JPH08158008A - 耐液体金属めっき割れ性に優れた高張力鋼とその製造方法 - Google Patents
耐液体金属めっき割れ性に優れた高張力鋼とその製造方法Info
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- JPH08158008A JPH08158008A JP12197295A JP12197295A JPH08158008A JP H08158008 A JPH08158008 A JP H08158008A JP 12197295 A JP12197295 A JP 12197295A JP 12197295 A JP12197295 A JP 12197295A JP H08158008 A JPH08158008 A JP H08158008A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は不純物としてのBの影響を抑制し
て、その許容限界の緩和を図り得る耐液体金属めっき割
れ性に優れた高張力鋼およびその製造方法を提供する。 【構成】 C、Si、MnおよびAl、Ti、Caの1
種または2種以上含有する鋼において、不純物としての
Bを5ppm以下とし、かつCeq(B)を0.25%
以下とするとともに固溶REM、固溶Y、固溶Zrの1
種または2種以上を1〜50ppm固溶状態で含有する
ことを特徴とする耐液体金属めっき割れ性に優れた高張
力鋼。前記鋼は必要に応じてCu、Niの1種または2
種、および/またはCr、Mo、Nb、Vの1種または
2種以上を含み得る。前記鋼材を製造するに際して、S
i、Mn、Alの一部による弱脱酸後にAl、Ti、C
aの1種または2種以上を添加後にREM、Y、Zrの
1種または2種以上を添加することを特徴とする耐液体
金属めっき割れ性に優れた高張力鋼の製造方法。
て、その許容限界の緩和を図り得る耐液体金属めっき割
れ性に優れた高張力鋼およびその製造方法を提供する。 【構成】 C、Si、MnおよびAl、Ti、Caの1
種または2種以上含有する鋼において、不純物としての
Bを5ppm以下とし、かつCeq(B)を0.25%
以下とするとともに固溶REM、固溶Y、固溶Zrの1
種または2種以上を1〜50ppm固溶状態で含有する
ことを特徴とする耐液体金属めっき割れ性に優れた高張
力鋼。前記鋼は必要に応じてCu、Niの1種または2
種、および/またはCr、Mo、Nb、Vの1種または
2種以上を含み得る。前記鋼材を製造するに際して、S
i、Mn、Alの一部による弱脱酸後にAl、Ti、C
aの1種または2種以上を添加後にREM、Y、Zrの
1種または2種以上を添加することを特徴とする耐液体
金属めっき割れ性に優れた高張力鋼の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄塔、建築、橋梁、産業
機械向け等の溶接構造部材を溶接施工後、溶融Znめっ
き、溶融Zn合金めっきまたは溶融Alめっき等を施す
溶接熱影響部(HAZ)の耐液体金属めっき割れ性に優
れた高張力鋼に関するものである。
機械向け等の溶接構造部材を溶接施工後、溶融Znめっ
き、溶融Zn合金めっきまたは溶融Alめっき等を施す
溶接熱影響部(HAZ)の耐液体金属めっき割れ性に優
れた高張力鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より防錆の目的で溶接鋼構造物をZ
n、Zn−Al合金、Al等の液体金属で溶融めっきす
る手段は広く実用化されている。これら液体金属めっき
は美観および防錆上極めて有効であるが、鋼の組成、構
造物の形状、めっき浴での浸漬時間、めっき材料の種類
により、鋼材のHAZに割れを発生することがある。
n、Zn−Al合金、Al等の液体金属で溶融めっきす
る手段は広く実用化されている。これら液体金属めっき
は美観および防錆上極めて有効であるが、鋼の組成、構
造物の形状、めっき浴での浸漬時間、めっき材料の種類
により、鋼材のHAZに割れを発生することがある。
【0003】この現象は古くから液体金属脆化現象とし
て良く知られており、溶接残留応力や外部応力が負荷さ
れた状態の鋼材に液体金属が接すると、鋼材のHAZ粒
界に液体金属が侵入して、鋼材HAZの粒界強度が低下
して破壊するものと考えられている。従来から耐Znめ
っき割れ性を改善する技術が提案され、最近の技術では
鋼中に含有されるBの影響が顕著で、不純物としてのB
は2ppm以下に限定することが必須であるとされてい
る。例えば、公知文献として「鉄と鋼」Vol.79
(1993)No.9、P96や、特開平2−5766
9号公報、特開平2−145721号公報および特開昭
61−231141号公報等があげられる。
て良く知られており、溶接残留応力や外部応力が負荷さ
れた状態の鋼材に液体金属が接すると、鋼材のHAZ粒
界に液体金属が侵入して、鋼材HAZの粒界強度が低下
して破壊するものと考えられている。従来から耐Znめ
っき割れ性を改善する技術が提案され、最近の技術では
鋼中に含有されるBの影響が顕著で、不純物としてのB
は2ppm以下に限定することが必須であるとされてい
る。例えば、公知文献として「鉄と鋼」Vol.79
(1993)No.9、P96や、特開平2−5766
9号公報、特開平2−145721号公報および特開昭
61−231141号公報等があげられる。
【0004】前記「鉄と鋼」は送電鉄塔用鋼管STK5
90溶接熱影響部の溶融亜鉛めっき脆化に及ぼす微量ボ
ロンの影響に関する論文で、470℃での亜鉛脆化度を
示すSLM-400は鋼中B量に極めて大きく影響され、4p
pmまでほぼ直線的にかつ急激に低下し、さらにめっき
割れを防止する条件のSLM-400≧42%を満足するには
B量を2ppm以下とする必要があるとしている。
90溶接熱影響部の溶融亜鉛めっき脆化に及ぼす微量ボ
ロンの影響に関する論文で、470℃での亜鉛脆化度を
