Aの標的タンパク質として発見され、膜貫通
領域を有さないが、シナプス小胞に存在している。シナ
プトタグミンおよびラブフィリン3Aは、神経伝達物質の
放出において重要な役割を果たしていると考えられてい
る。
【0004】最近、3種類のシナプトタグミン、I、I
I、およびIIIが発見され、これらがすべて2つのC2領域
を有することが明らかとなった(M. Geppertら、J. Bio
l. Chem.、266、13548-13552 (1991)、およびM. Mizuta
ら、J. Biol. Chem.、269、11675-11678 (1994))。シ
ナプトタグミンIIは脳に局在しているが、シナプトタグ
ミンIおよびIIIは、脳以外に、副腎髄質などの他の内
分泌系組織でも見いだされている。また、ラブフィリン
3Aは、脳で大量に存在しているが、内分泌系組織でも少
量見いだされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新た
な脳特異的タンパク質、特に2つのC2領域を有し、神経
伝達物質の放出に重要な役割を果たすと考えられる、脳
特異的タンパク質を提供することにある。さらに本発明
の目的は、上記脳特異的タンパク質の構造遺伝子;該遺
伝子を含む発現ベクター;該発現ベクターを有する形質
転換体;該形質転換体を用いた脳特異的タンパク質の製
造方法;該脳特異的タンパク質に対する抗体;該抗体を
産生し得るハイブリドーマ;および該抗体を用いた試料
中の脳特異的タンパク質を定量するための免疫学的測定
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、C2領域に
共通のアミノ酸配列をプライマーとして設定したPCR法
を用いて、ラブフィリン3Aに構造が似ている遺伝子を単
離することを試みた。その結果、脳特異的に発現してい
る、C2領域を2つ有し、膜貫通領域およびRab3A結合領
域を有さない新規遺伝子を発見し、この遺伝子によりコ
ードされるタンパク質をDoc2(Double C2)と命名し
た。本発明者らは、大腸菌を用いてDoc2を発現し、この
タンパク質がRab3Aとは結合しないが、カルシウムイオ
ンおよびホスファチジルセリンと結合することを発見し
た。さらに、Doc2を特異的に認識する抗体を得て、本発
明を完成するに至った。
【0007】本発明の脳特異的タンパク質は、配列表の
配列番号1の9位のMetから80位のAspまでのアミノ酸
配列を含む。
【0008】好ましい実施態様では、上記脳特異的タン
パク質は、2つのC2領域を有する。
【0009】好ましい実施態様では、上記脳特異的タン
パク質は、配列表の配列番号1の1位のMetから400
位のAlaまでのアミノ酸配列を含む。
【0010】本発明のDNA配列は、上記のいずれかに
記載の脳特異的タンパク質をコードする。
【0011】好ましい実施態様では、上記DNA配列
は、配列表の配列番号1の149位のAから364位の
Cまででなる塩基配列を有する。
【0012】好ましい実施態様では、上記DNA配列
は、配列表の配列番号1の125位のAから1324位
のCまででなる塩基配列を有する。
【0013】本発明の発現ベクターは、上記のいずれか
に記載のDNA配列を有する。
【0014】本発明の形質転換体は、上記発現ベクター
を宿主に導入して得られる。
【0015】好ましい実施態様では、上記宿主は、大腸
菌である。
【0016】本発明の脳特異的タンパク質の製造方法
は、上記形質転換体を培養する工程および産生された脳
特異的タンパク質を培養培地から回収する工程を包含す
る。
【0017】本発明の抗体は、上記のいずれかに記載の
脳特異的タンパク質を認識する。
【0018】好ましい実施態様では、上記抗体は、配列
表の配列番号1の9位のMetから80位のAspまでのアミ
ノ酸配列に含まれる部分を認識する。
【0019】本発明のハイブリドーマは、上記のいずれ
かに記載の抗体を産生し得る。
【0020】好ましい実施態様では、上記ハイブリドー
マは、FERM P-14577である。
【0021】本発明の脳特異的タンパク質の免疫学的測
定方法は、上記のいずれかに記載の脳特異的タンパク質
を含有し得る試料を、上記のいずれかに記載の抗体とと
もに、抗原抗体複合体を形成させる条件下でインキュベ
ーションする工程、および該抗原抗体複合体の量を測定
する工程を包含する。
【0022】次に本発明を工程の順に説明する。本発明
においては、特に指示のない限り、当該分野で公知であ
る組換えDNA法、タンパク質の分離および分析法、およ
び免疫学的手法が採用され得る。
【0023】(1)Doc2タンパク質をコードするDNAの
配列決定 本発明のDoc2タンパク質をコードするDNAを含むDNA断片
の配列決定方法を以下に例示する。このDNA断片の配列
は、例えば、ヒト急性リンパ性白血病細胞株、ヒト脳の
cDNAライブラリーを以下に示すプローブを用いてスクリ
ーニングし、得られたDNAをDNAシークエンシングにより
分析することにより、決定され得る。
【0024】(A)DNAプローブの作製 Doc2タンパク質をコードする遺伝子は、例えば、ヒト脳
由来のcDNAライブラリーから得ることができる。そのた
めには、まず、ヒト脳由来のcDNAライブラリーからDoc2
タンパク質をコードする遺伝子のクローニングを行うた
めのプローブが、例えば、次のようにして作製される。
【0025】Doc2が2つのC2領域を有することから、C2
領域に保存されたアミノ酸配列をもとに、ポリメラーゼ
チェーン反応(PCR)用のDNAプライマーを合成し、この
プライマーを用いて、以下のようにして調製したPCR用
の鋳型を増幅させて、スクリーニング用のプローブとし
得る。このPCR用の鋳型としては、例えばDoc2が多く存
在していることが考えられるヒト脳から得られるcDNAを
用いることができる。このようなDNAは、例えば、ヒト
脳から、グアニジンチオシアネート緩衝液を用いてRNA
を抽出し、このRNAからcDNAを調製する方法により、得
られる。RNAからのcDNAの調製は、まず、プライマーをR
NAにアニーリングさせ、逆転写酵素により該プライマー
からDNAを合成していくことにより、行われ得る。
【0026】このようにして得られたプローブを標識し
て、以下のスクリーニングに用いることができる。
【0027】(B)ライブラリーのスクリーニング Doc2をコードするDNAをスクリーニングするためのライ
ブラリーとして、哺乳動物の脳由来またはヒト由来の様
々なライブラリーを用い得る。例えば、ヒト脳のpSport
1 cDNAライブラリー、ヒト急性リンパ性白血病細胞株Mo
lt-4のpSport1cDNAライブラリー、およびマウス脳のpSp
ort1 cDNAライブラリーが含まれる。
【0028】ライブラリーのスクリーニングは、当該技
術分野で公知の方法によって、上記(A)項で得られた
プローブを用いて行われ得る。このスクリーニング法に
は、例えば、組換えファージプラークのプラークハイブ
リダイゼーションおよび組換え大腸菌のコロニーハイブ
リダイゼーションが含まれる。
【0029】(C)cDNAの塩基配列の決定 上記(B)項で得られた目的の組換えプラスミドの挿入
断片の塩基配列の決定は、例えば以下のように行われ
る。まず、挿入断片を該断片の内部に存在する制限酵素
