JPH08165547A - エンジンバルブ - Google Patents
エンジンバルブInfo
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- JPH08165547A JPH08165547A JP30736694A JP30736694A JPH08165547A JP H08165547 A JPH08165547 A JP H08165547A JP 30736694 A JP30736694 A JP 30736694A JP 30736694 A JP30736694 A JP 30736694A JP H08165547 A JPH08165547 A JP H08165547A
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- Japan
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- valve
- hardness
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 21−4N鋼より高い高温強度を有する耐熱
鋼からなるエンジンバルブのフェース部を、肉盛り等の
工程無しで十分に硬度を高めることにより安価で高強度
のバルブを提供する。 【構成】 重量%で、C0.01〜0.20%、Si 1.0%以
下、Mn 4.5〜15.0%、NiとCoの1種または2種を
Ni+Coで2.0〜20.0%、Cr 15.0〜26.0%、Moと
Wの1種または2種をMo+1/2Wで2.0〜20.0%、Nb
0.9%以下、N 0.30〜0.65%、B 0.02%以下を含み、
残部Feおよび不可避の不純物からなるエンジンバルブ
であって、前記バルブのフェース部が冷間または温間加
工によりビッカース硬さ400HV以上の硬化層を有するこ
とを特徴とするエンジンバルブ。
鋼からなるエンジンバルブのフェース部を、肉盛り等の
工程無しで十分に硬度を高めることにより安価で高強度
のバルブを提供する。 【構成】 重量%で、C0.01〜0.20%、Si 1.0%以
下、Mn 4.5〜15.0%、NiとCoの1種または2種を
Ni+Coで2.0〜20.0%、Cr 15.0〜26.0%、Moと
Wの1種または2種をMo+1/2Wで2.0〜20.0%、Nb
0.9%以下、N 0.30〜0.65%、B 0.02%以下を含み、
残部Feおよび不可避の不純物からなるエンジンバルブ
であって、前記バルブのフェース部が冷間または温間加
工によりビッカース硬さ400HV以上の硬化層を有するこ
とを特徴とするエンジンバルブ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の内燃機関に
使用されるエンジンバルブに関する。
使用されるエンジンバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用エンジンの排気バルブに
は、21−4N鋼(JIS規格SUH35:0.55C−0.2Si−
9Mn−4Ni−21Cr−0.4N)およびその改良鋼が
広く用いられてきた.これは、21−4N鋼が高温強度
やガソリン中に含まれる鉛や硫黄に対する耐食性および
耐酸化性等がバランスよく優れており、しかも安価であ
るという特徴をもつためである。一方、エンジンバルブ
のフェース部は、バルブシートに接触するために高い耐
摩耗性が要求される。このため、上記21−4N系の鋼
を用いたバルブのフェース部には通常ステライト等の40
0〜700℃付近で硬さが高く耐摩耗の優れた合金が、肉盛
りされて使用されている。
は、21−4N鋼(JIS規格SUH35:0.55C−0.2Si−
9Mn−4Ni−21Cr−0.4N)およびその改良鋼が
広く用いられてきた.これは、21−4N鋼が高温強度
やガソリン中に含まれる鉛や硫黄に対する耐食性および
耐酸化性等がバランスよく優れており、しかも安価であ
るという特徴をもつためである。一方、エンジンバルブ
のフェース部は、バルブシートに接触するために高い耐