示すSLM-400は鋼中B量に極めて大きく影響され、4p
pmまでほぼ直線的にかつ急激に低下し、さらにめっき
割れを防止する条件のSLM-400≧42%を満足するには
B量を2ppm以下とする必要があるとしている。
【0005】特開平2−57669号公報記載の発明
は、鋼材HAZのZnめっき割れを防止するには、鋼中
に不純物として存在するBを0.0002%以下に制限
し、鋼中元素の組合せがCeq(B)≦0.19%の関
係にあることを特徴としている。特開平2−14572
1号公報には、鋼材HAZのZnめっき割れを含む液体
金属脆化を防止するため、B≦0.0002%以下で、
かつCeq(B)≦0.19%とした鋼片をオーステナ
イトの再結晶域で30%以上の圧下率で圧延し、その後
Ar3点以上から5〜15℃/secの冷却速度で600
〜400℃迄冷却することを特徴とする耐LME特性の
優れた鋼材の製造法が開示されている。
は、鋼材HAZのZnめっき割れを防止するには、鋼中
に不純物として存在するBを0.0002%以下に制限
し、鋼中元素の組合せがCeq(B)≦0.19%の関
係にあることを特徴としている。特開平2−14572
1号公報には、鋼材HAZのZnめっき割れを含む液体
金属脆化を防止するため、B≦0.0002%以下で、
かつCeq(B)≦0.19%とした鋼片をオーステナ
イトの再結晶域で30%以上の圧下率で圧延し、その後
Ar3点以上から5〜15℃/secの冷却速度で600
〜400℃迄冷却することを特徴とする耐LME特性の
優れた鋼材の製造法が開示されている。
【0006】特開昭61−231141号公報記載の発
明は、耐めっき割れ鋼において、Bは焼入性向上元素と
して0.0010%以下、ZrはHAZ靱性向上元素と
して0.03%以下の量を選択的に添加することが可能
としている。さらに、Bを2ppm以下に限定しても、
前記「鉄と鋼」の論文にあるように、Bが1ppmでも
存在すればめっき割れは減少するものの皆無とはならな
いという問題が残されていた。また、複雑な形状を有す
る橋梁では、補剛部ウェブ材のようにめっき浸漬時の熱
応力やねじり変形に起因した面外変形が付加される時に
は、めっき割れが皆無とはならないという問題が新たに
判明した。
明は、耐めっき割れ鋼において、Bは焼入性向上元素と
して0.0010%以下、ZrはHAZ靱性向上元素と
して0.03%以下の量を選択的に添加することが可能
としている。さらに、Bを2ppm以下に限定しても、
前記「鉄と鋼」の論文にあるように、Bが1ppmでも
存在すればめっき割れは減少するものの皆無とはならな
いという問題が残されていた。また、複雑な形状を有す
る橋梁では、補剛部ウェブ材のようにめっき浸漬時の熱
応力やねじり変形に起因した面外変形が付加される時に
は、めっき割れが皆無とはならないという問題が新たに
判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した液体金属によ
るめっき割れを防止するために2ppm以下とするBの
限定は、製鋼作業上副原料の精選(安価なSi−Mn合
金の使用不可)や耐火物の高級化によるコスト上昇をも
たらすとともに、現状技術では安定してBを2ppm以
下にするのも困難であるという耐え難い欠点が残されて
いた。
るめっき割れを防止するために2ppm以下とするBの
限定は、製鋼作業上副原料の精選(安価なSi−Mn合
金の使用不可)や耐火物の高級化によるコスト上昇をも
たらすとともに、現状技術では安定してBを2ppm以
下にするのも困難であるという耐え難い欠点が残されて
いた。
【0008】本発明は、耐めっき割れ性を維持しつつ、
このBの制約を大幅に緩和することを第一の目的とし、
さらに、同じBの制約下でめっき割れの発生を皆無とす
るとともに、面外変形がある場合に見られるめっき割れ
を大幅に減少することを第二の目的とするものである。
前記「鉄と鋼」は、送電鉄塔用鋼管のHAZにおける耐
Znめっき割れ性に関する論文で、Bを2ppm以下に
限定する必要を述べているだけでBの制約を緩和する技
術については全く開示されていない。さらに、送電鉄塔
用鋼管は橋梁や建築部材に比べてその形状も単純で部材
ごとの板厚変化も少ない。従って、めっき浸漬時間も短
いこともあって、その際の熱応力やねじり変形も極めて
少なく、橋梁ウェブ材のような面外変形も発生しない場
合の耐Znめっき割れ技術について述べているだけであ
って、前記課題を解決する技術思想は全く含まれておら
ず、前記課題はそのまま取り残されているのが実状であ
った。
このBの制約を大幅に緩和することを第一の目的とし、
さらに、同じBの制約下でめっき割れの発生を皆無とす
るとともに、面外変形がある場合に見られるめっき割れ
を大幅に減少することを第二の目的とするものである。
前記「鉄と鋼」は、送電鉄塔用鋼管のHAZにおける耐
Znめっき割れ性に関する論文で、Bを2ppm以下に
限定する必要を述べているだけでBの制約を緩和する技
術については全く開示されていない。さらに、送電鉄塔
用鋼管は橋梁や建築部材に比べてその形状も単純で部材
ごとの板厚変化も少ない。従って、めっき浸漬時間も短
いこともあって、その際の熱応力やねじり変形も極めて
少なく、橋梁ウェブ材のような面外変形も発生しない場
合の耐Znめっき割れ技術について述べているだけであ
って、前記課題を解決する技術思想は全く含まれておら
ず、前記課題はそのまま取り残されているのが実状であ
った。
【0009】特開平2−57669号公報記載の発明
は、橋梁、建築、鉄塔用鋼材等のZnめっき割れ防止に
関するものであり、Bを2ppm以下およびCeq
(B)を0.19%以下に制約する必要を述べている
が、Bの制約を緩和する技術および面外変形のある場合
のめっき割れ防止技術については全く開示されていな
い。従って、前記課題を解決する技術思想は全く含まれ
ておらず、前記課題はそのまま取り残されているのが実
状であった。
は、橋梁、建築、鉄塔用鋼材等のZnめっき割れ防止に
