(本発明の詳細な説明および好ましい実施形態)
(I.導入)
本発明は、KCNBをコードする単離された核酸配列およびアミノ酸配列ならびにKCNBを産生する方法を提供する。KCNBを発現する組織型または細胞型としては、脳、膵臓、腎臓、乳房、肺、結腸、脾臓、肝臓、胎盤、胃、卵巣、前立腺、膀胱および末梢血単球細胞が挙げられるが、これらに限定されない。構造的に、KCNB(配列番号2および配列番号5)の全長ヌクレオチド配列は、374アミノ酸長のポリペプチド(配列番号1)をコードする。このアミノ酸配列は、カリウムチャネルタンパク質のKCNK3またはTASKのアミノ酸配列と62%の配列同一性で整列され得る。KCNK3またはTASKは、2つのポア(P)ドメインおよび4つの膜貫通領域の存在によって定義づけられるカリウムチャネルのTWIK−1ファミリー(例えば、Dupratら、EMBO J.16:5464−5471,1997;米国特許第6,013,470号;およびWO99/37762を参照のこと)のメンバーである。K+チャネルのTWIKファミリーの2つのポアドメインおよび4つの膜貫通領域の保存は、機能的な特性の保存と必ずしも関連するわけではない:弱い内向きの整流であるK+電流を生じるTWIKファミリーメンバーが同定された;別のものは外向きの整流であるK+電流を生じる。両方のチャネルは、静止電位で開口しており、そしてK+平衡電位近くで静止膜電位を駆動し得る。KCNK3(またはTASK)は、バックグラウンドコンダクタンス(background conductance)の特徴を保有するK+電流を生じ、そして狭い生理学的範囲の細胞外pHの変化に非常に感受性である(Dupratら、前出を参照)。KCNBとは違って、TASKは癌細胞において過剰発現することを観察されていない。
本発明はまた、KCNB核酸またはタンパク質のモジュレーター(例えば、活性薬、阻害剤、興奮薬、エンハンサーなど)をスクリーニングする方法を提供する。このようなモジュレーターがKCNB活性に以下により影響を与える;例えば、KCNBの転写、翻訳、mRNAまたはタンパク質の安定性の調節;KCNBと原形質膜もしくは他の分子との相互作用の変化;またはKCNBタンパク質の活性への影響。一実施形態において、化合物が、例えば、ハイスループットスクリーニング(HTS)を使用して、スクリーニングされ、そして単離されたKCNBポリペプチドまたはこれらのフラグメントに結合し、そして/またはこれらの活性を調節し得る化合物を同定する。別の実施形態において、KCNBタンパク質は細胞内で組換え的に発現され、そしてKCNBの調節は膜電位の測定のようなカリウムチャネル機能の任意の測定を使用してアッセイされる。膜電位を測定する方法としては、例えばパッチクランプ技術、細胞電流全体の測定、放射性標識ルビジウムフラックスアッセイ、および電圧感受性色素を用いた蛍光アッセイが挙げられる。
多くの実施形態において、KCNBポリヌクレオチドまたはポリペプチドは細胞内へ、インビボまたはエキソビボで導入され、そして細胞内のKCNB活性は、これによって調節される。例えば、全長KCNBポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、細胞集団に導入され、これによってこれらの細胞の電気生理学的特徴を調節し得る。
特定の実施形態において、KCNB、好ましくは、KCNBのN末端ドメイン、C末端ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞外ループを指向したモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が、哺乳動物に投与され、細胞内KCNBの活性を阻害する。この実施形態は、有用である(例えば、KCNB活性に関する疾患または障害(例えば、癌)の処置において)。
本発明はまた、KCNB核酸およびタンパク質発現の検出の方法を提供する。KCNBポリペプチドはまた、KCNB発現細胞の検出またはKCNB活性の改善のために有用なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生するのに利用され得る。KCNBを発現する細胞はまた、mRNAの逆転写および増幅、総RNAまたはポリA+RNAの単離、ノーザンブロット、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、RNaseプロテクション、S1消化、プローブ化DNAマイクロチップアレイ、ウエスタンブロットなどのような技術を用いて同定され得る。
機能的に、KCNB核酸は、カリウムイオンチャネルタンパク質をコードする。KCNBヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の特定の領域を用いて、多型改変体、種間のホモログ、およびKCNB遺伝子の対立遺伝子の同定をし得る。インビトロ技術を用いることによって(例えば、ストリンジェントまたは中程度なハイブリダイゼーション条件下でPCRを用いてか、または他のヌクレオチド配列との比較のためにコンピューターシステム中の配列情報を用いることによって)同定を実施され得る。本明細書の以下で議論されるようないずれかの配列比較アルゴリズムを用いて、配列比較を実施し得る。KCNBポリペプチドまたはこれらの保存領域(例えば、KCNBのC末端領域)に特異的に結合する抗体はまた、対立遺伝子、種間のホモログ、多形改変体の同定に利用され得る。
多型改変体、種間のホモログ、およびKCNBの対立遺伝子は典型的に、配列番号1のアミノ酸配列を有するKCNBポリペプチドを推定KCNBタンパク質に対して比較することによって確認されて、KCNB遺伝子またはタンパク質の多型改変体または対立遺伝子の同定を実証する。このような改変体を発現させ、そして活性を分析することによって(例えば、本明細書に記載されるように、電気生理学的特性を決定することによって)この改変体またはホモログは、同じ機能特性を有することが確認され得る。
KCNBについてのヌクレオチド配列情報およびアミノ酸配列情報はまた、KCNBタンパク質のモデルを構築するのに利用され得る。これらのモデルは実質的に、KCNBタンパク質を活性または阻害し得る化合物を同定するのに利用される。KCNB遺伝子またはタンパク質の活性を調節するこのような化合物を用いて、KCNB遺伝子の生理学的役割を調査し得る。
本発明はまた、アッセイ(好ましくは、ハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイ)を提供し、KCNBと相互作用および/またはKCNBを調節する化合物または他の分子を同定する。特定のアッセイにおいて、KCNBの特定のドメインが用いられ得る(例えば、N末端ドメイン、膜貫通ドメイン、ポア(pore)ドメインまたはC末端ドメインが利用され得る)。
本発明はまた、KCNB活性に関する疾患または状態を処置するための方法を提供する。例えば、本発明の方法は、多くの型の癌のいずれかを診断、予後判断、または処置するために使用され得る。好ましい実施形態において、癌は、上皮癌(例えば、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、膀胱癌、または卵巣癌)または胃腸管の任意の癌)である。
本発明の診断方法は、動物(例えば、霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ等を含む)ならびにヒトにおいて使用され得る。
キットはまた、本明細書で開示される診断および治療方法を実施するために提供され得る。
(II.定義)
本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に他に記載のない限りこれらに帰する意味を有する。
従って、用語「KCNB」は、KCNB核酸およびポリペプチド多型性変異体、対立遺伝子、変異体、および種間のホモログをいい:これらは、(1)好ましくは、少なくとも約50、100、200、500、1000またはこれより多くのアミノ酸の領域にわたって配列番号1のKCNB配列に対し、約65%よりも大きいアミノ酸配列同一性、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、またはより大きいアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する;(2)配列番号1のアミノ酸配列を含む免疫原に対し惹起した抗体(例えば、ポリクローナル抗体)およびその保存的に改変された改変体に結合する;(3)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号2または配列番号5のKCNB核酸配列およびその保存的に改変された改変体に特異的にハイブリダイズする;(4)好ましくは、少なくとも約50、100、200、500、1000またはこれより多くのヌクレオチドの領域にわたって配列番号2または配列番号5に対し、約95%、好ましくは約96%、97%、98%、99%、またはこれより高いヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列を有する;または(5)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号3および4、配列番号6および7、配列番号9および10からなる群から選択されるプライマーセットと同じ配列に特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される。KCNBポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、典型的には哺乳動物(ヒト、ラット、マウス、ハムスター、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、または任意の哺乳動物をふくむが、これらに限定されない)に由来する。「KCNBポリヌクレオチド」および「KCNBポリペプチド」は、両方とも天然に生じるかまたは組換え体かのいずれかである。ヒトKCNB遺伝子は、染色体8q24.3に位置する。
「全長」KCNBタンパク質または核酸は、通常1つ以上の天然に生じる野生型KCNBポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に含まれる全てのエレメントを含む、KCNBポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列またはこれらの変異体をいう。しかし、KCNBの誘導体、ホモログ、およびフラグメントは本発明において容易に利用可能であることが理解される。このようなKCNB改変体は、配列番号1に示されるポリペプチドドメインのいずれか1つ以上を含み得るか、または、いずれか1つ以上のドメインの複数のコピー、または互いにもしくは他のタンパク質もしくはタンパク質ドメインとの新規な組み合せにおいての任意の数のドメインを含み得る。
トポロジー的に、本明細書で規定されるような全長KCNBポリペプチドは、アミノ末端ドメイン、2つのポアドメイン、4つの膜貫通ドメイン、およびC末端ドメインを有すると考えられる(図1)。これらのドメインは、当該分野で公知の方法(例えば、疎水性ドメインおよび親水性ドメインを同定する配列分析プログラム)を用いて、構造的に同定され得る(例えば、Stryer、Biochemistry(第3版、1988)を参照;インターネットをベースにした多くの配列分析プログラム(例えば、dot.imgen.bcm.tmc.eduで見出されるもの)のいずれかもまた参照)。
例えば、配列番号1の約250〜約374のアミノ酸に対応する「C末端ドメイン」は、このタンパク質の4番目の膜貫通ドメイン付近からC末端まで伸展するタンパク質の領域をいう。このドメインは、KCNBおよびそのホモログの印であり、KCNK3と約30%未満、必要に応じて約50%、40%、または35%未満の配列同一性を有する。
「Pドメイン」は、ポアドメインをコードするタンパク質の構造領域をいい、カリウムイオンチャネルの特徴的な特性がある(例えば、Heginbothamら、Biophys.J.66:1061〜1067、1994を参照)。KCNBは、2つのポアドメイン(すなわち、2つのPドメイン)を有する。
「膜貫通ドメイン」は、形質膜内にありかつ貫通する疎水性タンパク質ドメインをいい、対応する細胞質(細胞内)および細胞外ループもまた含み得る。KCNBの膜貫通ドメインは、KyteおよびDoolittle、J.Mol.Biol.157:105〜132(1982)またはStryer(前出)に記載されるような標準的方法を用いて同定され得る。KCNBは、4つの膜貫通ドメインを有する。
「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合本質的に同一の配列をいう。遺伝子コードの縮重に起因して、多くの機能的に同一の核酸は、任意の所定のポリペプチドをコードする。例えば、コドンCGU、CGC、CGA、CGG、AGA、およびAGGの全てはアミノ酸アルギニンをコードする。したがって、アルギニンがコドンによって特定される全ての位置において、コドンは、コードするポリペプチドを変えることなく記載される対応するコドンのいずれかに変り得る。このような核酸改変体は、「サイレント置換」または「サイレントなバリエーション」であり、「保存的に改変された改変体」の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書中に記載されるの全てのヌクレオチド配列はまた、他に記載される場合を除いて、全ての潜在的なサイレントなバリエーション変異体を記載する。したがって、サイレント置換は、アミノ酸をコードする全ての核酸配列の特性を含む。当業者は、標準技術を用いて核酸中の各コドン(通常、メチオニンにのみに対するコドンであるAUGを除く)を改変して、機能的に同一である分子を生じ得ることを認識する。一部の実施形態において、酵素をコードするヌクレオチド配列は、好ましくは、酵素を産生するのに使用される特定の宿主細胞(例えば、酵母、哺乳動物、植物、真菌など)においての発現に最適化される。
アミノ酸配列について、当業者は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への、コードされる配列中の単一アミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変換、添加、または欠損する個々の置換、欠損、または添加が、「保存的に改変された改変体」であることを認識する。ここで、この変換は、化学的に同じアミノ酸でのアミノ酸置換を生じる。機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当該分野で周知である。このような保存的に改変された改変体が追加され、本発明の多型改変体、種間のホモログおよび対立遺伝子を除外しない。
以下の8つの群は、それぞれ互いに保存的に置換されるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton、Proteins(1984)を参照)。
高分子構造(例えば、ポリペプチド構造)は、種々のレベルの構成に関して記載され得る。この構成の一般的な議論について、例えば、Albertsら、Molecular Biology of the Cell(第3版、1994)およびCantorおよびSchimmel、Biophysical Chemistry PartI:The Conformation of Biological Macromolecules(1980)を参照。「1次構造」は、特定のペプチドのアミノ酸配列をいう。「2次構造」は、局所的に配置されるポリペプチドの3次元構造をいう。これらの構造は、一般的にドメインとして公知である。ドメインは、ポリペプチドの小型の単位を形成するポリペプチドの一部であり、典型的には、50〜350アミノ酸長である。典型的ドメインは、例えばβシートおよびαへリックスのストレッチのようなより少ない構成の区分から作られる。「3次構造」は、ポリペプチドのモノマーの完全な3次元構造をいう。「4次構造」は、独立した3次元のユニットの非共有会合によって形成される3次元構造をいう。異方性の用語はまたエネルギー用語として公知である。
動物における「癌」は、癌を引き起こす細胞の典型的特性(例えば、調節されない増殖、不死化、転移可能性、急迅速な増殖および増殖速度、特定の特徴的な形態学的特徴ならびに細胞マーカー)を有する細胞の存在をいう。いくつかの状況で、癌細胞は、腫瘍を形成するが、このような細胞は、動物において単独で存在するか、または独立した細胞として血流中に循環し得る(例えば、白血病細胞)。
本明細書で用いられる「生物学的サンプル」は、1つ以上のKCNBタンパク質をコードする1つ以上のKCNB核酸を含む生物学的組織または体液のサンプルをいう。このようなサンプルは、以下を含むが、これらに限定されない:ヒト、マウス、およびラットから単離された組織、特に胸および肺組織、ならびに血液、リンパ組織、肝、脳、心臓、脾臓、精巣、卵巣、甲状腺、腎、および胚組織。生物学的サンプルはまた、組織切片(例えば、組織学的目的のため採取された凍結切片)を含み得る。生物学的サンプルは、典型的に真核生物組織(例えば、昆虫、原生動物、鳥、魚、爬虫類、および好ましくは、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモット、またはウサギ)および最も好ましくは霊長類(例えば、チンパンジーまたはヒト)から得られる。
「機能的影響を決定する」とは、KCNBポリペプチドの影響下で直接的にまたは間接的にパラメーターを増大または減少する化合物の影響(例えば、機能的、物理的、および化学的影響)をアッセイすることを意味する。このような機能的影響は、以下を含むがこれらに限定されない:イオンフラックスの変化、膜電位、電流振幅、電圧ゲーティング、およびpH感度ならびに他の生物学的影響(例えば、KCNBまたは任意のマーカー遺伝子の遺伝子発現の変化)など。イオンフラックスの変化は、チャネルを通して通過する任意のイオンを含み得る(例えば、カリウム、または、ルビジウム、およびこれらのアナログ(例えば、放射性同位体))。このような機能的影響は、当該分野で公知の任意の方法(例えば、電圧感受性の色素を用いたパッチクランプ)によって測定され得るか、あるいは分光学的特徴(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)、流体力学的特徴(例えば、形)、クロマトグラフィー的特徴または溶解特性のようなパラメーターにおける変化によって測定され得る。
KCNB遺伝子またはタンパク質の「阻害因子」、「活性化因子」および「修飾因子」を交換可能に用いて、KCNB活性または数についてインビトロおよびインビボアッセイを用いて同定される阻害分子、活性化分子および修飾分子を言及する。このような修飾分子はまた、本明細書において化合物(ポリペプチド、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、脂質、炭水化物、または任意の有機分子または無機分子を含む)として言及される。阻害因子は、例えば、KCNB活性を遅延するか、あるいは部分的または全体的にKCNB活性をブロックするか、KCNBを非感受性にするか、あるいはKCNB発現または安定性の下方制御する化合物である。活性化因子は、例えば、KCNBチャネルを開くか、KCNBを感受性にするか、またはKCNB活性を刺激するか、あるいはKCNB発現または安定性を増大する化合物である。阻害因子および活性化因子についてのアッセイは、以下に記載され、そして例えば、細胞また細胞膜でKCNBタンパク質を発現させる工程、推定される修飾因子を適用する工程、次いで細胞の電気生理的特性に対する機能的影響を決定する工程を含む。機能的影響の測定は、例えば、膜電位の変化を決定する工程を含む。膜電位を測定する方法は、パッチクランプ技術、細胞全体の電流の決定、放射性同位元素標識されたルビジウムフラックスアッセイおよび電位感受性色素を用いた蛍光アッセイを含むが、これらに限定されない。
潜在的な活性化因子、阻害因子または修飾因子を用いて処理されるKCNBポリペプチドを含むサンプルおよびアッセイを、活性化因子、阻害因子または修飾因子を伴わないコントロールサンプルと比較して、その候補化合物の有効性を試験する。(化合物処理されていない)コントロールサンプルは、100%の相対的なKCNB活性値を設定される。KCNBポリペプチドの阻害は、コントロールについての活性値が、約80%、必要に応じて約50%または25〜0%である場合に、達成される。KCNBポリペプチドの活性化は、コントロールについての活性値が、約110%、必要に応じて約150%、必要に応じて200〜500%または約1000〜3000%より高い場合に、達成される。
