JPH08167815A - 負帰還増幅器 - Google Patents

負帰還増幅器

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JPH08167815A
JPH08167815A JP33304794A JP33304794A JPH08167815A JP H08167815 A JPH08167815 A JP H08167815A JP 33304794 A JP33304794 A JP 33304794A JP 33304794 A JP33304794 A JP 33304794A JP H08167815 A JPH08167815 A JP H08167815A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 オーディオ用の負帰還増幅器において、回路
自体が高周波雑音に対する変調メカニズムを発生させて
音質の劣化を招くという問題を解消させる補償手段とそ
の回路構成を提供する。 【構成】 負帰還増幅器の入力インピーダンス(Zin)及
び出力インピーダンス(Zout)の実部に係る各周波数特
性が共に全帯域で0以上となるように回路を構成する。
具体的には、トランジスタTr1のベース−コレクタ間に
回路全体のZinの実部に係る周波数特性を全帯域で0以
上とする容量CBを接続し、負帰還回路の帰還インピー
ダンス部(RNF,CNF)を抵抗RF1で一旦接地させて帰還
率を設定し、その帰還インピーダンス部の帰還側とトラ
ンジスタTr4のベースの間に回路全体のZoutの実部に
係る周波数特性を全帯域で0以上とするインピーダンス
要素(RT,CT)を接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は負帰還増幅器に係り、オ
ーディオ増幅器がオーディオ帯域外の高周波帯域でオー
ディオ信号に基づく変調メカニズムを具有しており、高
周波雑音を変調して再生してしまうことによる音質劣化
の問題を普遍的に解消させるための補償手段及びその回
路構成に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、オーディオ増幅器が電子回路学
上の卓上計算ではほぼ理想的な特性に設計できていて
も、実際にその設計に基づいて音響システムを構築して
動作させると、ケースバイケースで音質評価が異なるこ
とが多い。そして、オーディオシステムに用いられてい
る殆どの増幅器では、負帰還をかけることによりオーデ
ィオ周波数帯域での利得の安定化、周波数特性の改善、
歪の軽減等を実現して音質の向上を図っている。しか
し、前記のようにケースバイケースで音質が異なる点に
ついては、単に周波数特性や歪率等のように従来から基
本特性として論じられている問題を改善するだけでは十
分な解決手段を与えていない。
【0003】その問題について、本願の発明者は、高級
音質を指向するオーディオ増幅器の音質劣化の原因の一
つとして高周波又は高周波雑音の影響を採り上げ、コレ
クタホロア式二段帰還増幅器のオーディオ周波数帯域で
の動作にどのような影響を与えるかに関する問題て実験
的及び理論的な考察と検討により明らかにした[2段帰
還増幅器の高周波変調メカニズム;音響学会誌44,310-3
19(1988)]。この論文では、コレクタホロア式二段帰還
増幅器に限定して検討を行ったものであるが、高周波変
調メカニズムを次のような内容として明らかにした。先
ず、コレクタホロア式2段帰還増幅器の回路を解析して
みると、その入力インピーダンスは高周波帯域で負性抵
抗と容量リアクタンスの直列回路に等価なものとなる
が、オーディオ信号によってそれらの回路素子の値が微
小変動する。そして、その変動状態で高周波雑音が取込
まれると、その信号が前記の入力インピーダンスの微小
変動によって変調を受け、結果的にオーディオ信号で変
調された信号がオーディオ信号に重畳した状態で復調再
生されて音質の劣化を生じさせてしまうことになる。ま
た、入力インピーダンスに含まれる負性抵抗の存在は、
前記の変調度に関係しているが必ずしも増幅系としての
不安定さを意味するものではなく、高周波変調メカニズ
ムは系として安定している増幅器においても発生する一
般的現象であることを確認した。
【0004】また、前記の高周波変調メカニズムの考察
に基づいて、高周波雑音等の影響を受けない実際の回路
構成に係る提案を行い(コレクタホロア式二段帰還増幅
器;特開平2-219311号)、また高周波雑音に対する補償法
[高周波雑音に対する2段帰還増幅器の一補償法;JAS jo
urnal(日本オーディオ協会誌)32(5),50-56(1992)]を発
表している。
【0005】そして、前記の「コレクタホロア式二段帰
還増幅器」(特開平2-219311号)では、回路自体の高周波
変調メカニズムの解析結果に基づいて、図17に示すよ
うに、出力側トランジスタTr2のベースとコレクタの間
に容量CAが、入力側トランジスタTr1のベースに抵抗
Aがそれぞれ付加されており、抵抗RAの抵抗値を回路
の高周波帯域における帰還理論上の安定性が抵抗RA
付加しない場合の安定性と容量CAの容量値で定まる安
定性の何れよりも低下する範囲で設定し、且つ入力側ト
ランジスタTr1のベースとコレクタの間に回路の入力イ
ンピーダンスの実部が0以上となる範囲に容量値を設定
した容量CBを接続したものであり、回路自体に高周波
雑音の受け入れ難さを具有させると共に、高周波雑音に
