JPH0816718B2 - 蒸気ドラム水位のファジィ制御方法 - Google Patents

蒸気ドラム水位のファジィ制御方法

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JPH0816718B2
JPH0816718B2 JP2235108A JP23510890A JPH0816718B2 JP H0816718 B2 JPH0816718 B2 JP H0816718B2 JP 2235108 A JP2235108 A JP 2235108A JP 23510890 A JP23510890 A JP 23510890A JP H0816718 B2 JPH0816718 B2 JP H0816718B2
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動力炉・核燃料開発事業団
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin

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  • Control Of Non-Electrical Variables (AREA)
  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、原子力発電プラント等における蒸気ドラム
内の液相水位を自動制御する方法に関するものである。
更に詳しく述べると、例えば原子炉低出力領域におい
て、原子炉で発生した蒸気−水混合流体を気水分離する
蒸気ドラム内の水位をファジィ推論の手法を用いて制御
する方法に関するものである。
[従来の技術] 以下、新型転換炉発電プラントを例にとって説明す
る。
新型転換炉発電プラントにおける蒸気ドラムは、原子
炉から生じる蒸気と水の混合した冷却材を集めて気水分
離し、蒸気のみをタービン系へ送り、水はタービン系か
ら戻ってきた給水と混合して再び原子炉へ送り込む役割
をもつ機器である。この時、原子炉の中の燃料の除熱を
確保するとともに、タービンへの水のキャリーオーバを
防ぐ意味から、蒸気ドラム水位は適切な範囲に保たれて
いなければならない。そのため、蒸気ドラム水位を設定
値に維持するように給水流量を制御している。この水位
を一定に制御するには、原理的には気水分離された蒸気
の流量と給水の流量が合致するように給水調節弁によっ
て給水流量を制御すればよい。ところでタービン系から
蒸気ドラムに至る給水系には、通常、容量の異なる2種
の給水調節弁が並列に設置されており、原子炉出力に応
じてこれら2種の弁が使い分けられている。このうち、
原子炉出力約18%以上の高出力領域(高流量領域)で
は、水位信号、蒸気流量信号、及び給水流量信号の三要
素を精度良く測定できるため、主給水調節弁(容量の大
きな方の給水調節弁)は三要素PI(比例積分)制御方式
が採用されている。
しかし、原子炉出力18%以下の低出力領域(低流量領
域)では低流量給水調節弁(容量の小さい方の給水調節
弁)は蒸気ドラム水位信号のみによる一要素PI制御方式
が用いられている。これは主として、蒸気流量及び給水
流量を精度良く測定できないこと、及び蒸気流量以外の
蒸気ドラムからの流出流量が相対的に大きいために蒸気
流量と給水流量を等しいと見なせないこと、のためであ
る。
[発明が解決しようとする課題] 上記のような蒸気ドラム水位信号のみによる一要素PI
制御方式では、蒸気ドラム水位が変化した後でないと給
水調節弁の開度調整動作が行われないため、原子炉出力
が変化した場合等に大きな水位変動が生じる傾向があ
る。
そのため原子炉出力変更速度に一定の制限を設けた
り、運転員が必要に応じて手動調整を加えるなどして対
応していた。つまり熟練した運転員が常に原子炉出力や
各種弁開度などを監視しながら適切に手動補正を行う必
要があった。例えば給水調節弁を切り換える時には、主
給水調節弁を操作した後にすぐ低流量給水調節弁をそれ
に見合う分だけ操作して給水流量が変化しないようにし
ている。この時、仮に原子炉出力が変化すれば、その加
減も加えて操作することになる。
本発明の目的は、従来運転員が行っていた蒸気ドラム
水位制御の手法をファジィ推論を用いて自動制御化する
ことにより、プラント運転制御性能を向上させるととも