用語「単離された」、「精製された」または「生物学的に純粋な」は、実質的にまたは本質的に、そのネイティブな状態において見出されるような物質を通常に伴う構成要素を有さない物質をいう。純度および均一性は、代表的には、分析化学技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィー)を使用して決定される。調製において優位な種を示すタンパク質が、実質的に精製される。詳細には、単離したKCNB核酸は、KCNB遺伝子に隣接しかつKCNB以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。用語「精製された」は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲルにおいて実質的に1つのバンドを生じることを意味する。特に、核酸またはタンパク質が、少なくとも85%の純度、必要に応じて少なくとも95%の純度、および必要に応じて少なくとも99%の純度であることを意味する。
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよび単鎖形態もしくは二重鎖形態のいずれかのそれらのポリマーをいう。この用語は、公知のヌクレオチドアナログまたは改変したバックボーン残基または連鎖を含有する核酸を表し、これらは、合成物質であり、天然に存在し、そして天然に存在せず、これらは参照ヌクレオチドと類似の結合特性を有し、そしてこれらは参照ヌクレオチドと類似の様式において代謝される。このようなアナログの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ホスホロチオネート、ホスホラミデート(phosphoramidate)、ホスホン酸メチル、ホスホン酸キラルメチル、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)。
他に規定がない限り、特定の核酸配列はまた、それらの保存的に改変された変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補的な配列、ならびに明確に示される配列を暗に示す。特に、縮重コドン置換は、選択された1つ以上(または、全部)のコドンの第3の位置が、混合した塩基残基および/またはデオキシノシンで置換される配列を生成することによって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605〜2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91〜98(1994)。用語、核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを言及するために、本明細書中で互換可能に使用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーの人工的な化学模倣物である、アミノ酸ポリマーに適用する。
用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸および後に改変されるアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−ホスホセリン)である。アミノ酸アナログは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)に結合するα炭素)を有する化合物をいう。このようなアナログは、改変したR基(例えば、ノルロイシン)または改変したペプチドバックボーンを有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を維持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化学的化合物をいう。
アミノ酸は、本明細書中で、それらの一般的に既知の3文字記号、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって参照され得る。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に受容される1文字コードによって参照され得る。
「標識」または「検出可能な一部分」は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段または化学的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光染料、高電子密度の試薬、酵素(例えば、一般に、ELISAに使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニンまたはハプテンおよび、例えば、ペプチドに放射標識を取り込むことによって検出可能にされ得るタンパク質またはペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために使用されるタンパク質が挙げられる。
「標識核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、リンカー結合もしくは化学結合を介して共有結合されるか、またはイオン結合、ファンデルワールス結合、静電気的結合もしくは水素結合を介して非共有結合されるかのいずれかで標識に結合されるものであり、その結果、プローブの存在は、このプローブに結合された標識の存在を検出することによって検出され得る。
本明細書中で使用される場合、「核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、1つ以上の型の化学結合を介してか、一般には相補的な塩基対形成を介してか、一般には水素結合形成を介して、相補的な配列の標的核酸に結合し得る核酸として定義される。本明細書中で使用される場合、プローブは、天然の(すなわち、A、G,CまたはT)または改変した塩基(7−デアザグアノシン(deazaguanosine)、イノシンなど)を含有し得る。さらに、プローブにおける塩基は、ハイブリダイゼーションを阻害しない限りは、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結され得る。従って、例えば、プローブは、ホスホジエステル結合よりもむしろペプチド結合によって構成塩基が連結される、ペプチド核酸であり得る。プローブが、ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件に依存するプローブ配列との完全な相補性を欠失している標的配列を結合し得ることが、当業者によって理解される。このプローブは、必要に応じて、同位体、発色団、発光体(lumiphore)、色原体で直接標識されるか、または例えばストレプトアビジン複合体が後に結合し得るビオチンを用いて非直接的に標識される。このプローブの存在または非存在についてアッセイすることによって、選択配列または部分列の存在または非存在を検出し得る。
参考として使用される場合(例えば、細胞または核酸、タンパク質もしくはベクターに対して)、用語「組換え」は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入、またはネイティブの核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されるか、あるいは細胞が、そのように改変された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組換え細胞は、この細胞のネイティブ形態(非組換え)内に見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ発現下で異常に発現されるか、もしくは少しも発現されないネイティブの遺伝子を発現する。
核酸の一部分について使用される場合、用語「異種」は、核酸が、天然で互いに同じ関係を見出されない2以上の部分列を含むことを示す。例えば、核酸は、代表的には、組換え的に産生され、新規の機能的核酸(例えば、1つの供給源由来のプロモータおよび別の供給源由来のコード領域)を作製するために配置される無関係の遺伝子からの2以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が天然で互いに同じ関係を見出されない2以上の部分列を含む(例えば、融合タンパク質)ことを示す。
「プロモータ」は、核酸の転写を指向する核酸コントロール配列のアレイとして定義される。本明細書中で使用される場合、プロモータは、転写の開始部位近くの必要な核酸配列(例えば、ポリメラーゼII型プロモータの場合、TATAエレメント)を含む。プロモータはまた、必要に応じて、遠位エンハンサまたはレプレッサエレメントを含み、これらは、転写の開始部位からの数千ほどの塩基対に位置付けられ得る。「構成的」プロモータは、最も環境的かつ発生的な条件下で活性なプロモータである。「誘導性」プロモータは、環境的かつ発生的な制御下で活性なプロモータである。用語「作動可能に連結される」は、核酸発現コントロール配列(例えば、プロモータまたは転写因子結合部位のアレイ)と第二核酸配列との間の機能的結合をいい、ここで、発現コントロール配列は、第二核酸配列に対応する核酸の転写を指向する。
「発現ベクター」は、組換え的にまたは合成的に産生された核酸構築物であり、宿主細胞において特定の核酸の転写を可能にする一連の特異的核酸エレメントを有する。この発現ベクターは、プラスミド、ウイルスまたは核酸フラグメントの一部であり得る。代表的に、この発現ベクターは、プロモータに作動可能に連結されるように転写された核酸を含む。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列に関連して、用語、「同一な」またはパーセント「同一性」は、同じであるかまたはアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定の割合を有する2つ以上の配列または部分列をいい、下記のデフォルトパラメータを有するBLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いて、または手動アライメントおよび目視検査によって測定されるように、この割合は、同じである(すなわち、比較ウィンドウまたは指定領域にわたる最大一致について比較されかつ整列される場合、特定の領域(例えば、配列番号1、2または5)にわたる、約70%の同一性、好ましくは75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより高い同一性)。それによって、このような配列は、「実質的に同一」と言われる。この定義はまた、試験配列の相補体にも言及する。この定義はまた、欠失および/または付加を有する配列ならびに部分列を有する配列を含む。下記のように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを考慮し得る。好ましくは、同一性は、少なくとも約25のアミノ酸長もしくはヌクレオチド長の領域、またはより好ましくは、50、60、70、80、90もしくは100のアミノ酸長またはヌクレオチド長の領域にわたって存在する。
配列比較について、代表的には、1つの配列は参照配列として作用し、試験配列と比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列は、コンピュータに入力され、必要な場合、部分列座標が示され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメータが示される。デフォルトプログラムパラメータが使用され得るか、または代替のパラメータが示され得る。次いで、この配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を算出する。
本明細書中で使用される場合、「比較ウィンドウ」は、20〜600、一般には約50〜約200、さらに一般には約100〜約150(この中で、配列は、2つの配列が最適に整列された後、近接位置の同じ数の参照配列と比較され得る)からなる群から選択される多数の近接位置のいずれか1つのセグメントの参照を含む。比較についての配列のアライメントの方法は、当該分野で周知である。比較についての配列の最適なアライメントは、例えば、SmithおよびWaterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的な相同性アルゴリズムによってか、NeedlemanおよびWunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アルゴリズムによってか、PearsonおよびLipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似方法の検索によってか、これらのアルゴリズム(GAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison,WI)のコンピュータ化インプリメンテーションによってか、または手動アライメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら、編.1995 付録)を参照のこと)によって行われ得る。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの別の例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズム(これらは、それぞれ、Altschulら、Nuc.Acids Res.25:3389〜3402(1997)およびAltschulら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1990)に記載される)である。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、国際生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて、公然に利用可能である。このアルゴリズムは、照会配列における長さWの短いワードを同定することによって高いスコアの配列対(HPS)を最初に同定する工程を包含し、データベース配列において同じ長さのワードと整列される場合、いずれかの陽性値の閾値スコアTと一致するか、またはそれを満たす。Tは、近接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前出)。これらの頭文字近接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すために検索を開始するためのシードとして働く。このワードヒットは、累積アライメントスコアが増加され得る限り、各配列に沿って両方向に広げられる。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基対の報酬スコア;常に0より大きい)およびN(一致しない残基の損失スコア;常に0より小さい)を用いて算出される。アミノ酸配列について、スコアマトリックスを使用して、累積スコアを算出し得る。各方向のワードヒットの拡張は、以下の場合に停止される;累積アライアメントスコアが、その最大到達値から量Xだけ減少する場合;1つ以上の陰性スコア残基アライメントの集積に起因して、累積スコアが0またはそれより小さい場合;または、配列のいずれかの末端が到達される場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、感度およびアライメントの速度を決定する。(ヌクレオチド配列についての)BLASTプログラムは、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=4および両鎖の比較のデフォルトとして使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、3のワード長(W)、および10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアマトリックス(HenikoffおよびHenikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照のこと)、50のアライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4および両鎖の比較を、デフォルトとして使用する。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計的分析を行う(例えば、KarlinおよびAltschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、最も小さい総和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の一致が変化によって起こることによる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、参照配列と試験核酸の比較における最小総和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001である場合、参照配列と類似していると考えられる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一である指標は、第一核酸によってコードされるポリペプチドが、免疫学的に、下記のように第二核酸によってコードされるポリペプチドに対して惹起された抗体と交差反応することである。従って、ポリペプチドは、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、代表的には、第二ポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一である別の指標は、2つの分子またはこれらの相補体が、下記のようにストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるなお別の指標は、同じプライマーが配列を増幅するために使用され得ることである。
句「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」は、配列が複合体マトリックス(例えば、全細胞またはライブラリーのDNAまたはRNA)に存在する場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、特定のヌクレオチド配列のみに対する分子の結合、複製またはハイブリダイズをいう。
用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、プローブが、代表的に核酸の複合混合物中におけるその標識配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、そして異なる状況において異なる。より配列が長くなるほど、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対するより広範な指示は、Tijssen、Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes、「Overview of principles of hybridization and strategy of nucleic acid assays」(1993)において見出される。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されるイオン強度pHでの特異的な配列についての熱融解点(Tm)よりも約5〜10℃低く選択される。このTmは(50%のプローブが、平衡点で占有されるTmにおいて、標的配列が過剰に存在する場合)、標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡点で標的配列にハイブリダイズする(規定されるイオン強度、pH、および核濃度下での)温度である。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン濃度未満、代表的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)条件であり、そして温度は、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について、少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチド以上)について、少なくとも約60℃以上の条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によって達成され得る。選択的ハイブリダイゼーションまたは特異的ハイブリダイゼーションについて、陽性シグナルは、少なくとも2回のバックグラウンドハイブリダイゼーション、必要に応じて10回のバックグラウンドハイブリダイゼーションである。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下のようである:50%のホルムアミド、5×SSCおよび1%のSDSで、42℃でインキュベートするか、あるいは、5×SSC、1%のSDSで、65℃でインキュベートをし、0.2×SSCおよび0.1%SDSで65℃で洗浄する。このような洗浄は、5分、15分、30分、60分、120分またはそれ以上行い得る。PCRについて、約36℃の温度は、代表的な低いストリンジェンシーな増幅であるが、アニーリング温度は、約32℃と48℃との間で、プライマーの長さに依存して変化し得る。高いストリンジェンシーなPCR増幅について、約62℃の温度が代表的であるが、高いストリンジェンシーなアニーリング温度は、プライマーの長さおよび特異性に依存して、約50℃〜約65℃の範囲であり得る。高いおよび低いストリンジェンシーな増幅の両方についての代表的なサイクル条件は、90℃〜95℃で30秒〜2分の変性期、30秒〜2分間続くアニーリング期、および約72℃で1〜2分の伸長期を含む。