部位を用いて切断し、それぞれのcDNA断片をそれぞれ適
当なシークエンスベクター、例えば、pCR II中にサブク
ローニングする。次にクローニングした断片の塩基配列
を、例えば自動DNAシーケンサーを用いて、Sanger法
(F. Sangerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 546
3-5467 (1977))によって、決定し得る。これにより、
塩基配列が決定される。
【0030】(2)組換え型Doc2タンパク質の発現 本発明のDoc2タンパク質遺伝子は、適当なベクターに組
み込まれて、Doc2タンパク質を発現させるための発現ベ
クターとされる。この発現ベクターを、例えば、細菌、
酵母、昆虫細胞、または動物細胞に導入して、形質転換
体が作製される。この形質転換体を培養することによ
り、Doc2タンパク質が産生され得る。
【0031】例えば、本発明のDoc2タンパク質遺伝子を
含む発現ベクターを、大腸菌BL21株に導入することによ
って形質転換体を作製し、この形質転換体を培養するこ
とにより、例えば、N末端にオリゴヒスチジンを有するD
oc2タンパク質が産生され得る。
【0032】(3)抗Doc2抗体の作製 本発明のDoc2タンパク質に対する抗体は、例えば、N末
端側の配列表の配列番号1の9位から80位の特異的な
72個のアミノ酸配列部分またはこれを含みかつDoc2タン
パク質を認識する抗体を産生させ得るタンパク質を免疫
原とし、マウス、ラット、ウサギなどの動物を免疫し
て、その血清由来の抗体(ポリクローナル抗体)を作製
し得る。または、免疫した動物の脾臓またはリンパ節か
ら細胞を取り出し、ミエローマ細胞などの細胞と融合さ
せてハイブリドーマを作製した後、該ハイブリドーマか
らモノクローナル抗体を産生させ得る。
【0033】(4)Doc2タンパク質の免疫学的測定法 免疫に用いた免疫原と同一の抗原部位を有する標識した
一定量のタンパク質に、濃度既知の非標識抗原、および
血清由来のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗
体を加えて、抗原抗体競合反応を行わせる。非標識抗原
の濃度を適当に変化させた後、抗体に結合した標識抗原
と抗体に結合していない標識抗原とを適当な方法で分離
して、抗体と結合した標識抗原の放射能量、酵素活性、
または蛍光強度を測定する。非標識抗原の量が増すにつ
れ、抗体と結合する標識抗原の量は減少する。この関係
をグラフにして標準曲線を得る。
【0034】次に、上記の反応系に濃度既知の非標識抗
原の代わりに未知量の抗原を含む試料を加え、これを反
応させた後に得られる放射能量、酵素活性、または蛍光
強度を、標準曲線にあてはめれば、試料中の抗原の量を
知ることができる。
【0035】(5)Doc2タンパク質の組織分布の確認 本発明のDoc2タンパク質の組織分布は、例えば、mRNAの
発現またはDoc2タンパク質の発現を解析することによ
り、確認することができる。mRNAの発現については、cD
NAを用いてノーザンブロット解析により、また、Doc2タ
ンパク質の発現については、上記(4)項で得た抗体を
用いてウエスタンブロット解析により確認し得る。
【0036】(6)Doc2タンパク質のホスホリピッドと
の結合の確認 本発明のDoc2タンパク質のホスホリピッドへの結合は、
例えば以下のようにして確認できる。種々の濃度のカル
シウムイオン存在下で、Doc2タンパク質とリポソーム化
したホスホリピッドとを反応させた後、リポソーム画分
についてウエスタンブロット解析と同様にしてDoc2タン
パク質の量を検出することにより、ホスホリピッドと結
合したDoc2タンパク質を測定し得る。
【0037】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに説明す
る。
【0038】[実施例1]Doc2 cDNAの単離およびその
構造決定 (1)cDNAライブラリーの作製 ヒト急性リンパ性白血病細胞株Molt-4およびヒト脳のpS
port1cDNAライブラリーを、GIBCO-BRL社製のcDNA合成
システムおよびcDNAクローニングシステムを用いて常法
に従って(T. Maniatisら、Molecular Cloning: A Labo
ratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laborato
ry, New York (1989))、以下のように作製した。
【0039】まず、次のように、Molt-4細胞あるいはヒ
ト脳よりpoly(A)+RNAを抽出した。Molt-4細胞109個また
はヒト脳100μgを、1mlの4Mグアニジンチオシアネー
ト緩衝液(4Mグアニジンチオシアネート、25mM クエン
酸ナトリウム、 pH 7.0、0.5% サルコシル、および0.1M
2-メルカプトエタノール)に加えて溶解した。次に、
1mlの水飽和フェノール、および0.2mlのクロロホル
ム:イソアミルアルコール(49:1)を加えて混和し、氷
中で15分間放置した後、TOMY遠心機MRX-150(トミー精
工社製)で15000回転で10分間遠心分離した。得られた
沈澱物を滅菌蒸留水に溶解し、波長260nmでの吸光度を
測定することにより、回収した全RNA量を計算した。Mol
t-4細胞より1.3mg、そしてヒト脳より1mgの全RNAがそ
れぞれ得られた。全RNAの100μgを、100μlのOligotex-
dT30(日本合成ゴム社製、宝酒造より購入)に、反応緩
衝液(10mM Tris-HCl、pH 7.5、1mM EDTA、0.5M NaCl、
および0.1% SDS)中で、室温で15分間反応させて結合
させた。さらに、滅菌蒸留水中で65℃で5分間反応させ
た後、溶出して、poly(A)+RNAとした。これを波長260nm
での吸光度を測定することにより、回収したpoly(A)+RN
A量を計算した。Molt-4細胞より12μg、そしてヒト脳よ
り9μgのpoly(A)+RNAがそれぞれ得られた。
【0040】次に、精製したpoly(A)+RNAを鋳型としてc
DNAの合成を以下のように行った。まず、2μgのpoly(A)
+RNAを鋳型として逆転写酵素SUPER SCRIPT II RT(スト
ラタジーン社製)を用いて、反応緩衝液(50mM Tris-HC
l、pH 8.3、75mM KCl、3mMMgCl2、10mM DTT、500μM dN
TP(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)、50μg/ml NotIプライマ
ー−アダプター、および20,000U/ml 逆転写酵素SUPER S
CRIPT II RT)中で、37℃で1時間反応させて1本鎖DNA
を合成した。なお、NotIプライマー−アダプターの配列
を、配列表の配列番号2に示す。この一本鎖DNAを鋳型
として、反応緩衝液(25mM Tris-HCl、pH 7.5、100mM K
Cl、5mM MgCl2、10mM (NH4)2SO4、0.15mM β-NAD+、250
μM dNTP(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)、1.2mM DTT、65U/