に、運転員の負担軽減及び省力化を図ることにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、炉から生じる蒸気と水との混合流体を気水
分離し、蒸気のみをタービン系へ送り、水はタービン系
から給水調節弁を通って戻ってくる給水と混合して再び
炉へ送り込む蒸気ドラムにおいて、低流量領域での水位
を、ファジィ制御の手法を用いて前記給水調節弁の開度
を調整することにより制御する方法である。
上記の目的を達成するため本発明では、前記給水調節
弁の開度調整量を、蒸気ドラム水位偏差及び水位変化率
に基づく第1のファジィ推論部と、給水−蒸気流量偏差
に基づく第2のファジィ推論部と、炉出力に基づく第3
のファジィ推論部とで個別に推論し、プラント状態に応
じた重み付けを行い合成演算して決定しており、この点
に特徴がある。
なお、本発明において「蒸気ドラム」とは蒸気と水と
の混合流体を気水分離する装置のことを言い、原子炉の
蒸気ドラムの他、それに類似した各種冷却系における気
水分離器、蒸気発生器なども含まれる。
[作用] 低流量領域では給水流量や蒸気流量が精度良く測定で
きないため、蒸気ドラム水位が変化しないように給水調
節弁の開度を調整する操作は全て運転員の勘や多くのパ
ラメータの総合評価によって達成されてきた。本発明で
用いるファジィ制御方式は、このような運転員の知識や
経験に基づく制御のノウハウをうまく取り入れた制御系
を作るのに適している。
本発明におけるようなプラントでは、蒸気ドラム水位
をはじめ、いくつかのプロセスデータが入力されるが、
これらの条件入力に対して漏れなく制御ルールを作成す
ると非常に多くのルールが必要となる。そこでファジィ
推論部を三つの推論部に分割して個々に推論を行い、そ
れぞれの推論結果をプラント状態に応じた重み付けを行
って合成演算し、最適な結論を導き出している。
[実施例] 第1図は新型転換炉プラントに本発明方法を適用した
制御システムの一例を示す概念図である。先ずプラント
全体の構成について概略説明する。
原子炉10で発生した蒸気と水との混合冷却材は蒸気ド
ラム12に入り気水分離される。分離された蒸気は、蒸気
隔離弁14を通り、蒸気止弁16及び蒸気加減弁18を通って
タービン20に入り発電機22を駆動し、復水器24に至る。
蒸気隔離弁14からの蒸気の一部は、タービンバイパス弁
26を通って復水器24に至る。復水器24の水は、復水ポン
プ28、給水加熱器30、給水ポンプ32、給水調節弁34を通
って蒸気ドラム12に戻る。この給水は蒸気ドラム12で分
離された水と混合され、再循環ポンプ36により下部ヘッ
ダ38を通って原子炉10へ戻る。ここで給水調節弁34は低
流量給水調節弁であり、説明を簡略化するため、それと
並列に設けられている主給水調節弁については図示して
いない。
本実施例では原子炉10の出力を測定する中性子検出器
40、蒸気ドラム12の水位を測定するドラム水位検出器4
2、及びファジィ制御部44を設ける。ファジィ制御部44
へは蒸気ドラム水位信号、タービンバイパス弁開度信
号、給水調節弁開度信号、原子炉出力信号などが入力
し、ファジィ制御部44からの出力(給水調節弁開度要求
信号)で給水調節弁34の開度を制御する。
本発明によるファジィ制御系の演算フローを第2図に
示す。本発明では給水調節弁34の開度調整量を三つのフ
ァジィ推論部で個別に推論する。プラントからの前記の
ような各種プロセス信号をデータ処理し、蒸気ドラム水
位偏差及び水位変化率に基づく蒸気ドラム系の第1のフ
ァジィ推論部51と、給水−蒸気流量偏差に基づく給水−
蒸気流量系の第2のファジィ推論部52と、炉出力に基づ
く原子炉出力系の第3のファジィ推論部53とで、それぞ
れの制御ルールベース54,55,56によって個別に推論し、
プラント状態に応じた重み付けを行い合成演算する。
第1〜第3のファジィ推論部51,…,53における制御ル
ールの内容は次のとおりである。なお、これらの制御ル
ールは幾つ設定してもよく、ファジィ推論法についても
一般に知られている何れの推論法を用いてもよい。
蒸気ドラム系の第1のファジィ推論部51は、蒸気ドラ
ム水位偏差(実水位−設定水位)及び水位変化率を入力
すると次のような制御ルールにより弁操作量を推論す
る。
・もし水位偏差が正で大きく、水位変化率が正で大きい
ならば、弁を大きく閉める。
・もし水位偏差が正で大きく、水位変化率が零ならば、