摩耗性が要求される。このため、上記21−4N系の鋼
を用いたバルブのフェース部には通常ステライト等の40
0〜700℃付近で硬さが高く耐摩耗の優れた合金が、肉盛
りされて使用されている。
【0003】また、負荷の高いバルブの場合あるいは上
記の肉盛りを省略する目的で、Niを多量に含み、γ’
(ガンマプライム)の析出効果を利用して高温強度を高
めた超耐熱合金系(例えばJIS NCF751)も一部で用いら
れているが、コスト面では21−4N系よりも高くなる
という難点がある。これら超耐熱合金系の合金を用いた
バルブは上記のように通常は肉盛りなしで使用可能であ
るが、例えば船舶用のバルブのようにより優れた耐摩耗
性が要求される場合には、バルブの傘部を温間(650〜9
00℃)で加工した後に時効硬化熱処理を施して硬度を上
昇させるという方法が知られている(特公昭59-96255
号、特公昭59-100259号に開示)。
記の肉盛りを省略する目的で、Niを多量に含み、γ’
(ガンマプライム)の析出効果を利用して高温強度を高
めた超耐熱合金系(例えばJIS NCF751)も一部で用いら
れているが、コスト面では21−4N系よりも高くなる
という難点がある。これら超耐熱合金系の合金を用いた
バルブは上記のように通常は肉盛りなしで使用可能であ
るが、例えば船舶用のバルブのようにより優れた耐摩耗
性が要求される場合には、バルブの傘部を温間(650〜9
00℃)で加工した後に時効硬化熱処理を施して硬度を上
昇させるという方法が知られている(特公昭59-96255
号、特公昭59-100259号に開示)。
【0004】近年、ガソリンエンジンの高効率、高出力
化による燃焼温度の上昇に伴い、21−4N鋼よりさら
に高温強度の優れ、かつ安価なバルブ用耐熱鋼が要求さ
れている。これに対し、発明者らはFeをベースとする
系を基本に種々の検討を行った結果、21−4N系にお
ける炭化物による析出硬化よりも、各種元素の固溶強化
を最大限に図ることで高温強度向上を試み、Cの添加を
必要最小限にとどめ、置換型固溶強化元素としてWおよ
びMo、侵入型固溶強化元素としてNを組み合わせるこ
とにより優れた高温強度を得ることができることを明ら
かにした(特開平3-166342号、特開平4-147949号に開
示)。
化による燃焼温度の上昇に伴い、21−4N鋼よりさら
に高温強度の優れ、かつ安価なバルブ用耐熱鋼が要求さ
れている。これに対し、発明者らはFeをベースとする
系を基本に種々の検討を行った結果、21−4N系にお
ける炭化物による析出硬化よりも、各種元素の固溶強化
を最大限に図ることで高温強度向上を試み、Cの添加を
必要最小限にとどめ、置換型固溶強化元素としてWおよ
びMo、侵入型固溶強化元素としてNを組み合わせるこ
とにより優れた高温強度を得ることができることを明ら
かにした(特開平3-166342号、特開平4-147949号に開
示)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、特開平
3-166342号等に開示の開発鋼は21−4N鋼に比較して
優れた高温強度を有しているが、固溶強化を利用してい
るため、1000℃以上の高温における固溶化処理が不可欠
である。そのためバルブの常温〜700℃における硬さは
それほど高くないので、そのままではフェース部の耐摩
耗性が必ずしも十分とはいえない問題があった。従っ
て、必要に応じてフェース部に肉盛りを施したものが使
用されてきたが、肉盛りは高価なステライト等を使用
し、また肉盛り工程も繁雑であるので、エンジンバルブ
の製造コストに占める割合が高くバルブの製造原価を大
幅に高める要因になる。
3-166342号等に開示の開発鋼は21−4N鋼に比較して
優れた高温強度を有しているが、固溶強化を利用してい
るため、1000℃以上の高温における固溶化処理が不可欠
である。そのためバルブの常温〜700℃における硬さは
それほど高くないので、そのままではフェース部の耐摩
耗性が必ずしも十分とはいえない問題があった。従っ
て、必要に応じてフェース部に肉盛りを施したものが使
用されてきたが、肉盛りは高価なステライト等を使用