対する変調メカニズムの発生をなくすることを可能にし
た。
【0005】この増幅器で、高周波雑音の影響を除去す
る機能は次のように説明される。先ず、容量CAは、高
周波帯域でトランジスタTr2の入力側からの帰還率を増
大させて回路の帰還理論上の安定性を向上させ、高周波
変調メカニズムによるオーディオ出力電圧を低下させる
と共に、周波数特性の高周波帯域を平坦化する。抵抗R
Aは、容量CAと同様に出力電圧を低下させると共に、周
波数特性の高周波帯域を狭帯域化する。しかし、その抵
抗RAの付加は高周波帯域における帰還理論上の安定性
を低下させることにもなる。即ち、容量CAと抵抗RA
高周波帯域における出力電圧を低下させるという点では
共通しているものの、帰還理論上の安定性に関しては相
反する関係を有している。この増幅器では、帰還理論上
の安定性を犠牲にしても抵抗RAの付加による高周波帯
域の狭帯域化を優先させるようにして高周波雑音の受け
入れ難さを補償しており、前記の抵抗RAに係る範囲限
定はその条件に基づいたものである。一方、容量CA
抵抗RAを前記の条件で付加した場合、抵抗RAの付加に
よって周波数特性における高周波帯域にピークが生成さ
れてしまう。そこで、この増幅器では容量CBによって
高周波帯域における狭帯域化を図って前記のピークを消
失させており、同時に帰還理論上の安定性も向上させて
いる。 ところで、2段帰還増幅器では、回路全体の入
力インピーダンスの実部に係る周波数特性が0以下にな
るような帯域を含んでいる場合、即ち、入力インピーダ
ンスが負性抵抗を含む場合には、それが上記の高周波変
調メカニズムの発生要因となって高周波雑音の影響を強
く受けることになる。前記の容量CBはその問題にも極
めて有効な回路要素であり、高周波帯域における狭帯域
化を図ると共に、回路全体の入力インピーダンスの実部
を常に0以上に設定することで負性抵抗要素をなくし、
回路自体に高周波変調メカニズムを具有させない機能を
有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、本願の
発明者は2段帰還増幅器を対象として、その回路自体に
高周波雑音の受け入れ難さを具有させると共に、高周波
雑音の被変調信号を発生させる変調メカニズムをなくし
て、設計仕様どおりの優れた増幅特性を実現させること
に成功している。しかし、一般に2段帰還増幅器は小信
号の増幅にその用途が限定されるため、オーディオ増幅
器全体に適用するには、更にその後段にエミッタホロア
式増幅回路等を設けた3段帰還増幅器として大きな電流
も扱えるようにする必要がある。即ち、少なくとも3段
以上の帰還増幅器としても前記の高周波雑音対策が施さ
れた回路を構成することが要望される。また、オーディ
オ増幅器で3段帰還増幅を行う場合には、初段や2段目
を差動増幅回路にしたり、最終段をプッシュプル方式の
増幅回路とするような回路構成も多様されているため、
前記の対策はその回路構成上のバラエティに対応できる
ものでなければならない。ところで、3段以上の帰還増
幅器を各種の回路構成で実現する場合には、当然ながら
帰還増幅器としての問題はより複雑化し、2段帰還増幅
器の場合に良好であった前記の補償法を適用しても、高
周波雑音に対して十分な安定性を確保することが困難に
なる。
【0007】そこで、本発明は、上記の高周波雑音に対
する変調メカニズムが当然に一般的な負帰還増幅器にお
いても発生する問題であることに着目し、2段帰還増幅
器はもとより、3段以上の帰還増幅器においても回路自
体にその変調メカニズムを具有させないための普遍的な
解決手段を与えると共に、併せてその具体策を提供する
ことを目的として創作された。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、負帰還増
幅器において、その入力インピーダンスの実部及び出力
インピーダンスの実部に係る各周波数特性が共に全帯域
で0以上となる回路構成としたことを特徴とする負帰還
増幅器に係る。
【0009】第2の発明は、初段をエミッタ接地式の増
幅回路又は差動増幅回路とした2段以上の負帰還増幅器
において、信号が入力される前記初段のトランジスタの
ベース−コレクタ間に回路全体の入力インピーダンスの
実部に係る周波数特性を全帯域で0以上とする容量値を
有した容量を接続し、負帰還回路が、帰還インピーダン
ス部の帰還側を抵抗を介して接地することでその帰還率
を設定すると共に、前記帰還インピーダンス部の帰還側
と前記初段の増幅回路の帰還接続点の間に回路全体の出
力インピーダンスの実部に係る周波数特性を全帯域で0
以上とするインピーダンス要素を接続した回路であるこ
とを特徴とする負帰還増幅器に係る。
【0010】第3の発明は、初段をトランジスタTr1,
r4で構成されるシングル・エンデッド形差動増幅回
路、2段目をトランジスタTr2で前記差動増幅回路の信
号入出力側トランジスタTr1の出力信号を増幅するコレ
クタホロア式増幅回路、3段目をトランジスタTr3で前
記コレクタホロア式増幅回路の出力を増幅するエミッタ
ホロア式増幅回路とし、前記トランジスタTr3の出力を
前記差動増幅器のトランジスタTr4のベースへ帰還させ
る負帰還回路を有した3段帰還増幅器において、前記ト
ランジスタTr1のベース−コレクタ間に回路全体の入力
インピーダンスZinの実部に係る周波数特性を全帯域で
0以上とする容量値を有した容量CBを接続し、負帰還
