JPH0816050B2 - 入浴剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、有機酸と炭酸塩を含有する入浴剤におい
て、当該入浴剤が浴湯中に溶ける際に、炭酸ガスの発泡
と共に香料が揮散するのを防止し、長時間香気を持続せ
しめた入浴剤に関する。

〔従来の技術およびその課題〕

入浴剤は一般に芒硝、硼砂、イオウ、食塩、炭酸塩等
の無機塩類混合物に香料、着色料、植物エキス、有機酸
等を配合したもので、浴湯に香り、色調を与えたり、皮
膚面に適度な刺激を与えることにより血液の循環を活発
にし、疲労回復、新陳代謝を増進させるものである。こ
れらの浴用剤の中で、炭酸塩と有機酸を組合せた発泡性
入浴剤があり、これは浴湯中に炭酸ガスの気泡を発生さ
せて、リラツクス感や爽快感を高め、入浴を楽しくする
効果を有する。

而して、入浴剤の上記効果を高めるために香料が配合
されるが、揮発性の高い香料は、炭酸ガスの発泡時に空
気中に揮散してしまい、充分な効果を奏さないという問
題点があつた。

このような場合において、香料の揮散を防止して臭気
を持続させる手段として、香料をカプセル化あるいは包
接化して配合する方法が提案されている（特開昭62−22
3111号、特公昭52−21573号）。しかしながら、斯かる
カプセル化、包接化には煩瑣な操作と費用を必要とし、
経済的に不利であると共に、カプセル化香料を配合した
ものは錠剤化が困難であるという問題点があつた。

〔課題を解決するための手段〕

斯かる実状において、本発明者は上記問題点を解決せ
んと鋭意研究を行つた結果、上記発泡性の入浴剤におい
て、有機酸としてフマル酸を20重量％（以下、％は重量
％で示す）以上含むものを使用すれば、カプセル化、包
接化等の特別の手段をほどこさなくても、特定の高揮発
性香料の揮散を防止できることを見出し、本発明を完成
した。

すなわち、本発明は、有機酸と炭酸塩を含有する入浴
剤において、有機酸の20重量％以上をフマル酸とし、香
料成分として炭酸数10のテルペン系炭化水素又は炭素数
５〜10のアルコールの蟻酸エステル、酢酸エステルもし
くはプロピオン酸エステルの一種又は二種以上を含有す
ることを特徴とする入浴剤を提供するものである。

本発明の入浴剤に使用する炭酸塩としては、例えば炭
酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられ、これは単独で
又は二種以上を組み合せて使用できる。

炭酸塩の含有量は、全組成に対して５〜80重量％、特
に10〜50重量％が好ましい。

また、酸剤の有機酸としては、当該有機酸の20％以上
がフマル酸であることが必要であるが、他の有機酸とし
てはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸等を使用す
ることができる。有機酸中のフマル酸含量が20％未満で
あると、上記高揮発性香料の揮散を防止することができ
ない。有機酸の含有量は、当該炭酸塩に対して10〜300
％、特に30〜150％が好ましい。

尚、フマル酸は水に難溶性であるため、入浴剤が溶湯
中に溶ける際にフマル酸の浮きを生ずることがあるの
で、例えばポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム等の水溶性高分子、ポリエチレング
リコール、または庶糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステル等の親水性非イオン界面活性剤、あるい
はこれらを組み合せてフマル酸を表面処理して易溶化し
て使用することもできる。

また、本発明で使用する高揮発性香料である炭素数10
のテルペン系炭化水素としてはα−ピネン、β−ピネ
ン、カンフエン、リモネン、テルピノーレン、ミルセ
ン、ｐ−サイメン等が；炭素数５〜10のアルコールの蟻
酸エステルとしては蟻酸ゲラニル、蟻酸ベンジル、蟻酸
フエニルエチル等が；炭素数５〜10のアルコールの酢酸
エステルとしては酢酸イソアミル、酢酸シトロネリル、
酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、酢酸フエ
ニルエチル、酢酸メンチル、酢酸ボルニル、酢酸テルピ
ニル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸ミルセニル
等が；炭素数５〜10のアルコールのプロピオン酸エステ
ルとしてはプロピオン酸リナリル、プロピオン酸シトロ
ネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ベンジ
ル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸シンナミル
等が挙げられる。

