JP2005507633A - ヒト脳由来の新規カリウムチャネルタンパク質である、slo2およびslo4 - Google Patents

ヒト脳由来の新規カリウムチャネルタンパク質である、slo2およびslo4 Download PDF

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Abstract

本発明は、カリウムチャネルタンパク質のSloファミリー(「マキシ」またはBKカリウムチャネルタンパク質としても公知)のメンバーであるSlo2およびSlo4の単離された核酸およびアミノ酸の配列を提供する。本明細書中で、Slo2およびSlo4に対する抗体、Slo2およびSlo4を検出する方法、生物学的に活性なSlo2およびSlo4を用いる、カリウムチャネルのアクチベーターおよびインヒビターをスクリーニングする方法、ならびにSlo2およびSlo4を含む電位依存性カリウムチャネルのアクチベーターおよびインヒビターについてスクリーニングするためのキットがまた、提供される。

Description

【0001】
(発明の背景)
カリウムチャネルは、多くの生理学的プロセスに関与し、これらのプロセスとしては、心拍の調節、動脈の拡張、インスリンの放出、神経細胞の興奮性、および腎臓電解質輸送の調節が挙げられる。従って、カリウムチャネルは、広範な種々の動物細胞(例えば、神経組織、筋肉組織、腺組織、免疫組織、生殖組織、および上皮組織)に見出される。これらのチャネルは、特定の条件下での細胞内および/または細胞外へのカリウムの流動を可能にする。例えば、これらのチャネルの開口時でのカリウムイオンの流出は、細胞内をより陰性にし、これは、細胞に付与される脱分極電位を相殺する。これらのチャネルは、例えば、カルシウム感受性、電位ゲーティング、セカンドメッセンジャー、細胞外リガンド、およびATP感受性によって調節される。
【0002】
カリウムチャネルは、αサブユニットによって作製され、これらのαサブユニットは、予測された構造的類似性および機能的類似性に基づいて、8つのファミリーに分けられる(Weiら、Neuropharmacology 35(7):805−829(1997))。これらのファミリーのうちの3つ(Kv、Eag関連、およびKQT(ここでは、KCNQとも呼ばれる))は、6つの膜貫通ドメインの共通のモチーフを共有し、主に、電位によってゲートされる。他の2つのファミリーであるCNGおよびSK/IKもまた、このモチーフを含むが、それぞれ、サイクリックヌクレオチドおよびカルシウムによってゲートされる。カリウムチャネルαサブユニットの他の3つのファミリーは、膜貫通ドメインの別々のパターン(内向き整流カリウムチャネル、Sloカリウムチャネル、およびTPカリウムチャネル)を有する。Sloファミリーカリウムチャネル(BKチャネルまたは「マキシ(maxi)」チャネルとしても公知である)は、大きいコンダクタンスのチャネル型であり、電位依存性(voltage gated)であり、6〜7つの膜貫通ドメイン、孔ループドメイン、ならびに細胞質テールドメインを有し、この細胞質テールドメインは、例えば、イオン(例えば、カルシウム)のゲーティングおよびpH調節(例えば、Schreiberら、J.Biol.Chem.273:3509−3515(1998);Butlerら、Science 261:221−224(1993);Meeraら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94(25):14066−71(1997);Weiら、Neuron 13:671−681(1994)を参照のこと)に関与する。カリウムチャネルの内向き整流ファミリー(Kir)は、2つの膜貫通ドメインを含む構造ファミリーに属する(例えば、Lagruttaら、Jpn.Heart.J.37:651−660(1996)を参照のこと)。なお別の機能的に異なるファミリー(TPまたは「2孔」)は、この内向き整流モチーフの2つの直列反復を含む。
【0003】
上記のように、カリウムチャネルは、代表的には、4つのαサブユニットによって形成され、そしてホモマー(同じαサブユニットから作製される)またはヘテロマー(2以上の別々の型のαサブユニットから作製される)であり得る。さらに、カリウムチャネルは、さらなる構造的に異なる補助的(すなわち、β)サブユニットを含むことが、しばしば、見出されている(例えば、Kv、SloおよびKCNQカリウムチャネルファミリー;例えば、McManusら、Neuron 14:645−650(1995);Schopperleら、Neuron 20:565−573(1998);Brennerら、J.Biol.Chem.275:6453−6461(1999);およびWO0050444を参照のこと)。これらのβサブユニットは、それ自体でカリウムチャネルを形成しないが、代わりに、これらは、αサブユニットによって形成されたチャネルの機能的特性を改変するように、補助的なサブユニットとして作用する。例えば、Kvβサブユニットは、細胞質性であり、そしてKvチャネルの表面発現を増加すること、および/または、チャネルの不活性化の速度論を改変することが知られている(Heinemannら、J.Physiol.493:625−633(1996);Shiら、Neuron 16(4):843−852(1996))。別の例において、KCNQファミリーβサブユニットであるminKは、主に、活性化の速度論を変化させる(Sanguinettiら、Nature 384:80−83(1996))。
【0004】
カリウムチャネルのSloファミリーは、相同性に基づいて、さらに2つのサブファミリーに分けられ得る。第1のサブファミリーは、Slo1およびSlo3を含む(例えば、Elkinsら、Proc.Nat’l Acad.Sci USA 83:8415(1986);Atkinsonら、Science 253:551(1991);Adelmanら、Neuron 9:209(1992)(Drosophila Slo1);Bulterら、Science 261:221−224(1993);Dworetskyら、Mol Brain Res.27:189−193(1994);Tseng−Crankら、Neuron 13:1315−1330(1994);McCobbら、Am.J.Physiol.269:H767−H777(1995);Wallnerら、Rec.Chan.3:185−199(1995)(ヒトおよびマウスSlo1);Schreiberら、J.Biol.Chem.273:3509−3515(1998);WO99/20754(ヒトおよびマウスSlo3))。Slo1は、カルシウムで活性化され、一方、Slo3は、内部pHによって調節される。第2のサブファミリー由来のカリウムチャネルとしては、C.elegans Slo2およびラット「SLACK」が挙げられる(Joinerら、Nat.Neurosci.1:462−469(1998)(ラットSLACKまたはSlo2);Yuanら、Nat.Neurosci.3:771−779(2000);Limら、Gene 240:35−43(1999)(C.elegans「Slo2」)を参照のこと)。第2のサブファミリーのメンバーは、同じ構造モチーフを共有し、これらもまた電位依存性であり、そしてまた、他のイオン(例えば、カルシウムまたは塩素イオン)によってもゲートされ得る(例えば、Joiner(前出)、Yuanら(前出)を参照のこと)。しかし、第2のサブファミリーのメンバーは、Slo1チャネルおよびSlo3チャネルに対して共有する全体的な相同性は高くないようである。
【0005】
Sloチャネルは、以下の範囲にわたる広範な種々の生理学的プロセスにおいて役割を果たす:腎臓塩分泌(Wangら、Annu.Rev.Physiol.59:413−36(1997))、ニューロンおよび腺による分泌の調節(Lingleら、Ion Channels 4:261−301(1996);Robitailleら、Neuron 11:645−655(1993);Petersonら、Nature 307:693−696(1984);RobitailleおよびCharlton、J.Neurosci.12:297−305(1992))、感覚認識(Ramanthanら、Science 283:215−217(1999);Navaratnamら、Neuron 5:1077−1085(1997))、平滑筋緊張の調節(BraydenおよびNelson、Science 256:532−535(1992))、およびニューロン興奮性の制御(Knausら、J.Neurosci.16:955−963(1996);RobitailleおよびCharlton、J.Neurosci.12:297−305(1992);Lancasterら、J.Neurosci.11:23−30(1991);Robitailleら、Neuron 11:645−655(1993))。
【0006】
(発明の要旨)
従って、本発明は、Sloファミリーの新規メンバーであるSlo4をコードする遺伝子およびカリウムチャネルのSlo2/4サブファミリーを、初めて提供する。さらに、本発明は、ヒトSlo2をコードする遺伝子を、初めて提示する。
【0007】
1つの局面において、本発明は、Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含むSlo4ポリペプチドをコードする、単離された核酸を提供し、このポリペプチドは、(i)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性(voltage−gating)の特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして(ii)配列番号4のアミノ酸配列に少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む。
【0008】
別の局面において、本発明は、Slo4ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供し、この核酸は、配列番号3のヌクレオチド配列に、ストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズする。
【0009】
1つの実施形態において、この核酸は、配列番号4のアミノ酸配列をコードする。別の実施形態において、この核酸は、配列番号3のヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、この核酸は、配列番号3のヌクレオチド配列に、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする。
【0010】
1つの実施形態において、この核酸は、以下からなる群より選択されるプライマーと同じ配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする、少なくとも1つのプライマー対によって増幅される:
【0011】
【化3】
Figure 2005507633
1つの局面において、本発明は、核酸を検出する方法を提供し、この方法は、その核酸に本発明の単離されたSlo4核酸を接触させる工程を包含する。
【0012】
1つの局面において、本発明は、本発明のSlo4核酸を含む発現ベクターを含む、宿主細胞を提供する。
【0013】
別の局面において、本発明は、Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含む、単離されたSlo4ポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、(i)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性の特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして(ii)配列番号4のアミノ酸配列に少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む。
【0014】
別の実施形態において、このカリウムチャネルは、迅速な活性化の特徴をさらに含む。
【0015】
1つの実施形態において、このポリペプチドは、配列番号4に対して生成された抗体に特異的に結合する。別の実施形態において、このポリペプチドは、ホモマーまたはヘテロマーのカリウムチャネルのαサブユニットを含む。1つの実施形態において、このポリペプチドは、約134kD〜約144kDの間の分子量を有する。
【0016】
別の実施形態において、このポリペプチドは、ヒトSlo4をコードする。別の実施形態において、このポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有する。
【0017】
1つの局面において、本発明は、本発明のSlo4ポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。
【0018】
別の局面において、本発明は、カリウムチャネルを介するイオンフラックスを増加または減少させる化合物を同定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)この化合物にSlo4ポリペプチドを接触させる工程であって、このポリペプチドは、(a)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性の特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして(b)配列番号4のアミノ酸配列に少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む、工程;および(ii)このカリウムチャネルに対するこの化合物の機能的効果を決定する工程。
【0019】
1つの実施形態において、この機能的効果は、物理的効果または化学的効果である。別の実施形態において、この機能的効果は、イオンフラックス、イオン濃度の変化、電流の変化または電位の変化を測定することによって決定される。別の実施形態において、この機能的効果は、チャネルに対するリガンド結合を測定することによって決定される。
【0020】
1つの実施形態において、このポリペプチドは、真核生物宿主細胞または細胞膜において発現される。別の実施形態において、このポリペプチドは、組換え体である。
【0021】
1つの局面において、本発明は、Slo4ポリペプチドを含むカリウムチャネルを介するイオンフラックスを増加または減少させる化合物を同定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)Slo4ポリペプチドの少なくとも25アミノ酸のアミノ酸配列またはSlo4ポリペプチドをコードする核酸の少なくとも75ヌクレオチドをコンピュータシステムに入力する工程であって、このSlo4ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有するサブ配列を含む、工程;(ii)このアミノ酸配列によってコードされるポリペプチドの三次元構造を作成する工程;(iii)このSlo4ポリペプチドを含むカリウムチャネルの三次元構造を作成する工程;(iv)この化合物の三次元構造を作成する工程;および(v)このポリペプチドの三次元構造とこの化合物の三次元構造を比較して、この化合物がこのポリペプチドに結合するか否かを決定する工程。
【0022】
別の局面において、本発明は、Slo4ポリペプチドを含むSloカリウムチャネルを介するイオンフラックスを調節し、被験体における疾患を処置する方法を提供し、この方法は、本発明の方法を使用して同定された化合物の治療有効量をこの被験体に投与する工程を包含する。
【0023】
別の局面において、本発明は、ヒト組織におけるhSlo4の存在を検出する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)生物学的サンプルを単離する工程;(ii)この生物学的サンプルに、hSlo4と選択的に会合するhSlo4特異的試薬を接触させる工程;および(iii)このサンプルに選択的に会合するhSlo4特異的試薬のレベルを検出する工程。
【0024】
1つの実施形態において、このhSlo4特異的試薬は、以下からなる群より選択される:hSlo4特異的抗体、hSlo4特異的オリゴヌクレオチドプライマー、およびhSlo4核酸プローブ。
【0025】
別の局面において、本発明は、コンピュータシステムにおいて、ヒトSlo4遺伝子の変異についてスクリーニングする方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)配列番号4のアミノ酸配列を有するSlo4ポリペプチドおよびその保存的に改変されたバージョンをコードする第1の核酸配列を、コンピュータに入力する工程;(ii)この第1の核酸配列を、この第1の核酸配列に対して実質的同一性を有する第2の核酸配列と比較する工程;および(iii)第1の核酸配列と第2の核酸配列との間のヌクレオチドの差異を同定する工程。
【0026】
1つの実施形態において、この第2の核酸配列は、疾患状態に関連する。
【0027】
1つの局面において、本発明は、Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含むSlo2ポリペプチドをコードする、単離された核酸を提供し、このポリペプチドは、(i)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性の特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0028】
別の局面において、本発明は、Slo2ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供し、この核酸は、以下からなる群より選択されるプライマーと同じ配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする、プライマーによって増幅される:
【0029】
【化4】
Figure 2005507633
1つの実施形態において、この核酸は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
【0030】
1つの局面において、本発明は、核酸を検出する方法を提供し、この方法は、その核酸に本発明の単離されたSlo2核酸を接触させる工程を包含する。
【0031】
1つの局面において、本発明は、本発明のSlo2核酸を含む発現ベクターを含む、宿主細胞を提供する。
【0032】
1つの局面において、本発明は、Sloカリウムムチャネルのαサブユニットを含む、単離されたSlo2ポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、(i)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性の特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして(ii)配列番号2のアミノ酸配列を有する配列を含む。
【0033】
1つの実施形態において、このカリウムチャネルは、迅速な活性化の特徴をさらに含む。
【0034】
1つの実施形態において、この核酸によってコードされるポリペプチドは、ホモマーまたはヘテロマーのカリウムチャネルのαサブユニットを含む。別の実施形態において、このポリペプチドは、約134kD〜約144kDの間の分子量を有する。
【0035】
1つの局面において、本発明は、本発明のSlo4ポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。
【0036】
別の局面において、本発明は、カリウムチャネルを通るイオンフラックスを増加または減少させる化合物を同定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)化合物を、Slo4ポリペプチドと接触させる工程であって、このポリペプチドが、(a)少なくとも1つのさらなるSloのαサブユニットと、電位依存性の特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして(b)配列番号2のアミノ酸配列を有する配列を含む、工程;および(ii)このカリウムチャネルに対するこの化合物の機能的効果を決定する工程。
【0037】
1つの実施形態において、この機能的効果は、物理的効果または化学的効果である。別の実施形態において、この機能的効果は、イオンフラックス、イオン濃度の変化、電流の変化または電圧の変化を測定することによって、決定される。別の実施形態において、この機能的効果は、このチャネルに結合するリガンドを測定することによって、決定される。
【0038】
1つの実施形態において、このポリペプチドは、真核生物の宿主細胞または細胞膜において発現される。別の実施形態において、このポリペプチドは、組換えポリペプチドである。
【0039】
別の局面において、本発明は、Slo2ポリペプチドを含むカリウムチャネルを通るイオンフラックスを増加または減少させる化合物を同定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)コンピュータシステムに配列番号2のアミノ酸配列を入力する工程;(ii)このアミノ酸配列によってコード化されるポリペプチドの三次元構造を作製する工程;(iii)Slo2ポリペプチドを含むカリウムチャネルの三次元構造を作製する工程;(iv)化合物の三次元構造を作製する工程;および(v)このポリペプチドの三次元構造とこの化合物の三次元構造とを比較して、この化合物がこのポリペプチドに結合するか否かを決定する工程。
【0040】
別の局面において、本発明は、被験体において疾患を処置するために、Slo2ポリペプチドを含むSloカリウムチャネルを通るイオンフラックスを調節する方法を提供し、この方法は、この被験体に、本発明の方法を使用して同定された治療有効量の化合物を投与する工程を包含する。
【0041】
別の局面において、本発明は、ヒト組織においてhSlo2の存在を検出する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)生物学的サンプルを単離する工程;(ii)この生物学的サンプルを、hSlo2と選択的に会合するhSlo2特異的試薬と接触させる工程;および(iii)このサンプルと選択的に会合する、hSlo2特異的試薬のレベルを決定する工程。
【0042】
1つの実施形態において、hSlo2特異的試薬は、hSlo2特異的抗体、hSlo2特異的オリゴヌクレオチドプライマー、およびhSlo2核酸プローブからなる群より選択される。
【0043】
別の局面において、本発明は、コンピュータシステムにおいて、ヒトSlo2遺伝子の変異をスクリーニングする方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)このコンピュータに、配列番号2のアミノ酸配列およびその保存的に改変されたバージョンを有するSlo2ポリペプチドをコードする、第1の核酸配列を入力する工程;(ii)この第1の核酸配列を、この第1の核酸配列とかなりの同一性を有する第2の核酸配列と比較する工程;ならびに(iii)これらの第1の核酸配列と第2の核酸配列との間のヌクレオチドの差異を同定する工程。
【0044】
1つの実施形態において、第2の核酸配列は、疾患状態に関連する。
【0045】
(発明の詳細な説明)
本発明は、初めて、Slo4カリウムチャネルをコードする核酸を提供する。本発明はまた、ヒトSlo2の配列を提供する。これらのポリペプチドモノマーは、カリウムチャネルのSloファミリーのメンバーであり、そしてSlo2/4サブファミリーのメンバーである。このファミリーのメンバーは、6つの膜貫通領域およびポア−ループドメイン、ならびに細胞質テイルを有する、カリウムチャネルのポリペプチドサブユニットである。
【0046】
ヒトSlo2とヒトSlo4との両方が、心臓および中枢神経系において発現され、そしてニューロン興奮性の調節に寄与するようである。なぜなら、Slo2とSlo4との両方が、活動電位を生成するための代表的な閾値より低い電圧範囲で、活性化し始めるからである。これらはまた、他のSloファミリーメンバーに対してそうであるように、活動電位の再分極および不応期、ならびに神経伝達物質放出の制御に関与するようである。骨格筋、心臓および脾臓のような末梢組織における、ヒトSlo2およびヒトSlo4の発現は、これらがまた、筋肉収縮、心拍数、気道の緊張、炎症、およびリンパ球増殖の調節に関与し得ることを示す。さらに、Slo2およびSlo4のモジュレーターは、増加したレベルのニューロン活性または異常な神経伝達物質放出に関する、ニューロン興奮性の障害を処置する際に、有用であるはずである。これには、神経障害性の疼痛、癲癇および発作の障害、うつ病ならびに他の精神病性障害(例えば、双極性疾患および精神分裂病、片頭痛ならびに不安)が挙げられる。モジュレーターはまた、アルツハイマー病のような疾患によって引き起こされる、学習および記憶の障害を処置する際に、または老化した集団において学習および記憶を増強するために、有用であり得る。いくつかの細胞において、Slo2電流およびSlo4電流の増強は、より大きな過分極を引き起こし、そして脱分極に基づくカルシウム流入を減少させ、神経保護を提供する。カルシウム流入が電圧に依存しない、他の細胞においては、Slo2およびSlo4のブロッカーは、カルシウム移入のための駆動力を低下させ得、再度、神経保護を提供する。
【0047】
従って、本発明は、Slo2またはSlo4のαサブユニットを含むカリウムチャネルのアクチベーターおよびインヒビターをスクリーニングする方法を提供する。カリウムチャネル活性のこのようなモジュレーターは、障害(CNS障害(例えば、神経障害性の疼痛、癲癇および他の発作の障害)、片頭痛、不安、精神病性疾患(例えば、精神分裂病、双極性疾患、およびうつ病))が挙げられる)を処置するために有用である。このようなモジュレーターはまた、神経保護因子として(例えば、発作を防止するために)有用である。モジュレーターはまた、アルツハイマー病のような疾患によって引き起こされる、学習および記憶の認知障害を処置する際に、または老化した集団において学習および記憶を増強するために有用であり得、さらに、神経保護を提供する。最後に、このようなモジュレーターは、筋肉の過剰収縮性、心律動異常、炎症、喘息を処置するため、および免疫抑制剤または刺激剤として、有用であり得る。
【0048】
さらに、本発明は、Slo2またはSlo4が直接的または間接的なレポーター分子として働く、Slo2およびSlo4の活性のアッセイを提供する。Slo2およびSlo4の、アッセイおよび検出システムにおけるレポーター分子としてのこのような使用は、広範な応用を有する。例えば、Slo2またはSlo4は、カリウム濃度、膜電位、電流、イオンフラックス、転写、シグナル伝達、レセプタ−リガンド相互作用、セカンドメッセンジャー濃縮の、インビトロ、インビボ、およびエキソビボでの変化を測定するための、レポーター分子として使用され得る。1つの実施形態において、Slo2またはSlo4は、特定の方向での電流(例えば、外向きまたは内向きのカリウムフロー)のインジケータとして使用され得、そして別の実施形態において、Slo2またはSlo4は、緑色蛍光タンパク質のような第2レポーター分子への付着を介して、間接的なレポーターとして使用され得る。
【0049】
本発明はまた、Slo2およびSlo4の核酸およびタンパク質の発現を検出して、Slo2ファミリーメンバーおよびSlo4ファミリーメンバーによって提供されるチャネルの相違の調査、ならびに障害の診断を可能にする、方法を提供する。この障害としては、CNS障害(例えば、神経傷害性の疼痛、癲癇および他の発作の障害)、片頭痛、不安、精神病性障害(例えば、精神分裂病、双極性疾患、およびうつ病)、アルツハイマー病のような疾患によって引き起こされる、学習および記憶の認知障害、筋肉の過剰収縮性、心律動異常、炎症、および喘息が挙げられる。
【0050】
最後に、本発明は、Slo2およびSlo4の遺伝子またはタンパク質の変異をスクリーニングする方法を提供する。本発明は、コンピュータを使用する、Slo2またはSlo4における変異をスクリーニングする方法を包含するが、これらに限定されない。同様に、本発明は、Slo2ポリペプチドおよびSlo4ポリペプチド(例えば、ヒトSlo2およびヒトSlo4)の三次元構造を同定する方法、ならびにSlo2ポリペプチドおよびSlo4ポリペプチドの三次元構造を含む得られたコンピュータ読取り可能な画像またはデータを提供する。Slo2およびSlo4の遺伝子またはタンパク質の変異をスクリーニングするための他の方法としては、高密度オリゴヌクレオチドアレイ、PCR、免疫アッセイなどが挙げられる。
【0051】
機能的に、Slo2ポリペプチドおよびSlo4ポリペプチドは、Sloカリウムチャネルのαサブユニットである。Slo2カリウムチャネルおよびSlo4カリウムチャネルは、カリウム選択的であり、そして電位依存性である(例えば、電圧ステップの間に開くチャネルの数は、脱分極の増加と共に増加する)。さらに、これらのチャネルは、他の手段(例えば、カルシウム、塩化物、またはpH)によって調節され得る(例えば、Yuanら、Nat.Neurosci.8:771−779(2000)を参照のこと;Schreiber,前出、およびButler,前出をまた参照のこと)。代表的に、このようなチャネルは、ヘテロメリックまたはホモメリックであり、そしてそれぞれが6または7の膜貫通ドメインを有する、4つのαサブユニットまたはモノマーを含む。ヘテロメリックSloチャネルは、1つ以上のSlo2αサブユニットまたはSlo4αサブユニットを、Sloファミリー由来の1つ以上のさらなるαサブユニットと共に含み得る(例えば、McManusら、Neuron 14:645−650(1995);Schopperleら、Neuron 20:565−573(1998);Brennerら、J.Biol Chem.275:6453−6461(1999);およびWO0050444を参照のこと)。Slo2チャネルおよびSlo4チャネルはまた、ホモメリックであり得る。さらに、このようなホモメリクチャネルは、1つ以上の補助的なβサブユニットを含み得る。カリウムチャネルにおけるSlo2またはSlo4の存在はまた、ホモメリックチャネルの活性を改変し得、従って、例えば、コンダクタンスのようなチャネルの特徴を変化させることによって、チャネルの相違を増強し得る。チャネルの相違はまた、選択的にスプライシングされた形態のSlo2遺伝子およびSlo4遺伝子で増強される。
【0052】