回路が、帰還インピーダンス部ZNFの帰還側を抵抗RF1
を介して接地することでその帰還率を設定すると共に、
前記帰還インピーダンス部ZNFの帰還側と前記トランジ
スタTr4のベースの間に回路全体の出力インピーダンス
outの実部に係る周波数特性を全帯域で0以上とする
抵抗RT又は抵抗RTと容量CTの並列回路からなるイン
ピーダンス要素を接続した回路であることを特徴とする
負帰還増幅器に係る。
【0011】第4の発明は、第3の発明の負帰還増幅器
において、トランジスタTr2のベース−コレクタ間に容
量CAを、トランジスタTr1のベースに抵抗RAをそれぞ
れ付加し、抵抗RAの抵抗値を回路の高周波帯域におけ
る帰還理論上の安定性が抵抗RAを付加しない場合と容
量CAの容量値で定まる安定性より低下する範囲で設定
した負帰還増幅器に係る。
【0012】
【作用】第1の発明について;従来技術で説明したよう
に、オーディオ用の負帰還増幅器で高周波雑音による音
質の劣化がみられる原因は、その増幅器の回路自体が高
周波雑音に対する変調メカニズムを発生させてしまうこ
とにある。従って、回路自体がその変調メカニズム要素
を具有しない構成にすれば、普遍的に高周波雑音による
影響を受けない負帰還増幅器を実現することができる。
ところで、前記の高周波変調メカニズムは、負帰還増幅
器の回路自体が負性抵抗を有する場合に、入出力インピ
ーダンスに微小変動が生じ易くなり、その変動によって
高周波雑音が変調を受けてしまう現象として捉えること
ができる。従って、負帰還増幅器が負性抵抗を有しない
回路構成、即ち入力インピーダンスと出力インピーダン
スの実部の周波数特性が全帯域で常に0以上になってい
れば、高周波雑音に対する変調メカニズムを発生させな
いようにできる。
【0013】第2の発明について;この発明は、初段を
エミッタ接地式の増幅回路又は差動増幅回路とした2段
以上の負帰還増幅器において、入力インピーダンス及び
出力インピーダンスの実部に係る周波数特性を0以上と
する具体的手段を与える。入力インピーダンスに関して
は、特開平2-219311号に示した容量CBの有する機能と
同様であり、初段のトランジスタのベース−コレクタ間
に容量を接続することによって負性抵抗を消失させるこ
とができる。出力インピーダンスに関しては、負帰還回
路に帰還インピーダンス部とは別に補償用のインピーダ
ンス要素を付加することにより負性抵抗を消失させる手
段が採用できる。即ち、負帰還回路の帰還インピーダン
ス部の帰還側を一旦抵抗を介して接地することで帰還率
を設定しておき、帰還インピーダンス部の帰還側と初段
増幅回路の帰還接続点の間にインピーダンス要素を接続
させることにより、出力インピーダンスの実部に係る周
波数特性が高周波帯域で負になってしまう傾向を完全に
なくすることができ、回路の帰還理論上の安定性も十分
に確保させながら負性抵抗の存在による高周波変調メカ
ニズムの発生を防止する。
【0014】第3の発明について;この発明は、初段を
シングル・エンデッド形差動増幅回路、2段目をコレク
タホロア式増幅回路、3段目をエミッタホロア式増幅回
路で構成した3段帰還増幅器に第2の発明を適用したも
のであり、第2の発明の一実施例として後記に説明され
る。
【0015】第4の発明について;この発明は、第3の
発明に係る負帰還増幅器に対して、特開平2-219311号に
示した容量CAと抵抗RAによる高域補償手段を適用した
ものであり、高周波雑音の受け入れ難さを実現してい
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の「負帰還増幅器」の実施例を図
1から図16を用いて詳細に説明する。 1.《実施例回路の提示》 先ず、図1は実施例に係る3段帰還増幅器の電気回路図
を示し、初段はペアトランジスタTr1とTr4で構成され
たシングル・エンデッド形差動増幅回路、2段目はトラ
ンジスタTr2で初段の信号入出力側のトランジスタTr1
から得られる出力信号を増幅するコレクタホロア式増幅
回路、3段目はトランジスタTr3で前段のトランジスタ
r2の出力信号を増幅するエミッタホロア式増幅回路と
されており、3段目のトランジスタTr3の出力が負帰還
回路を介して初段のトランジスタTr4のベースへ接続さ
れた基本構成を有している。尚、各トランジスタTr1,
r2,Tr3,Tr4の諸特性は次の表1に示されるとおり
で、トランジスタTr1(Tr4),Tr2についてはそれぞれ
図17の1段目と2段目に用いられているものと同一で
ある。
【0017】
【表1】
【0018】そして、この3段帰還増幅器の特徴は次の
ような点にある。 初段の差動増幅回路におけるトランジスタTr1のベ
ースには増幅される信号が入力抵抗RAを介して入力さ
れると共に、トランジスタTr1のベース-コレクタ間に
容量CBが接続されている。 2段目のコレクタホロア式増幅回路におけるトラン
ジスタTr2におけるベース-コレクタ間に容量CAが接続
されている。 負帰還回路は、帰還抵抗RNFと帰還容量CNFの並列
回路と容量CTと抵抗RTの並列回路が直列接続されてお
り、且つそれらの並列回路の接続点を抵抗RF1を介して
接地させている。 尚、初段及び2段目の増幅回路に用いられる抵抗RA
容量CA,CBの定数、及び以降の考察と検討の中で負帰
還回路に用いられる抵抗RF1,RNFと容量CNFの定数
は、特別に指定しない限り次の表2及び表3の1又は2
に示されるとおりとされる。また、表2に示されている