関するものであり、Bを2ppm以下およびCeq
(B)を0.19%以下に制約する必要を述べている
が、Bの制約を緩和する技術および面外変形のある場合
のめっき割れ防止技術については全く開示されていな
い。従って、前記課題を解決する技術思想は全く含まれ
ておらず、前記課題はそのまま取り残されているのが実
状であった。
【0010】特開平2−145721号公報記載の発明
は、橋梁、建築、鉄塔用の液体金属脆化割れを少なくす
る鋼材の製造方法に関するものであり、Bを2ppm以
下およびCeq(B)を0.19%以下に制約する必要
性と製造方法について述べているが、Bの制約を緩和す
る技術および面外変形のある場合のめっき割れ防止技術
については全く開示されていない。従って、前記課題を
解決する技術思想は全く含まれておらず、前記課題はそ
のまま取り残されているのが実状であった。
は、橋梁、建築、鉄塔用の液体金属脆化割れを少なくす
る鋼材の製造方法に関するものであり、Bを2ppm以
下およびCeq(B)を0.19%以下に制約する必要
性と製造方法について述べているが、Bの制約を緩和す
る技術および面外変形のある場合のめっき割れ防止技術
については全く開示されていない。従って、前記課題を
解決する技術思想は全く含まれておらず、前記課題はそ
のまま取り残されているのが実状であった。
【0011】特開昭61−231141号公報記載の発
明は、HAZのめっき割れに関するものであり、Bがめ
っき割れについて有害である記載は全くなく、むしろ積
極的に焼入性向上のために0.0010%以下の添加を
可能とするものであるが、耐めっき割れ性に関しては特
開平2−57669号および特開平2−145721号
各公報記載の発明に比べても古い技術思想のものであ
る。さらに、ZrについてもBの制約を緩和する技術は
全く開示されていないばかりか、HAZ靱性を向上させ
るため0.03%以下の添加を可能としている。従っ
て、前記課題を解決する技術思想は全く含まれておら
ず、前記課題はそのまま取り残されているのが実状であ
った。
明は、HAZのめっき割れに関するものであり、Bがめ
っき割れについて有害である記載は全くなく、むしろ積
極的に焼入性向上のために0.0010%以下の添加を
可能とするものであるが、耐めっき割れ性に関しては特
開平2−57669号および特開平2−145721号
各公報記載の発明に比べても古い技術思想のものであ
る。さらに、ZrについてもBの制約を緩和する技術は
全く開示されていないばかりか、HAZ靱性を向上させ
るため0.03%以下の添加を可能としている。従っ
て、前記課題を解決する技術思想は全く含まれておら
ず、前記課題はそのまま取り残されているのが実状であ
った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐液体金
属めっき割れ性について仔細に調査したところ、鋼中に
固溶する希少金属がBと相互作用を持ち、Bの影響を効
果的に緩和することを新たに知見するに至った。さら
に、複雑な形状を有する橋梁の補剛部ウェブ材のよう
に、めっき浸漬時の熱応力やねじり変形に起因した面外
変形が付加される時には、面外変形のない場合に比べ
て、めっき割れが皆無とはならないことも新たに知見
し、本発明に到達するに至った。
属めっき割れ性について仔細に調査したところ、鋼中に
固溶する希少金属がBと相互作用を持ち、Bの影響を効
果的に緩和することを新たに知見するに至った。さら
に、複雑な形状を有する橋梁の補剛部ウェブ材のよう
に、めっき浸漬時の熱応力やねじり変形に起因した面外
変形が付加される時には、面外変形のない場合に比べ
て、めっき割れが皆無とはならないことも新たに知見
し、本発明に到達するに至った。
【0013】即ち、本発明の要旨とするところは下記の
とおりである。 (1)重量%で、C:0.05〜0.20%、Si:
0.01〜0.40%、Mn:0.50〜1.80%、
P≦0.025%、S≦0.015%を含有し、Al:
0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.05
%、Ca:0.001〜0.02%の1種または2種以
上を含有し、REM:5〜200ppm、Y:5〜20
0ppm、Zr:5〜200ppmの1種または2種以
上を含有し、不純物としてのBがB≦0.0005%存
在し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼におい
て、これら含有元素の次式で定義される炭素等量Ceq
(B)をCeq(B)≦0.25%に限定するととも
に、固溶REM:1〜50ppm、固溶Y:1〜50p
pm、固溶Zr:1〜50ppmの1種または2種以上
が鋼中に固溶状態で存在することを特徴とする耐液体金
属めっき割れ性に優れた高張力鋼。
とおりである。 (1)重量%で、C:0.05〜0.20%、Si:
0.01〜0.40%、Mn:0.50〜1.80%、
P≦0.025%、S≦0.015%を含有し、Al:
0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.05
%、Ca:0.001〜0.02%の1種または2種以
上を含有し、REM:5〜200ppm、Y:5〜20
0ppm、Zr:5〜200ppmの1種または2種以
上を含有し、不純物としてのBがB≦0.0005%存
在し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼におい
て、これら含有元素の次式で定義される炭素等量Ceq
(B)をCeq(B)≦0.25%に限定するととも
に、固溶REM:1〜50ppm、固溶Y:1〜50p
pm、固溶Zr:1〜50ppmの1種または2種以上
が鋼中に固溶状態で存在することを特徴とする耐液体金
属めっき割れ性に優れた高張力鋼。
【0014】
【数2】
【0015】(2)重量%で、Cu:0.05〜1.0