Slo2核酸は、ヒトCNS組織(小脳、大脳皮質、後頭葉、側頭葉、被殻、中隔側坐核、扁桃、尾状核、前頭葉、海馬、黒質、および視床)、骨格筋、脾臓、心臓、下垂体、卵巣、胎盤、胎児脳、および胎児脾臓で発現される(図4を参照のこと)。Slo4cDNAはヒト脳で増幅され、そしてSlo4核酸は、ヒト肝臓、脳、心臓(心房)、骨格筋、脾臓、腎臓、GI管(結腸、小腸)、胎盤、肺、精巣、膀胱、胎児脳、胎児腎臓、および胎児肝臓、ならびにさらなる組織中で発現される(図7を参照のこと)。
【0053】
構造的には、ヒトSlo2のヌクレオチド配列(配列番号1)は、約1235アミノ酸(配列番号2)のポリペプチドモノマーをコードし、これは、約139Kdであり、そして約134Kd〜164Kdの範囲の推定分子量をもつ。
【0054】
本発明はまた、配列番号2に示されるヒトSlo2の多型改変体:改変体#1、この中では、アミノ酸位置24でセリン残基がアラニン残基を置換している;改変体#2、この中では、アミノ酸位置39でスレオニン残基がアラニン残基を置換している;改変体#3、この中では、アミノ酸位置113でスレオニン残基がセリン残基を置換している;および改変体#4、この中では、アミノ酸位置1105でリジン残基がアルギニン残基を置換している、を提供する。
【0055】
構造的には、ヒトSlo4のヌクレオチド配列(配列番号3)は、約1135アミノ酸(配列番号4)のタンパク質をコードし、これは、約130Kdであり、そして約125Kd〜135Kdの範囲の推定分子量をもつ。
【0056】
本発明はまた、配列番号4に示されるヒトSlo4の多型改変体:改変体#1、この中では、アミノ酸位置39でバリン残基がメチオニン残基を置換している;改変体#2、この中では、アミノ酸位置87でアラニン残基がセリン残基を置換している;改変体#3、この中では、アミノ酸位置547でセリン残基がスレオニン残基を置換している;および改変体#4、この中では、アミノ酸位置1098でイソロイシン残基がバリン残基を置換している、を提供する。
【0057】
Slo2またはSlo4ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の特定領域を用いて、Slo2またはSlo4多型改変体、種間の相同体、および対立遺伝子を同定し得る。この同定は、インビトロで、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下および配列決定、または他のヌクレオチド配列との比較のためのコンピューターシステム中の配列情報を用いることによるか、またはSlo2またはSlo4に対して惹起された抗体を用いてなされ得る。代表的には、Slo2またはSlo4多型改変体、オルソログ(ortholog)、および対立遺伝子の同定は、配列番号2または4、またはコア膜貫通ドメイン(ポアループおよびS1−S6膜貫通ドメイン)もしくはテイルドメインのような保存領域に対して、アミノ酸配列(またはこのアミノ酸配列をコードする核酸)を比較することによりなされる。代表的には、完全長アミノ酸配列において、ほぼ少なくとも60%以上、好ましくは70%、65%、75%、80%、85%、最も好ましくは90−95%またはそれ以上のアミノ酸同一性は、あるタンパク質が、Slo2またはSlo4多型改変体、種間相同体、または対立遺伝子であることを示す。代表的には、コア膜貫通ドメイン(S1−S6+ポアループ)またはC末端細胞質テイルドメインにおいて、ほぼ少なくとも60%、65%、70%、または75%、75%以上、好ましくは80%、85%、最も好ましくは90−95%またはそれ以上のアミノ酸同一性は、あるタンパク質が、Slo2またはSlo4多型改変体、種間相同体、または対立遺伝子であることを示す。代表的には、配列比較は、以下に論議されるように、デフォールトのパラメーターを用いるBLASTまたはBLAST2.0アルゴリズムを用いて実施される。
【0058】
Slo2またはSlo4多型改変体、種間相同体、および対立遺伝子は、推定のSlo2またはSlo4ポリペプチドモノマーを発現または同時発現すること、および電位ゲーティングのようなSloファミリー機能的特徴、および相対的に迅速な活性化および脱活性化のようなSlo2またはSlo4特徴を備えてカリウムチャネルを形成するか否かを調べることにより確認され得る。このアッセイを用いて、Slo2またはSlo4の保存領域に対して、約60%またはそれ以上、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%またはそれ以上のアミノ酸同一性をもつタンパク質は、Slo2またはSlo4と同じ機能的特徴を共有し、そしてそれ故、Slo2またはSlo4の種であることを証明する。代表的には、配列番号2または4のアミノ酸配列をもつヒトSlo2またはSlo4を、推定のSlo2またはSlo4タンパク質に対する比較におけるポジティブコントロールとして用い、Slo2またはSlo4多型改変体、オルソログ、保存的に改変された改変体、変異体、または対立遺伝子の同定を示す。
【0059】
Slo2またはSlo4ヌクレオチドおよびアミノ酸配列情報はまた、コンピューターシステムにおいて、Slo電位依存性カリウムチャネルのモデルを構築するために用いられ得る。次に、これらのモデルを用い、Slo2またはSlo4ポリペプチドを含む電位依存性カリウムチャネルを活性化または阻害し得る化合物を同定する。Slo2またはSlo4ポリペプチドを含むチャネルの活性を調整するこのような化合物を用いて、チャネル活性の調整およびチャネル多様性におけるSlo2またはSlo4ポリペプチドの役割を調査し得る。
【0060】
生物学的に活性なヒトSlo2およびヒトSlo4の単離は、Slo2またはSlo4サブユニットを含む電位依存性カリウムチャネルのインビビターおよびアクチベーターをアッセイするための手段を初めて提供する。生物学的に活性なSlo2またはSlo4ポリペプチドは、例えば、電圧または電流における変化を測定するインビボおよびインビトロ発現を用い、Slo2またはSlo4および/またはSlo1またはSlo3のようなその他のSloメンバーのサブユニットを含む電位依存性カリウムチャネルのインヒビターおよびアクチベーターを試験するために有用である。少なくとも1つのSlo2またはSlo4サブユニット(必要に応じて4つまでのSlo2またはSlo4サブユニット)を含むカリウムチャネルを用いて同定されたこのようなアクチベーターおよびインヒビターは、電位ゲーティング、チャネル動力学およびカリウムチャネルのコンダクタンス性質をさらに研究するために用いられ得る。このようなアクチベーターおよびインヒビターは、イオンフラックスにおける異常を含む疾患、例えば、神経障害性の痛み、てんかんおよびその他の発作障害、偏頭痛、不安のようなCNA障害、精神分裂症、双極性障害のような精神病性障害、およびうつ病を含む疾患を処置するための薬学的薬剤として有用である。このような調整剤はまた、神経保護剤(例えば、発作を防ぐため)として有用である。調整剤はまた、アルツハイマー病のような疾患により引き起こされる学習および記憶の認識障害において、または加齢集団において学習および記憶を増大するため、および神経保護を提供するために有用であり得る。最後に、このような調整剤は、筋肉の過剰収縮性、不整脈、炎症、喘息を処置するため、および免疫抑制剤または刺激剤として有用であり得る。
【0061】
Slo2またはSlo4核酸およびポリペプチド、およびSlo2またはSlo4ポリペプチドを含むチャネルの発現を検出する方法はまた、例えば、上記のような異常イオンフラックスを含む疾患に対する診断適用に有用である。例えば、ヒトSlo2またはSlo4をコードする遺伝子の染色体局在化を用いて、Slo2またはSlo4により引き起こされ、かつそれにともなう疾患を同定し得る。Slo2またはSlo4を検出する方法はまた、チャネル多様性およびチャネル活性の調整におけるSlo2またはSlo4の役割を調べるために有用である。
【0062】
(II.定義)
本明細書で用いられるとき、以下の用語は、他であることが特定されなければ、それらに与えられた意味をもつ。
【0063】
「Slo4」は、SloまたはSlo4カリウムチャネルのサプユニットまたはモノマーであり、そしてSloファミリーのメンバーであるポリペプチドをいう。Slo4がホモマーのカリウムチャネルの一部分であるとき、このチャネルは、電位ゲーティングおよび迅速脱活性化の特徴をもつ。さらに、Slo4がホモマーのカリウムチャネルの一部分であるとき、それは、改変された特徴を与え得る。Slo4は、ポアループドメインおよびS1−S6膜貫通ドメインを含む、配列番号4のアミノ酸64−282に対応するコア膜貫通ドメインをもつ。Slo4はまた、配列番号4のアミノ酸336−1135からのC末端細胞質テイルドメインをもつ。
【0064】
従って、用語Slo4は、Slo4多型改変体、対立遺伝子、変異体、およびオルソログ(種間相同体)をいい、これは:(1)配列番号4のSlo4アミノ酸配列、またはコア膜貫通ドメインまたはC末端細胞質テイルのような保存領域に対し、本明細書に記載されたパラメーターを用い、BLASTのような配列比較アルゴリズムを用い、約60%より大きいアミノ酸配列同一性、好ましくは約65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%アミノ酸配列同一性を有するか;(2)配列番号4のアミノ酸配列またはその免疫原性フラグメント、およびその保存的に改変された改変体を含む免疫原に対して惹起された抗体、例えば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体に結合するか;(3)配列番号3の配列、およびその保存的に改変された改変体に、高度および/または中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするか;または(4)配列番号23−31からなる群から選択されるプライマーセットと同じ配列に、高度および/または中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される。
【0065】
「Slo2」は、SloまたはSlo4カリウムチャネルのサブユニットまたはモノマーであり、そしてSloファミリーのメンバーであるポリペプチドをいう。Slo2がホモマーのカリウムチャネルの一部分であるとき、このチャネルは、電位ゲーティングおよび迅速脱活性化の特徴をもつ。さらに、Slo2がホモマーのカリウムチャネルの一部分であるとき、それは、改変された特徴を与え得る。Slo2は、ポアループドメインおよびS1−S6膜貫通ドメインを含む、配列番号2のアミノ酸98−335からのコア膜貫通ドメインをもつ。Slo2はまた、配列番号2のアミノ酸283−1235からのC末端細胞質テイルドメインをもつ。
【0066】
従って、用語Slo2は、Slo4多型改変体、対立遺伝子、および変異体をいい、これは:(1)配列番号2のSlo2アミノ酸配列、またはコア膜貫通ドメインまたはC末端細胞質テイルのような保存領域に対し、本明細書に記載されたパラメーターを用い、BLASTのような配列比較アルゴリズムを用い、約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有するか;(2)配列番号2のアミノ酸配列またはその免疫原性フラグメント、およびその保存的に改変された改変体を含む免疫原に対して惹起された抗体、例えば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体に結合するか;(3)配列番号1の配列、およびその保存的に改変された改変体に、高度および/または中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするか;または(4)配列番号5−22からなる群から選択されるプライマーセット、特に配列番号18−21からなる群から選択される少なくとも1つのプライマーをもつプライマーセットと同じ配列に、高度および/または中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される。
【0067】
用語「電位依存性」活性または「電位ゲーティング」は、個々のポリペプチドモノマーまたはサブユニットで構成されるカリウムチャネルの特徴をいう。一般に、電位依存性カリウムチャネルが開く可能性は、細胞が脱分極するにつれて増大する。電位依存性カリウムチャネルは、最初、カリウムの流出を可能にする。なぜなら、それらは、代表的な細胞におけるカリウムの平衡電位(E)よりポジティブである膜電位で開いている可能性が大きいからである。E、すなわちカリウムの平衡電位は、細胞膜の内側および外側で見出されるカリウムの相対濃度に依存し、そして代表的には、哺乳動物細胞について−60〜−100mVの間である。Eは、カリウムイオンの正味の流れがない膜電位である。なぜなら、カリウム流入を駆動する電気的電位(すなわち、電圧電位)が、カリウムを流出する濃度勾配([K]電位)によって均衡しているからである。この値はまた、カリウムの「逆電位」または「ネルンスト」電位として知られる。いくつかの電位依存性カリウムチャネルは不活性化され、それは、より高い膜電位でカリウム流出を低減し得る。カリウムチャネルはまた、それらが、Eに対してネガティブな膜電位で開いたままであるとき、特定の例では、カリウム流入を可能にし得る(例えば、Adams&Nonner、in Potassium Channels、40−60頁(Cook編、1990)を参照のこと)。電位ゲーティングの特徴は、チャネルを通る電流流れおよびイオンフラックスにおける変化を測定する種々の技法により測定され得る。これには、例えば、外部溶液の[K]を変えること、およびチャネル電流の活性化電位を測定することによる(例えば、米国特許第5,670,335号を参照のこと)、異なる条件下のパッチクランプ技法または電圧クランプを用いて電流を測定することによる、および異なる条件下の放射活性標識トレーサーまたは電圧感受性色素を用いてイオンフラックスを測定することによる、がある。
【0068】
「大きいコンダクタンス」は、特定のカリウムチャネルのコンダクタンスをいう。ネイティブな細胞では、これらのチャネルのコンダクタンスは、ほぼ40から50pS〜200pSを超える範囲である(例えば、Latorreら、Annu.Rev.Physio.51:385−399(19891)を参照のこと)。例えば、Slo1およびSlo3チャネルは、この範囲の上限近傍のコンダクタンスをもち、その一方、Slo2チャネルは、下限に近いコンダクタンスをもつ。
【0069】
「ホモマーチャネル」は、同一のαサブユニットから構成されるSlo2またはSlo4チャネルをいい、その一方、「ヘテロマーチャネル」は、少なくとも1つのSlo2またはSlo4αサブユニットと、Slo1またはSlo3のような別のSloファミリーからの少なくとも1つの他の型のαサブユニットとから構成されるSloチャネルをいう。ホモマーおよびヘテロマーチャネルの両方は、補助的なβサブユニットを含み得る。代表的には、このチャネルは、4つのαサブユニットから構成され、そしてこのチャネルはホモマーまたはヘテロマー性である。
【0070】
「βサブユニット」は、αサブユニットから構成されるカリウムチャネルの補助的サブユニットであるポリペプチドモノマーである;しかし、βサブユニット単独ではチャネルを形成し得ない(例えば、米国特許第5,776,734号を参照のこと)。βサブユニットは、例えば、αサブユニットが細胞表面に到達するのを補助することによりチャネルの数を増加すること、活性化動力学を変えること、およびチャネルに結合する天然リガンドの感受性を変えることが知られている。βサブユニットは、ポア領域の外側に存在し、そしてポア領域を含むαサブユニットと会合し得る。それらはまた、このポア領域の外部出入口に寄与し得る。
【0071】
Slo2またはSlo4を含むチャネルに影響する化合物を試験するためのアッセイの文脈における、用語「機能的効果」は、間接的または直接的にチャネルの影響下にある任意のパラメーターの決定を含む。それは、例えば、リガンド結合のような直接的物理的効果、例えば、イオンフラックスおよび膜電位における変化のような間接的な化学的または表現型効果、および転写またはホルモン放出の増加または減少のような他の生理学的効果を含む。「機能的効果」は、インビトロ活性(例えば、単離されたタンパク質、細胞溶解物または細胞膜を用いる生化学的またはリガンド結合アッセイ)、インビボ活性(細胞および動物を基礎にしたアッセイ)、およびエキソビボ活性を含む。
【0072】
「機能的効果を決定すること」は、Slo2またはSlo4サブユニット、またはSlo2またはSlo4サブユニットを含むチャネルに対して直接的物理的効果(例えば、リガンド結合)、またはSlo2またはSlo4サブユニットを含むチャネルに対して間接的化学的または表現型効果(例えば、細胞または細胞膜中の増加または減少イオンフラックス)をもつ化合物の効果を調べることをいう。このイオンフラックスは、チャネルを通る任意のイオンおよびそのアナログ、例えば、カリウム、ルビジウムであり得る。好ましくは、この用語は、Slo2またはSlo4を含むチャネルに対する化合物の機能的効果、例えば、放射活性同位元素、電流の大きさ、膜電位、電流流れ、コンダクタンス、転写、タンパク質結合、リン酸化、脱リン酸化、二次的メッセンジャー濃度(cAMP、cGMP、Ca2+、IP)、リガンド結合を含むイオンフラックスにおける変化、イオン濃度における変化、およびホルモンおよび神経伝達物質放出のようなその他の生理学的効果、ならびに電圧および電流における変化をいう。このような機能的効果は、当業者に公知の任意の手段、例えば、パッチクランピング、電圧−感受性色素、イオン感受性色素、総細胞電流、放射活性同位元素流出、誘導マーカーなどにより測定され得る。
【0073】
Slo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドを含む電位依存性カリウムチャネルの「インヒビター」、「アクチベータ」または「モジュレータ」とは、Slo2チャネル機能またはSlo4チャネル機能についてのインビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して同定された阻害分子または活性化分子をいう。インヒビターは、チャネルを減少させるか、ブロックするか、妨げるか、活性化を遅らせるか、不活性化するか、脱感作するか、または下方制御する、化合物(例えば、アンタゴニスト)である。アクチベータは、チャネル活性を増加させるか、開くか、活性化するか、促進するか、活性化を増大するか、感作するかまたは上方制御する化合物(例えば、アゴニスト)である。インヒビターおよびアクチベータについてのこのようなアッセイは、例えば、細胞、細胞抽出物または細胞膜においてSlo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドを発現させ、次いでこのチャネルを通るイオンのフラックスを測定し、分極(すなわち、電位)の変化を決定する工程を包含する。あるいは、内因性Slo2チャネルまたはSlo4チャネルを発現する細胞が、このようなアッセイにおいて使用され得る。天然に存在するかもしくは組換えの単離されたSlo2含有チャネルもしくはSlo4含有チャネル、またはSlo2サブユニットもしくはSlo4サブユニット、あるいはこれらを含む細胞抽出物もまた、このようなモジュレータを同定するために、リガンド結合アッセイにおいて使用され得る。阻害の程度を試験するために、Slo2またはSlo4のサブユニットまたはチャネルを含むサンプルまたはアッセイ物は、電位アクチベータまたはインヒビターで処理され、そしてこのインヒビターを含まないコントロールサンプルと比較される。コントロールサンプル(インヒビターで処理されていない)は、100%に対する相対的なSlo2活性値またはSlo4活性値に割り当てられる。Slo2またはSlo4を含むチャネルの阻害は、コントロールに対するSlo2活性値またはSlo4活性値が、約90%、好ましくは50%、より好ましくは25〜0%である場合に、達成され得る。Slo2またはSlo4を含むチャネルの活性化は、コントロールに対するSlo2活性値またはSlo4活性値が、110%、より好ましくは150%、最も好ましくは少なくとも200〜500%以上、または1000%以上である場合に、達成され得る。
【0074】
「生物学的に活性な」Slo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドとは、上記のように試験された電位依存特性および迅速な非活性化特性を有するカリウムチャネルを形成する能力を有する、Slo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドをいう。
【0075】
用語「単離された」、「精製された」または「生物学的に純粋な」とは、物質がそのネイティブの状態で見出される場合に通常はこの物質に伴う成分を実質的にも本質的にも含まない物質をいう。純度および均質性は、代表的に、分析化学技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィー)を使用して決定される。調製物中に存在する優性種であるタンパク質は、実質的に純粋である。特に、単離されたSlo2核酸またはSlo4核酸は、Slo2遺伝子またはSlo4遺伝子に隣接し、かつSlo2またはSlo4以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。用語「精製された」とは、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを意味する。特に、この用語は、核酸またはタンパク質が、少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。単離または精製されたSlo2およびSlo4は、組換え体であっても天然に存在するものであってもよい。
【0076】
用語「試験化合物」または「薬物候補」または「モジュレータ」または文法上の等価物は、本明細書中で使用される場合、リンパ球の活性化を直接または間接的に調節する能力について試験される、天然に存在するかまたは合成のいずれかの、任意の分子(例えば、タンパク質、オリゴペプチド(例えば、約5〜約25アミノ酸長、好ましくは約10〜20アミノ酸長、または12〜18アミノ酸長、好ましくは12、15または18アミノ酸長)、低有機分子、多糖、脂質(例えば、スフィンゴリピド)、脂肪酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドなど)を表す。この試験化合物は、十分な範囲の多様性を提供する、試験化合物のライブラリーの形態(例えば、コンビナトリアルライブラリーまたはランダムライブラリー)であり得る。試験化合物は、必要に応じて、融合パートナー(例えば、標的化化合物、レスキュー化合物、二量化化合物、安定化化合物、アドレス可能化合物、および他の機能的部分)に連結される。簡便には、有用な特性を有する新たな化学的実体は、いくらかの望ましい特性または活性(例えば、阻害活性)を有する試験化合物(「リード化合物」と称される)を同定し、このリード化合物の改変体を生成し、そしてこれらの改変化合物の特性および活性を評価することによって、作製される。しばしば、ハイスループットスクリーニング(HTS)法が、このような分析のために用いられる。
【0077】
「低有機分子」とは、天然に存在するかまたは合成のいずれかの、約50ダルトンより大きくかつ約5000ダルトン未満の分子量、好ましくは、約2000ダルトン未満の分子量、好ましくは約100ダルトンと約1000ダルトンとの間の分子量、より好ましくは約200ダルトンと約500ダルトンとの間の分子量を有する、有機分子をいう。
【0078】
用語「疼痛」とは、全てのカテゴリーの疼痛をいい、これには、刺激または神経反応の点から記載される疼痛(例えば、体性疼痛(有害刺激に対する正常な神経反応)および神経障害性疼痛(しばしば明確な有害インプットを伴わない、損傷または変更された感覚経路の異常な反応);時間的に分類される疼痛(例えば、慢性の疼痛および急性の疼痛);その重篤度の点から分類される疼痛(例えば、軽い、中程度または重篤);および疾患状態または疾患症状の症状または結果である疼痛(例えば、炎症性疼痛、癌疼痛、AIDS疼痛、関節症、偏頭痛、三叉神経痛、心臓虚血および糖尿病性ニューロパシー)が挙げられる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,pp.93−98(Wilson et al.,eds.,12th ed.1991);Williams et al.,J.of Medicinal Chem.42:1481−1485(1999)(各々が本明細書中でその全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0079】
上記のように、「体性」疼痛とは、有害刺激(例えば、傷害または疾病(例えば、外傷、やけど、感染、炎症または疾患プロセス(例えば、癌)))に対する正常な神経反応をいい、皮膚疼痛(例えば、皮膚、筋肉または関節由来)および内臓疼痛(例えば、器官由来)の両方を含む。
【0080】
上記のように、「神経障害性」疼痛とは、傷害から生じる疼痛または末梢および/もしくは中枢感覚経路の慢性的な変化をいい、ここでこの疼痛は、しばしば、明らかな有害インプットを伴わずに発生または存在する。
【0081】
「核酸」とは、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかの、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそのポリマーをいう。この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、そして参照ヌクレオチドと類似の様式で代謝される、既知のヌクレオチドアナログまたは改変された骨格残基もしくは結合を含む、合成核酸、天然に存在する核酸および天然に存在しない核酸を包含する。このようなアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルなメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
特に明記されない限り、特定の核酸配列はまた、それらの保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換)および相補配列、ならびに明確に示された配列を暗に包含する。詳細には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの三番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。用語、核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドと交換可能に使用される。
【0083】
特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」を暗に包含する。同様に、核酸によりコードされる特定のタンパク質は、この核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を暗に包含する。「スプライス改変体」は、この名前が示すように、遺伝子の選択的スプライシングの産物である。転写の後、最初の核酸転写物は、異なる(変更された)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするように、スプライシングされ得る。スプライス改変体の産生のためのメカニズムは変化するが、エキソンの選択的スプライシングを含む。読過し転写により同じ核酸から誘導された代替のポリペプチドもまた、この定義に含まれる。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)は、この定義に含まれる。カリウムチャネルスプライス改変体の例は、Leicherら、J.Biol.Chem.273(52):35095−35101(1998)で考察される。
【0084】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを言及するために、本明細書中で交換可能に使用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学模倣物である、アミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに用いられる。
【0085】
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによりコードされるアミノ酸、ならびに後に改変されるアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメートおよびO−ホスホセリン)である。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造(すなわち、水素に結合したα炭素、カルボキシル基、アミノ基およびR基)を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)をいう。このようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化合物をいう。
【0086】
アミノ酸は、本明細書中で、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される一般的に公知の三文字記号または一文字記号のいずれかで表され得る。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に受け入れられている一文字コードにより表され得る。
【0087】
「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に用いられる。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、またはその核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列をいう。遺伝コードの縮重に起因して、多数の機能的に同一の核酸は、任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUの全ては、アミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドンにより特定される全ての位置において、このコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく記載される対応するコドンのいずれかに変更され得る。このような核酸バリエーションは、「サイレントなバリエーション」であり、これは保存的に改変されたバリエーションの一種である。ポリペプチドをコードする本明細書中の全ての核酸配列はまた、核酸の全ての可能なサイレントなバリエーションを表す。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンのみのコドンであるAUG、および通常はトリプトファンのみのコドンであるTGGを除く)は、機能的に同一の分子を生じる用に改変され得ることを認識する。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレントなバリエーションは、記載される各々の配列に暗に含まれる。
