JPH08159315A - 反転型破裂板 - Google Patents

反転型破裂板

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JPH08159315A JP32995794A JP32995794A JPH08159315A JP H08159315 A JPH08159315 A JP H08159315A JP 32995794 A JP32995794 A JP 32995794A JP 32995794 A JP32995794 A JP 32995794A JP H08159315 A JPH08159315 A JP H08159315A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造の容易性、反転圧力仕様への適合性、長
期の使用に対する信頼性を図った反転型破裂板である。 【構成】 板状素材として、ステンレス鋼板16を用い
て欠球面部11、円筒面部12および環状平面図13を
備える反転型破裂板10を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反転型破裂板に係り、
さらに詳しくは、さまざまな流体を収容する容器におい
て、内圧が過大になった場合、その圧力を外部に解放す
る安全装置に用いられる反転型破裂板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】このような反転型破裂板は、石油化学工
業などの製造に設置される大型の圧力容器から高圧送電
回路に使用されるガス開閉器などの中型の圧力容器、さ
らにバッテリーケースやエアゾール缶などの小型の圧力
容器まで、その産業上の利用分野は多岐に及んでおり、
日本工業規格(JIS)B8226に詳しく定められて
いる。
【0003】この種、反転型破裂板に要求される性能
は、主に次の3点である。第1に所定の圧力で反転し、
しかもその際、破裂開口して圧力を逃すことである。第
2に信頼性の観点から、安全装置としての長時間の使用
において、所定の反転圧力以下の圧力では、圧力の繰返
し変動があっても、反転や破断を起こさず材料損傷が少
ないこと、つまり疲労強度が高いことが要求される。第
3に、同じ観点から、圧力容器内の流体や容器外の雰囲
気に対して耐食性が要求されている。
【0004】従来の反転型破裂板は、例えば上記日本工
業規格に定められている。これを図12により説明する
と、反転型破裂板1は、板状素材の欠球面部2と環状平
面部3とが湾曲連結部4を介して一体的に形成された構
成となっている。
【0005】このような構成の反転型破裂板1におい
て、これが反転する際の破裂開口が確実に起こすことを
目的とした技術が開示されている。例えば、反転する側
に固定刃物を設けた米国特許3294277号公報、実
開昭62−77375号公報、実開昭64−4966号
公報などには、反転の際の大きな変位により欠球面部が
固定刃物で切り裂く技術が開示されている。
【0006】一方、米国特許第3484817号公報、
特公昭50−5408号公報には、欠球面部の凹面側に
溝状のノッチを設けて、その開口を確実にする技術が開
示されている。また、反転型破裂板のバリエーション形
状として、米国特許第4576303号公報や特開平5
−263955号公報には、上記する欠球面部に替えて
円錐台面部を設けたり、欠球面部の外周近傍を裁頭円錐
面部に形成して、低圧用の破裂板を比較的厚い板材で構
成したり、疲労強度に優れるなどの効果を期待する技術
が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の反転
型破裂板にあっては、欠球面部の球面半径や板厚が、そ
の反転圧力を左右する。反転圧力の仕様が低圧である場
合には、球面半径をかなり大きくしたり、或いは板厚を
極端に薄くしたりしなければならない。しかし、前者の
球面半径を大きく構成することは、形状精度の低下、つ
まり反転圧力の変動を招くことになる。
【0008】また、後者の板厚を薄く構成することは、
成形精度や表面疵の影響が破裂板の信頼性に与える影響
が大きく、製造上の困難を伴う。強度の低い板状素材を
選定すれば、仕様反転圧力が低くても板厚を厚くできる
が、表面疵が付きやすい欠点の他、上記のように破裂板
には、耐食性の要求もあるので、板状素材の選定に自ず
と制限がある。さらに、上記するバリエーション形状の