ストリンジェントな条件下でお互いにハイブリダイズしない核酸は、コードするポリペプチドが実質的に同一の場合、なお実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが、遺伝的コードによって可能になった最大のコドン変性を使用して作製される場合、生じる。このような場合において、この核酸は、代表的に、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、40%のホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液において37℃でハイブリダイズし、そして1×SSC中で45℃で洗浄する工程を包含する。このような洗浄は、5分、15分、30分、60分、120分またはそれ以上行い得る。陽性ハイブリダイゼーションは、少なくとも2回のバックグラウンドハイブリダイゼーションである。当業者は、代替的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件が、同様のストリンジェンシーな条件を利用して提供され得ることを容易に理解する。
「抗体」は、抗原に特異的に結合しそして認識する、免疫グロブリン遺伝子またはそららのフラグメント由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドである。この認識された免疫グロブリン遺伝子は、κ定常領域遺伝子、λ定常領域遺伝子、α定常領域遺伝子、γ定常領域遺伝子、δ定常領域遺伝子、ε定常領域遺伝子、μ定常領域遺伝子、ならびに種々の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかにクラス分けされる。重鎖は、γ、μ、α、δまたはεにクラス分けされ、これは次いで免疫グロブリンのクラス、すなわちそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを規定する。
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、4量体を構成する。それぞれの4量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対(それぞれの対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する)からなる。それぞれの鎖のN末端は、抗原認識について主に応答的である約100〜110もしくはそれ以上のアミノ酸可変領域を規定する。用語可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖をいう。
抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼによって消化されることによって生じる、十分に特徴化された多くのフラグメントとして存在する。従って、例えば、ペプシンは抗体を、ヒンジ領域における以下のジスルフィド結合以下で消化して、F(ab)’2、すなわち、それ自体がジスルフィド結合によってVH−VL1と連結した軽鎖であるFabの2量体を産生する。このF(ab)’2は、おだやかな条件下で減少して、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を破壊し、それによってF(ab)’22量体をFab’単量体に変換する。このFab’単量体は、実質的にヒンジ領域の部分を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul編、第3版、1993)を参照のこと)。種々の抗体フラグメントが、インタクトな抗体の消化によって規定される一方、当業者は、このようなフラグメントは、化学的にまたは組換えDNA方法論のいずれかによってデノボ合成され得ることが理解される。従って、本明細書中で使用される場合、用語抗体はまた、全体の抗体の改変によって産生されるか、あるいは組換えDNA方法論(例えば、単鎖Fv)を使用してデノボ合成されるかまたはファージディスプレーライブラリーを使用して同定されるかのいずれかによって産生される抗体フラグメントを含む(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552〜554(1990)を参照のこと)。
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の調製について、当該分野で公知である任意の技術が使用され得る(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495〜497(1975);Kozborら、Immunology Today 4:72(1983);Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(1985)の77〜96頁を参照のこと)。単鎖抗体の産生についての技術(米国特許第4,946,778号)を適用して、本発明のポリペプチドに対する抗体を産生し得る。また、トランスジェニックマウスまたは、他の哺乳動物のような他の生物を使用して、ヒト化抗体を発現し得る。あるいは、ファージディスプレー技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマーFabフラグメントを同定し得る(例えば、MacCaffertyら、Nature 348:552〜554(1990);Marksら、Biotechnology 10:779〜783(1992)を参照のこと)。
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なるクラスもしくは改変されたクラス、エフェクター機能および/または種の定常領域、あるいは、このキメラ抗体に新しい特徴を与える完全に別の分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物など)に結合されるように、定常領域またはそれらの部分が改変、置換または交換される抗体分子であるか;または(b)可変領域またはそれらの部分が、異なるもしくは改変された抗原特異性を有する可変領域と共に改変、置換または交換される抗体分子である。
「抗KCNB」抗体は、KCNB遺伝子、cDNAまたはそのサブ配列(例えば、C末端ドメイン)によってコードされるポリペプチドに特異的に結合する、抗体または抗体フラグメントである。
用語「免疫アッセイ」は、抗原に特異的に結合する抗体を使用するアッセイである。この免疫アッセイは、抗原の単離、標的化および/または定量するための特定の抗体の特異的な結合の特徴の使用によって特徴化される。
タンパク質もしくはペプチドについていう場合、句 抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」あるいは「特異的(または選択的に)免疫応答性」とは、タンパク質および他の生物製剤の異質な集団における、タンパク質の存在の決定因子(determinative)である結合反応をいう。従って、指定された免疫アッセイ条件下で、この特定化された抗体は、少なくとも2回バックグラウンドで特定のタンパク質と結合し、そして、このサンプル中に存在する他のタンパク質と、有為な量で実質的に結合しない。このような条件下での抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択される抗体を必要とし得る。例えば、ラット、マウスまたはヒトのような特定の種由来のKCNBポリペプチドに惹起されるポリクローナル抗体は、特異的にKCNBタンパク質と免疫反応し、そしてKCNBタンパク質の多型変異体および対立遺伝子を除く他のタンパク質と免疫反応をしない、KCNBのポリクローナル抗体のみを得るために選択され得る。この選択は、他の種から、KCNB分子と交差反応する抗体を引き算することによって達成され得る。種々の免疫アッセイ形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択し得る。例えば、固相ELISA免疫アッセイを慣習的に使用して、特異的にタンパク質と免疫反応する抗体を選択する(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用され得る免疫アッセイ形式および条件について記載する、HarlowおよびLane、Antibodies、A Laboratory Manual(1988)を参照のこと)。代表的に、特異的または選択的な反応は、少なくとも2回のバックグラウンドシグナルまたはノイズ、より代表的には10回よりも多くから100回までのバックグラウンドシグナルである。
句「選択的に関連する」は、核酸が上記のように別の核酸に「選択的にハイブリダイズする」能力、あるいは、抗体が上記のようにタンパク質に「選択的に(または特異的に)結合する」能力についていう。
「宿主細胞」は、発現ベクターを含み、そして発現ベクターの複製または発現を支持する細胞が意味される。宿主細胞は、例えばE.coliのような原核生物細胞、または酵母細胞、昆虫細胞、両生類細胞、もしくはCHO細胞、HeLa細胞などの哺乳動物細胞のような真核生物細胞、培養細胞、移植片およびインビボの細胞であり得る。句「癌を検出する」または「癌を診断する」は、動物において、癌または前癌状態の存在または非存在を決定することをいう。「癌を検出する」はまた、その動物において、癌性細胞の存在の尤度に関する間接的な証拠を得ることについて言及し得る。癌を検出することは、本発明の方法を単独で使用して、他の方法と組み合わせて、または動物の健康状態に関連する他の情報を考慮して、達成し得る。
(III.KCNB核酸の操作および検出)
本発明の多くの実施例において、KCNBポリペプチド(全長KCNBタンパク質を含む)、またはその誘導体、改変体、ホモログもしくはフラグメントをコードする核酸が使用され得る。このような核酸は、多くの応用(KCNBタンパク質の産生のため、診断アッセイのため、治療的応用のため、KCNB特異的プローブのため、KCNB結合および/または調節化合物についてのアッセイのため、他の種またはマウスからKCNBホモログを同定および/または単離するための応用、ならびに他の応用を含む)のいずれにも有用である。
(A.一般的な組換えDNA方法)
本発明の多くの応用には、クローニング、合成、維持、変異誘発、および組換え遺伝学の分野における慣習的な技術を使用して実行され得る核酸配列の他の操作が挙げられる。本発明における一般的な使用方法を開示する基礎テキストには、Sambrookら、Molecular Cloning、A Labotatory Manual(第2版、1989);Kriegler、Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1994)が挙げられる。
核酸について、サイズは、キロベース(kb)または塩基対(bp)のいずれかで示される。これらは、アガロースゲル電気泳動もしくはアクリルアミドゲル電気泳動、配列決定された核酸、または公開されたDNA配列に由来して推定される。タンパク質について、サイズは、キロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基数で示される。タンパク質のサイズは、ゲル電気泳動、配列決定されたタンパク質、誘導されるアミノ酸配列、または公開されたタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドは、固相ホスホラミダイトトリエステル方法(BeaucageおよびCaruthers、Tetrahedron Letts.22:1859〜1862(1981)によって最初に記載される)に従って、自動合成装置(Van Devanterら、Nucleic Acids Res.12:6159〜6168(1984)に記載されるような)を使用して、化学的に合成される。オリゴヌクレオチドの精製は、ネイティブのアクリルアミドゲル電気泳動によるか、またはPeasonおよびReanier、J.Chrom.255:137〜149(1983)に記載されるような陰イオン交換HPLCによるかのいずれかである。
クローン化された遺伝子の配列および合成されたオリゴヌクレオチドは、例えば、Wallaceら、Gene 16:21〜26(1981)の2重鎖テンプレートの配列決定のための鎖末端方法を使用して、クローニングの後に改変され得る。
(B.KCNBヌクレオチド配列の単離および検出)
本発明の多くの実施形態において、KCNB核酸は、組換え方法を使用して単離およびクローン化される。このような実施形態は、例えば、タンパク質発現、または改変体、誘導体、発現カセット、もしくはKCNBに由来する他の配列の産生の間にKCNBポリヌクレオチドを単離するため、KCNB遺伝子発現をモニターするため、種々の種におけるKCNB配列の決定のため、患者における診断目的のため、すなわち、KCNBにおける変異の検出のため、または遺伝子型決定および/もしくは法医学的応用のために使用される。
しばしば、KCNBタンパク質をコードする核酸配列および関連する核酸配列ホモログは、cDNAおよびゲノムDNAライブラリーから、プローブとのハイブリダイゼーションによってクローン化されるか、またはオリゴヌクレオチドプライマーを用いた増幅技術を使用して単離される。例えば、KCNB配列は、代表的に哺乳動物核酸(ゲノムもしくはcDNA)ライブラリーから、核酸プローブ(すなわち、配列番号2に由来し得る配列、または例えば配列番号3および配列番号4、もしくは配列番号6および配列番号7、もしくは配列番号9および配列番号10を含むプライマーを使用して増幅された配列)とのハイブリダイゼーションによって単離される。KCNBについてRNAおよびcDNAが単離され得る適切な生物学的材料としては、胸および肺、ならびに血液、リンパ、脳、肝臓、心臓、脾臓、精巣、卵巣、甲状腺、腎臓、胚または他の組織のような組織が挙げられる。
プライマーを使用する増幅技術を使用して、DNAまたはRNAからKCNB配列を増幅および単離し得る(例えば、DieffenfachおよびDveksler、PCR Primer:A Laboratory Manual(1995)を参照のこと)。プライマーを使用して、(例えば、配列番号3および配列番号4に示されるようなプライマーを使用して)例えば、全長配列または1から数百ヌクレオチドからのプローブのいずれかを増幅し得、次いでこれを使用して、全長KCNBクローンについて哺乳動物ライブラリーをスクリーニングする。
KCNBポリペプチドをコードする核酸はまた、発現ライブラリーから、抗体をプローブとして使用して単離され得る。このようなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、配列番号1またはそれらの誘導体もしくはフラグメントの配列を使用して惹起され得る。
実質的にKCNB遺伝子と同一の多型改変体、対立遺伝子および種間ホモログは、KCNB核酸プローブ、およびオリゴヌクレオチドを使用して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でライブラリーをスクリーニングすることによって、単離され得る。あるいは、発現ライブラリーを使用して、KCNB多型改変体、対立遺伝子、および種間ホモログを、発現されるホモログを検出することによって、免疫学的に、KCNBポリペプチドに対して生成された抗血清または精製された抗体を用いてクローン化し得、これはまた、KCNBホモログを認識および選択的に結合する。
より隔たった関係のKCNBホモログは、任意の多くの周知の技術(中程度にストリンジェントな条件を使用する、または低いストリンジェンシーな条件下でKCNBについて選択的な領域に由来するプローブ(例えば、C末端ドメインを生成する特異的なプローブ)を使用する、ゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリーを用いるKCNBプローブのハイブリダイゼーションを含む)を使用して単離され得る。また、遠隔なホモログは、変性プライマーセット、すなわち所定のアミノ酸配列(特に高度に変換されたアミノ酸伸長に基づく)をコードする全ての可能なコドンを組み込むプライマーを使用して、核酸ライブラリーから増幅され得る。このようなプライマーは当業者に周知であり、そして多くのプログラムが、例えばインターネット上で、プライマー設計を変形するために利用可能である。
cDNAライブラリーを生成するために、KCNB mRNAが豊富な供給源、例えば脳、または乳癌細胞もしくは肺癌細胞から単離された細胞を選択すべきである。次いでこのmRNAは、逆転写酵素を使用してcDNAに生成され、組換えベクターに連結され、そして増殖のために組換え宿主中にトランスフェクトされ、スクリーニングおよびクローニングされる。cDNAライブラリーを生成およびスクリーニングするための方法は周知である(例えば、GublerおよびHoffman、Gene 25:263〜269(1983);Sambrookら、前出;Ausubelら、前出を参照のこと)。
ゲノムライブラリーに関して、DNAは、組織または細胞から抽出され、そして機械的な剪断かまたは酵素学的な消化をして約12−20kbのフラグメントを得る。次いで、このフラグメントを、グラジエント遠心分離によって所望のサイズに分離され、そしてバクテリオファージλベクター中に構築される。これらのベクターおよびファージは、インビトロでパッケージ化する。組換えファージを、Benton & Davis,Science 196:180−182(1977)に記載されるようにプラークファージによって分析する。コロニーハイブリダイゼージョンを、一般にGrunsteinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,72:3961−3965(1975)に示されるように実行する。
KCNB核酸およびそのホモログを単離する代替の方法は、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用とRNAまたはDNAテンプレートの増幅とを組み合わせる(米国特許第4,683,195号および同4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら,編,1990)を参照のこと)。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)のような方法は、mRNAから、DNAから、ゲノムライブラリーからまたはcDNAライブラリーから直接的にKCNB遺伝子の核酸配列を増幅するのに使用され得る。オリゴヌクレオチドを変性することは、本明細書中で提供される配列を使用してKCNBホモログを増幅するように設計され得る。制限エンドヌクレアーゼ部位は、プレイマーに取り込まれ得る。ポリメラーゼ連鎖反応法または他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングにするのに、生理学的なサンプルにおいてKCNBをコードするmRNAの存在を検出するためにか、核酸の配列決定のためにか、または他の目的のためにプローブとして使用する核酸を作製するのに有用であり得る。PCR反応によって増幅された遺伝子は、アガロースゲルから精製され得、そして適切なベクターにクローニングし得る。
合成オリゴヌクレオチドを、プローブとして使用するためかまたはタンパク質の発現のために組換えKCNB遺伝子を構築するために使用し得る。この方法は、一連の重複するオリゴヌクレオチドの通常40−120bp長(遺伝子のセンス鎖および非センス鎖の両方を示す)を使用して実施される。次いで、これらのDNAフラグメントをアニールし、結合しそしてクローニングする。あるいは、増幅技術を、KCNB核酸の特異的な核酸を増幅するために正確なプライマーと共に使用し得る。次いで、この特異的な配列を、発現ベクターに連結し得る。
KCNBポリペプチドをコードする核酸を、典型的に複製および/または発現のために原核細胞または真核細胞に形質導入の前に中間ベクターにクローニングする。これらの中間ベクターは、典型的には原核生物ベクター(例えば、プラスミド、またはシャトルベクター)である。ベクター、細胞およびトランスフェクション方法は、当業者に周知であり、そしてAusubelにおいてかまたはSambrookにおいて記載される(両方とも前述)。
