JPH08158286A - 耳部が補強された抄紙用ドライヤーカンバス及びその加工方法 - Google Patents

耳部が補強された抄紙用ドライヤーカンバス及びその加工方法

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JPH08158286A
JPH08158286A JP6329690A JP32969094A JPH08158286A JP H08158286 A JPH08158286 A JP H08158286A JP 6329690 A JP6329690 A JP 6329690A JP 32969094 A JP32969094 A JP 32969094A JP H08158286 A JPH08158286 A JP H08158286A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟で抄紙機内の環境においても端縁経糸の
ほつれのない好適な耳部が補強された抄紙用ドライヤー
カンバスとその加工方法を提供する。 【構成】 加工すべきカンバス(12)を超音波振動を
伝達するホーン(13)(以下ホーンという)と加圧ロ
ーラー(14)との間を通過させ、その際にホーン(1
3)から超音波を送り込むのと同時に、カンバス(1
2)の下方に設置され前記カンバス(12)の供給速度
と同じ速度で回転している上記加圧ローラー(14)
で、上記カンバス(12)を加圧することによって経糸
と緯糸とを溶融接着させ、目的とするカンバスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は好適な耳部が補強された
抄紙用ドライヤーカンバスとその加工方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、抄紙用ドライヤーカンバ
スにおいては走行中において片寄や蛇行などの要因によ
り、カンバスの両側耳部の端縁経糸がほつれるといった
事態が発生し、この端縁経糸のほつれによって円滑な走
行が不能となり、カンバスの交換が余儀なくされてい
た。
【0003】このため特公昭40−8725号公報に見
られるように、織物の耳部に相当する部分に樹脂含浸性
の優れたマルチフィラメントまたは、ステープルファイ
バー糸を配して製織し合成樹脂を塗布する方法あるい
は、特開昭58−156094号公報に記載されている
ように、織物耳部を織物の素材の融点以上に熱風で加熱
処理して溶融接着させる方法または、特開昭63−19
6791号公報に記載されているように、織物の耳部に
紫外線硬化型樹脂を塗布させる方法によって耳部の補強
処置がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
40−8725号公報による方法は、耳部に本体経糸と
は別異の経糸を配さなくてはならないため製織準備に多
くの手間を必要とする上に、塗布した合成樹脂の乾燥に
長時間を要するという不都合な点があった。また特開昭
58−156094号公報の記載方法では、織物の素材
の融点よりも高い温度で耳部が溶融されているために溶
着された樹脂が劣化しやすく更に、シール効果が織物耳
部の最端縁に限定されているために、カンバスの走行中
に耳部の端縁が摩耗することによるシール効果の低下が
見られた。
【0005】そのために近年では、上記特開昭58−1
56094号公報に記載されているように、カンバス耳
端部を加熱溶融し、しかる後に溶剤タイプのゴム系樹脂
を織物耳部に約2cm幅に亙って塗布して加熱乾燥させ
る方法が採用されているが、上記のように耳部に接着性
樹脂を塗布して補強する方法は、塗布された接着性樹脂
の溶剤を揮発させるのにかなりの長時間を要し、その
上、接着性樹脂の湿熱耐久性が良くないために例えば抄
紙機のドライヤーパート湿熱によって樹脂の劣化が進
み、カンバス本体の主要部が未だ使用可能な状態にある
のにもかかわらず耳部の経糸のほつれのために使用不能
となる。
【0006】更に、特開昭63−196791号公報記
載のように、織物の耳部に紫外線硬化型樹脂を塗布させ
た場合でもドライヤーパートのような苛酷な条件下での
使用により、耳部に塗布された樹脂の損傷が起こり、そ
れが端縁経糸のほつれの原因となる。
【0007】また、特開平6−41895号公報では樹