反転型破裂板にあっても、基本的には、従来構成の反転
型破裂板の域を脱することはできず、上記の問題点は解
決されていない。
【0009】またさらに、従来の反転型破裂板は、反転
圧力の仕様のバリエーションや使用する板状素材のロッ
トによる強度や板厚の変動などに容易に対応できない問
題がある。これらに対応するには、球面半径を替えるし
か方法がなく、例えば板状素材のプレス成形にあって
は、各種の球面半径を持つ金型の準備が必要である。
【0010】反転の際の確実な開口を保証する技術にあ
っても、次の問題がある。つまり、固定刃物を設置する
手段にあっては、部品が増えるので、製造コストが高く
なることはもとより、強度の高い板状素材で構成される
破裂板では、反転して刃物に接しても切断できない場合
がある。上記する欠球面部の凹面側にノッチを設けた構
成にあっても、期待された通りの反転時に、このノッチ
から破断が進展するとは限らない。反転の際の欠球の形
状変化は、反り方向の変化だけであるので、このノッチ
部に発生する応力は、あまり大きくないからである。特
に、低圧用のものでは、球面半径が大きい場合は、その
傾向が顕著である。本発明は、このような従来の反転型
破裂板の課題を解決した新しい構成の反転型破裂板を提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の反転型破裂板は、板状素材を用いて欠球面
部と、この外端に湾曲連結部を介して円筒面部と、この
円筒面部の下端に湾曲連結部を介して環状平面部とを一
体的に備えたことを特徴とするものである。
【0012】この欠球面部は、凹凸状のエンボス部と平
滑な球面部とで形成することができ、この欠球面部は、
少なくとも一部を肉厚部に形成することができる。
【0013】さらに、この欠球面部の凹面側に溝状のノ
ッチを形成してもよく、この溝状のノッチは、エンボス
部または肉厚部と他の球面部との境界部に形成したこと
を特徴としている。
【0014】また、反転型破裂板は、プレス成形によっ
て成形されたり、対向液圧成形によって成形されること
を特徴としている。
【0015】また、さらに板状素材は、クロムを重量百
分率で20%以上含むフェライト系ステンレス鋼板であ
ることを特徴としている。
【0016】
【作用】本発明の請求項1によれば、欠球面部が圧力を
受けて反転する過程において、欠球面部外周の直径は大
きく変位しようとする。この場合、本発明の円筒面部
は、この変位を吸収するバネ作用の役割をする。つま
り、この直径変位の力は、円筒部面の周面にのみ作用
し、下端部の変位は環状平面部によって拘束されている
ので、そのバネ剛性は、円筒面部の長さに依存する。な
お、従来の反転型破裂板では、本発明の円筒面部が存在
しないため、欠球面部外周の直径変位を吸収できない。
【0017】請求項2,3によれば、欠球面部にエンボ
ス加工や肉厚部を形成してあるため、圧力の上昇に伴っ
て他の欠球面部が反転しても、これらの部位は反転しな
い。つまり、反転の曲げ応力に対して剛の構成であるか
らであり、反転・非反転の境界部は、大きな曲げ変形を
受ける。
【0018】請求項4,5によれば、欠球面部の凹面側
に溝状のノッチを形成してあるため、その部位において
反転の変位による曲げ応力の集中が生じ、目的とする破
断開口が確実となる。
【0019】請求項6,7によれば、特に、金属板をプ
レス成形する場合、圧延などによって量産され、安価で
入手が容易な板状素材を使用できるし、金型構成によっ
て絞り加工や張出し加工を組合わせて製作することが容
易である。しかも、対向液圧成形を採用すれば、エンボ
ス加工の場合でも、成形工程数を削減でき、金型の数も
少なくてよい。
【0020】請求項8によれば、ステンレス鋼板を使用
することにより、その成形加工性、強度性および耐食性
に優れる。特に、クロムを重量百分率20%以上を含む
フェライト系のステンレス鋼板を使用すると、成形加工
による脆化が反転型破裂板の確実な開口に寄与でき、反
転型破裂板として最適である。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。図1は、第1実施例の断面図である。この第
1実施例の反転型破裂板10は、欠球面部11、円筒面
部12および環状平面部13とで構成され、欠球面部1
1の外端は、湾曲連結部14を介して円筒面部12と、
円筒面部12の下端は、湾曲連結部15を介して、それ