各定数は、従来技術で説明した2段帰還増幅器で採用し
たものと同等に選択した。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】2.《容量CTと抵抗RTが無い場合におけ
る回路の考察》 前記の図1の3段帰還増幅器を考察するための前提とし
て、その負帰還回路から抵抗RTと容量CTを除いて、帰
還抵抗RNFと帰還容量CNFの並列回路と接地抵抗RF1
のみ構成された負帰還回路による3段帰還増幅器に関し
て考察を行う。ここで、増幅器のゲイン設定は用途に応
じて多様に設定されるが、この場合には、検討上必要と
なる場合を除いて、帰還率を約0.048にとり、ゲイ
ンを約21倍に設定するようにしている。また、表2に
示す各定数はゲインを1とした図17の2段帰還増幅器
で採用したものであるが、それをゲイン21倍とする今
回の増幅器に適用するために、表3に示すように帰還抵
抗RNFに対しては十分に大きな帰還容量CNFを並列に接
続させており、高周波帯域ではゲイン1の場合と等価な
動作状態となるようにして、オーディオ帯域のゲインと
は無関係に殆ど同一補償値で済ませられるような方式を
採用している。
【0022】先ず、図1の3段帰還増幅器から容量CT
と抵抗RTを除いた場合の高周波等価回路図は図2に示
されるような構成となり、その等価回路からゲインの周
波数特性と入力インピーダンス特性の計算を行う。図2
の等価回路図中で、rbはトランジスタのベース拡がり
抵抗、Zcはコレクタ容量Ccによる容量インピーダン
ス、Zeはエミッタ抵抗reとエミッタ容量Ceによる並
列インピーダンス、ZLは負荷抵抗RLと負荷容量CL
構成される負荷インピーダンスである。また、IBはベ
ース電流、ICはコレクタ電流、IFはZcに流れる帰還
電流、ILは負荷電流である。数字による添字はトラン
ジスタが1段目か2段目か3段目かを示し、差動入力の
帰還が戻ってくる側の添字は4で示されている。尚、e
iは入力電圧、eoは出力電圧である。また、それぞれの
間には、 Ze1=re1/(1+jωCe1e1) …(1) Ze2=re2/(1+jωCe2e2) …(2) Ze3=re3/(1+jωCe3e3) …(3) Zc1=1/jωCc1 …(4) Zc2=1/jωCc2 …(5) Zc3=1/jωCc3 …(6) ZL1=RL1/(1+jωCL1L1) …(7) ZL2=RL2/(1+jωCL2L2) …(8) ZL3=RL3/(1+jωCL3L3) …(9) IC1=hfe1・IB1,hfe1=β01/(1+jωCe1e1) …(10) IC2=hfe2・IB2,hfe2=β02/(1+jωCe2e2) …(11) IC3=hfe3・IB3,hfe3=β03/(1+jωCe3e3) …(12) の関係がある。但し、β0はトランジスタの直流電流増
幅率、ωは入力電圧eiの角周波数、jは虚数単位であ
る。これらの諸定数の内、トランジスタ定数β0,re,C
eを除いてはメーカ発表値を適用し、β0については実測
して求め、reについては re≒26・(β0/IC)[IC:mA,re:Ω] …(13) の近似式より求め、更にCeについては Ce≒β0/(ωTe) …(14) より近似的に決定した。尚、ωTは|hfe|が1に等し
くなる角周波数で、ICによる依存性を表1の特性から
考慮した。
【0023】一方、帰還抵抗RNFに並列接続されている
帰還容量CNFは、経験上からこの回路では抵抗値との時
定数を0.6〜0.8(μsec)程度に決定するとピークを
平滑にできるため、ここでは0.8(μsec)として計算し
て表3に示すような値を選択するようにしている。そし
て、負帰還インピーダンスは、 ZNF=RNF/(1+jωCNFNF) …(15) で与えられる。
【0024】以上の数式を用いて、図2の等価回路から
未知数を11の電流、即ちIB1,IF1,IB2,IF2,IB3,
F3,IB4,IF4,IL1,IL3,Iinとして11元連立1次
方程式を解き、最終的に入力インピーダンスである Zin=ei/Iin …(16) と、ゲインである A=e0/ei=(ZL3・IL3)/ei …(17) を求めることができるが、その演算過程は省略する。
【0025】表1乃至表3の諸定数を用いて前記の数式
(16),(17)の周波数特性を数10MHzまで計算した結
果、入力インピーダンスの実部は図17の2段帰還増幅
器で求めた場合と同様に約4kΩに集束し、ゲインの周
波数特性はカットオフ周波数が約100kHzで、ピー
クもなく綺麗に減衰する特性を示した。
【0026】3.《3段帰還増幅器の問題点》 前記の計算結果による入力インピーダンスとゲインの周
波数特性を見る限りにおいて、2段帰還増幅器の場合で
説明したと同様に、回路自体に高周波雑音の受け入れ難
さを具有させ、高周波雑音に対する変調メカニズムの発
生をなくすることが可能なように考えられる。ところ
で、増幅器の出力端子に容量性負荷を接続した場合に発
振を起こすことは従来からよく知られている。特に、3
段帰還増幅器では出力側の容量負荷に対して不安定にな
り易く、場合によっては発振を起こす可能性を秘めてい
る。換言すれば、それは出力側からの高周波雑音の受け
入れ易さに通じるものであり、3段帰還増幅器では単に
入力インピーダンスに負性抵抗が含まれないようにする
だけで回路の安定性が確保できるとはいえず、出力側負
荷との関係で高周波雑音に対する補償対策が必要になる
ことを示している。
【0027】その事情は、図3に示すように、電源に負