ml DNAリガーゼ、250U/ml DNAポリメラーゼI、および1
3U/ml RNase H)中で、16℃で2時間反応させてcDNAを
合成した。次に、T4 DNAポリメラーゼを、最終濃度が65
U/mlとなるように加えて、さらに16℃で5分間反応さ
せて二本鎖DNAとした。この二本鎖DNAを、反応緩衝液
(50mM Tris-HCl、pH 7.6、10mM MgCl2、1mM ATP、5% P
EG 8000、1mM DTT、200μg/ml SalIアダプター、および
100U/ml T4リガーゼ)中で、16℃で16時間反応させて、
SalIアダプターに結合させた。なお、SalIアダプター
は、配列表の配列番号3および4に示すDNAがアニーリ
ングした二本鎖であった。こうして完成したcDNAをpSpo
rt 1ベクターのNotIとSalI部位の間に挿入して、cDNAラ
イブラリーを作製した。
【0041】(2)Doc2 cDNAのクローニングおよび塩
基配列の決定 まず、C2領域の2カ所の保存されたアミノ酸配列(図1
の1および2の部分、それぞれ配列表の配列番号7およ
び8に示す)をコードする、退縮した2つのオリゴヌク
レオチドを設計し(それぞれ配列表の配列番号5および
6に示す)、DNA合成機(Cyclone Plus DNA Synthesize
r、ミリジェン/バイオサーチ社)で合成した。合成に
はミリジェン/バイオサーチ社のβ−リンク・ベータシ
アノエチルホスホアミダイト試薬を用いた。合成後、ア
ンモニア水(28%、ナカライテスク社製)2mlで合成カ
ラムから合成オリゴヌクレオチドを溶出した後、60℃、
5時間処理することにより保護基を離脱させた。脱保護
したオリゴヌクレオチドを、10倍量のブタノールを加え
てTOMY遠心機MRX-101(トミー精工社製)で3000回転で1
0分間遠心分離することにより沈澱させて回収した。回
収したオリゴヌクレオチドを滅菌水に溶解し、波長260n
mでの吸光度を測定することによりその量を計算した。
最終的に、配列表の配列番号5に示すオリゴヌクレオチ
ドを10μg得た。また、配列表の配列番号6に示すオリ
ゴヌクレオチドを490μg得た。合成したこれらのオリゴ
ヌクレオチドは、それぞれC2領域の保存されている2か
所のアミノ酸配列に対応しており、これらのオリゴヌク
レオチド用いてPCRを行うことによりC2領域を2つ以上
持つ遺伝子のみが増幅されると考えられた。
【0042】図1に示すように、設計したオリゴヌクレ
オチド(図1のaおよびb、それぞれ配列表の配列番号5
および6に示す)をプライマーとして用いて、Molt-4cD
NAライブラリーDNAを鋳型としたPCR反応を行った。PCR
は宝酒造から購入したAmpliTaq Kit(Perkin-Elmer社
製)を用い、宝酒造から購入したDNA Thermal Cycler
(Perkin-Elmer社製)で行った。反応は、鋳型DNA(ヒ
ト急性リンパ性白血病細胞株のpSport 1 cDNAライブラ
リー)0.5μg、AmpliTaq DNAポリメラーゼ 5ユニット、
オリゴヌクレオチドをそれぞれ500 pmol、および10XPCR
用緩衝液(100mM Tris-HCl、pH 8.3、500mM KCl、15mM
MgCl2、0.1%ゼラチン)5μlを加え、さらにdNTP(dAT
P、dGTP、dTTP、dCTP)を最終濃度が200μMとなるよう
に加え、滅菌蒸留水で最終的に50μlとして行った。反
応は、94℃で5分間処理した後、94℃で1分間、45℃で
1分間、72℃で2分間の反応サイクルを30回繰り返し、
さらに72℃で5分間行った。反応生成物を、2%アガロ
ースゲル(SeaKem Agarose、FMC社製、宝酒造より購
入)上で電気泳動した後、エチジウムブロミド(500ng/
ml)で5分間染色して確認した。約430bpのバンドが1
μg/50μl生成した。反応生成物(430bpの生成物)の回
収方法は常法に従って以下のように行った(T. Maniati
sら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2
版、Cold Spring Harbor Laboratory, New York (198
9))。反応生成物を6%ポリアクリルアミドゲル上で電
気泳動した後、エチジウムブロミド(500ng/ml)で5分
間染色し、430bpのバンドをカッターを用いて切り出し
て、これをマクサム・ギルバート溶出緩衝液(500mM酢
酸アンモニウム、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.1% SDS)に
浸して、37℃で16時間処理した。次に、当量の0.1M Tri
s-HCl、pH 8.0の飽和フェノール・クロロフォルム
(1:1)を加えて攪拌した後、TOMY遠心機MRX-150
(トミー精工社製)で12000回転で5分間遠心分離し
た。その水層を取り出して、2.5倍量のエタノールを加
えて、-80℃で15分間処理後、再びTOMY遠心機MRX-150
(トミー精工社製)で12000回転で5分間遠心分離して
その沈澱物をTE緩衝液(10mM Tris-HCl、pH8.0、1mM ED
TA)に溶解した。そして、波長260nmでの吸光度を測定
することにより回収した430bpのバンドのDNA量を計算し
た。最終的に0.4μgのDNAが得られた。得られた430bpの
DNA断片をInvitrogen社製のTAクローニングベクター(p
CR II)に挿入し、塩基配列を決定した。塩基配列の決
定は、Sanger法により、Pharmacia社のT7 Sequencing K
itを用いて行った(F. Sangerら、Proc. Natl. Acad. S
ci. USA, 74, 5463-5467 (1977))。この結果、得られ
たPCR生成物の塩基配列が、ラブフィリン3Aと類似性が
あることが明らかとなった。
【0043】次に、完全長のDNAを得るために、430bpの
DNA断片をマルチプライムDNA標識システム(アマシャム
・ジャパン社製)により32Pで標識し、これをプローブ
として、ヒト脳cDNAライブラリーをコロニーハイブリダ
イゼーションによりスクリーニングした。コロニーハイ
ブリダイゼーションは常法に従って以下のように行った
(T. Maniatisら、Molecular Cloning: A Laboratory M
anual、第2版、ColdSpring Harbor Laboratory, New Y
ork (1989))。ヒト脳cDNAライブラリーの入った大腸菌
DH5αをLB-プレート(10gトリプトン、5gイーストエキ
ストラクト、10g NaCl、15gアガー/1L蒸留水)に播き、
一晩37℃で培養した。プレートに生えた大腸菌のコロニ
ーをナイロン膜(Hybond-N+、アマシャム・ジャパン社
製)に転写した後、SDS処理(10% SDS)、アルカリ変性
(0.5M NaOH、1.5M NaCl)、そして洗浄(2XSSC)の操
作を行った。この膜を、32P標識430bp DNA断片をプロー
ブとしてハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼ
ーション溶液は、6XSSC(1XSSCは、0.15M NaClおよび0.