し、また肉盛り工程も繁雑であるので、エンジンバルブ
の製造コストに占める割合が高くバルブの製造原価を大
幅に高める要因になる。
【0006】一方、前述の特公昭59-96255号、特公昭59
-100259号に記載されているようなバルブの傘部を温間
で加工した後に時効硬化熱処理を施して硬度を上昇させ
る方法は、時効による強度増加が著しいγ′析出強化形
の合金には適用できるが、特開平3-166342号等に開示の
開発鋼は、固溶強化を利用しており、時効による硬化は
ほとんどないため適用することは不可能である。このよ
うに温間加工後に、時効による強度を増加させるために
は、Niを多量に含有させ、さらにγ′を析出させる目
的で、TiやAlを添加する必要がある。そのため、原
料費が高くなるだけでなく、真空溶解を行なうため、製
造コストが嵩む欠点があり、本発明の目的の一つである
安価なエンジンバルブを提供できなくなる。本発明の目
的は、上記の開発鋼をさらに改良して、肉盛り等の工程
なしに十分にフェース部の硬度が高く、かつ安価なエン
ジンバルブを提供することである。
-100259号に記載されているようなバルブの傘部を温間
で加工した後に時効硬化熱処理を施して硬度を上昇させ
る方法は、時効による強度増加が著しいγ′析出強化形
の合金には適用できるが、特開平3-166342号等に開示の
開発鋼は、固溶強化を利用しており、時効による硬化は
ほとんどないため適用することは不可能である。このよ
うに温間加工後に、時効による強度を増加させるために
は、Niを多量に含有させ、さらにγ′を析出させる目
的で、TiやAlを添加する必要がある。そのため、原
料費が高くなるだけでなく、真空溶解を行なうため、製
造コストが嵩む欠点があり、本発明の目的の一つである
安価なエンジンバルブを提供できなくなる。本発明の目
的は、上記の開発鋼をさらに改良して、肉盛り等の工程
なしに十分にフェース部の硬度が高く、かつ安価なエン
ジンバルブを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記開発
鋼が、Mn、N、Ni、Co等の加工硬化性を高める元
素を多量に含むことに注目し、フェース部を冷間加工ま
たは温間加工することで、高硬度化することを試みた。
その結果、これらの開発鋼は冷間または温間加工のみで
容易に必要とされるレベルの硬度に達することを明らか
にした。すなわち、本発明の第1発明は、重量%で、C
0.01〜0.20%、Si 1.0%以下、Mn 4.5〜15.0%、
NiとCoの1種または2種をNi+Coで2.0〜20.0
%、Cr 15.0〜26.0%、MoとWの1種または2種を
Mo+1/2Wで2.0〜20.0%、Nb 0.9%以下、N 0.30〜
0.65%、B 0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避
の不純物からなるエンジンバルブであって、前記バルブ
のフェース部が冷間または温間加工によりビッカース硬
さ400HV以上の硬化層を有することを特徴とするエンジ
ンバルブである。上記冷間加工または温間加工率はそれ
ぞれ10%以上とするのが望ましい。
鋼が、Mn、N、Ni、Co等の加工硬化性を高める元
素を多量に含むことに注目し、フェース部を冷間加工ま
たは温間加工することで、高硬度化することを試みた。
その結果、これらの開発鋼は冷間または温間加工のみで
容易に必要とされるレベルの硬度に達することを明らか
にした。すなわち、本発明の第1発明は、重量%で、C
0.01〜0.20%、Si 1.0%以下、Mn 4.5〜15.0%、
NiとCoの1種または2種をNi+Coで2.0〜20.0
%、Cr 15.0〜26.0%、MoとWの1種または2種を
Mo+1/2Wで2.0〜20.0%、Nb 0.9%以下、N 0.30〜
0.65%、B 0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避
の不純物からなるエンジンバルブであって、前記バルブ
のフェース部が冷間または温間加工によりビッカース硬
さ400HV以上の硬化層を有することを特徴とするエンジ