性抵抗(−R)と誘導性インピーダンス(L)が直列接続さ
れた2端子回路を静電容量(C)接続した簡単なモデル等
価回路に置換して考えることができ、結果的に直列共振
回路が構成されて当然に発振を起こすことになる。従っ
て、3段帰還増幅器の場合には、入力インピーダンスか
らだけでなく、出力インピーダンスからの考察を行っ
て、高周波雑音の補償対策と回路の安定性を検討する必
要がある。
【0028】4.《出力インピーダンスについての検
討》 図1の3段帰還増幅器から容量CTと抵抗RTを除いた場
合の高周波等価回路図において出力インピーダンスを計
算するには、ゲインと入力インピーダンスを計算するた
めに使用した図2の高周波等価回路図から電源を取り除
き、その電源を出力端子に接続した等価回路、即ち図4
の高周波等価回路図を用いる。そして、この場合には図
2の場合と比較して自由度が1つ増加し、12元連立1
次方程式を解く必要があるが、未知数をIB1,IF1,
B2,IF2,IB3,IF3,IB4,IF4,IL1,IL3,INF,Iin
として、結果的に出力インピーダンスZoutが Zout=ei/Iin …(18) として求まる。
【0029】前記のZoutの計算において、入力側から
みた高周波雑音対策のために付加した補償素子CA,RA,
Bの内、容量CA以外を外した場合と、その全てを付加
した場合とで、抵抗RNFを表3に示すように2kΩと2
0kΩに設定してそれぞれ出力インピーダンスZout
実部の周波数特性を計算した。そして、その結果を、前
者の場合については図5に、後者の場合については図6
に示す。図5では、1MHz辺りから10MHzにかけ
て、完全に負性抵抗を示しているが、RNFが2kΩの方
が負性抵抗を示す範囲がより広くなっており、帰還抵抗
NFによる相違が見受けられる。一方、図6では、補償
素子の効果が現れて負性抵抗を示していないが、やはり
NFが2kΩの場合には10MHz辺りでZoutの実部が
低下する傾向がみられ、帰還率が増加すると負性抵抗化
する危険性を有している。
【0030】そこで、帰還抵抗RNFの2kΩはそのまま
にして、接地抵抗RF1を100Ωから200Ωと400
Ωに増大させて帰還率を増加させ、結果的にゲインを1
1倍及び6倍に低下させてみた。その場合のZoutの実
部の周波数特性は図7のようになり、ゲイン11倍では
約5〜13MHzの帯域で、ゲイン6倍では約2.3〜1
5MHzの帯域でそれぞれ完全に負性抵抗となってい
る。そして、図5及び図7において負性抵抗が現れてい
る周波数帯域におけるリアクタンス分を調べてみると、
完全に誘導性であり、先に示した図3のモデル等価回路
が成立し、適当な容量負荷が接続されると発振に至るこ
とになる。
【0031】市販の大多数の電力増幅器の出力端子には
インダクタンスが直列に挿入されているが、これは前記
の発振条件(共振周波数)を変化させて発振を防止する目
的があり、勿論効果が無いわけではないが、やはり出力
インピーダンスに負性抵抗が存在する限り、本質的な解
決にはなっていない。即ち、発振自体は防止できても、
出力インピーダンスに負性抵抗を包含した増幅器では、
増幅器内部の電流・電圧の変化やそれを取り巻く境界条
件の変化等に対して変動を起こし易く、その変動が上記
の高周波変調メカニズムを生んでしまうからである。
【0032】図5及び図6に共通している事実は、出力
インピーダンスZoutに負性抵抗が含まれないようにす
ることに関して、帰還抵抗RNFが20kΩの場合の方が
2kΩの場合と比較して若干有利なことである。その理
由は明確ではないが、差動増幅回路における帰還が返る
側のトランジスタTr4の入力インピーダンスが何等かの
影響を与えているのではないかと推察される。何れにし
ても、結果的には、帰還抵抗RNFの抵抗値が大きい方が
負性抵抗の問題に関しては有利であることが注目され
る。
【0033】5.《負性抵抗の危険性の回避》 出力インピーダンスZoutに係る検討から、帰還抵抗R
NFの抵抗値を大きくした方が有利であることが知られ
た。しかし、帰還理論を常識的に考えた場合には、帰還
率が一定であれば帰還抵抗RNFの抵抗値自体はあまり大
きな影響を与えるものではない。そこで、前記に推察し
たトランジスタTr4の入力インピーダンスが与える影響
を検討してみると、帰還抵抗RNFとトランジスタTr4
入力容量で一種の高域補償が構成されたとも考えられ
る。そして、その仮定に立てば、帰還抵抗RNFとは別に
トランジスタTr4のベース側に適当な抵抗を意図的に挿
入すれば、出力インピーダンスZoutに負性抵抗が含ま
れないようにする上で更に有利な条件を得ることが可能
になる。
【0034】ここでは、先ず、帰還抵抗RNFを2kΩ、
接地抵抗RF1を100Ωとして、図1に示すように差動
増幅回路のトランジスタTr4のベースと帰還抵抗RNF
間に抵抗RTを挿入し、その抵抗RTの抵抗値を10k
Ω,20kΩ,47kΩ,100kΩと順次増加させて、
各抵抗値が挿入された場合における出力インピーダンス
outの実部を計算することとした。但し、この段階で
は容量CTを除去しておく。 その計算では、図4の等
価回路をそのまま流用でき、ベース拡がり抵抗rb4に挿
入抵抗RTの抵抗値を加算するだけで簡単に求めること
ができる。図8は、抵抗RTを前記の各値に変化させた
場合における、Zoutの実部の周波数特性を求めたもの
である。
【0035】同図から明らかなように、抵抗RTの挿入