【0088】
アミノ酸配列について、当業者は、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の配列に対する個々の置換体、欠失体または付加体(これはコードされた配列中の単一のアミノ酸または少数のアミノ酸を変更、負荷または欠失する)が、この変更により化学的に類似のアミノ酸でのアミノ酸の置換が生じている「保存的に改変された改変体」であることを認識する。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野で周知である。さらに、このような保存的に改変された改変体は、本発明の多型改変体、種間ホモログおよび対立遺伝子を排除しない。
【0089】
以下の8グループは、各々、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)。
(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照のこと)。
【0090】
高分子構造(例えば、ポリペプチド構造)は、種々のレベルの構成の点から記載され得る。この構成の一般的な考察については、例えば、Albertsら、Molecular Biology of the Cell(第3版、1994)、ならびにCantorおよびSchimmel、Biophysical Chemistry Part I:The Comformation of Biological Macromolecules(1980)を参照のこと。「一次構造」とは、特定のペプチドのアミノ酸配列をいう。「二次構造」とは、ポリペプチド内の局所的に整列した三次元構造をいう。これらの構造は、ドメインとして一般的に知られている。ドメインは、ポリペプチドの緻密な単位を形成し、代表的には約18〜350アミノ酸長であるポリペプチドの部分(例えば、膜貫通領域、孔ループドメインおよびC末端テールドメイン)である。代表的なドメインは、より少ない構成部分(例えば、βシートおよびαへリックスのストレッチ)の部分から構成される。「三次構造」とは、ポリペプチドモノマーの完全な三次元構造をいう。「四次構造」とは、独立した三次単位の非共有結合的な会合により形成される三次元構造をいう。異方性の用語はまた、エネルギー用語として公知である。
【0091】
「標識」は、分光法的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段または化学的手段により検出可能な組成物である。有用な標識としては、例えば、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用される酵素)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられる(例えば、配列番号2または4のポリペプチドは、例えば、ペプチドに放射性標識を組み込むことによって検出可能にされ、そしてこのペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために使用される)。
【0092】
本明細書中で使用される場合、「核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、1つ以上のタイプの化学結合を介して(通常は相補性塩基対形成または水素結合形成を介して)、標的核酸の相補配列に結合し得る核酸として定義される。本明細書中で使用される場合、プローブは、もとの塩基(すなわち、A、G、CまたはT)または改変された塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含み得る。さらに、プローブ中の塩基は、これがハイブリダイゼーションを妨害しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合により連結され得る。従って、例えば、プローブは、構成塩基がホスホジエステル結合ではないペプチド結合により連結されている、ペプチド核酸であり得る。このプローブは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存して、プローブ配列に対して完全な相補性を欠く標的配列に結合し得ることが、当業者に理解される。プローブは、好ましくは、同位体、発色団、蛍光団、色素原で直接標識されるか、または例えば、ストレプトアビジン複合体が後に結合し得るビオチンで間接的に標識される。プローブの有無についてアッセイすることによって、選択配列またはサブ配列の有無が検出され得る。
【0093】
「標識核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、リンカーまたは化学結合を介して共有結合的に、またはイオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合または水素結合を介して非共有結合的にのいずれかで、標識に結合された核酸プローブまたはオリゴヌクレオチドであり、その結果、このプローブの存在は、このプローブに結合した標識の存在を検出することによって検出され得る。
【0094】
例えば、細胞または核酸、タンパク質、あるいはベクターに対する参照として使用される場合、用語「組換え体」は、この細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが異種の核酸もしくはタンパク質の導入またはネイティブな核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されていること、あるいはこの細胞がそのように改変された細胞由来であることを示す。よって、例えば、組換え体細胞は、細胞のネイティブな(非組換え体)形態内で見出されない遺伝子を発現するか、またはさもなくば、異常に発現されるか、低く発現されるか、もしくは全く発現されないネイティブな遺伝子を発現する。
【0095】
「プロモーター」は、核酸の転写を指向する、核酸コントロール配列のアレイとして定義される。本明細書中で使用される場合、例えば、ポリメラーゼII型プロモーター、TATAエレメントの場合において、プロモーターは、転写開始部位のそばに必要な核酸配列を含む。プロモーターはまた、必要に応じて遠位のエンハンサーエレメントまたはリプレッサーエレメントを含み、これは、転写開始部位から数千塩基対ほど離れて位置され得る。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境条件および発生条件下で活性なプロモーターである。「誘導可能な」プロモーターは、環境的調節または発生的調節下で活性なプロモーターである。用語「作動可能に連結される(された)」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、または転写因子結合部位のアレイ)と第2の核酸配列との間の機能的な連結をいい、ここで、この発現制御配列は、第2の配列に対応する核酸の転写を指向する。
【0096】
核酸の一部を参照して使用される場合、用語「異種」は、この核酸が、天然では互いに同一の関係において見出されない2つ以上のサブ配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には組換え的に生成され、新たな機能的核酸(例えば、ある供給源由来のプロモーターおよび別の供給源由来のコード領域)を作製するために、整列された無関係の遺伝子由来の2つ以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質は、このタンパク質が、天然では互いに同一の関係において見出されない2つ以上のサブ配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
【0097】
「発現ベクター」は、宿主細胞中で特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを有して、組み換え的または合成的に産生された核酸構築物である。この発現ベクターは、プラスミド、ウイルスまたは核酸フラグメントの一部であり得る。典型的には、発現ベクターは、プロモーターに作動可能に連結された、転写されるべき核酸を含む。
【0098】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の観点において、用語「同一」または「同一」パーセントは、比較ウインドウ(すなわち、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して測定されるかもしくは手動の整列および可視的検査によって測定される場合の設計された領域)にわたる最大の一致について比較および整列される場合、同一である2つ以上の配列またはサブ配列、または同一であるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定のパーセントを有する(すなわち、配列番号2または4の特定の領域にわたって、60%同一、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%同一)2つ以上の配列またはサブ配列をいう。次いで、このような配列を、「実質的に同一」という。この定義はまた、試験配列の補体をいう。好ましくは、同一性は、少なくとも約25個のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域にわたって、またはより好ましくは、50〜100個のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域にわたって、存在する。
【0099】
配列比較について、典型的には、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列は、コンピューターに入力され、必要ならば、サブ配列座標が設計され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメータが設計される。デフォルトプログラムパラメータが使用され得るか、または代替のパラメータが設計され得る。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較して試験配列の同一性配列パーセントを計算する。Slo2核酸およびタンパク質ならびにSlo4核酸およびタンパク質に対する核酸およびタンパク質の配列比較のために、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムならびに以下で議論されるデフォルトパラメータが使用される。
【0100】
本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、20〜600、通常には約50〜約200、より通常には約100〜約150からなる群より選択される連続する位置のいずれか1つの番号のセグメントに対する参照を含み、ここで、配列は、2つの配列が最適に整列される後に同数の連続する位置の参照配列に比較され得る。比較のための配列の整列の方法は、当該分野において周知である。比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズム、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の同様の方法にための検索、これらのアルゴリズムのコンピューター化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または手動の整列および可視的検査によって、実施され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausbel et al.,eds.1995 supplement)を参照のこと)。
【0101】
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために適切なアルゴリズムの好ましい例は、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれAltshul et al.,Nuc.Acids Res.25:3389−3402(1977)およびAltschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)に記載される。BLASTおよびBLAST2.0を本明細書中に記載されるパラメータとともに使用して、本発明の核酸およびタンパク質についての配列同一性パーセントを決定する。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に利用可能である。このアルゴリズムは、クエリ配列中において長さWの短いワードを同定することによって高スコアの配列対(HSP)を最初に同定することを包含し、このワードは、データベース配列中の同一長のワードを用いて整列される場合に、一致するか、またはいくつかの陽性値閾値スコアTを満足するかのいずれかである。Tは、近傍ワードスコア閾値としていわれる(Altschulら、上述)。これらの最初の近傍ワードヒットは、これらを含むより長いHSPを見出すために検索を開始するためのシーズとして働く。ワードヒットは、累積整列スコアが増加され得る限り、各配列にそって両方向に伸長される。累積スコアは、核酸配列について、パラメータM(一致する残基の対に対する報酬スコア;常に>0)およびN(一致する残基の対に対するペナルティースコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列について、スコア付けマトリクスを使用して、蓄積スコアを計算する。各方向におけるワードヒットの伸長は、以下の場合に中止される:蓄積整列スコア付けが最大達成値からの量Xまで低下する場合;1以上のネガティブスコア付け残基整列の蓄積に起因して、蓄積スコアがゼロ以下になる場合;または、いずれかの配列の末端に達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長(W)が11、期待値(E)が10、M=5、N=−4をデフォルトとして使用し、そして両鎖の比較する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、ワード長が3、および期待値(E)が10、そしてBLOSUM62スコア付けマトリクス(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照のこと)整列(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=−4をデフォルトとして使用し、そして両鎖を比較する。
【0102】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性の統計学的分析を実施する(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873−5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列の間の一致および2つのアミノ酸配列の間の一致が偶然生じることによる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸の参照核酸に対する比較における最小和確率が約0.2未満、より好ましくは、約0.01未満、最も好ましくは、約0.001未満である場合、核酸は、参照配列に対して類似するとみなされる。
【0103】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であることの指標は、以下に示されるように、第1位の核酸によってコードされるポリペプチドが第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して惹起される抗体と免疫学的に交差反応することである。よって、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、ポリペプチドは、典型的には、第2のポリペプチドに実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、以下に記載されるように、ストリンジェントな条件下で2つの分子またはこれらの相補体が互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることのなお別の指標は、同一のプライマーがこの配列を増幅するために使用されることである。
【0104】
句「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」は、その配列が複合体混合物(例えば、総細胞性DNAもしくはRNAまたはライブラリーDNAもしくはRNA)中に存在する場合、分子が、ストリンジェントなハイブリダイズ条件下で特定のヌクレオチド配列にのみ結合、二重化(duplex)またはハイブリダイズすることをいう。
【0105】
句「ストリンジェントなハイブリダイズ条件」は、プローブが、典型的には、核酸の複合体混合物においてその標的サブ配列にハイブリダイズするが他の配列には結合しない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる環境において異なる。配列は、長ければ長いほど、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な指針は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes,”Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に見出される。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度pHでの特定の配列についての熱融解点(T)よりも約5〜10℃低く選択される。このTは、標的に対して相補的であるプローブの50%が、平衡にて(標的配列が過度に存在する場合、Tにて、プローブの50%が平衡で占められる)標的配列に(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度の下で)ハイブリダイズする温度である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような脱安定化剤の添加を用いて達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションについて、ポジティブなシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。例示的ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下であり得る:50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSを42℃でインキュベーションするか、または、5×SSC、1%SDSを65℃でインキュベーションして、65℃での0.2×SSCおよび0.1%SDS中で洗浄する。
【0106】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、これらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、なお実質的に同一である。このことは、例えば、核酸のコピーが、遺伝子コードによって可能にされる最大コドン縮重を用いて作製される場合に、生じる。このような場合において、核酸は、典型的には、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、37℃での40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中でのハイブリダイゼーション、および45℃での1×SSC中での洗浄を含む。ポジティブなハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、代替的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件が同様のストリンジェンシーの条件を提供するために利用され得ることを、容易に認識する。ハイブリダイゼーションパラメータを決定するためのさらなる指針は、多くの参考文献(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel,et al.)に提供される。
【0107】
PCRについて、約36℃の温度は、低ストリンジェンシー増幅について典型的であるが、アニーリング温度は、プライマーの長さに依存して約32℃と48℃との間を変化し得る。高ストリンジェンシーPCR増幅について、約62℃の温度が典型的であるが、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマーの長さおよび特異性に依存して、約50℃〜約65℃にわたり得る。高ストリンジェンシー増幅および低ストリンジェンシー増幅の両方について典型的なサイクル条件は、90℃〜95℃で30秒間〜2分間の変性相、30秒間〜2分間続けるアニーリング相、および約72℃で1〜2分間の伸長相を含む。低ストリンジェンシー増幅反応および高ストリンジェンシー増幅反応についてのプロトコルおよび指針は、例えば、Innis et al.(1990)PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications,Academic Press,Inc.N.Y.に提供される。
【0108】
「抗体」は、抗原を特異的に結合および認識する、免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグメント由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドをいう。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμの定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δまたはεとして分類され、これらは、順番に、それぞれ免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを規定する。
【0109】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含む。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の同一な2つの対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識について主要な原因である約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を規定する。用語可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖をいう。
【0110】
抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリン、または種々のペプチダーゼでの消化によって生成される十分に特徴付けられた多くのフラグメントとして、存在する。よって、例えば、ペプシンは、ジスルフィド結合のある抗体をヒンジ領域で消化して、FabのダイマーであるF(ab)’(これ自体は、ジスルフィド結合によってV−C1に連結された軽鎖である)を生成する。F(ab)’は、穏やかな条件下で還元されてヒンジ領域中のジスルフィド結合が崩壊され得、これにより、F(ab)’ダイマーからFab’モノマーに変換される。Fab’モノマーは、ヒンジ領域の一部を有する必須のFabである(Fundamental Immunology(Paul ed.,3d ed.1993)を参照のこと)。種々の抗体フラグメントがインタクトな抗体の消化の観点で規定されるが、当業者は、このようなフラグメントが、化学的にか、または組換えDNA方法論を使用するかのいずれかによって、デノボで合成され得ることを理解する。よって、本明細書中で使用される場合、用語抗体はまた、抗体全体の改変によって生成される抗体フラグメント、または組換えDNA方法論を使用してデノボで合成される抗体フラグメント(例えば、単鎖Fv)もしくはファージディスプレイライブラリー(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554(1990)を参照のこと)を使用して同定された抗体フラグメントを含む。
【0111】
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の調製について、任意の公知の技術(例えば、Kohler&Milstein,Nature 256:495−497(1975);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985)pp.77−96を参照のこと)が使用され得る。単鎖抗体の生成についての技術(米国特許第4,946,778号)を適用して、本発明のポリペプチドに対する抗体を生成し得る。また、トランスジェニックマウス、または他の生物(例えば、他の哺乳動物)を使用して、ヒト化抗体を発現させ得る。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体および異種性Fabフラグメントを同定し得る。(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554(1990);Marks et al.,Biotechnology 10:779−783(1992)を参照のこと)。
【0112】
「抗Slo2」抗体または「抗Slo4」抗体は、Slo2もしくはSlo4の遺伝子、cDNA、またはそのサブ配列によってコードされるポリペプチドと特異的に結合する抗体または抗体フラグメントである。
【0113】
「キメラ抗体」は、(a)抗原の結合部位(可変領域)が、異なるクラスまたは改変されたクラスの定常領域、エフェクター機能/エフェクター種、またはキメラ抗体に新しい特性を与える全体として異なった分子(例えば、酵素、トキシン、ホルモン、増殖因子、薬物など)に連結されるように、定常領域またはその一部が、変更、置換または交換された、抗体分子;あるいは(b)可変領域、またはその一部が、異なるか、または変更された抗原特異性を有する可変領域で、変更、置換または交換された、抗体分子である。
【0114】
「免疫アッセイ」との用語は、抗原と特異的に結合する抗体を使用するアッセイである。この免疫アッセイは、抗原を単離、標的、および/または定量するために、特定の抗体の特異的結合特性を使用することによって特徴付けられる。
【0115】
抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」または「〜と特異的に(または選択的に)免疫反応性」との句は、タンパク質またはペプチドについて言及する場合、タンパク質および他の生物製剤の異種集団中における、タンパク質の存在の決定因子である結合反応性をいう。従って、示された免疫アッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍で特定のタンパク質に結合し、そしてサンプル中に存在する他のタンパク質に有意な量で実質的に結合しない。このような条件における抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質に対する特異性について選択される抗体を必要とし得る。例えば、抗体(例えば、配列番号2または配列番号4に示されるようなSlo2またはSlo4に対して惹起される、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、またはそれらのスプライス改変体もしくは一部)は、Slo2ファミリーメンバーもしくはSlo4ファミリーメンバーと特異的に免疫反応性であるか、または他のSloタンパク質と特異的に免疫反応性でない、これらのポリクローナル抗体のみを得るように選択され得る。この選択は、他のSloファミリーメンバーのような分子と交差反応する抗体を、差し引くことによって達成され得る。さらに、ヒトSlo2多型またはヒトSlo4多型の改変体、対立遺伝子、および保存的に改変された改変体に対して惹起される、抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)は、他のSlo2オルソログ(ortholog)またはSlo4オルソログ(例えば、ラットSlo2(ラットSLACK))ではなく、ヒトSlo2またはヒトSlo4を認識するこれらの抗体のみを得るように選択され得る。種々の免疫アッセイのフォーマットを使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択し得る。例えば、固相ELISA免疫アッセイを規定どおりに使用して、タンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択する(特異的な免疫反応性を決定するために使用され得る、免疫アッセイフォーマットおよび免疫アッセイ条件の説明について、例えば、Harlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)を参照のこと)。代表的に、特異的な反応または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはバックグラウンドノイズの少なくとも2倍であり、そしてより代表的に、バックグランドよりも10〜100倍高い。
【0116】
「〜と選択的に結合する」との句は、上で規定されるように、互いに「選択的にハイブリダイズする」核酸の能力、または上で規定されるように、タンパク質に選択的に(または特異的に)結合する抗体の能力をいう。
【0117】
「宿主細胞」は、発現ベクターを含み、そしてその発現ベクターの複製または発現を支持する、細胞を意味する。宿主細胞は、原核生物細胞(例えば、E.coli)または真核生物細胞(例えば、酵母、昆虫、両生類、または哺乳動物の細胞(例えば、CHO、HeLaなど))(例えば、培養細胞、移植片、およびインビボの細胞)であり得る。