ぞれ一体的に構成されている。なお、図2に示すよう
に、湾曲連結部17,18は、半径R1 ,R2 を有する
ような構成としてもよい。
【0022】図3,図4は、第2実施例の反転型破裂板
20の例であり、欠球面部21に凹凸状のエンボス加工
を施したエンボス部22があり、他の部分は、平滑な球
面部23としてある。また、その他の構成は、第1実施
例と同じであり、第1実施例の符号を使用してある。こ
のエンボス部22は、設定反転圧力などの目的によって
各種形状に構成できるが、第2実施例のエンボス部22
にあっては、長短のエンボス素子24,25を放射線状
に施してある。
【0023】図5は、第3実施例の反転型破裂板30の
例であり、欠球面部31に亀甲状のエンボス部32が施
してある。その他の構成は、第1実施例と同じであり、
同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0024】図6は、第4実施例の反転型破裂板35の
例であり、欠球面部36に板厚が厚い肉厚部37と薄い
肉薄部38とを構成してある。この肉厚部37と肉薄部
38とは、上記のように設定反転圧力などの目的によっ
て、欠球面部36のどこに構成するかも定めるものとす
る。
【0025】このように第2実施例〜第4実施例におけ
るエンボス部22,32および肉厚部37,肉薄部38
は、上記のように設定反転圧力などの目的に対応させ
て、これらの構成を欠球面部のどこに構成するかは、設
定上の問題であるが、これらエンボス部22,32およ
び肉厚部37は、設定圧力では反転しない構成とするこ
とが条件であり、平滑な球面部23部分と肉薄部38が
設定圧力で反転する構成に設計してある。
【0026】図7は、第5実施例の反転型破裂板40の
例であり、欠球面部41の凹面側42に溝状のノッチ4
3が形成されている。このノッチ43は、図示では欠球
面部41の中央部に、一部を開口部44とした円形状に
形成してあるが、この形成個所や形状、ノッチの深さな
どは、破断が進展しやすい個所を選定することができ、
その形状も円形状に限らず、四角形や三角形など任意な
形状を選定できるが、その一部を連続せず、開口部44
を形成すれば、破裂時に破片が飛散することがないので
安全上好ましい。また、破裂板の疲労度を低下させない
ように選定されている。
【0027】例えば、図8の第6実施例の反転型破裂板
50は、第2実施例におけるエンボス部22のエンボス
素子部24と平滑球面部23との境界部51に溝状のノ
ッチ52が形成されている。図9の第7実施例の反転型
破裂板55は、第4実施例の肉厚部37と肉薄部38と
の境界部56に溝状のノッチ57が形成されている。こ
れらのノッチ43,52,57の深さは、破裂開口が確
実に起こる程度に深くしなければならないが、あまり深
くすると、疲労強度を低下させるので注意が必要であ
る。本願出願人らの実験によれば、通常は板厚の30%
から70%程度とするのがよい。このようなノッチ4
3,52,…の存在により、反転時にその部位に曲げ応
力が集中し、そこから破断開口が確実となるものであ
る。
【0028】以上の反転型破裂板の製造方法としては、
次の方法を使用することができる。つまり、溶融または
半溶融素材からの鋳造や射出成形、粉体素材の焼結によ
る成形、ブロック状素材の鍛造や切削による成形、板状
素材のプレス成形やブロー成形または溶接組立て成形な
どを使用できる。また、これらの製造方法を組合わせて
もよい。特に、板状素材であれば、プレス成形が適して
おり、プレス成形の中では、対向液圧成形が好ましい。
次に、この2つの成形法について説明する。
【0029】図10,図11は、本発明を成形するプレ
ス成形に使用する金型構成60,61の断面図であり、
図10は、通常のプレス成形の場合を示し、図11は、
対向液圧成形の場合を示している。
【0030】何れの場合でも、板状素材16をダイス6
2,62としわ押え63,63との間にはさみ、ポンチ
64を押下げて反転型破裂板10,20,…を成形す
る。通常のプレス成形(図10)では、球面の精度を確
保するため、また、エンボス部22,32を成形するた
めに底突き金型65を必要とするが、対向液圧成形(図
11)では、対向液66の圧力が、その代わりをするの
で、上記底突き金型65は不要である。
【0031】このような反転型破裂板10,20,…
は、板状素材16として金属、グラファイト、セラミッ
ク、プラスチックなどが使用できるが、一般的には金属