015Mクエン酸ナトリウムからなる)、5Xデンハート溶
液、0.5% SDS、50%ホルムアミド、および100μg/mlサ
ケ精子DNAを用い、42℃で一晩ハイブリダイゼーション
を行った。フィルターの洗浄は、2XSSC、0.5% SDSで室
温10分間、1XSSC、0.5% SDSで65℃で30分間を2回、さ
らに0.1XSSC、0.5% SDSで65℃で30分間を2回行った
後、X線フィルム(Kodak社製)に感光させ、これをフ
ィルム現像して、プローブと反応するコロニーを同定し
た。最終的に2つのcDNAクローンが得られ、塩基配列の
決定は、Sanger法により、Pharmacia社のT7 Sequencing
Kitを用いて行った。
【0044】得られたクローンの塩基配列および内部に
翻訳終止コドンを持たないオープンリーデングフレーム
のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。このオー
プンリーデングフレームの上流および下流には翻訳終止
コドンが存在することより、このクローンは完全長の翻
訳領域を持っていることが証明された。この遺伝子は40
0個のアミノ酸よりなるオープンリーデングフレームを
有し、2つのC2領域を有する遺伝子であることが明らか
となった。この400個のアミノ酸をDoc2(Double C2)と
命名した。この400個のアミノ酸からなるタンパク質の
分子量は、計算によると44,071であった。
【0045】Doc2の類似性解析は、IDEASプログラ
ム(M. I. Kanehisa、Nucleic Acids Res.、10、183-19
6 (1982))を用いて行い、その結果に基づく模式図を図
2に示す。このタンパク質のC2領域の320個のアミノ酸
は、ラブフィリン3AのC2領域と61%の類似性があり、シ
ナプトタグミンのC2領域と37%の類似性があることが明
らかとなった。また、Doc2は、シナプトタグミンに存在
する膜貫通領域(図2のTMS)およびラブフィリン3Aに
存在するRab3A結合領域(図2のRab3A BD)を含んでい
なかった。さらに、Doc2は、N末端側に配列表の配列番
号1の9位から80位の72個のアミノ酸からなる、他の
タンパク質と類似性のない特異的領域を有することも明
らかになった。
【0046】[実施例2]組換えDoc2の発現および精製 (1)組換えDoc2N末端タンパク質の発現および精製 Doc2に特異的なアミノ末端側の72アミノ酸(Doc2N末端
タンパク質)を持つ断片を作製するために、発現ベクタ
ーpGEX-2T-Doc2-Nを以下の方法で構築した。両端にBamH
IおよびKpnI部位を持ち、翻訳開始コドンより9個目のM
et以下72アミノ酸を含み、その下流に翻訳終了コドンを
持つ0.21KbのDNA断片を、Doc2cDNAを鋳型としてPCR法に
より得た。用いた2つのオリゴヌクレオチドの配列を配
列表の配列番号9および10に示す。PCRは、Ampli Taq K
it(Perkin-Elmer社製)を用い、DNA Thermal Cycler
(Perkin-Elmer社製)で行った。反応は、鋳型DNA(ヒ
ト脳よりクローニングしたDoc2のcDNAの全長1.7kbが組
み込まれたpSport 1ベクター)0.5μg、Ampli Taq DNA
ポリメラーゼ 5ユニット、オリゴヌクレオチドをそれぞ
れ100pmol、および10XPCR用緩衝液(100mM Tris-HCl、p
H 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.1%ゼラチン)5μlを
加え、さらにdNTP(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)を最終濃
度が200μMとなるように加え、滅菌蒸留水で最終的に50
μlとして行った。反応は、94℃で5分間処理した後、9
4℃で1分間、50℃で1分間、72℃で2分間の反応サイ
クルを30回繰り返し、さらに72℃で5分間行った。反応
生成物を6%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動した
後、エチジウムブロミド(500ng/ml)で5分間染色し、
210bpのバンドをカッターを用いて切り出し、これをマ
クサム・ギルバート溶出緩衝液(500mM酢酸アンモニウ
ム、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.1% SDS)に浸して、37℃
で16時間処理した。等量の0.1M Tris-HCl、pH 8.0飽和
フェノール・クロロフォルム(1:1)を加えて攪拌し
た後、TOMY遠心機MRX-150(トミー精工社製)で12000回
転で5分間遠心分離後、その水層を取り出し、2.5倍量
のエタノールを加えて、-80℃で15分間処理後、再びTOM
Y遠心機MRX-150(トミー精工社製)で12000回転で5分
間遠心分離してその沈澱物をTE緩衝液(10mM Tris-HC
l、pH 8.0、1mM EDTA)に溶解した。そして、波長260nm
での吸光度を測定することにより、回収した210bpのバ
ンドのDNA量を計算した。最終的に0.8μgのDNAが得られ
た。このDNA断片をBamHIで消化後、pGEX-2T(Pharmacia
社製)のBamHI部位に挿入し、発現ベクターpGEX-2T-Doc
2-Nを得た。
【0047】発現ベクターpGEX-2T-Doc2-Nを導入した大
腸菌DH5α株を用いて、Doc2のアミノ末端側の72アミノ
酸を、グルタチオン-S-トランスフェラーゼとの融合タ
ンパク質として発現させた。大腸菌DH5αの培養は、LB
培地(10g トリプトン、5g イーストエキストラクト、1
0g NaCl/1L蒸留水)で行い、Doc2N末端タンパク質の発
現誘導は、0.1mM IPTG(イソプロピル-β-D-チオガラク
トピラノシド)を加えて、30℃で3時間培養することに
より行った。発現誘導後の大腸菌を、PBS(-)(8gNaCl、
0.2g KCl、2.9g Na2HPO4、0.2g KH2PO4/1L蒸留水)に懸
濁して超音波処理を行った。次いで、100,000xgで1時
間、4℃の条件で遠心分離し、その上清をグルタチオン
セファロースカラム(Pharmacia社製)にかけた。Doc2N
末端タンパク質の結合したカラムをPBSで洗浄後、溶出
緩衝液(20mM グルタチオン、50mM Tris-HCl(pH 8.0))
にて、Doc2N末端タンパク質を溶出し精製した。
【0048】(2)組換えDoc2の発現および精製 発現ベクターpRset-Doc2は以下の方法で構築した。両端
にBamHIおよびKpnIサイトを持ち、翻訳開始コドンから
翻訳終了コドンまでを含む、1.2kbのDNA断片をDoc2cDNA
を鋳型としてPCR法により得た。PCRに用いた2つのオリ
ゴヌクレオチドの配列を、配列表の配列番号11および12
に示す。PCRは、AmpliTaq Kit(Perkin-Elmer社製)を
用い、DNA Thermal Cycler(Perkin-Elmer社製)で行っ
た。反応は、鋳型DNA(ヒト脳よりクローニングしたDoc
2cDNAの全長1.7kbが組み込まれたpSport 1ベクター)0.
5μg、Ampli Taq DNAポリメラーゼ 5ユニット、オリゴ
ヌクレオチドをそれぞれ100pmol、および10XPCR用緩衝
液(100mM Tris-HCl、pH 8.3、500mM KCl、15mM MgC
l2、0.1%ゼラチン)5μlを加え、さらにdNTP(dATP、dG
TP、dTTP、dCTP)を最終濃度が200μMになるように加
え、滅菌蒸留水で最終的に50μlとして行った。反応
は、94℃で5分間処理後、94℃で1分間、50℃で1分間、7
2℃で2分間の反応サイクルを30回繰り返し、さらに72℃
で5分間行った。反応生成物は、4%ポリアクリルアミド
ゲル上で電気泳動した後、エチジウムブロミド(500ng/
ml)で5分間染色し、1.2Kbのバンドをカッターを用いて
切り出し、これをマクサム・ギルバート溶出緩衝液(50
0mM 酢酸アンモニウム、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.1%
SDS)に浸して、37℃で16時間処理した。等量の0.1M Tr
is-HCl、pH 8.0飽和フェノール・クロロフォルム(1:
1)を加えて攪拌した後、TOMY遠心機MRXー150(トミー精
工社製)で12000回転で5分間遠心分離後、その水層を取
り出し、2.5倍量のエタノールを加えて、-80℃で15分処
理後、再びTOMY遠心機MRX-150(トミー精工社製)で120
00回転で5分間遠心分離して、その沈澱物をTE緩衝液(10
mM Tris-HCl、pH 8.0、1mM EDTA)に溶解した。そして、
波長260nmでの吸光度を測定することにより、回収した
1.2KbのバンドのDNA量を計算した。最終的に0.2μgのDN
Aが得られた。このDNA断片をKpnIで消化後、pRset(Invi
torogen社製)のKpnI部位に挿入し、発現ベクターpRset-
Doc2を得た。
【0049】発現ベクターpRset-Doc2を導入した大腸菌
BL2l株を用いて、オリゴヒスチジンをアミノ末端に持つ
融合タンパク質(F.W. StudierおよびB.A. Moffatt、J.