によって負性抵抗の危険性が消失してゆくことが理解さ
れる。即ち、抵抗RTの挿入によって、図7にみられた
ように出力インピーダンスZoutの実部が2.3〜15M
Hz辺りで負性抵抗を有してしまうような危険性が完全
になくなり、図1の3段帰還増幅器(容量CTは除去した
状態)において、トランジスタTr4のベースに出力イン
ピーダンスZoutの実部を常に正にするような抵抗RT
接続しておくという極めて簡単な手段で高周波雑音に対
する補償をできることになる。
【0036】ところで、図8を詳細に見ると、抵抗RT
の抵抗値があまり大きくなると100kHz付近の低い
周波数帯域でまた負性抵抗の危険性が出現してくること
も確認される。従って、最適な抵抗値がありそうである
が、図8からは抵抗RTの抵抗値を大きくしておいた方
が広い周波数帯域でZoutの実部を正の大きな値で一定
にすることができることも明らかになっている。そこ
で、ここでは抵抗RTを47kΩに設定することとし、
100kHz付近に存在する負性抵抗の危険性は次の方
法で取り除くこととした。
【0037】前記のように47kΩに設定した抵抗RT
に対して容量CTを並列接続させてみる。即ち、図1の
回路構成そのものとする。今、上記の回路要素の定数条
件(表1,表2,RT=47kΩ)において、容量CTの容量
値を5pF,15pF,25pFとして、前記と同様に出力
インピーダンスZoutの実部を計算してみると、その周
波数特性は図9に示すようになる。同図から、容量CT
を5pF以上に設定すれば100kHz付近に存在する負
性抵抗の危険性は薄らぐことが確認される。但し、25
pFになると10MHz辺りが低下する傾向がみられるた
め、この場合には15pF程度が適当であろうと考えら
れる。
【0038】6.《総合特性》 以上の考察の結果、図1で抵抗RTと容量CTを除いて短
絡させた状態の3段帰還増幅器では、帰還率を増大させ
ると出力インピーダンスZoutが負性抵抗を含むことに
なるが、図1に示されるように、負帰還回路における帰
還抵抗RNFと帰還容量CNFの並列回路を一旦抵抗RF1
接地させて帰還率を設定すると共に、トランジスタTr4
のベースとの接続側に抵抗RTと容量CTの並列回路を設
けることで前記の負性抵抗による危険性を完全になくす
ることができる。ここで、抵抗RTを47kΩ、容量CT
を15pFとした状態でRF1,RNF,CNFを表3の1及び
2の条件に設定して出力インピーダンスZoutの実部の
周波数特性を計算してみると図10のようになる。同図
によると、帰還抵抗RNFが2kΩと20kΩの場合の双
方で各特性は殆ど同様であり、また400kHz〜11
MHzにわたって殆ど平坦化し、図6の場合と比較して
特性が安定したことが確認できる。更に、図11は図7
に対応するものであるが、帰還量を増加させた場合も安
定した特性を示しており、抵抗RTと容量CTの挿入によ
る補償法がクリティカルでないことが理解される。そし
て、これらの状態における入力インピーダンスZinの実
部の周波数特性を計算してみたが、抵抗RTと容量CT
影響は全く見られず、またゲインの周波数特性にも何等
影響を与えていないことが確認された。
【0039】次に、前記の高域補償法を採用した場合
に、帰還理論的にどの程度の安定性が得られているかも
重要な問題であると考えられるため、ループゲインのBo
de線図を描いてみた。ループゲインGLを計算するに
は、図2における帰還ループを切断し、図12の等価回
路に示すように、電源eiをZNFと直列にして帰還が戻
ってくる点に接続し、出力端子にはZNFと終端抵抗ZEI
の直列要素を接続する。その場合、終端抵抗ZEIが明確
でないが、ZEIは電源より中を見た入力インピーダンス
に等しいと考えられるため、電源を流れる電流をIin
表すと、 ZEI=ei/Iin …(19) で求めることができ、ZEIに適当な初期値を与えて、そ
れが収束するまで計算を行えばそれを確定することがで
きる。図12の等価回路に基づいて未知数をIB1,IF1,
B2,IF2,IB3,IF3,IB4,IF4,IL1,IL2,IL3,Iin
の12の電流とすると12元連立1次方程式が得られる
が、それを解くことでループゲインは GL=−eo/ei=(ZL3L3)/ei …(20) として求められる。
【0040】計算の結果で得られたループゲインGL
位相特性を図13に示す。一般的には周波数の上昇と共
に位相の遅れが発生するのが普通であるが、同図によれ
ば一旦100kHzまで下がってから、1MHzにかけて
位相の遅れが修正されている。また、帰還抵抗RNFによ
る差は殆ど見られない。ところで、上記の高域補償によ
って帰還理論的な安定性が向上しているために、数10
MHzまで見てもループゲインGLの位相は−180°ま
で回転せず、ゲイン余裕を求めることができない。従っ
て、ループゲインGLが0dbになる点(図中の矢印点)
での位相余裕を見ることにする。その点は約310kH
z辺りにあり、同点での位相余裕は120°以上あり、
帰還理論的に十分に安定性を確保している。一般の標準
的な3段帰還増幅器と比較して位相余裕が120°とい
うのは破格な値であるが、それよりループゲインGL
0dbになる点が310kHzと極端に低いことが大き
な特徴である。そして、それらの特徴は前記の抵抗RT
及び容量CTを挿入したことによるものである。
【0041】次に、図14に抵抗RTとループゲインGL
の周波数特性の関係を示す。抵抗RTが0の場合には0
dBポイントが7MHz辺りにあるのに対し、10kΩ