ンバルブである。上記冷間加工または温間加工率はそれ
ぞれ10%以上とするのが望ましい。
【0008】
【作用】以下に本発明における成分限定理由について述
べる。Cは、基地に固溶して強度を増加させるととも
に、Nb等の元素と結びついて炭化物を生成することに
より、高温での固溶化処理中の結晶粒成長の防止および
比較的低温域での強度を高める作用を持つ。そのため最
低0.02%を必要とする。しかしC量が増加するにつれ
て、MoやWとの炭化物の生成量が増加することにより
これらの元素の固溶強化作用が減少するとともに、本発
明の主要強化元素であるNの固溶度を低下させる。従っ
てCは0.20%以下に限定する。Siは、溶解時の脱酸剤
として、および高温での耐酸化性付与に有効な元素であ
るが、1.0%を越えると高温強度を低下させるので、1.0
%以下に限定する。
べる。Cは、基地に固溶して強度を増加させるととも
に、Nb等の元素と結びついて炭化物を生成することに
より、高温での固溶化処理中の結晶粒成長の防止および
比較的低温域での強度を高める作用を持つ。そのため最
低0.02%を必要とする。しかしC量が増加するにつれ
て、MoやWとの炭化物の生成量が増加することにより
これらの元素の固溶強化作用が減少するとともに、本発
明の主要強化元素であるNの固溶度を低下させる。従っ
てCは0.20%以下に限定する。Siは、溶解時の脱酸剤
として、および高温での耐酸化性付与に有効な元素であ
るが、1.0%を越えると高温強度を低下させるので、1.0
%以下に限定する。
【0009】Mnは、高価なNiおよびCoの代替元素
として、基地のオーステナイトを安定化させる作用をも
つ。さらに、Nの溶解度を高めるとともに、冷間加工ま
たは温間加工による加工硬化を促進するので不可欠の元
素である。そのため最低4.5%を必要とする。しかしな
がら過度の添加は、高温強度の低下、Crとの相乗作用
による有害なσ相の生成、高温での耐酸化性の低下等を
引き起こすので、15%以下に限定する。NiとCoは、
基地のオーステナイトを安定化させ、さらに強度、耐食
性、耐酸化性を向上させる作用をもつ。さらに冷間加工
または温間加工による加工硬化を促進する作用も有す
る。そのため、NiとCoの少なくとも1種は2.0%以
上必要である。しかしながら、過度のNiとCoの添加
は本発明鋼の主要強化元素であるNの固溶度を減じ、ま
たNiおよびCoは高価な元素であるために、Ni+C
o量を20%以下に限定する。また、NiとCoは単独で
も良好な効果が得られるが、特にバルブの疲労強度を重
視する場合はCoを1〜5%添加するのが望ましい。
として、基地のオーステナイトを安定化させる作用をも
つ。さらに、Nの溶解度を高めるとともに、冷間加工ま
たは温間加工による加工硬化を促進するので不可欠の元
素である。そのため最低4.5%を必要とする。しかしな
がら過度の添加は、高温強度の低下、Crとの相乗作用
による有害なσ相の生成、高温での耐酸化性の低下等を
引き起こすので、15%以下に限定する。NiとCoは、
基地のオーステナイトを安定化させ、さらに強度、耐食
性、耐酸化性を向上させる作用をもつ。さらに冷間加工
または温間加工による加工硬化を促進する作用も有す
る。そのため、NiとCoの少なくとも1種は2.0%以
上必要である。しかしながら、過度のNiとCoの添加
は本発明鋼の主要強化元素であるNの固溶度を減じ、ま
たNiおよびCoは高価な元素であるために、Ni+C
o量を20%以下に限定する。また、NiとCoは単独で
も良好な効果が得られるが、特にバルブの疲労強度を重
視する場合はCoを1〜5%添加するのが望ましい。
【0010】Crは、エンジンバルブの耐食性、耐酸化
性向上に不可欠の元素であり、最低15%を必要とする。
しかしながら、過度の添加は有害なσ相を生成するので
26%以下に限定する。MoとWは同族元素であり、基地
に置換型原子として固溶し強化すると同時に、一部は炭
化物を形成することによっても強化する。WはMoの2
倍の原子量を有するので、Mo+1/2Wで表して、少な
くとも1種は2%以上必要である。しかしながら過度に