脂系あるいは紫外線硬化型バインダーに、適量の潤滑剤
を攪拌混合して耳部補強剤を作成し、上記補強剤をドラ
イヤーカンバスの耳部に塗布硬化させる耳部の補強方法
が提案されているが、上記補強剤を塗布硬化されたドラ
イヤーカンバスの耳部は抄紙機のドライヤー湿熱に耐え
うることができても、抄紙機のパーム板による摩擦によ
り耳部に塗布硬化された上記補強剤が削れ、その結果耳
部の経糸が露出し、これが端縁経糸のほつれの原因を引
き起こすこととなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、上
記のような現状を把握したうえで研究を行った結果、耳
部の経糸と緯糸とを溶融一体化させることにより、耳部
損傷を防ぐことができることを見いだした。即ち本発明
は、カンバス耳部において耳端部から10mm〜50m
mの幅で経糸と緯糸とが溶融接着されていることを特徴
とするものである。
【0009】本発明で使用可能なカンバスの素材として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リアミド等の熱可塑性樹脂を使用できるが、一部に熱溶
融性以外のフィラメントを用いても構わない。更に、経
糸あるいは緯糸の形態もモノフィラメントや、マルチフ
ィラメントなど何れの形態を使用しても構わない。ま
た、カンバスの組織についても平織、二重織、綾織など
何れについても使用可能である。
【0010】本発明では、素材の融点近くで経糸と緯糸
とを溶融接着させているので、経糸あるいは緯糸の熱に
よる損傷の少なく、その上経糸と緯糸との接触点でのみ
溶融接着させているために、前記接触点以外の部分では
フィラメントの形状が維持されており、従来のようにフ
ィルム状に溶融接着させたものよりカンバスの柔軟性あ
るいは、強度を損なうことなく加工処理をすることがで
きる。更に、溶融と同時に加圧処理がなされているため
に特に、経糸と緯糸との接触点では強固に接着されると
共に、主として加圧ローラー接触する経糸部分の断面形
状が扁平な形状を成すようになる。そして、カンバスの
製織段階で経糸に断面形状が扁平なフィラメントを用い
た場合には、前記経糸形状よりも更に、扁平な形状を有
するようになる。
【0011】次に、本発明による加工手段としては、加
工すべきカンバスを超音波振動を伝達するホーン(以下
ホーンという)と加圧ローラーとの間を通過させ、その
際にホーンからカンバスに超音波を送り込むのと同時
に、カンバスの下方に設置され前記カンバスの供給速度
と同じ速度で回転している上記加圧ローラーで、上記カ
ンバスを加圧することによって加工を施すことができ
る。このとき、加圧ローラーは加熱しておく必要はなく
上記のように超音波によってホーン、カンバス、加圧ロ
ーラー間に発生する振動摩擦熱により加工を施すことが
できる。
【0012】本発明では、上記のようにカンバスをホー
ンと加圧ローラーとの間を通過させることによって加工
されるが、その際、ホーンからは絶えず超音波がカンバ
スに送り込まれ、そして加圧ローラーによってカンバス
が加圧され、このカンバスの加圧部分が超音波の振動に
よる摩擦熱で溶融されると同時に、凹部が穿設され、そ
の結果経糸と緯糸とを圧着することができる。なお、こ
こで上記加圧ローラーとしては、例えば図7に示すよう
な円錐台形の形状を有した小突起を周面に有するものの
他、角錐台形、あるいは、円柱系、角柱形などの頂面を
有するものまたは、円錐形、角錐形などの頂面を有しな
いものなどの形状をした突起状物をその周面に多数有し
たものや、図8に示したような周面に歯車のようなの歯
(17)を有したローラー(18)、もしくは、ローラ
ーの周面がフラットであるものなど様々な周面形状を有
するローラーを使用することができる。
【0013】本発明でカンバスの耳部を加工するときの
ホーンとカンバスとは両者が接触している状態であるこ
とが好ましく、また、加圧ローラーがカンバスに与える
圧力は好ましくは1kg/cm2 〜5kg/cm2 であ
り、更に好ましくは1.5kg/cm2 〜3kg/cm
2 である。ホーンとカンバスとが接触した状態でなけれ
ば、超音波による振動が十分に伝わらず、その結果経糸
と緯糸とを溶融するに至らなくなる。また圧力が1kg
/cm2 以下であっても同様の結果となり、それ故に、
ホーンとカンバスとは常に接触状態でそして上記範囲の