Mol. Biol., 189, 113-130 (1986))としてDoc2を発現
させた。大腸菌BL2l株の培養はLB培地で行い、30℃で3
時間培養した。その後大腸菌をリン酸緩衝液(20mM リ
ン酸ナトリウム、500mM NaCl、pH 7.8)に懸濁し、超音
波処理を行った。次いで、100,000xg、1時間、4℃の条
件で遠心分離し、その上清を、プレーボンドレジン(Inv
itrogen)にかけた。Doc2タンパク質の結合したカラムを
リン酸緩衝液(20mM リン酸ナトリウム、500mM NaCl、p
H 6.0)で洗浄後、溶出緩衝液(500mMイミダゾール、20
mM リン酸ナトリウム、500mM NaCl、pH 6.0)にて、Doc
2タンパク質を溶出した。溶出したDoc2タンパク質を、2
0mM HEPES(pH 7.4)、1mM DTTを用いて透析した後、モノ
Qカラム(0.5×5cm)(Pharmacia社製)にかけ、A緩衝液
(20mM HEPES(pH 7.4)、1mM DTT、1%コール酸)および
B緩衝液(20mM HEPES (pH 7.4)、1mM DTT、1M NaCl、1
%コール酸)を用いたNaClの塩濃度の勾配により溶出
し、Doc2タンパク質を含むフラクションを集めて最終的
な精製品を得た。
【0050】[実施例3]ノーザンブロット解析による
Doc2 mRNAの組織分布 いくつかのヒト組織より単離したpoly(A)+ RNA 2μg
を、アガロースゲル電気泳動にかけ、ナイロン膜に移し
たものをClonetech社より購入した。この膜を、マルチ
プライムDNA標識システム(アマシャム・ジャパン社
製)により32Pで標識したDoc2DNA(翻訳開始点より25か
ら989番目の塩基を標識)をプローブとして、ハイブリ
ダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション溶液
は、5XSSPE(1XSSPEは、0.18M NaCl、0.01M リン酸ナト
リウム、pH 7.5、1mM EDTAよりなる)、10Xデンハート
溶液、2% SDS、50%ホルムアミド、100μg/mlサケ精子
DNAを用い、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを行っ
た。フィルターの洗浄は2XSSC、0.5% SDSで室温で10分
間、1XSSC、0.5% SDCで65℃で30分間を2回、さらに0.1
XSSC、0.5% SDSで65℃で30分間を2回行った後、X線フ
ィルム(Kodak社製)に感光させ、それを現像して解析し
た。
【0051】結果を図3に示す。各レーンは、それぞ
れ、1:心臓、2:脳、3:胎盤、4:肺、5:肝臓、
6:骨格筋、7:腎臓、8:膵臓、9:脾臓、10:胸
腺、11:前立腺、12:精巣、13:卵巣、14:小腸、15:
大腸、および16:末梢血リンパ球であり、RNA分子量マ
ーカーの位置をキロベース(kb)で示した。脳において、
Doc2のmRNAである2.2kbの大きさのmRNAが大量に発現し
ているが、他の部位にはほとんど検出されないことが明
らかとなった。また、2.2kbのmRNAは、Molt-4のmRNAを
用いたノーザンブロット解析でも検出された。
【0052】[実施例4]抗Doc2ポリクローナル抗体の
作製 実施例2で得たPBS中の精製Doc2N末端タンパク質(72個
のアミノ酸)およびグルタチオン-S-トランスフェラー
ゼの融合タンパク質を、等量のフロイント完全アジュバ
ント(DIFCO LABORATORIES社製、和光純薬より購入)と混
ぜ、コンジュゲートとしてウサギ(日本白色種、雄)の
皮下に、3週間おきに3回免疫し、最終免疫から1週間
後に頸動脈より全採血して抗血清を得た。1回目の免疫
では融合タンパク質1mgを用い、2回目の免疫では500μ
g、そして3回目の免疫では10μgを用いた。
【0053】抗体価のチェックは、実施例2で得たオリ
ゴヒスチジンをアミノ末端に有するDoc2タンパク質を用
いて以下のように行った。種々の量のDoc2タンパク質
(0.1ng−100ng)をSDS緩衝液(60mM Tris-HCl、pH 6.8、
2% SDS、10% グリセロール、5% 2-メルカプトエタノ
ール、0.001%ブロモフェノールブルー)に溶解し、100
℃で5分間反応させてSDS化した後、SDS-PAGEで電気泳動
した。SDS-PAGEからPVDF膜(クリアブロットメンブレン
-P、アトー社製)にトランスファー緩衝液(0.025M Tr
is-HCl、pH 8.3、0.192M グリシン、5%メタノール)を
用いて電気的に移した膜を、20%牛胎児血清を含むPBS
緩衝液中で、500倍希釈したウサギ抗血清とともに、室
温で1時間反応した。その後、1% Tween 20(ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート、ナカライテスク
社製)を含むPBSを用いて、室温で3回洗浄した。次
に、これを、20%牛胎児血清を含むPBS緩衝液中で、100
0倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合
したプロテインG(ZYMED LABORATORIES社製)と、室温
で1時間反応した。その後、1%Tween 20を含むPBSを用
いて、室温で3回洗浄した。洗浄後、ECLウエスタンブロ
ッティング検出システム(アマシャム・ジャパン社製)
を用いて発色反応を行い、X線フィルム(Kodak社製)
に感光させ、現像されたDoc2タンパク質のバンドを解析
した。
【0054】上記抗血清を、常法に従い(T. Maniatis
ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2
版、Cold Spring Harbor Laboratory, New York (198
9))、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)結合
セファロース4Bカラムにかけて、抗GTS抗体を除いた
後、免疫に用いた融合タンパク質結合セファロース4Bカ
ラムにかけてDoc2に対する抗体を精製した。詳細には、
以下の方法により精製した。カップリング緩衝液(0.1M
NaHCO3、0.5M NaCl)に溶解したDoc2N末端側の72アミ
ノ酸とGSTとの融合タンパク質、あるいはGST 10mgと、1
mM HClで膨潤させた2gの臭化シアン活性化セファロース
4Bカラム(Pharmacia社製)とを、カップリング緩衝液
中で、室温で2時間反応させた。その後、カップリング
緩衝液を除き、ブロッキング緩衝液(1M Tris-HCl、pH
8.0)中で室温で2時間反応させた。その後、洗浄緩衝液
(0.1M 酢酸ナトリウム、pH 4.0、0.5M NaCl)で洗浄
後、再び、カップリング緩衝液に懸濁し、カラムに充填
し、10mM Tris-HCl(pH 7.5)で平衡化した。6mlのウサ
ギ抗血清を9mlの10mM Tris-HCl(pH 7.5)と混ぜ、まず
GST結合カラムにかけて、素通りしてきた画分を、Doc2N
末端側の72アミノ酸とGSTとの融合タンパク質結合カラ
ムにかけた。このカラムを、20mlの10mM Tris-HCl(pH
7.5)および20mlの10mM Tris-HCl、500mM NaCl(pH 7.
5)で洗浄後、7mlの溶出緩衝液(100mMグリシン、pH 2.