%、Ni:0.05〜1.0%の1種または2種、およ
び/またはCr:0.05〜0.50%、Mo:0.0
5〜0.60%、Nb:0.005〜0.10%、V:
0.01〜0.20%の1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする前記(1)記載の耐液体金属めっき割
れ性に優れた高張力鋼。
%、Ni:0.05〜1.0%の1種または2種、およ
び/またはCr:0.05〜0.50%、Mo:0.0
5〜0.60%、Nb:0.005〜0.10%、V:
0.01〜0.20%の1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする前記(1)記載の耐液体金属めっき割
れ性に優れた高張力鋼。
【0016】(3)前項1または2記載の成分を有する
鋼を製造するに際して、出鋼時におけるSiおよびMn
またはSi、MnおよびAlの一部を添加する弱脱酸後
直ちにまたは当該弱脱酸に引き続く二次精錬でAl、T
i、Caの1種または2種以上を添加した後にREM、
Y、Zrの1種または2種以上を添加して鋳造後に熱間
圧延することを特徴とする耐液体金属めっき割れ性に優
れた高張力鋼の製造方法。
鋼を製造するに際して、出鋼時におけるSiおよびMn
またはSi、MnおよびAlの一部を添加する弱脱酸後
直ちにまたは当該弱脱酸に引き続く二次精錬でAl、T
i、Caの1種または2種以上を添加した後にREM、
Y、Zrの1種または2種以上を添加して鋳造後に熱間
圧延することを特徴とする耐液体金属めっき割れ性に優
れた高張力鋼の製造方法。
【0017】
【作用】本発明者らが鋼材HAZの耐液体金属めっき割
れ性に及ぼす化学成分の影響に関して仔細に調査したと
ころ、化学成分によっては鋼中における存在状態と面外
変形の有無が鋼材HAZの耐めっき割れ性との間に密接
な関係があることを見出した。
れ性に及ぼす化学成分の影響に関して仔細に調査したと
ころ、化学成分によっては鋼中における存在状態と面外
変形の有無が鋼材HAZの耐めっき割れ性との間に密接
な関係があることを見出した。
【0018】即ち、Fe−B−X系(X:REM、Y、
Zr等を指す)ではランタノイド系を中心とする希少金
属は鋼中で窒化物、酸化物、硫化物を形成するが、鋼中
にメタリックな状態で固溶していると、固溶XとBとの
間に相互作用が働いて、Bの鋼材HAZにおける粒界偏
析が抑制される結果、鋼材HAZの耐液体金属めっき割
れ性を飛躍的に向上することを知見した結果、従来並の
品質を維持する場合にはBの制約を著しく緩和するとと
もに、従来の厳しいB制約とするならば、面外変形の付
加される部材のめっき割れをも防止できることを見出し
た。
Zr等を指す)ではランタノイド系を中心とする希少金
属は鋼中で窒化物、酸化物、硫化物を形成するが、鋼中
にメタリックな状態で固溶していると、固溶XとBとの
間に相互作用が働いて、Bの鋼材HAZにおける粒界偏
析が抑制される結果、鋼材HAZの耐液体金属めっき割
れ性を飛躍的に向上することを知見した結果、従来並の
品質を維持する場合にはBの制約を著しく緩和するとと
もに、従来の厳しいB制約とするならば、面外変形の付
加される部材のめっき割れをも防止できることを見出し
た。
【0019】ここで、Fe−B−X系における希少金属
の鋼中におけるメタリックな状態の固溶量は(1)式に
よる。 固溶X=トータルX−XasX酸化物−Xas窒化物−Xas硫化物 (Oxysulphideを含む) (1) 以下に本発明を詳細に説明する。
の鋼中におけるメタリックな状態の固溶量は(1)式に
よる。 固溶X=トータルX−XasX酸化物−Xas窒化物−Xas硫化物 (Oxysulphideを含む) (1) 以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】Cは0.05%未満では強度を満足せず、
また0.20%超では溶接性および耐めっき割れ性を損
なうため、0.05〜0.20%と限定した。さらに、
鋼中にBを含有したり、面外変形によりめっき割れ条件
が厳しい環境となる時には、中C−低Mn化によって鋼
材HAZにおける粒界フェライトの占有率を上げて、め
っき割れ発生率を緩和する必要がある。従って、その場
合には0.12%未満では変態温度が上がってフェライ
ト分率が急激に低下し、また0.20%超でも焼入性が
上がってフェライト分率が減少するため、0.12〜
0.20%が好ましい。
また0.20%超では溶接性および耐めっき割れ性を損
なうため、0.05〜0.20%と限定した。さらに、
鋼中にBを含有したり、面外変形によりめっき割れ条件
が厳しい環境となる時には、中C−低Mn化によって鋼
材HAZにおける粒界フェライトの占有率を上げて、め
っき割れ発生率を緩和する必要がある。従って、その場
合には0.12%未満では変態温度が上がってフェライ
ト分率が急激に低下し、また0.20%超でも焼入性が
上がってフェライト分率が減少するため、0.12〜
0.20%が好ましい。
【0021】Siは脱酸上0.01%以上必要である
が、0.40%超では溶接性およびめっき焼け性(光
沢)を損なうため、0.01〜0.40%に限定した。
Mnは強度上0.50%以上必要であるが、1.80%
超では溶接性および耐めっき割れ性を損なうため、0.
50〜1.80%に限定した。さらに、鋼中にBを含有
したり、面外変形によりめっき割れ条件が厳しい環境と
なる時には、中C−低Mn化によって鋼材HAZにおけ
る粒界フェライトの占有率を上げて、めっき割れ発生率
を緩和する必要がある。従って、その場合には1.50
%超では焼入性が上がってフェライト分率が急激に減少
するため、0.50〜1.50%が好ましい。
が、0.40%超では溶接性およびめっき焼け性(光
沢)を損なうため、0.01〜0.40%に限定した。
Mnは強度上0.50%以上必要であるが、1.80%
超では溶接性および耐めっき割れ性を損なうため、0.