にするとほぼ1桁周波数が下がっている。更に、47k
Ωの場合は約250kHzまで下がり、図13の位相特
性とほぼ符合していることが理解される。ここで、0d
Bポイントが下がったことは、出力インピーダンスZ
outに負性抵抗が出現する可能性が高い周波数が低下し
たことと相関しており、これが可聴周波数に入り込まな
い限り、容量負荷に対して安定性を確保する上で有利に
なったとみなせる。即ち、問題点が低い周波数に下がれ
ば、大きな静電容量変化でないと影響を与え難いからで
ある。
【0042】7.《回路の変形例》 以上のように、図1の3段帰還増幅器において、容量C
Bにより入力インピーダンスの実部を0以上に保持し、
また抵抗RAと容量CAで入力側からみた高周波雑音の受
け入れ難さを確保させておくことによって高域補償を行
い、更に出力インピーダンスについても、接地抵抗RF1
で一旦帰還量を設定すると共に初段の帰還接続点との間
に抵抗RTと容量CTからなる補償用並列回路を向けて出
力インピーダンスの実部を0以上に保持させ、入力側及
び出力側の何れからみても高周波雑音に対する変調メカ
ニズムを発生させないことに成功している。
【0043】ところで、図1の回路構成では2段目及び
3段目の増幅回路が何れも単一トランジスタで構成され
ているが、オーディオ増幅器では2段目以降に差動増幅
回路を適用したり、最終段にプッシュプル増幅回路を適
用する方式が採用されることが少なくない。例えば、図
16に示すように2段目をペアトランジスタTr5,Tr6
からなるコレクタホロア式の差動増幅回路で構成した
り、図17に示すように3段目をトランジスタTr7,T
r8からなるプッシュプル増幅回路で構成することも多
い。
【0044】前記の実施例において説明した負帰還増幅
器の設計思想と高域補償法は、それらの多様な変形回路
に対しても有効であり、高周波雑音に対する変調メカニ
ズムの発生を消失せしめると共に帰還理論上の回路の安
定性を確保させることにより、高級音質を指向するオー
ディオシステムに対して普遍的に適用できる。
【0045】
【発明の効果】本発明の「負帰還増幅器」は、以上の構成
を有していることにより、次のような効果を奏する。請
求項1の発明は、負帰還増幅器において、その回路の入
出力インピーダンスはオーディオ信号によって微小変動
し、回路が取込んだ高周波雑音がその変動によって変調
され、結果的にオーディオ信号に高周波雑音の被変調信
号を重畳させた状態で再生するために被変調信号が復調
されて音質が劣化してしまうという高周波変調メカニズ
ムの問題に対して、その高周波変調メカニズムの原因が
回路全体の入力インピーダンスと出力インピーダンスの
負性抵抗にあるという点に着目し、それらインピーダン
スの実部の周波数特性が共に全帯域で0以上とする回路
条件を具備せしめることにより、前記の問題を普遍的に
解決する。請求項2の発明は、初段がエミッタ接地式の
増幅回路又は差動増幅回路である多段負帰還増幅器にお
いて、簡単な回路要素の接続だけで請求項1の回路条件
を具現化することを可能にする。請求項3の発明は、初
段がシングル・エンディッド形差動増幅回路、2段目が
コレクタホロア式増幅回路、3段目がエミッタホロア式
増幅回路で構成された3段帰還増幅器において、請求項
2の方式を適用し、高周波雑音の影響を受けない高級音
質の再生を可能にする。請求項4の発明は、請求項3の
負帰還増幅器に対して、高周波雑音の受け入れ難さを具
有せしめ、変調メカニズムの発生原因の除去と併せて、
理想的な3段帰還増幅器を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負帰還増幅器の実施例に係る3段帰還
増幅器の電気回路図である。
【図2】図1の3段帰還増幅器の回路において、RT
Tを除いて短絡接続させた状態で、ゲインと入力イン
ピーダンスを計算するための等価回路図である。
【図3】3段帰還増幅器を出力端側からみたモデル等価
回路図である。
【図4】図1の3段帰還増幅器の回路において、RT
Tを除いて短絡接続させた状態で出力インピーダンス
を計算するための等価回路図である。
【図5】図1の3段帰還増幅器の回路において、RT
Tを除いて短絡接続させた状態で、且つ補償素子CA,
A,CBの内、容量CA以外を外した場合における出力イ
ンピーダンスの実部の周波数特性を示すグラフである。
但し、帰還回路のRF1,RNF,CNFを表3の1及び2の条
件に変化させてある。
【図6】図1の3段帰還増幅器の回路において、RT
Tを除いて短絡接続させた状態で、補償素子CA,RA,
Bを全て付加した場合における出力インピーダンスの
実部の周波数特性を示すグラフである。但し、帰還回路
のRF1,RNF,CNFを表3の1及び2の条件に変化させて
ある。
【図7】図1の3段帰還増幅器の回路において、RT
Tを除いて短絡接続させた状態で、補償素子CA,RA,
Bを全て付加すると共にRNFを2kΩ、CNFを400
pFに設定し、RF1を100Ω,200Ω,400Ωに変
化させた場合における出力インピーダンスの実部の周波
数特性を示すグラフである。
【図8】図1の3段帰還増幅器の回路において、RT
Tの内のRTのみを取付けた状態で、帰還回路のRF1,
NF,CNFを表3の1の条件に設定し、RTを10kΩ,
20kΩ,47kΩ,100kΩに変化させた場合におけ
る出力インピーダンスの実部の周波数特性を示すグラフ
である。
【図9】図1の3段帰還増幅器の回路において、帰還回