添加すると、炭化物、窒化物または炭窒化物を形成し固
溶強化度を却って減じるため高温強度に有効に働かない
とともに、耐酸化性を劣化させるので、Mo+1/2W量
は20%以下に限定する。MoとWはほぼ同じ作用を有す
るが、耐酸化性に関してはWの方が有利である。またW
は原子量がMoの2倍であるため高温における拡散速度
が小さく、クリープ強度を向上させる効果が大きい。従
って強度に関しても単純にはW添加の方が有利である
が、WとMoを複合添加すると疲労強度がさらに向上す
るという効果がある。従って、耐酸化性を重視する場合
にはWの単独添加が、疲労強度を重視する場合にはWと
Moの複合添加が望ましい。
性向上に不可欠の元素であり、最低15%を必要とする。
しかしながら、過度の添加は有害なσ相を生成するので
26%以下に限定する。MoとWは同族元素であり、基地
に置換型原子として固溶し強化すると同時に、一部は炭
化物を形成することによっても強化する。WはMoの2
倍の原子量を有するので、Mo+1/2Wで表して、少な
くとも1種は2%以上必要である。しかしながら過度に
添加すると、炭化物、窒化物または炭窒化物を形成し固
溶強化度を却って減じるため高温強度に有効に働かない
とともに、耐酸化性を劣化させるので、Mo+1/2W量
は20%以下に限定する。MoとWはほぼ同じ作用を有す
るが、耐酸化性に関してはWの方が有利である。またW
は原子量がMoの2倍であるため高温における拡散速度
が小さく、クリープ強度を向上させる効果が大きい。従
って強度に関しても単純にはW添加の方が有利である
が、WとMoを複合添加すると疲労強度がさらに向上す
るという効果がある。従って、耐酸化性を重視する場合
にはWの単独添加が、疲労強度を重視する場合にはWと
Moの複合添加が望ましい。
【0011】Nは、その大部分は基地に侵入型原子とし
て固溶し、鋼を強化する。本発明鋼においてはこのNの
固溶強化を最大限に利用している。そのため最低0.30%
を必要とするが、本成分系においてはNの溶解度が最大
0.65%であるので、0.65%以下に限定する。Nbは必ず
しも添加する必要はないが、Cと結びついてNbCを形
成することで、固溶化処理中の結晶粒成長を抑える作用
を有する。そのため固溶化処理温度を高めることがで
き、その結果副次的にWやMoの均質な固溶を促進させ
る効果があるため、必要に応じて添加することができ
る。Nbは耐酸化性を劣化させるので過度の添加は好ま
しくなく、0.9%以下の範囲で添加するのがよい。Bは
必ずしも添加する必要はないが、微量添加によって結晶
粒界に偏析し、クリープ強度および熱間加工性を改善す
る作用を有するため、必要に応じて添加することかでき
る。しかしながら過度に添加すると鋼の溶融点を下げる
ので、0.02%以下の範囲で添加するのがよい。
て固溶し、鋼を強化する。本発明鋼においてはこのNの
固溶強化を最大限に利用している。そのため最低0.30%
を必要とするが、本成分系においてはNの溶解度が最大
0.65%であるので、0.65%以下に限定する。Nbは必ず
しも添加する必要はないが、Cと結びついてNbCを形
成することで、固溶化処理中の結晶粒成長を抑える作用
を有する。そのため固溶化処理温度を高めることがで
き、その結果副次的にWやMoの均質な固溶を促進させ
る効果があるため、必要に応じて添加することができ
る。Nbは耐酸化性を劣化させるので過度の添加は好ま
しくなく、0.9%以下の範囲で添加するのがよい。Bは
必ずしも添加する必要はないが、微量添加によって結晶
粒界に偏析し、クリープ強度および熱間加工性を改善す
る作用を有するため、必要に応じて添加することかでき
る。しかしながら過度に添加すると鋼の溶融点を下げる
ので、0.02%以下の範囲で添加するのがよい。
【0012】なお、以下の元素は下記の範囲内で本バル
ブに含まれても良い。 P≦0.04% S≦0.03% Cu≦0.30% V≦0.1% Ta≦0.1% Mg≦0.02% Ca≦0.02% REM≦0.03% 次に、本開発鋼を用いて、フェース部の硬さを400HV以
上とする方法について説明する。まず、バルブの概略形