弁を少し閉める。
・もし水位偏差が正で大きく、水位変化率が負で大きい
ならば、弁は動かさない。
・ ・・・・・ 蒸気−給水流量系の第2のファジィ推論部52は、主要
弁開度等から評価した流量偏差(給水流量−蒸気流量)
を入力すると次のような制御ルールにより弁操作量を推
論する。
・もし流量偏差がやや給水過剰ならば、弁を少し閉め
る。
・もし流量偏差が零ならば、弁は動かさない。
・もし流量偏差がかなり給水不足ならば、弁を大きく開
ける。
・ ・・・・・ 原子炉出力が上昇すれば、蒸気発生量が増えるため給
水流量を増やす必要がある。一般に原子炉出力に対する
適切な給水流量は原子炉出力と比例関係にある。そこで
原子炉出力系の第3のファジィ推論部53は、原子炉出力
から評価した最適給水流量と実際の給水流量との流量偏
差(給水流量−最適給水流量)を入力すると次のような
制御ルールにより弁操作量を推論する。
・もし流量偏差がかなり給水過剰ならば、弁を大きく閉
める。
・もし流量偏差が零ならば、弁は動かさない。
・もし流量偏差がやや給水不足ならば、弁を少し開け
る。
・ ・・・・・ ここで、蒸気流量と給水流量は精度良く測定できない
ため、例えば第3図に示す2つの給水−蒸気系統(Aル
ープ、Bループという)をもつ新型転換炉プラントの場
合、以下のようにして計算により算出する。
第2の推論部において使用するのは給水流量と蒸気流
量など蒸気ドラムからの流出流量との偏差である。その
流量偏差をΔF2A(t)とすれば、(1)式のように表
すことができる。
ΔF2A(t)=FEEDA(t)+CUWRA(t)+ RCPSA(t)−TBA(t)−CUWA(t) …(1) ここで、 FEEDA(t):Aループ給水流量 CUWRA(t):Aループ炉浄化系戻り流量 RCPSA(t):Aループ再循環ポンプシール注水流量 TBA(t):タービンバイパス弁流量のうちのAループ
側からの蒸気流量 CUWA(t):Aループからの炉浄化系取水流量 である。このうち、CUWRA(t)、TBA(t)及びCUW
A(t)は測定されていないものである。しかし、Aル
ープとBループ間の不平衡を無視すれば(1)式は次の
ように簡略化される。
ΔF2A(t) = FEEDA(t)−(TB(t)+BLOW(t))/2 …(2) ここで、 TB(t):タービンバイパス弁流量 BLOW(t):炉浄化系から復水器へのブローダウン流量 である。(2)式のうちBLOW(t)は測定されているが
TB(t)は測定されていない。またFEEDA(t)は測定
精度が悪いため使用できない。そこで、FEEDA(t)及
びTB(t)は各弁開度から次式により求めることとす
る。
FEEDA(t) =FFLOW(FVLOWA(t))+FFPRI(FVPRIA(t)) …
(3) TB(t)=FL(TV1(t))+FL(TV2(t))…(4) ここで、 FFLOW(FVLOWA(t)):Aループの低流量給水調節弁開
度FVLOWA(t)に対する給水流量を与える関数 FFPRI(FVPRIA(t)):Aループの主給水調節弁開度FV
PRIA(t)に対する給水流量を与える関数 FL(TV1(t)),FL(TV2(t)):タービンバイパス
弁1及び2の開度TV1(t)及びTV2(t)に対する蒸気
流量を与える関数 である。上記の弁開度から流量を与える関数は、両者の
相関データを基に最適フィッティング曲線を求めて使用
すればよい。但し、給水流量に関しては給水調節弁前後
の差圧がプラントの起動とともに大きく変化するため、
上記の一種類の関数ではフィッティング不可能である。
そこで、他の方法として、弁のCV曲線を用いて次式によ
り流量を求める方法がある。
FEEDA(t)=ρ×(P1−P2−P3−P41/2 ×(CVLOWA(FVLOWA(t)) +CVPRIA(FVPRIA(t)))/1.17 …(3)′ ここで、 ρ:流体密度 P1:給水ポンプ出口圧力 P2:蒸気ドラム圧力 P3:蒸気ドラム中心から給水調節弁までの静水頭 P4:給水調節弁から蒸気ドラムまでの流体摩擦損失 CVLOWA(FVLOWA(t)):Aループの低流量給水調節弁開
度FVLOWA(t)に対するCV値を与える関数 CVPRIA(FVPRIA(t)):Aループの主給水調節弁開度FV
PRIA(t)に対するCV値を与える関数 である。即ち、(3)式若しくは(3)′式及び(4)