KCNB核酸によってコードされるポリペプチドのカリウムチャネル活性は、当業者に公知の種々のアッセイ(例えば、パッチクランプ法)を使用してか、電位感受性色素を使用してかまたは分光学的な特性(例えば、蛍光、吸収、屈折率)、水力学(例えば、形)、クロマトグラフィー的にまたは可溶性性質のようなパラメーターの変化を測定することによって評価し得る。しばしば、KCNB活性は、KCNBをコードする発現ベクターが、細胞にトランスフェクションされる発現アッセイ系を使用して評価される。次いで、細胞の電気生理学的な性質は、コントロール細胞と比較して評価され得る。例えば、KCNB発現ベクターは、トランスフェクションされた細胞の同定を可能にするプラスミド(例えば、緑色蛍光タンパク質発現プラスミド)と共に同時トランスフェクションされ得る。次いで、細胞電気生理学は、KCNB挿入および識別子プラスミドを欠いた発現ベクターと同時トランスフェクションされたトランスフェクト体とKCNBを発現するトランスフェクト体を比較して測定され得る。発現されたKCNBタンパク質の活性は、パッチクランプ技術を含むイオン束、細胞全体の測定、放射ラベル化ルビジウム流動アッセイおよび電位感受性色素を使用する蛍光の変化を測定する種々のアッセイを使用してアッセイし得る(例えば、Vestergarrd−Bogindら,J.Membrane Biol.88:67−75(1988);Danielら,J.Pharmacol.Meth.25:185−193(1991);Hoevinskyら,J.Membrane Biol.137:59−70(1994)を参照のこと)。
必要に応じて、異種ポリペプチドまたはポリペプチドと組み合わせにおいてKCNBポリペプチドまたはそのドメインを含むキメラタンパク質をコードする核酸が使用される。例えば、ドメイン(例えば、KCNBのN末端ドメインまたはC末端ドメイン、細胞外ループあるいは膜貫通ドメイン)は、異種膜貫通ドメインまたは異種細胞外ドメインのような異種タンパク質に共有的に結合し得る。他の異種タンパク質の選択としては、例えば、ルシフェラーゼ、GFPおよびβ−galが挙げられる。
特定の実施形態において、KCNBポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションに基づく方法(hybridization−based methods)を使用して検出されて、例えば、診断適用または予後適用のために、例えば、KCNB RNAレベルを決定されるかまたは特定のDNA配列を検出する。KCNBポリヌクレオチドレベルは、ゲノムDNA、mRNAまたはcDNAを含む、任意のKCNB DNAまたはRNAを検出することによって検出され得る。検出は、ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムDNA、cDNAまたはmRNA)のレベルの定量化を含むかまたは、あるいは、特にコントロールレベルと比較して、KCNBの、レベルあるいは存在または非存在の定性的な評価であり得る。上記のいずれかを検出するための多数の方法のいずれかは、以下に記載される。このような方法としては、例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および他のアッセイが挙げられる。
特定の実施形態において、細胞において増大したレベルまたは診断的な存在を検出する能力は、癌細胞に対するマーカーとして使用される(すなわち、インビトロまたはインビボにおいて検出されるような患者における癌細胞の数または局在をモニタするために)。
KCNBの遺伝子発現が、当該分野における公知の技術(例えば、ノザンブロット、リアルタイムPCR手順を使用したmRNAレベルの定量的PCR分析(例えば、逆転写酵素−TAQMANTM増幅)を含むmRNAの逆転写およびPCR増幅、ドットブロッティング、インサイチューハイブリダイゼーション、RNase保護、プローブDNAマイクロチップアレイなど)によって分析され得る。1つの実施形態において、高密度オリゴヌクレオチド分析技術(例えば、GeneChipTM)は、KCNBのホモログおよび多型変異体を同定するためかまたはKCNB mRNAのレベルをモニタするために使用される。KCNBが、公知の疾患(例えば、癌、)に結合する場合、これらは生物学サンプルにおける疾患を検出する診断ツールとしてGeneChipTMと共に使用され得る(例えば、Gunthandら,AIDS Res.Hum.Retroviruses 14:869−876(1998);Kozalら,Nat.Med.」2:753−759(1996);Matsonら,Anal.Biochem.224:110−106(1995);Lockhartら,Nat.Biotechnol.14:1675−1680(1996);Gingerasら,Genome Res.8:435−448(1998);Haciaら,Nucleic Acids Res.26:3865−3866(1998)を参照のこと)。
1つの実施形態において(例えば、癌の診断において)、コピー数(すなわち、細胞中のKCNB遺伝子の数)が、評価される。一般に、特定の常染色体遺伝子に関して、動物は、それぞれの遺伝子の2つのコピーを有する。しかし、コピー数は、(例えば、癌細胞における)遺伝子増幅および複製によって増大し、または欠失によって減少し得る。特定の遺伝子のコピー数を評価する方法は、当業者にとって周知であり、特にハイブリダイゼーションおよび増幅に基づくアッセイ(amplification based assays)を含む。
任意の多数のハイブリダイゼーションに基づくアッセイは、生物学的なサンプルの細胞おけるKCNB遺伝子またはコピー数を検出するために使用され得る。1つのこのような方法は、サザンブロッティングによってである。サザンブロッティングにおいて、ゲノムDNAは、典型的にフラグメント化され、分離され、電気泳動され、メンブレンに写されそして、次にKCNB特異的プローブとハイブリダイゼーションされる。コピー数決定に関して、正常ゲノムDNA(例えば、同じかまたは関連する細胞、組織、器官などの非増幅部分)の領域に対するコントロールプローブからのシグナルと、標的領域に対するプローブからのハイブリダイゼーションシグナルの強度の比較は、相対的なKCNBコピー数の推定値を提供する。サザンブロット方法論は、当該分野で周知であり、そしてAusubelらおよびSambrookら(前述)に記載される。
サンプルにおけるKCNB遺伝子のコピー数を決定する代替の方法は、インサイチューハイブリダイゼーションによってである(例えば、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションまたはFISH)。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイは周知である(例えば、Angerer(1987)Meth. Enzymol 152:649)。一般に、インサイチューハイブリダイゼーションは、以下の主要な工程を含む:(1)分析するべき組織および生物学的構造物の固定;(2)標的DNAのアクセス可能性を増大するため、そして非特異的な結合を減少させるための生物学的構造物のプレハイブリダイゼーション処置;(3)生物学的構造物または組織において核酸と核酸の混合物とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸フラグメントを除去するためのハイブリダイゼーション後の洗浄、および(5)ハイブリダイズした核酸フラグメントの検出。
このような適用に使用されるプローブは、典型的には標識化される(例えば、放射性同位体または蛍光レポーターを用いて)。ストリンジェント条件下で標的核酸と特異的にハイブリダイゼーションするために、好ましいプローブは、十分に長い(例えば、約50、100または200ヌクレオチドから約1000以上のヌクレオチド)。
多数の実施形態において、「比較プローブ」方法(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH))は、遺伝子増幅を検出するために使用される。比較ゲノムハイブリダイゼーション方法において、核酸の「試験」回収物は、最初に標識化されるが、第2の回収物(例えば、健康な細胞または組織由来)は、第2の標識で標識される。核酸のハイブリダイゼーションの比は、アレイにおいて各線維体に結合する第1の標識および第2の標識の比によって決定される。2つの標識からのシグナルの比における差異(例えば、試験回収物における遺伝子増幅物による)が、検出されそしてこの比は、KCNB遺伝子コピー数の測定を提供する。
本発明の方法に用いる使用に適するハイブリダイゼーションプロトコルは、例えば、Albertson(1984)EMBO J.3:1227−1234;Pinkel(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:9138−9142;EPO Pub.No.430,402;Methods in Molecular Biology,33巻:In Situ Hybridization Protocols,Chooら編,Humana Press, Totowa,NJ(1994)などに記載される。
別の実施形態において、増幅に基づくアッセイ(amplification−based assays)は、KCNB発現を検出するためかまたはKCNB遺伝子のコピー数を測定するために使用される。このようなアッセイにおいて、KCNBヌクレオチド配列が、増幅反応(例えば、PCR)においてテンプレートとして役立つサンプルに存在する。定量的増幅において、増幅生成物の量は、元のサンプルにおけるテンプレートの量に比例する。適切なコントロールとの比較は、サンプルにおけるKCNBポリヌクレオチドのレベルの測定を提供する。定量的増幅の方法は、当業者に周知である。定量的PCRに関して詳細なプロトコルは、例えば、Innisら,(1990)PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications, Academic Press,Inc.N.Y.において提供される。KCNBに関する核酸配列(例えば、配列番号2または配列番号5を参照のこと)は、慣用的にプライマーを選択して、遺伝子の任意の部分を増幅することを当業者にとって十分に可能にする。
いくつかの実施形態において、TaqManに基づくアッセイは、KCNBポリヌクレオチドを数量化するために使用される。TaqManに基づくアッセイは、5’蛍光色素および3’クエンチング薬剤を含む蛍光発生的オリゴヌクレオチドプローブを使用する。プローブは、PCR産物とハイブリダイゼーションするが、3’末端におけるブロッキング薬剤のせいでそれ自身は伸長できない。PCR産物が、続くサイクルにおいて増幅される場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性(例えば、AmpliTaq)は、TaqManプローブの開裂を生じる。この開裂は、5’蛍光色素および3’クエンチング薬剤を分離し、それによって増幅の機能における蛍光の増大を生じる(例えば、Perkin−Elmer、例えば、www2.perkin−elmer.comを参照のこと)。
他の適切な増幅方法として以下が挙げられるがこれらに限定されない:リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace(1989) Genomics 4:560,Landegrenら、(1988)Science 241:1077,およびBarringerら,(1990)Gene 89:117を参照のこと),転写物増幅(Kwohら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173),自己持続性配列複製(self−sustained sequence replication)(Guatelliら(1990)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 87:1874)、ドットPCRおよびリンカーアダプターPCRなど。
(C.原核生物および真核生物における発現)
クローンされた遺伝子または核酸(例えば、KCNBポリペプチドをコードするcDNA)の高発現レベルを得るために、KCNB配列は、典型的に強力なプロモーターを含む発現ベクターにサブクローニングして、転写物、転写物/翻訳ターミネーターおよびタンパク質をコードする核酸である場合、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を指向する。適切な細菌性プロモーターは当該分野で周知であり、そしてSambrookらおよびAusubelらに記載される。KCNBタンパク質を発現するための細菌性発現系は、利用可能である(例えば、E. coli,Bacillus sp.,およびSalmonella(Palvaら,Gene 22:229−235(1983);Mosbachら,Nature 302:543−545(1983))。このような発現系のためのキットは、市販されている。哺乳動物細胞、酵母および昆虫細胞のための真核生物発現系は、当該分野で周知であり、そしてまた市販されている。1つの実施形態において、真核生物発現ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクターまたはレトロウイルスベクターである。
治療学的適応に関して、KCNB核酸は、ウイルスベクターを用いた感染、リソソームに基づく方法、微粒銃加速(biolistic particle acceleration)(遺伝子銃)および裸のDNAインジェクションが挙げられるがこれらに限定されない多くの方法のいずれかを使用して、インビトロ、インビボまたはエキソビボにおいて細胞に導入される。このような治療的に有用な核酸としては、全長KCNBに対するコード配列、KCNBフラグメント、ドメイン、誘導体または改変体に対するコード配列、KCNBアンチセンス配列およびKCNBリボザイムが挙げられるがこれらに限定されない。典型的に、このような配列は、プロモーターに作動可能に結合されるが、多くの適用において、核酸は、それ自身直接的に治療学的に効果がある細胞に投与される(例えば、特定のアンチセンスまたはリボザイム分子)。
異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターは、特定の適用に依存する。このプロモーターは、必要に応じて、異種転写開始部位は、天然に位置する転写開始部位からなので異種転写開始部位からおよそ同じ距離に位置付けられる。しかし、当該分野で公知のように、この距離におけるいくつかの改変体は、プロモーターの機能の欠損をせずに適応され得る。
プロモーターに加えて、典型的に、発現ベクターは、宿主細胞においてKCNB−コード核酸の発現のために必要なすべてのさらなるエレメントを含む転写ユニットまたは発現カセットを含む。従って、典型的な発現カセットは、KCNBポリペプチドをコードする核酸配列に作動可能に結合したプロモーター、および転写物の有効なポリアデニル化、リボソーム結合部位および転写終結に必要なシグナルを含む。KCNBポリペプチドをコードする核酸配列は、開裂可能なシグナルペプチド配列に結合されて、トランスフェクトされた細胞によってコードされるタンパク質の分泌を促進し得る。このようなシグナルペプチドとしては、特に、組織プラスミノゲンアクチベーター由来のシグナルペプチド、インスリンおよび神経増殖因子およびHeliothis virescensの若年性ホルモンエステラーゼを含む。カセットのさらなるエレメントとしては、エンハンサーおよびゲノムDNAが、構造遺伝子として使用される場合、機能性スプライスドナーおよび受容体部位を有するイントロンが挙げられる。
プロモーター配列に加えて、発現カセットはまた、構造遺伝子の下流の転写終結領域を含み、十分な終結を提供する。この終結領域は、プロモーター配列として同じ遺伝子から入手され得るか、または異なる遺伝子から入手され得る。
細胞に遺伝的情報を輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核生物細胞または原核生物細胞における発現に使用される従来のベクターのいずれかが使用され得る。標準的な細菌性発現ベクターとしては、プラスミド(例えば、pBR322に基づくプラスミド、pSKF、pET23D)および融合発現系(例えば、GSTおよびLacZ)が挙げられる。エピトープタグはまた、組換えタンパク質に加えられて、単離物の簡便な方法(例えば、多くが当業者に周知である、c−myc、HA−タグ、6−His タグ、マルトース結合タンパク質、VSV−Gタグ、抗DYKDDDDKタグまたは任意のこのようなタグ)を提供し得る。
真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、代表的に、真核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン−バーウイルス由来のベクター)において使用される。他の例示的な真核生物ベクターとしては、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびCMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫プロモーター、ポリへドリンプロモーター、または真核生物細胞中の発現のために効果的であると示される他のプロモーターの指向下で、タンパク質の発現を可能にする他の任意のベクターが挙げられる。
いくつかの発現系は、遺伝子増幅を提供するマーカー(例えば、ネオマイシン、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、およびジヒドロ葉酸レダクターゼ)を有する。あるいは、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指向下で、KCNBポリペプチドをコードする配列を用いる、遺伝子増幅に関与しない高収量発現系(例えば、昆虫細胞中のバキュロウイルスを使用する)がまた、適切である。
発現ベクターに代表的に含まれるエレメントはまた、E.coli中で機能するレプリコン、組換えプラスミドを保有する細菌の選択を可能にする抗生物質の耐性をコードする遺伝子、および真核生物配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域中の独特の制限部位を含む。選択された特定の抗生物質耐性遺伝子は、重要ではなく、当該分野で公知の任意の多数の耐性遺伝子が適切である。原核生物配列は、必要な場合、それらが真核生物細胞中のDNAの複製と干渉しないように、必要に応じて、選択される。
標準的なトランスフェクション方法を使用して、大量のKCNBタンパク質(次いで、標準的な技術を使用して精製される)を発現する細菌細胞株、哺乳動物細胞株または昆虫細胞株を生成する(例えば、Colleyら、J.Biol.Chem.264:17619−17622(1989);Guide to Protein Purification,in Methods in Enzymokogy、第182巻(Deutscher編、1990年)を参照のこと)。真核生物細胞および原核生物細胞の形質転換は、標準的な技術に従って行なわれる(例えば、Morrison,J.Bact.132:349−351(1977);Clark−Curtiss&Curtiss,Methods in Enzymology 101:347−362(Wuら編、1983))。
宿主細胞中に外来ヌクレオチド配列を導入するための周知の手順のいずれかを使用し得る。これらとしては、以下を含む:Superfect(Qiagen)のような試薬の使用、リポソーム、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、微小注入、プラスミドベクター、ウイルスベクター、微粒子銃粒子高速化(遺伝子銃)、または、宿主細胞中にクローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来遺伝的物質を導入するための他の周知の方法(例えば、Sambrookら、前出)のいずれか。使用される特定の遺伝子操作手順は、KCNB遺伝子を発現し得る宿主細胞中に少なくとも1つの遺伝子を首尾良く導入し得ることのみが必要である。
発現ベクターが細胞に導入された後、トランスフェクトされた細胞は、KCNBポリペプチドの発現を助ける条件下で培養され、このKCNBポリペプチドは、以下に同定された標準技術を使用して培養から回収される。原核生物または真核生物を培養する方法は周知であり、そして、例えば、Ausubelら、Sambrookらにおいて、およびFreshney,Culture of Animal Cells,第3版、(1993),A Wiley−Liss Publicationにおいて、教示される。
(IV.KCNBポリペプチドの精製)