状に熱間で成形した後、固溶化処理を施す。本発明鋼の
場合、前述のように固溶強化作用を最大限利用するため
に、炭化物、窒化物または炭窒化物の固溶が進む高温で
固溶化処理を行うのが望ましい。具体的には1000℃以上
の温度、望ましくは1050〜1180℃の範囲で15〜60分程度
保持した後急冷する。その後750℃前後で1〜4時間程
度の時効処理を行う。
ブに含まれても良い。 P≦0.04% S≦0.03% Cu≦0.30% V≦0.1% Ta≦0.1% Mg≦0.02% Ca≦0.02% REM≦0.03% 次に、本開発鋼を用いて、フェース部の硬さを400HV以
上とする方法について説明する。まず、バルブの概略形
状に熱間で成形した後、固溶化処理を施す。本発明鋼の
場合、前述のように固溶強化作用を最大限利用するため
に、炭化物、窒化物または炭窒化物の固溶が進む高温で
固溶化処理を行うのが望ましい。具体的には1000℃以上
の温度、望ましくは1050〜1180℃の範囲で15〜60分程度
保持した後急冷する。その後750℃前後で1〜4時間程
度の時効処理を行う。
【0013】続いて、フェース部のみに加工が加わるよ
うにして、冷間または温間で加工を行う。温間加工は、
被加工材の再結晶温度以下の温度で加工することを指す
が、通常は900℃以下で行う。この場合、常温では10%以
上、また温間では300℃〜600℃の加工温度のときで15%
以上の加工率とするのが良い。フェース部の硬度は、ビ
ッカース硬さで400HV以上にすると、これは肉盛りした
ステライト合金の硬さに相当し、十分な耐摩耗性が得ら
れる。一方、フェース部の硬度が400HVを下回るとエン
ジンを長時間使用中にフェース部に摩耗が生じるように
なる。従って、フェース部の硬度は400HV以上が必要で
ある。一方、冷間加工率を高くすると靭性が低下するよ
うになり、使用中のフェース部の欠け等の問題が生じる
可能性があるので、加工後のフェース部の硬度は700HV
以下とすることが望ましい。
うにして、冷間または温間で加工を行う。温間加工は、
被加工材の再結晶温度以下の温度で加工することを指す
が、通常は900℃以下で行う。この場合、常温では10%以
上、また温間では300℃〜600℃の加工温度のときで15%
以上の加工率とするのが良い。フェース部の硬度は、ビ
ッカース硬さで400HV以上にすると、これは肉盛りした
ステライト合金の硬さに相当し、十分な耐摩耗性が得ら
れる。一方、フェース部の硬度が400HVを下回るとエン
ジンを長時間使用中にフェース部に摩耗が生じるように
なる。従って、フェース部の硬度は400HV以上が必要で
ある。一方、冷間加工率を高くすると靭性が低下するよ
うになり、使用中のフェース部の欠け等の問題が生じる
可能性があるので、加工後のフェース部の硬度は700HV
以下とすることが望ましい。
【0014】
(実施例1)表1に示す組成の鋼を大気誘導炉にて溶製
し、10kgのインゴットを作製後、1100℃に加熱して30mm
角の棒材に鍛伸した。さらに1150℃で30分保持後空冷の
固溶化処理を行った後、750℃で4時間保持、空冷の時
効処理を行った。この素材より直径6mm、長さ9mmの円柱
状試験片を切り出し、常温で種々の加工率で圧縮試験を
行って、縦断部のD/4(Dは直径)位置における硬さ
を測定した。硬さ測定結果を表2に示す。表2より10%
以上の冷間加工により目的とする400HV以上の硬さが得
られることがわかる。
し、10kgのインゴットを作製後、1100℃に加熱して30mm
角の棒材に鍛伸した。さらに1150℃で30分保持後空冷の
固溶化処理を行った後、750℃で4時間保持、空冷の時
効処理を行った。この素材より直径6mm、長さ9mmの円柱
状試験片を切り出し、常温で種々の加工率で圧縮試験を
行って、縦断部のD/4(Dは直径)位置における硬さ
を測定した。硬さ測定結果を表2に示す。表2より10%
以上の冷間加工により目的とする400HV以上の硬さが得
られることがわかる。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】(実施例2)表1におけるNo.AとNo.