50〜1.80%に限定した。さらに、鋼中にBを含有
したり、面外変形によりめっき割れ条件が厳しい環境と
なる時には、中C−低Mn化によって鋼材HAZにおけ
る粒界フェライトの占有率を上げて、めっき割れ発生率
を緩和する必要がある。従って、その場合には1.50
%超では焼入性が上がってフェライト分率が急激に減少
するため、0.50〜1.50%が好ましい。
【0022】P、S等の不純物は低ければ低いほど好ま
しく、Pは0.025%以下、Sは0.015%以下に
限定される。特に、希少金属Xが熱間圧延後にFe−B
−X系で鋼中にメタリックな状態で安定して固溶し、B
との間に相互作用が働くためにはO、N、Sは低いほど
望ましく、Oは0.0030%以下、Nは0.0050
%以下、Sは0.005%以下が好ましい。
しく、Pは0.025%以下、Sは0.015%以下に
限定される。特に、希少金属Xが熱間圧延後にFe−B
−X系で鋼中にメタリックな状態で安定して固溶し、B
との間に相互作用が働くためにはO、N、Sは低いほど
望ましく、Oは0.0030%以下、Nは0.0050
%以下、Sは0.005%以下が好ましい。
【0023】REMは固溶REM量を1ppm以上確保
するために5ppm以上とするが、200ppm超では
介在物により清浄度や溶接金属の溶接反応性を損なうた
め、5〜200ppmに限定した。なお、REMはL
a、Ce等のランタノイド元素の総称で、それらを複合
しているが、LaまたはCeを単独添加してもその効果
は全く変わらない。
するために5ppm以上とするが、200ppm超では
介在物により清浄度や溶接金属の溶接反応性を損なうた
め、5〜200ppmに限定した。なお、REMはL
a、Ce等のランタノイド元素の総称で、それらを複合
しているが、LaまたはCeを単独添加してもその効果
は全く変わらない。
【0024】Yは固溶Y量を1ppm以上確保するため
に5ppm以上とするが、200ppm超では介在物に
より清浄度や溶接金属の溶接反応性を損なうため、5〜
200ppmに限定した。Zrは固溶Zr量を1ppm
以上確保するために5ppm以上とするが、200pp
m超では介在物により清浄度や溶接金属の溶接反応性を
損なうために、5〜200ppmに限定した。
に5ppm以上とするが、200ppm超では介在物に
より清浄度や溶接金属の溶接反応性を損なうため、5〜
200ppmに限定した。Zrは固溶Zr量を1ppm
以上確保するために5ppm以上とするが、200pp
m超では介在物により清浄度や溶接金属の溶接反応性を
損なうために、5〜200ppmに限定した。
【0025】固溶REMは、Fe−B−REM系でBと
の間に相互作用が働くためには1ppm以上必要である
が、50ppm超ではREM炭化物により母材および継
手靱性を損なうため、1〜50ppmに限定した。固溶
Yは、Fe−B−Y系でBとの間に相互作用が働くため
には1ppm以上必要であるが、50ppm超ではY炭
化物により母材および継手靱性を損なうため、1〜50
ppmに限定した。
の間に相互作用が働くためには1ppm以上必要である
が、50ppm超ではREM炭化物により母材および継
手靱性を損なうため、1〜50ppmに限定した。固溶
Yは、Fe−B−Y系でBとの間に相互作用が働くため
には1ppm以上必要であるが、50ppm超ではY炭
化物により母材および継手靱性を損なうため、1〜50
ppmに限定した。
【0026】固溶Zrは、Fe−B−Zr系でBとの間
に相互作用が働くためには1ppm以上必要であるが、
50ppm超ではZr炭化物により母材および継手靱性
を損なうため、1〜50ppmに限定した。(1)式に
よる希少金属Xの鋼中におけるメタリックな状態の固溶
量を安定して確保するには、先に述べた如く、O、N、
S等の不純物は低いほど好ましいが、Al、Ti、Ca
を1種または2種以上複合添加すると一層効果的とな
る。
に相互作用が働くためには1ppm以上必要であるが、
50ppm超ではZr炭化物により母材および継手靱性
を損なうため、1〜50ppmに限定した。(1)式に
よる希少金属Xの鋼中におけるメタリックな状態の固溶
量を安定して確保するには、先に述べた如く、O、N、
S等の不純物は低いほど好ましいが、Al、Ti、Ca
を1種または2種以上複合添加すると一層効果的とな
る。
【0027】Alは脱酸上重要な元素であって、Siや
Tiによっても脱酸が行われるが、X(希少金属)の酸
化を防止して固溶Xを1ppm以上効果的に確保するた
めに0.005%以上とし、また0.10%超では介在
物により清浄度や溶接金属の溶接反応性を損なうため、
0.005〜0.10%に限定した。Tiは鋼の凝固時
におけるTiNの形成により、固溶X(希少金属)を1
ppm以上安定して確保するために0.005%以上と
するが、0.05%超ではTiC析出により継手靱性を
損なうため、0.005〜0.05%に限定した。
Tiによっても脱酸が行われるが、X(希少金属)の酸
化を防止して固溶Xを1ppm以上効果的に確保するた
めに0.005%以上とし、また0.10%超では介在
物により清浄度や溶接金属の溶接反応性を損なうため、
0.005〜0.10%に限定した。Tiは鋼の凝固時
におけるTiNの形成により、固溶X(希少金属)を1
ppm以上安定して確保するために0.005%以上と
するが、0.05%超ではTiC析出により継手靱性を
損なうため、0.005〜0.05%に限定した。
【0028】CaはCaS(Oxysulphideを
含む)の形成により、固溶X(希少金属)を1ppm以
上効果的に確保するために0.001%以上とするが、
0.02%超では介在物により清浄度や溶接金属の溶接
反応性を損なうため、0.001〜0.02%に限定し
た。不純物としてのBは、Fe−B−X系で固溶Xとの
間に相互作用が働いてその影響が少なくなるとはいうも
のの、耐めっき割れ性の点からは少なければ少ないほど
好ましいが、コスト面から製鋼作業上の制約が大きくな
る。従って、本発明の固溶Xを確保した上でCeq
(B)≦0.25%、好ましくはCeq(B)≦0.1