圧力をカンバスに対してを与える必要がある。
【0014】カンバスの耳部における穿設加工幅は10
mm〜50mmが良好であり、好ましくは15mm〜3
0mmである。加工幅が10mm以下であれば、経糸と
緯糸との溶融接着部分が減少し、端縁経糸ほつれの原因
となり、逆に加工幅が50mm以上となれば、例えば、
抄紙用として使用された場合、抄紙用ドライヤーカンバ
スとしての有効幅が少なくなる。
【0015】またカンバス耳部に穿設される凹部の形状
あるいは穿設密度はカンバスの種類や使用条件などによ
って適宜選定されるものであるが、カンバス耳部におけ
る穿設加工幅の面積に対する穿設された凹部全体の占め
る面積の割合を開口率として百分率として表すと、開口
率は100%〜50%が好ましく、また凹部の陥没深さ
はカンバスの厚みによって変わるので一概にはいえない
が、加工部分の接触点以外のフィラメントが元のフィラ
メントの形状をほぼ有する範囲であれば良い。特に開口
率が80%以上で、僅かでも凹部の陥没深さを生じる程
度に加圧する場合には、経糸と緯糸との溶融圧着が完全
な状態となり、端縁経糸のほつれが発生し難くなるので
好ましい。また凹部の陥没深さが深過ぎると、経糸と緯
糸との溶融接着部分がフィルム状となるため前記溶融接
着部分の厚さが薄くなったり、場合によっては凹部に穴
があき、その穴が端縁経糸のほつれを引き起こす原因と
なる。
【0016】
【作用】耳部を10mm〜50mmの幅で上記のように
超音波により経糸と緯糸とを溶融接着させたカンバス
は、前記溶融接着部が凹部を形成し、そしてその凹部は
カンバスの長手方向及び/または幅方向に間隔をおいて
形成されているために、耳部の端縁経糸の露出が少なく
なり、それ故、抄紙機での走行中において片寄や、蛇行
などの要因によるカンバスの耳部の端縁経糸はほつれる
ことがなく、しかも、超音波による加工部分は抄紙機の
ドライヤーパート湿熱にも十分に耐えうることができる
ため、ドライヤーパートでの湿熱劣化による耳部の端縁
経糸のほつれのない抄紙用ドライヤーカンバスを得るこ
とができる。
【0017】
【実施例】本実施例で使用した超音波加工装置は、島田
理化工業(株)製の超音波プラスチックウェルダーUS
W−52A(出力500W)である。
【0018】[実施例1]線径が0.45mmのポリエ
ステルモノフィラメントを経糸(2)及び、緯糸(1)
に使用し、経糸密度が70本/インチ、緯糸密度が36
本/インチの図1に示したような二重織の抄紙用ドライ
ヤカンバス(3)を製織し、所定の幅と長さに切断した
後に無端状となした。次に、図4に略図したように緊張
状態で超音波加工を施すための装置に懸装し、速度3m
/分でカンバス(12)を巡回動させながら、図5に示
したようなホーン(13)と円錐台状の小突起を持つ加
圧ローラー(14)との間にカンバス(12)を供給
し、超音波(出力500W)の振動摩擦熱によって、上
記カンバス(12)の両側の耳部に約2cm幅に亙り、
経糸と緯糸を溶着させると同時に上記加圧ローラー(1
4)によって、5kg/cm2 の圧力をカンバス(1
2)にかけることですり鉢状の凹部(19)を形成し、
図9に図示するような加工を施した。なお、上記すり鉢
状の凹部部分の経糸と緯糸との状態は図11に示した様
になった。
【0019】[実施例2]線径が、0.28mmのポリ
エステルモノフィラメントを経糸(2)とし、同じく、
線径が0.65mmのポリエステルモノフィラメントを
緯糸(1)に配し、経糸密度が57本/インチ、緯糸密
度が33本/インチの実施例1と同様に二重織のカンバ
ス(3)を製織し、このカンバス(3)の耳部に上記実
施例と同様に超音波加工を施した。
【0020】[実施例3]線径が、0.5mm、0.4
5mm及び、0.6mmのポリプロピレンフィラメント
をそれぞれ経糸(5)、経芯糸(7)及び、緯糸(4)
とし、緯芯糸(6)には14番手4本撚りのアクリルス
パン糸を用い、経糸密度63本/インチ、経芯糸密度1
7本/インチ、緯糸密度34本/インチ、緯芯糸密度1
7本/インチの図2に示したような二重織の抄紙用ドラ
イヤーカンバス(8)を製織し、所定の幅と長さに切断
した後に無端状と成した。次に、図4に示したように緊
張状態で超音波加工を施すため装置に懸装し、速度2m
/分で上記カンバスを巡回動させながら、図6に示した
ようなホーン(13)とフラットの周面を持つ加圧ロー