これらの高揮発性香料はこれら単独でも配合できる
が、これらを他の香料と調合して配合することもでき
る。本発明入浴剤に配合される高揮発性香料は全組成の
0.001〜２％、特に0.005〜0.6％が好ましく、また香料
全体としては0.2〜２％が好ましい。

また、本発明入浴剤には、上記必須成分のほかに、硫
酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛等の硫酸塩
あるいは塩化ナトリウム等の塩酸塩等を配合することが
できる。

更に本発明入浴剤には、一般に配合されている、色
素、ビタミン類、温泉の有効成分、タンパク分解酵素、
海草エキス、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、シリコ
ン、生薬あるいはいその抽出エキス等を配合して、入浴
効果を高めることができる。

また、本発明入浴剤は有機酸と炭酸塩の配合割合を選
択し、浴湯のpHを５〜７とすることにより、浴湯中に炭
酸ガスを溶解して存在させることが可能なため、この溶
湯に溶解した炭酸ガスによる血行促進効果を付与するこ
とができる。

本発明の入浴剤の剤形としては、炭酸ガスの浴湯への
溶解量を向上させることができるので錠剤が好ましい
が、粒、顆粒等の形にすることもでき、これらの製剤化
のために、必要に応じて賦形剤、滑沢剤等を添加するこ
ともできる。

〔発明の効果〕

叙上の如く、本発明は、特定比率以上のフマル酸を含
む有機酸を使用することによつて、特定の高揮発性香料
を空中に揮散させることなく、長時間浴湯中に留め、快
適な入浴効果を得ることができる。

〔実施例〕

次に実施例を挙げて説明する。

尚実施例で使用した香料Ａ〜Ｋは第１表に示すとおり
である。

実施例１ 炭酸水素ナトリウム 43.8（％） 炭酸ナトリウム 15 有機酸（第２表） 40 デキストリン 0.8 香料Ａ 0.4 上記組成の入浴剤を混合、打錠した後、各入浴剤50g
を40℃、150の湯で満した910×710mmの浴槽中に投入
し、経時的に匂いを専門パネラーにより、次の評価基準
で官能評価した。

（評価基準） ○ 充分に匂う 匂う △ 弱く匂う × 全く匂わない 正し、○及び は入浴剤の匂いとして満足できるものである。

その結果を第２表に示す。

実施例２ 炭酸水素ナトリウム 43.8（％） 炭酸ナトリウム 15 有機酸 40 デキストリン 0.8 香 料 0.4 上記組成の入浴剤を混合、打錠した後、各入浴剤を実
施例１と同様にして浴槽中に投入し、投入60分後の浴湯
の匂いを専門パネラーにより、実施例１と同様にして官
能評価した。その結果を第３表に示す。

実施例３ 実施例２と同様の組成の入浴剤を混合、打錠した後、
各入浴剤を実施例１と同様にして浴槽中に投入し、投入
後60分後の浴湯の匂いを専門パネラーにより、実施例１
と同様にして官能評価した。その結果を第４表に示す。

実施例４ 実施例２と同様の組成の入浴剤を混合、打錠した後、
各入浴剤を実施例１と同様にして浴槽中に投入し、投入
後60分後の浴湯の匂いを専門パネラーにより、実施例１
と同様にして官能評価した。その結果を第５表に示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−70609（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−106415（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−252409（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−16915（ＪＰ，Ａ) 塩野香料商報第177号 塩野香料（株) 昭和42年１月15日発行Ｐ．10−16 塩野香料商報第178号 塩野香料（株) 昭和42年４月25日発行Ｐ．12−17 フレグランス ジャーナル 通巻第４ 号、フレグランスジャーナル社、昭和49年 １月25日発行Ｐ．70−75 赤星亮一 著「香料の化学」大日本図書 （株）、昭和58年９月16日発行Ｐ．267− 269

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】有機酸と炭酸塩を含有する入浴剤におい
   て、有機酸の20重量％以上をフマル酸とし、香料成分と
   して炭素数10のテルペン系炭化水素又は炭素数５〜10の
   アルコールの蟻酸エステル、酢酸エステルもしくはプロ
   ピオン酸エステルの一種又は二種以上を含有することを
   特徴とする入浴剤。