9%とする時には、B≦0.0005%に限定する。ま
た、面外変形のない場合には、本発明の固溶Xを確保し
た上でCeq(B)≦0.25%とする必要がある時に
は、B≦0.0002%に限定することが好ましい。さ
らに、面外変形のある場合には、本発明の固溶Xを確保
した上でCeq(B)≦0.19%とするとともに、B
≦0.0002%に限定することが好ましい。
含む)の形成により、固溶X(希少金属)を1ppm以
上効果的に確保するために0.001%以上とするが、
0.02%超では介在物により清浄度や溶接金属の溶接
反応性を損なうため、0.001〜0.02%に限定し
た。不純物としてのBは、Fe−B−X系で固溶Xとの
間に相互作用が働いてその影響が少なくなるとはいうも
のの、耐めっき割れ性の点からは少なければ少ないほど
好ましいが、コスト面から製鋼作業上の制約が大きくな
る。従って、本発明の固溶Xを確保した上でCeq
(B)≦0.25%、好ましくはCeq(B)≦0.1
9%とする時には、B≦0.0005%に限定する。ま
た、面外変形のない場合には、本発明の固溶Xを確保し
た上でCeq(B)≦0.25%とする必要がある時に
は、B≦0.0002%に限定することが好ましい。さ
らに、面外変形のある場合には、本発明の固溶Xを確保
した上でCeq(B)≦0.19%とするとともに、B
≦0.0002%に限定することが好ましい。
【0029】Ceq(B)は、特開平2−57669号
公報による鋼中元素の総合的指標として鋼材HAZ部の
耐めっき割れ性を左右し、不純物としてのBはFe−B
−X系で固溶Xとの間に相互作用が働いてその影響が少
なくなるのでCeq(B)≦0.25%であればめっき
割れを防止できる。従って、本発明の固溶Xを確保した
上で不純物としてのBをB≦0.0005ppmとする
時には、Ceq(B)≦0.25%、好ましくはCeq
(B)≦0.19%に限定する。また、面外変形のない
場合には、本発明の固溶Xを確保し、Ceq(B)≦
0.25%に限定した上でB≦0.0002%とするこ
とが好ましい。さらに、面外変形のある場合には、本発
明の固溶Xを確保した上でB≦0.0002%とすると
ともに、Ceq(B)≦0.19%に限定することが好
ましい。
公報による鋼中元素の総合的指標として鋼材HAZ部の
耐めっき割れ性を左右し、不純物としてのBはFe−B
−X系で固溶Xとの間に相互作用が働いてその影響が少
なくなるのでCeq(B)≦0.25%であればめっき
割れを防止できる。従って、本発明の固溶Xを確保した
上で不純物としてのBをB≦0.0005ppmとする
時には、Ceq(B)≦0.25%、好ましくはCeq
(B)≦0.19%に限定する。また、面外変形のない
場合には、本発明の固溶Xを確保し、Ceq(B)≦
0.25%に限定した上でB≦0.0002%とするこ
とが好ましい。さらに、面外変形のある場合には、本発
明の固溶Xを確保した上でB≦0.0002%とすると
ともに、Ceq(B)≦0.19%に限定することが好
ましい。
【0030】C、Si、Mnの含有量は、目的とする用
途に応じて、所定の製法(圧延ままや熱処理またはTM
CP)で必要特性(強度および低温靱性等)から板厚を
考慮して成分設計される。高温特性や溶接性等の特別な
性質が必要な場合には上記元素の他にCu、Ni、C
r、Mo、Nb、Vの必要量を適宜品質設計して添加す
るが、以下にその限定理由を述べる。
途に応じて、所定の製法(圧延ままや熱処理またはTM
CP)で必要特性(強度および低温靱性等)から板厚を
考慮して成分設計される。高温特性や溶接性等の特別な
性質が必要な場合には上記元素の他にCu、Ni、C
r、Mo、Nb、Vの必要量を適宜品質設計して添加す
るが、以下にその限定理由を述べる。
【0031】Cuは低温靱性向上のため、Ceq低減を
目的として、C、Si、Mnに置換して0.05%以上
添加するが、1.0%超では熱間脆性を助長して等量の
Ni添加が必要となるとともに溶接性を損なうため、
0.05〜1.0%に限定した。Niは低温靱性向上の
ため、Ceq低減を目的として、C、Si、Mnに置換
して0.05%以上添加するが、1.0%超ではその効
果が飽和するため、0.05〜1.0%に限定した。
目的として、C、Si、Mnに置換して0.05%以上
添加するが、1.0%超では熱間脆性を助長して等量の
Ni添加が必要となるとともに溶接性を損なうため、
0.05〜1.0%に限定した。Niは低温靱性向上の
ため、Ceq低減を目的として、C、Si、Mnに置換
して0.05%以上添加するが、1.0%超ではその効
果が飽和するため、0.05〜1.0%に限定した。
【0032】Crは焼入性向上による強度確保さらには
高温強度等の特性向上のために0.05%以上添加する
が、0.50%超ではその効果が飽和するため、0.0
5〜0.50%に限定した。Moは焼入性向上による強
度確保さらには高温強度等の特性向上のために0.05
%以上添加するが、0.60%超ではその効果が飽和す
るため、0.05〜0.60%に限定した。
高温強度等の特性向上のために0.05%以上添加する
が、0.50%超ではその効果が飽和するため、0.0
5〜0.50%に限定した。Moは焼入性向上による強
度確保さらには高温強度等の特性向上のために0.05
%以上添加するが、0.60%超ではその効果が飽和す
るため、0.05〜0.60%に限定した。
【0033】Nbは強度向上および結晶粒制御のために
0.005%以上添加するが、0.10%超では溶接
性、低温靱性を損なうため、0.005〜0.10%に
限定した。Vは強度向上および高温強度等の特性向上の
ために0.01%以上添加するが、0.20%超では溶
接性、低温靱性が劣化するため、0.01〜0.20%
に限定した。
0.005%以上添加するが、0.10%超では溶接
性、低温靱性を損なうため、0.005〜0.10%に
限定した。Vは強度向上および高温強度等の特性向上の
ために0.01%以上添加するが、0.20%超では溶
接性、低温靱性が劣化するため、0.01〜0.20%
に限定した。
