JPH08157991A

JPH08157991A - 表面硬化用塩酸耐食合金

Info

Publication number: JPH08157991A
Application number: JP25983995A
Authority: JP
Inventors: Kensuke Hidaka; 謙介日高; Kanichi Tanaka; 完一田中; Shinichi Nishimura; 信一西村; Takashi Kawarada; 敬河原田
Original assignee: Fukuda Metal Foil and Powder Co Ltd
Current assignee: Fukuda Metal Foil and Powder Co Ltd
Priority date: 1994-10-07
Filing date: 1995-10-06
Publication date: 1996-06-18
Anticipated expiration: 2015-10-06
Also published as: JP3987129B2

Abstract

(57)【要約】【目的】各種の腐食環境に対応できる、Ni-Mo-B 系表
面硬化用塩酸耐食合金を提供する。【構成】 Mo 25 〜40重量％（以下、％と記す），B 0.
5 〜2.0 ％, Cr 20 ％以下, Si 1.0％以下、 Fe 12％以
下, 残部がNi及び不可避の不純物からなる表面硬化用塩
酸耐食合金。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＴＩＧ肉盛溶接，ＰＴ
Ａ粉末肉盛溶接，溶射などの各種施工プロセスに用いら
れる、表面硬化用材料に関するものであり、特に塩酸耐
食性が要求される部材に用いられる塩酸耐食合金に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、耐食性、耐摩耗性に優れる表面硬
化用材料としては、Ni基、Co基など各種の合金がある
が、塩酸耐食性については十分とは言いがたい。一方、
Ni-Mo合金は古くから塩酸耐食合金として知られている
が、表面硬化用材料として使用するには硬さが低く不適
当である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】耐食、耐摩耗を目的と
した表面硬化は、現在、各種産業分野において、広く用
いられている。しかしながら、その使用環境は、近年厳
しさを増してきており、それにともない表面硬化用材料
も、より高性能なものが要求されている。特に耐食分野
では、塩酸耐食性に優れた表面硬化用材料の開発が課題
となっている。

【０００４】

【問題を解決するための手段】塩酸耐食性に優れた表面
硬化用材料の開発を行うための合金組成の検討にあたっ
ては、下記の目標値を設定し、これをすべて満足するこ
とを条件とした。（目標値） (1)塩酸耐食性 (腐食減量) 0.3 mg/m²s 以下, 5
％ HCl(Boil) (2)硬さ (HRC) 40 以上 (3)衝撃値 (シャルピー衝撃値） 1.0 ×10⁵J/m² 以上即ち、本発明の合金は、Ni-Mo-B 系からなるものであっ
て、その組成が重量％で、 Mo 25〜40％ B 0.5〜2.0 ％ Cr 20％以下 Si 1.0％以下 Fe 12％以下残部がNi及び不可避の不純物からなる表面硬化用塩酸耐
食合金

【０００５】

【作用】次に、本発明に係わる塩酸耐食合金の各成分範
囲を限定した理由を述べる。Moは、塩酸耐食性を向上さ
せる効果があるが、含有量が25％未満では、その効果が
なく、40％を越えると目標とする衝撃値が得られないこ
とから、範囲を25〜40％に定めた。

【０００６】Bは、硬さを高めるとともに、肉盛性及び溶
射性を向上させる効果があるが、含有量が 0.5％未満で
は、その効果が少なく、 2.0％を越えると目標とする塩
酸耐食性及び衝撃値が得られないことから、範囲を 0.5
〜2.0 ％に定めた。Crは、硬さを高める効果があるが、
20％を越えると目標とする塩酸耐食性及び衝撃値が得ら
れないことから、上限値を20％に定めた。 Siは、
脱酸効果があるが、 1.0％を越えると目標とする塩酸耐
食性及び衝撃値が得られないことから、上限値を 1.0％
に定めた。

【０００７】Feは、通常肉盛溶接等で母材から入ってく
るが、塩酸耐食性を損なわないようにするため、上限値
を12％に定めた。

【０００８】

【実施例】本発明者らは、Mo、B 、Cr、Si、Feを変化さ
せた合金を溶製し、その塩酸耐食性、硬さ及び衝撃値に
ついて試験を行った。試験は、下記に示す方法により行
った。腐食試験腐食試験は、 5％HCl(Boil) 中に21.6ks全浸漬させ行っ
た。試験片にはいずれも10×10×20mmの鋳造品を用いた
が、SUS316L についてのみ市販の熱間圧延平鋼を用い
た。耐食性は試験後の腐食減量 (重量減) を測定するこ
とで評価した。

【０００９】硬さ及び衝撃試験硬さ試験は、ロックウェル硬さ計を用い行った。また、
衝撃試験は、シャルピー衝撃試験機 (容量 147 N-m) を
用い、JIS Z 2242に準じて行った。衝撃試験片は、鋳造
品を JIS Z 2202 (ノッチなし）に規定される３号試験
片に加工した後、試験に供した。また、硬さ試験には、
衝撃試験後の試験片を用いた。表１に本発明の実施例を
示す。また、表２に比較例を示す。

【００１０】

【表１】

【００１１】

【表２】

【００１２】比較例合金 A,B,C,D,E,F は本発明の請求
範囲外組成の合金、G は特殊用途鋼SUS316L 、H,I は従
来のNi-Mo 合金、J はNi基自溶合金である。合金A,B,C
はMoが請求範囲の下限を下回り、Crが上限を越えたもの
で、この場合、いずれも塩酸耐食性が目標値を満足して
いない。合金D はMoが下限を下回ったもので、この場
合、塩酸耐食性と硬さが目標値を満足していない。合金
E は逆にMoが上限を越えたもので、この場合、衝撃値が
低くなる。合金F はFeが上限を越えたもので、この場合
は、塩酸耐食性と衝撃値が目標値を満足していない。こ
れに対し、本発明合金は、表１からも明らかなように、
塩酸耐食性、硬さ、衝撃値のいずれも目標値を満足して
おり、表面硬化用材料として耐食性、硬さ、靱性を兼ね
備えている。

【００１３】

【発明の効果】本発明の Ni-Mo-B系合金材料は、塩酸の
存在する環境下において優れた耐食性を示す表面硬化用
材料であり、このような材料を粉末状又は棒状にし溶接
又は溶射等により各種部材に表面硬化することにより、
部材の耐久性の著しい向上が期待できる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】 Ni-Mo-B 系からなるものであって、その
組成が重量％（以後、％と記す）で、 Mo 25〜40％ B 0.5〜2.0 ％ Cr 20％以下 Si 1.0％以下 Fe 12％以下残部がNi及び不可避の不純物からなる表面硬化用塩酸耐
食合金