5)で溶出した。この溶出液に0.7mlの10mM Tris-HCl(p
H 8.5)を加えたものを、抗Doc2ポリクローナル抗体と
して用いた。
【0055】[実施例5]抗Doc2モノクローナル抗体の
作製 実施例2で得たPBS中の精製したDoc2N末端側の72アミノ
酸とGSTとの融合タンパク質(実施例4のポリクローナ
ル抗体の作製に用いた抗原と同じもの)50μgを、最終
濃度が0.25μg/μlとなるようにフロイント完全アジュ
バントとコンジュゲートして、3匹のマウス(Balb/c、
雌)の足蹠に各50μlずつ2または3日ごとに3回接種し
た。最後の接種の翌日に全てのマウスから後リンパ節を
摘出し、リンパ細胞をマウスミエローマ細胞Sp2と10:1
の割合で混合して50%PEGを含むRPMI1640培地に加える
ことにより細胞融合を行った。4枚の96ウェルプレート
中のHAT培地(10%FCS、0.1mM ヒポキサンチンナトリウ
ム、0.4μM アミノプテリン、16μM チミジンを含むRPM
I1640培地)に、約100細胞/ウェルになるように細胞を
播いた。3日後に培養上清100μlを同量のHT培地(10%F
CS、0.1mM ヒポキサンチンナトリウム、16μM チミジン
を含むRPMI1640培地)と交換し、以後4日ごとに上清を
同様に10%FCS、10%Origen(ボクスイブラウン)を含むR
PMI1640培地と交換し維持継代した。培養開始16日目に
培養上清について、GSTタンパク質、および、オリゴヒ
スチジンをN末端に持つDoc2タンパク質(His-Doc2タン
パク質)に対するELISA試験を以下のように行った。96
ウェルプレート(Maxisorb、Nunc)に抗原を0.5または1
μg/ウェル入れ、37℃で30分間保存しコートした。次に
抗原を捨てブロック溶液(10%FCSを含むPBS)を加え4
℃で一晩ブロックした。ブロック後ブロック溶液を捨
て、試験するハイブリドーマの培養上清を加えて37℃で
30分間反応した。その後プレートをプレート洗浄器(Nu
nc)で洗浄し、ブロック液で希釈したHRP結合抗マウス
免疫グロブリン抗体(Dako)を加えて37℃で30分反応し
た。そしてプレートをプレート洗浄器で洗浄しABTS試薬
によりHRP活性を450nmの吸光度として求めた。その結
果、24ウェルがGSTタンパク質に対して陰性およびHis-D
oc2タンパク質に対して陽性であった。これらをHis-Doc
2タンパク質に対してウエスタンブロットし、最も力価
の高かった4E11を選択した。
【0056】次に、このウェルのハイブリドーマをクロ
ーン化するために、細胞を10-1細胞/ウェルとなるよう
に限界希釈して96ウェルプレートに播き、ELISA試験に
よりGSTに対して陰性およびDoc2タンパク質に対して陽
性を示すシングルコロニーのウェル(D3)を選択した。
このハイブリドーマの培養上清が、His-Doc2タンパク質
に対して特異的に反応することをウエスタンブロットに
より確認した。このハイブリドーマは、工業技術院生命
工学研究所に平成6年10月7日付で寄託され、受託番
号FERM P-14577が付与されている。得られたハイブリド
ーマD3をRPMI培地に懸濁し(2×107細胞/ml)、1匹あた
り500μlずつ、11日前にプリスタンを腹腔内に投与して
おいたマウス(Balb/c、雌)5匹の腹腔内に投与し1週間
後にマウスから腹水を回収した。回収した腹水は2,000r
pm10分間遠心分離し、その上清を抗Doc2モノクローナル
抗体とした。
【0057】[実施例6]ウエスタンブロット解析 実施例4および5で作製したDoc2N末端側の72アミノ酸
に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体
を用いて、ラット組織でのDoc2タンパク質の発現をウエ
スタンブロットにより以下のように検討した。
【0058】ラットの種々の組織を、SDS緩衝液(60mM
Tris-HCl、pH 6.8、2%SDS、10%グリセロール、5% 2-
メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブル
ー)に溶解し、100℃で5分間反応させSDS化した後、SDS
-PAGEで電気泳動した。SDS-PAGEからPVDF膜(クリアブ
ロットメンブレン-P、アトー社製)にトランスファー緩
衝液を用いて電気的に移し、この膜を、20%牛胎児血清
を含むPBS緩衝液中で、1000倍希釈した抗Doc2ポリクロ
ーナル抗体あるいは2000倍希釈した抗Doc2モノクローナ
ル抗体と、室温で1時間反応した。その後、1% Tween 2
0を含むPBSを用いて、室温で3回洗浄した。次に、20%
牛胎児血清を含むPBS緩衝液中で、一次抗体が抗Doc2ポ
リクローナル抗体の場合は2000倍希釈したHRP結合プロ
テインG(ZYMED LABORATORIES社製)と、一次抗体が抗D
oc2モノクローナル抗体の場合は5000倍希釈したHRP結合
抗マウスイムノグロブリンヒツジポリクローナル抗体
(アマシャム・ジャパン社製)と、それぞれ室温で1時
間反応させた。その後、1% Tween 20の入ったPBSを用
いて、室温で3回洗浄した。洗浄後、ECLウエスタンブロ
ッティング検出システム(アマシャム・ジャパン社製)
を用いて発色反応を行い、X線フィルム(Kodak社製)
に感光させ、現像したDoc2タンパク質のバンドを解析し
た。
【0059】抗Doc2ポリクローナル抗体を用いた場合の
ウエスタンブロットの結果を図4に示す。図中の各レー
ンは、それぞれ、1:脳、2:心臓、3:肺、4:肝
臓、5:腎臓、6:骨格筋、7:脾臓、8:胸腺、9:
小腸、および10:大腸であり、タンパク質分子量マーカ
ーの位置をキロダルトン(kD)で示した。分子量46kDのバ
ンドが脳において検出されたが、他の臓器では検出され
なかった。
【0060】抗Doc2モノクローナル抗体を用いた場合の
ウエスタンブロットの結果を図5に示す。図中の各レー
ンは、それぞれ、1:心臓、2:脳、3:小腸、4:
肺、5:肝臓、6:骨格筋、7:腎臓、8:副腎髄質、
9:脾臓、および10:胸腺であり、タンパク質分子量マ
ーカーの位置をキロダルトン(kD)で示した。その結果、
ポリクローナル抗体を用いた場合と同様に、分子量46kD
のバンドが脳において検出されたが、他の臓器では検出
されなかった。
【0061】[実施例7]Doc2とホスホリピッドとの結
合解析 C2領域を有するDoc2とホスホリピッド(ホスファチジル
セリンおよびホスファチジルコリン)との結合解析は報
告されている方法に従って行った(T. Yamaguchiら、J.
Biol. Chem.、268、27164-27170 (1993))。ホスファ
チジルセリンおよびホスファチジルコリンはフナコシよ
り購入した。リポソームを作製するために、ホスホリピ
ッドを窒素ガスを用いてフイルム状に乾燥し、20mM HEP
ES/NaOH(pH 7.4)、150mM NaCl緩衝液に溶解した後、1
00,000×gで20分間、4℃にて遠心分離した。沈澱を再び
同じ緩衝液に溶解した。実施例2で得た組換えHis-Doc2
タンパク質20pmolを、上記のリポソームとともに、種々
の濃度のカルシウムイオンを含む溶液100μl(100μgリ
ポソーム、20mM HEPES/NaOH(pH 7.4)、150mM NaCl、10
-8〜10- 4Mの種々の濃度のカルシウムイオン)中で、60分
間、4℃で反応させた。反応後、100,000×gで20分間、4
℃にて遠心分離し、上清および沈澱を、SDS緩衝液(60m
M Tris-HCl、pH 6.8、2%SDS、10%グリセロール、5%
2-メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブ
ルー)に溶解し、100℃で5分間反応してSDS化した後、S
DS-PAGEで電気泳動した。SDS-PAGEからPVDF膜に電気的
に移した膜を、20%牛胎児血清を含むPBS緩衝液中で、2
000倍希釈した抗Doc2モノクローナル抗体と、室温で1時
間反応させた。その後、1% Tween 20を含むPBSを用い
て、室温で3回洗浄した。次に、20%牛胎児血清を含むP
BS緩衝液中で、2000倍希釈したHRP結合抗マウスイムノ
グロブリンヒツジポリクローナル抗体(アマシャム・ジ
ャパン社製)と、室温で1時間反応させた。その後、1%
Tween 20を含むPBSを用いて、室温で3回洗浄した。洗
浄後、ECLウエスタンブロッティング検出システム(ア
マシャム・ジャパン社製)を用いて発色反応を行い、X
線フィルム(Kodak社製)に感光させ、現像したDoc2タ
ンパク質のバンドを解析した。
【0062】結果を図6に示す。図中の黒丸はホスファ
チジルセリン、および白丸はホスファチジルコリンで作
製したリポソームとの結合の結果をそれぞれ示してい
る。組換えHis-Doc2タンパク質はカルシウムイオン存在
下にホスホリピッドと結合した。ホスファチジルセリン
で作製したリポソームへのDoc2の結合はカルシウムイオ
ン濃度に依存的であり、カルシウムイオンの濃度が5x10
-7Mの時、半量のDoc2がリポソームへ結合した。ホスフ
ァチジルコリンでリポソームを作製した場合、Doc2はリ
ポソームにほとんど結合しなかった。また、データには
示さないが、組換えDoc2タンパク質はGTPγS-結合型のR
ab3Aとは結合しなかった。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、2つのC2領域を有する
脳特異的タンパク質であるDoc2タンパク質;Doc2タンパ
ク質の構造遺伝子;該遺伝子を含む発現ベクター;該発
現ベクターを有する形質転換体;該形質転換体を用いた
Doc2タンパク質の製造方法;Doc2タンパク質に対する抗