【0034】固溶X(X:REM、YまたはZr)を所
定量得るには、鋼中に含有されるO、N、Sから(1)
式により計算される固溶Xが正となるように、トータル
Xを鋼中に添加し、Xの固溶温度以上に再加熱後、鍛造
または圧延等の通常の熱間加工または制御圧延や制御冷
却を行う。なお、鋳造は鋼塊法または連続鋳造法による
制限はなく、また鋼の熱処理の有無や、熱処理方法によ
る制限もなく一般的な方法でよい。
定量得るには、鋼中に含有されるO、N、Sから(1)
式により計算される固溶Xが正となるように、トータル
Xを鋼中に添加し、Xの固溶温度以上に再加熱後、鍛造
または圧延等の通常の熱間加工または制御圧延や制御冷
却を行う。なお、鋳造は鋼塊法または連続鋳造法による
制限はなく、また鋼の熱処理の有無や、熱処理方法によ
る制限もなく一般的な方法でよい。
【0035】さらに、希少金属の安定した固溶量を確保
するには、前記した如くAl、Ca、Ti等を複合添加
するのが好ましいが、出鋼時におけるSi+Mnまたは
Si+Mn+Alの一部による弱脱酸後直ちにまたは当
該弱脱酸に引き続く真空脱ガスまたは取鍋精錬等の二次
精錬でAl、Ti、Caの1種または2種以上を添加し
た後にREM、Y、Zrの1種または2種以上を添加す
ると希少金属の酸化物形成はAlにより抑制され、酸化
物形成はCaにより抑制され、窒化物形成はTiにより
抑制されるために一層効果的となる。
するには、前記した如くAl、Ca、Ti等を複合添加
するのが好ましいが、出鋼時におけるSi+Mnまたは
Si+Mn+Alの一部による弱脱酸後直ちにまたは当
該弱脱酸に引き続く真空脱ガスまたは取鍋精錬等の二次
精錬でAl、Ti、Caの1種または2種以上を添加し
た後にREM、Y、Zrの1種または2種以上を添加す
ると希少金属の酸化物形成はAlにより抑制され、酸化
物形成はCaにより抑制され、窒化物形成はTiにより
抑制されるために一層効果的となる。
【0036】
【実施例】表1、表2(表1のつづき)に実施例の化学
成分を示す。A〜F、Kが本発明例であり、G〜Jが比
較例である。詳しくは、本発明例A〜Cは請求項1記載
の発明例であり、本発明例D〜Fは請求項2記載の発明
例である。一方、比較例G〜Jは希少金属の添加がな
く、本発明例A、B、C、Dにそれぞれ対応する比較例
である。また、本発明例Kは請求項2に対応した請求項
3記載の製造方法による発明例である。従って、本発明
例Kは出鋼時のSi、Mnによる弱脱酸後のRH脱ガス
時にAl、Ti、Caの全量を複合添加した後にREM
を添加しているために、添加量に比較して希少金属の固
溶量、即ちREMの歩留りが他の発明例よりも格段に高
くなっている。
成分を示す。A〜F、Kが本発明例であり、G〜Jが比
較例である。詳しくは、本発明例A〜Cは請求項1記載
の発明例であり、本発明例D〜Fは請求項2記載の発明
例である。一方、比較例G〜Jは希少金属の添加がな
く、本発明例A、B、C、Dにそれぞれ対応する比較例
である。また、本発明例Kは請求項2に対応した請求項
3記載の製造方法による発明例である。従って、本発明
例Kは出鋼時のSi、Mnによる弱脱酸後のRH脱ガス
時にAl、Ti、Caの全量を複合添加した後にREM
を添加しているために、添加量に比較して希少金属の固
溶量、即ちREMの歩留りが他の発明例よりも格段に高
くなっている。
【0037】鋼板は50kg真空溶解炉で溶製後、制御
圧延および熱処理により550〜690MPa級鋼板と
した。鋼板の機械的性質を表3に示す。これらの鋼板を
片面から減厚加工して、図1に示す拘束継手試験片を各
2体製作し、繰り返し2回の実験に供した。図1におけ
る寸法は、t=15mm、h=50mm、w=150m
m、l=75mmで、試験ビードのパス数は1、拘束ビ
ードのパス数は25とした。なお、面外変形は鋼CとF
の試験片を溶接完了後、治具によりクランプして発生さ
せた。拘束継手試験片は溶接完了後、470℃のZn浴
中に10分間浸漬してめっきした後に、試験ビード部を
磁粉探傷により検査して割れの発生有無を調査した。2
回の繰り返し試験による試験結果を表3に示す。
圧延および熱処理により550〜690MPa級鋼板と
した。鋼板の機械的性質を表3に示す。これらの鋼板を
片面から減厚加工して、図1に示す拘束継手試験片を各
2体製作し、繰り返し2回の実験に供した。図1におけ
る寸法は、t=15mm、h=50mm、w=150m
m、l=75mmで、試験ビードのパス数は1、拘束ビ
ードのパス数は25とした。なお、面外変形は鋼CとF
の試験片を溶接完了後、治具によりクランプして発生さ
せた。拘束継手試験片は溶接完了後、470℃のZn浴
中に10分間浸漬してめっきした後に、試験ビード部を
磁粉探傷により検査して割れの発生有無を調査した。2
回の繰り返し試験による試験結果を表3に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】希少金属が固溶状態で存在している本発明
例は、いずれも拘束継手試験においてもめっき割れが完
全に防止されている。これに対して比較例は、希少金属
以外の成分は本発明例と概ね同一であるにも拘らず、め
っき割れが発生している。即ち、本発明は同一の成分条
件なら、従来技術に比べて不純物としてのBの許容限界
が大幅に緩和できる。逆に、不純物としてのBの制限が
従来技術並ならば、Ceq(B)の制約が大幅に緩和で
きるか、面外変形があるような厳しい条件でのめっき割
れも防止できる。
例は、いずれも拘束継手試験においてもめっき割れが完
全に防止されている。これに対して比較例は、希少金属
以外の成分は本発明例と概ね同一であるにも拘らず、め
っき割れが発生している。即ち、本発明は同一の成分条
件なら、従来技術に比べて不純物としてのBの許容限界
が大幅に緩和できる。逆に、不純物としてのBの制限が
従来技術並ならば、Ceq(B)の制約が大幅に緩和で
きるか、面外変形があるような厳しい条件でのめっき割
れも防止できる。
【0042】
【発明の効果】Fe−B−X系(X:REMまたはY、