ラー(14)との間に上記カンバス(12)を供給し、
超音波(出力500W)の振動摩擦熱によって上記カン
バス(12)の両側の耳部に約3cm幅に亙って経糸と
緯糸とを溶融させると同時に上記加圧ローラー(14)
によって1kg/cm2 の圧力をカンバス(12)にか
けることによってカンバスの長手方向に連続的に伸びた
筋状の凹部を形成し図10に図示するような加工を施し
た。
【0021】[実施例4]線径が0.8mmのポリエス
テルフィラメントを経糸(9)と緯糸(10)に配し、
経糸密度、緯糸密度共に12本/インチの図3に示した
ような平織の抄紙用ドライヤーカンバス(11)を製織
し、このカンバス(11)の耳部に上記実施例3と同じ
条件で超音波加工を施した。
【0022】以上の実施例で超音波加工されたカンバス
は何れも耳部が強固に溶着されており、また、使用に対
しても何ら支障のない抄紙用ドライヤーカンバスを得る
ことができる。
【0023】
【発明の効果】本発明における抄紙用ドライヤーカンバ
スの耳部は、経糸と緯糸とが溶接され且つその溶接部分
が凹部を形成しているために、カンバスの使用時におけ
るパーム板などの接触による経糸のほつれが無くなり、
耐久性が向上し、それ故に、カンバスの寿命を大幅に延
ばすことができる。更に、超音波による振動摩擦熱のみ
の溶着のために、溶着させる素材の融点以上には温度は
上昇しないので、溶着部の樹脂劣化は殆どなく、その
上、加工部以外への熱の影響がないために、カンバス全
体としての品質も損なうことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、実施例2で使用したカンバ
スの断面図である。
【図2】本発明の実施例3で使用したカンバスの断面図
である。
【図3】本発明の実施例4で使用したカンバスの断面図
である。
【図4】本発明でカンバスの耳部を加工する装置の概略
図である。
【図5】本発明でカンバスの耳部を加工する装置の一部
の拡大図である。
【図6】本発明でカンバスの耳部を加工する装置の一部
の拡大図である。
【図7】本発明で使用する加熱ローラーの例である。
【図8】本発明で使用する加熱ローラーの例である。
【図9】本発明で耳部加工を施した抄紙用ドライヤーカ
ンバスである。
【図10】本発明で耳部加工を施した抄紙用ドライヤー
カンバスである。
【図11】凹部の部分の拡大図である。
【符号の説明】
1 緯糸 2 経糸 3 カンバス 13 ホーン 14 加圧ローラー 19 凹部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンバス耳部において耳端部から10m
    m〜50mmの幅で経糸と緯糸とが溶融接着されている
    ことを特徴とする耳部が補強された抄紙用ドライヤーカ
    ンバス。
  2. 【請求項2】 上記溶融接着部分がカンバスの表面及び
    裏面で凹部を形成し、前記凹部がカンバスの長手方向及
    び/または幅方向に、間隔をあけて不連続的に形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の耳部が補強され
    た抄紙用ドライヤーカンバス。
  3. 【請求項3】 熱溶融性フィラメントである経糸と緯糸
    が上記凹部において両者の接触点でのみ溶融接着されて
    断面形状が扁平な形状を有し、前記接触点以外の部分で
    は、熱溶融性フィラメントが元の形状を維持しているこ
    とを特徴とする請求項1記載の耳部が補強された抄紙用
    ドライヤーカンバス。
  4. 【請求項4】 カンバスを超音波振動を伝達するホーン
    と加圧ローラーとの間を通過させ、その際に、前記ホー
    ンからカンバスに超音波を送り込むと同時に、加圧ロー
    ラーによって上記カンバスを加圧させることを特徴とす
    る耳部が補強された抄紙用ドライヤーカンバスの加工方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998027277A1 (en) * 1996-12-17 1998-06-25 Scapa Group Plc Papermakers felts
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