天然に存在するKCNBポリペプチドまたは組換えKCNBポリペプチドのいずれかは、機能的アッセイ、結合アッセイ、診断アッセイ、および他の適用における使用のために精製され得る。天然に存在するKCNBポリペプチドは、例えば、血液、リンパ性組織、またはKCNBホモログの任意の他の供給源のような哺乳動物組織から、精製される。組換えKCNBポリペプチドは、任意の適切な細菌発現系または真核生物発現系(例えば、CHO細胞または昆虫細胞)から精製される。
KCNBタンパク質は、硫酸アンモニウムのような物質を用いる選択的な精製;カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法、およびその他を含むがこれらに限定されない、標準的な技術によって、実質的に純粋まで精製され得る(例えば、Scopes,Protein Purification:Principles and Practice(1982);米国特許第4,673,741号;Ausubelら、前出;およびSambrookら、前出を参照のこと)。
組換えKCNBポリペプチドが精製される場合に、多数の手順が利用され得る。例えば、確立された分子性吸着特性を有するタンパク質は、KCNBポリペプチドに可逆的に融合され得る。適切なリガンドを使用して、KCNBポリペプチドは、精製カラムに選択的に吸着され得、次いで比較的純粋な形態で、カラムから遊離され得る。次いで、融合されたタンパク質は、酵素学的活性によって、取り出される。KCNBタンパク質はまた、免疫親和性カラムを使用して精製され得る。
(A.組換えKCNBタンパク質の精製)
組換えタンパク質は、代表的にプロモーター誘導後(しかし発現は構成的であり得る)、形質転換した細菌細胞またはCHO細胞のような真核生物細胞または昆虫細胞によって大量に発現される。IPTGを用いるプロモーター誘導は、誘導的プロモーター系の1つの例である。細胞は、当該分野で標準的な手順に従って増殖される。新鮮な細胞または凍結した細胞が、タンパク質の単離に使用される。
細菌において発現されるタンパク質は、不溶性凝集物(「封入体」)由来であり得る。いくつかのプロトコルが、KCNB封入体の精製のために適切である。例えば、封入体の精製は、代表的に、細菌細胞の破壊(例えば、50mM TRIS/HCL pH7.5、50mM NaCl、5mM MgCl2、1mM
DTT、0.1mM ATP、および1mM PMSFの緩衝液中でのインキュベーション)による封入体の抽出、分離および/または精製を含む。細胞懸濁液は、Polytron(Brinkman Instruments)を使用してホモジナイズしたか、または氷上で超音波処理した、French Pressを通して、2〜3回の通過を使用することによって溶解され得る。細菌を溶解させる代替的な方法は、当業者に明らかである(例えば、Sambrookら、前出;Ausubelら、前出を参照のこと)。
必要であれば、封入体は、可溶化され、そして溶解した細胞懸濁液は、代表的に遠心分離して、不必要な不溶性物質を除去する。封入体を形成するタンパク質は、適合性の緩衝液を用いる希釈または透析によって再生され得る。適切な溶媒としては、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、容量/容量基準)、およびグアニジンハイドロクロライド(約4M〜約8M)を含むがこれらに限定されない。凝集体形成タンパク質を可溶化し得るいくつかの溶媒(例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)および70%ギ酸)は、免疫原性および/または活性の欠如が伴う、タンパク質の不可逆的変性の可能性に起因して、この手順における使用のために不適切である。グアニジンハイドロクロライドおよび同様の薬剤が、変性剤であるが、この変性は不可逆的なものではなく、再生は、変性剤の除去(例えば、透析による)または変性剤の希釈の際に発生し、免疫学的および/または生物学的活性タンパク質の再形成を可能にし得る。他の適切な緩衝液は、当業者に公知である。KCNBポリペプチドは、標準的な分離技術(例えば、Ni−NTAアガロース樹脂を用いる)によって他の細菌タンパク質から分離される。
あるいは、細菌ペリプラズムからKCNBポリペプチドを精製することが可能である。細菌の溶解後、KCNBタンパク質が細菌のペリプラズムに輸送される場合、細菌のペリプラズム画分は、当業者に公知の他の方法に加えて、冷浸透圧ショックによって単離され得る。ペリプラズムから組換えタンパク質を単離するために、細菌細胞を遠心分離して、ペレットを形成する。このペレットを、20%スクロースを含む緩衝液中に再懸濁する。細胞を溶解するために、細菌を遠心分離し、そして、ペレットを、氷冷5mM MgSO4中で再懸濁し、そして、約10分間、氷浴中に維持する。細胞懸濁液を遠心分離し、そして上清をデカントし、取っておく。上清中に存在する組換えタンパク質は、当業者に周知の標準的な分離技術によって、宿主細胞から分離され得る。
(B.KCNBポリペプチドを精製するための標準的なタンパク質分離技術)
しばしば最初の工程として、特にタンパク質混合物が複合体である場合、最初の塩画分は、目的の組換えタンパク質から、多数の不必要な宿主細胞タンパク質(または細胞培養培地に由来するタンパク質)を分離し得る。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水の量を効果的に減少させることによって、タンパク質を沈殿させる。次いで、タンパク質は、それらの可溶性に基づいて、沈殿する。タンパク質が、より疎水性であればあるほど、タンパク質は、より低い硫酸アンモニウム濃度で、沈殿するようである。代表的なプロトコルは、得られた硫酸アンモニウム濃度が、20〜30%の間の濃度であるように、飽和硫酸アンモニウムをタンパク質溶液に添加する工程を包含する。この濃度は、最も疎水性のタンパク質を沈殿させる。次いで、この沈殿を捨て(目的のタンパク質が、疎水性でない場合)、そして、硫酸アンモニウムを、目的のタンパク質を沈殿させることが公知の濃度まで上清に添加する。次いで、この沈殿を緩衝液中で可溶化し、そして必要に応じて、過剰の塩を、透析またはダイアフィルトレーションのいずれかを通して除去する。タンパク質の可溶性に依存する他の方法(例えば、冷エタノール沈殿)は、当業者に周知であり、そして、これらを使用して、複合体タンパク質混合物を分画する。
KCNBタンパク質の分子量を使用して、異なる孔の大きさの膜(例えば、AmiconまたはMillipore膜)を通る限外ろ過を使用して、より大きい大きさおよびより小さい大きさのタンパク質からそれを単離する。第1の工程として、タンパク質混合物を、目的のタンパク質の分子量よりも小さい分子量のカットオフを有する孔の大きさを有する膜を介して、限外ろ過する。次いで、限外ろ過の保持液(retenate)を、目的のタンパク質の分子量よりも大きい分子カットオフを用いて膜に対して限外ろ過する。組換えタンパク質は、膜をろ液へと通過する。次いで、ろ液を以下に記載されるように、色層分析し得る。
BCNBタンパク質はまた、それらの大きさ、正味の表面電荷、疎水性、および異種分子についての親和性に基づいて、他のタンパク質から分離され得る。さらに、タンパク質に対して惹起される抗体は、カラムマトリクスに結合体化され得、そして、タンパク質は免疫精製される。これらの方法の全ては当該分野で周知である。クロマトグラフィー技術が、任意の規模で、そして多数の異なる製造業者(例えば、Pharmacia Biothech)からの機器を使用して、行なわれ得ることが当業者に明らかである。
(V.KCNBファミリーメンバーに対する抗体)
本発明の多数の実施形態において、KCNBポリペプチドに特異的に結合する抗体が使用される。このような抗体は、KCNB活性の調節について、ならびにKCNB、およびKCNBの改変体、誘導体、フラグメントなどを検出するための免疫アッセイについて、を含む多数の適用を有する。免疫アッセイを使用して、KCNBポリペプチドを定性的または定量的に分析し得る。適用可能な技術の一般的な概要は、Harlow&Lane,Atibodies:A Laboratory Manual(1988)において見出され得る。いくつかの実施形態において、抗体を使用して、診断および/または予後適用について、KcNBを検出する。
KCNBに対する抗体はまた、抗体またはそのサブフラグメントが分子に連結されているキメラ抗体を含み得、この分子において、(a)定常領域またはその部分が、変更され、置換され、または交換され、その結果、抗原結合部位(可変領域)が、異なるかまたは変更されたクラス、エフェクター機能および/もしくは種、の定常領域、あるいはキメラ抗体に新しい特性を与える全体的に異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬物など)に連結されている;または(b)可変領域またはその一部が、異なるかまたは変更された抗原特異性を有する可変領域と変更され、置換されたかまたは交換されている。このような抗原は、例えば、KCNB発現細胞に対する毒素のような部位を標的化するための標的化試薬として、有用であり得る。
KCNBポリペプチドと特異的に反応するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する方法は、当該分野で公知である(例えば、Coligan,Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane、前出;Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版、1986);Kohler&Milstein,Nature 256:495−497(1975)を参照のこと)。このような技術としては、ファージまたは類似のベクター中の組換え抗体のライブラリーからの抗体の単離による抗体調製、ならびにウサギまたはマウスを免疫することによるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製を含む(例えば、Huseら、Science 246:1275−1281(1989);Wardら、Nature 341:544−546(1989)を参照のこと)。
多数のKCNB含有免疫源を使用して、KCNBポリペプチドと特異的に反応する抗体を産生し得る。例えば、組換えKCNBタンパク質またはその抗原性フラグメントは、本明細書中に記載されるように単離される。組換えタンパク質は、上記のように真核生物細胞または原核生物細胞中で発現され得、そして、一般に上記のように精製される。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の産生のための好ましい免疫源である。あるいは、本明細書中に開示された配列由来でありかつキャリアタンパク質に結合体化された合成ペプチドが、免疫源として使用され得る。天然に存在するタンパク質はまた、純粋または不純な形態のいずれかで使用され得る。次いで、産物を、抗体を産生し得る動物に注射する。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかが、タンパク質を測定するための免疫アッセイにおける引き続く使用のために、産生され得る。
ポリクローナル抗体を産生するための方法は、当業者に公知である。マウス(例えば、BALB/Cマウス)またはウサギの近交系系統は、標準的なアジュバント(例えば、フロイトアジュバント)および標準免疫プロトコルを使用して、タンパク質を用いて免疫する。免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、試験出血を行なうことおよびKCNBポリペプチドに対する応答性の力価を決定することによって、モニターされる。免疫原に対する抗体の適切に高い力価が得られる場合、血液は、動物から回収され、そして、抗血清が調製される。タンパク質に反応性の抗体を濃縮するための抗血清のさらなる画分は、所望の場合に行なわれ得る(Harlow&Lane、前出を参照のこと)。
モノクローナル抗体は、当業者に知られた種々の技術によって得られ得る。手短にいうと、所望の抗原を用いて免疫した動物由来の脾臓細胞を、一般に骨髄腫細胞を用いる融合によって、不死化する(Kohler&Milstein,Eur.J.Immunol.6:511−519(1976)を参照のこと)。不死化のための代替的な方法は、エプスタイン−バーウイルス(Epstein−Barr Virus)、オンコジーン、もしくはレトロウイルスを用いるトランスフェクション、または当該分野で周知の他の方法を含む。単一の不死化細胞から生じるコロニーを、抗原について所望の特異性および親和性の抗体の産生についてスクリーニングされ、そしてこのような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収量は、種々の技術(脊椎動物宿主の腹膜管腔への注射を含む)によって強化され得る。あるいは、Huseら、Science 246:1275−1281(1989)によって概略される一般的なプロトコルに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離し得る。
モノクローナル抗体およびポリクローナル血清は、イムノアッセイ(例えば、固体支持体に固定された免疫原を用いた固相イムノアッセイ)において、免疫原タンパク質に対して収集され、滴定される。代表的には、104以上の力価を有するポリクローナル抗血清は、競合結合イムノアッセイを用いて、非KCNBタンパク質に対してまたはさらに他の生物由来の関連するタンパク質に対してその交差反応性に関して選択され、試験される。特異的なポリクローナル抗血清およびモノクローナル抗体は、通常、少なくとも約0.1mMのKd、より通常では少なくとも約1μMのKd、必要に応じて少なくとも約0.1μMまたはそれより良好なKd、そして必要に応じて0.01μMまたはそれより良好なKdで結合する。
(A.免疫学的結合アッセイ)
一旦KCNB特異的抗体が利用可能になると、個々のKCNBタンパク質は、種々のイムノアッセイ方法によって検出され得る。一般的なイムノアッセイの概説に関しては、Methods in Cell Biology:Antibodies in Cell Biology,volume 37(Asai編、1993);Basic and Clinical Immunology(Stites & Terr編、第7版、1991)もまた参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイは、任意のいくつかの形態で実行され得、これらの形態は、Enzyme Immunoassay(Maggio編、1980);およびHarlow & Lane(前出)に広範に概説される。免疫学的結合アッセイ(すなわちイムノアッセイ)は、代表的に、選り抜きのタンパク質または抗原(この場合、KCNBタンパク質またはその抗原性部分配列)に特異的に結合する抗体を使用する。抗体(例えば、抗KCNB)は、当業者に周知の多数の手段および上記のような多数の手段のうちのいずれかによって作製され得る。
イムノアッセイはまた、抗体および抗原によって形成された複合体に特異的に結合して標識するための標識因子をしばしば使用する。この標識因子は、これ自体、抗体/抗原複合体を含む部分のうちの1つであり得る。従って、標識因子は、標識KCNBポリペプチドまたは標識抗KCNB抗体であり得る。あるいは、標識因子は、抗体/KCNB複合体に特異的に結合する第3の部分(例えば、二次抗体)であり得る(二次抗体は、代表的に、一次抗体が由来する種の抗体に特異的である)。免疫グロブリン定常領域に特異的に結合し得る他のタンパク質(例えば、プロテインAまたはプロテインG)はまた、標識因子として使用され得る。これらのタンパク質は、種々の種由来の免疫グロブリン定常領域と強い非免疫原性反応性を示す(例えば、Kronvalら、J.Immunol.111:1401−1406(1973);Akerstromら、J.Immunol.135:2589−2542(1985)を参照のこと)。標識因子は、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)が特異的に結合し得る検出部分(例えば、ビオチン)を用いて改変され得る。種々の検出可能な部分が、当業者に周知である。
このアッセイを通じて、インキュベーション工程および/または洗浄工程は、試薬の各組み合わせ後に必要とされ得る。インキュベーション工程は、約5秒間〜数時間で変化し、必要に応じて約5分間〜約24時間で変化し得る。しかし、インキュベーション時間は、アッセイ形式、抗原、溶液の容積、濃度などに依存する。通常、アッセイは、10℃〜40℃のような温度範囲にわたって実行されるが、周囲温度で実行され得る。
(1.非競合アッセイ形式)
サンプル中のKCNBタンパク質を検出するためのイムノアッセイは、競合または非競合のいずれかであり得る。非競合イムノアッセイは、抗原量が直接測定されるアッセイである。例えば、1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいて、抗KCNB抗体は、この抗体が固定される固体基材に直接結合され得る。次いで、これらの固定された抗体は、試験サンプル中に存在するKCNBタンパク質を捕獲する。従って、固定されたKCNBタンパク質は次いで、標識因子(例えば、標識を保有する二次KCNB抗体)によって結合される。あるいは、二次抗体は、標識を欠き得るが、二次抗体は順に、この二次抗体が由来する種の抗体に特異的な標識三次抗体によって結合され得る。二次抗体または三次抗体は、代表的に、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)が特異的に結合する検出可能な部分(例えば、ビオチン)によって改変されて、検出可能な部分を提供する。
(2.競合アッセイ形式)
競合アッセイにおいて、サンプル中に存在するKCNBタンパク質の量は、サンプル中に存在する未知のKCNBタンパク質によって抗KCNB抗体から置換された(競合された)、既知の添加された(外因性)KCNBタンパク質の量を測定することによって間接的に測定される。1つの競合アッセイにおいて、既知量のKCNBタンパク質は、サンプルに添加され、次いでこのサンプルは、KCNBタンパク質に特異的に結合する抗体と接触される。抗体に結合した外因性KCNBタンパク質の量は、サンプル中に存在するKCNBタンパク質濃度に逆比例する。特に好ましい実施形態において、抗体は固体基材に固定される。抗体に結合したKCNBタンパク質の量は、KCNB/抗体複合体に存在するKCNBタンパク質の量を測定することによってか、あるいは残存する複合体化していないタンパク質の量を測定することによってかのいずれかで決定され得る。KCNBタンパク質量は、標識KCNB分子を提供することによって検出され得る。
ハプテン阻害アッセイは、別の好ましい競合アッセイである。このアッセイにおいて、既知のKCNBタンパク質が、固体基材に固定される。既知量の抗KCNB抗体がサンプルに添加され、次いでこのサンプルが固定されたKCNBと接触される。既知の固定KCNBタンパク質に結合した抗KCNB抗体の量は、サンプル中に存在するKCNBタンパク質量に逆比例する。また、固定された抗体の量は、固定された抗体の分画または溶液中に残存する抗体の分画のいずれかを検出することによって検出され得る。検出は、直接的(抗体が標識される場合)であってもよく、または間接的(上記のように抗体に特異的に結合する標識部分の引続く添加による)であってもよい。
(3.交差反応性の決定)
競合結合形式におけるイムノアッセイはまた、交差反応性の決定に関して使用され得る。例えば、配列番号2によって少なくとも部分的にコードされるタンパク質は、固体支持体に固定され得る。タンパク質(例えば、KCNBタンパク質およびホモログ)は、固定された抗原に対する抗血清の結合を競合するアッセイに添加される。固定されたタンパク質に対する抗血清の結合に競合する添加されたタンパク質の能力は、配列番号2によってコードされるKCNBポリペプチドがそれ自体を競合する能力に対して比較される。上記タンパク質に関する交差反応性の割合は、標準的な計算を用いて計算される。上記の添加されたタンパク質の各々と10%未満の交差反応性を有する抗血清が選択され、プールされる。交差反応抗体は、必要に応じて、添加された考慮されるタンパク質(例えば、離れている関連ホモログ)との免疫吸収によってプールされた抗血清から取り除かれる。
免疫吸収されプールされた抗血清は次いで、免疫原タンパク質(すなわち、配列番号2によってコードされるKCNBタンパク質)に対して二次タンパク質(おそらく、KCNBタンパク質の対立遺伝子改変体または多型改変体であると考えられる)を競合するために上記のような競合結合イムノアッセイに使用される。この比較をするために、2つのタンパク質を、広範な濃度で各々アッセイし、そして抗血清が固定されたタンパク質に結合することを50%阻害するのに必要とされる各タンパク質の量が、決定される。結合を50%阻害するのに必要とされる二次タンパク質の量が、結合を50%阻害するのに必要とされる配列番号2によってコードされるタンパク質の量の10倍未満である場合、この二次タンパク質は、KCNB免疫原に対して作製されたポリクローナル抗体に特異的に結合するといわれる。