【0118】
本明細書中で使用される場合、「生物学的サンプル」は、Slo2ポリペプチドもしくはSlo4ポリペプチドまたはSlo2タンパク質もしくはSlo4タンパク質をコードする核酸を含む、生物学的組織または生物学的流体のサンプルである。このようなサンプルとしては、ヒトから単離された組織が挙げられるが、これに限定されない。生物学的なサンプルとしてはまた、組織の切片(例えば、組織学的目的のために得られた凍結切片)が挙げられる。生物学的サンプルは、代表的に、以下から得られる:好ましくは、真菌、植物、昆虫、原生動物、鳥類、魚類、爬虫類のような真核生物、そして好ましくは、ラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモットまたはウサギのような哺乳動物、そして最も好ましくは、チンパンジーまたはヒトのような霊長類。
【0119】
(III.SLO2ポリペプチドまたはSLO4ポリペプチドをコードする遺伝子の単離)
(A.一般的な組換えDNA法)
本発明は、組換え遺伝子学の分野の慣用的な技術に依存する。本発明における一般的な使用方法を開示する基本的な教科書としては、以下が挙げられる:Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(第2版、1989);Kriegler、Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1994)。
【0120】
核酸について、大きさは、キロベース(Kb)または塩基対(bp)のいずれかで与えられる。核酸の大きさは、アガロースもしくはアクリルアミドゲル電気泳動から、配列決定された核酸から、または公開されたDNA配列から推定すある。タンパク質について、大きさは、キロダルトン(kD)またはアミン酸残基の数で与えられる。タンパク質の大きさは、ゲル電気泳動から、配列決定されたタンパク質から、誘導されたアミノ酸配列から、または公開されたタンパク質配列から推定される。
【0121】
市販されていないオリゴヌクレオチドは、Beaucage & Caruthers、Tetrahedron Letts.22:1859〜1862(1981)によって最初に記載された、固相ホスホラミダイトトリエステル方法に従って、Van Devanterら、Nucleic Acids Res.12:6159〜6168(1984)に記載されるような自動化合成器を使用して、化学的に合成され得る。Pearson & Reanier,J.Chrom.255:137〜149(1983)に記載されるように、ネイティブアクリルアミドゲル電気泳動または陰イオン交換HPLCのいずれかによって、オリゴヌクレオチドが、精製される。
【0122】
クローン化した遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えば、Wallaceら、Gene 16:21〜26(1981)の二重鎖テンプレートを配列決定するための連鎖終止方法を使用して、クローニング後に確認され得る。
【0123】
(B.Slo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列の単離のためのクローニング方法)
一般に、Slo2またはSlo4をコードする核酸配列および関連する核酸配列ホモログを、cDNAライブラリーおよびゲノムDNAライブラリーからクローニングするか、またはオリゴヌクレオチドプライマーを用いる増幅技術を使用して単離する。例えば、Slo2配列またはSlo4配列は、代表的に、核酸プローブまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズさせることによって、ヒト核酸(ゲノムまたはcDNA)ライブラリーから単離され、この配列は、配列番号1または配列番号3から誘導され得る。Slo2またはSlo4のRNAおよびcDNAが単離され得る適切な組織は、例えば、全脳のような神経系組織、またはSlo2またはSlo4が発現される任意の他の組織である(例えば、図4および7を参照のこと)。
【0124】
プライマーを使用する増幅技術をまた使用して、Slo2またはSlo4を増幅および単離し得る。以下のプライマーもまた使用して、ヒトSlo2の配列を増幅し得る。
【0125】
【化5】
Figure 2005507633
以下のプライマーを使用して、Slo4を増幅し得る。
【0126】
【化6】
Figure 2005507633
これらのプライマーを使用して、例えば、全長配列または1〜数百のヌクレオチドのプローブのいずれかを増幅し得、次いで、これらを使用して、全長Slo2またはSlo4についてライブラリーをスクリーニングする。
【0127】
Slo2またはSlo4ファミリーメンバーをコードする核酸はまた、プローブとして抗体を使用して発現ライブラリーから単離され得る。このようなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、配列番号2または4の配列、またはその免疫原性部分(例えば、Slo2のアミノ酸336〜1235およびSlo4のアミノ酸323〜1135に位置する、C末端テイル領域)を使用して惹起され得る。
【0128】
Slo2またはSlo4の保存領域に対して実質的に同一である、Slo2およびSlo4の多型改変体、オルソログ、および対立遺伝子は、ライブラリーをスクリーンングすることによって、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、Slo2またはSlo4の核酸プローブおよびオリゴヌクレオチドを使用して単離され得る。あるいは、発現ライブラリーを使用して、ヒトSlo2もしくはヒトSlo4またはそれらの免疫原性部分(例えば、ヒトSlo2またはSlo4のテイル(C末端)領域)に対して作製された抗血清または精製された抗体を免疫学的に用いて(これらはまた、Slo2ホモログまたはSlo4ホモログを認識し、そして選択的に結合する)、発現されたホモログを検出することによって、Slo2またはSlo4の多型改変体、オルソログ、および対立遺伝子をクローニングし得る。
【0129】
cDNAライブラリーを作製するために、Slo2 mRNAまたはSlo4 mRNAが豊富な供給源(例えば、全脳)を選択するべきである。次いで、mRNAを、逆転写酵素を使用してcDNAにし、組換えベクターにライゲーションし、そして増殖、スクリーニングおよびクローニングのために組換え宿主にトランスフェクトした。cDNAライブラリーを作製およびスクリーニングするための方法は、周知である(例えば、Gubler & Hoffman、Gene 25:263〜269(1983);Sambrookら、前出;Ausubelら、前出を参照のこと)。
【0130】
ゲノムライブラリーのために、DNAを、組織から抽出し、そして機械により剪断するかまたは酵素により消化するかのいずれかにより、約12〜20kbのフラグメントを得る。次いで、このフラグメントを、勾配遠心法により、所望でない大きさから分離し、そしてバクテリオファージλベクター中に構築した。これらのベクターおよびファージは、インビトロでパッケージングされる。組換えファージは、Benton & Davis,Science 196:180〜182(1977)に記載されるようなプラークハイブリダイゼーションによって分析される。コロニーハイブリダイゼーションが、Grunsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,72:3961〜3965(1975)において、一般的に記載されるように実施される。
【0131】
Slo2核酸またはSlo4核酸およびそれらのオルソログ、対立遺伝子、変異体、多型改変体、ならびに保存的に改変された改変体を単離する別の方法は、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用とRNAテンプレートまたはDNAテンプレートの増幅とを組み合わせる(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら編、1990)を参照のこと)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)のような方法を使用して、mRNA、cRNA、ゲノムライブラリー、またはcDNAライブラリーから直接、ヒトSlo2またはヒトSlo4の核酸配列を増幅し得る。縮重オリゴヌクレオチドを消化して、本明細書中で提供される配列を使用して、Slo2ホモログまたはSlo4ホモログを増幅し得る。制限エンドヌクレアーゼ部位は、このプライマー中に取り込まれ得る。ポリメラーゼ連鎖反応またはインビトロでのその他の増幅方法はまた、例えば、発現されるタンパク質をコードする核酸配列をクローニングするため、生理学的サンプル中でのSlo2またはSlo4をコードするmRNAの存在を検出するためのプローブとして使用する核酸を作製するため、核酸を配列決定するため、または他の目的のために有用であり得る。PCR反応によって増幅される遺伝子は、アガロースゲルから精製され、そして適切なベクターにクローニングされ得る。
【0132】
Slo2またはSlo4の遺伝子発現はまた、例えば、以下の当該分野で公知の技術によって分析され得る:mRNAの逆転写および増幅、総RNAまたはポリARNAの単離、ノザンブロッティング、ドットブロッティング、インサイチュハイブリダイゼーション、RNase保護、高密度ポリヌクレオチドアレイ技術など。
【0133】
合成オリゴヌクレオチドを使用して、プローブとしての使用またはタンパク質の発現のために、組換えSlo2遺伝子またはSlo4遺伝子を構築し得る。この方法は、遺伝子のセンス鎖および非センス鎖の両方を示す、一連の重複オリゴヌクレオチド(通常、40〜120bpの長さ)を使用して実施される。次いで、これらのDNAフラグメントをアニーリングし、ライゲーションし、そしてクローニングする。あるいは、増幅技術により、正確なプライマーを使用して、Slo2遺伝子またはSlo4遺伝子の特定の部分配列(subsequence)を増幅し得る。次いで、この特定の部分配列を、発現ベクターにライゲーションする。
【0134】
Slo2またはSlo4をコードする核酸は、代表的に、複製および/または発現のために原核生物細胞または真核生物細胞に形質転換する前に、中間ベクター中にクローニングされる。これらの中間ベクターは、代表的に、原核生物ベクター(例えば、プラスミド)、またはシャトルベクターである。
【0135】
(C.原核生物および真核生物における発現)
クローン化された遺伝子(例えば、Slo2またはSlo4をコードするこれらのcDNA)の高レベルの発現を得るために、本発明者は、代表的に、転写を指向する強力なプロモーター、転写/翻訳のターミネーター、およびタンパク質をコードする核酸のための場合、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む、発現ベクターに、Slo2またはSlo4をサブクローニングする。適切な細菌のプロモーターは、当該分野で周知であり、そして例えば、Sambrookら、およびAusubelら(前出)に記載されている。Slo2タンパク質またはSlo4タンパク質を発現するための細菌の発現系は、例えば、E.coli、Bacillus sp.、およびSalmonella(Palvaら、Gene 22:229〜235(1983);Mosbachら、Nature 302:543〜545(1983))において利用可能である。このような発現系のためのキットは、市販されている。哺乳動物の細胞、酵母、および昆虫の細胞に関する、真核生物発現系は、当該分野で周知であり、そしてまた市販されている。
【0136】
異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。好ましくは、このプロモーターが、天然の設定における転写開始部位に由来する場合、このプロモーターは、この異種転写開始部位からほぼ同一の距離に配置される。しかし、当該分野で公知であるように、この距離にあるいくつかのバリエーションは、プロモーター機能を失うことなく適用される。
【0137】
このプロモーターに加えて、この発現ベクターは、代表的に、宿主細胞中で、Slo2またはSlo4をコードする核酸の発現のために必要とされるさらなるエレメントを全て含む、転写ユニットまたは発現カセットを含む。従って、代表的な発現カセットは、Slo2またはSlo4およびこの転写物の有効なポリアデニル化に必要とされるシグナルをコードする核酸配列に作動可能に連結されるプロモーター、リボソーム結合部位、および翻訳終結を含む。このカセットのさらなるエレメントは、エンハンサーを含み得、そしてゲノムDNAが構造遺伝子として使用される場合、機能的なスプライシングのドナー部位およびアクセプター部位を有するイントロンを含み得る。
【0138】
プロモーター配列に加えて、この発現カセットはまた、有効な終結のために提供される、この構造遺伝子の下流にある転写終結領域も含まなければならない。この終結領域は、プロモーター配列として同一の遺伝子から得られても、または異なる遺伝子から得られてもよい。
【0139】
細胞に遺伝情報を輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核生物細胞または原核生物細胞における発現のために使用される任意の従来のベクターが、使用され得る。標準的な細菌発現ベクターとしては、プラスミド(例えば、pBR322に基づくプラスミド、pSKF、pET23D)、および融合発現系(例えば、MBP、GST、およびLacZ)が挙げられる。エピトープタグもまた、組換えタンパク質に添加されて、好都合な単離方法を提供し得る(例えば、c−myc)。
【0140】
真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、代表的に、真核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン−バーウイルス由来のベクター)中で使用される。他の例示的な真核生物ベクターとしては、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、ならびにCMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核生物細胞中での発現に対して有効性が示された他のプロモーターの指向下にてタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが挙げられる。
【0141】
真核生物ベクターからのタンパク質発現はまた、誘導性プロモーターを使用して調節され得る。誘導性プロモーター内において、発現レベルが、誘導剤に対する応答エレメントのプロモーターへの組込みによって、誘導剤(例えば、テトラサイクリンまたはエクジソン)の濃度に対して滴定される。一般的に、高いレベルの発現は、誘導剤の存在下でのみ誘導性プロモーターから得られる;基底の発現レベルは最小である。誘導性発現ベクターは、しばしば、目的タンパク質の発現が真核生物細胞に対して有害である場合、選択される。
【0142】
いくつかの発現系は、遺伝子増幅を提供するマーカー(例えば、チミジンキナーゼおよびジヒドロ葉酸還元酵素)を有する。あるいは、遺伝子増幅を含まない高収集率の発現系(例えば、昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクター)もまた、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指向下で、Slo2コード配列またはSlo4コード配列に適切である。
【0143】
代表的に発現ベクター中に含まれるエレメントとしてはまた、E.coli中で機能するレプリコン、組換えプラスミドを保有する細菌の選択を可能にするために抗生物質耐性をコードする遺伝子、および真核生物配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域中の特有の制限部位が挙げられる。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は重要ではなく、当該分野で公知の任意の多くの耐性遺伝子が適切である。原核生物配列は、好ましくは、それらが必要な場合に真核生物細胞中でDNAの複製を妨害しないように、選択される。
【0144】
標準的なトランスフェクト方法が、大量のSlo2タンパク質またはSlo4タンパク質を発現する細菌細胞株、哺乳動物細胞株、酵母細胞株または昆虫細胞株を生成するために使用され、これらのタンパク質はその後、標準的な技術を使用して精製される(例えば、Colleyら,J.Biol.Chem.264:17619−17622(1989);Guide to Protein Purification,Methods in Enzymology,vol.182(Deutscher編,1990)を参照のこと)。真核生物細胞および原核生物細胞の形質転換が、標準的な技術に従って実施される(例えば、Morrison,J.Bact.132:349−351(1977);Clark−Curtiss & Curtiss,Methods in Enzymology 101:347−362(Wuら編,1983)を参照のこと)。
【0145】
外来ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するための周知の手順のうちのいずれかが使用され得る。これらとしては、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、微粒子銃(biolistic)、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター、ウイルスベクター、およびクローン化されたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、もしくは他の外来遺伝子材料を宿主細胞に導入するための他の周知の方法のいずれかの使用が挙げられる(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。使用される特定の遺伝子操作手順がSlo2またはSlo4を発現し得る宿主細胞に少なくとも1つの遺伝子を好首尾に導入し得ることのみが、必要である。
【0146】
発現ベクターが細胞に導入された後、トランスフェクトされた細胞は、Slo2またはSlo4の発現に有利な条件下で培養され、Slo2またはSlo4は、以下に同定される標準的な技術を使用して培養物から回収される。
【0147】
(IV.Slo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドの精製)
天然に存在するSlo2もしくはSlo4または組換えSlo2もしくはSlo4のいずれかが、機能アッセイにおける使用のために精製され得る。天然に存在するSlo2もしくはSlo4のモノマーが、例えば、ヒト組織(例えば、脳全体または大脳皮質)およびSlo2ホモログもしくはSlo4ホモログの任意の他の供給源から、精製され得る。組換えSlo2もしくは組換えSlo4のモノマーが、任意の適切な発現系から精製され得る。
【0148】
Slo2またはSlo4のモノマーは、標準的な技術(硫酸アンモニウムのような基質を用いた選択的沈降;カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法などが挙げられる)によって、実質的に純粋になるまで精製され得る(例えば、Scopes,Protein Purification:Principles and Practice (1982);米国特許第4,673,641号;Ausubelら,前出;およびSambrookら,前出を参照のこと)。
【0149】
組換えSlo2または組換えSlo4のモノマーが精製される場合、多数の手順が使用され得る。例えば、確立された分子接着特性を有するタンパク質は、Slo2またはSlo4のモノマーに可逆的に融合し得る。適切なリガンドを用いて、Slo2またはSlo4のモノマーは、精製カラムに選択的に吸着され得、次いで、相対的に純粋な形態でカラムから遊離される。次いで、この融合タンパク質は、酵素活性によって取り外される。最終的に、Slo2またはSlo4のモノマーが、免疫アフィニティーカラムを用いて精製され得る。
【0150】
(A.組換え細菌からのSlo2モノマーまたはSlo4モノマーの精製)
組換えタンパク質は、代表的にプロモーター誘導の後に、形質転換された細菌中で大量に発現されるが;発現は構成的であり得る。IPTGでのプロモーター誘導は、誘導性プロモーター系の1つの例である。細菌を、当該分野で標準的な手順に従って増殖させる。新しい細菌細胞または凍結細菌細胞を、タンパク質の単離のために使用する。
【0151】
細菌中で発現されるタンパク質は、不溶性の凝集体(「封入体」)を形成し得る。いくつかのプロトコルが、Slo2モノマーまたはSlo4モノマーの封入体の精製に適切である。例えば、封入体の精製は、代表的に、細菌細胞の破壊による(例えば、50mM TRIS/HCL(pH 7.5)、50mM NaCl、5mM MgCl、1mM DTT、0.1mM ATP、および1mM PMSFの緩衝液中でのインキュベーションによる)、封入体の抽出、分離および/または精製を含む。細菌懸濁物は、French Pressを介した2〜3回の通過を使用して溶解され得るか、Polytron(Brinkman Instruments)を用いてホモジナイズされ得るか、または氷上で超音波処理され得る。細菌を溶解する代替の方法が、当業者に明らかである(例えば、Sambrookら、前出;Ausubelら、前出)。
【0152】
必要である場合、封入体が可溶化され、そして溶解された細胞懸濁物は、代表的に遠心分離されて、所望されない不溶性物体を除去する。封入体で形成されるタンパク質は、適合性の緩衝液を用いた希釈または透析によって再生され得る。適切な溶媒としては、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(容量/容量基準で、少なくとも約80%)、および塩酸グアニジン(約4M〜約8M)が挙げられるが、これらに限定されない。凝集形成タンパク質を可溶化し得るいくつかの溶媒(例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、70% ギ酸)は、免疫原性および/または活性の欠失を伴なう、タンパク質の不可逆的な変性の可能性に起因して、この手順における使用に適切ではない。塩酸グアニジンおよび類似の薬剤が変性剤であるが、その変性は不可逆性ではなく、そしてこれらの変性剤の除去(例えば、透析による)または希釈の際に、再生が生じ得、免疫学的に活性なタンパク質および/または生物学的に活性なタンパク質の再形成を可能にする。他の適切な緩衝液が、当業者に公知である。ヒトSloモノマーは、標準的な分離技術によって(例えば、Ni−NTAアガロース樹脂を用いて)、他の細菌タンパク質から分離される。
【0153】
あるいは、細菌ペリプラズムからSlo2モノマーまたはSlo4モノマーを精製することが可能である。細菌の溶解後、Slo2モノマーまたはSlo4モノマーが細菌のペリプラズムに輸送され、細菌のペリプラズム画分が、当業者に公知の他の方法に加えて、冷却浸透圧衝撃によって単離され得る。ペリプラズムから組換えタンパク質を単離するために、細菌細胞は遠心分離されて、ペレットを形成する。このペレットは、20% スクロースを含む緩衝液に再懸濁される。細胞を溶解するために、細菌は遠心分離され、そのペレットは、氷冷5mM MgSO中に再懸濁され、そして約10分間氷浴中で維持される。細胞懸濁液は遠心分離され、そして上清がデカントされ、そして保存される。上清に存在する組換えタンパク質は、当業者に周知の標準的な分離技術によって、宿主タンパク質から分離され得る。
【0154】
(B.Slo2モノマーまたはSlo4モノマーを精製するための、標準的なタンパク質分離技術)
(可溶性分画)
特にタンパク質混合物が複雑である場合の最初の工程において頻繁にあるように、最初の塩分画は、目的の組換えタンパク質から、多くの所望されない宿主タンパク質(または細胞培養培地由来のタンパク質)を分離し得る。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水量を効率的に低減することによって、タンパク質を沈降する。次いで、タンパク質は、その可溶性に基づいて沈降する。より疎水性のタンパク質は、おそらくより低い硫酸アンモニウム濃度で沈降するようである。代表的なプロトコルは、生じる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%の間であるように、飽和硫酸アンモニウムをタンパク質溶液に添加する工程を包含する。この濃度は、ほとんどの疎水性タンパク質を沈降する。次いで、沈降物が破棄され(目的のタンパク質が疎水性でない限り)、そして硫酸アンモニウムが、目的のタンパク質を沈降することが既知の濃度まで、その上清に添加される。次いで、沈降物が緩衝液中で可溶化され、そして過剰の塩が、必要である場合、透析またはダイアフィルトレーションのいずれかを介して除去される。タンパク質の可溶性に依存する他の方法(例えば、冷エタノール沈降)が、当業者に周知であり、そして複雑なタンパク質混合物を分画するために使用され得る。
【0155】
(サイズ差次的濾過(size differential filtration))
Slo2モノマーまたはSlo4モノマーの分子量を使用して、異なる孔サイズのメンブレン(例えば、AmiconメンブレンまたはMilliporeメンブレン)を介した限外濾過を用いてより大きなサイズおよびより小さなサイズのタンパク質から、これらのモノマーを単離し得る。最初の工程として、タンパク質混合物を、目的のタンパク質の分子量よりも小さい分子量カットオフを有する孔サイズのメンブレンを介して、限外濾過する。次いで、その限界濾過の保持物(retentate)を、目的のタンパク質の分子量よりも大きい分子カットオフを有するメンブレンに対して限外濾過する。組換えタンパク質はそのメンブレンを通過して濾液に入る。次いで、濾液を、以下に記載されるようにクロマトグラフにかけ得る。
【0156】
(カラムクロマトグラフィー)
Slo2モノマーまたはSlo4モノマーはまた、そのサイズ、表面の正味の電荷、疎水性、およびリガンドに対する親和性に基づいて、他のタンパク質から分離され得る。さらに、タンパク質に対して惹起された抗体がカラムマトリクスに結合体化され得、そしてそのタンパク質が免疫精製される。これらの方法の全てが当該分野で周知である。クロマトグラフィー技術を、任意のスケールにて、かつ多くの異なる製造業者(例えば、Pharmacia Biotech)からの装置を用いて実行し得ることは、当業者に明らかである。
【0157】
(V.Slo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドの免疫学的検出)
核酸ハイブリダイゼーション技術を用いてSlo2遺伝子またはSlo4遺伝子およびSlo2遺伝子発現またはSlo4遺伝子発現の検出に加えて、本発明のSlo2モノマーまたはSlo4モノマーを検出するために、免疫アッセイもまた、使用し得る。免疫アッセイを使用して、hSlo2モノマーまたはSlo4モノマーを定性的または定量的に分析し得る。適用可能な技術の一般的な全体像は、Harlow & Lane、Antibodies:A Laboratory Manual(1988)に見出され得る。
【0158】
(A.Slo2モノマーまたはSlo4モノマーに対する抗体)
Slo2モノマーもしくはSlo4モノマー、またはヒトSlo2もしくはSlo4のような特定の種由来のSlo2モノマーもしくはSlo4モノマーと特異的に反応するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成する方法が、当業者に公知である(例えば、Coligan,Current Protocols in Immunology(1991);HarlowおよびLane,前出;Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版.1986);ならびにKohlerおよびMilstein,Nature 256:495−497(1975)を参照のこと)。このような技術としては、ファージまたは類似のベクターにおける組換え抗体のライブラリーからの抗体の選択による抗体調製、ならびにウサギもしくはマウスを免疫することによるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製が挙げられる(例えば、Huseら,Science 246:1275−1281(1989);Wardら,Nature 341:544−546(1989)を参照のこと)。
【0159】
Slo2モノマーまたはSlo4モノマーの一部を含む多数の免疫原が、Slo2モノマーまたはSlo4モノマーと特異的に反応性である抗体を生成するために使用され得る。例えば、組換えSlo2モノマーもしくは組換えSlo4モノマーまたはそれらの抗原性フラグメント(例えば、保存領域(例えば、ポアループまたはC末端テイルドメインを参照のこと))が、本明細書中に記載されるように単離され得る。組換えタンパク質は、上記のように真核生物細胞または原核生物細胞中で発現され得、そして一般的に上記のように精製される。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の産生のための好ましい免疫原である。あるいは、本明細書中に開示される配列由来の合成ペプチドおよびキャリアタンパク質に結合体化された合成ペプチドが、免疫原として使用され得る。天然に存在するタンパク質もまた、純粋な形態または純粋ではない形態のいずれかで使用され得る。次いで、生成物は抗体を産生し得る動物に注射される。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかが、タンパク質を測定するための免疫アッセイにおけるその後の使用のために、産生され得る。
【0160】
ポリクローナル抗体の産生方法は、当業者に公知である。マウス(例えば、BALB/Cマウス)またはウサギの近交系の系統が、標準的なアジュバント(例えば、フロイントアジュバント)を用いて、そして標準的な免疫プロトコルを使用して、そのタンパク質で免疫される。免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、試験採血し、そしてβサブユニットに対する反応性の力価を決定することによって、モニターされる。免疫原に対する抗体の適切に高い力価が得られた場合、血液を動物から収集し、そして抗血清を調製する。そのタンパク質に対して反応性の抗体を富化するための抗血清のさらなる分画が、所望される場合に、実行され得る(HarlowおよびLane、前出を参照のこと)。