路のRF1,RNF,CNFを表3の1の条件に設定すると共に
Tを47kΩとし、CTを5pF,15pF,25pFに変
化させた場合における出力インピーダンスの実部の周波
数特性を求めたグラフである。
【図10】図1の3段帰還増幅器の回路において、帰還
回路のRTを47kΩ、CTを15pFに設定し、帰還回
路のRF1,RNF,CNFを表3の1及び2の条件に変化させ
た場合における出力インピーダンスの実部の周波数特性
を求めたグラフである。
【図11】図1の3段帰還増幅器の回路において、帰還
回路のRNFを2kΩ、CNFを400pF、RTを47k
Ω、CTを15pFに設定し、RF1を100Ω,200Ω,
400Ωとして帰還率を変化させた場合における出力イ
ンピーダンスの実部の周波数特性を求めたグラフであ
る。
【図12】図1の3段帰還増幅器の回路において、ルー
プゲインを計算するための等価回路図である。
【図13】図1の3段帰還増幅器の回路において、帰還
回路のRTを47kΩ、CTを15pFに設定し、RF1,R
NF,CNFを表3の1及び2の条件に変化させた場合にお
けるループゲインの位相に係る周波数特性を求めたグラ
フである。
【図14】図1の3段帰還増幅器の回路において、帰還
回路のRF1,RNF,CNFを表3の1条件に設定すると共に
Tを15pFとし、RTを10kΩ,20kΩ,47kΩ,
100kΩに変化させた場合のループゲインの周波数特
性を求めたグラフである。
【図15】3段帰還増幅器の変形例に係る電気回路図で
ある。
【図16】3段帰還増幅器の変形例に係る電気回路図で
ある。
【図17】従来技術である特開平2-219311号に係るコレ
クタホロア式二段帰還増幅器の電気回路図である。
【符号の説明】
r1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5,Tr6,Tr7,Tr8…トランジ
スタ、RA,RF1,RNF,R1,R2,R3…抵抗、CA,CB,C
NF…容量。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負帰還増幅器において、その入力インピ
    ーダンスの実部及び出力インピーダンスの実部に係る各
    周波数特性が共に全帯域で0以上となる回路構成とした
    ことを特徴とする負帰還増幅器。
  2. 【請求項2】 初段をエミッタ接地式の増幅回路又は差
    動増幅回路とした2段以上の負帰還増幅器において、信
    号が入力される前記初段のトランジスタのベース−コレ
    クタ間に回路全体の入力インピーダンスの実部に係る周
    波数特性を全帯域で0以上とする容量値を有した容量を
    接続し、負帰還回路が、帰還インピーダンス部の帰還側
    を抵抗を介して接地することでその帰還率を設定すると
    共に、前記帰還インピーダンス部の帰還側と前記初段の
    増幅回路の帰還接続点の間に回路全体の出力インピーダ
    ンスの実部に係る周波数特性を全帯域で0以上とするイ
    ンピーダンス要素を接続した回路であることを特徴とす
    る負帰還増幅器。
  3. 【請求項3】 初段をトランジスタTr1,Tr4で構成さ
    れるシングル・エンデッド形差動増幅回路、2段目をト
    ランジスタTr2で前記差動増幅回路の信号入出力側トラ
    ンジスタTr1の出力信号を増幅するコレクタホロア式増
    幅回路、3段目をトランジスタTr3で前記コレクタホロ
    ア式増幅回路の出力を増幅するエミッタホロア式増幅回
    路とし、前記トランジスタTr3の出力を前記差動増幅器
    のトランジスタTr4のベースへ帰還させる負帰還回路を
    有した3段帰還増幅器において、前記トランジスタTr1
    のベース−コレクタ間に回路全体の入力インピーダンス
    inの実部に係る周波数特性を全帯域で0以上とする容
    量値を有した容量CBを接続し、負帰還回路が、帰還イ
    ンピーダンス部ZNFの帰還側を抵抗RF1を介して接地す
    ることでその帰還率を設定すると共に、前記帰還インピ
    ーダンス部ZNFの帰還側と前記トランジスタTr4のベー
    スの間に回路全体の出力インピーダンスZoutの実部に
    係る周波数特性を全帯域で0以上とする抵抗RT又は抵
    抗RTと容量CTの並列回路からなるインピーダンス要素
    を接続した回路であることを特徴とする負帰還増幅器。
  4. 【請求項4】 請求項3の負帰還増幅器において、トラ
    ンジスタTr2のベース−コレクタ間に容量CAを、トラ
    ンジスタTr1のベースに抵抗RAをそれぞれ付加し、抵
    抗RAの抵抗値を回路の高周波帯域における帰還理論上
    の安定性が抵抗RAを付加しない場合の安定性と容量CA
    の容量値で定まる安定性の何れよりも低下する範囲で設
    定した負帰還増幅器。
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EP2209207A3 (en) * 2009-01-19 2010-09-08 Mitsumi Electric Co., Ltd. Semiconductor integrated circuit and video signal output circuit
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