特定の種由来のKCNBタンパク質に特異的に結合するポリクローナル抗体は、KCNBホモログを用いて交差反応性抗体を差し引きすることによって作製され得る。例えば、ヒトKCNBに特異的な抗体は、マウスKCNBと交差反応性である抗体を差し引きすることによって作製され得る。類似の様式において、特定のKCNBタンパク質に特異的な抗体は、複数のKCNB遺伝子を用いて生物中で作製され得る。
(4.他のアッセイ形式)
ウエスタンブロット(イムノブロット)分析を使用して、サンプル中のKCNBタンパク質の存在を検出および定量する。この技術は、一般的に、分子量に基づくゲル電気泳動によってサンプルタンパク質を分離する工程、分離したタンパク質を適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化されたナイロンフィルター)に移す工程、ならびにこのサンプルをKCNBタンパク質に特異的に結合する抗体とインキュベートする工程を含む。抗KCNBポリクローナル抗体は、固体支持体上のKCNBポリペプチドに特異的に結合する。これらの抗体は、直接標識され得るか、あるいは抗KCNB抗体に特異的に結合する標識抗体(例えば、標識ヒツジ抗マウス抗体)を用いて引き続いて検出され得る。
他のアッセイ形式は、リポソームイムノアッセイ(LIA)を含み、このアッセイは、特定の分子(例えば、抗体)に結合し、カプセル化された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを使用する。この放出された化学物質は次いで、標準的な技術に従って検出される(Monroeら、Amer.Clin.Prod.Rev.5:34−41(1986)を参照のこと)。
当業者は、イムノアッセイにおいて非特異的結合を最小化することがしばしば望ましいことを認識する。詳細には、このアッセイが固体基材上に固定された抗原または抗体を含む場合、この基材に対する非特異的結合の量を最小化することが望ましい。このような非特異的結合を減少する手段は、当業者に周知である。代表的には、この技術は、この基材を蛋白様の組成物でコーティングすることを含む。詳細には、タンパク質組成物(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳、およびゼラチン)が、広範に使用され、粉乳が最も好ましい。
(5.標識)
このアッセイに使用される特定の標識または検出可能な基は、これらがこのアッセイに使用する抗体の特異的結合を有意に妨げない限り、本発明の重要な局面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理特性または化学特性を有する任意の物質であり得る。このような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野で非常に開発されており、一般的に、このような方法に有用な任意の標識のほとんどが本発明に適用され得る。従って、標識は、分光学的手段、光化学手段、生化学手段、免疫化学手段、電気的手段、光学手段または化学手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明において有用な標識としては、磁気ビーズ(例えば、DYNABEADSTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、Texasレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、3H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAに一般的に使用される他のもの)、ならびに比色標識(例えば、コロイド金または有色ガラスまたはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)が挙げられる。
標識は、当該分野で周知の方法に従うアッセイの所望の成分に直接または間接的に結合され得る。上記のように、広範な種々の標識が使用され得、標識の選択は必要とされる感度、化合物との結合体化の容易さ、必要物の安定性、利用可能な装置、および廃棄規定に依存する。
非放射性標識が、しばしば間接的な手段によって付着される。一般的に、リガンド分子(例えば、ビオチン)は、分子に共有結合される。次いでリガンドは、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)分子(これは、本来検出可能であるか、またはシグナルシステム(例えば、検出可能な酵素、蛍光化合物、または化学発光化合物)に共有結合するかのいずれかである)に結合する。リガンドおよびその標的は、KCNBタンパク質を認識する抗体、または抗KCNBを認識する二次抗体との任意の適切な組み合わせで使用され得る。
分子または、例えば、酵素またはフルオロホア(fluorophore)との結合体化によってシグナル生成化合物に直接結合体化され得る。標識として興味のある酵素は、主に、ヒドロラーゼ(特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ)、またはオキシダーゼ(特にペルオキシダーゼ)である。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが挙げられる。化学発光化合物としては、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン(例えば、ルミノール)が挙げられる。使用され得る種々の標識またはシグナル生成システムの概説に関しては、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
標識を検出する手段は、当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段としては、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーのような写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、この標識は、蛍光色素を適切な波長の光で励起し、生じる蛍光を検出することによって検出され得る。蛍光は、写真フィルムによって、電子検出器(例えば、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍器など)の使用によって、視覚的に検出され得る。同様に、酵素標識が、酵素に対する適切な基質を提供し、生じる反応生成物を検出することによって検出され得る。最後に、簡単な比色標識が、この標識と関連する色を観察することによって簡単に検出され得る。従って、種々のディップスティックアッセイにおいて、結合体化された金はしばしばピンクのようであり、一方、種々の結合体化されたビーズはビーズの色のようである。
いくつかのアッセイ形式は標識化合物の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイが使用されて標的抗体の存在を検出し得る。この場合、抗原コーティングされた粒子は、標的抗体を含むサンプルによって凝集される。この形式において、これらの成分は、標識される必要はなく、そして標的抗体の存在は、簡単な視覚検査によって検出される。
(VI.変更されたKCNB活性および発現と関連する疾患の診断)
KCNB核酸、タンパク質、および/または抗体は、診断的または予後的に使用されて、正常なものに対して変更されたKCNB活性または発現と関連する疾患または状態を検出し得る。このような疾患は、減少したまたは増加したKCNB活性または発現のいずれかと関連し得る。KCNB活性または発現は、例えば、KCNBタンパク質、mRNA、ゲノムDNA、またはKCNBに対する抗体を含む種々の試薬のうちのいずれかを用いて検出され得る。活性における変化は、例えば、KCNB遺伝子のコピー数、KCNB遺伝子配列中の変異、転写の変更、翻訳、RNA、タンパク質レベル、タンパク質安定性、またはタンパク質活性における変更を示し得る。従って、多数のアッセイのうちのいずれか(この例は、本明細書中に提供される)を使用して、KCNB核酸またはポリペプチドを検出し得る。
従って、本配列は、患者において本明細書中に記載される疾患または状態のいずれかを処置するために使用され得、ここで、KCNB発現レベルまたはKCNB活性レベルにおける変更、またはKCNBポリヌクレオチドまたはポリペプチドにおける有害な変異の検出は、これらの疾患または状態の存在またはその可能性を示す。従って、本発明は、増加または低下したKCNB活性と関連する疾患またはこの疾患の可能性を検出または診断方法を提供する。これらとしては、癌(以下にさらに議論する)、癲癇、アルツハイマー病、パーキンソン病、発作、多発性硬化症、片頭痛、および精神医学的障害(鬱病、精神分裂病、双極性疾患などを含む)のような脳と関連する障害が挙げられる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,第12版、Wilsonら、編、McGraw−Hill,Inc.を参照のこと)。他の疾患としては、心臓に関連する疾患(例えば、不整脈、心不全、および種々の血管疾患(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,12版、Wilsonら、編、McGraw−Hill,Inc.を参照のこと))、および膵臓に関連する疾患(例えば、膵炎、糖尿病、膵臓中のホルモン(例えば、グルカゴン)分泌の他の異常、ソマトスタチン分泌(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,12版、Wilsonら、編、McGraw−Hill,Inc.を参照のこと))が挙げられる。
特定の実施形態において、癌の診断、KCNBポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはタンパク質レベルの活性が定量される。このような実施形態において、KCNB関連障害を有するかその障害を有する疑いのある患者由来の生物学的サンプルにおけるKCNBレベルと、正常なコントロールレベルとの間の差異が、好ましくは、統計的に重要である。代表的に、診断的プレゼンスは、コントロールサンプル(例えば、健康な被験体または正常な組織を代表する生物学的サンプル)の期待されるレベルと比較して、生物学的サンプルにおけるKCNBポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの少なくとも約1.5、2、5、10またはそれより大きい倍数の変化を示す。KCNBの検出は、インビトロで(すなわち、哺乳動物から取られた生物学的サンプル内の細胞において)、またはインビボで実施され得る。「診断的プレゼンス」は、正常なコントロールサンプルにおいて期待されるレベルから変更されたKCNBの任意のレベルを示す。
1つの実施形態において、KCNB核酸またはタンパク質は、それ自体または他の診断方法と共に、診断ツールまたは予後ツールとして使用されて、例えば、以下のような癌と関連するKCNBコピー数または発現の増加を検出し得る:乳癌または肺癌、ならびに他の癌(例えば、上皮癌(例えば、結腸直腸癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、または胃腸管の癌))。KCNB核酸またはタンパク質の検出はまた、癌処置の効力をモニタするために使用され得る。例えば、抗癌処置後のKCNBタンパク質または核酸のレベルは、処置の前のレベルと比較され得、ここで、KCNBタンパク質または核酸はまた、哺乳動物における抗癌処置の選択に影響を与えるために使用され得、ここで、例えば、KCNBの大きな増加は、より積極的な抗癌治療の使用を示し、そして小さな増加または増加しないことは、あまり積極的でない抗癌治療の使用を示す。さらに、変化したKCNB活性または発現を示す癌細胞を検出する能力は、例えば、インビボまたはインビトロで、経時的な疾患の進行を評価するために、患者の癌細胞の数および/または位置をモニタする際に有用であり得る。
(VII.KCNB活性を調節すること)
(A.KCNBタンパク質の調節因子についてのアッセイ)
本発明の種々の実施形態において、KCNB活性のレベルは、インビボまたはインビトロで、多数のKCNB調節分子(例えば、ポリペプチド、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、脂質、炭水化物、または任意の有機分子または無機分子)のいずれかを、細胞に投与することによって、細胞において調節され得る。
KCNBを調節し得る分子を同定するために、アッセイが実施されて、細胞におけるKCNB活性に対する種々の候補調節因子の効果を検出する。KCNBポリペプチドの活性は、種々のインビトロまたはインビアッセイを使用して評価されて、機能的、化学的、および物理的効果(例えば、KCNBの他の分子への結合を測定して(例えば、放射活性結合)、KCNBタンパク質および/またはRNAレベルを測定して、またはKCNBポリペプチドの他の局面(例えば、リン酸化レベル、転写レベル、アポトーシス(プログラムされた細胞死)から細胞を保護する能力、レセプター活性またはチャネル活性など)を測定して)を決定し得る。このようなアッセイは、KCNBタンパク質のアクチベーターおよびインヒビターの両方について試験するために使用され得る。従って、同定されたインヒビターは、例えば、多くの診断適用および治療適用のために有用である。
KCNBタンパク質のカリウムチャネル活性が、イオンフラックスの変化を測定するための種々のアッセイ(パッチクランプ技術、全細胞電流の測定、放射標識ルビジウムフラックスアッセイ、電圧感受性染料を使用する蛍光アッセイ)を使用してアッセイされ得る(例えば、Vestergarrd−Bogindら,J.Membrane Biol.88:67−75(1988);Danielら,J.Pharmacol.Meth.25:185−193(1991);Hoevinskyら. J.Membrane Biol.137:59−70(1994)を参照のこと)。例えば、KCNBタンパク質またはそのホモログをコードする核酸は、Xenopus卵母細胞に注入され得る。次いで、KCNB活性が、膜極性の変化(すなわち、膜ポテンシャルの変化)を測定することによって、アッセイされ得る。電気生理学的測定を得るための好ましい手段は、パッチクランプ技術(例えば、「細胞−付着」モデル、「インサイドアウト(inside−out)」モデル、および「全細胞」モデル)を使用して電流を測定することによる(例えば、Ackermanら,New Engl.J.Med.336:1575−1595,1997を参照のこと)。全細胞電流は、標準的な方法論(例えば、Hamilら,PFlugers.Archiv.391:185(1981)に記載されるようなもの)を使用して、決定され得る。
KCNB活性(例えば、アポトーシスからの保護)もまた、アッセイされ得る。例えば、プログラムされたTNF−α誘導細胞死から細胞を保護するKCNBの能力が、実施例4に記載される方法論を使用して測定され得る。
このアッセイのKCNBタンパク質は、代表的に、組換え体であるかまたは配列番号1を有する天然に存在するポリペプチドであるか、あるいはそれらの保存的に改変された変異体である。あるいは、このアッセイのKCNBタンパク質は、真核生物由来であるかまたは配列1に対するアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一般に、アミノ酸配列同一性は、少なくとも70%、必要に応じて、少なくとも75%、85%または90%;あるいは必要に応じて、少なくとも95%〜98%である。必要に応じて、これらのアッセイのポリペプチドは、KCNBタンパク質のドメイン(例えば、N末端ドメイン、C末端ドメイン、細胞外ループ、1つ以上の膜貫通ドメインなど)を含む。特定の実施形態において、KCNBタンパク質のドメイン(例えば、N末端ドメイン、C末端ドメイン、細胞外ループ、または1つ以上の膜貫通ドメイン)が固体基材に結合し、そして例えば、結合し得る任意の分子を単離し、そして/またはそれらの活性を調節するために使用される。特定の実施形態において、KCNBポリペプチドのドメイン(例えば、N末端ドメイン、C末端ドメイン、細胞外ループ、または1つ以上の膜貫通ドメイン)は、異種タンパク質に融合され、それによってキメラポリペプチドを形成する。このようなキメラポリペプチドは、例えば、KCNBのモジュレーターを同定するためのアッセイにおいて有用である。
潜在的なKCNBタンパク質インヒビターまたはアクチベーターで処理されるサンプルまたはアッセイは、調節の程度を試験するために、試験化合物を含まないコントロールサンプルと比較される。コントロールサンプル(アクチベーターまたはインヒビターで処理されていない)は、100の相対KCNB活性値を割り当てられる。KCNBタンパク質の阻害は、コントロールに対するKCNB活性値が約90%、必要に応じて約50%、必要に応じて25〜0%である場合に達成される。KCNBタンパク質の活性化は、コントロールに対するKCNB活性値が、約110%、必要に応じて約150%、200〜500%、または約1000〜2000%である場合に、達成される。
これらのポリペプチドの機能に対する試験化合物の効果は、上記にパラメータのいずれかを試験することによって測定され得る。KCNB活性に影響する任意の適切な生理学的変化は、本発明のポリペプチドに対する試験化合物の影響をj評価するために使用され得る。機能的な重要性が、インタクトな細胞または動物を使用して決定される場合、細胞増殖またはpH変化、細胞内の第二のメッセンジャー(例えば、Ca2+、IP3、cGMP、またはcAMP)の変化、あるいは細胞の膜ポテンシャルの変化のような種々の効果がまた測定され得る。
目的のKCNBタンパク質を含む宿主細胞は、任意の相互作用をもたらすに十分な時間試験化合物と接触され、次いで遺伝子発現のレベルが測定される。このような相互作用をもたらす時間は、例えば、時間経過を行い、そして時間の関数として転写レベルを測定することによって、経験的に決定される。転写の量は、当業者に公知の、適切である任意の方法を使用して測定され得る。例えば、目的のタンパク質のmRNA発現は、ノーザンブロットを使用してまたは免疫アッセイを使用してそれらのポリペプチド産物を検出することによって検出され得る。
(B.KCNB相互作用化合物についてのアッセイ)
特定の実施形態において、KCNBタンパク質と物理的に相互作用する分子を同定するために、アッセイが実施される。このような分子は、任の型の分子(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ヌクレオチド、炭水化物、脂質、あるいは任意の他の有機分子または無機分子を含む)であり得る。このような分子は、通常KCNBと相互作用する分子を代表し得るか、またはKCNBと相互作用し得そしてKCNBと相互作用し得そして/または調節し得る分子のクラスを同定するための先導化合物として潜在的に使用され得る、合成または他の分子であり得る。このようなアッセイは、物理的な結合アッセイ(例えば、アフィニティクロマトグラフィー、免疫沈降、2ハイブリッドスクリーン、または他の結合アッセイ)を表し得るか、または遺伝学的アッセイを表し得る。
本明細書に記載される結合または機能的アッセイのいずれかにおいて、インビボまたはインビトロで、任意のKCNBタンパク質またはKCNBタンパク質の任意の誘導体、変異、ホモログまたはフラグメントが使用され得る。好ましくは、KCNBタンパク質は、配列番号1の少なくとも約70%同一である。多くの実施形態において、KCNBタンパク質のフラグメントが使用される。例えば、N末端またはC末端、あるいは細胞外ループまたは膜貫通ドメインのみを含むフラグメントが使用され得る。このようなフラグメントは、それ自体で、他のKCNBと組合せて、あるいは異種タンパク質由来の配列(例えば、フラグメント)と組合せて、異種ポリペプチドに融合され得、それによってキメラポリペプチドを形成する。
KCNBタンパク質と相互作用する化合物は、KCNBタンパク質またはそのフラグメントに特異的に結合する能力に基づいて単離され得る。多くの実施形態において、KCNBタンパク質またはタンパク質フラグメントは、固体支持体に付着される。1つの実施形態において、アフィニティカラムが、KCNBポリペプチドを使用して作製され、そして物理的に相互作用する分子が同定される。クロマトグラフィー技術は、任意の規模でそして多くの(may)異なる製造業者(例えば、Pharmacia Biotechnology)からの装置を使用して実施され得る。さらに、インビボでKCNBタンパク質と相互作用する分子は、共免疫沈または他の方法(すなわち、抗KCNB抗体を使用してKCNBタンパク質を細胞または細胞抽出物から免疫沈降すること、およびKCNBタンパク質とともに沈降する化合物(例えば、タンパク質)を同定すること)によって同定され得る。このような方法は、当業者に周知であり、そして例えば、Ausubelら、Sambrookら、およびHarlow & Lane(全て、前出)に教示される。