【0161】
モノクローナル抗体は、当業者が精通する種々の技術によって獲得され得る。簡単に言うと、所望の抗原で免疫した動物由来の脾細胞を、通常、骨髄腫細胞での融合によって不死化する(Kohler & Milstein,Eur.J.Immunol.6:511−519 (1976)を参照のこと)。代替の不死化方法としては、エプスタイン−バーウイルス、癌遺伝子もしくはレトロウイルスを用いたトランスフォーメーション、または当該分野で周知の他の方法が挙げられる。単一の不死化細胞から生じるコロニーを、所望の特異性の抗体の産生および抗原に対する親和性についてスクリーニングし、そして、そのような細胞によって生成されるモノクローナル抗体の収量は、種々の技術(脊椎動物宿主の腹腔への注射を含む)によって増強され得る。あるいは、Huseら,Science 246:1275−1281(1989)によって概説される一般的な手順に従って、ヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離し得る。
【0162】
モノクローナル抗体およびポリクローナル血清は、回収され、そして、イムノアッセイ(例えば、固体支持体に固定化された免疫原を用いる固相イムノアッセイ)で、免疫原タンパク質に対して、滴定される。典型的に、10以上の力価を有するポリクローナル抗血清が、選択され、そして、競合的結合イムノアッセイを使用して、非Sloファミリータンパク質および他のSloファミリータンパク質に対するそれらの交差反応性について、試験する。特異的ポリクローナル抗血清およびモノクローナル抗体は、通常は少なくとも約0.1mMのK、より通常は少なくとも約1μMのK、好ましくは少なくとも約0.1μMまたはより小さいK、および最も好ましくは0.01μMまたはより小さいKで、結合する。特定のSlo2オルソログ(ortholog)またはSlo4オルソログ(例えば、ヒトSlo2またはヒトSlo4)に対してのみ特異的である抗体はまた、種(例えば、非ヒト哺乳動物)から他の交差反応性オルソログを取り去ることによって、作製され得る。
【0163】
一旦、Slo2またはSlo4に対する特異的な抗体が利用可能となると、ポリペプチドは、種々のイムノアッセイ方法によって、検出され得る。免疫学的手順およびイムノアッセイの手順の総覧として、Basic and Clinical Immunology(StitesおよびTerr編、第7版、1991)を参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイは、任意のいくつかの構成において実施され得、そして、これらの構成は、Enzyme Immunoassay(Maggio編、1980);ならびHarlowおよびLane,前出中で、広範に概説されている。
【0164】
(B.免疫学的結合アッセイ)
本発明のSlo2ポリペプチドまたはSlo4ポリペプチドは、多くの広く認識された免疫学的結合アッセイ(米国特許第4,366,241号、同第4,376,110号、同第4,517,288号および同第4,837,168号を参照のこと)のいずれかを使用することで、検出および/または定量され得る。一般的なイムノアッセイの総覧として、Methods in Cell Biology:Antibodies in Cell Biology、第37巻(Asai編、1993);Basic and Clinical Immunology(StitesおよびTerr編、第7版、1991)もまた参照のこと。免疫学的結合アッセイ(または、イムノアッセイ)は、典型的に、選択されたタンパク質または抗原(この場合は、Slo2もしくはSlo4、またはこれらの抗原性部分配列)に特異的に結合する抗体を、使用する。この抗体(例えば、抗Slo2または抗Slo4)は、当業者に周知で、そして上記されるような多くの手段のいずれかによって、生成され得る。
【0165】
イムノアッセイはまた、抗体および抗原によって形成される複合体に特異的に結合し、そしてその複合体を標識するための標識剤をしばしば使用する。この標識剤は、それ自体が、抗体/抗原複合体を含む成分の1つであり得る。従って、この標識剤は、標識Slo2ポリペプチドもしくは標識Slo4ポリペプチド、または標識抗Slo2抗体もしくは標識抗Slo4抗体であり得る。あるいは、この標識剤は、二次抗体のような第3の成分であり得、この第3の成分は、抗体/Slo2または抗体/Slo4複合体に特異的に結合する(二次抗体は、典型的に、一次抗体が由来する種の抗体に特異的である)。免疫グロブリンの定常領域(例えば、プロテインAまたはプロテインG)に特異的に結合する能力を有する他のタンパク質もまた、標識剤として使用され得る。これらのタンパク質は、様々な種由来の免疫グロブリン定常領域と、強い非免疫原性反応性を示す(例えば、Kronvalら、J.Immunol.111:1401〜1406(1973);Akerstromら、J.Immunol.135:2589〜2542(1985)を参照のこと)。この標識剤は、検出可能な成分(例えば、ビオチン)を用いて修飾され得、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)が、この検出可能な成分に特異的に結合し得る。種々の検出可能成分が、当業者に周知である。
【0166】
アッセイを通して、インキュベーション工程および/または洗浄工程が、各回に試薬をあわせた後で、必要とされ得る。インキュベーション工程は、約5秒から数時間、好ましくは約5分から約24時間まで変動し得る。しかし、インキュベーション時間は、アッセイ形式、抗原、溶液の容積、濃度などに依存する。このアッセイは、一定範囲の温度にわたって(例えば10℃〜40℃)実施され得るが、通常、このアッセイは、周囲温度にて実施される。
【0167】
(非競合的アッセイ形式)
サンプル中のSlo2またはSlo4を検出するためのイムノアッセイは、競合的または非競合的のいずれかであり得る。非競合的イムノアッセイは、抗原量が直接測定される、アッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいて、例えば、抗Slo2サブユニット抗体または抗Slo4サブユニット抗体は、これらが固定化される固体基材上へ、直接結合され得る。次いで、これらの固定化された抗体は、試験サンプル中に存在するSlo2またはSlo4を捕捉する。Slo2モノマーまたはSlo4モノマーは、このように固定化され、次いで、標識剤(例えば、標識を有する二次Slo2抗体または二次Slo4抗体)によって結合される。あるいは、二次抗体は標識を欠如し得るが、二次抗体は、二次抗体が由来する種の抗体に特異的である標識された三次抗体によって、順番に結合される。この二次抗体または三次抗体は典型的に、検出可能な成分を提供するために、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)が特異的に結合する、検出可能な成分(例えば、ビオチン)によって改変される。
【0168】
(競合的アッセイ形式)
競合的アッセイ法において、サンプル中に存在するSlo2量またはSlo4量は、サンプル中に存在する未知のSlo2またはSlo4によって、抗Slo2抗体または抗Slo4抗体から置換された(競合で離れた(competed away))、既知の添加された(外因性の)Slo2量またはSlo4量を測定することによって、間接的に測定される。1つの競合的アッセイにおいて、既知量のSlo2またはSlo4がサンプルに添加され、次いで、このサンプルは、Slo2またはSlo4に特異的に結合する抗体と、接触させられる。この抗体へ結合した外因性のSlo2量または外因性のSlo4量は、サンプル中に存在するSlo2濃度またはSlo4濃度に反比例する。特に好ましい実施形態において、抗体は、固体基材上に固定化される。抗体に結合されたSlo2量またはSlo4量は、Slo2/抗体複合体またはSlo4/抗体複合体中に存在するSlo2量またはSlo4量を測定すること、あるいは、残存する非複合体化タンパク質量を測定することのいずれかによって、決定され得る。Slo2量またはSlo4量は、標識Slo2分子または標識Slo4分子を提供することによって、検出され得る。
【0169】
ハプテン阻害アッセイは、別の好ましい競合的アッセイである。このアッセイにおいて、既知のSlo2またはSlo4は、固体基材に固定化される。既知量の抗Slo2抗体または抗Slo4抗体がサンプルに添加され、次いで、このサンプルは、固定化Slo2または固定化Slo4に接触させられる。既知の固定化Slo2または固定化Slo4に結合された、抗Slo2抗体または抗Slo4抗体の量は、サンプル中に存在するSlo2量またはSlo4量に反比例する。再び、固定化された抗体量は、抗体の固定化された画分または溶液中に残存する抗体の画分のいずれかの検出によって、検出され得る。検出は、抗体が標識されいている場合は直接的であり得、または、上記したように、抗体へ特異的に結合する標識成分の引き続く添加によって、間接的であり得る。
【0170】
(交差反応性の決定)
競合的結合形式におけるイムノアッセイはまた、Slo2またはSlo4についての交差反応性を決定するために用いられ得る。例えば、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列、あるいはそれらの免疫原性領域(例えば、保存領域(例えば、孔ループ(pore loop)ドメインまたはテイル(tail)ドメイン))に、少なくとも部分的に対応する、Slo2タンパク質またはSlo4タンパク質は、固体支持体に固定され得る。他のSloファミリーメンバーのような、他のタンパク質は、固定された抗原との抗血清の結合と競合するように、アッセイに添加される。添加タンパク質が、固定されたタンパク質との抗血清の結合と競合する能力は、Slo2またはSlo4、あるいはそれらの免疫原性部分が、それら自体と競合する能力と比較される。上記のタンパク質についての交差反応性の割合は、標準的な計算を用いて計算される。上に列挙された、各々の添加タンパク質と、10%未満の交差反応性を有する抗血清が、選択され、そしてプールされる。交差反応抗体は、考慮された添加タンパク質(例えば、遠縁で関連するホモログ)との免疫吸収(immunoabsorption)によって、プールされた抗血清から、必要に応じて除去される。Slo2またはSlo4にのみか、あるいはSlo2またはSlo4の特定のオルソログ(例えば、ヒトSlo4またはヒトSlo4)にのみ特異的に結合する抗体もまた、この方法論を使用して作製され得る。
【0171】
次いで、免疫吸収され、そしてプールされた抗血清は、第2のタンパク質(おそらくSlo2またはSlo4、あるいはそれらの対立遺伝子、オルソログ、または多型性改変体であると考えられる)を、免疫原タンパク質と比較するために、上記のような競合的結合イムノアッセイにおいて用いられる。この比較を行うために、この2つのタンパク質は、広範な濃度でそれぞれアッセイされ、そして固定されたタンパク質との抗血清の結合の50%を阻害するために必要とされる、各タンパク質の量が決定される。結合の50%を阻害するために必要とされる第2タンパク質の量が、結合の50%を阻害するために必要とされるSlo2またはSlo4によってコードされるタンパク質の量の10倍未満である場合、この第2タンパク質は、それぞれSlo2免疫原またはSlo4免疫原に対して産生されたポリクローナル抗体に、特異的に結合するという。
【0172】
(他のアッセイ形式)
ウエスタンブロット(イムノブロット)分析は、サンプル中のSlo2またはSlo4の存在を検出および定量するために用いられる。この技術は、一般に、分子量に基づくゲル電気泳動によってサンプルタンパク質を分離する工程、分離されたタンパク質を適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化されたナイロンフィルター)に転写する工程、およびSlo2またはSlo4と特異的に結合する抗体とともにこのサンプルをインキュベートする工程を含む。抗Slo2抗体または抗Slo4抗体は、この固体支持体上のSlo2またはSlo4と特異的に結合する。これらの抗体は、直接的に標識化され得るか、あるいは以後に、抗Slo2抗体または抗Slo4抗体と特異的に結合する標識化された抗体(例えば、標識化されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて検出され得る。
【0173】
他のアッセイ形式として、リポソームイムノアッセイ(LIA)(これは、特定の分子(例えば、抗体)と結合し、そしてカプセルに内包された試薬またはマーカーを放出するように設計された、リポソームを用いる)が挙げられる。次いで、放出された化学物質は、標準的な技術(Monroeら、Amer.Clin.Prod.Rev.5:34〜41(1986)を参照のこと)に従って検出される。
【0174】
(非特異的結合の減少)
当業者は、イムノアッセイにおける非特異的結合を最小化することがしばしば望ましいことを、理解する。特に、アッセイが、固体支持体上に固定された抗原または抗体を含む場合、基材との非特異的結合の量を最小化することが望ましい。このような非特異的結合を減少させる手段は、当業者に周知である。代表的に、この技術は、タンパク質性(proteinaceous)の組成物で基材をコーティングする工程を含む。特に、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳、およびゼラチンのようなタンパク質組成物が広範に用いられ、粉乳がもっとも好ましい。
【0175】
(標識)
このアッセイで用いられる特定の標識または検出可能な基は、このアッセイで用いられる抗体の特異的結合に有意に干渉しない限り、本発明の重要な側面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的性質または化学的性質を有する任意の物質であり得る。このような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野においてよく開発されており、そして一般に、このような方法において有用な任意の標識の殆どは、本発明に適用され得る。従って、標識は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段、または化学的手段によって検出可能である任意の組成物である。本発明において有用な標識として、磁気ビーズ(例えば、DYNABEADSTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド(Texas red)、ローダミンなど)、放射標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、および、ELISAにおいて一般に用いられる他の酵素)、ならびに、金コロイドまたは着色されたガラスビーズもしくはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)のような比色標識が挙げられる。
【0176】
この標識は、当該分野において周知の方法に従って、このアッセイの所望の成分に、直接的または間接的に結合され得る。上記のように、多種多様な標識が用いられ得、標識の選択は、必要とされる感度、化合物との結合の容易性、安定性要件、利用可能な器具、および処分の設備に依存する。
【0177】
非放射活性標識は、間接的な手段によってしばしば結合される。一般に、リガンド分子(例えば、ビオチン)は、分子と共有結合される。次いで、このリガンドは、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)(これは、固有に検出可能であるか、あるいは、検出可能な酵素、蛍光化合物、または化学発光性化合物のようなシグナル系と共有結合されるかのいずれかである)と結合する。このリガンドおよびそれらの標的は、hSlo2またはhSlo4を認識する抗体、または抗hSlo2抗体または抗hSlo4抗体を認識する二次抗体と、任意に適切に組み合わせて用いられ得る。
【0178】
この分子はまた、例えば、酵素または発蛍光団との結合によって、シグナル発生化合物と直接的に結合され得る。標的としての目的の酵素は、主に、ヒドロラーゼ(特に、ホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ)またはオキシダーゼ(特に、ペルオキシダーゼ)である。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン(umbelliferone)などが挙げられる。化学発光性化合物としては、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン(例えば、ルミノール)が挙げられる。用いられ得る種々の標識化系またはシグナル発生系の総説として、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
【0179】
標識を検出する手段は、当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射標識である場合、検出手段としては、オートラジオグラフィーにおけるような、シンチレーションカウンターまたは写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、この標識は、適切な波長の光で蛍光色素を励起する工程、および、得られる蛍光を検出する工程によって、検出され得る。この蛍光は、写真フィルムによってか、電子感知器(例えば、電荷結合素子(CCD))の使用によってか、または光電子増倍管などによって、視覚的に検出され得る。同様に、酵素標識は、酵素に適切な基材を提供する工程によって、および、得られる反応生成物を検出する工程によって、検出され得る。最後に、単純な比色標識は、標識に関連する色を観察する工程によって、容易に検出され得る。従って、種々のディップスティックアッセイにおいて、結合された金はしばしば桃色を呈し、一方、種々の結合されたビーズは、そのビーズの色を呈す。
【0180】
いくつかのアッセイ形式は、標識化された成分の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイは、標的抗体の存在を検出するために用いられ得る。この場合、抗原でコーティングされた粒子は、標的抗体を含むサンプルによって凝集される。この形式では、いかなる成分も標識化される必要がなく、そして、標的抗体の存在は、単なる目視検査によって検出される。
【0181】
(VI.Slo2またはSlo4のモジュレーターについてのアッセイ)
(A.アッセイ)
(序論)
ヒトSlo2またはヒトSlo4、ならびに対立遺伝子、オルソログ、および多型性改変体は、カリウムチャネルのサブユニットである。Slo2またはSlo4を含むカリウムチャネルの活性は、種々のインビトロアッセイおよびインビボアッセイ(例えば、電流の測定、膜電位の測定、リガンド結合の測定、イオンフラックス(例えば、カリウムまたはルビジウム)の測定、イオン濃度の測定、第2メッセンジャーおよび転写レベルの測定、カリウム依存性酵母増殖アッセイの使用、リガンド結合の測定、ならびに、例えば、電圧感受性色素、イオン感受性色素(例えば、カリウム感受性色素)の使用、放射性トレーサー、ならびにパッチクランプ電気生理学)を用いて評価され得る。
【0182】
さらに、このようなアッセイを使用して、Slo2またはSlo4を含むチャネルのインヒビターおよびアクチベーターについて試験し得る。このようなカリウムチャネルのモジュレーターは、カリウムチャネルが関与する種々の障害を処置するために有用である。このようなカリウムチャネル活性のモジュレーターは、CNS障害(例えば、神経障害性疼痛、てんかん、および他の痙攣(seizure)障害)、片頭痛、不安症、精神病性障害(例えば、精神分裂病、双極性障害、およびうつ病)を含む障害を処置するために有用である。このようなモジュレーターはまた、神経保護剤として(例えば、発作を予防するために)有用である。モジュレーターはまた、アルツハイマー病のような疾患によって引き起こされる学習および記憶の認知障害の処置において、または、高齢集団において学習および記憶を高めるため、同時に神経保護を提供するために、有用であり得る。最終的には、このようなモジュレーターは、筋肉の過剰収縮性(hypercontractility)、心律動異常、炎症、ぜん息を処置するために、および、免疫抑制薬または刺激薬として、有用であり得る。
【0183】
このようなモジュレーターはまた、Slo2またはSlo4によって提供されるチャネル多様性の研究のため、およびSlo2またはSlo4によって提供されるカリウムチャネル活性の制御/調節のために、有用である。
【0184】
Sloカリウムチャネルのモジュレーターは、組換えかまたは天然に存在するものかのいずれかである、生物学的に活性なSlo2またはSlo4、好ましくは、ヒトSlo2またはSlo4を使用して試験される。Slo2またはSlo4は、単離され得るか、細胞において同時発現もしくは発現され得るか、または細胞由来の膜において発現され得る。このようなアッセイにおいて、Slo2またはSlo4は、単独で発現されて、ホモマーのカリウムチャネルを形成するか、または第二のαサブユニット(例えば、別のSloファミリーメンバー(例えば、Slo1またはSlo3))と同時発現されて、ヘテロマーのカリウムチャネルを形成する。Slo2またはSlo4のポリペプチドはまた、さらなるβサブユニットと共に発現され得る。モジュレーターは、本明細書中に記載されるインビトロアッセイまたはインビボアッセイの一つを使用して試験される。
【0185】
カリウムチャネルの潜在的なインヒビターまたはアクチベーターで処理されたサンプルまたはアッセイを、試験化合物なしのコントロールサンプルと比較して、調節の程度を試験する。コントロールサンプル(アクチベーターによってもインヒビターによっても処理されていない)を、相対的カリウムチャネル活性値100と割り当てる。Slo2またはSlo4のポリペプチドを含むチャネルの阻害は、コントロールと比較したカリウムチャネル活性値が、約90%、好ましくは50%、より好ましくは25%である場合に達成される。Slo2またはSlo4のポリペプチドを含むチャネルの活性化は、コントロールと比較したカリウムチャネル活性値が、110%、より好ましくは150%、より好ましくは200%高い場合に達成される。イオンフラックスを増加させる化合物は、Slo2もしくはSlo4のポリペプチドを含むチャネルを開口する可能性を増加させることによって、Slo2もしくはSlo4のポリペプチドを含むチャネルを閉口する可能性を減少させることによって、チャネルを通したコンダクタンスを増加させることによって、および/または、イオンを通過させることによって、イオン電流密度における検出可能な増加を引き起こす。
【0186】
好ましくは、アッセイに使用されるSlo2またはSlo4のポリペプチドは、配列番号2もしくは4に示される配列、またはそれらの保存的に改変された改変体を有する。あるいは、アッセイのSlo2またはSlo4は、真核生物由来であり、かつ、ヒトSlo2またはSlo4の保存領域(例えば、孔ループ(pore loop)またはテイルドメインを参照のこと)に対して実質的なアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸部分配列を含む。一般に、アミノ酸配列同一性は、少なくとも60%、好ましくは、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、または90%、最も好ましくは、少なくとも95%以上である。
【0187】
(インビトロアッセイ)
カリウムチャネル調節活性を有する化合物を同定するためのアッセイは、インビトロで実施され得る(例えば、結合アッセイ)。精製された組換えかまたは天然に存在するSlo2もしくはSlo4のタンパク質、またはSlo2もしくはSlo4のタンパク質を含むチャネルを、本発明のインビトロ方法において使用し得る。精製されたSlo2もしくはSlo4のタンパク質、またはそれらを含むチャネルに加えて、組換えかまたは天然に存在するSlo2またはSlo4のタンパク質は、細胞溶解産物または細胞膜の一部であり得る。以下に記載するように、アッセイは、固体状態または可溶性のいずれでもあり得る。好ましくは、このタンパク質または膜を、共有結合または非共有結合のいずれかで、固体支持体に結合する。しばしば、本発明のインビトロアッセイは、非競合的または競合的のいずれかでの、リガンド結合アッセイもしくは毒素結合アッセイまたはリガンド親和性アッセイである。他のインビトロアッセイは、このタンパク質またはチャネルの分光学的(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)特性、流体力学的(例えば、形状)特性、クロマトグラフィ特性または溶解度特性における変化を測定する工程を包含する。細胞膜または溶解産物はまた、以下に記載されるように、Slo2またはSlo4のポリペプチドを含むカリウムチャネルを発現する細胞または膜の分極(すなわち、電位)における変化を測定するために使用され得る。
【0188】
(インビボアッセイ)
別の実施形態では、Slo2またはSlo4のタンパク質を、細胞において発現させ、そして機能的(例えば、物理的および化学的または表現型的)変化をアッセイして、カリウムチャネルモジュレーターを同定する。例えば、細胞に基づくアッセイまたは動物に基づくアッセイを使用して、イオンフラックスにおける変化は、Slo2またはSlo4のポリペプチドを含むカリウムチャネルを発現する細胞または膜の分極(すなわち、電位)の変化を決定することによって評価され得る。細胞の分極における変化を決定するための好ましい手段は、電圧クランプおよびパッチクランプ技術(例えば、「細胞付着」モード、「裏返し(inside−out)」モード、および「細胞全体」モード)で、電流における変化を測定すること(それによって、分極における変化を測定すること)による(例えば、Ackermanら,New Engl.J.Med.336:1575−1595(1997)を参照のこと)。細胞全体での電流は、標準的な方法(例えば、Hamilら,PFlugers.Archiv.391:85(1981)を参照のこと)を使用して、都合よく決定される。他の公知のアッセイとしては、以下が挙げられる:電圧感受性色素またはイオン感受性色素を使用する、放射性標識ルビジウムフラックスアッセイおよび蛍光アッセイ(例えば、Vestergarrd−Bogindら,J.Membrane Biol.88:67−75(1988);Danielら,J.Pharmacol.Meth.25:185−193(1991);Holevinskyら,J.Membrane Biology 137:59−70(1994)を参照のこと)。Slo2またはSlo4のポリペプチドを含むチャネルタンパク質を通したカリウムフラックスを阻害または増加させ得る化合物についてのアッセイは、本発明のチャネルを有する細胞と接触しているかまたはその細胞を含む浴槽溶液に、化合物を適用することによって実施され得る(例えば、Blatzら,Nature 323:718−720(1986);Park,J.Physiol.481:555−570(1994)を参照のこと)。一般に、試験される化合物は、1pM〜100mMの範囲で存在する。
【0189】
チャネル機能に対する試験化合物の効果を、電流もしくはイオンフラックスにおける変化によってか、または、電流およびフラックスにおける変化の結果によって、測定し得る。電流またはイオンフラックスにおける変化は、カリウムイオンまたはルビジウムイオンのようなイオンのフラックスにおける増加または減少のいずれかによって測定される。イオンは、種々の標準的な方法において測定され得る。イオンは、直接的に、イオンの濃度変化(例えば、細胞内濃度の変化)によってか、または間接的に、膜電位によるかもしくはイオンの放射性標識によって、測定され得る。イオンフラックスに対する試験化合物の結果は、大いに変動し得る。従って、任意の適切な生理学的変化を使用して、本発明のチャネルに対する試験化合物の影響を評価し得る。
【0190】
例えば、試験化合物の効果を、リガンド結合アッセイもしくは毒素結合アッセイによって測定し得る。伝達物質放出(例えば、ドパミン)、細胞内カルシウム変化、ホルモン放出(例えば、インスリン)、既知および未特定の遺伝子マーカーの両方に対する転写変化(例えば、ノーザンブロット)、細胞容量変化(例えば、赤血球)、免疫応答(例えば、T細胞活性化)、細胞代謝の変化(例えば、細胞の増殖またはpHの変化)、および細胞内第二メッセンジャー(例えば、サイクリックヌクレオチド)の変化のような、種々の効果もまた測定され得る。
【0191】
Slo2またはSlo4のオルトログ、対立遺伝子、多型性改変体、および保存的に改変された改変体は、一般的に、上記のような、Slo2またはSlo4のポリペプチドを含むチャネルに実質的に類似した特性を付与する。好ましい実施形態では、Slo2またはSlo4のホモログであると予想される化合物と接触して配置された細胞を、真核生物細胞(例えば、Xenopus(例えば、Xenopus laevis)の卵母細胞、または、哺乳動物細胞(例えば、CCHO細胞またはHeLa細胞))におけるイオンフラックスの増加または減少についてアッセイする。Slo2またはSlo4に類似した様式で、化合物により影響を及ぼされるチャネルは、Slo2またはSlo4のホモログまたはオルトログとみなされる。
【0192】
(動物モデル)
動物モデルはまた、カリウムチャネルモジュレーターについてのスクリーニングにおいて用途を見出す。トランスジェニック動物技術(適切な遺伝子標的化ベクターでの相同組換えの結果としての遺伝子ノックアウト技術または遺伝子の過剰発現を含む)は、Slo2またはSlo4のタンパク質の不在または発現増加を生じさせる。所望される場合には、Slo2またはSlo4のタンパク質の組織特異的発現またはノックアウトが必要とされ得る。このような方法によって作製されたトランスジェニック動物は、異常なイオンフラックスの動物モデルとしての用途を見出し、そしてさらに、カリウムチャネルのモジュレーターについてのスクリーニングにおいて有用である。
【0193】
(B.モジュレーター)