体;該抗体を産生し得るハイブリドーマ;および該抗体
を用いた試料中のDoc2タンパク質を定量するための免疫
学的測定方法が提供される。
【0064】神経伝達物質の放出に関与するシナプトタ
グミンおよびラブフィリン3AのC2領域は、カルシウムイ
オンおよびホスホリピッド(特にホスファチジルセリ
ン)と結合することが知られており、同様に、組換えDo
c2タンパク質もカルシウムイオン依存的にホスホリピッ
ド(特にホスファチジルセリン)と結合する。従って、
Doc2は、神経伝達物質の放出に作用すると考えられる。
しかし、シナプトタグミンおよびラブフィリン3Aと異な
り、Doc2は、シナプトタグミンに存在する膜貫通領域お
よびラブフィリン3Aに存在するRab3A結合領域を有さ
ず、一方、Doc2はそのアミノ末端側に72個のアミノ酸よ
りなる、他のタンパク質と類似性のないユニークな領域
を有している。このようなシナプトタグミンおよびラブ
フィリン3Aとの構造上の類似性から考えて、Doc2のアミ
ノ末端領域も、何らかの細胞内構成成分、例えば、ある
種のタンパク質を介してシナプス小胞と結合しているこ
とが予想され、Doc2はカルシウムセンサーとして働き、
プレシナプスからの神経伝達物質の放出に関与している
ことが予想される。このことは、プレシナプス膜に電気
刺激が伝達された際、アクティブゾーンのカルシウムイ
オン濃度は、電位依存性のカルシウムチャンネルからの
カルシウムイオンの流入により、1×10-8Mから1×10-4
Mまで上昇すること(S.J. SmithおよびG.J. Augustin
e、Trends Neurosci.、11、458-464 (1988))から類推
され得る。従って、本発明のDoc2は、その機能の解明に
より、神経伝達物質の放出機構を解明するのに有用であ
る。また、本発明のDoc2遺伝子および抗Doc2抗体は、Do
c2の遺伝子変異およびそのmRNAおよびタンパク質の発現
状態を解析するのに有用であり、脳神経系の疾患の原因
究明の新たな手段を提供し得、脳神経系の疾患の診断ま
たは治療方法の開発に有用である。
【0065】
【配列表】
【0066】
【配列番号:1】 配列の長さ:1718 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ヒト 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:125..1324 特徴を決定した方法:S 配列 CCACGCGTCC GGTCCTGACG GCGCTGGAGC TGAGGGGCAG TGCGGATGCC CCAGGAAGGC 60 TCCTAGGAAG AGGGGACCCA CGGTGACTTC CTAAGGAAGC GCGGTTCCCA GCCAGGGGTG 120 CTGC ATG AGG GGC CGC AGG GGC GAT CGC ATG ACC ATC AAC ATC CAG GAG 169 Met Arg Gly Arg Arg Gly Asp Arg Met Thr Ile Asn Ile Gln Glu 1 5 10 15 CAC ATG GCC ATC AAC GTG TGC CCC GGG CCC ATC CGG CCC ATC CGC CAG 217 His Met Ala Ile Asn Val Cys Pro Gly Pro Ile Arg Pro Ile Arg Gln 20 25 30 ATC TCT GAC TAC TTC CCC CGG GGA CCA GGA CCT GAA GGG GGC GGC GGG 265 Ile Ser Asp Tyr Phe Pro Arg Gly Pro Gly Pro Glu Gly Gly Gly Gly 35 40 45 AGC GGC GGG GAG GCC CCC GCC CAT CTG GTC CCC CTG GCT CTG GCC CCC 313 Ser Gly Gly Glu Ala Pro Ala His Leu Val Pro Leu Ala Leu Ala Pro 50 55 60 CCT GCA GCC CTC CTT GGG GCC ACC ACG CCT GAG GAT GGT GCG GAG GTG 361 Pro Ala Ala Leu Leu Gly Ala Thr Thr Pro Glu Asp Gly Ala Glu Val 65 70 75 GAC AGC TAT GAC TCG GAT GAT GCC ACC GCC CTA GGC AAG CTG GAG TTT 409 Asp Ser Tyr Asp Ser Asp Asp Ala Thr Ala Leu Gly Lys Leu Glu Phe 80 85 90 95 GAC CTT CTC TAC GAC CGG GCC TCC TGC ACT CTG CAC GTA TGC ATC CTC 457 Asp Leu Leu Tyr Asp Arg Ala Ser Cys Thr Leu His Val Cys Ile Leu 100 105 110 AGG GCC AAG GGC CTC AAG CCC ATG GAT TTC AAT GGC CTC GCC GAC CCC 505 Arg Ala Lys Gly Leu Lys Pro Met Asp Phe Asn Gly Leu Ala Asp Pro 115 120 125 TAC GTC AAG CTG CAC TTG CTG CCT GGA GCC TGT AAG GCC AAT AAG CTA 553 Tyr Val Lys Leu His Leu Leu Pro Gly Ala Cys Lys Ala Asn Lys Leu 130 135 140 AAA ACG AAG ACT CAG AGG AAC ACA CTG AAT CCC GTG TGG AAT GAG GAC 601 Lys Thr Lys Thr Gln Arg Asn Thr Leu Asn Pro Val Trp Asn Glu Asp 145 150 155 CTG ACT TAC AGC GGG ATC ACA GAT GAC GAC ATC ACG CAC AAG GTG CTC 649 Leu Thr Tyr Ser Gly Ile Thr Asp Asp Asp Ile Thr His Lys Val Leu 160 165 170 175 AGG ATC GCC GTC TGT GAT GAG GAC AAG CTG AGT CAC AAT GAG TTT ATT 697 Arg Ile Ala Val Cys Asp Glu Asp Lys Leu Ser His Asn Glu Phe Ile 180 185 190 GGG GAG ATC CGC GTG CCC CTC CGC CGC CTC AAG CCT TCG CAG AAG AAG 745 Gly Glu Ile Arg Val Pro Leu Arg Arg Leu Lys Pro Ser Gln Lys Lys 195 200 205 CAT TTT AAC ATC TGC CTC GAG CGC CAA GTC CCG CTG GCG TCC CCC TCT 793 His Phe Asn Ile Cys Leu Glu Arg Gln Val Pro Leu Ala Ser Pro Ser 210 215 220 TCC ATG TCA GCG GCG CTG AGG GGC ATC TCC TGT TAT CTG AAG GAC TTG 841 Ser Met Ser Ala Ala Leu Arg Gly Ile Ser Cys Tyr Leu Lys Asp Leu 225 230 235 GAG CAG GCG GAG CAG GGG CAG GGG CTG CTG GAG GAG CGT GGC CGC ATC 889 Glu Gln Ala Glu Gln Gly Gln Gly Leu Leu Glu Glu Arg Gly Arg Ile 240 245 250 255 CTG CTG AGT CTC AGC TAC AGC TCG CGG CGC CGG GGA CTG CTG GTA GGC 937 Leu Leu Ser Leu Ser Tyr Ser Ser Arg Arg Arg Gly Leu Leu Val Gly 260 265 270 ATC TTG CGC TGC GCC CAT CTG GCT GCC ATG GAC GTC AAC GGT TAC TCG 985 Ile Leu Arg Cys Ala His Leu Ala Ala Met Asp Val Asn Gly Tyr Ser 275 280 285 GAC CCC TAC GTC AAG ACG TAC CTG AGG CCC GAT GTG GAC AAG AAA TCC 1033 Asp Pro Tyr Val Lys Thr Tyr Leu Arg Pro Asp Val Asp Lys Lys Ser 290 295 300 AAG CAT AAG ACG TGT GTG AAG AAG AAG ACT CTC AAC CCA GAA TTT AAC 1081 Lys His Lys Thr Cys Val Lys Lys Lys Thr Leu Asn Pro Glu Phe Asn 305 310 315 GAG GAG TTT TTC TAC GAG ATA GAG CTC TCC ACT CTG GCC ACC AAG ACC 1129 Glu Glu Phe Phe Tyr Glu Ile Glu Leu Ser Thr Leu Ala Thr Lys Thr 320 325 330 335 CTG GAA GTC ACC GTC TGG GAC TAT GAC ATT GGC AAA TCC AAT GAC TTC 1177 Leu Glu Val Thr