(C.モジュレータおよび結合化合物)
KCNBタンパク質のモジュレータとして試験される化合物は、任意の小さな有機化学化合物もしくは無機化学化合物、または生物学的実体(例えば、タンパク質、糖、核酸または脂質)であり得る。代表的に、試験化合物は、小さな化学化合物およびペプチドである。本質的に任意の化学化合物は、本発明のアッセイにおいて潜在的なモジュレータまたは結合化合物として使用され得るが、最もしばしば、化合物は、使用される水溶液または有機(特に、DMSOベースの)溶液に溶解され得る。これらのアッセイは、アッセイ工程を自動化しそして任意の好都合な供給源から化合物をアッセイに提供することによって、大きな化学ライブラリをスクリーニングするように設計され、これらの工程は、代表的に、並行して実施される(例えば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイター形式で)。化学化合物の多くの供給業者が存在することが理解され、この業者としては、Sigma(St.Louis,MO)、Aldrich(St.Louis,MO)、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO),Fluka Chemika−Biochemica Analytika(Buchs,Switzerland)などが挙げられる。
1つの好ましい実施形態において、ハイスループットスクリーニング方法は、多数の潜在的な治療化合物(潜在的なモジュレーターまたは結合化合物)を含むコンビナトリアル化学ライブラリーまたはペプチドライブラリーを提供する工程を包含する。次いで、このような「コンビナトリアル化学ライブラリー」は、所望の特徴的な活性を示すこれらのライブラリーメンバー(特に化学種またはサブクラス)を同定するために、本明細書中に記載される1つ以上のアッセイにおいて、スクリーニングされ得る。このように同定された化合物は、従来の「先導化合物」として機能し得るかまたはそれ自体潜在的な治療剤もしくは実質の治療剤として使用され得る。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、多くの化学的「ビルディングブロック」(例えば、試薬)を組合せることによる、化学合成または生物学的合成のいずれかによって生成された多様な化学化合物の収集である。例えば、リニアコンビナトリアル化学ライブラリー(例えば、ポリペプチドライブラリー)は、所定の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物のアミノ酸の数)についての全ての可能な方法で、化学ビルディングブロックのセット(アミノ酸)を組み合せることによって、形成される。数百万の化学化合物が、このような化学ビルディングブロックの組合せ混合を介して合成され得る。
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは、当該分野で周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーは、以下を含むが、これに限定されない:ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka、Int.J.Pept.Prot.Res.37:487−493(1991)およびHoughtonら、Nature 354:84−88(1991)を参照のこと)。多様な化学ライブラリーを形成するための他の化学もまた、使用され得る。このような化学としては、以下が含まれるが、これらに限定されない:ペプトイド(例えば、PCT公開番号WO 91/19735)、コードされたペプチド(例えば、PCT公開番号WO 93/20242)、ランダムなバイオオリゴマー(例えば、PCT公開番号WO 92/00091)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントインのような多様体(diversomer)、ベンゾジアゼピンおよびジペプチド(Hobbsら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909−6913(1993))、ビニル様ポリペプチド(Hagiharaら、J.Amer.Chem.Soc.114:6568(1992))、グルコース足場を有する非ペプチド様ペプチド模倣物(Hirschmannら、J Amer.Chem.Soc.114:9217−9218(1992))、小化合物ライブラリーの類似の有機合成(Chenら、J.Amer.Chem.Soc.116:2661(1994))。オリゴカルバメート(Choら、Science 261:1303(1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら、J.Org.Chem.59:658(1994))、核酸ライブラリー(Ausubel、BergerおよびSambrook(全て、前出)を参照のこと)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083を参照のこと)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology,14(3):309−314(1996)およびPCT/US96/10287を参照のこと)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangら、Science,274:1520−1522(1996)および米国特許第5,593,853号を参照のこと)、有機低分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C & EN, Jan 18,33頁(1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノン(thiazolidinone)およびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号;モルフォリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号などを参照のこと)。
コンビナトリアルライブラリーの調製のためのデバイスは、市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech,Louisville KY,Symphony,Rainin,Woburn,MA、433A Applied Biosystems,Foster City,CA、9050 Plus,Millipore,Bedford,MA)。さらに、多くのコンビナトリアルライブラリー自体が、市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,N.J.,Tripos,Inc.,St.Louis,MO、3D Pharmaceuticals,Exton,PA、Martek Biosciences,Columbia,MDなど)。
(1.固体状態および可溶性ハイスループットアッセイ)
1つの実施形態において、本発明は、単独かまたは異種タンパク質に共有結合したかのいずれかのN末端ドメインまたはC末端ドメインのような分子を使用して、キメラ分子を作製する可溶性アッセイを提供する。別の実施形態において、本発明は、ハイスループット様式の固相ベースのインビトロアッセイを提供し、ここで、ドメイン、キメラ分子、KCNBタンパク質、またはKCNBタンパク質を発現する細胞もしくは組織は、固相基板に結合される。
本発明のハイスループットアッセイにおいて、一日で数千個の異なるモジュレーターをスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルは、選択した強力なモジュレーターに対する別々のアッセイを行うために使用され得るか、または濃縮時間またはインキュベーション時間の効果が観察される場合、全ての5〜10のウェルが単一の分子を試験し得る。従って、単一の標準マイクロタイタープレートは、約100(例えば、96)のモジュレーターをアッセイし得る。1536ウェルプレートが使用される場合、1つのプレートは、約100〜約1500の異なる化合物を容易にアッセイし得る。一日でいくつかの異なるプレートをアッセイすることが可能であり;約6,000〜20,000までの異なる化合物をスクリーニングするアッセイは、本発明の一体型システムを使用して可能となる。より最近では、試薬操作に対する微小流体アプローチが開発されている。
目的の分子は、固体状態の成分に、共有結合または非共有結合を介して(例えば、タグを介して)直接または間接的に結合され得る。このタグは、任意の様々な成分であり得る。一般に、このタグに結合する分子(タグバインダー)は、固体支持体に固定され、そして目的のタグ化分子は、このタグとタグバインダーとの相互作用によって固体支持体に結合される。
多数のタグおよびタグバインダーが、文献に十分に記載される公知の分子相互作用に基づいて使用され得る。例えば、タグが天然のバインダー(例えば、ビオチン、プロテインA、またはプロテインG)を有する場合、これは、適切なタグバインダー(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、中性アビジン、免疫グロブリンのFc領域など)と共に使用され得る。中性バインダー(ビオチン)を有する分子に対する抗体はまた、広範に入手可能であり、そして適切なタグバインダーである;SIGMA Immunochemicals 1998、カタログSIGMA、St.Louis MOを参照のこと)。
同様に、任意のハプテン化合物または抗原性化合物は、タグ/タグバインダー対を形成するために、適切な抗体と組み合わせて使用され得る。数千の特異的抗体が市販されており、そして多くのさらなる抗体が、文献に記載されている。例えば、1つの一般的な構成において、タグは、第1の抗体であり、そしてタグバインダーは、この第1の抗体を認識する第2の抗体である。
合成ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテート)はまた、適切なタグまたはタグバインダーを形成し得る。本開示を見ると当業者に明らかなように、多くの他のタグ/タグバインダー対もまた、本明細書中に記載されるアッセイ系において有用である。
一般的なリンカー(例えば、ペプチド、ポリエーテルなど)はまた、タグとして働き得、そしてポリペプチド配列(例えば、約5アミノ酸と200アミノ酸との間のポリ−gly配列)を含む。このような可撓性リンカーは、当業者に公知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers,Inc.Huntsville,Alabamaから入手可能である。これらのリンカーは、必要に応じて、アミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ官能性結合を有する。
タグバインダーは、現在利用可能な様々な方法のいずれかを使用して固体基板に固定される。固体基板は、一般的に、この基板の全てまたは一部を、化学基をタグバインダーの一部と反応性の表面に固定する化学試薬に曝すことによって、誘導体化または官能化される。例えば、長鎖部分を結合するために適切な基としては、アミン基、ヒドロキシル基、チオール基、およびカルボキシル基が挙げられる。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランは、様々な表面(例えば、ガラス表面)を官能化するために使用され得る。このような固相生体高分子アレイの構築は、文献に十分に記載されている。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149〜2154(1963)(これは、例えば、ペプチドの固相合成を記載している);Geysenら、J.Immun.Meth.102:259〜274(1987)(これは、ピン上の固相成分の合成を記載している);FrankおよびDoring、Tetrahedron 44:60316040(1988)(これは、セルロースディスク上の様々なペプチド配列の合成を記載している);Fodorら、Science,251:767〜777(1991);Sheldonら、Clinical Chemistry 39(4):718〜719(1993);およびKozalら、Nature Medicine 2(7):753759(1996)(全て固体基板に固定された生体高分子のアレイを記載している)を参照のこと。タグバインダーを基板に固定するための非化学的アプローチは、他の一般の方法(例えば、加熱、UV照射による架橋など)を含む。
(2.コンピューターベースのアッセイ)
KCNBタンパク質活性を調節する化合物についてのさらに別のアッセイは、コンピューター支援薬物設計を含み、ここでコンピューターシステムは、そのアミノ酸配列によりコードされる構造の情報に基づいて、KCNBタンパク質の三次元構造を生成するために使用される。入力アミノ酸配列は、コンピュータープログラムの予め確立されたアルゴリズムと直接かつアクティブに相互作用して、タンパク質の二次構造モデル、三次構造モデルおよび四次構造モデルを生成する。次いで、このタンパク質構造のモデルは、結合する能力を有する構造の領域を同定するために試験される。次いで、これらの領域は、このタンパク質に結合する化合物を同定するために使用される。
このタンパク質の三次元構造モデルは、少なくとも10アミノ酸残基のタンパク質アミノ酸配列、またはKCNBポリペプチドをコードする対応する核酸配列をコンピューターシステムに入力することによって生成される。このポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、またはそのアミノ酸配列は、好ましくは配列番号2または配列番号1、およびそれらの保存的に改変された変形である。このアミノ酸配列は、タンパク質の一次配列またはサブ配列を表し、これはタンパク質の構造情報をコードする。少なくとも10残基のアミノ酸配列(または10アミノ酸をコードするヌクレオチド配列)は、コンピューターキーボードからコンピューターシステムに入力され、コンピューター読み取り可能基板としては、電子保存媒体(例えば、磁気ディスケット、テープ、カートリッジ、およびチップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)、インターネットサイトおよびRAMにより分配される情報が挙げられるが、これら限定されない。次いで、このタンパク質の三次元構造モデルは、当業者に公知のソフトウェアを使用して、アミノ酸配列とコンピューターシステムとの相互作用によって生成される。
アミノ酸配列は、目的のタンパク質の二次構造、三次構造および四次構造を形成するのに必要な情報をコードする一次構造を表す。このソフトウェアは、この一次配列によりコードされる特定のパラメーターを見て、構造モデルを生成する。これらのパラメーターは、「エネルギー項(term)」と称され、そして主に、静電ポテンシャル、疎水性ポテンシャル、溶媒接触可能表面、および水素結合を含む。二次エネルギー項は、ファンデルワールスポテンシャルを含む。生物学的分子は、累積様式でエネルギー項を最小化する構造を形成する。従って、このコンピューターアルゴリズムは、二次構造モデルを作製するために、一次構造によりコードされるそれらの項およびアミノ酸配列を使用する。
二次構造によりコードされるタンパク質の三次構造は、次いで、二次構造のエネルギー項を基礎にして形成される。この時点で使用者は、さらなる変数(例えば、このタンパク質が膜結合性であるかまたは可溶性であるか、身体におけるその位置、およびその細胞位置(例えば、細胞質内、表面または核))を入力し得る。これらの変数は、二次構造のエネルギー項と共に、三次構造のモデルを形成するために使用される。三次構造のモデリングにおいて、コンピュータープログラムは、同じ二次構造の疎水性表面を同じ二次構造の親水性表面と一致させる。
一旦、この構造が生成されると、可能なモジュレーター結合領域が、このコンピューターシステムによって同定される。強力なモジュレーターの三次元構造は、上記のように、アミノ酸配列もしくはヌクレオチド配列、または化合物の化学式を入力することによって生成される。強力なモジュレーターの三次元構造は、次いで、KCNBタンパク質の三次元構造と比較されて、このタンパク質に結合する化合物が同定される。タンパク質と化合物との間の結合親和性は、どの化合物がタンパク質に結合する増大した可能性を有するかを決定するために、エネルギー項を使用して決定される。
コンピューターシステムはまた、変異、多型改変体、対立遺伝子、およびKCNB遺伝子の種間ホモログについてスクリーニングするために使用される。このような変異は、疾患状態または遺伝形質に関連し得る。上記のように、GeneChipTMおよび関連の技術はまた、変異、多型改変体、対立遺伝子および種間ホモログについてスクリーニングするために使用され得る。一旦、改変体が同定されると、このような変位遺伝子を有する患者を同定するために、診断アッセイが使用され得る。変異KCNB遺伝子の同定は、それぞれ配列番号2または配列番号1の第1の核酸配列またはアミノ酸配列、およびそれらの保存的に改変された改変体の入力を受信する工程を包含する。この配列は、上記のように、コンピューターシステムに入力される。この第1の核酸配列またはアミノ酸配列は、次いで、この第1の配列に対する実質的な同一性を有する第2の核酸配列またはアミノ酸配列と比較される。この第2の配列は、上記の様式で、コンピューターシステムに入力される。一旦、第1および第2の配列が比較されると、これらの配列間のヌクレオチドまたはアミノ酸の差違が同定される。このような配列は、様々なKCNB遺伝子における対立遺伝子の差違、および疾患状態および遺伝形質に関連する変異を表し得る。
(VIII.疾患または状態を処置するためのnKCN活性/発現の調節)
本発明の多数の実施形態において、化合物(例えば、核酸、ポリペプチドまたは他の分子)は、患者におけるKCNB活性または発現を変化させるために、患者にインビボまたはエキソビボで投与される。所望の変化は、KCNBの活性または発現の増加または減少のいずれかであり得る。例えば、正常な乳房細胞と比較して増加したレベルのKCNBを示す腫瘍を有する乳癌患者において、KCNBの活性または発現を現象することが所望され得る。KCNBの減少した活性または発現に関連する疾患を有する他の患者において、KCNBの活性または発現を増加することが所望され得る。
従って、本発明は、KCNBの増加または減少した活性に関連する疾患を処置する方法を提供する。特定の実施形態において、KCNBは、疾患または状態の診断および処置において使用され得る。例えば、特定の細胞型において発現するKCNBの活性は、細胞機能(例えば、細胞外シグナルに対する応答性)を調節し、それにより、患者におけるこのタイプの細胞の機能を特異的に調節するために使用され得る。さらに、細胞特異的KCNBの変異は、特定の細胞型の機能の欠失に関連する疾患、状態または症状を生じるようである。これには、癌(乳癌、肺癌、結腸癌および前立腺癌を含む)、脳関連障害(例えば、癲癇、アルツハイマー病、パーキンソン病、発作、多発性硬化症、偏頭痛)、および神経学的障害(うつ病、精神分裂病、双極性障害を含む)などが挙げられる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第12版、Wilsonら編、McGraw−Hill,Inc.を参照のこと)。他の疾患としては、心臓に関連する疾患(例えば、不整脈、心不全)、および様々な血管疾患(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第12版、Wilsonら編、McGraw−Hill,Inc.を参照のこと)、および膵臓に関連する疾患(例えば、膵炎、糖尿病、膵臓におけるホルモン分泌(例えば、グルカゴン、サマトスタチン分泌)の他の異常)(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第12版、Wilsonら編、McGraw−Hill,Inc.を参照のこと)が挙げられる。従って、KCNBの調節(例えば、KCNBのモジュレーターを投与することによる)は、この状態または疾患のいずれかを処置または予防するために使用され得る。
患者に投与され得る化合物としては、プロモーターに作動可能に連結された、全長KCNBポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号1で示されるような)、またはそれらの任意の誘導体、フラグメントまたは改変体が挙げられる。適切な核酸はまた、阻害配列(例えば、アンチセンス配列またはリボザイム配列)を含み、これは例えば、プロモーターに作動可能に連結された発現ベクターで送達され得るか、または直接送達され得る。また、KCNBの発現を調節するポリペプチドをコードする任意の核酸が使用され得る。