Slo2またはSlo4のサブユニットを含むSloチャネルのモジュレーターとして試験される化合物は、任意の有機低分子化合物、または生物学的実体(例えば、タンパク質(例えば、ペプチドまたは抗体)、糖、核酸(例えば、アンチセンス分子)、または脂質)であり得る。あるいは、超節因子は、Slo2またはSlo4サブユニットの遺伝子改変バージョンであり得る。代表的に、試験化合物は、有機低分子、抗体、アンチセンス分子およびペプチドである。本質的に任意の化合物が、本発明のアッセイにおいて、潜在的なモジュレーターまたはリガンドとして使用され得るが、しばしば大半の化合物は、水中に溶解され得るか、または有機(特に、DMSOに基づく)溶液が使用される。アッセイは、アッセイ工程を自動化すること、および都合のよい任意の供給源からアッセイに化合物を提供すること(これらは、代表的には並行して実行される)によって、大規模な化学ライブラリーをスクリーニングするように設計される(例えば、ロボットアッセイにおいて、マイクロタイタープレート上でのマイクロタイター形式において)。多くの化合物供給業者が存在することが理解され、これらとしては、Sigma(St.Louis,MO)、Aldrich(St.Louis,MO)、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、Fluka Chemika−Biochemica Analytika(Buchs Switzerland)などが挙げられる。
【0194】
一つの好ましい実施形態では、ハイスループットスクリーニング方法は、多数の潜在的治療化合物(潜在的なモジュレーターまたはリガンド化合物)を含む、コンビナトリアル化学ライブラリーまたはペプチドライブラリーを提供する工程を包含する。次いで、このような「コンビナトリアル化学ライブラリー」または「リガンドライブラリー」を、本明細書中に記載のように、1つ以上のアッセイにおいてスクリーニングして、所望される特徴的な活性を示すライブラリーメンバー(特に、化学種またはサブクラス)を同定する。このようにして同定された化合物は、従来の「リード化合物」として供され得るか、またはそれ自体が、潜在的な治療薬もしくは実際の治療薬として使用され得る。
【0195】
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬のような多数の化学的「ビルディングブロック(building block)」を組合わせることにより、化学的合成または生物学的合成のいずれかによって生成される多様な化合物の集合である。例えば、直線的なコンビナトリアル化学ライブラリー(例えば、ポリペプチドライブラリー)は、所定の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)について、あらゆる可能な様式で化学的ビルディングブロック(アミノ酸)のセットを組合わせることによって形成される。数百万の化合物が、化学的ビルディングブロックのこのようなコンビナトリアル混合を通して合成され得る。
【0196】
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者に周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーとしては、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka,Int.J.Pept.Prot.Res.37:487−493(1991)およびHoughtonら,Nature 354:84−88(1991)を参照のこと)が挙げられるが、これに限定されない。化学的多様性ライブラリーを生成するための他の化学もまた使用され得る。このような化学としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ペプトイド(peptoid)(例えば、PCT公開WO 91/19735)、コードペプチド(例えば、PCT公開WO 93/20242)、無作為生体オリゴマー(random bio−oligomer)(例えば、PCT公開WO 92/00091)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドのようなダイバーソマー(diversomer)(Hobbsら,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909−6913(1993))、ビニローグ(vinylogous)ポリペプチド(Hagiharaら,J.Amer.Chem.Soc.114:6568(1992))、グルコース足場を有する非ペプチド性ペプチド模倣物(Hirschmannら,J.Amer.Chem.Soc.114:9217−9218(1992))、小化合物ライブラリーの類似有機合成(Chenら,J.Amer.Chem.Soc.116:2661(1994))、オリゴカルバメート(oligocarbamate)(Choら,Science 261:1303(1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら,J.Org.Chem.59:658(1994))、核酸ライブラリー(Ausubel,BergerおよびSambrook(すべて前出)を参照のこと)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を参照のこと)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら,Nature Biotechnology,14(3):309−314(1996)およびPCT/US96/10287を参照のこと)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangら,Science,274:1520−1522(1996)および米国特許第5,593,853号を参照のこと)、有機低分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン,Baum C&EN,1月18日,33頁(1993);イソプレノイド,米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン(metathiazanone),米国特許第5,549,974号;ピロリジン,米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号;モルホリノ化合物,米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン,同第5,288,514号などを参照のこと)。
【0197】
コンビナトリアルライブラリーの調製のためのデバイスは、市販されている(例えば、357 MPS,390 MPS,Advanced Chem Tech,Louisville KY,Symphony,Rainin,Woburn,MA,433A Applied Biosystems,Foster City,CA,9050 Plus,Millipore,Bedford,MAを参照のこと)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリー自体が、市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,N.J.,Asinex,Moscow,Ru,Tripos,Inc.,St.Louis,MO,ChemStar,Ltd,Moscow,RU,3D Pharmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosciences,Columbia,MDなどを参照のこと)。
【0198】
一つの実施形態では、本発明は、ハイスループット形式での固相に基づくインビトロアッセイを提供する。ここでは、ヒトのSlo2またはSlo4のサブユニットを含むSloチャネルを発現する細胞または組織を、固相基材に付着させる。本発明のハイスループットアッセイでは、1日に、数千もの異なるモジュレーターまたはリガンドに対してスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルを使用して、選択された潜在的モジュレーターに対して別個のアッセイを実行し得るか、または、濃度またはインキュベーション時間の効果を観察する場合には、5〜10個毎のウェルで単一のモジュレーターを試験し得る。従って、単一の標準的なマイクロタイタープレートは、約96個のモジュレーターをアッセイし得る。1536ウェルプレートを使用する場合、単一のプレートで、約100〜約1500個の異なる化合物を容易にアッセイし得る。1日につき多数のプレートをアッセイすることが可能である;約6,000個、20,000個、50,000個または100,000個までか、またはそれより多くの異なる化合物についてのアッセイスクリーニングが、本発明の組み込み型システムを使用して可能である。
【0199】
(C.固体状態および可溶性のハイスループットアッセイ)
一つの実施形態において、本発明は、例えば、天然に存在するかまたは組換えのいずれかである、Slo2もしくはSlo4のポリペプチドを含む単離されたカリウムチャネル;Slo2もしくはSlo4のカリウムチャネルを含む膜、またはSlo2もしくはSlo4のポリペプチドを含むカリウムチャネルを発現する細胞もしくは組織を使用する、ハイスループット可溶性アッセイを提供する。別の実施形態では、本発明は、ハイスループット形式での固相に基づくインビトロアッセイを提供する。ここでは、Slo2またはSlo4のカリウムチャネルを、固相基材に付着させる。別のアッセイでは、チャネルを含む細胞膜または細胞を、固相基材に付着させ得る。さらに別の実施形態では、試験化合物を、固相基材に付着させる。
【0200】
本発明のハイスループットアッセイにおいて、1日で数千の異なるモジュレーターまたはリガンドをスクリーニングすることが可能である。詳細には、マイクロタイタープレートの各ウェルを使用して、選択された潜在的モジュレーターに対する別々のアッセイを行い得るか、または濃度効果もしくはインキュベーション時間効果が観察される場合、5〜10のウェル毎に、単一のモジュレーターを試験し得る。従って、単一の標準マイクロタイタープレートで、約100(例えば、96)のモジュレーターをアッセイし得る。1536ウェルプレートを使用する場合、単一のプレートは、約100〜約1500の異なる化合物を容易にアッセイし得る。本発明の一体化されたシステムを使用して、1日あたり多くのプレートをアッセイすることが可能であり;約6,000、20,000、50,000、または100,000より多くの異なる化合物についてのスクリーニングアッセイを行うことが可能である。
【0201】
目的のチャネル、または目的のチャネルを含む細胞もしくは膜は、固体状態成分に、直接または間接的に、共有結合または非共有結合を介して(例えば、タグ(tag)を介して)結合され得る。このタグは、種々の成分のいずれかであり得る。一般的には、タグを結合する分子(タグバインダー)は、固体支持体に固定され、そして目的のタグ化された分子(例えば、目的の味覚伝達分子)は、タグとタグバインダーとの相互作用により固体支持体に結合される。
【0202】
多数のタグおよびタグバインダーは、文献に十分に記載されている公知の分子相互作用に基づいて、使用され得る。例えば、タグが天然のバインダー(例えば、ビオチン、プロテインA、またはプロテインG)を有する場合、これらは、適切なタグバインダー(アビジン、ストレプトアビジン、ノイトラビジン(neutravidin)、免疫グロブリンのFc領域など)と組み合わせて使用され得る。ビオチンのような天然バインダーを有する分子に対する抗体はまた、広く利用可能であり、そして適切なタグバインダーである;SIGMA Immunochemicals 1998 catalogue SIGMA(St.Louis MO.)を参照のこと。
【0203】
同様に、任意のハプテン化合物または抗原性化合物を、適切な抗体を組み合わせて使用して、タグ/タグバインダー対を形成し得る。数千の特異的抗体が市販されており、多くのさらなる抗体が文献に記載されている。例えば、1つの一般的な構成において、このタグは、一次抗体であり、そしてタグバインダーは、この一次抗体を認識する二次抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、レセプター−リガンド相互作用もまた、タグおよびタグ−バインダー対として適切である。例えば、細胞膜レセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば、トランスフェリン、c−kit、ウイルスレセプターリガンド、サイトカインレセプター、ケモカインレセプター、インターロイキンレセプター、免疫グロブリンレセプターおよび抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなどのような細胞レセプター−リガンド相互作用);例えば、Pigott&Power,The Adhesion Molecule Facts Book I(1993)を参照のこと。同様に、毒素および毒物、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、アヘン剤、ステロイドなど)、細胞内レセプター(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびビタミンD;ペプチドを含む、種々の小リガンドの効果を媒介するレセプター)、薬物、レクチン、糖類、核酸(線状ポリマーおよび環状ポリマーの配置)、オリゴ糖類、タンパク質、リン脂質および抗体は、全て種々の細胞レセプターと相互作用し得る。
【0204】
合成ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテート)はまた、適切なタグまたはタグバインダーを形成し得る。多くのその他タグ/タグバインダー対はまた、本明細書の開示を検討する際に当業者に明らかになるように、本明細書に記載されるアッセイ系において有用である。
【0205】
ペプチド、ポリエーテルなどのような一般的なリンカーはまた、タグとして役立ち得、そしてこれらとしては、約5〜200の間のアミノ酸のポリgly配列のような、ポリペプチド配列を含む。このような可撓性のリンカーは、当業者に公知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers,Inc.Huntsville,Alabamaから入手可能である。これらのリンカーは、必要に応じてアミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ官能性結合を有する。
【0206】
タグバインダーは、現在利用可能な種々の方法のいずれかを使用して固体基材の固定される。固体基材は、一般的には基材の全てまたは一部を化学薬品に曝露することにより誘導体化されるかまたは官能基化され、この化学薬品は、化学基を、タグバインダーの一部と反応性である表面に固定する。例えば、より長い鎖部分への結合に適した基としては、アミン、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシル基が挙げられる。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランを使用して、種々の表面(例えば、ガラス表面)を官能基化し得る。このような固相生体高分子アレイの構築は、文献に十分に記載される。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154(1963)(例えば、ペプチドの固相合成を記載する);Geysenら,J.Immun.Meth.102:259−274(1987)(ピン上の固相成分の合成を記載する);Frank&Doring,Tetrahedron 44:60316040(1988)(セルロースディスク上の種々のペプチド配列の合成を記載する);Fodorら,Science,251:767−777(1991);Sheldonら,Clinical Chemistry 39(4):718−719(1993);およびKozalら,Nature Medicine 2(7):753−759(1996)(全て固体基材に固定された生体高分子のアレイを記載する)。基材にタグバインダーを固定するための非化学的アプローチとしては、その他の一般的な方法(例えば、加熱、UV照射による架橋など)が含まれる。
【0207】
(VII.SLO2またはSLO4を使用する、コンピュータ支援薬物設計) Slo2チャネルまたはSlo4チャネルの活性を調節する化合物に関するさらに別のアッセイは、コンピュータ支援薬物設計を含み、ここでコンピュータシステムは、アミノ酸配列によりコードされる構造情報に基づいて、Slo2またはSlo4の3次元構造を生成するために使用される。入力アミノ酸配列は、コンピュータプログラムにおいて予め確立されたアルゴリズムと直接的かつ能動的に相互作用して、そのタンパク質の2次、3次、および4次の構造モデルを生じる。次いで、タンパク質構造のモデルは、例えば、リガンドまたはその他のカリウムチャネルサブユニットを結合する能力を有する構造の領域を同定するために試験される。次いで、これらの領域を使用して、Slo2もしくはSlo4が他のカリウムチャネルサブユニットと相互作用するタンパク質または領域に結合するリガンドを同定するために使用される。
【0208】
このタンパク質の3次元構造モデルは、少なくとも25、50、75または100またはそれより多くのアミノ酸残基のチャネルタンパク質アミノ酸配列またはSlo2またはSlo4モノマーをコードする対応する核酸配列を、コンピューターシステムに入力することにより、生成される。このモノマーの各々のアミノ酸配列は、配列番号2もしくは4、およびその保存的に改変されたバージョン、または保存された領域(例えば、孔ループまたはテールドメイン)を含むその免疫原性部分からなる群から選択される。このアミノ酸配列は、各タンパク質の一次配列または部分配列を示し、このアミノ酸配列は、このタンパク質の構造情報をコードする。少なくとも25、50、75または100残基のアミノ酸配列(または、25、50、75または100アミノ酸をコードするヌクレオチド配列)は、コンピュータキーボード、コンピュータ読み取り可能な基材からコンピュータシステムに入力される。コンピュータ読み取り可能な基材としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、およびチップ)、光媒体(例えば、CD ROM)、インターネットサイトにより配信される情報、ならびにRAMが挙げられるが、これらに限定されない。次いで、チャネルタンパク質の3次元構造モデルは、アミノ酸配列とコンピュータシステムとの相互作用により、当業者に公知のソフトウエアを使用して生成される。次いで、得られた3次元コンピュータモデルは、コンピュータ読み取り可能基材に保存され得る。
【0209】
このアミノ酸配列は、モノマーの2次、3次および4次構造ならびに4つのモノマーを含むヘテロマーカリウムチャネルタンパク質を形成するために必要な情報をコードする一次構造を示す。ソフトウエアは、この1次配列によりコードされる特定のパラメータを調べて構造モデルを生成する。これらのパラメータは、「エネルギー項」または異方性項と呼ばれ、主に静電ポテンシャル、疎水性ポテンシャル、溶媒接近可能表面、および水素結合を含む。二次エネルギー項は、van der Waalsポテンシャルを含む。生物学的分子は、累積様式において、エネルギー項を最小にする構造を形成する。従って、コンピュータプログラムは、1次構造またはアミノ酸配列によりコードされるこれらの項を使用して、2次構造モデルを生成する。
【0210】
次いで、2次構造によりコードされるタンパク質の3次構造は、2次構造のエネルギー項を元にして形成される。ユーザは、この時点で、そのタンパク質が膜結合性もしくは可溶性のどちらであるか、体内での位置、およびその細胞の位置(例えば、細胞質、表面または核)のようなさらなる変数を入力し得る。これらの変数は、2次構造のエネルギー項と共に、3次構造のモデルを形成するために使用される。3次構造モデリングにおいて、コンピュータプログラムは、同種の2次構造の疎水性面を照合し、そして同種の2次構造の親水性面を照合する。
【0211】
一旦、構造が生成されると、有力なリガンド結合領域が、コンピュータシステムにより同定される。有力なリガンドについての3次元構造は、上記のように、アミノ酸配列もしくはヌクレオチド配列、または化合物の化学式を入力することにより生成される。有力なリガンドの3次元構造は、次いでSlo2またはSlo4に結合するリガンドを同定するためにSlo2またはSlo4タンパク質の3次元構造と比較される。タンパク質とリガンドとの結合親和性は、どのリガンドがタンパク質に対する結合の増大した可能性を有するかを決定するために、エネルギー項を使用して決定される。
【0212】
コンピュータシステムはまた、Slo2遺伝子またはSlo4遺伝子の変異、多形改変体、対立遺伝子および種間ホモログについてスクリーニングするために使用される。このような変異は、疾患状態に関連し得る。一旦、改変体が同定されると、診断アッセイを使用して、疾患状態に関連したこのような変異した遺伝子を有する患者を同定し得る。変異したSlo2遺伝子またはSlo4遺伝子の同定は、第1の核酸(例えば、配列番号1または3)またはSlo2またはSlo4をコードするアミノ酸配列(例えば、配列番号2または4)、および保存的に改変されたそれらのバージョン、または保存領域を含むアミノ酸配列(例えば、孔ループまたはテールドメイン)の入力を受信することを含む。この配列は、上記のようにコンピュータシステムに入力される。第1の核酸またはアミノ酸配列は、次いで第1の配列との実質的な同一性を有する第2の核酸またはアミノ酸配列と比較される。この第2の配列は、上記の様式でコンピュータシステムに入力される。一旦この第1の配列および第2の配列が比較されると、これらの配列の間のヌクレオチドまたはアミノ酸の差異が.同定される。このような配列は、Slo2遺伝子またはSlo4遺伝子(好ましくはヒトのSlo2遺伝子またはSlo4遺伝子)おける対立遺伝子の差異および疾患状態に関連する変異を示し得る。上記の第1および第2の配列は、コンピュータ読み取り可能な基材に保存され得る。
【0213】
Slo2またはSlo4モノマーをコードする核酸を、高密度オリゴヌクレオチドアレイ技術(例えば、GeneChipTM)と共に使用して、本発明におけるSlo2またはSlo4のホモログ、オルソログ、対立遺伝子、保存的に改変された改変体、および多型改変体を同定し得る。同定されるホモログが、公知の疾患に関連する場合、これらのホモログは、GeneChipTMと共に診断ツールとして生物学的サンプル中における疾患を検出する際に使用され得る(例えば、Gunthandら、AIDS Res.Hum.Retroviruses 14:869−876(1998);Kozalら、Nat.Med.2:753−759(1996);Matsonら、Anal.Biochem.224:110−106 (1995);Lockhartら、Nat.Biotechnol.14:1675−1680(1996);Gingerasら、Genome Res.8:435−448(1998);Haciaら、Nucleic Acids Res.26:3865−3866(1998)を参照のこと。
【0214】
(VIII.細胞トランスフェクションおよび遺伝子治療)
本発明は、インビトロおよびインビボでの細胞のトランスフェクションのためのSlo2またはSlo4の核酸を提供する。これらの核酸は、以下に記載されるような標的細胞および生物のトランスフェクションのために多数の周知のベクターのいずれかに挿入され得る。この核酸は、ベクターと標的細胞との相互作用により、エキソビボまたはインビボで細胞にトランスフェクトされる。Slo2またはSlo4の核酸は、プロモーターの制御下で、次いで本発明のSlo2モノマーまたはSlo4モノマーを発現し、これによりSlo2またはSlo4遺伝子の非存在、部分的不活化、または異常発現の影響を緩和する。組成物は、患者における治療的応答を惹起するのに十分な量で患者に投与される。これを達成するために適切な量は、「治療有効用量または治療有効量」として定義される。
【0215】
このような遺伝子治療手順は、多数の状況において、後天性および先天性の遺伝子欠損、癌、およびウイルス感染を修正するために使用されてきた。ヒトにおいて人工遺伝子を発現する能力は、その他の治療による処置に影響を受けない多くの疾患を含む、多くの重要なヒトの疾患の予防および/または治癒を促進する(遺伝子治療手順の概説については、Anderson,Science 256:808−813(1992);Nabel&Felgner,TIBTECH 11:211−217(1993);Mitani&Caskey,TIBTECH 11:162−166(1993);Mulligan,Science 926−932(1993);Dillon,TIBTECH 11:167−175(1993);Miller,Nature 357:455−460(1992);Van Brunt,Biotechnology 6(10):1149−1154(1998);Vigne,Restorative Neurology and Neuroscience 8:35−36(1995);Kremer&Perricaudet,British Medical Bulletin 51(1):31−44(1995);Haddadaら,in Current Topics in Microbiology and Immunology (Doerfler&Boehm編,1995);およびYuら,Gene Therapy 1:13−26(1994)を参照のこと)。
【0216】
遺伝子または遺伝物質の細胞への送達は、疾患の遺伝子治療処置における第1の段階である。多数の送達方法が当業者に周知である。好ましくは、核酸は、インビボまたはエキソビボの遺伝子治療用途のために投与される。非ウイルスベクター送達系としては、DNAプラスミド、裸の核酸、および送達ビヒクル(例えばリポソーム)と複合体化した核酸が挙げられる。ウイルスベクター送達系としては、DNAウイルスおよびRNAウイルスが挙げられ、これらは、細胞への送達後もエピソームゲノムまたは組み込まれたゲノムのいずれかを有する。
【0217】
核酸の非ウイルス送達の方法としては、リポフェクション、マイクロ注入、バイオリスティクス(biolistics)、ビロソーム(virosome)、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸結合体、裸のDNA,人工ビリオン、およびDNAの因子増強取り込みが挙げられる。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、米国特許第4,946,787号;および米国特許第4,897,355号に記載され、そしてリポフェクション試薬は、市販されている(例えば、TransfectamTMおよび LipofectinTM)。ポリヌクレオチドの効率的なレセプター認識リポフェクションに適切なカチオン性脂質および中性脂質としては、Felgnerの脂質(WO91/17424、WO91/16024)が挙げられる。送達は、細胞へ(エキソビボ投与)かまたは標的組織へ(インビボ投与)の送達であり得る。
【0218】
脂質:核酸複合体(イムノリピド複合体のような標的化リポソームを含む)の調製は、当業者に周知である(例えば、Crystal,Science 270:404−410(1995);Blaeseら,Cancer Gene Ther.2:291−297(1995);Behrら,Bioconjugate Chem.5:382−389(1994);Remyら,Bioconjugate Chem.5:647−654(1994);Gaoら,Gene Therapy 2:710−722(1995);Ahmadら,Cancer Res.52:4817−4820(1992);米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、および同第4,946,787号を参照のこと)。
【0219】
核酸の送達のためのRNAウイルスベースまたはDNAウイルスベースの系の使用は、ウイルスを体内の特定の細胞に標的化し、そしてウイルスのペイロード(payload)を核へ輸送するための高度に進化したプロセスを利用する。ウイルスベクターは、直接患者に投与されるか(インビボ)、またはウイルスベクターを使用してインビトロで細胞を処理するために使用され得、改変された細胞が患者に投与される(エキソビボ)。核酸の送達のための従来のウイルスベースの系は、遺伝子移入のためにレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび単純疱疹ウイルスのベクターを含み得た。ウイルスベクターは、現在では最も有効で多目的な、標的細胞および組織への遺伝子移入方法である。宿主ゲノムへの取り込みは、レトロウイルス、レンチウイルス、およびアデノ随伴ウイルス遺伝子移動方法で可能であり、しばしば挿入された導入遺伝子の長期の発現をもたらす。さらに、高い導入効率が、多くの異なる細胞型および標的組織において観察された。
【0220】
ウイルス(例えば、レトロウイルス)の向性は、外来エンベロープタンパク質を組み込み、標的細胞の潜在的標的集団を増殖させることにより改変され得る。レンチウイルスベクターは、分裂していない細胞を形質導入し得るか、または分裂していない細胞に感染し得、そして代表的には高いウイルス力価を生じ得るレトロウイルスベクターである。従って、レトロウイルス遺伝子移入系の選択は、標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、6〜10kbまでの外来配列についてのパッケージング能を有するシス作用性長末端反復から構成される。最小のシス作用性LTRが、ベクターの複製およびパッケージングに十分であり、次いで、このLTRは、標的細胞へ治療遺伝子を組み込むために用いられて、永続的な導入遺伝子発現が提供される。広く用いられるレトロウイルスベクターとしては、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(gibbon ape leukemia virus)(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびこれらの組み合わせ(例えば、Buchscherら,J.Virol.66:2731−2739(1992);Johannら,J.Virol.66:1635−1640(1992);Sommerfeltら,Virol.176:58−59(1990);Wilsonら,J.Virol.63:2374−2378(1989);Millerら,J.Virol.65:2220−2224(1991);PCT/US94/05700を参照のこと)に基づくベクターが挙げられる。
【0221】