Zr等の希少金属)では、Xを鋼中にメタリックな固溶
状態で含有していると、鋼中に過飽和に固溶されたXと
Bの相互作用によりBのHAZ粒界偏析を抑制する結
果、耐液体金属めっき割れ性に優れた鋼材が得られる。
これにより、製鋼作業のコスト上昇を防止でき、面外変
形のある場合はめっき割れの大幅な改善による安全性の
厳格化に対応可能ならしめるとともに、鋼材の生産効率
の飛躍的な向上を可能とするものである。従って、本発
明によれば、大型構造物の信頼性向上はもとより、省資
源、省エネルギー的価格競争力の向上とともに工期的非
価格競争力の向上をもたらし、産業界に与える経済的利
益は多大なものがある。
Zr等の希少金属)では、Xを鋼中にメタリックな固溶
状態で含有していると、鋼中に過飽和に固溶されたXと
Bの相互作用によりBのHAZ粒界偏析を抑制する結
果、耐液体金属めっき割れ性に優れた鋼材が得られる。
これにより、製鋼作業のコスト上昇を防止でき、面外変
形のある場合はめっき割れの大幅な改善による安全性の
厳格化に対応可能ならしめるとともに、鋼材の生産効率
の飛躍的な向上を可能とするものである。従って、本発
明によれば、大型構造物の信頼性向上はもとより、省資
源、省エネルギー的価格競争力の向上とともに工期的非
価格競争力の向上をもたらし、産業界に与える経済的利
益は多大なものがある。
【図1】本発明の実施例に用いた拘束継手試験片を示す
図である。
図である。
1: 試験ビード 2: 拘束ビード 3: 試験板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 康児 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.05〜0.20%、 Si:0.01〜0.40%、 Mn:0.50〜1.80%、 P≦0.025%、 S≦0.015% を含有し、 Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.005〜0.05%、 Ca:0.001〜0.02% の1種または2種以上を含有し、 REM:5〜200ppm、 Y:5〜200ppm、 Zr:5〜200ppm の1種または2種以上を含有し、不純物としてのBがB
≦0.0005%存在し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる鋼において、これら含有元素の次式で定義さ
れる炭素等量Ceq(B)をCeq(B)≦0.25%
に限定するとともに、固溶REM:1〜50ppm、固
溶Y:1〜50ppm、固溶Zr:1〜50ppmの1
種または2種以上が鋼中に固溶状態で存在することを特
徴とする耐液体金属めっき割れ性に優れた高張力鋼。 【数1】 - 【請求項2】 重量%で、Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%の1種または2種、および/
またはCr:0.05〜0.50%、Mo:0.05〜
0.60%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.
01〜0.20%の1種または2種以上を含有すること
を特徴とする請求項1記載の耐液体金属めっき割れ性に
優れた高張力鋼。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の成分を有する鋼
を製造するに際して、出鋼時におけるSiおよびMnま
たはSi、MnおよびAlの一部を添加する弱脱酸後直
ちにまたは当該弱脱酸に引き続く二次精錬でAl、T
i、Caの1種または2種以上を添加した後にREM、
Y、Zrの1種または2種以上を添加して鋳造後に熱間
圧延することを特徴とする耐液体金属めっき割れ性に優
れた高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12197295A JPH08158008A (ja) | 1994-10-05 | 1995-05-19 | 耐液体金属めっき割れ性に優れた高張力鋼とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-241709 | 1994-10-05 | ||
JP24170994 | 1994-10-05 | ||
JP12197295A JPH08158008A (ja) | 1994-10-05 | 1995-05-19 | 耐液体金属めっき割れ性に優れた高張力鋼とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08158008A true JPH08158008A (ja) | 1996-06-18 |
Family
ID=26459212
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12197295A Withdrawn JPH08158008A (ja) | 1994-10-05 | 1995-05-19 | 耐液体金属めっき割れ性に優れた高張力鋼とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08158008A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110983156A (zh) * | 2019-11-27 | 2020-04-10 | 上海大学 | 一种富含合金化稀土元素的稀土耐蚀钢及其制造方法 |
-
1995
- 1995-05-19 JP JP12197295A patent/JPH08158008A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110983156A (zh) * | 2019-11-27 | 2020-04-10 | 上海大学 | 一种富含合金化稀土元素的稀土耐蚀钢及其制造方法 |
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