板が使用でき、特にステンレス鋼板を選定するのがよ
く、その成形加工性、強度、耐食性を利用できる。耐食
性では、ステンレス鋼板より優れているチタン板は、価
格の点で特殊な用途に使用することができる。ステンレ
ス鋼板の中では、クロム(Cr)を重量百分率で20%
以上含むフェライト系のステンレス鋼板は、そのクロム
量の故に、特に優れているばかりでなく、成形加工によ
る脆化が、反転型破裂板10,20,30,…の確実な
開口に寄与する点において、他のステンレス鋼板より本
発明の反転型破裂板に適している。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る反転
型破裂板は、従来例に比べ、製造が容易で製造コストが
安く、しかも反転圧力の使用のバリエーションや使用す
る板状素材のロットによる強度、板厚の変動などへの対
応がきわめて容易となる。
【0033】つまり、円筒面部のバネ作用により低圧用
であっても厚い板状素材を使用できること、バネ剛性が
円筒面部の長さに依存するので、プレス成形では、ポン
チの押込みのストロークの制御だけで反転圧力を調整で
き、金型コストの低減を図れること、欠球面部の反転・
非反転の境界部の位置選定によって反転圧力を調整でき
ること、対向液圧成形法によって成形工程数や金型の削
減ができることによるものである。
【0034】さらに、本発明の反転型破裂板は、圧力を
逃がす安全装置としての信頼性が高い。つまり、厚い板
状素材を使用できること、欠球面部の反転・非反転の境
界部の曲げ変形やノッチによる応力集中、成形加工によ
る脆化が、反転時の確実な開口に寄与すること、特に、
耐食性の優れている鋼種のステンレス鋼板を素材にする
ことができることによるものである。
【0035】特に、海岸地帯に設置させる場合、20年
以上の耐食性が要求されるガス遮断器やガス開閉器など
の破裂板として、本発明の反転型破裂板は最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の反転型破裂板の断面
図。
【図2】図1の湾曲連結部の変形例を示す拡大断面図。
【図3】第2実施例の反転型破裂板の平面図。
【図4】図3の断面図。
【図5】第3実施例の反転型破裂板の平面図。
【図6】第4実施例の反転型破裂板の平面図。
【図7】第5実施例の反転型破裂板の平面図。
【図8】第6実施例の反転型破裂板の平面図。
【図9】第7実施例の反転型破裂板の平面図。
【図10】本発明に使用するプレス成形の金型構成断面
図。
【図11】同対向液圧成形の金型構成断面図。
【図12】従来例の反転型破裂板の断面図。
【符号の説明】
10 反転型破裂板 11 欠球面部 12 円筒面部 13 環状平面部 16 ステンレス鋼板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状素材を用いて欠球面部と、この外端
    に湾曲連結部を介して円筒面部と、この円筒面部の下端
    にさらに湾曲連結部を介して環状平面部とを一体的に備
    えたことを特徴とする反転型破裂板。
  2. 【請求項2】 欠球面部は、凹凸状のエンボス部と平滑
    な球面部とで形成したことを特徴とする請求項1記載の
    反転型破裂板。
  3. 【請求項3】 欠球面部は、少なくとも一部が肉厚部に
    形成したことを特徴とする請求項1または2記載の反転
    型破裂板。
  4. 【請求項4】 欠球面部の凹面側に溝状のノッチを形成
    したことを特徴とする請求項1,2または3記載の反転
    型破裂板。
  5. 【請求項5】 溝状のノッチは、エンボス部または肉厚
    部と他の球面部との境界部に形成したことを特徴とする
    請求項4記載の反転型破裂板。
  6. 【請求項6】 反転型破裂板は、プレス成形によって成
    形されることを特徴とする請求項1,2,3,4または
    5記載の反転型破裂板。
  7. 【請求項7】 反転型破裂板は、対向液圧成形によって
    成形されることを特徴とする請求項1,2,3,4また
    は5記載の反転型破裂板。
  8. 【請求項8】 板状素材は、クロムを重量百分率で20
    %以上含むフェライト系ステンレス鋼板であることを特
    徴とする請求項1,2,3,4または5記載の反転型破
    裂板。
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