核酸の一時的な発現が好ましい適用において、アデノウイルスベースの系が、代表的には用いられる。アデノウイルスベースのベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率の能力があり、細胞分裂を要しない。このようなベクターを用いて、高い力価および高いレベルの発現が得られた。このベクターは、比較的単純な系において多量に生成することができる。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターはまた、標的核酸を用いて細胞を形質導入するために(例えば、核酸およびペプチドのインビトロ生成において、ならびにインビボおよびエキソビボでの遺伝子治療手順のために)用いられる(例えば、Westら,Virology 160:38−47(1987);米国特許第4,797,368号;WO93/24641;Kotin,Human Gene Therapy 5:793−801(1994);Muzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)を参照のこと)。組換えAAVベクターの構築は、多くの刊行物(米国特許第5,173,414号;Tratschinら,Mol.Cell Biol.5:3251−3260(1985);Tratschinら,Mol.Cell.Biol.4:2072−2081(1984);Hermonat&Muzyczka,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6466−6470(1984);およびSamulskiら,J.Virol.63:03822−3828(1989)が挙げられる)において記載される。
【0222】
遺伝子治療ベクターは、以下に記載されるように、個々の患者への投与により(代表的には、全身性投与(例えば、静脈内注入、腹腔内注入、筋肉内注入、皮下注入、または頭蓋内注入)により、または局所投与により)インビボで送達され得る。あるいは、ベクターは、エキソビボで個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引、組織生検)または万能給血者の造血幹細胞に送達され得、続いて、(通常は、ベクターが組み込まれた細胞を選択した後に)患者に細胞が再移植され得る。
【0223】
診断、研究、または遺伝子治療(例えば、トランスフェクトした細胞の宿主生物への再注入による)のためのエキソビボ細胞トランスフェクションは、当業者に周知である。好ましい実施形態において、細胞が、被験体生物から単離され、核酸(遺伝子またはcDNA)を用いてトランスフェクトされ、被験体生物(例えば、患者)に再注入されて戻される。エキソビボトランスフェクションに適切な種々の細胞型が、当業者に周知である(例えば、Freshneyら,Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique(第3版、1994)および患者から細胞を単離し、培養する方法の議論については、そこに引用される参考文献を参照のこと)。
【0224】
治療核酸を含むベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソームなど)はまた、インビボで細胞を形質導入するために、生物に直接投与され得る。あるいは、裸のDNAが投与され得る。投与は、分子を導入して、血液または組織細胞に最終的に接触させるために通常用いられる任意の経路による。このような核酸を投与する適切な方法が利用可能であり、かつ当業者に周知である。1を超える経路が特定の組成物を投与するために用いられ得るが、特定の経路が、しばしば、別の経路より即座かつより有効な反応を提供し得る。
【0225】
投与は、分子を導入して、血液または組織細胞に最終的に接触させるために通常用いられる任意の経路による。核酸は、任意の適切な様式で、好ましくは、薬学的に受容可能なキャリアとともに投与される。このような核酸を投与する適切な方法が利用可能であり、かつ当業者に周知である。1を超える経路が特定の組成物を投与するために用いられ得るが、特定の経路が、しばしば、別の経路より即座かつより有効な反応を提供し得る。
【0226】
(IX.薬学的組成物および投与)
薬学的に受容可能なキャリアは、投与される特定の組成物(例えば、核酸、タンパク質、調節性化合物または形質導入された細胞)、およびこの組成物を投与するために用いられる特定の方法により、一部決定される。従って、本発明の薬学的組成物の広範な適切な処方が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,1989)。投与は、任意の従来の様式(例えば、注射、経口投与、吸入、経皮適用または直腸投与による)であり得る。
【0227】
経口投与に適切な処方物は、以下からなり得る:(a)液体溶液(例えば、希釈液(例えば、水、生理食塩水またはPEG400)中に懸濁された、有効量のパッケージングされた核酸);(b)カプセル、サシェまたは錠剤(各々が、液体、固体、顆粒またはゼラチンとして所定量の活性成分を含む);(c)適切な液体中の懸濁物;および(d)適切な乳濁液。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド性二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、矯味矯臭剤、色素、崩壊剤、および薬学的に適合性のキャリアのうちの1以上を含み得る。ロゼンジ形態は、香料(flavor)(例えば、スクロース)中に活性成分を含み得、ならびに、香錠は、活性成分に加えて、当該分野で公知のキャリアを含む不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア乳濁液、ゲルなど)中に活性成分を含む。
【0228】
選択した化合物(単独か、または他の適切な成分と組み合わせられる)は、吸入を介して投与されるエアロゾル処方物(すなわち、霧状にされ得る)に作製され得る。エアロゾル処方物は、加圧された受容可能なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)に入れられ得る。
【0229】
例えば、関節内(関節中)経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、腹腔内経路、および皮下経路のような非経口投与に適切な処方物としては、水性および非水性の、等張滅菌注射溶液(これは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および処方物を意図されたレシピエントの血液と等張性にする溶質を含み得る)、水性および非水性の滅菌懸濁液(懸濁剤、可溶化剤、濃稠化剤、安定化剤ならびに保存剤を含み得る)が挙げられる。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注入、経口投与、局所投与、腹腔内投与、嚢内投与、または髄腔内投与により投与され得る。非経口投与および静脈内投与は、好ましい投与方法である。推奨される処方物は、単位用量または複数用量が密封された容器(例えば、アンプルおよびバイアル)中で与えられ得る。
【0230】
注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および以前記載された種類の錠剤から調製され得る。エキソビボ治療のための核酸により形質導入された細胞はまた、上記のように、静脈内投与または非経口投与され得る。
【0231】
本発明の状況において、患者に投与される用量は、経時的に患者に有益な治療的応答をもたらすに十分であるはずである。この用量は、用いられる特定のベクターの効率および患者の状態、ならびに処置される患者の体重または表面積により決定され得る。用量の大きさはまた、特定のベクターの投与に付随する任意の有害な副作用の存在、性質、および程度、または特定の患者における形質導入された細胞型により決定される。
【0232】
Slo2サブユニットまたはSlo4サブユニットを含むSloチャネルの減少した発現または異常な発現に起因した状態の処置または予防において投与されるベクターの有効量を決定する際に、医師は、ベクターの循環血漿レベル、ベクター毒性、疾患の進行度および抗ベクター抗体の生成を評価する。一般に、ベクターに由来する裸の核酸に等しい用量は、代表的な70kgの患者に対して、約1μg〜約100μgであり、レトロウイルス粒子を含むベクターの用量は、等価な量の治療核酸を生じるように計算される。
【0233】
投与のために、本発明の化合物および形質導入細胞が、患者の体重および全体的な健康状態に対して適用される、インヒビター、ベクターまたは形質導入細胞型のLD50、および種々の濃度のインヒビター、ベクターまたは細胞型の副作用により決定される割合で投与され得る。投与は、単回用量または分割された用量を介して達成され得る。
【0234】
(X.キット)
ヒトSlo2またはSlo4およびそれらのホモログは、カリウムチャネルの発現および調節を試験するために有用なツールである。hSlo2核酸またはhSlo4核酸に特異的にハイブリダイズするヒトSlo2特異的またはSlo4特異的試薬(例えば、hSlo2またはhSlo4のプローブおよびプライマー)、ならびにhSlo2タンパク質またはhSlo4タンパク質に特異的に結合するhSlo2特異的試薬またはhSlo4特異的試薬(例えば、hSlo2抗体またはhSlo4抗体)は、発現および調節を試験するために用いられる。
【0235】
サンプル中のhSlo2またはhSloのDNAおよびRNAの存在についての核酸アッセイとしては、例えば、サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット、RNase保護、S1分析、増幅技術(例えば、PCRおよびLCR)、およびインサイチュハイブリダイゼーションのような当業者に公知の多くの技術が挙げられる。例えば、インサイチュハイブリダイゼーションにおいて、標的核酸は、その後の解釈および分析にのために細胞形態を維持しながら細胞内のハイブリダイゼーションに利用可能であるようなその細胞周辺から遊離される。以下の論文は、インサイチュハイブリダイゼーションの分野の概説を提供する:Singerら、Biotechniques 4:230−250(1986);Haaseら、Methods in Virology,第VII巻,189−226頁(1984);およびNucleic Acid Hybridization:A Practical Approach(Hamesら編、1987)。さらにhSlo2タンパク質またはhSlo4タンパク質は、上記の種々の免疫アッセイ技術を用いて検出され得る。試験サンプルは、代表的には、ポジティブコントロール(例えば、組換えSlo2モノマーまたは組換えSlo4モノマーを発現するサンプル)およびネガティブコントロールの両方と比較され得る。
【0236】
本発明はまた、本発明のカリウムチャネルのモジュレーターをスクリーニングするためのキットを提供する。このようなキットは、容易に入手可能な材料および試薬から調製され得る。例えば、このようなキットは、以下の材料のうちのいずれか1以上を含み得る:Slo2モノマーまたはSlo4モノマー、反応チューブ、およびSlo2またはSlo4を含むカリウムチャネルの活性を試験するための説明書。広範なキットおよび構成成分が、キットの意図されたユーザーおよびこのユーザーの特定の必要性に依存して、本発明に従って調製され得る。例えば、キットは、Slo2モノマーまたはSlo4モノマーを含むカリウムチャネルの活性を測定するためのインビトロアッセイまたはインビボアッセイのためにテーラーメイドで作製され得る。
【0237】
本明細書中に引用された全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、具体的かつ個々に援用されることが示されているかのように、本明細書中に参考として援用される。
【0238】
前述の発明は、理解を明瞭にする目的で例示および例によって幾分詳細に記載されてきたが、本発明の教示に鑑みて、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に対して行われ得ることは、当業者に容易に明らかである。
【0239】
(実施例)
以下の実施例は、例示のみにより提供されるのであって、限定されるものとして提供されない。当業者は、本質的に類似の結果が得られるように、変更または改変され得る種々の重要ではないパラメーターを認識する。
【0240】
(実施例1:ヒトSlo2のクローニングおよび発現)
(A.クローニング)
ヒトSlo2配列のフラグメントを、ヒトSlo1(大きいコンダクタンスのカルシウム活性化カリウムチャネル)のアミノ酸配列に対する相同性を検索するために、BLASTにより、NCBIのヒトESTデータベースにおいて同定した。Slo2の1つのESTであるR87855を同定し、取り寄せ、完全に配列決定した。このクローンは、Slo1配列(Slo1は、長さが3Kbを超える)に含まれる長いC末端細胞質ドメインに対して相同性を有する、約700bpの配列を含んでいた。この遺伝子の5’末端も3’末端も、このクローン中には存在せず、このことは、このクローンがSlo2遺伝子のごく小さなフラグメントを示すことが示唆される。cDNAを、既にSlo2と名付けられたC.elegansカリウムチャネルと最も大きな相同性を共融したので、Slo2と名付けた。しかし、ヒトSlo2およびC.elegans遺伝子は、オルソログではないことに注意のこと。
【0241】
ヒトSlo2遺伝子の3’末端は、テンプレートとしてヒト海馬cDNAを用いてRACE PCRをネストで(nested)2回行ってクローニングした。RACE PCRは、遺伝子特異的オリゴを、cDNAのプールに存在する非特異的タグに対するオリゴとともに用いて、そのプールに由来する遺伝子の末端を増幅する技術である。1回目において、用いた遺伝子特異的センスプライマーは、5’−CACCACGGAGCTCACCCACCCTTCC−3’(1)(配列番号5)であった。次いで、この反応系の少量のアリコートを、(1)の3’側をネスト化したSlo2遺伝子特異的センスオリゴ:5’−CGCGTCTTCAGCATCAGCATGTTGGAC−3’(2)(配列番号6)を用いて再増幅した。両方の遺伝子特異的オリゴを、R87855 ESTクローンの配列から得た。約600bp〜約2Kbにわたる4つのcDNAを単離し、配列決定した。約1.8Kbのフラグメントを配列決定し、Slo2コード領域の3’末端および3’UTR配列を含むことが見出された。
【0242】
数回の5’RACE PCRを用いて、ヒトSlo2の5’末端の大部分をクローニングした。まず、2回のネスト5’RACE PCRを用いて、R87855 EST配列に基づくSlo2特異的アンチセンスオリゴを用いて、ヒト海馬cDNAライブラリーから約500bpのSlo2フラグメントを増幅した。最初の回において、使用した遺伝子特異的アンチセンスオリゴは、5’−CTGGTAGAGCAGTGTGTCCAACATGCTG−3’(3)(配列番号7)であった。この反応系の少量のアリコートを、より大きな5’Slo2アンチセンスオリゴ:5’−ACTGCATGAAGCGCATGTTGGAAGGGTG−3’(4)(配列番号8)を用いて再増幅して、フラグメントを得た。このフラグメントは、C.elegans Slo2遺伝子に対する有意な相同性を含んでいたが、明らかに、5’完全cDNAを示さなかった。
【0243】
2つの新たなSlo2アンチセンスオリゴを、この約500kbフラグメントの5’末端に基づいて設計した。
【0244】
2回のネスト(ネスティド(nested))5’RACE PCRを用い、これらのオリゴを使用して約1Kbの長さのフラグメントを得た。1回目に用いた遺伝子特異的アンチセンスオリゴは、5’−CCCATTGCCGGCCGTCTCTGCCGAG−3’(5)(配列番号9)であった。この反応物の小さなアリコートを、より5’のSlo2アンチセンスオリゴ5’−CTTGAACCCGTAGGCCTTGGCGTCTTC−3’(6)(配列番号10)を用いて増幅して、1Kbのフラグメントを得た。これらのフラグメントは、C.elegans Slo2に対して30%を超える同一性を有し、Slo1に対しては低いレベルの相同性を有するアミノ酸をコードしていた。これらのフラグメントは、不完全なcDNAを示した。なぜならば、このフラグメントは、C.elegans Slo2遺伝子の中央(これは、ヒトSlo2フラグメントに相同な領域の上流の1Kbを超えるコード配列を含む)に対して相同であるからである。この5’PCRを、上記5’RACE PCRフラグメントから得た、最も5’側の配列に基づく2つの新規のヒトSlo2特異的アンチセンスオリゴを用いて繰り返した。用いたこの新規のオリゴは、1回目において、5’−CACACCACGTGGTCAGCAAACTTGACG−3’(7)(配列番号11)であり、そして2回目において、5’−GCAGTTGGGGGCGAAGTCCTTCACGG−3’(8)(配列番号12)であった。約1.2Kbのフラグメントを、2回目の反応物から単離し、そして配列決定した。このバンドは、C.elegans Slo2の5’領域に対する相同性を含むが、明白な開始コドンを含まないことが見出された。新規にクローン化したラット遺伝子であるラットSLACK(Joinerら、Nat.Neurosci.1:462−9(1998))に対する比較もまた、ヒトSlo2配列が、おそらく5’不完全であったことを示した。Joinerらによりクローン化されたcDNAは、90%を超えるアミノ酸同一性を共有するヒトSlo2のラットオルソオグであるようであった。
【0245】
上記の全てのRACE PCRを産物を、比較的標準的な条件のセットの下で、生成した。変性を、95℃にて15秒間実行し、72〜60℃の範囲の温度にて15秒間アニーリングし、そして伸長を、産物の長さに依存して72℃にて90秒〜3分間実行した。35〜40サイクルのPCRからなる1回目のRACE反応は、20〜30サイクルからなる再増幅をネストした。
【0246】
5’側が不完全である(しかしその他は全長である)ヒトSlo2配列を含むクローンを、オーバーラップ(overlap)伸長PCRを用いて構築し、そして3つのSlo2フラグメントを、ヒト海馬cDNAから増幅した。約1.3Kbの5’フラグメントを、センスオリゴ5’−CACCTTCAAGGAGCGGCTCAAGCTG−3’(9)(配列番号13)およびアンチセンスオリゴ5’−GACGTGTGCACCAGCAGGGTGATGAG−3’(10)(配列番号14)を用いて増幅した。Slo2配列の中央を、オリゴ(センス)5’−GTTTCACGTCAAGTTTGCTGACCACG−3’(11)(配列番号15)およびオリゴ(アンチセンス)5’−CCGTACGTGCGGATCCACAGGTCG−3’(12)(配列番号16)を用いて1.55Kbフラグメントとして増幅した。Slo2コード配列の3’末端を、センスオリゴ5’−CGTGAAGGACTACATGATCACCATC−3’(13)(配列番号17)およびアンチセンスオリゴ
【0247】
【化7】
Figure 2005507633
(14)(配列番号18)を用いて増幅して、800bpのフラグメントを生成した。後者のオリゴは、予想Slo2終止コドンおよびSlo2コードの3’末端(太字)、ならびに5’末端にサブクローニングのためのXbaI部位を含む。Slo2に対応する太字の配列のみを、Slo2を増幅するために用いることに注目すべきである。これらのフラグメントを、2回の標準的なオーバーラップ伸長PCRを用いて、単一のフラグメントにアセンブルした。初めに、5’および中央のフラグメントを混合し、そしてオリゴ9および12を用いて増幅して、約2.8Kbのフラグメントを生成した。同様に、中央および3’末端のフラグメントを混合し、そしてオリゴ11および14を用いて増幅して、約2.3Kbのフラグメントを生成した。次いで、これらの2つのより大きなフラグメントを混合し、そしてオリゴ9および14を用いて増幅して、全ての既知のヒトSlo2配列を含む3.5Kbのフラグメントを生成した。このフラグメントをプラスミドベクターにクローン化し、そして複数のクローンを配列決定して、この領域に関する最終的なヒトSlo2配列を決定した。Slo2のコード領域を増幅するために用いた条件は、Slo2 RACE反応について上記した条件に類似した。1つの顕著な例外は、所望のフラグメントの大きなサイズに起因して、より長い伸長時間(4分)がオーバーラップ反応の間に許容されたことである。
【0248】
ヒトSlo2についての潜在的な5’末端を、公に利用可能なヒトゲノムDNA配列に対してラットSLACK配列をBLAST検索することにより同定した。ラットSlackのアミノ酸1〜52をコードするDNA配列に対して相同なエキソンを同定した。Rat SLACKに対する相同性に基づいて、このエキソンは、ヒトSlo2コード配列の5’末端を含んでいた。完全な推定ヒトSlo2コード配列を、本明細書中に記載される3.5Kb構築物の配列、5’末端エキソン、およびBLAST検索において同定した2つの他のエキソンを用いて構築した。この完全コード配列 対 ヒトSlo2ゲノム配列のBLAST分析は、hSlo2コード配列が、少なくとも30のエキソンに分割されることを示す。このcDNA配列は、クローン化cDNAなしには、ゲノムDNAから予想され得なかった。
【0249】
Slo2の5’末端を、オーバーラップ伸長PCRスクリーニングを用いてヒト脳cDNAから増幅した。開始コドンおよびSlo2の最初の200bpを含むフラグメントを、センスオリゴ
【0250】
【化8】
Figure 2005507633
(15)(配列番号19)およびアンチセンスオリゴ5’−GAGACAGGGAGGAGTCCAGGCTGAA−3’(16)(配列番号20)を用いて増幅した。Slo2に一致する15の太字の塩基のみを、Slo2の増幅のために用い;5’の塩基は、Kozakコンセンサス配列を追加し、そして発現ベクター構築のためにのみ含まれる。第1のフラグメントおよび3.5KbのSlo2クローン中の固有のHind III制限部位をオーバーラップした約400bpの第2のフラグメントを、オリゴ5’−CGTGGGCCAGAGGCTTCCTGTAGAA−3’(17)(配列番号21)および5’−GCTCCCAGATGTTGCCTTTGTAGCTG−3’(18)(配列番号22)を用いて増幅した。これらの2つのフラグメントを混合し、そしてオリゴ15および18を用いて増幅して、Slo2の開始メチオニンおよび固有のSlo2 Hind III部位の両方を含む、約550bpのフラグメントを生成した。このフラグメントを、標準的なプラスミドにクローン化し、そして3つのクローンを配列決定した。各クローンは、本発明者らのcDNAおよびゲノム情報から導き出したコンセンサスヒトSlo2と同一であった。次いで、5’末端フラグメントおよび3.5Kb Slo2フラグメントを、標準的なDNAクローニング法によって、これらに共通するHind III制限部位で連結することにより、全長Slo2コード領域をアセンブルした。
【0251】
最近、大きいが部分的なヒトSlo2 cDNAが、NCBIデータベースに登録された(KIA1422、登録番号AB037843)。このクローンは、いくつかのキー溝(key way)において、上記完全ヒトSlo2クローンとは異なる(図1を参照のこと)。最も重要なことだが、これは、3’末端で不完全である。ヒトSlo2のカルボキシ末端の127のアミノ酸をコードするDNAは、KIAA1422から失われている。さらに、KIAA1422は、代替的な5’末端を有する。このKIAA1422リーディングフレームは、5’末端でオープンなままであるので、KIAA1422 cDNAは、完全な代替的な5’末端を有するクローン(内部メチオニンコドンの1つで開始するタンパク質を有する)を示すか否か、あるいは、これは5’が不完全なクローンを示すか否か、不明確である。最終的に、KIAA1422は、hSlo2配列中のアミノ酸650の等価な位置に、2つのアミノ酸挿入(GT)を含む。
【0252】
上記に列挙した、番号を付けたオリゴヌクレオチドを、種々の組み合わせで用い、上記の条件を使用して、ヒト脳cDNAのような適切なテンプレートからhSlo2 cDNAの部分を増幅し得る。オリゴ14〜17は、KIAA1422配列に含まれず、そしてこれらのオリゴの少なくとも1つを含むオリゴ対を用いて、KIAA1422配列から誘導され得ないフラグメントを増幅し得る。オリゴ17を、18、8、7、6、5、4、3および14と対合させて、それぞれ、約415bp、1.25Kb、1.3Kb、2.19Kb、2.23Kb、2.59Kb、2.74Kbおよび3.58Kbのフラグメントを生成し得る。上記の組み合わせにおいて、17の代わりにオリゴ15を用いて、上記に列挙したものよりも、約150bpより長いフラグメントを生成し得る。さらに、オリゴ14を、9、11、1、2および13と対合させて、それぞれ、約3.49Kb、2.29Kb、1.03Kb、880bpおよび830bpのフラグメントを生成し得る。上記に列挙したオリゴ対は、KIAA1422を増幅しない。これらの増幅物の少なくとも1つが、1つの遺伝子から得られ得、そしてこのフラグメントの配列が、ヒトSlo2の配列に実質的に同一である場合、この配列を、ヒトSlo2の一種とみなすべきである。KIAA1422およびヒトSlo2の両方を増幅する他の顕著な対は、9+10および11+12であり、これらを、3.5Kbの5’側が不完全なヒトSlo2クローンの産生に用いた。
【0253】
(B.mRNA発現)
オリゴ13および14を用いて生成した32P−標識PCRフラグメントを用いて調査したノーザンブロットおよびmRNAドットブロットを、図3に示す。ノーザンブロットにおいて、約5Kbの顕著なバンド(約6Kbに見えるあまり強くないバンドを伴う)が、脳において見られる。類似のバンドが、より低い強度ではあるが、骨格筋において見られる。かすかなシグナルが、心臓および脾臓において見られる。mRNAドットブロットは、中枢神経系におけるヒトSlo2の広範な発現を示す。発現は、小脳、大脳皮質、後頭葉、側頭葉、被殻および中隔側坐核において最も高い。有意なレベルの発現はまた、胎児脳、扁桃、尾状核、前頭葉、海馬、黒質および視床において見出された。ノーザンブロットにおいてSlo2を発現すると同定された末梢組織に加えて、有意なレベルの発現が、卵巣、胎盤、および胎児脾臓において見出された。
【0254】
(C.Xenopus発現)
ヒトSlo2の機能的発現を、Xenopus卵母細胞において試験した。Slo2を、pOX発現ベクターにクローン化し、そしてランオフ(run−off)cRNA転写物を調製した。これらの転写物を、第4成熟期のXenopus卵母細胞に注射し、そして24〜48時間に、総細胞2電極電位固定(whole cell two−electrode voltage clamp)下で試験した。卵母細胞発現手順を、JeglaおよびSalkoff、J.Neurosci 17(1):32−44(1996)に従って行った。
【0255】
図5aは、ヒトSlo2を発現する卵母細胞から記録した一連の電流を示す。大きな、外向き整流電圧(outwardly rectifying current)が、−100mVを超える電圧ステップで見られる。類似する電流は、未注入のコントロール卵母細胞では見られなかった。ヒトSlo2電流の逆転電位は、外部カリウム濃度における変化を伴ってシフトした(図5b)。示される実施例では、Slo2電流の逆転電位は、2mM〜50mMの外部カリウム濃度の増加に応じて、ほぼ+70mVにシフトする。この大きなシフトは、完全にカリウム選択的であるチャネルについて予想されたシフトと、ほぼ同じくらい大きく、そしてSlo2チャネルが他のカチオンを超えてカリウムに対して高度に選択的であることを示す。これらの結果はまた、Slo2が電位依存性であることを示す。
【0256】
(実施例2:Slo4のクローニングおよび発現)
(A.クローニング)
部分的ヒトSlo4配列は、ラットSLACK配列および部分的ヒトSlo2配列を使用し、3つのデータベース(所有(proprietary)データベース、NCBIの公のESTデータベース、およびNCBIの公のGenome Survey Sequence Database)のTBLASTN検索を用いて本来同定された。所有クローン5035170は、ラットSLACKアミノ酸646〜730に対して60%同一のアミノ酸を有するSlo4コード配列の短いストレッチを含んでいた。完全なクローンは、700bp未満の挿入物を有した。この全体を配列決定し、そしてこの挿入物の殆どが、イントロン配列を恐らく表していることを決定した。2つのゲノム調査配列(Genome survey sequences)(GSS)である、AQ701228およびAQ892600は、それぞれ、この所有クローンのちょうど5’および3’側に、相同性ラットSLACKを含んでいた。最終的に、公のESTクローン(AI791929)を、RAT SLACKコード配列の3’末端に対する相同性を有し、そしてSlo4オープンリーディングフレームに関する終止コドンを含むようであることを確認した。これらのオーバーラップのない配列は、最も5’側の配列(AQ701228)に基づくセンスオリゴ、5’−GGCGTCTGCTTGATTGGTGTTAGGA−3’(19)(配列番号23)、およびEST配列中の終止コドンをオーバーラップするアンチセンスオリゴ、
【0257】
【化9】
Figure 2005507633
(20)(配列番号24)を用いて約1.5Kbのフラグメントを増幅することによって、同じ遺伝子から生じたことを確認した。この増幅したクローンは、BLAST検索により同定した4つのクローンの全てに対して同一の配列を含んでいた。これはまた、その長さ全体にわたってヒトSlo2およびラットSLACKに対する高度な相同性を有していた。
【0258】
次いで、上記の完全ヒトSlo2配列を使用し、NCBI High Throughput Genomic Sequence Database(HTGS)のTBLASTN検索を用いて、Slo4の2つの部分ゲノム配列(AL139137.1およびAL138931.1)を発見した。AL138931.1は、Slo2に対する相同性を有する10個のエキソンを含み、これらのエキソンの内3つは、本発明者らが以前に同定した配列よりも、より5’側の配列を含んでいた。最も5’側にあるエキソンは、ヒトSlo2配列のアミノ酸449〜484に対する相同性を含んでいた。Slo4コード配列の5’末端をクローン化するために、アンチセンスオリゴを、5’RACE PCRに使用するために、この新規の配列に基づいて設計した。Slo4特異的アンチセンスオリゴ5’−CCCGGAGCATCTACCGTACATCTTC−3’(21)(配列番号25)を用いる単回のRACE PCRは、ヒト脳cDNAに由来する約800bpのフラグメントを生じた。このフラグメントは、Slo4コード配列を、ほぼ500bpまで、Sloカリウムチャネルのポア−ループ(pore−loop)モチーフに対して高度に相同な領域へ伸長させた。
【0259】