Val Trp Asp Tyr Asp Ile Gly Lys Ser Asn Asp Phe 340 345 350 ATT GGT GGC GTG TCC CTG GGG CCA GGT GCC CGA GGC GAG GCT CGG AAG 1225 Ile Gly Gly Val Ser Leu Gly Pro Gly Ala Arg Gly Glu Ala Arg Lys 355 360 365 CAC TGG AGT GAC TGC CTG CAG CAG CGG GAC GCA GCC CTG GAG CGC TGG 1273 His Trp Ser Asp Cys Leu Gln Gln Arg Asp Ala Ala Leu Glu Arg Trp 370 375 380 CAC ACC CTG ACC AGT GAG CTG CCC CCT GCG GCC GGG GCT CTG TCC TCA 1321 His Thr Leu Thr Ser Glu Leu Pro Pro Ala Ala Gly Ala Leu Ser Ser 385 390 395 GCC TGAGTGGACA GCAGTGTCCC GGCACAGGCC CATCGAGCCG GGTCCAGTAC 1374 Ala 400 CCAACCTTCG CACGAGTGTG TTGCACGTTT ACACAGGTGG GCTGCCCCAC CCTGCACTAC 1434 CTATTTTGTG AGTCTCGTGA CCCGGGTCTG TCTGCTCATG AGGGGCTGCG GAGTTCTATA 1494 TTCACATATG CAAACCTCCT GCCTGACTCG CTAGTCCCTG CAAATATGCA AACCCCCCTA 1554 CTACTGCACA CCCGGGCAGT GCTCAGAGCC GCCCAGGCCC CGCGCTCCTC ACTCCTGCCT 1614 CTCCACGCTG CCCCGTCCCT CTCCCCCAAC AGGGAGGAGG TCGGATTAGG GAGGTTCAGA 1674 GGAGGAGAAT GTCTCAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAA 1718
【0067】
【配列番号:2】 配列の長さ:45 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GATTAGTTCT AGATCGCGAC GCGGCCGCCC TTTTTTTTTT TTTTT 45
【0068】
【配列番号:3】 配列の長さ:16 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCGACCCACG CGTCCG
16
【0069】
【配列番号:4】 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CGGACGCGTG GG 12
【0070】
【配列番号:5】 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 他の情報:Nはイノシンである。 配列 TTNACRWANG GRTCNSWNDD NCC 23
【0071】
【配列番号:6】 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 他の情報:Nはイノシンである。 配列 ACNYTNAAYC CNNDNTDWAA YGA
23
【0072】
【配列番号:7】 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 他の情報:2位のXaaは任意のアミノ酸、6位のXaa破Glu
またはTyrである。
【0073】
【配列番号:8】 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 他の情報:5位のXaaは任意のアミノ酸、6位のXaaはPh
e、Tyr、またはTrpである。
【0074】
【配列番号:9】 配列の長さ:36 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CATGGATCCG GTACCATGAC CATCAACATC CAGGAG 36
【0075】
【配列番号:10】 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CATGGATCCG GTACCTCAAT AGCTGTCCAC CTCCGCAC 38
【0076】
【配列番号:11】 配列の長さ:36 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CATGGATCCG GTACCATGAG GGGCCGCAGG GGCGAT
36
【0077】
【配列番号:12】 配列の長さ:36 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CATGGATCCG GTACCTCAGG CTGAGGACAG AGCCCC 36
【図面の簡単な説明】
【図1】C2領域を2つ有する遺伝子を得るためのプライ
マーの設計を示す図である。
【図2】本発明のDoc2タンパク質と、ラブフィリン3Aお
よびシナプトタグミンIとのアミノ酸配列の比較の構造
の模式図である。
【図3】種々のヒト組織におけるDoc2 mRNAの発現のノ
ーザンブロット解析の結果を示す図である。
【図4】抗Doc2ポリクローナル抗体を用いた、種々のラ
ット組織におけるDoc2タンパク質の発現のウエスタンブ
ロット解析の結果を示す図である。
【図5】抗Doc2モノクローナル抗体を用いた、種々のラ
ット組織におけるDoc2タンパク質の発現のウエスタンブ
ロット解析の結果を示す図である。
【図6】本発明のDoc2タンパク質の、種々の濃度のカル
シウムイオン存在下における、ホスホリピッドからなる
リポソームへの結合能を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/10 15/02 C12P 21/02 C 9452−4B 21/08 9358−4B G01N 33/53 D 33/577 B // A61K 39/395 D (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/08 C12R 1:91) 9162−4B C12N 15/00 B

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1の9位のMetから8
    0位のAspまでのアミノ酸配列を含む、脳特異的タンパ
    ク質。
  2. 【請求項2】 2つのC2領域を有する、請求項1に記
    載の脳特異的タンパク質。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号1の1位のMetから4
    00位のAlaまでのアミノ酸配列を含む、請求項2に記
    載の脳特異的タンパク質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の脳特異
    的タンパク質をコードするDNA配列。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号1の149位のAから
    364位のCまででなる塩基配列を有する、請求項4に
    記載のDNA配列。
  6. 【請求項6】 配列表の配列番号1の125位のAから
    1324位のCまででなる塩基配列を有する、請求項4
    に記載のDNA配列。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載のDNA
    配列を有する発現ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の発現ベクターを宿主に
    導入して得られる形質転換体。
  9. 【請求項9】 前記宿主が大腸菌である、請求項8に記
    載の形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の形質転換体を培養す
    る工程、および産生された脳特異的タンパク質を培養培
    地から回収する工程を包含する、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の脳特異的タンパク質の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜3のいずれかに記載の脳特
    異的タンパク質を認識する抗体。
  12. 【請求項12】 配列表の配列番号1の9位のMetから
    80位のAspまでのアミノ酸配列に含まれる部分を認識
    する、請求項11に記載の抗体。
  13. 【請求項13】 請求項11または12に記載の抗体を
    産生し得る、ハイブリドーマ。
  14. 【請求項14】 FERM P-14577である、請求項13に記
    載のハイブリドーマ。
  15. 【請求項15】 請求項1〜3のいずれかに記載の脳特
    異的タンパク質を含有し得る試料を、請求項11または
    12に記載の抗体とともに、抗原抗体複合体を形成させ
    る条件下でインキュベーションする工程、および該抗原
    抗体複合体の量を測定する工程を包含する、脳特異的タ
    ンパク質の免疫学的測定方法。
JP6320775A 1994-10-21 1994-12-22 2つのc2領域を有する脳特異的タンパク質 Pending JPH08168385A (ja)

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