一般に、核酸は、多数のベクターまたは方法(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクター、リポゾーム処方物、裸のDNA注射、促進された(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、カチオン脂質複合体、および粒子媒介(「遺伝子銃」)送達または圧力媒介送達)のいずれかを使用して細胞に送達され得る。
タンパク質はまた、KCNB活性を調節するために患者に送達され得る。好ましい実施形態において、KCNBに特異的に結合するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が送達される。さらに、KCNBと相互作用しそして/またはKCNB活性を調節する任意のポリペプチド(例えば、現在記載されるアッセイを使用して同定されるポリペプチド)が使用され得る。さらに、KCNB発現に影響を与えるポリペプチドが使用される。
さらに、KCNBと相互作用しそして/またはKCNBの活性を調節することが見出されたかまたはそのように設計された任意の化合物が使用され得る。例えば、本明細書中に記載される方法を使用して、KCNBに結合するかまたはKCNBの活性を調節することが見出された任意の化合物が使用され得る。
上記の方法のいずれかを使用して、KCNBの発現または活性を増加または減少し得るか、そうでなければ、KCNBポリペプチドまたはポリヌクレオチドの特徴および/または挙動(例えば、安定性、細胞内位置、他の細胞内部分または細胞外部分との相互作用など)に影響を与え得る。
(A.投与および薬学的組成物)
任意の本発明の分子の投与は、モジュレーター化合物を導入するかまたはモジュレーター化合物を処置される組織と接触させるために一般的に使用される経路のいずれかによって達成され得る。モジュレーターは、任意の適切な様式で、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと共に投与される。このようなモジュレーターを投与する適切な方法は利用可能であり、かつ当業者に周知であり、そして1つ以上の経路が特定の組成物を投与するために使用され得るが、特定の経路は、しばしば、別の経路より即効性で効果的な反応を与え得る。
薬学的に受容可能なキャリアは、一部は、投与される特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。従って、本発明の薬学的組成物の広範な適切な処方物が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版、1985を参照のこと)。
KCNBモジュレータは、単独または適切な他の成分と組み合わせて、吸入を介して投与されるように、エアロゾル処方物(すなわち、この処方物は、「噴霧」され得る)になされ得る。エアロゾル処方物は、加圧された受容可能な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)中に配置され得る。
投与に適切な処方物としては、以下が挙げられる:水性溶液および非水性溶液、等張性滅菌溶液(この滅菌溶液は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および処方物に等張性を与える溶液を含む)、ならびに水性滅菌懸濁液および非水性滅菌懸濁液(この懸濁液としては、懸濁剤、溶解剤、濃厚剤、安定剤、および保存剤が挙げられる)。本発明の実施において、組成物が、例えば、経口、経鼻、局所、静脈内、腹腔内、膀胱内またはくも膜下腔内に投与され得る。この化合物の処方物は、アンプルおよびバイアルのような、一回用量または複数用量の密封容器内に提供され得る。溶液および懸濁物は、上記の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。このモジュレータはまた、調製された食物または薬物の一部分として投与され得る。
本発明の文脈中において、患者に投与される用量は、経時的に被験体において、有効な応答をもたらすに十分であるべきである。この用量は、使用される特定のモジュレータの有効性および患者の症状、ならびに体重および処置される領域の表面積によって決定される。用量のサイズはまた、存在、性質、および任意の有害な副作用によって決定され、この副作用は、特定の被験体の特定の化合物またはベクターの投与に付随して生じる。
投与される有効量のモジュレータを決定するために、内科医は、モジュレータ、モジュレータの毒性、および抗モジュレータ抗体の産物の血漿レベルを計算して、評価し得る。一般に、モジュレータの用量等価物は、典型的な被験体において約1ng/kg〜10mg/kgである。
投与のために、本発明のモジュレータは、被験体の体重および全健康状態に対して適用される場合、モジュレータのLD−50および種々の濃度の化合物の副作用によって決定される割合で投与され得る。投与は、単一用量または分割用量を介して達成され得る。
(IX.キット)
KCNB核酸に特異的にハイブリダイズする薬剤(例えば、KCNBプローブおよびKCNBプライマー)およびKCNBタンパク質に特異的に結合するか、またはKCNBタンパク質の活性を調製するKCNB特異的薬剤(例えば、KCNB抗体または他の化合物)を使用して、KCNB関連疾患または状態を処置し得る。
サンプル中のKCNBポリヌクレオチドに対するDNAおよびRNAの存在を決定するための核酸アッセイとしては、以下の当該分野で公知の多くの技術が挙げられる:サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット、RNase防御、S1分析、PCRおよびLCRのような増幅技術、およびインサイチュハイブリダイゼーション。インサイチュハイブリダイゼーションにおいて、例えば、標的核酸は、細胞の周りから遊離され、細胞内でのハイブリダイゼーションを利用可能にする一方で、引き続く読解および分析のための細胞形態学を保存する。以下の文献は、インサイチュハイブリダイゼーションの分野の総説を提供する:Singerら、Biotechniques4:230−250(1986);Haaseら、Methods in Virology,第VII巻、第189〜226頁(1984);およびNucleic Acid Hybridization:A Practical Approach(Hamesら編、1987)。さらに、KCNBタンパク質は、上記の種々の免疫アッセイ技術を使用して検出され得る。代表的に、この試験サンプルは、ポジティブコントロール(例えば、組換えKCNBタンパク質を発現するサンプル)およびネガティブコントロールの両方と比較される。
本発明はまた、KCNBタンパク質または核酸のモジュレータをスクリーニングするためのキットを提供する。このようなキットは、容易に利用可能な材料および薬剤から調製され得る。例えば、このようなキットは、任意の1以上の以下の材料を含み得る:KCNB核酸またはタンパク質、反応チューブ、およびKCNB活性を試験するための指示書。必要に応じて、このキットは生物学的に活性なKCNBタンパク質を含む。広範な種々のキットおよび成分は、意図されたキットの使用者および使用者の具体的な必要性に依存して、本発明に従って調製され得る。
(実施例)
(実施例1.癌におけるKCNBの増幅)
以下の実施例は、KCNBが癌内で増幅されることを示す。
KCNBはまた、癌において増幅されるヒトの染色体領域8q24.3での増幅の基点として同定した。この実施例は、8q24.3アンプリコンのDNAコピーの数の決定を例示する(図2)。
DNAコピーの数を、アンプリコンの境界を規定するための一次腫瘍と腫瘍細胞系との両方から調製されたゲノムDNAサンプル中の10個のマーカーから決定した。以下のマーカーを使用した:Wi−11623、ヒトSTS;FAK、病巣付着キナーゼ(寄託番号L13616);34D10−5’、CITBヒトBAC B&CライブラリリリースIVのクローン34D10のT7部位BAC配列;381K12−T7、CITBヒトBAC B&CライブラリリリースIVのクローン381K12のT7部位BAC配列;431C18T7、ゲノムクローンAC007869のT7部位BAC末端配列;d8s1741、ヒトSTS;564L17−5’、ゲノムクローンAC007871のT7末端BAC配列;4P6−3’、CITBヒトBAC B&CライブラリリリースIVのゲノムクローン4p6のSP6末端BAC配列;WI−18632、ヒトSTS;T1−5’、ヒトcDNAクローンAK026394.1の5’末端。CTHN159および87−634は、一次乳癌およびZR7530およびMDAMB436は、乳癌細胞株である。
各マーカーに対するプローブを、PrimerExpress 1.0(Applied Biosystems)を使用して設計し、そしてOperon Technologiesによって合成した。標的プローブ、ゲノムの正常の単一コピー領域を表す参照プローブおよび腫瘍遺伝子DNA(10ng)を、製造業者のプロトコールに従って、Applied Biosystems 7700 Taqman Sequence Detectorに供した。この結果を、図2に示す。これらのデータは、8q24.3領域の増幅の境界を規定する。
約200の乳癌のさらなる分析により、約10〜14%が、この領域において増幅されることが示された。一次乳癌は、Cold Spring Harbor LaboratoryのLinda RodgersおよびMike WiglerおよびDuke UniversityのJeff Marksにより提供された。
(KCNBの同定)
PCRベースの物理学的マッピング(上述)は、ヒトBACライブラリCITBリリースIV(Research Genetics)のBACクローン431c18(登録番号 AC007869)が、基点であった。続いて、BACクローンに含まれる、約200kB長のヒト遺伝子配列を、BLASTXを介してGenbankおよびSWISSPROTデータベースで調査するために使用した。
この配列の領域を、上記のCaenorhabditis elegans K+チャネルタンパク質TWK−8(登録番号P34410)との相同的な配列を示すために見出した。TWK−8は、クローン化ヒトカリウムチャネル、KCNK3(寄託番号AAC51777/PID g2465542)に対して相同性であり、これは、ヒト染色体2p23に対して局在化される。KCNK3に対する相同性に基づいて、配列番号2として出発するオープンリーディングフレームは、ゲノム配列から決定された。KCNBの推定オープンリーディングフレームは、KCNK3と62%のアミノ酸同一性を共有する。遺伝子DNAによってコードされたKCNBタンパク質の推定アミノ酸配列は、配列番号1として示される。
(乳癌細胞株由来のKCNB cDNAのPCR増幅)
次いで、配列番号3および4で出発するヌクレオチド配列を有するプライマーを使用する高度の忠実度のPCRを、乳癌細胞株ZR7530由来のcDNA調製物由来のKCNBをコードするcDNAを得るために実施した。cDNAを、以下のように単離した。
(1)第1鎖cDNA調製物:
ヒト乳癌細胞株(ZR7530)から調製した1μgの総RNAを、1μMgのオリゴ(dT)18および200ユニットのMMLV逆転写酵素(CIONTECH,Palo Alto,CA)と共に、以下の成分を含む20μLの総容積中でインキュベートした:50mM Tris−HCl pH8.3、75mM KCl、3mM MgCl2および50μM dNTP。42℃で60分のインキュベーション後に、この反応物を、5分間、95℃に維持して、逆転写酵素を不活化した。続いて、8μlのヌクレアーゼを含まない水を添加して、最後に、第1鎖のcDNA調製物を得た。
(2)KCN cDNAのPCR増幅:
ZR7530の4μlの第1鎖cDNA調製物を、以下の成分を含む50μLの総容量中で混合した:20μM dNTP、各々0.5μMのオリゴヌクレオチドR5およびR10(それぞれ、配列番号3および4)、10mM Tris−HCl pH8.85、5mM(NH4)2SO4、25mM KCl、2mM MgSO4、および3単位のPWO DNAポリメラーゼ(Roche、Indianapolis、IN)。次いで、この反応物を、鉱油(30μL)で覆い、そしてPCR熱サイクラー(MJ Research,Watertown、MA)を使用して40分間増幅し、各々のサイクルは、以下の3工程であった:95℃(20秒)、64℃(40秒)、および72℃(1分)。続いて、この混合物を、製造業者の推薦書に従って、High−Pure PCR精製カラム(Roche,Indianapolis,IN)を使用して精製した。2%のアガロースゲル電気泳動を使用する分析により、約1.2kb長の産物を、KCNBの全長オープンリーディングフレームを示すことで、検出した。
cDNAの配列は、653位置のシトシンを除いて、ゲノム配列(配列番号5)のオープンリーディングフレームと同一であり、この653位のシトシンを、ゲノム配列中に示されるTで置換した。この位置のCをTに置換することは、ヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸を変えない。乳癌細胞株ZR7530中のKCNBメッセンジャーRNAの5’および3’の未翻訳領域(UTR)のヌクレオチド配列を、RACE(迅速なcDNA末端の増幅)を使用して決定した。3’および5’UTRに含まれるcDNA配列は、配列番号5で記載される。
5’UTRおよび3’UTRを含む配列は、約2.3kb長である。この開始メチオニンコドンおよび終止コドンを、太字で示した。この配列の5’末端からの323位のGヌクレオチドは、エキソン1の末端を標識し、そしてGヌクレオチドの324位置は、エキソン2の第1塩基を表す。KCNB cDNAと対応するゲノム配列(登録番号AC007869)との比較から、約83.6kbのイントロンは、エキソン1および2によってフランクされると推定される。この推定ポリアデニル化シグナル配列に、下線を引いている。
(実施例2.KCNBの発現)
以下の実施例は、KCNBが、脳中で高いレベルで正常に発現され、そして癌中で過剰に発現する。
(KCNBは、正常な乳細胞と比較して、乳癌細胞株中で過剰発現する)
KCNB mRNAの発現レベルをまた、正常の乳組織と比較して、乳癌組織中で決定した(表1)。定量的なPCRを、以下の示されるように実施した。
総RNAを、腫瘍細胞株から単離し、そしてTrizol試薬(Gibco/Life technology,Gaitherburg,MD)を使用して一次腫瘍組織を凍結し、そして約1μg/μLの濃度でRNAsecure(Ambion、Austin、TX)中に保存した。総RNAを、DNAaseI(Gibco)を用いて処理し、ゲノムDNAを排除し、次いで、製造業者に従って1本のチューブのフォーマットでPCR増幅と連結させた逆転写反応(Perkin Elmer/ABI)に供した。予め設定した閾値を通過するに必要とされるPCRサイクルの数は、サンプル腫瘍RNA調製において、Ct値としても知られており、そして一連の正常の乳腺のRNA調製物(種々の濃度)を、PE/ABI 7700 Taqmanマシンを使用することによって、標的プローブおよびβアクチンプローブの両方について、測定した。次いで、各サンプル中のβアクチンに対する標的配列の相対的な存在比を、未知のサンプルのCt値の統計学的分析および種々の濃度の乳腺のRNAプレップから得られる標準的な曲線によって計算した。
3種類のオリゴヌクレオチドを、各々定量的なPCR;順方向プライマー;逆方向プライマー、およびプローブに関して使用した。表1に示された結果を得るための分析を実施する際に、配列番号6〜8および9〜11で示される2種の異なるオリゴヌクレオチドのセットを使用した。比較可能な結果が、各々のセットで得られた。表1に示される結果により、KCNBが、正常と比較して乳癌細胞中で過剰発現することが示される。
試験した38個の一次乳癌の中で、19個が、正常の乳組織よりも5倍以上大きなレベルのKCNB mRNAを発現する(19/38=50%の過剰発現頻度)(表1b)。KCNBの遺伝子のコピー数の増加を示す11個の腫瘍がまた、mRNAの過剰発現を示した(2.5未満のKCNB遺伝子のコピー数の腫瘍に、「−」を標識し、そして2.5より大きいコピー数を有する腫瘍を、「+」で標識する。NDは、「未検出」を示す)。
KCNBの増幅を示さない12個の腫瘍の中で、7個がKCNB(しばしば、癌遺伝子の特徴)を発現した。
(表1)
(乳癌細胞株中の相対的なKCNBmRNAレベル)
1表中の7個の細胞株の中で、ZR7530は、8q24.3で増幅した唯一の細胞株である。
2KCNBmRNAの相対的なレベルが、HBL−100細胞株または正常の乳腺上皮細胞。βアクチンmRNAを、試験サンプル中で内部参照として使用した。
ND=未検出。
(KCNBは、他の上皮腫瘍において発現される)
KCNB発現はまた、乳房腫瘍以外の腫瘍型において試験された(表2)。この結果は、KCNBがまた肺腫瘍および前立腺腫瘍において過剰発現されることを示す。試験されるそれぞれの腫瘍型の数が示される。4つの転移性前立腺腫瘍は、試験された26サンプルのうち5倍以上でKCNBを過剰発現することが見出された。試験された20の肺腫瘍のうち、35%が5倍より多い発現を示した。
(ヒトTASK1(KCNBの近い配列ホモログ)が癌において過剰発現されない)
TASK1(KCNK3としても公知、Dupratら、EMBO J.(1997)16、5464−5471)は、KCNBと62%のタンパク質配列同一性を共有する。サブセットの一次乳房腫瘍を、TASKが癌において過剰発現されるか否かを決定するために試験した。TASK1 mRNAのレベルを、KCNB mRNAレベルの決定のための方法論と同じ方法論を使用して決定した。TASK1 mRNA発現およびコピー数のTaqman分析に使用されるTASKプライマーおよびプローブは、以下であった:
TASK1は、癌において過剰発現されず、増加したTASK1遺伝子コピー数を示す乳房腫瘍も同定されなかった(表3)。従って、癌と関連する遺伝子コピー数の増加および過剰発現は、TASK型KチャネルのうちKCNBに対して独特である。
(KCNBは、正常なヒト脳組織において高度に発現される)
15の正常なヒト組織合計RNAを、Biochain Instituteから購入し、そしてRT−Taqmanを使用してKCNB発現について分析した(表4)。大部分の組織は、脳を除いて比較できるレベルでKCNBを発現し、脳は、相対的に高いレベルのKCNBを発現する。レベルを、組織におけるβ−アクチンのレベルに対して決定した。結果は、任意の単位で表現される。
(実施例3.COS−7細胞における機能性KCNBの発現)
以下の実施例は、全細胞の流れに対するKCNBの発現の効果を示す。
トランスフェクション分析は、KCNBをコードする発現プラスミドを使用して、COS−7細胞においてKCNBの活性を試験するために使用した。コントロール培養物は、KCNB挿入物を欠く同じ発現ベクターを受容した。全細胞の流れをピペットおよび140mM KClを含む浴溶液で記録した。保持電位は、0mVであり、そして電圧ステップは、14mVの増分で−150mV〜116mVであった。結果は、図3に示される。データは、流れがKCNBを発現する細胞において生成され、さらに、KCNBがカリウムチャネルタンパク質に特徴的な活性を示すことを示す。
(実施例4.KCNBは、TNF−α誘導細胞死から細胞を保護する)
レトロウイルスに基づく遺伝子移入方法を使用して、KCNB、BCL2またはKCNBとBCL2との両方のいずれかを発現するMEF(マウス胚性繊維芽細胞)細胞株A9のトランスフェクト体を確立した。次いで、TNF−αに対するこれらの細胞株の感受性を試験した。トランスフェクト体を、0ng/ml、2.5ng/mlまたは5ng/mlのマウスTNF−α(Calbiochem)の存在下でDMEM/F−12(Gibco)および10%FBS(Gibco)中で培養した。TNF−αの添加の48時間後、全ての細胞(生きていると死んでいるとの両方)を収集し、そしてトリパンブルーで染色した。結果(表4)は、KCNBまたはKCNBとBCL2との両方を発現する多くの細胞が、ベクターコントロールまたはBCL2単独を使用して生成されるトランスフェクト体と比較して2.5ng/mlまたは5ng/mlのTNF−αでの処置に続いて生存したことを示した。従って、KCNBの発現は、TNF−α誘導殺傷から細胞を保護することが観察された。
本明細書中に引用される全ての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が具体的にかつ個々に参考として組み込まれたように示されたかのように、本明細書中で参考として援用される。
前述の本発明が理解を明瞭にするために例示および実施例によっていくぶん詳細に記載したが、特定の変化および改変が添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなくそれらに対してなされ得ることが、本発明の教示を考慮して当業者に容易に明かである。