式を(2)式に適用して、給水流量と蒸気流量の偏差を
計算により推定することができる。
次に第3の推論部で行われる原子炉出力による低流量
給水調節弁開度の操作量の推論は、過去に良好な蒸気ド
ラム水位制御が行われたケースにおける原子炉出力と給
水流量の相関の実績データから最適フィッティング曲線
を求め、その曲線を用いて、入力された原子炉出力に見
合う最適給水流量を設定し、それと実際の給水流量との
偏差に基づいて前述の制御ルールに従って行われる。即
ち、実際の給水流量と最適給水流量の偏差ΔF3A(t)
は次式により求める。
ΔF3A(t)=FEEDA(t)−FF3LOW(P0(t)) …
(5) ここで、 FF3LOW(P0(t)):原子炉出力P0(t)に対する最適
給水流量を与える関数 である。
このように本発明では、蒸気ドラム水位制御に対して
最も注目すべき三つの側面からそれぞれ独自の推論を行
い、確定値W1,W2,W3を得、それらを重み付き合成演算に
よって統合して出力し、給水調節弁の開度を制御するも
のである(第2図参照)。ここで、重み付き合成演算の
際の各推論部の重みゲイン(m1,m2,m3)は、原子炉核加
熱時のように蒸気流量の変化が小さい領域では蒸気ドラ
ム水位系の重みを大きくし、定格圧力到達以降のように
蒸気流量や給水流量の変化が大きい領域では給水−蒸気
流量系及び原子炉出力系の重みを大きくするように自動
的に設定する等、上位のメタルールによってプラントの
状態に応じて切り換えることにより、多種の特性を自在
に設定することができる。
新型転換炉プラントにおける本発明方法の機能確認試
験の結果を第4図に示す。これは蒸気ドラム水位信号の
みの一要素入力によるPIコントローラにより自動制御さ
れた蒸気ドラムB水位と、本発明方法の推論結果の情報
により制御された蒸気ドラムA水位とを比較したもので
ある。これにより本発明方法により制御された蒸気ドラ
ムAの方が水位変動をより小さく抑える良好な制御性を
示すことが確認された。
[発明の効果] 本発明は上記のようなファジィ制御による蒸気ドラム
水位制御方法であるから、従来三要素PI制御方式を採用
できず一要素PI制御にたよってきた低流量領域でも蒸気
ドラム水位変動幅を従来技術の約1/2〜1/6に低減でき、
制御性能が大幅に向上する。
また本発明では、三種類の側面から推論した結果を、
プラントの状態に応じて重み付けを変えて合成演算する
ため、制御ルール数を少なくでき、またプラントの状態
毎に、それに適した特性を容易に制御系に持たせること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を適用した新型転換炉プラントの一
例を示す概念図、第2図はファジィ制御系の演算フロー
線図、第3図は新型転換炉プラントの一例の給水−蒸気
系統概略図、第4図はファジィ制御システム機能確認結
果を示すグラフである。 10……原子炉、12……蒸気ドラム、20……タービン、34
……給水調節弁、40……中性子検出器、42……ドラム水
位検出器、44……ファジィ制御部、51……第1のファジ
ィ推論部、52……第2のファジィ推論部、53……第3の
ファジィ推論部。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−231306(JP,A) 特開 昭64−12295(JP,A) 特開 昭61−217604(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉から生じる蒸気と水との混合流体を気水
    分離し、蒸気のみをタービン系へ送り、水はタービン系
    から給水調節弁を通って戻ってくる給水と混合して再び
    炉へ送り込む蒸気ドラムの低流量領域での水位を、前記
    給水調節弁の開度を調整することにより制御する方法に
    おいて、前記給水調節弁の開度調整量を、蒸気ドラム水
    位偏差及び水位変化率に基づく第1のファジィ推論部
    と、給水−蒸気流量偏差に基づく第2のファジィ推論部
    と、炉出力に基づく第3のファジィ推論部とで個別に推
    論し、プラント状態に応じた重み付けを行い合成演算し
    て決定することを特徴とする蒸気ドラム水位のファジィ
    制御方法。
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