Bの組成の鋼から作製した直径6mmの丸棒を用いて、表
3に示す複数の工程でエンジンバルブを成形した。本発
明バルブNo.1は常温で20%の加工を加えたもの、No.2
は常温で20%の加工後さらにタフトライド処理を行った
もの、No.3は温間(600℃)で30%の加工後タフトライ
ド処理を行ったものである。また比較バルブは通常の工
程(バルブ成形後固溶化、時効熱処理)で作製したもの
である。これらのバルブについてフェース面の硬さを測
定した。硬さ測定結果を表3に合わせて示す。表3より
本発明バルブのフェース部の硬度は比較バルブに比べて
明らかに高いことが認められる。
Bの組成の鋼から作製した直径6mmの丸棒を用いて、表
3に示す複数の工程でエンジンバルブを成形した。本発
明バルブNo.1は常温で20%の加工を加えたもの、No.2
は常温で20%の加工後さらにタフトライド処理を行った
もの、No.3は温間(600℃)で30%の加工後タフトライ
ド処理を行ったものである。また比較バルブは通常の工
程(バルブ成形後固溶化、時効熱処理)で作製したもの
である。これらのバルブについてフェース面の硬さを測
定した。硬さ測定結果を表3に合わせて示す。表3より
本発明バルブのフェース部の硬度は比較バルブに比べて
明らかに高いことが認められる。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、21−4N鋼より高い
高温強度を有する耐熱鋼からなるエンジンバルブのフェ
ース部を、肉盛り等の工程無しで十分に硬度を高めるこ
とが可能であり、製造工程の省略と低コスト化が達成で
きる。その結果、安価でフェース部の耐摩耗性に優れた
エンジンバルブを提供することが可能である。
高温強度を有する耐熱鋼からなるエンジンバルブのフェ
ース部を、肉盛り等の工程無しで十分に硬度を高めるこ
とが可能であり、製造工程の省略と低コスト化が達成で
きる。その結果、安価でフェース部の耐摩耗性に優れた
エンジンバルブを提供することが可能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、C 0.01〜0.20%、Si 1.0
%以下、Mn 4.5〜15.0%、NiとCoの1種または2
種をNi+Coで2.0〜20.0%、Cr 15.0〜26.0%、M
oとWの1種または2種をMo+1/2Wで2.0〜20.0%、
Nb 0.9%以下、N 0.30〜0.65%、B 0.02%以下、残
部Feおよび不可避の不純物からなるエンジンバルブで
あって、前記バルブのフェース部が冷間または温間加工
によりビッカース硬さ400HV以上の硬化層を有すること
を特徴とするエンジンバルブ。 - 【請求項2】 フェース部の冷間または温間加工率が10
%以上であることを特徴とする請求項1に記載のエンジ
ンバルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30736694A JPH08165547A (ja) | 1994-12-12 | 1994-12-12 | エンジンバルブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30736694A JPH08165547A (ja) | 1994-12-12 | 1994-12-12 | エンジンバルブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08165547A true JPH08165547A (ja) | 1996-06-25 |
Family
ID=17968216
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30736694A Pending JPH08165547A (ja) | 1994-12-12 | 1994-12-12 | エンジンバルブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08165547A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011514471A (ja) * | 2009-01-23 | 2011-05-06 | マン・ディーゼル・アンド・ターボ,フィリアル・アフ・マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー,ティスクランド | 内燃機関のための、排気弁スピンドルまたはピストンの形態にある可動壁部材、および当該部材を製造する方法 |
-
1994
- 1994-12-12 JP JP30736694A patent/JPH08165547A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011514471A (ja) * | 2009-01-23 | 2011-05-06 | マン・ディーゼル・アンド・ターボ,フィリアル・アフ・マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー,ティスクランド | 内燃機関のための、排気弁スピンドルまたはピストンの形態にある可動壁部材、および当該部材を製造する方法 |
US8757124B2 (en) | 2009-01-23 | 2014-06-24 | Man Diesel, Filial Af Man Diesel Se, Tyskland | Movable wall member in form of an exhaust valve spindle or a piston for internal combustion engine, and a method of manufacturing such a member |
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