Slo4コード配列の5’末端を、第1の5’RACE試行において得られた新規の配列に基づくSlo4特異的アンチセンスオリゴを使用する、2回のネストの5’RACE PCRを用いてクローン化した。用いたSlo4特異的オリゴは、1回目および2回目において、それぞれ、5’−CCAGCTGTTCAAACTGTATGGGTAG−3’(22)(配列番号26)および5’−GCTTGGAGGACCATGTTTCAGGAGT−3’(23)(配列番号27)であった。これらの増幅および第1回目のSlo4 5’RACE試行のための条件は、Slo2についての上記した条件に類似した。約900bpのフラグメントを、2回目の反応から単離し、そしてSlo4コード配列の5’末端を含むことを決定した。このフラグメントは、ヒトSlo2の5’コード領域に対して実質的な相同性を有する、長いオープンリーディングフレームを含む。終止コドンは、メチオニンコドンのすぐ上流でオープンリーディングフレームを停止し、このことは、これが、Slo4の開始メチオニンであることを示す。
【0260】
完全なSlo4コード配列を、開始メチオニンコドンをオーバーラップするセンスオリゴ、
【0261】
【化10】
Figure 2005507633
(24)(配列番号28)、および終止コドンをオーバーラップするアンチセンスオリゴ、オリゴ番号20を用いて、単一のフラグメントにおいて増幅した。オリゴ20および24において太字で列挙した塩基のみが、Slo4 DNA配列に一致する。オリゴ20において、5’末端の更なる塩基は、サブクローニングを補助するためにXbaI制限部位を付加する。オリゴ24において、5’末端の更なる塩基は、サブクローニングのためのMunI部位、およびSlo4メチオニンコドンでの翻訳開始を促進するためのKozak配列を付加する。太字で与えた領域のみが、Slo4の増幅のために用いられ;他の塩基は、増幅を得るために存在する必要はない。
【0262】
2つのさらなるSlo4特異的センスオリゴおよび1つのSlo4特異的アンチセンスオリゴを、Slo4を増幅するために用い得る:
【0263】
【化11】
Figure 2005507633

【0264】
これらのオリゴを、ヒト脳のような適切なcDNA供給源から種々のSlo4フラグメントを増幅するために、上記に列挙した他のSlo4オリゴと組合わせて使用し得る。24を、23、22、21、27、または20と共に用いて、それぞれ、約780bp、830bp、1.46Kb、1.98Kbおよび3.4Kbのフラグメントを生成し得る。25を、21、27、または20と共に用いて、それぞれ、250bp、780bpおよび2.2Kb付近のバンドを生成し得る。19を、27または20と共に用いて、約420bpおよび1.85Kbのフラグメントを生成し得る。最後に、26を、20と共に用いて、約600bpのフラグメントを生成し得る。これらの増幅物の少なくとも1つが、1つの遺伝子から得られ得、そしてこのフラグメントの配列が、ヒトSlo4の配列に実質的に同一である場合、この配列を、ヒトSlo4の一種とみなすべきである。
【0265】
(B.mRNA発現)
32P−標識Slo4 cDNAプローブとハイブリダイズしたヒトノーザンブロットおよびドットブロットを、図7に示す。ノーザンブロットにおいて、約5.5Kbの転写物を殆どの組織において標識した。発現は、肝臓で最も高く、高レベルの発現はまた、脳および心臓でも見出される。より低いレベルの発現を、骨格筋、結腸、脾臓、腎臓、小腸、胎盤および肺において検出する。約9Kbおよび13Kbのより大きな転写物は、脳および心臓で見られる。これらは、選択的転写物または不完全にプロセスされた転写物を表し得る。4.5Kbの転写物が、肺において見られ、そして選択的転写物を表し得る;これは、完全なSlo4タンパク質をコードするのに十分に長い。最も高いレベルの発現が、ドットブロットにおいて、肝臓、胎児脳、胎児腎臓および胎児肝臓で見られる。高レベルの発現はまた、精巣、胎児肺、大部分の脳領域、心房、GI管、肺、胎盤および膀胱において見られる。発現は、ブロットにおいて、多くの他の組織で検出可能である。(A)におけるノーザンの結果との比較に基づいて、これらの低いシグナルは、Slo4発現を表し、バックグラウンドの非特異的ハイブリダイゼーションを表さないようである。
【0266】
(C.Xenopus発現)
ヒトSlo4の機能的発現を、Xenopus卵母細胞において試験した。Slo4を、pOX発現ベクターにクローン化し、そしてランオフ(run−off)cRNA転写物を調製した。これらの転写物を、第4成熟期のXenopus卵母細胞に注入し、そして24〜48時間後に、総細胞2電極電位固定(whole cell two−electrode voltage clamp)下で試験した。卵母細胞発現手順を、JeglaおよびSalkoff、J.Neurosci 17(1):32−44(1996)に従って行った。
【0267】
図6は、ヒトSlo4を用いて行ったのと類似の実験のセットを示す。Slo2について観察されたように、大きな、外向き整流カリウム電圧(outwardly rectifying potassium current)が、分極電圧ステップで見られる。Slo4についての逆転電位はまた、外部カリウム濃度の変化に非常に感受性であった。図6bに示されるように、2mM〜20mMの外部カリウム濃度の変化は、Slo4電流逆転電位を+45mVを超えてシフトさせた。この変化は、完全にカリウム選択的なチャネルついて予想される+48mVのシフトとほぼ同じくらい大きく、このことは、Slo4が、Slo2のように、他のカチオンを超えて非常に高いカリウム選択性であることを示す。これらの結果はまた、Slo4が電位依存性であることを示す。
【0268】
(配列表)
【0269】
【表1】
Figure 2005507633
Figure 2005507633
Figure 2005507633

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、完全なヒトSlo2アミノ酸配列の、ラットSLACKおよび部分的なヒトcDNA KIAA1422のアミノ酸配列に対するアミノ酸整列である。同一の残基には影が付けられ、そしてアミノ酸の数は、左側の余白に与えられる。ヒトSlo2およびラットSLACKは、93%同一であり、そして恐らく、オーソロガス遺伝子である。ヒトSlo2とラットSLACKとの間の分岐のパターンは、オーソロガスカリウムチャネルに関して代表的ではない。KIAA1422は、hSlo2遺伝子由来の部分的なcDNAであるが、いくらかの主要な様式で異なる。第1に、KIAA1422は、ヒトSlo2およびラットSLACKのアミノ末端からの高度な分岐である、代替のアミノ末端を有する。KIAA1422はまた、明らかに、3’末端において短縮される。ヒトSlo2のDNAおよびアミノ酸配列は、KIAA1422またはラットSLACKから容易には推定され得ない。
【図2】
図2は、ヒトSlo2およびヒトSlo4のアミノ酸整列である。同一の残基には影が付けられ、そしてアミノ酸の数は、左側の余白に与えられる。6つの推定膜貫通ドメインに、実線で下線が引かれる。カリウムチャネル「シグネチャー配列」またはポアループに、点線で下線が引かれる。破線は、Sloチャネルのカルシウムおよび塩化物のゲーティングに関与したテイル領域を示す(Yuanら、Nat.Neurosci.3:771−779(2000);Weiら、Neuron,13:671−681(1994))。これら2つのアミノ酸配列は、約70%同一である。
【図3】
図3は、Sloカリウムチャネル遺伝子ファミリーの進化樹である。2つの主要な枝が、2つの別の遺伝子サブファミリーを規定する。ヒトSlo2およびSlo4は、ラットSLACKおよびC.elegans Slo2遺伝子(ceSlo2)をまた含むサブファミリー内にある。C.elegans Slo2は、Slo2とSlo4との両方から別個に分枝していることに注目のこと。このことは、C.elegans Slo2が、これらの遺伝子のいずれに対してもオーソログではないことを示唆する。
【図4】
図4は、ヒトSlo2のメッセンジャーRNA発現パターンである。ブロットを、32Pで標識したSlo2 PCRフラグメントでプローブし、そして標準的な高ストリンジェンシー手順でハイブリダイズした。(A)Slo2のノーザンブロット。約5Kbの強いバンドが、脳および骨格筋において見られる。6+Kbのより弱いバンドもまた存在し、そして選択的スプライス改変体または不完全にプロセスされたRNAを表し得る。類似のバンドがまた、心臓および脾臓において見られる。(B)同じSlo2プローブとハイブリダイズしたmRNAドットブロット。CNS組織、骨格筋、脾臓、心臓、下垂体および卵巣において見られる強いシグナルに注目のこと。
【図5】
図5は、Xenopus卵母細胞におけるヒトSlo2の機能的発現である。(A)−120mVの保持電位から+40mVまで電圧ステップを脱分極することによって引き起こされた、Slo2電流。ステップを、20mVの増分でとり、そしてテール電流を、−60mVで測定した。Slo2の電流は、−80mV程度に低い電圧において明らかに見られることに注目のこと。−100mVでの活性化は、不明瞭であり得る。なぜなら、カリウム平衡電位に近いからである。(B)Slo2を発現する卵母細胞から、−160mVから+80mVの範囲の3秒間の電圧ランプで引き起こされた電流。ランプを、2mMの外部カリウム(1)または50mMの外部カリウム(2)のいずれかで実施した。50mMカリウムでの電流の反転電位における大きな正のシフト(右側の矢印)に注目のこと。−90mVの休止電圧において見られる、50mMカリウムでの大きな内向きの電流(左側の矢印)にもまた注目のこと。これは、−90mVにおけるSlo2の有意な活性化を示す。これは、50mMのカリウムによってマスクを外され、これは、反転電位を−90mVから離してシフトさせ、カリウム移入のための大きな駆動力を提供する。
【図6】
図6は、Xenopus卵母細胞におけるヒトSlo4の機能的発現である。(A)−80mVから+80mVまで電圧ステップを脱分極することによって引き起こされた、Slo4電流。ステップを、−100mVの保持電位から、20mVの増分でとり、そしてテール電流を、−60mVで測定した。Slo4の電流は、−60mVで明らかに見られ、そしていくらかのSlo4電流は、−80mVにおいてさえ存在する。(B)Slo4を発現する卵母細胞から、−160mVから+80mVの範囲の3秒間の電圧ランプで引き起こされた電流。ランプを、2mMの外部カリウム(1)または20mMの外部カリウム(2)のいずれかで実施した。20mMカリウムでの電流の反転電位における大きな正のシフト(右側の矢印)に注目のこと。20mMカリウムでのいくらかの内向きの電流が、−90mVの休止電圧において見られること(左側の矢印)にもまた注目のこと。これは、−90mVにおけるSlo4の活性化を示す。
【図7A】
図7Aは、32Pで標識したSlo4 cDNAプローブとハイブリダイズした、ヒトノーザンブロットである。左側の余白のマークは、分子量をキロベース(Kb)で示す。レーン数は、頂部に与えられる。以下は、これらのレーンにおける組織の列挙である;1)脳全体、2)心臓、3)骨格筋、4)結腸、5)胸腺、6)脾臓、7)腎臓、8)肝臓、9)小腸、10)胎盤、11)肺、12)末梢血液白血球。約5.5Kbの転写物を、これらの組織の大部分において標識する。発現は、肝臓において最も高く、高レベルの発現はまた、脳および心臓において見出される。より低いレベルの発現は、骨格筋、結腸、脾臓、腎臓、小腸、胎盤および肺において検出される。約9Kbおよび13Kbの、より大きな転写物は、脳および心臓において見られる。これらは、代替の転写物または不完全にプロセスされた転写物を表し得る。4.5Kbの転写物が肺において見られ、そして代替の転写物を表し得る;これは、完全なSlo4タンパク質をコードするために十分に長い。
【図7B】
図7Bは、(A)と同じプローブとハイブリダイズしたmRNAドットブロットである。最も高いレベルの発現は、肝臓、胎児脳、胎児腎臓および胎児肝臓において見られる。高レベルの発現はまた、精巣、胎児肺、脳の大部分の領域、房、GI管、肺、胎盤および膀胱において見られる。発現は、他の多くの組織において、このブロットで検出可能である。(A)におけるノーザンの結果との比較に基づいて、これらの低いシグナルは、Slo4発現を表すようであり、そしてバックグラウンドの非特異的ハイブリダイゼーションを表さないようである。

Claims (69)

  1. Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含むSlo4ポリペプチドをコードする単離された核酸であって、該ポリペプチドが、以下:
    (i)少なくとも1つのさらなるαサブユニットと共に、電位依存性特徴を含むカリウムチャネルを形成し;そして
    (ii)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズし、ここで、該ハイブリダイゼーション反応は、50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSを含む溶液中で42℃でインキュベートされ、そして0.2×SSCおよび0.1%SDSを含む溶液中で65℃で洗浄される、
    単離された核酸。
  2. 前記ポリペプチドが、配列番号4に対して生成された抗体に特異的に結合する、請求項1に記載の核酸。
  3. 前記カリウムチャネルが、迅速な活性化特徴をさらに含む、請求項1に記載の核酸。
  4. 配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸。
  5. 配列番号3のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸。
  6. 請求項1に記載の核酸であって、該核酸は、少なくとも1つのプライマー対によって増幅され、該プライマー対は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、以下:
    Figure 2005507633
    からなる群より選択されるプライマーと同じ配列に選択的にハイブリダイズする、核酸。
  7. 前記核酸によってコードされるポリペプチドが、ホモマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項1に記載の核酸。
  8. 前記核酸によってコードされるポリペプチドが、ヘテロマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項1に記載の核酸。
  9. 前記核酸が、配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含むポリペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸。
  10. 配列番号4のアミノ酸配列をコードする核酸に、中程度にストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズする単離された核酸であって、ここで、該ハイブリダイゼーション条件は、40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSを含む溶液中37℃でのインキュベーション、および1×SSCを含む溶液中45℃での洗浄を含む、単離された核酸。
  11. 核酸を検出する方法であって、該方法は、該核酸を、請求項1に記載の単離された核酸と接触させる工程を包含する、方法。
  12. Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含む、単離されたSlo4ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、以下:
    (i)少なくとも1つのさらなるαサブユニットと共に、電位依存性特徴を含むカリウムチャネルを形成し;そして
    (ii)高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズする核酸配列によってコードされ、ここで、該ハイブリダイゼーション反応は、50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSを含む溶液中42℃でインキュベートされ、そして0.2×SSCおよび0.1%SDSを含む溶液中65℃で洗浄される、
    単離されたSlo4ポリペプチド。
  13. 前記ポリペプチドが、配列番号4に対して生成された抗体に特異的に結合する、請求項12に記載のポリペプチド。
  14. 前記カリウムチャネルが、迅速な活性化特徴をさらに含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  15. 前記ポリペプチドが、約134kD〜約144kDの分子量を有する、請求項12に記載のポリペプチド。
  16. 前記ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  17. 前記ポリペプチドが、ホモマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  18. 前記ポリペプチドが、ヘテロマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  19. 前記ポリペプチドが、配列番号4に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  20. 請求項12に記載のSlo4ポリペプチドに特異的に結合する、抗体。
  21. 前記抗体が結合する前記ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列を有する、請求項20に記載の抗体。
  22. 請求項1に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  23. 請求項22に記載のベクターでトランスフェクトされた、宿主細胞。
  24. カリウムチャネルを介したイオンフラックスを増大または減少させる化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)該化合物を、Slo4ポリペプチドと接触させる工程であって、該ポリペプチドは、以下:
    (a)少なくとも1つのさらなるαサブユニットと共に、電位依存性特徴を有するカリウムチャネルを形成し;そして
    (b)高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズする核酸配列によってコードされ、ここで、該ハイブリダイゼーション反応は、50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSを含む溶液中42℃でインキュベートされ、そして0.2×SSCおよび0.1%SDSを含む溶液中65℃で洗浄される、工程;ならびに
    (ii)該カリウムチャネルに対する該化合物の機能的効果を決定する工程、を包含する、方法。
  25. 前記機能的効果が、物理的効果である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記機能的効果が、化学的効果である、請求項24に記載の方法。
  27. 前記ポリペプチドが、真核生物宿主細胞または真核生物細胞膜において発現される、請求項24に記載の方法。
  28. 前記機能的効果が、イオンフラックス、イオン濃度の変化、電流の変化または電位の変化を測定することによって決定される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記機能的効果が、前記チャネルに対するリガンド結合を測定することによって決定される、請求項24に記載の方法。
  30. 前記ポリペプチドが、組換え体である、請求項24に記載の方法。
  31. 前記カリウムチャネルが、ホモマーである、請求項24に記載の方法。
  32. 前記カリウムチャネルが、ヘテロマーである、請求項24に記載の方法。
  33. 前記ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列を有する、請求項24に記載の方法。
  34. Slo4を含むカリウムチャネルを介したイオンフラックスを増大または減少させる化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)Slo4ポリペプチドの少なくとも25アミノ酸、またはSlo4ポリペプチドをコードする核酸の少なくとも75ヌクレオチドのアミノ酸配列を、コンピュータシステムに入力する工程であって、該Slo4ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する部分配列を含む、工程;
    (ii)該アミノ酸配列によってコードされた該ポリペプチドの三次元構造を生成する工程;
    (iii)該Slo4ポリペプチドを含むカリウムチャネルの三次元構造を生成する工程;
    (iv)該化合物の三次元構造を生成する工程;ならびに
    (v)該ポリペプチドと該化合物の三次元構造とを比較して、該化合物が該ポリペプチドに結合するか否かを決定する工程、
    を包含する、方法。
  35. Slo4ポリペプチドを含むSloカリウムチャネルを介したイオンフラックスを調節して、被験体において疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項24または34に記載の方法を使用して同定された化合物の治療的有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
  36. ヒト組織におけるhSlo4の存在を検出する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)生物学的サンプルを単離する工程;
    (ii)該生物学的サンプルを、hSlo4と選択的に会合する、hSlo4特異的試薬と接触させる工程;および
    (iii)該サンプルに選択的に会合するhSlo4特異的試薬のレベルを検出する工程、
    を包含する、方法。
  37. 前記hSlo4特異的試薬が、hSlo4特異的抗体、hSlo4特異的オリゴヌクレオチドプライマー、およびhSlo4核酸プローブからなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
  38. コンピュータシステムにおいて、ヒトSlo4遺伝子の変異についてスクリーニングする方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)配列番号4のアミノ酸配列を有するSlo4ポリペプチド、およびその保存的に改変されたバージョンをコードする第一の核酸配列を、該コンピュータに入力する工程;
    (ii)該第一の核酸配列を、該第一の核酸と実質的同一性を有する第二の核酸配列と比較する工程;ならびに
    (iii)該第一の核酸配列と該第二の核酸配列との間のヌクレオチド差異を同定する工程、
    を包含する、方法。
  39. 前記第二の核酸配列が、疾患状態と関連する、請求項38に記載の方法。
  40. Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含むSlo2ポリペプチドをコードする単離された核酸であって、該ポリペプチドは、以下:
    (i)少なくとも1つのさらなるαサブユニットと共に、電位依存性特徴を含むカリウムチャネルを形成し;そして
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む、
    単離された核酸。
  41. 前記カリウムチャネルが、迅速な活性化特徴をさらに含む、請求項40に記載の核酸。
  42. 配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項40に記載の核酸。
  43. Slo2ポリペプチドをコードする単離された核酸であって、該核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、以下:
    Figure 2005507633
    からなる群より選択されるプライマーと同じ配列に選択的にハイブリダイズするプライマーによって増幅される、
    単離された核酸。
  44. 前記核酸によってコードされる前記ポリペプチドが、ホモマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項40に記載の核酸。
  45. 前記核酸によってコードされる前記ポリペプチドが、ヘテロマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項40に記載の核酸。
  46. 核酸を検出する方法であって、該方法は、該核酸を、請求項40に記載の単離された核酸と接触させる工程を包含する、方法。
  47. Sloカリウムチャネルのαサブユニットを含む、単離されたSlo2ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、以下:
    (i)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性特徴を含むSloカリウムチャネルを形成し;そして
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列を有する配列を含む、
    単離されたSlo2ポリペプチド。
  48. 前記カリウムチャネルが、迅速な活性化特徴をさらに含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  49. 約134kD〜約144kDの分子量を有する、請求項47に記載のポリペプチド。
  50. ホモマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  51. ヘテロマーカリウムチャネルのαサブユニットを含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  52. 請求項47に記載のSlo4ポリペプチドに特異的に結合する、抗体。
  53. 請求項40に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  54. 請求項53に記載のベクターでトランスフェクトされた、宿主細胞。
  55. カリウムチャネルを介したイオンフラックスを増大または減少させる化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)該化合物を、Slo4ポリペプチドと接触させる工程であって、該ポリペプチドは、以下:
    (a)少なくとも1つのさらなるSloαサブユニットと共に、電位依存性特徴を有するSloカリウムチャネルを形成し;そして
    (b)配列番号2のアミノ酸配列を有する配列を含む、工程;ならびに
    (ii)該カリウムチャネルに対する該化合物の機能的効果を決定する工程、を包含する、方法。
  56. 前記機能的効果が、物理的効果である、請求項55に記載の方法。
  57. 前記機能的効果が、化学的効果である、請求項55に記載の方法。
  58. 前記ポリペプチドが、真核生物宿主細胞または真核生物細胞膜において発現される、請求項55に記載の方法。
  59. 前記機能的効果が、イオンフラックス、イオン濃度の変化、電流の変化または電位の変化を測定することによって決定される、請求項58に記載の方法。
  60. 前記機能的効果が、前記チャネルに対するリガンド結合を測定することによって決定される、請求項55に記載の方法。
  61. 前記ポリペプチドが、組換え体である、請求項55に記載の方法。
  62. 前記カリウムチャネルが、ホモマーである、請求項55に記載の方法。
  63. 前記カリウムチャネルが、ヘテロマーである、請求項55に記載の方法。
  64. Slo2ポリペプチドを含むカリウムチャネルを介したイオンフラックスを増大または減少させる化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)配列番号2のアミノ酸配列を、コンピュータシステムに入力する工程;
    (ii)該アミノ酸配列によってコードされた該ポリペプチドの三次元構造を生成する工程;
    (iii)該Slo2ポリペプチドを含むカリウムチャネルの三次元構造を生成する工程;
    (iv)該化合物の三次元構造を生成する工程;ならびに
    (v)該ポリペプチドと該化合物の三次元構造とを比較して、該化合物が該ポリペプチドに結合するか否かを決定する工程、
    を包含する、方法。
  65. Slo2ポリペプチドを含むSloカリウムチャネルを介したイオンフラックスを調節して、被験体において疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項55または64に記載の方法を使用して同定された化合物の治療的有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
  66. ヒト組織におけるhSlo2の存在を検出する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)生物学的サンプルを単離する工程;
    (ii)該生物学的サンプルを、hSlo2と選択的に会合する、hSlo2特異的試薬と接触させる工程;および
    (iii)該サンプルに選択的に会合するhSlo2特異的試薬のレベルを検出する工程、
    を包含する、方法。
  67. 前記hSlo2特異的試薬が、hSlo2特異的抗体、hSlo2特異的オリゴヌクレオチドプライマー、およびhSlo2核酸プローブからなる群より選択される、請求項66に記載の方法。
  68. コンピュータシステムにおいて、ヒトSlo2遺伝子の変異についてスクリーニングする方法であって、該方法は、以下の工程:
    (i)配列番号2のアミノ酸配列を有するSlo2ポリペプチド、およびその保存的に改変されたバージョンをコードする第一の核酸配列を、該コンピュータに入力する工程;
    (ii)該第一の核酸配列を、該第一の核酸と実質的同一性を有する第二の核酸配列と比較する工程;ならびに
    (iii)該第一の核酸配列と該第二の核酸配列との間のヌクレオチド差異を同定する工程、
    を包含する、方法。
  69. 前記第二の核酸配列が、疾患状態と関連する、請求項68に記載の方法。
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